(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1吸引位置は、前記第2軌跡の一端において前記第2吸引位置より端に配され、前記第1吐出位置は、前記第2軌跡の他端において前記第2吐出位置より端に配置され、
前記第2吸引位置は、前記第1軌跡の一端において前記第1吸引位置より端に配され、前記第2吐出位置は、前記第1軌跡の他端において前記第1吐出位置より端に配置された
ことを特徴とする請求項1に記載の臨床検査装置。
前記第1プローブおよび前記第2プローブの少なくとも一方の前記異常状態が検出された結果を受けて、その旨を報知する報知部を有することを特徴とする請求項1に記載の臨床検査装置。
前記第1検知手段および前記第2検知手段の少なくとも一方は、その検出対象となるプローブの内部の圧力、静電容量および画像のうちのいずれか1以上に基づいて、及び/又は、前記プローブが振動するときの状態に基づいて、前記プローブの詰まりを検出することを特徴とする請求項1に記載の臨床検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の実施形態の要旨は次の通りである。
試料の分注効率を向上させるためには、第1プローブが詰まりを含む異常状態で、かつ、分注対象が血清検体(第1試料)のとき、第1プローブに代えて第2プローブが第1試料の分注を継続するように構成する(第2プローブによる補完)。同様に、第2プローブが詰まりを含む異常状態で、かつ、分注対象が全血検体(第2試料)のとき、第2プローブに代えて第1プローブが第2試料の分注を継続するように構成する(第1プローブによる補完)。要するに、第1プローブと第2プローブとが互いに補完し合うように構成する。
つまり、2種類の分注対象である試料と分注する2つのプローブの間で、(a)分注対象とプローブの2つの組み合わせを並行動作、(b)上記(a)の組み合わせから分注対象とプローブの組み合わせを変えて、少なくとも1つの組み合わせを動作する構成とすることである。
【0014】
以下、ここでは、次の構成を有する例について述べる。
(1)第1プローブが異常状態で、分注対象が第1試料のとき、第1プローブに代えて第2プローブが第1試料の分注を継続するような構造を設ける。さらに、プローブをそのように駆動させる手段を設ける。(2)さらに、第1プローブの状態を検出する手段、検出結果に基づいて第1プローブが異常状態であるかどうかを判別する手段を設ける。(3)同様に、第2プローブが異常状態で、分注対象が第2試料のとき、第2プローブに代えて第1プローブが第2試料の分注を継続するような構造を設ける。さらに、プローブをそのように駆動させる手段を設ける。(4)さらに、第2プローブの状態を検出する手段、検出結果に基づいて第2プローブが異常状態であるかどうかを判別する手段を設ける。
【0015】
上記(1)〜(4)に記載されたように自動分析装置を構成することにより、第1プローブと第2プローブとが互いに補完し合うようになる。それにより、第1プローブが異常状態のときであっても、第1試料の分注を停止しなく済み、また、第2プローブが異常状態のときであっても、第2試料の分注を停止しなく済み、試料の分注効率を向上させることが可能となる。
【0016】
また、上記(1)および(3)に記載されたように自動分析装置を構成することにより、第1プローブを第2プローブが補完するようになる。それにより、第1プローブが異常状態のときであっても、第1試料の分注を停止しなく済み、試料の分注効率を向上させることが可能となる。
【0017】
以下に、前者の構成を第1実施形態において説明し、続いて、後者の構成を第2実施形態において説明する。
【0018】
<第1実施形態>
次に、第1実施形態に係る自動分析装置について
図1〜
図11を参照して説明する。
図1は自動分析装置を概念的に示す平面図、
図2はラックサンプラを概念的に示す平面図、
図3は、自動分析装置の一部構成を示すブロック図である。
【0019】
図1から
図3に示すように、自動分析装置100は、試薬ラック1、第1試薬庫2、第2試薬庫3、試薬容器4、反応庫5、ラックサンプラ6、第1試料分注プローブ(単に、「第1プローブ」という)71、第2試料分注プローブ(単に、「第2プローブ」という)72、第1検知手段81、第2検知手段82、第1移動機構9A、第2移動機構9B、移動制御部10、表示部11、制御部12、第1試薬分注プローブ(図示しない)、第2試薬分注プローブ(図示しない)、攪拌ユニット(図示しない)、及び、測光ユニット(図示しない)を有する。
【0020】
(試薬容器4)
第1試薬庫2及び第2試薬庫3には、回動可能な円形状の試薬ラック1が収納されている。各試薬容器4は、この試薬ラック1に環状に並んで収納されている。第1試薬が収容された試薬容器4は第1試薬庫2に載置され、第2試薬が収納された試薬容器4は第2試薬庫3に載置される。第1試薬および第2試薬が測定項目に応じて選択される。
【0021】
(反応容器51)
反応庫5は、回動可能な円形状のカセット部材(図示省略)を有する。カセット部材には反応容器51が載置される。カセット部材が回動されることにより、反応容器51が第1吐出位置(第1分注位置)、第2吐出位置(第2分注位置)、攪拌位置、測定位置、及び、洗浄/乾燥位置に搬送される。なお、洗浄/乾燥位置の「洗浄」は、反応容器51の洗浄を意味し、プローブの洗浄を意味しない。ここで、第1吐出位置および第2吐出位置を
図1に“DP1”および“DP2”の符号で示す。
【0022】
(ラックサンプラ6、試料容器61)
ラックサンプラ6は、自動分析装置100の前面の前縁に沿って配置される。ラックサンプラ6は、複数のラック62を一列に並べて収納し、各ラック62を予め定められた位置に搬送可能に構成される。ラック62が予め定められた位置に搬送される方向を
図2にXの方向で示す。ラック62には、複数(例えば、5本)の試料容器61が収容される。試料容器61には第1試料や第2試料が収納される。
【0023】
また、ラックサンプラ6は、複数のラック62のうちの一または二以上をその並べられる方向に対し直交する水平方向(前縁から中央の方向)に搬送可能に構成される。その結果、ラックサンプラ6は、第1測定項目に応じて、第1試料が収納された試料容器61を第1吸引位置に搬送する。同様に、ラックサンプラ6は、第2測定項目に応じて、第2試料が収納された試料容器61を第2吸引位置に搬送する。
【0024】
なお、各試料容器61が各吸引位置に順次搬送される方向を
図2にYの方向で示す。さらに、第1吸引位置および第2吸引位置を
図1および
図2に“AP1”および“AP2”の符号で示す。さらに、第1吸引位置AP1、第2吸引位置AP2に搬送された試料容器を
図2に“61A”の符号で示す。さらに、第1軌跡L1において、第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間に配置された第1洗浄位置を
図1に“WP1”の符号で示す。さらに、第2軌跡L2において、第2吸引位置AP2と第2吐出位置DP2との間に配置された第2洗浄位置を
図1に“WP2”の符号で示す。第1洗浄位置及び/又は第2洗浄位置を単に洗浄位置という場合がある。
【0025】
(第1プローブ71、第2プローブ72)
第1プローブ71はアーム73の先端部に設けられる。アーム73の基端部は第1垂直軸S1に支持される。第1プローブは主に第1試料を分注するためのものである。
第2プローブ72はアーム74の先端部に設けられる。アーム74の基端部は第2垂直軸S2に支持される。第2プローブは主に第2試料を分注するためのものである。
なお、以下の説明において、第1プローブ71及び/又は第2プローブ72を、単に「プローブ」という場合がある。また、第1試料及び/又は第2試料を、単に「試料」という場合がある。
【0026】
(第1検知手段81、第2検知手段82)
次に、
図3を参照して、第1検知手段81および第2検知手段82について説明する。
図3は、自動分析装置の一部構成を示すブロック図である。ここで、第1検知手段81及び/又は第2検知手段82を単に「検知手段」という場合がある。
なお、第1検知手段81と第2検知手段82とでその基本的な構成は同じであるため、以下に、第1検知手段81を主に説明し、第2検知手段82の説明に代える。
【0027】
第1検知手段81は第1プローブ71の詰まりを含む異常状態を検出する。ここで、「第1プローブ71の異常状態」とは、第1プローブ71、アーム73、および、第1移動機構9A(後述する)を含む第1試料を分注するための機構が何らかの原因により、第1試料の分注ができない状態のことをいう。
【0028】
第1プローブ71の異常状態の一例は、第1プローブ71の動作不良である。第1プローブ71の動作不良は、ステッピングモータ(後述する)の負荷を測定し、測定値と参照値とを比較することにより、判別される。第1プローブ71の動作不良の説明については省略する。第1プローブ71の動作不良をいつどこで検出するかについては、特に限定されない。
【0029】
第1プローブ71の異常状態の他の例は、第1プローブ71の詰まりである。詰まりをいつどこで検出するかについては、特に限定されない。例えば、洗浄位置に移動されたプローブが、液体を吸引/吐出するときであってもよく、吸引位置/吐出位置に移動されたプローブが試料を吸引/吐出するときであってもよい。
【0030】
次に、プローブの詰まりを洗浄時に検出する前者の例を挙げて、プローブの「異常状態」の判別、報知について
図3および
図4を参照して説明する。
【0031】
図4は洗浄位置に移動されたプローブを示す図である。洗浄位置を
図4に洗浄槽として示す。さらに、
図4に、第1洗浄位置WP1(
図1参照)に移動された第1プローブ71、第1プローブ71に連結されたチューブ75、チューブ75を介して第1プローブ71に液体(洗浄液:洗剤、水)を第1プローブ71に供給し、第1プローブ71内の液体(廃液:測定済みの反応液)を外部に排出させるポンプ76、チューブ75に連結された圧力計77を示す。
【0032】
第1検知手段81により検出された結果、つまり、圧力計77により計測された値(測定値)が移動制御部10に送られる。移動制御部10は、測定値と参照値(許容範囲)とを比較することにより、測定値が許容範囲を超えたとき、第1プローブ71の詰まりを判別する。なお、プローブの詰まりを、プローブの内部の圧力に基づいて検出したが、これに限らない。例えば、プローブの内部の静電容量を測定し、測定値と参照値とを比較することで、プローブの詰まりを判別してもよく、プローブの内部の画像を撮影し、撮影された画像と予め設けられた画像とを比較することで、プローブの詰まりを判別してもよい。さらに、プローブが振動するときの状態を検知し、例えば、その振動数や振幅を測定し、参照値との比較に基づいて、プローブの詰まりを判別するようにしてもよい。
【0033】
(プローブの状態の報知)
以上のようにして、移動制御部10は、プローブの状態を判別する。判別されたプローブの状態は、移動制御部10の記憶部13(
図3参照)に記憶される。
【0034】
図5は、表示部11に表示されたプローブの状態の一例を示す図である。
図5にプローブが正常状態であることを“正常”の文字で示し、プローブが異常状態であることを“異常”の文字で示す。表示部11は、記憶部13に記憶されたプローブの状態を白黒の反転で表す。
図5に示すように、白黒の反転で“異常”の文字が表示部11に表示されることにより、第1プローブ71が異常状態であることが報知される。
【0035】
(制御部12、分注対象の報知)
試料および試薬は測定項目に応じて定められ、反応容器51に分注される。測定項目は、ユーザによる入力部(図示しない)の操作に基づき、制御部の記憶部(図示しない)に予め記憶される。装置が起動されると、制御部12は、測定項目を読み出し、測定項目に応じた試料(第1試料、第2試料)を分注対象として移動制御部10に送る。分注対象は、移動制御部10の記憶部13に記憶される。
【0036】
図6は、表示部11に表示された分注対象の一例を示す図である。表示部11は、記憶部13に記憶された分注対象を白黒の反転で表す。
図6に示すように、白黒の反転で分注対象が表示部11に表示されることにより、分注対象が第1試料であることが報知される。
【0037】
(第1移動機構9A、第2移動機構9B、移動制御部10)
図3に示すように、第1移動機構9Aは、動力部91および動力伝達部93を有する。同様に、第2移動機構9Bは、動力部91および動力伝達部93を有する。ここで、第1移動機構9A及び/又は第2移動機構9Bを単に「移動機構」という場合がある。
【0038】
図7は、プローブの状態(
図5参照)および分注対象(
図6参照)と、そのとき用いられるプローブとの関係づけを表すテーブルの図である。
移動制御部10は、記憶部13に記憶されたプローブの状態および分注対象に基づき、
図7に示すテーブルを参照して、移動対象となるプローブを駆動するための駆動信号を生成し、駆動信号を動力部91に送る。
【0039】
動力部91は、回転用のステッピングモータ(図示しない)を有する。回転用のステッピングモータは、駆動信号に応じた回転量だけ所定方向に回転することにより、プローブを回転させるときの動力を動力伝達部93に供給する。さらに、動力部91は、上昇/下降用のステッピングモータ(図示しない)を有する。上昇/下降用のステッピングモータは、駆動信号に応じた回転量だけ所定方向に回転することにより、プローブを上昇/下降させるときの動力を動力伝達部93に供給する。
【0040】
動力伝達部93は、回転用の動力伝達部(図示しない)を有する。回転用の動力伝達部は、動力を受けてプローブを時計回りの方向/反時計回りの方向に所定角度回転させる。さらに、動力伝達部93は、上昇/下降用の動力伝達部(図示しない)を有する。上昇/下降用の動力伝達部は、動力を受けてプローブを所定量だけ上昇/下降させる。
【0041】
(プローブと移動機構との関係)
第1移動機構9Aは、第1プローブ71をアーム73を介して第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を第1垂直軸S1回りの円弧状の第1軌跡L1に沿って移動させるように構成される。
【0042】
さらに、第1移動機構9Aは、第1プローブ71を、第1軌跡L1の一端において第1吸引位置AP1より端に配置された第2吸引位置AP2、および、第1軌跡L1の他端において第1吐出位置DP1より端に配置された第2吐出位置DP2に移動させるように構成される。なお、
図1に、第1吸引位置AP1より一端側(左側)に配置された第2吸引位置AP2を示す。さらに、
図1に、第1吐出位置DP1より他端側(左側)に配置された第2吐出位置DP2を示す。
【0043】
図8は、第1軌跡L1および第2軌跡L2を示す図である。
図8に、第2吸引位置AP2〜第1吸引位置AP1〜第1洗浄位置WP1〜第1吐出位置DP1〜第2吐出位置DP2を経路とする第1軌跡L1を示す。つまり、第1移動機構9Aは、第1プローブ71を、第1軌跡L1の一端に配置された第2吸引位置AP2と第1軌跡L1の他端に配置された第2吐出位置DP2との間を移動させるように構成される。それにより、第2プローブ72に代えて第1プローブ71により第2試料の分注が可能となる。
【0044】
第2移動機構9Bは、第2プローブ72をアーム74を介して第2吸引位置AP2と第2吐出位置DP2との間を第2垂直軸S2回りの円弧状の第2軌跡L2に沿って移動させるように構成される。
【0045】
さらに、第2移動機構9Bは、第2プローブ72を、第2軌跡L2の一端において第2吸引位置AP2より端に配置された第1吸引位置AP1、および、第2軌跡L2の他端において第2吐出位置DP2より端に配置された第1吐出位置DP1に移動させるように構成される。なお、
図1に、第2吸引位置AP2より一端側(右側)に配置された第1吸引位置AP1を示す。さらに、
図1に、第2吐出位置DP2より他端側(右側)に配置された第1吐出位置DP1を示す。
【0046】
図8に、第1吸引位置AP1〜第2吸引位置AP2〜第2洗浄位置WP2〜第2吐出位置DP2〜第1吐出位置DP1を経路とする第2軌跡L2を示す。つまり、第2移動機構9Bは、第2プローブ72を、第2軌跡L2の一端に配置された第1吸引位置AP1と第2軌跡L2の他端に配置された第1吐出位置DP1との間を移動させるように構成される。それにより、第1プローブ71に代えて第2プローブ72により第1試料の分注が可能となる。
【0047】
(第1軌跡L1、第2軌跡L2等)
次に、第1軌跡L1、第2軌跡L2、第1吐出位置DP1、第2吐出位置DP2の配置関係について説明する。なお、第1軌跡L1、第2軌跡L2、第1吸引位置AP1、第2吸引位置AP2の配置関係についても、同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
【0048】
図9は第1軌跡L1、第2軌跡L2、第1吐出位置DP1、第2吐出位置DP2の配置関係を示す図である。
図9に、第1軌跡L1上の第1吐出位置DP1および第2吐出位置DP2を“○”の印で示す。また、第2軌跡L2上の第1吐出位置DP1および第2吐出位置DP2を“△”の印で示す。
【0049】
図9からわかるように、円弧状の第1軌跡L1の中心となる第1垂直軸S1と円弧状の第2軌跡L2の中心となる第2垂直軸S2が異なる位置に配置されるため、第1軌跡L1と第2軌跡L2とは重畳しない。そのため、第1軌跡L1上の第1吐出位置DP1と第2軌跡L2上の第1吐出位置DP1とは厳密には異なる。同様に、第1軌跡L1上の第2吐出位置DP2と第2軌跡L2上の第2吐出位置DP2とは厳密には異なる。
【0050】
しかし、いずれの第1吐出位置DP1も反応容器51の入口領域であって、かつ、プローブの挿入を許容する領域に含まれる。したがって、いずれの第1吐出位置DP1も、厳密には互いに異なるが機能上同じ位置であるといえるため、本実施形態の説明においては、便宜上同一の位置として扱う。また、第2吐出位置DP2も第1吐出位置DP1と同様のことが言えるため、本実施形態の説明においては、便宜上同一の位置として扱う。
【0051】
なお、上記の配置関係は、互いの吐出位置が許容範囲内でずれるように、第1軌跡L1(第1垂直軸S1)と第2軌跡L2(第2垂直軸S2)がずれているともいえる。
【0052】
仮に、第1垂直軸S1および第2垂直軸S2が同一位置に配置されると、第1軌跡L1と第2軌跡L2とは重畳し、垂直軸回りの取り付けスペースが狭くなり、装置全体の小型化が図れる。しかし、同一軸回りに、2つのプローブを移動させるように各移動機構を構成するのは、困難を伴う。
【0053】
本実施形態では、第1垂直軸S1、第2垂直軸S2が異なる位置に配置されるため、各移動機構を構成するのが容易で、かつ、第1垂直軸S1、第2垂直軸S2も上記理由から大きくずれるわけではなく、垂直回りの取り付けスペースがある程度狭くなり、装置全体の小型化に寄与する。
【0054】
次に、移動制御部10および移動機構によりプローブがどのように移動されるかについて
図7を参照して説明する。
【0055】
なお、移動制御部10には、制御部12から分注対象としての試料の情報が送られる。さらに、移動制御部10には、検知手段からプローブの状態が送られる。移動制御部10は、プローブの状態および分注対象を判別する。ここでは、移動制御部10は、判別結果に基づいて移動機構を制御するものとする。
【0056】
(A)移動制御部10は、第1プローブ71が正常状態であり、かつ、分注対象が第1試料であるとの判別結果(
図7に(a)で示す)に基づき、テーブルを参照して、第1移動機構9Aを制御して、第1プローブ71を第1軌跡L1に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。それにより、第1プローブ71は、ラックサンプラ6によって第1吸引位置AP1に搬送された試料容器61から第1試料を吸引し、第1吐出位置DP1に搬送された反応容器51に第1試料を吐出する。つまり、第1試料の分注が実行される。
【0057】
(B)移動制御部10は、第2プローブ72が正常状態であり、かつ、分注対象が第2試料であるとの判別結果(
図7に(b)で示す)に基づき、テーブルを参照して、第2移動機構9Bを制御して、第2プローブ72を第2軌跡L2に沿って第2吸引位置AP2と第2吐出位置DP2との間を移動させる。それにより、第2プローブ72は、ラックサンプラ6によって第2吸引位置AP2に搬送された試料容器61から第2試料を吸引し、第2吐出位置DP2に搬送された反応容器51に第2試料を吐出する。つまり、第2試料の分注が実行される。なお、上記(A)と(B)とは、並行して実行可能である。すなわち、第1プローブ71が正常状態で、第2プローブ72が正常状態で、分注対象が第1試料および第2試料であるとき、上記(A)と(B)とは、並行して実行される。
【0058】
(C)移動制御部10は、第1プローブ71が異常状態であり、第2プローブ72が正常状態であり、かつ、分注対象が第1試料および第2試料であるとの判別結果(
図7に(c)で示す)に基づき、テーブルを参照して、第2移動機構9Bを制御して、第2プローブ72を第2軌跡L2に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。それにより、第2プローブ72は、ラックサンプラ6によって第1吸引位置AP1に搬送された試料容器61から第1試料を吸引し、第1吐出位置DP1に搬送された反応容器51に第1試料を吐出する。つまり、第1プローブ71に代わって第2プローブ72が第1試料の分注に用いられることにより、すなわち、第2プローブ72が第1プローブ71を補完することにより、第1試料の分注を停止させることなく、継続させることが可能となる。
【0059】
さらに、移動制御部10は、第2移動機構9Bを制御して、第2プローブ72を第2軌跡L2に沿って第2吸引位置AP2と第2吐出位置DP2との間を移動させる。つまり、第2移動機構9Bは、第1試料および第2試料の両方を分注可能に第2プローブ72を移動させる。
【0060】
(D)移動制御部10は、第1プローブ71の状態が詰まりであるとの判別結果に基づき、第1移動機構9Aを制御して、第1プローブ71を第1洗浄位置WP1に移動させる。ポンプ76が作動されることにより、第1洗浄位置WP1に移動された第1プローブ71に対し液体が供給/排出される。それにより、第1プローブ71が第1洗浄位置WP1で洗浄される。
【0061】
(E)第1プローブ71が第1洗浄位置WP1で洗浄された後、移動制御部10は、第1プローブ71の状態が詰まりのない正常状態であり、かつ、分注対象が第1試料であるとの判別結果に基づき、テーブルを参照して、第1移動機構9Aを制御して、第1プローブ71を第1軌跡L1に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。なお、このとき、移動制御部10が第2移動機構9Bを制御して、第2プローブ72を第1吸引位置AP1および第1吐出位置DP1を除く第2軌跡L2上の位置に移動させることはいうまでもない。
【0062】
なお、以上の説明では、第1プローブ71を移動させることについて主に説明し、第2プローブ72については、第1プローブ71との関係において移動させることとした。しかし、逆の態様についても、同様である。以下、その説明をする。
【0063】
(F)移動制御部10は、第1プローブ71が正常状態であり、第2プローブ72が異常状態であり、かつ、分注対象が第1試料および第2試料であるとの判別結果(
図7に(f)で示す)に基づき、テーブルを参照して、第1移動機構9Aを制御して、第1プローブ71を第1軌跡L1に沿って第2吸引位置AP2と第2吐出位置DP2との間を移動させる。それにより、第1プローブ71は、ラックサンプラ6によって第2吸引位置AP2に搬送された試料容器61から第2試料を吸引し、第2吐出位置DP2に搬送された反応容器51に第2試料を吐出する。つまり、第2プローブ72に代わって第1プローブ71が第2試料の分注に用いられることにより、すなわち、第1プローブ71が第2プローブ72を補完することにより、第2試料の分注を停止させることなく、継続させることが可能となる。つまり、(C)および(F)からわかるように、移動制御部10は、第1プローブ71と第2プローブ72とが互いに補完し合うように第1移動機構9Aおよび第2移動機構9Bを制御する。
【0064】
さらに、移動制御部10は、第1移動機構9Aを制御して、第1プローブ71を第1軌跡L1に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。つまり、第1移動機構9Aは、第1試料および第2試料の両方を分注可能に第1プローブ71を移動させる。
【0065】
(G)移動制御部10は、第2プローブ72の状態が詰まりであるとの判別結果に基づき、第2移動機構9Bを制御して、第2プローブ72を第2洗浄位置WP2に移動させる。ポンプ76が作動されることにより、第2洗浄位置WP2に移動された第2プローブ72に対し液体が供給/排出される。それにより、第2プローブ72が第2洗浄位置WP2で洗浄される。
【0066】
(H)第2プローブ72が第2洗浄位置WP2で洗浄された後、移動制御部10は、第2プローブ72の状態が詰まりのない正常状態であり、かつ、分注対象が第2試料であるとの判別結果に基づき、テーブルを参照して、第2移動機構9Bを制御して、第2プローブ72を第2軌跡L2に沿って第2吸引位置AP2と第2吐出位置DP2との間を移動させる。なお、このとき、移動制御部10が第1移動機構9Aを制御して、第1プローブ71を第2吸引位置AP2および第2吐出位置DP2を除く第1軌跡L1上の位置に移動させることはいうまでもない。
【0067】
(動作)
以上に、第1実施形態に係る自動分析装置の構成を簡単に説明した。
次に、自動分析装置の動作について
図10を参照して説明する。
図10は、試料分注の指示を受けてから試料分注が実行されるまでの一連の動作を示すフローチャートである。なお、ここでは、第1試料または第2試料のいずれか一方の分注対象が制御部12から移動制御部10に送られるものとする。
【0068】
(分注対象の判別:S101)
図10に示すように、移動制御部10は、分注対象が第1試料であるかどうかを判別する。
【0069】
(第1試料の分注:S102)
移動制御部10は、分注対象が第1試料であると判別したとき(S101:Yes)、第1移動機構9Aおよび第2移動機構9Bを制御して第1試料の分注を実行する。
【0070】
(第2試料の分注:S103)
移動制御部10は、分注対象が第1試料でない、つまり、第2試料であると判別したとき(S101:No)、第1移動機構9Aおよび第2移動機構9Bを制御して第2試料の分注を実行する。
【0071】
次に、
図11を参照して説明する。
図11は、試料の分注における一連の動作を示すフローチャートである。なお、ここでは、分注対象を第1試料とする。
【0072】
(プローブの状態の判別:S201)
移動制御部10は、第1検知手段81および第2検知手段82により検出された結果を受けて、第1プローブ71および第2プローブ72の状態を予め判別する。
【0073】
(第1プローブ71による分注:S202)
移動制御部10は、第1プローブ71が正常状態であり、かつ、分注対象が第1試料であるとの判別結果(S201:No)に基づき、テーブルを参照して、第1移動機構9Aを制御し、第1プローブ71を第1軌跡L1に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。それにより、第1プローブ71による第1試料の分注が実行される。
【0074】
(第1プローブ71の洗浄:S203)
移動制御部10は、第1プローブ71が異常状態であり、かつ、分注対象が第1試料であるとの判別結果(S201:Yes)に基づき、テーブルを参照して、第1移動機構9Aを制御し、第1プローブ71を第1洗浄位置WP1に移動させる。それにより、第1プローブ71が洗浄される。
【0075】
(第2プローブ72による分注:S204)
次に、移動制御部10は第2移動機構9Bを制御して、第2プローブ72を第2軌跡L2に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。それにより、第1プローブ71に代えて、第2プローブ72による第1試料の分注が実行される。
【0076】
なお、以上の説明では、第1プローブ71を移動させることについて主に説明し、第2プローブ72については、第1プローブ71との関係において移動させることとした。しかし、逆の態様についても、同様であることはいうまでもない。
【0077】
次に、試薬の分注、試料/試薬の攪拌、反応液の測定、および、反応容器51の洗浄/乾燥の各動作について説明する。
【0078】
(試薬分注)
第1試薬分注プローブは、第1試薬庫2の試薬ラック1の回動によって規定の吸引位置に搬送された試薬容器4から第1試薬を吸引し、第1吐出位置DP1に搬送された反応容器51に第1試薬を吐出する。
【0079】
第2試薬分注プローブは、第2試薬庫3の試薬ラック1の回動によって規定の吸引位置に搬送された試薬容器4から第2試薬を吸引し、第2吐出位置DP2に搬送された反応容器51に第2試薬を吐出する。
【0080】
(攪拌)
攪拌ユニットは、1サイクル毎に、攪拌位置に停止した反応容器51内における試料(第1試料、第2試料)及び試薬(第1試薬、第2試薬)の反応液を攪拌する。
【0081】
(測定)
測光ユニットは、反応液を測光位置から測定する。測光ユニットは、反応液の吸光度を測定した後、その測定結果データをデータ処理部(図示しない)に出力する。データ処理部は、吸光度から検量線に基づいて反応液の濃度を求める。それにより、反応液の成分を測定することが可能となる。
【0082】
(洗浄、乾燥)
洗浄/乾燥ユニットは、洗浄/乾燥位置に停止した反応容器51内の測定を終えた反応液を吸引すると共に、反応容器51内を洗浄/乾燥する。
【0083】
<変形例1>
次に、第1実施形態の変形例に係る自動分析装置について、
図1および
図12を参照して説明する。なお、変形例1において、第1実施形態と同じ構成については同一番号を付してその説明を省略し、異なる構成について主に説明する。
【0084】
上記の第1実施形態では、第1試料を主に分注するための第1プローブ71と第2試料を主に分注するための第2プローブ72とが互いに補完し合うように構成される。それにより、例えば、分注対象が第1試料のとき、第1プローブ71が異常状態であっても、第1プローブ71の代わりに第2プローブ72が用いられることにより、第1試料の分注を停止させず、継続させることが可能となった。反対に、分注対象が第2試料のとき、第2プローブ72が異常状態であっても、第2プローブ72の代わりに第1プローブ71が用いられることにより、第2試料の分注を停止させず、継続させることが可能となった。
【0085】
これに対し、変形例1では、一方のプローブを他方のプローブが補完するように構成する。以下に、第1プローブ71を第2プローブ72が補完する構成を代表して説明する。
【0086】
第1移動機構9Aは、第1プローブ71を第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を第1軌跡L1に沿って移動させるように構成される。
図12に、第1吸引位置AP1〜第1洗浄位置WP1〜第1吐出位置DP1を経路とする第1軌跡L1を示す。つまり、第2プローブ72により第1試料の分注のみが可能であり、第2プローブ72に代えて第1プローブ71により第2試料の分注ができない。
【0087】
これに対し、第2移動機構9Bは、第2プローブ72を、第2軌跡L2の一端に配置された第1吸引位置AP1と第2軌跡L2の他端に配置された第1吐出位置DP1との間を移動させるように構成される。
図12は、変形例に係る第1軌跡L1および第2軌跡L2を示す図である。
図12に、第1吸引位置AP1〜第2吸引位置AP2〜第2洗浄位置WP2〜第2吐出位置DP2〜第1吐出位置DP1を経路とする第2軌跡L2を示す。それにより、第1プローブ71に代えて第2プローブ72により第1試料の分注が可能となる。なお、第2プローブ72により第2試料の分注が可能であることはいうまでもない。
【0088】
移動制御部10は、第1プローブ71が異常状態であり、かつ、分注対象が第1試料であるとの判別結果に基づき、テーブルを参照して、第2移動機構9Bを制御して、第2プローブ72を第2軌跡L2に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。それにより、第2プローブ72は、ラックサンプラ6によって第1吸引位置AP1に搬送された試料容器61から第1試料を吸引し、第1吐出位置DP1に搬送された反応容器51に第1試料を吐出する。つまり、第1プローブ71が異常状態であっても、第1試料の分注が継続される。
【0089】
なお、第1実施形態では、第1吸引位置AP1と第2吸引位置AP2とが別の位置に配置されたものを示した。それにより、1試料(検体)1項目の場合であって、かつ、ラックサンプラ6に載せられた試料数が偶数の場合、試料を分注するときに必要となる時間を短縮化する(例えば、約半分になる)ことが可能となる。
【0090】
また、第1実施形態では、第1軌跡L1の一端において第1吸引位置AP1より端に第2吸引位置AP2が配置され、第2軌跡L2の一端において第2吸引位置AP2より端に第1吸引位置AP1が配置されたものを示した。これに限らず、第1吸引位置AP1と第2吸引位置AP2とが同じ位置に配置されてもよい。
【0091】
第1実施形態において、第1吸引位置AP1と第2吸引位置AP2との間の距離を縮めていくと、最終的には、第1吸引位置AP1と第2吸引位置AP2とが同じ位置に配置されることになる。つまり、第1軌跡L1の端および第2軌跡L2の端に共有の吸引位置が配置されることになる。このとき、第1軌跡L1の経路は、共有の吸引位置〜第1洗浄位置WP1〜第1吐出位置DP1〜第2吐出位置DP2となる。第2軌跡L2の経路は、共有の吸引位置〜第2洗浄位置WP2〜第2吐出位置DP2〜第1吐出位置DP1となる。第1吸引位置AP1と第2吸引位置AP2とが同じ位置に配置される場合、1試料(検体)を2本のプローブで分注するため、分注に要する時間が短縮される。
【0092】
<第2実施形態>
次に、自動分析装置の第2実施形態について
図13〜
図17を参照して説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成については同一番号を付してその説明を省略し、異なる構成について主に説明する。
【0093】
上記の第1実施形態では、第1試料を主に分注するための第1プローブ71と第2試料を主に分注するための第2プローブ72とが互いに補完し合うように構成された。
さらに、変形例1では、一方のプローブを他方のプローブが補完されるように構成された。しかし、いずれも、補完用のプローブが主に自己の試料を分注可能なものであった。
【0094】
これに対し、第2実施形態では、一方のプローブを他方のプローブが補完するように構成されるが、他方のプローブが自己の試料を分注せず、それが補完する対象の試料のみを分注可能に構成する。以下に、第1プローブ71を第2プローブ72が補完する構成を代表して説明する。
【0095】
図13は、自動分析装置を概念的に示す平面図である。
図13に、第1吸引位置を“AP1”の符号で示す。さらに、第1吐出位置を“DP1”の符号で示す。さらに、第1軌跡L1において、第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間から外れた位置に配置された第1洗浄位置を“WP1”の符号で示す。さらに、第2軌跡L2において、第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間から外れた位置に配置された第2洗浄位置を“WP2”の符号で示す。
【0096】
(第1検知手段81)
図14は、自動分析装置の一部構成を示すブロック図である。
図14に示すように、第1検知手段81は第1プローブ71の詰まりを含む異常状態を検出する。第1検知手段81により検出された結果が移動制御部10に送られる。移動制御部10は、検出結果と参照値(許容範囲)とを比較することにより、検出結果が許容範囲を超えたとき、第1プローブ71の詰まりを判別する。判別されたプローブの状態は、移動制御部10の記憶部13(
図14参照)に記憶される。
【0097】
(プローブの状態の報知)
図15は、表示部11に表示されたプローブの状態の一例を示す図である。
図15にプローブが正常状態であることを“正常”の文字で示し、プローブが異常状態であることを“異常”の文字で示す。表示部11は、記憶部13に記憶されたプローブの状態を白黒の反転で表す。
図15に示すように、白黒の反転で“異常”の文字が表示部11に表示されることにより、第1プローブ71が異常状態であることが報知される。
【0098】
(第1移動機構9A、第2移動機構9B、移動制御部10)
図14に示すように、第1移動機構9Aは、動力部91および動力伝達部93を有する。同様に、第2移動機構9Bは、動力部91および動力伝達部93を有する。
図16は、プローブの状態(
図15参照)および分注対象(ここでは、第1試料)と、そのとき用いられるプローブとの関係づけを表すテーブルの図である。
移動制御部10は、記憶部13に記憶されたプローブの状態および分注対象に基づき、
図16に示すテーブルを参照して、移動対象となるプローブを駆動するための駆動信号を生成し、駆動信号を動力部91に送る。
【0099】
(プローブと移動機構との関係)
第1移動機構9Aは、第1プローブ71をアーム73を介して第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を第1垂直軸S1回りの第1軌跡L1に沿って移動させるように構成される。
【0100】
図17は、第1軌跡L1および第2軌跡L2を示す図である。
図17に、第1洗浄位置WP1〜第1吸引位置AP1〜第1吐出位置DP1を経路とする第1軌跡L1を示す。つまり、第1移動機構9Aは、第1プローブ71を、第1軌跡L1の一端に配置された第1洗浄位置WP1と第1軌跡L1の他端に配置された第1吐出位置DP1との間を移動させるように構成される。
【0101】
第2移動機構9Bは、第2プローブ72をアーム74を介して第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を第2垂直軸S2回りの第2軌跡L2に沿って移動させるように構成される。
図17に、第2洗浄位置WP2〜第1吐出位置DP1〜第1吸引位置AP1を経路とする第2軌跡L2を示す。つまり、第2移動機構9Bは、第2プローブ72を、第2軌跡L2の一端に配置された第2洗浄位置WP2と第2軌跡L2の他端に配置された第1吸引位置AP1との間を移動させるように構成される。それにより、第1プローブ71に代えて第2プローブ72により第1試料の分注が可能となる。
【0102】
次に、移動制御部10および移動機構によりプローブがどのように移動されるかについて
図16を参照して説明する。
【0103】
なお、移動制御部10には、制御部12から分注対象としての試料の情報が送られる。さらに、移動制御部10には、第1検知手段81から第1プローブ71の状態が送られる。移動制御部10は、第1プローブ71の状態および分注対象(ここでは、第1試料)を判別する。移動制御部10は、判別結果に基づいて移動機構を制御するものとする。
【0104】
(I)移動制御部10は、第1プローブ71が正常状態であり、かつ、分注対象が第1試料であるとの判別結果(
図16に(i)で示す)に基づき、テーブルを参照して、第1移動機構9Aを制御して、第1プローブ71を第1軌跡L1に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。それにより、第1プローブ71は、ラックサンプラ6によって第1吸引位置AP1に搬送された試料容器61から第1試料を吸引し、第1吐出位置DP1に搬送された反応容器51に第1試料を吐出する。つまり、第1試料の分注が実行される。
【0105】
(J)移動制御部10は、第1プローブ71が異常状態であり、かつ、分注対象が第1試料であるとの判別結果(
図16に(j)で示す)に基づき、テーブルを参照して、第2移動機構9Bを制御して、第2プローブ72を第2軌跡L2に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。それにより、第2プローブ72は、ラックサンプラ6によって第1吸引位置AP1に搬送された試料容器61から第1試料を吸引し、第1吐出位置DP1に搬送された反応容器51に第1試料を吐出する。つまり、第1プローブ71に代わって第2プローブ72が第1試料の分注に用いられることにより、すなわち、第2プローブ72が第1プローブ71を補完することにより、第1試料の分注を停止させることなく、継続させることが可能となる。
【0106】
(K)移動制御部10は、第1プローブ71の状態が詰まりであるとの判別結果に基づき、第1移動機構9Aを制御して、第1プローブ71を第1洗浄位置WP1に移動させる。ポンプ76が作動されることにより、第1洗浄位置WP1に移動された第1プローブ71に対し液体が供給/排出される。それにより、第1プローブ71が第1洗浄位置WP1で洗浄される。
【0107】
(L)第1プローブ71が第1洗浄位置WP1で洗浄された後、移動制御部10は、第1プローブ71の状態が詰まりのない正常状態であり、かつ、分注対象が第1試料であるとの判別結果に基づき、テーブルを参照して、第1移動機構9Aを制御して、第1プローブ71を第1軌跡L1に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。なお、このとき、移動制御部10が第2移動機構9Bを制御して、第2プローブ72を第1吸引位置AP1および第1吐出位置DP1を除く第2軌跡L2上の位置(例えば、第2洗浄位置WP2)に移動させることはいうまでもない。
【0108】
(動作)
次に、第2実施形態に係る自動分析装置の動作について
図11を参照して説明する。
【0109】
(プローブの状態の判別:S201)
図11に示すように、移動制御部10は、第1検知手段81により検出された結果を受けて、第1プローブ71の状態を予め判別する。
【0110】
(第1プローブ71による分注:S202)
移動制御部10は、第1プローブ71が正常状態であり、かつ、分注対象が第1試料であるとの判別結果(S201:No)に基づき、テーブルを参照して、第1移動機構9Aを制御し、第1プローブ71を第1軌跡L1に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。それにより、第1プローブ71による第1試料の分注が実行される。
【0111】
(第1プローブ71の洗浄:S203)
移動制御部10は、第1プローブ71が異常状態であり、かつ、分注対象が第1試料であるとの判別結果(S201:Yes)に基づき、テーブルを参照して、第1移動機構9Aを制御し、第1プローブ71を第1洗浄位置WP1に移動させる。それにより、第1プローブ71が洗浄される。
【0112】
(第2プローブ72による分注:S204)
次に、移動制御部10は第2移動機構9Bを制御して、第2プローブ72を第2軌跡L2に沿って第1吸引位置AP1と第1吐出位置DP1との間を移動させる。それにより、第1プローブ71に代えて、第2プローブ72による第1試料の分注が実行される。
【0113】
前記実施形態では、一方のプローブを他方のプローブが補完するときの条件として、一方のプローブが異常状態であることを挙げたが、補完条件はこれに限定されない。例えば、一方のプローブの状態を点検するとき、一方のプローブを洗浄(異常時の洗浄を除く)するとき、一方のプローブが実動しているとき、他方のプローブが空き時間であるとき(他方のプローブが分注対象とする試料の分注指示がないとき)、などを補完条件としてもよい。これらの補完条件は、制御部12の記憶部に記憶される。制御部12は、制御情報を移動制御部10に送る。移動制御部10は、制御情報に基づいて移動機構を制御する。
【0114】
なお、この実施形態では、第1垂直軸S1と第2垂直軸S2とは、異なる位置に配置されたが、同一位置に配置されてもよい。同一位置に配置されることで、第1垂直軸S1および第2垂直軸S2の取付スペースが狭くなり、装置全体の小型化に寄与する。
【0115】
臨床検査装置としては、例えば、自動分析装置や血液ガス分析装置や電気泳動装置や液体クロマトグラフィー装置などの臨床化学分析機器、ラジオイムノアッセイ装置などの核医学機器、ラテックス凝集反応測定装置やネフェロメータなどの免疫血清検査機器、自動血球計数装置、血液凝固測定装置などの血液検査機器、微生物分類同定装置や血液培養検査装置やDNA・RNA測定装置などの細菌検査機器、尿分析装置や便潜血測定装置などの尿検査機器、自動組織細胞染色装置などの病理検査機器、生理機能検査機器、マイクロピペットや洗浄装置分注装置や遠心分離装置などのその他の臨床検査機器等が挙げられる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。