特許第6521570号(P6521570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6521570-固定された線路を備える差込みコネクタ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6521570
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】固定された線路を備える差込みコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/59 20110101AFI20190520BHJP
   H01R 4/18 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   H01R12/59
   H01R4/18 Z
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-82761(P2014-82761)
(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2014-207233(P2014-207233A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2017年4月14日
(31)【優先権主張番号】10 2013 206 558.2
(32)【優先日】2013年4月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ザウア
(72)【発明者】
【氏名】マークス ルクス
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−076795(JP,A)
【文献】 特開2004−356032(JP,A)
【文献】 特開平10−228939(JP,A)
【文献】 特開2001−345137(JP,A)
【文献】 実開昭53−063586(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00−12/91
H01R24/00−24/86
H01R13/40−13/533
H01R 4/00− 4/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性の材料から製造されているコンタクトキャリア(12)と、
該コンタクトキャリア(12)に機械的に結合されているコンタクトエレメント(14)と、
該コンタクトエレメント(14)に電気接続されている導電体(20)及び該導電体(20)を取り囲む絶縁部(22)を有し、前記コンタクトキャリア(12)に機械的に結合されている線路(18)と、を備える、差込みコネクタ(10)であって、
前記差込みコネクタ(10)は固定エレメント(30)を有し、該固定エレメント(30)内に、前記導電体(20)が前記絶縁部(22)によって取り囲まれていない前記線路(18)の非絶縁領域(26)が収容されていて、前記固定エレメント(30)は前記導電体(20)を前記コンタクトキャリア(12)に固定し、
前記固定エレメント(30)は、前記導電体(20)の前記非絶縁領域(26)を取り囲んで挟み込むクランプエレメント(32)であって、前記コンタクトキャリア(12)と一体に形成されたクランプエレメント(32)を有し、
前記線路(18)の導電体(20)は、別個のフレキシブルな導体エレメント(28)を介して前記コンタクトエレメント(14)に接続されていることを特徴とする、差込みコネクタ。
【請求項2】
前記固定エレメント(30)は、前記非絶縁領域(26)との摩擦結合式の接続部(36)をもたらすように構成されている、請求項1記載の差込みコネクタ。
【請求項3】
前記固定エレメント(30)は、前記非絶縁領域(26)との形状結合式の接続部(34)をもたらすように構成されている、請求項1又は2記載の差込みコネクタ。
【請求項4】
前記非絶縁領域(26)は前記線路(18)の非絶縁端部(24)である、請求項1から3までのいずれか1項記載の差込みコネクタ。
【請求項5】
前記コンタクトキャリア(12)は、複数の前記コンタクトエレメント(14)と、複数の対応配置された電気的な前記線路(18)とを含み、該線路(18)の導電体(20)はそれぞれ、前記各対応配置された電気的な線路(18)の前記絶縁部(22)が除去された領域(26)において、前記固定エレメント(30)でもって前記コンタクトキャリア(12)に接続されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の差込みコネクタ。
【請求項6】
前記導電体(20)は素線束を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の差込みコネクタ。
【請求項7】
前記コンタクトエレメント(14)は、ピン(16)を収容するように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の差込みコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばケーブルハーネスを電気的な機器に接続することができる、差込みコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
差込みコネクタは、例えば1つ又は複数の電気的な線路を含むことができ、電気的な線路の導電体はそれぞれ、コンタクトエレメント、例えばピン収容部に導電接続されている。コンタクトエレメントは、対応する補完的なコンタクトエレメント、例えばピンに差し込むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
差込みコネクタは、運転中に高い振動で負荷をかけられる。線路は、この振動負荷に基づいて運動し、この運動を直接的に接合されたコンタクトに伝達することがある。このことは、ピンとコンタクトとの間での相対運動に繋がることがあり、これによりやはり磨耗、ひいては伝達抵抗の増大が引き起こされる。このことは、差込みコネクタの早期の故障に繋がることがある。
【0004】
磨耗をもたらす線路運動を減じるための可能な手段は、線路を差込みコネクタ内/差込みコネクタに接して又は差込みコネクタの外側(同じ振動レベル)に固定することである。固定は、ケーブル絶縁部において行われる。しかし線路の絶縁部だけが固定されるので、ケーブルコア、つまり導体は、絶縁部に対して相対的にさらに運動することがある。導体の運動は、コンタクトエレメントに伝わることがある。このことはさらに、ピンとコンタクトとの間の相対運動、ひいては早期の磨耗に繋がることがある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、磨耗の少ない差込みコネクタ或いは自由コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、独立請求項の対象により、つまり、コンタクトエレメントを備えたコンタクトキャリアであって、コンタクトエレメントと機械的に結合されている、コンタクトキャリアと、線路であって、コンタクトエレメントに電気接続されている導電体及びこの導電体を取り囲む絶縁部を備えた線路とを有し、線路はコンタクトキャリアに機械的に結合されている、差込みコネクタであって、差込みコネクタは固定エレメントを有し、この固定エレメント内に、導電体が絶縁部によって取り囲まれていない線路の非絶縁領域が収容されていて、固定エレメントは導電体をコンタクトキャリアに固定することにより達成される。
【0007】
本発明の別の構成は、従属請求項及び以下の記載から明らかである。
【0008】
好ましくは、固定エレメントは、非絶縁領域との摩擦結合式の接続部をもたらすように構成されている。
【0009】
好ましくは、固定エレメントは非絶縁領域との形状結合式の接続部をもたらすように構成されている。
【0010】
好ましくは、固定エレメントはクランプエレメントを有する。
【0011】
好ましくは、非絶縁領域は線路の非絶縁端部である。
【0012】
好ましくは、線路の導電体は、別個の導体エレメントを介してコンタクトエレメントに接続されている。
【0013】
好ましくは、導体エレメントは、非絶縁領域に接続されていて、固定エレメントは、導体エレメントを非絶縁領域と一緒に、コンタクトキャリアに固定する。
【0014】
好ましくは、コンタクトキャリアは、複数の前記コンタクトエレメントと、複数の対応配置された電気的な線路と、を有し、この線路の導電体は、各対応配置されている電気的な線路のストリッピングされた領域においてそれぞれ1つの固定エレメントで、コンタクトキャリアに接続されている。
【0015】
好ましくは、導電体は、素線束を有する。
【0016】
好ましくは、コンタクトエレメントは、ピンを収容するように構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、ケーブルハーネスを電気的な機器へ接続するための、差込みコネクタ、例えばプラグに関する。電気的な機器は、例えば車両の装置又は制御機器であってよい。
【0018】
本発明の構成によれば、差込みコネクタは、コンタクトエレメントを有するコンタクトキャリアを備える。コンタクトエレメントはコンタクトキャリアに機械的に結合されている。さらに差込みコネクタは、コンタクトエレメントに電気接続されている導電体と、この導電体を取り囲む絶縁部とを備える線路を有する。この線路は、差込みコネクタが固定エレメントを有することにより、コンタクトキャリアに機械的に結合されている。固定エレメント内には、導電体が絶縁部によって取り囲まれていない線路の非絶縁領域が収容されているので、固定エレメントは導電体を、コンタクトキャリアに機械的に固定する。
【0019】
換言すれば、線路の導電体は、直接的にコンタクトキャリアに(及び間接的に絶縁部を介さずに)接続されている。こうして、線路又はケーブルを、線路運動がコンタクトエレメントに作用しないように固定することができる。
【0020】
導体とコンタクトキャリアとの間の直接的な機械的接触により、コンタクトエレメントにおける線路運動又は導体運動を防ぐことができるか又は少なくとも抑制することができる。したがって導体運動は抑えられ、コンタクトキャリアを介して導出される。これにより、コンタクトエレメントは静止し続ける。コンタクトエレメントとピンとの間に相対運動は発生しないので、磨耗は生じない。
【0021】
この線路固定でもって、差込みコネクタの耐振性を高めることができる。振動負荷に対する差込みコネクタの耐磨耗性が高まる。これにより、差込みコネクタの耐用年数は高まるか、又は差込みコネクタは、同じ耐用年数において、高い振動要求に対して使用することができる。
【0022】
本発明の別の構成によれば、ストリッピングされた或いは絶縁部除去された領域で摩擦結合式の接続(reibschluessige Verbindung)がもたらされるように、固定エレメントは構成されている。例えば固定エレメントは、取り囲んで係合するように導体を挟み込む。固定エレメントは、導電体をコンタクトキャリアにおいてクランプする、1つ又は複数のクランプエレメントを有することができる。
【0023】
本発明のさらに別の構成によれば、ストリッピングされた領域との形状結合式の接続(formschluessige Verbindung)がもたらされるように、固定エレメントは構成されている。例えば導電体は、固定エレメントが係合する凹部を有することができる。
【0024】
本発明のさらに別の構成によれば、非絶縁領域は、線路の非絶縁端部である。一般的に線路の端部は、導電体をコンタクトエレメントに接続するために、ストリッピングされている。上記端部は、固定エレメントでもってコンタクトキャリアに固定することができる。
【0025】
本発明のさらに別の構成によれば、線路の導電体は、別個の導体エレメントを介してコンタクトエレメントに接続されている。導体エレメントは、他の線路、フレキシブルな導体エレメント、又は例えばアースストラップといった編組帯状部材(geflochtes Band)であってよい。
【0026】
本発明のさらに別の構成によれば、導体エレメントは非絶縁領域に結合されている。固定エレメントは、導体エレメントを非絶縁領域と一緒にコンタクトキャリアに固定することができる。例えば導体エレメント及び導電体は重畳することができ、一緒に固定エレメント内に挟み込まれていてよい。
【0027】
本発明のさらに別の構成によれば、コンタクトキャリアは、複数のコンタクトエレメントと、複数の対応配置されている電気的な線路とを含む。この電気的な線路の導電体はそれぞれ、固定エレメントでもって、各対応配置されている電気的な線路のストリッピングされた領域において、コンタクトキャリアに接続されている。差込みコネクタは、複数の電気的な接続を形成するように構成されていてよい。この構成において、複数の線路又は全ての線路が、固定エレメントにより、上述したように共通のコンタクトキャリアに固定されていてよい。
【0028】
本発明のさらに別の構成によれば、導電体は素線束を有する。ストリッピングされている素線を線路の絶縁された部分とコンタクトエレメントとの間で固定することができる。
【0029】
本発明のさらに別の構成によれば、コンタクトエレメントは、ピンを収容するように構成されている。コンタクトエレメントは、ピンを差し込むことができるピン収容部を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施の形態に基づく差込みコネクタの概略的な横断面を示す図である。
図2】本発明の別の実施の形態に基づく差込みコネクタの概略的な横断面を示す図である。
図3】本発明のさらに別の実施の形態に基づく差込みコネクタの概略的な横断面を示す図である。
【0031】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
基本的に同一又は類似の部品には、同じ符号を用いる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1及び図2に、コンタクトキャリア12を有する差込みコネクタ10を示す。コンタクトキャリア12にコンタクトエレメント14若しくはコンタクト14が取り付けられている。コンタクトキャリアは、例えばプラスチックといった非導電性の材料から製造されていてよい。
【0034】
導電性のコンタクトエレメント14は、ピン16に差し込まれ、このピン16を収容するために構成されているので、ピン16との電気接続がもたらされる。しかし、差込みコネクタは、コンタクトエレメント14の代わりに、対応するコンタクトエレメント内に差込み可能であるピンを有することができることを理解することができる。
【0035】
コンタクトキャリア12は、例えばプラグコネクタの構成部品であってよく、プラグコネクタにケーブルハーネスを、車両の装置又は制御機器において電気的に接続しかつ機械的に結合することができる。例えばピン16は、装置又は制御機器のハウジングに取り付けられていてよい。
【0036】
図1の差込みコネクタ10は、ピン16に対して90°だけ回動させられているケーブルアウトレットを有する。コンタクトエレメント14は、ケーブルランに対して横方向に延在する差込み方向を有する。
【0037】
この実施の形態とは異なり、図2の差込みコネクタ10は、ピン16に対して180°だけ回動させられているケーブルランを有する。コンタクトエレメント14は、ケーブルランに対して長手方向に延在している差込み方向を有する。
【0038】
さらに、差込みコネクタは電気的な線路18を有する。この電気的な線路18は、絶縁部22によって取り囲まれている導電体20を有する。この導電体20は、唯一の素線又は素線束を有することができる。導電体20は、アースストラップを含んでいてよい。電気的な線路18の端部24はストリッピングされているので、電気的な線路18は絶縁されていない非絶縁領域26を有する。
【0039】
コンタクトエレメント14は、線路18の導体20に直接的に電気接続されていてよいか、又は(フレキシブルな)導体エレメント28を介して導体20に電気接続されていてよい。
【0040】
差込みコネクタは、さらに固定エレメント30を有する。この固定エレメント30は、線路18の非絶縁領域26をコンタクトキャリア12に固定するか若しくは取り付けるために構成されている。固定エレメント30は、例えばクランプエレメント32を有することができる。このクランプエレメント32でもって、図1及び図2において矢印により示したように、領域26を挟み込むことができる。
【0041】
こうして、線路18の導体20は、コンタクトキャリアに直接的に固定されていて、フレキシブルなプラスチックから通常製造されている線路18の絶縁部22を介して単に間接的に固定されているだけではない。
【0042】
線路18は、付加的に絶縁部22の領域においてコンタクトキャリア12に固定若しくは取り付けられていてよい、ということが理解できる。
【0043】
図3に、固定エレメント30が、導体20との形状結合による接続部34又は摩擦結合による接続部36をもたらすことができることを示す。しかし通常、差込みコネクタ10は、同様に構成されている固定エレメント30を有することになる。
【0044】
さらに図3に、例えば編組帯状部材であってよい導体エレメント28を、導体20と一緒にコンタクトキャリアに固定することができる、ということを示す。例えば導体エレメント28及び導体20は、領域26において重畳し、この領域26において固定エレメントで互いに押圧される。
【0045】
「有する、含む」とは、他のいかなるエレメント又はステップを排除せず、単数、複数を排除しない、ということを補足的に言及しておく。さらに、上記実施の形態についての参照と共に記載された特徴又はステップは、他の上記実施の形態の他の特徴又はステップとの組合せにおいて使用することもできる。請求項における符号は、限定的なものとして見なされない。
【符号の説明】
【0046】
10 差込みコネクタ
12 コンタクトキャリア
14 コンタクトエレメント又はコンタクト
16 ピン
18 電気的な線路
20 導体、導電体
22 絶縁部
24 電気的な線路の端部
26 非絶縁領域
28 導体エレメント
30 固定エレメント
32 クランプエレメント
34 接続部
36 接続部
図1
図2
図3