【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年10月15日東京国際展示場(東京ビッグサイト)において開催されたJAPAN PACK 2013 日本国際包装機械展で公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コーナーシール部(ヘムシール部、縁部)付きの包装体(例えば、特許文献2参照)を製袋機(特許文献3又は特許文献4参照)で製造する場合、供給されるフィルムに対して、フィルム状態のままコーナーシール部を形成している。
【0007】
例えば特許文献3の製袋包装機では、折り襞を起立させた状態でフィルムに対してコーナーシール部を形成しているが、その下流に配置されたローラー等により、コーナーシール部は、いずれか一方のみに横倒しされて折り癖が付いてしまう。
【0008】
同様に、特許文献4の製袋包装機でコーナーシール部を形成した場合、折り襞を横倒しした状態でコーナーシール部を形成しているため、特許文献3の製袋包装機で形成したコーナーシール部よりも、強い折り癖が一方向に付いてしまう。
【0009】
コーナーシール部に折り癖が付いた状態のフィルムの例を
図9(A)に示す。このように、従来の製袋機では、フィルムに形成されるコーナーシール部が、一方向に強く横倒しされて折り癖が付く。従って、本出願時において未公知の課題であるが、このフィルムを筒状にして包装機で物品を包み込んでセンターシールを行うと、
図9(B)に示すように、コーナーシール部が、ガゼットが形成される側面に向かって倒れ込む(矢印参照)。
【0010】
図10に、このコーナーシール部付の筒状フィルムを用いて、包装機でトップシールを行う際のトップシール部近傍の変形過程を示す。
【0011】
図10(A)に示すように、筒状フィルムのコーナーシール部が、その強い折り癖によって、ガゼットが形成される側面に対して鋭角Aを成すように倒れ込む。この状態で
図10(B)に示すように、トップシーラーが筒状フィルムの上面に当接して更に挟み込もうとする。コーナーシール部は、トップシーラーの当接面に沿うように変形して水平状態になる(矢印参照)。コーナーシール部近傍には折り癖(角度A参照)が残存しているため、コーナーシール部が水平になると、近傍の側面フィルムが鋭角Aの折り癖につられるように外側に向かって湾曲する。
【0012】
次いで
図10(C)に示すように、トップシーラーが筒状フィルムを挟み込むと同時に、側面中央に折り目を付ける為に、両脇からガゼット爪を挿入する。このガゼット爪によって、筒状フィルムの側面中央のみが内側に向かって湾曲し、依然としてコーナーシール部近傍のフィルムは、外側に向かって湾曲しているため、トップシール時において、コーナーシール部近傍のフィルムが折り重なった皺状態のままトップシールされてしまう。本発明者らによれば、この事象は特に製品高さが高いもの(ガゼットの幅が大きいもの)の場合に顕著であることが明らかとなっている。
【0013】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、包装体の仕上がりを向上させることができるコーナーシール装置及び包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明は、帯状のフィルムに対し、その長手方向に連続する折り襞を形成後、同折り襞をヒートシールすることによってコーナーシール部を形成するコーナーシール部形成手段と、同コーナーシール部形成手段において、前記コーナーシール部を横倒しすることによって付けられた折り癖に抗して、前記コーナーシール部を反対方向に折り返す逆折手段と、を備えていることを特徴とする、コーナーシール装置である。
【0015】
(2)本発明はまた、帯状のフィルムに対し、その長手方向に連続する折り襞を形成し、同折り襞を横倒した状態で前記フィルムをヒートシールすることによって前記折り襞をヒートシールし、コーナーシール部を形成するコーナーシール部形成手段と、前記折り襞を横倒しの状態でヒートシールすることによって前記コーナーシール部に付された折り癖に抗して、前記コーナーシール部を反対方向に折り返す逆折手段と、を備えていることを特徴とする、コーナーシール装置である。
【0016】
上記(1)及び(2)に記載の本発明によれば、所定の方向の折り癖が付いたコーナーシール部に、反対の方向の折り癖を付けることができる。これにより、コーナーシール部が所定の方向に倒れることを防止することができる。ひいては、包装体の仕上がりを向上させることができる。
【0017】
(3)本発明はまた、前記逆折手段は、前記フィルムを表裏両面から挟み込む対のフィルム抑えからなることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載のコーナーシール装置である。
【0018】
(4)本発明はまた、前記対のフィルム抑えのうち、前記コーナーシール部に当接する前記フィルム抑えは、前記フィルムから離隔可能な可動式であることを特徴とする、上記(3)に記載のコーナーシール装置である。
【0019】
(5)本発明はまた、前記逆折手段の下流に、前記フィルムを掛け回すローラーを備えていることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のコーナーシール装置である。
【0020】
(6)本発明はまた、前記フィルムを供給するサプライ装置と、同サプライ装置から供給された前記フィルムに前記コーナーシール部を形成する上記(1)〜(5)のいずれかに記載のコーナーシール装置と、前記コーナーシール部が形成された前記フィルムを、幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置と、同製袋装置の下流において、筒状に形成された前記フィルムにセンターシールを施すセンターシール装置と、センターシールされた前記フィルムに対し、所定の間隔で幅方向にシールとカットを施すトップシール装置と、を備えていることを特徴とする、包装機である。
【0021】
(7)本発明はまた、前記コーナーシール装置は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のコーナーシール装置であり、前記逆折手段を前記製袋装置と前記トップシール装置の間に設けたことを特徴とする、上記(6)に記載の包装機である。
【0022】
このように、包装機によれば、所定の方向の折り癖が付いたコーナーシール部に、反対の方向の折り癖を付けることができる。これにより、コーナーシール部が所定の方向に倒れることを防止することができる。ひいては、包装体の仕上がりを向上させることができる。
【0023】
(8)ロール状に巻かれ、横倒しによって折り癖が付けられたコーナーシール部を有するフィルムを使用してコーナーシール部付きの包装体を製造する包装機において、前記フィルムを供給するサプライ装置と、同サプライ装置から供給された前記フィルムを、幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置と、同製袋装置の下流において、筒状に形成された前記フィルムにセンターシールを施すセンターシール装置と、センターシールされた前記フィルムに対し、所定の間隔で幅方向にシールとカットを施すトップシール装置と、前記サプライ装置から前記トップシール装置までの間に設けられ、前記コーナーシール部の前記折り癖に抗して、前記コーナーシール部を反対方向に折り返す逆折手段と、を備えていることを特徴とする、包装機である。
また、本発明は、帯状のフィルムを供給するサプライ装置と、前記サプライ装置から供給された前記フィルムにコーナーシール部を形成するコーナーシール装置と、前記コーナーシール部が形成された前記フィルムを、幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置と、前記製袋装置の下流において、筒状に形成された前記フィルムにセンターシールを施すセンターシール装置と、センターシールされた前記フィルムに対し、所定の間隔で幅方向にシールとカットを施すトップシール装置と、前記筒状に形成された前記フィルムの側面を折り込んでガゼットを形成するガゼット形成手段と、を備え、前記コーナーシール装置は、帯状の前記フィルムに対し、その長手方向に連続する折り襞を形成後、該折り襞をヒートシールすることによって前記コーナーシール部を形成するコーナーシール部形成手段と、前記コーナーシール部形成手段によって前記コーナーシール部を横倒しすることによって付けられた折り癖に抗して、該コーナーシール部を前記ガゼットが形成される側面方向とは反対方向に折り返す逆折手段と、を備えていることを特徴とする、包装機である。
また、本発明は、帯状のフィルムを供給するサプライ装置と、前記サプライ装置から供給された前記フィルムにコーナーシール部を形成するコーナーシール装置と、前記コーナーシール部が形成された前記フィルムを、幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置と、前記製袋装置の下流において、筒状に形成された前記フィルムにセンターシールを施すセンターシール装置と、センターシールされた前記フィルムに対し、所定の間隔で幅方向にシールとカットを施すトップシール装置と、前記筒状に形成された前記フィルムの側面を折り込んでガゼットを形成するガゼット形成手段と、を備え、前記コーナーシール装置は、帯状の前記フィルムに対し、その長手方向に連続する折り襞を形成し、同折り襞を横倒した状態で前記フィルムをヒートシールすることによって前記折り襞をヒートシールし、前記コーナーシール部を形成するコーナーシール部形成手段と、前記折り襞を横倒しの状態でヒートシールすることによって前記コーナーシール部に付された折り癖に抗して、該コーナーシール部を前記ガゼットが形成される側面方向とは反対方向に折り返す逆折手段と、を備えていることを特徴とする、包装機である。
また、本発明は、ロール状に巻かれ、横倒しによって折り癖が付けられたコーナーシール部を有するフィルムを使用してコーナーシール部付きの包装体を製造する包装機において、前記フィルムを供給するサプライ装置と、前記サプライ装置から供給された前記フィルムを、幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置と、前記製袋装置の下流において、筒状に形成された前記フィルムにセンターシールを施すセンターシール装置と、センターシールされた前記フィルムに対し、所定の間隔で幅方向にシールとカットを施すトップシール装置と、前記筒状に形成された前記フィルムの側面を折り込んでガゼットを形成するガゼット形成手段と、前記サプライ装置から前記トップシール装置までの間に設けられ、前記コーナーシール部の前記折り癖に抗して、該コーナーシール部を前記ガゼットが形成される側面方向とは反対方向に折り返す逆折手段と、を備えていることを特徴とする、包装機である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の上記(1)〜(5)に記載のコーナーシール装置、及び上記(6)〜(8)に記載の包装機によれば、包装体の仕上がりを向上させることができる。また、トップシール時において、コーナーシール部近傍のフィルムが折り重なってシールされてしまい、皺になることを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るコーナーシール包装機1の構成について説明する。
図1は、コーナーシール包装機1の概略図である。
図2は、逆折手段12の正面図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0027】
図1に示されるコーナーシール包装機1は、食品や日用品などの物品XA1をフィルムYA1で順次包装するラインで使用される。このコーナーシール包装機1は、物品供給装置2と、フィルム供給装置3と、包装機本体4と、制御ユニット(図示省略)と、などを備えている。
【0028】
これらコーナーシール包装機1の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。制御ユニットは、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0029】
物品供給装置2は、物品XA1を等間隔で搬送すると共に、当該物品XA1を下流の包装機本体4に順次搬送する。この物品供給装置2は、フィンガーコンベアから構成される。具体的に、物品供給装置2は、スリットを有する搬送面(符号省略)と、この搬送面上の物品XA1を側方からガイドするサイドガイド(図示省略)と、駆動用のスプロケット5と、従動用のスプロケット(図示省略)と、これらスプロケットに架け渡されて走行する環状のチェーン6と、このチェーン6に等間隔のピッチで取り付けられた複数のフィンガー7と、動力源となるサーボモーター(図示省略)と、などを備えている。
【0030】
駆動用のスプロケットは、サーボモーターの駆動によって回転する。従動用のスプロケット5は、チェーン6の走行によって、駆動用のスプロケットに連動して回転する。チェーン6は、駆動用のスプロケットの回転によって循環するように走行する。複数のフィンガー7は、スリットを介して搬送面の下方から上方に突出する。これら複数のフィンガー7は、チェーン6の走行によって、搬送面上を走行する。これにより、複数のフィンガー7は、搬送面上の物品XA1を押送して包装機本体4に送り出す。
【0031】
フィルム供給装置3は、帯状を呈するフィルムYA1にコーナーシール部(ヘムシール部)HE1〜HE4(
図3参照)を形成してから、当該フィルムYA1を下流の包装機本体4に連続して供給する。すなわち、フィルム供給装置3は、フィルムYA1を供給するサプライ装置として機能すると共に、同サプライ装置から供給されたフィルムYA1にコーナーシール部HE1〜HE4を形成するコーナーシール装置として機能する。
【0032】
ここで、
図3を用いて、コーナーシール部HE1〜HE4が形成されたフィルムYA1の構成について説明する。
図3は、コーナーシール部HE1〜HE4が形成されたフィルムYA1の裏面の斜視図である。
【0033】
図3に示されるように、フィルムYA1には、流れ方向に沿った複数(本実施形態では、4本)のコーナーシール部HE1〜HE4が、互いの間隔を空けるように形成されることになる。
【0034】
図1に戻って説明する。具体的に、フィルム供給装置3は、原反軸8と、サーボモーター(図示省略)と、ガイドローラー9と、コーナーシール部形成手段10と、ガイドローラー11a,11bと、逆折手段12a,12bと、ガイドローラー13a1,13a2,13bと、などを備えている。
【0035】
原反軸8は、原反ロールYB1を回転自在に保持する。この原反軸8は、サーボモーターに動力が与えられて回転し、保持している原反ロールYB1を回転させる。これにより、原反ロールYB1からフィルムYA1が繰り出される(引き伸ばされる)。ガイドローラー9は、原反ロールYB1から繰り出されたフィルムYA1をガイドしてコーナーシール部形成手段10に送り出す。
【0036】
コーナーシール部形成手段10は、ガイドローラー9を経由したフィルムYA1を、展開された状態で受け入れる。そして、コーナーシール部形成手段10は、展開されたフィルムYA1に、流れ方向(長手方向)に沿った複数(本実施形態では、4本)のコーナーシール部HE1〜HE4(
図3参照)を、同時に、互いに間隔を空けるように形成する。具体的に、コーナーシール部形成手段10は、帯状のフィルムYA1をその長手方向に連続するように少なくとも外三つ折りにして横倒しすることによって、所定の方向(
図5(B)における矢印の方向)の折り襞を形成後、同折り襞を横倒し状態でヒートシールすることによってコーナーシール部HE1〜HE4を形成する。すなわち、コーナーシール部形成手段10は、帯状のフィルムYA1をその長手方向に連続する折り襞を形成し、同折り襞を横倒した状態でフィルムYA1をヒートシールすることによって折り襞をヒートシールし、コーナーシール部HE1〜HE4を形成する。結果、
図3に示されるように、コーナーシール部HE1〜HE4は、所定の方向に倒れた状態となるように形成される。その後、コーナーシール部形成手段10は、コーナーシール部HE1〜HE4を形成したフィルムYA1を、ガイドローラー11a,11bに送り出す。
【0037】
ガイドローラー11a,11bは、コーナーシール部形成手段10から引き継いだフィルムYA1をガイドして逆折手段12aに送り出す。
【0038】
逆折手段12a,12bは、連続して設けられている。
図1及び
図2に示されるように、逆折手段12a,12bは、ガイドローラー11a,11bを経由したフィルムYA1を、コーナーシール部HE1〜HE4が所定の方向と反対の方向(
図5(C)における矢印の方向)に折り返された状態で受け入れる。なお、コーナーシール部HE1〜HE4が反対の方向に折り返された状態となっているためのフィルムYA1のセット方法は、追って詳述する。そして、逆折手段12a,12bは、受け入れたフィルムYA1のコーナーシール部HE1〜HE4に、コーナーシール部形成手段10において付けられた折り癖に抗して、反対方向の折り癖を付ける。すなわち、逆折手段12a,12bは、折り襞を横倒しの状態でヒートシールすることによってコーナーシール部HE1〜HE4に付された折り癖に抗して、コーナーシール部HE1〜HE4を反対方向に折り返す。具体的に、逆折手段12aは、フィルムYA1を表裏両面から挟み込むことで、反対の方向に折り返された状態のコーナーシール部HE1〜HE4の隣接する少なくとも2本(図示は2本のコーナーシール部HE2,HE3)を挟み込む対のフィルム抑え12a1,12a2を備えている。同様に、逆折手段12bは、対のフィルム抑え12b1,12b2を備えている。
【0039】
フィルム抑え12a1,12a2は、コーナーシール部HE1〜HE4の少なくとも2本を挟み込んで、反対の方向の折り癖を付ける。そして、逆折手段12aは、コーナーシール部HE1〜HE4の少なくとも2本に反対の方向の折り癖を付けたフィルムYA1を、ガイドローラー13a1,13a2を介して逆折手段12bに送り出す。
【0040】
フィルム抑え12b1,12b2は、コーナーシール部HE1〜HE4の少なくとも2本を挟み込んで、反対の方向の折り癖を付ける。そして、逆折手段12bは、コーナーシール部HE1〜HE4の少なくとも2本に反対の方向の折り癖を付けたフィルムYA1を、ガイドローラー13bに送り出す。
【0041】
なお、対のフィルム抑え12a1,12a2,12b1,12b2は、コーナーシール部HE1〜HE4の1本毎に設けられている。そして、フィルム抑え12a1,12a2,12b1,12b2は、センターシール部CE1から離れた、中央寄りの2本のコーナーシール部HE2,HE3に対応するように2対設けられていることが好ましい。この場合、包装体ZA1の上面側のコーナーシール部HE2,HE3に反対の方向の折り癖を付けることができる(
図4参照)。このように、包装体ZA1の底面側のコーナーシール部HE1,HE4は、逆折りしなくても良い。もちろん、フィルム抑え12a1,12a2,12b1,12b2は、コーナーシール部HE1〜HE4の本数に応じて、3対又は4対設けられていてもよい。
【0042】
また、対のフィルム抑え12a1,12a2,12b1,12b2のうち、コーナーシール部HE1〜HE4の側であって当該コーナーシール部HE1〜HE4に当接する下方のフィルム抑え12a2,12b2は、フィルムYA1(コーナーシール部HE1〜HE4)から離隔可能な可動式となっている。例えば、フィルム抑え12a2,12b2は、回動軸にL字型のプレートが取り付けられた構成であり、当該プレートが回動又は揺動可能となっている。フィルム抑え12a2,12b2をフィルムYA1から離隔させることで、フィルムYA1をセットすることができる。なお、本発明における逆折手段は、1対のフリーローラーであっても良い。
【0043】
フィルムYA1のセット方法は、例えば以下の手順になる。フィルム抑え12a2,12b2をフィルムYA1(コーナーシール部HE1〜HE4)に当接させない位置に回動又は揺動させる。コーナーシール部HE1〜HE4を手で折り曲げた状態(反対の方向に折り返した状態)にして、フィルム抑え12a2,12b2をフィルムYA1(コーナーシール部HE1〜HE4)に当接させる元の位置に戻す。これにより、コーナーシール部HE1〜HE4は、逆折手段12a,12bで受け入れる際に、反対の方向に折り返された状態になる。
【0044】
図1に戻って説明する。ガイドローラー13a1,13a2は逆折手段12aの下流に備えられ、ガイドローラー13bは逆折手段12bの下流に備えられている。これらガイドローラー13a1,13a2,13bは、逆折手段12a,12bから引き継いだフィルムYA1をガイドする。すなわち、ガイドローラー13a1,13a2,13bは、逆折手段12a,12bから引き継いだフィルムYA1を掛け回す。これにより、逆折手段12a,12bでコーナーシール部HE1〜HE4に付けられた反対の方向の折り癖が強められる。そして、ガイドローラー13a1,13a2は、コーナーシール部HE1〜HE4の折り癖を強めたフィルムYA1を、逆折手段12bに送り出す。ガイドローラー13bは、コーナーシール部HE1〜HE4の折り癖を強めたフィルムYA1を、包装機本体4に送り出す。
【0045】
なお、原反ロールYB1からフィルムYA1を繰り出す方法として、上述のような原反駆動式の方法を採用する代わりに、フィードローラーを別途設け、当該フィードローラーを動かしてフィルムYA1を引き出すフィードローラー駆動式の方法を採用してもよい。
【0046】
包装機本体4は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、フィルム供給装置3から供給されるフィルムYA1で包装する。具体的に、包装機本体4は、製袋器14と、ピンチローラー15と、センターシール装置16と、第一の搬送装置17と、上部抑え装置18と、トップシール装置(エンドシール装置)19と、第二の搬送装置20と、などを備えている。
【0047】
製袋器14は、フィルム供給装置3から供給されるフィルムYA1を、幅方向の両端縁が互いに重なるように筒状に製袋する。また、製袋器14は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、筒状に製袋されるフィルムYA1に供給する。これにより、物品XA1は、筒状に製袋されたフィルムYA1に包まれる。すなわち、製袋器14は、コーナーシール部HE1〜HE4が形成されたフィルムYA1を、幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置として機能する。
【0048】
ピンチローラー15は、互いに重なるフィルムYA1の両端縁(以下、センターシール部CE1(
図4参照)という。)を挟み込んで、当該センターシール部CE1に搬送力を付与する。
【0049】
センターシール装置16は、一対のバーシーラー16aと、プレスローラー16bと、を備えている。このセンターシール装置16は、一対のバーシーラー16aでセンターシール部を挟んで加熱する。そして、センターシール装置16は、加熱されたセンターシール部をプレスローラー16bで圧着してセンターシールする。すなわち、センターシール装置16は、製袋器14の下流において、筒状に形成されたフィルムYA1にセンターシールを施す。
【0050】
第一の搬送装置17は、センターシールされた筒状のフィルムYA1を、当該フィルムYA1に包まれた物品XA1と共に、搬送面(符号省略)に載せてトップシール装置19に向けて搬送する。この第一の搬送装置17は、トップシール装置19のボックスモーションに合わせて、搬送面を搬送方向に伸縮させる。
【0051】
上部抑え装置18は、第一の搬送装置17の上方に配置されており、第一の搬送装置17に搬送される物品XA1をフィルムYA1ごと上方から抑える。これにより、物品XA1は、水平状態を保持しながら搬送される。
【0052】
トップシール装置19は、上下一対のトップシーラー19a,19bを所定の軌跡で公転移動させる周知のボックスモーションにより、物品XA1の長さに応じたピッチ毎に、フィルムYA1の幅方向にトップシール(エンドシール、横シール)とカットを行う。これにより、包装体ZA1(
図4(A)及び
図4(B)参照)が製造される。すなわち、トップシール装置19は、センターシールされたフィルムYA1に対し、所定の間隔で幅方向にシールとカットを施す。なお、トップシール装置19の詳細は、例えば特開平09−286413号公報を参照されたい。そして、トップシール装置19は、回転式のトップシール装置でも良い。
【0053】
ここで、
図4(A)及び
図4(B)を用いて、包装体ZA1の構成について説明する。
図4(A)は、包装体ZA1を下方から視た外観斜視図である。
図4(B)は、包装体ZA1の断面図である。
【0054】
図4に示されるように、包装体ZA1の長手方向に沿った四つ角には、コーナーシール部HE1〜HE4が形成されている。そして、包装体ZA1の底面には、コーナーシール部HE1〜HE4と平行となるように、長手方向に沿った1本のセンターシール部CE1が形成されている。また、包装体ZA1の長手方向の両端には、短手方向に沿った一対のトップシール部TO1が形成されている。
【0055】
図1に戻って説明する。第二の搬送装置20は、包装体ZA1をトップシール装置19から引き継いで、搬送面20aに載せて搬送する。この第二の搬送装置20は、トップシール装置19のボックスモーションに合わせて、搬送面20aを搬送方向に伸縮させる。
【0056】
次に、
図5(A)〜
図5(C)を用いて、フィルムYA1にコーナーシール部HE1〜HE4が形成される過程を説明する。
図5(A)〜
図5(C)は、コーナーシール部HE1〜HE4が形成される過程を説明する。
【0057】
図5(A)に示されるように、フィルムYA1は、原反ロールYB1(
図1参照)から繰り出され、展開された状態になる。
【0058】
そして、展開された状態のフィルムYA1は、コーナーシール部形成手段10(
図1参照)に送られる。
図5(B)に示されるように、フィルムYA1には、所定の方向(矢印の方向)に折り癖が付くように複数(本実施形態では、4本)のコーナーシール部HE1〜HE4が形成される。
【0059】
その後、コーナーシール部HE1〜HE4が形成されたフィルムYA1は、逆折手段12a,12b(
図1及び
図2参照)に送られる。
図5(C)に示されるように、フィルムYA1には、反対の方向(矢印の方向)に折り癖が付けられる。
【0060】
以上説明したように、(1)本実施形態に係るコーナーシール包装機1は、帯状のフィルムYA1に対し、その長手方向に連続する折り襞を形成後、同折り襞をヒートシールすることによってコーナーシール部HE1〜HE4を形成するコーナーシール部形成手段10と、同コーナーシール部形成手段10において、前記コーナーシール部HE1〜HE4を横倒しすることによって付けられた折り癖に抗して、前記コーナーシール部HE1〜HE4を反対方向に折り返す逆折手段12a,12bと、を備えていることを特徴とする、コーナーシール装置である。
【0061】
あるいは、(2)本実施形態に係るコーナーシール包装機1は、帯状のフィルムYA1に対し、その長手方向に連続する折り襞を形成し、同折り襞を横倒した状態で前記フィルムをヒートシールすることによって前記折り襞をヒートシールし、コーナーシール部を形成するコーナーシール部形成手段と、前記折り襞を横倒しの状態でヒートシールすることによって前記コーナーシール部に付された折り癖に抗して、前記コーナーシール部を反対方向に折り返す逆折手段と、を備えていることを特徴とする、コーナーシール装置である。
【0062】
そして、(3)本実施形態に係るコーナーシール包装機1において、前記逆折手段12a,12bは、前記フィルムYA1を表裏両面から挟み込む対のフィルム抑え12a1,12a2,12b1,12b2からなることを特徴とする、コーナーシール装置である。
【0063】
また、(4)本実施形態に係るコーナーシール包装機1において、前記対のフィルム抑え12a1,12a2,12b1,12b2のうち、前記コーナーシール部HE1〜HE4に当接する前記フィルム抑え12a2,12b2は、前記フィルムYA1から離隔可能な可動式であることを特徴とする、コーナーシール装置である。
【0064】
さらに、(5)本実施形態に係るコーナーシール包装機1は、前記逆折手段12a、12bの下流に、前記フィルムYA1を掛け回すローラー(ガイドローラー)13a1,13a2,13bを備えていることを特徴とする、コーナーシール装置である。
【0065】
そして、(6)本実施形態に係るコーナーシール包装機1は、前記フィルムYA1を供給するサプライ装置(フィルム供給装置)3と、同サプライ装置3から供給された前記フィルムYA1に前記コーナーシール部HE1〜HE4を形成する上記(1)〜(5)のいずれかに記載のコーナーシール装置と、前記コーナーシール部HE1〜HE4が形成された前記フィルムYA1を、幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置(製袋器)14と、同製袋装置14の下流において、筒状に形成された前記フィルムYA1にセンターシールを施すセンターシール装置16と、センターシールされた前記フィルムYA1に対し、所定の間隔で幅方向にシールとカットを施すトップシール装置19と、を備えることを特徴とする、包装機である。
【0066】
また、(7)本実施形態に係るコーナーシール包装機1において、前記コーナーシール装置は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のコーナーシール装置であり、前記逆折手段12a,12bを前記コーナーシール部形成手段10とトップシール装置19の間に設けたことを特徴とする、包装機である。
【0067】
このように、コーナーシール包装機1によれば、所定の方向(
図5(B)における矢印の方向)の折り癖が付いたコーナーシール部HE1〜HE4に、反対の方向(
図5(C)における矢印の方向)の折り癖を付けることができる。
【0068】
前工程でコーナーシール部HE1〜HE4に反対方向の折り癖を付けたフィルムYA1を筒状にして物品を収容し、更にセンターシールを行った後、トップシール装置19によってトップシールを行う際の筒状のフィルムYA1の変形過程を
図6示す。
図6(A)に示すように、フィルムYA1を筒状にすると、コーナーシール部HE1〜HE4が、ガゼットが形成される側面に対して鈍角Bを成す。これは、コーナーシール部形成手段10で形成されるコーナーシール部HE1〜HE4の折り癖に対して、逆折手段12a,12bで事前に反対方向の折り癖を付けているからである。
【0069】
図6(B)に示すように、トップシーラー19aが筒状フィルムの上面に当接して挟み込もうとすると、トップシーラー19aの当接面に沿うように、コーナーシール部HE1〜HE4が水平状態になる(矢印参照)。コーナーシール部HE1〜HE4の近傍は、コーナーシール部HE1〜HE4の逆折手段12a,12bにより形成された折り癖(角度B参照)が残存しているため、コーナーシール部HE1〜HE4が水平状態になると、近傍の側面フィルムが鈍角Bの折り癖を維持するように内側に向かって湾曲する。
【0070】
次いで
図6(C)に示すように、トップシーラー19a,19bが筒状フィルムを挟み込むと同時に、側面を折曲して折り込む為に、両脇からガゼット爪19sが挿入される。ガゼット爪19sが挿入される際に、予め、筒状のフィルムYA1の側面全体が内側に向かって湾曲しているので、トップシールに皺が発生することなく、美しいガゼットを形成できる。また、逆折手段12a,12bによってコーナーシール部HE1〜HE4に形成された折り癖は、前記コーナーシール部HE1〜HE4の形成時の折り癖よりも弱く、時間経過に伴い減少する。これにより、前記コーナーシール部HE1〜HE4が所定の方向に倒れることが防止される。ひいては、包装体ZA1の仕上がりを向上させることができる(
図4(B)参照)。
【0071】
さらに、(8)本実施形態に係るコーナーシール包装機1の変形例である包装機は、ロール状に巻かれ、横倒しによって折り癖が付けられたコーナーシール部HE1〜HE4を有するフィルムYA1を使用してコーナーシール部付きの包装体ZA1を製造する包装機であって、前記フィルムYA1を供給するサプライ装置(フィルム供給装置3)と、同サプライ装置3から供給された前記フィルムYA1を、幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置(製袋器)14と、同製袋装置14の下流において、筒状に形成された前記フィルムYA1にセンターシールを施すセンターシール装置16と、センターシールされた前記フィルムYA1に対し、所定の間隔で幅方向にシールとカットを施すトップシール装置19と、前記サプライ装置3から前記トップシール装置19までの間に設けられ、前記コーナーシール部HE1〜HE4の前記折り癖に抗して、前記コーナーシール部HE1〜HE4を反対方向に折り返す逆折手段12a,12bと、を備えていることを特徴とする、包装機である。
【0072】
更に実施形態では、フィルム供給装置3に逆折手段12a、12b等を設ける場合を例示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図7に示すように、逆折手段12a,12bを包装機本体4側に設けることも可能であり、前記フィルム供給装置3と前記包装機本体4の両方に逆折手段を設けても良い。
【0073】
また、
図7に示すように、トップシール装置19の上流側近傍において、一対の自由回転可能なローラー30a、30bで、上面側のコーナーシール部HE2、及びHE3を挟み込むように支持してもよい。
【0074】
更に
図7に示すように、吸着式の上部ベルトコンベア40a、40bをトップシール装置19の上流側と下流側に配置してもよい。これらのようにすると、筒状のフィルムYA1の高さ位置を規定でき、位置ずれすることなくガゼットを安定して形成できる。また、吸着式のサイドコンベアを設けると更によい。このようにすると、物品(被包装物)XA1の形状や硬度に関係なく、筒状フィルムYA1の内部空間を拡張して角筒状に保形できるため、所定位置に綺麗にガゼットを形成することが可能になる。この場合、搬送装置17、20は、吸着式の搬送機構を採用してもよい。なお、この吸着式のサイドコンベアは、固定式のサイドガイドであってもよい。
【0075】
更にまた
図8(A)に示すように、トップシール装置19の上部トップシーラー19aの上流側と下流側に隣接して、上部トップシーラー19aと共に上下動するフィルムガイド50a,50bを設けてもよい。このフィルムガイド50a,50bは、筒状のフィルムYA1の幅方向全体に渡って接触する。結果、フィルムYA1が、フィルムガイド50a,50bに倣って広がりながら案内されて、フィルムYA1の弛みや皺が延ばされる。特にフィルムガイド50a,50bは、先端(下端縁)を上部トップシーラー19a側に向かって傾斜させてもよい。即ち、上流側のフィルムガイド50aの先端は下流側に向かって傾斜し、下流側のフィルムガイド50bの先端は上流側に向かって傾斜する。これにより、滑らかに筒状のフィルムYA1を上部トップシーラー19aに案内できる。このフィルムガイド50a,50bを弾性部材で作成してもよく、仮にフィルムガイド50a,50bが、ガゼット爪(図示省略)と干渉したとしても、部品が破損する事象を低減できる。
【0076】
また
図8(B)に示すように、下部トップシーラー19bの上流側と下流側にも、このフィルムガイド50c,50dを配置しても良い。この際、例えばフィルムガイド50a,50bにバネ等の付勢手段Dを備えるようにし、シール時において、上下のフィルムガイド50a,50b,50c,50dが互いに接触した際に、フィルムガイド50a,50bを進退させてもよい。
【0077】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0078】
すなわち、上記実施形態において、各構成の位置、大きさ、長さ、形状、材質、向きなどは適宜変更できる。
【0079】
例えば、上記実施形態では、1箇所にコーナーシール部形成手段10を備えているが、本発明におけるコーナーシール部形成手段は、複数(2つ以上)備えていても良い。すなわち、各コーナーシール部を形成する複数(2つ以上)のコーナーシール部形成手段を流れ方向に位置をずらして、設置するようにしても良い。フィルム幅が狭い場合には、コーナーシール部形成手段の設置スペースが狭いため有効である。
【0080】
あるいは、上記実施形態では、2箇所に逆折手段12a,12bを備えているが、本発明における逆折手段12a,12bは、1箇所でも良い。あるいは、本発明における逆折手段は、3箇所以上に備えていても良い。すなわち、本発明は、複数のコーナーシール部HE1〜HE4を逆折りする複数の逆折手段を、流れ方向に位置をずらして設置するようにしても良い。フィルム幅が狭い場合には、逆折手段の設置スペースが狭いため有効である。
【0081】
あるいは、上記実施形態において、逆折手段12a,12bは、上下対のフィルム抑え12a1,12a2,12b1,12b2である場合を例に説明したが、本発明における逆折手段は、コーナーシール部HE1〜HE4を折り込む側(下側)のフィルム抑え12a2,12b2だけでも良い。
【0082】
あるいは、上記実施形態において、逆折手段12a,12bの下流側に設けられフィルムYA1が掛け回されるガイドローラー13a1,13a2,13bを加熱しても良い。これにより、反対の方向の折り癖を、より強めることができる。
【0083】
あるいは、上記実施形態では、コーナーシール部形成手段10でフィルムYA1に対してコーナーシール部HE1〜HE4を形成しているが、本発明はこれに限定されず、コーナーシール部HE1〜HE4が予め形成されたロール状のフィルムYA1を用いるようにしてもよい。この場合、コーナーシール部形成手段10は不要となる。