特許第6521907号(P6521907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6521907
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20190520BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】1
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-120531(P2016-120531)
(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-221558(P2017-221558A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2018年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】和泉 敦司
【審査官】 手塚 毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−136418(JP,A)
【文献】 特開2013−085866(JP,A)
【文献】 特開2013−000140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動口への入球に起因して抽出した乱数を保留記憶する保留記憶手段と、
該保留記憶手段に記憶された乱数に基づいて大当り遊技に移行するか否かの当否判定を行う当否判定手段と、
前記当否判定の結果を変動表示後に報知する特別図柄と、
該特別図柄の変動に対応した擬似図柄の演出変動を表示する演出表示装置と、を備え、
該演出変動中に出現することで大当り期待度を示唆する予告演出を複数備える弾球遊技機であって、
前記演出変動の実施中に前記予告演出が出現するまでカウントダウン表示にてカウントする第1カウントダウン表示手段と、
前記演出変動開始時に決定する前記予告演出として、少なくとも第1の予告演出と、該第1の予告演出よりも大当り期待度が高い第2の予告演出と、を備え、
前記第1カウントダウン表示手段は、
前記第1の予告演出が出現するまでの前記カウントダウン表示のカウントを行う第1カウント手段と、
前記第2の予告演出が出現するまでの前記カウントダウン表示のカウントを行う第2カウント手段と、を備え、
該第2カウント手段は
所定の確率で前記第2の予告演出が出現するまでとは異なるカウント数を表示する前記カウントダウン表示を行う第1擬似カウントダウン表示手段と、
該第1擬似カウントダウン表示手段による前記カウントダウン表示のカウント数を延長又は短縮することで前記第2の予告演出が出現するまでの前記カウントダウン表示に変化させる第1変更手段と、を備え
該第1変更手段により前記カウントダウン表示のカウント数が短縮された場合は、前記第2の予告演出として大当りである場合にのみ実行される前記予告演出が出現する
ことを特徴とする弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が始動口に入球したことに起因して行われる抽選の結果を報知する図柄を備えたパチンコ遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパチンコ遊技機は、発射した遊技球が始動口に入球することで乱数を抽出し、該抽出した乱数が大当りになる値か否かを抽選(当否判定)し、大当りになる値であったら遊技者に有利な大当り遊技状態を発生させるものが主となる。
【0003】
抽選の結果は、変動表示後の特別図柄の確定表示によって報知される。現在主流のパチンコ遊技機では、この特別図柄は遊技領域の隅、又は遊技領域外に小さく表示され、遊技領域の中央に配置された演出図柄表示装置に特別図柄の擬似演出が大きく表示される。また、特別図柄は、変動の開始から確定表示を行うまで、同じ大きさ、且つ、一定速度で変動するのに対して、演出図柄表示装置に表示する特別図柄変動の擬似演出では変動毎に変動速度が異なっていたり、擬似図柄の大きさが途中で変化したり、キャラクタが出現したりすることで大当りの期待感を示唆する様々な予告演出が実施される。
【0004】
このような様々な予告演出が様々なタイミングで出現するため、遊技者からすると分かり辛いという問題があるのに対し、予告演出が出現するタイミングを示唆するカウントダウン表示を行うことで、初見の遊技者でも注目すべき予告演出の出現タイミングを把握することを可能とする発明がある<特許文献1>。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−000140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特別図柄の変動に対応した一般的な擬似演出では、1つの基本変動の中で複数の予告演出の出現タイミングを備えており、出現するタイミングによって大当り期待度が異なるように設定されているものが多い。従って、特許文献1の発明では、慣れた遊技者であればカウントダウン表示が出現した時点でどのタイミングでどの程度の大当り期待度の予告演出が出現するかが早い時期に容易にわかってしまい、面白味が半減してしまうという問題がある。
【0007】
そこで本発明は上記事情に鑑み、カウントダウン表示を行うことで遊技者に注目すべき予告演出の出現タイミングを示唆しながらも、出現する予告演出の種類が判別できない弾球遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の弾球遊技機は、
始動口への入球に起因して抽出した乱数を保留記憶する保留記憶手段と、
該保留記憶手段に記憶された乱数に基づいて大当り遊技に移行するか否かの当否判定を行う当否判定手段と、
前記当否判定の結果を変動表示後に報知する特別図柄と、
該特別図柄の変動に対応した擬似図柄の演出変動を表示する演出表示装置と、を備え、
該演出変動中に出現することで大当り期待度を示唆する予告演出を複数備える弾球遊技機であって、
前記演出変動の実施中に前記予告演出が出現するまでカウントダウン表示にてカウントする第1カウントダウン表示手段と、
前記演出変動開始時に決定する前記予告演出として、少なくとも第1の予告演出と、該第1の予告演出よりも大当り期待度が高い第2の予告演出と、を備え、
前記第1カウントダウン表示手段は、
前記第1の予告演出が出現するまでの前記カウントダウン表示のカウントを行う第1カウント手段と、
前記第2の予告演出が出現するまでの前記カウントダウン表示のカウントを行う第2カウント手段と、を備え、
該第2カウント手段は
所定の確率で前記第2の予告演出が出現するまでとは異なるカウント数を表示する前記カウントダウン表示を行う第1擬似カウントダウン表示手段と、
該第1擬似カウントダウン表示手段による前記カウントダウン表示のカウント数を延長又は短縮することで前記第2の予告演出が出現するまでの前記カウントダウン表示に変化させる第1変更手段と、を備え
該第1変更手段により前記カウントダウン表示のカウント数が短縮された場合は、前記第2の予告演出として大当りである場合にのみ実行される前記予告演出が出現する
ことを特徴とする弾球遊技機である。
【0009】
始動口への遊技球の入球に起因して抽出する乱数は、大当りを生起させるか否かを抽選するための当否(大当り)判定用乱数の他に、該大当り判定用乱数の抽選結果に応じた図柄の種類と、当該図柄を導出表示するまでの可変表示時間とを決定するために用いる乱数であればよく、例えば大当り,小当り,ハズレの図柄決定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数としてもよく、当否判定の結果に応じて、使用する乱数と使用しない乱数とがある構成としてもよい。また、乱数の抽出時期は、始動口への遊技球の入球時に限らず、図柄の変動開始直前に行われる当否判定実施時としてもよい。
【0010】
保留記憶手段に記憶される保留記憶の数は、始動口への入球に基づいて増加し、保留記憶された乱数の当否判定によって減少すればよく、保留記憶数の増減時に保留記憶数を示すコマンドを演出機器を制御するサブ制御装置に送信する構成が好適である。
【0011】
予告演出は、大当りの生起や大当りが生起するタイミング(変動している図柄が確定表示するタイミング)や遊技状態の変化等、当否判定の結果だけではなく遊技者が有利になるか否かを示唆する演出であればよい。
【0012】
カウントダウン表示のカウントは予告演出が出現するタイミングが遊技者に容易に認識可能な表示態様であればよく、例えば、表示した数値を定期的に減算表示することで出現タイミングを示唆してもよいし、棒グラフ等の目盛が定期的に減少、又は増加することにより出現タイミングを示唆してもよい。
【0013】
第1変更手段は、カウントダウン表示のカウント数を延長又は短縮することで予告演出の出現タイミングが変化したことが遊技者に認識可能な構成であればよく、該延長又は短縮は、内部的に予告演出が出現するまでの時間を切替えたことによりカウントダウン表示の見た目が延長又は短縮したように見えてもよい。また、1カウントする時間を延長又は短縮(例えば、1カウントする実際の時間が1秒だったのを2秒に延長したり、0.5秒に短縮したり)することでカウントダウン表示期間が変化する構成としてもよい。
【0015】
カウントダウン表示は、1回の特別図柄の変動で複数の擬似連続変動を実行する擬似連続予告の継続が決定するタイミングを予告する演出であってもよく、その場合、第2カウント手段は擬似連続変動の最後の変動で実施される構成が好適である。
【0017】
複数の特別図柄の変動に跨って実施するカウントダウン表示は、その開始から終了までが長期間となるが、その間に実施される個々の特別図柄の変動に対応する擬似演出では、所謂連続演出を実施してもよいし、その他の予告演出が実施されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の弾球遊技機によれば、カウントダウン表示が実行されたとしても、所定のタイミングでカウントダウン表示が延長又は短縮されるので、カウントダウン表示開始時に予測できる予告演出とは異なる予告演出が出現することになり、慣れた遊技者でも期待度の高い予告演出の出現を期待しながら遊技を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】遊技盤1の正面図。
図2】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図。
図3】作動内容を示す図表。
図4】主制御装置80が実行するメインルーチンを示すフローチャート。
図5】主制御装置80が実行する始動入賞処理を示すフローチャート。
図6】主制御装置80が実行する当否判定処理を示すフローチャート1。
図7】主制御装置80が実行する当否判定処理を示すフローチャート2。
図8】主制御装置80が実行する当否判定処理を示すフローチャート3。
図9】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート1。
図10】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート2。
図11】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート3。
図12】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート4。
図13】サブ統合制御装置83が実行する保留数指示コマンド受信処理を示すフローチャート。
図14】サブ統合制御装置83が実行する変動指示コマンド受信処理を示すフローチャート。
図15】サブ統合制御装置83が実行する第1カウントダウン演出開始処理を示すフローチャート。
図16】サブ統合制御装置83が実行する第1カウントダウン演出実行処理を示すフローチャート。
図17】サブ統合制御装置83が実行する第1カウントダウン演出切替処理を示すフローチャート。
図18】演出図柄表示装置6で実施する表示例1
図19】演出図柄表示装置6で実施する表示例2
図20】演出図柄表示装置6で実施する表示例3
図21】演出図柄表示装置6で実施する表示例4
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施形態例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
【実施例】
【0028】
図1は、遊技盤1の正面図である。図1に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域が、ほぼ中央部に配置されたセンターケース5を境に第1遊技領域3aと第2遊技領域3bとに分けられており、センターケース5の左側が第1遊技領域3a、右側が第2遊技領域3bとなり、図に示したA部まで到達した遊技球は、第2遊技領域誘導路101を転動し、第2遊技領域3b(センターケース5の右側)に至り、Aに到達しない遊技球が第1遊技領域3a(センターケース5の左側)を流下することになる。また、この第1遊技領域3a,第2遊技領域3bには多数の遊技釘が植設されている。
【0029】
センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(本発明の演出表示装置に相当)の画面を臨ませる窓等を備えている。センターケース5の下には、第1始動口11(本発明の始動口に相当)が配置されている。また、第1始動口11の左方には、4個の普通入賞口31が設けられている。なお、この普通入賞口31は、入球率が変化しない常時入球が可能な普通入賞口である。
【0030】
センターケース5の右の第2遊技領域3bには、普通図柄作動ゲート17が配置され、普通図柄作動ゲート17の下には普通電動役物15からなる第2始動口12(本発明の始動口に相当)が配置されており、この普通電動役物15は開閉可能な翼片を供えこの翼片が開放しなければ第2始動口12への入球は不可となっている。普通電動役物15からなる第2始動口12の左下には大入賞口14が配置されている。
【0031】
第1始動口11は、植設された遊技釘及びセンターケース5を構成する成型樹脂により、第2遊技領域3bを流下した遊技球が入球困難な構成となっている。これにより、第1始動口11は、ほぼ第1遊技領域3aを流下した遊技球のみが入球可能となる。
【0032】
第2遊技領域3bの下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7、普通図柄保留数表示装置8と、7セグメント表示装置からなる第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10と、複数個のLEDからなる第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19とが配置されている。この位置に配置した各種表示装置の表示内容を遊技者が確実に認識することは困難となり、遊技中の遊技者は演出図柄表示装置6の表示内容に注目して遊技を行うことになる。
【0033】
上記のように遊技盤1を構成することによって、第1遊技領域3aに遊技流を流下させた場合に限り第1始動口11に遊技球が入球(第1始動口スイッチ11a(図2参照)が遊技球を検出)し、第1特別図柄表示装置9において第1特別図柄(以下、第1特図とも記載)が変動を開始し、所定時間後に停止する。
【0034】
第2遊技領域3bに遊技球を流下させると、普通図柄作動ゲート17に遊技球が入球(普通図柄作動スイッチ17a(図2参照)が遊技球を検出)し、普通図柄表示装置7で普通図柄(以下、普図とも記載)が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普図の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド12b(図2参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド12bが駆動すると、ほぼ同期して普通電動役物15の翼片が開放して、第2始動口12への入球(第2始動口スイッチ12a(図2参照)の検出)が可能となるように構成されている。第2始動口12である普通電動役物15に遊技球が入球(第2特図始動スイッチ12a(図2参照)が遊技球を検出)すると、第2特別図柄表示装置10において第2特別図柄(以下、第2特図とも記載)が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
【0035】
本実施例では、第2始動口12は普通電動役物15の翼片が駆動しなければ遊技球が入球不可能な構成となっているが、入球が困難なだけで入球可能な構成としてもよい。
【0036】
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、演出図柄表示装置6において各々の特別図柄(以降、特図ともいう)の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、同時に変動することはなく、第1始動口11と第2始動口12への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動(当否判定)を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し、且つ、第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動(当否判定)を開始する。
【0037】
第1特別図柄及び第2特別図柄の確定表示した態様に応じて、後述する大入賞口ソレノイド14b(図2参照)が駆動する。大入賞口ソレノイド14bが駆動すると、ほぼ同期して大入賞口14の扉部材が開放し、大入賞口14への遊技球の入球(カウントスイッチ14a(図2参照)が遊技球を検出)が可能となるように構成されている。
【0038】
普通図柄作動ゲート17、普通電動役物15からなる第2始動口12、及び大入賞口14とは、第2遊技領域3b(センターケース5の右側)に配置されているため、大当り遊技状態、及び開放延長状態に移行した場合は、発射した遊技球の全てが第2遊技領域3bに到達するように発射ハンドルを調整することになる。
【0039】
図2は、パチンコ機の電気的構成を示すブロック図となり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82(サブ制御装置)、サブ統合制御装置83(サブ制御装置)のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0040】
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させる普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、普通入賞口31に入球した遊技球を検出する普通入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力され、裏配線中継端子板75を介して、前枠(ガラス枠)および内枠が閉鎖しているか否か検出するガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36の検出信号が入力される。
【0041】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
【0042】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド17bを制御することで普通電動役物15の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールコンピュータ87に送られる。
【0043】
主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が行われ、払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を制御して賞球を払い出す。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0044】
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
【0045】
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してプリペイドカードユニットと交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
【0046】
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
【0047】
発射制御装置84は発射モータ30を制御して遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
【0048】
サブ統合制御装置83はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチ67aの入力ならびに主制御装置80から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄制御装置82に出力する。
【0049】
サブ統合制御装置83の入力端には、遊技者により操作可能な遊技ボタン67の操作を検出する遊技スイッチ67aが接続されている。サブ統合制御装置83の出力端には、前枠52及び遊技盤1に備えられる各種LED・ランプと、前面枠及びスピーカユニットに備えられるスピーカと、が接続されている。また、サブ統合制御装置83には、音量を調節する音量調節スイッチ83aが備えられ、音量調節スイッチ83aの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカ66へ送信する内容とを判断し、スピーカ66から出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。
【0050】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。
【0051】
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄等の演出画像を表示する。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
【0052】
次に、図3の図表を用いて、遊技機の作動内容の概要について説明する。本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成され、第1始動口11及び第2始動口12への遊技球入球に基づく当否判定は、通常確率状態(低確率状態)と、該通常確率状態に比べて大当りとなる確率が高い高確率状態とのいずれかの遊技状態で実施される。本実施例では通常(低)確率が1/300、高確率が1/30に設定されている。なお、小当り確率は、通常遊技状態と高確率遊技状態とで同一の1/150となり、当選すると大入賞口14が1.6秒間開放する。
【0053】
また、普通電動役物15(第2始動口12)の作動契機と作動時間を変化させる開放延長機能を備えており、開放延長機能未作動時では、普通図柄の1回の当りに対して普通電動役物15は0.2秒の開放動作を1回行い、開放延長機能作動時(開放延長状態)では、普通図柄の1回の当りに対して普通電動役物15は1.0秒の開放動作を3回行うよう設定されている。また、開放延長機能が作動する遊技状態(開放延長状態)での第1及び第2特別図柄の変動パターン(変動時間)は、開放延長機能が未作動時の遊技状態で使用する変動パターン選択テーブルよりも平均変動時間が短くなるように設定された変動パターン選択テーブルを用いて選択される構成となっている。これにより、開放延長機能作動時の単位時間あたりの特別図柄の変動回数が、開放延長機能未作動時よりも増加する構成(時短状態)となっており、この時短機能は、開放延長機能の作動開始と終了の契機と同じくして作動する。
【0054】
尚、開放延長機能作動時には、普通図柄の変動時間を短縮(単位時間当りの普通図柄の変動回数が増加)する時短機能も作動する構成となっている。具体的には、開放延長機能未作動時となる通常時の普通図柄の変動時間は6.2秒に設定され、開放延長機能作動時の普通図柄の変動時間は0.7秒に設定されている。これにより、開放延長機能作動時では単位時間当りの普通図柄の変動回数が増加し、普通電動役物の作動契機を大きく増加させている。よって、単位時間当たりの普通電動役物への入球率が増加し、第2特別図柄の変動回数が増えるとともに持球の減少が抑えられる。
【0055】
大当り遊技は、大入賞口14が全ての大当り時に15ラウンド(1ラウンド最高29.0秒開放又は9カウント)の開放動作を行う。大当り図柄には確変図柄と通常図柄とがあり、特別図柄が確変図柄で大当りした場合は、大当り遊技終了後から次回の大当りまで高確率遊技状態に移行し、通常図柄で大当りした場合は、大当り遊技終了後、特別図柄が100回の変動表示を行うまで時短(開放延長)状態となる。但し、特別図柄は遊技領域3の右下にその表示装置(第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10)が配置され、遊技者が判別困難な態様で表示されるため、遊技者は演出図柄表示装置6に表示される擬似図柄の種類によって大当り遊技終了後の遊技状態を認識するが、本実施例では大当り遊技中に擬似大当り図柄が変化(通常図柄から確変図柄へ変化)する昇格演出を複数種類備えている。
【0056】
次に、図4を用いて、主制御装置80が実行するメインルーチンを説明する。メインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される。本実施形態では、S10〜S75までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS80の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
【0057】
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、ほとんどが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
【0058】
S10が否定判定、即ち、正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(初期乱数更新処理(S80))に移行する。
【0059】
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、初期値乱数更新処理(S20)、大当り決定用乱数更新処理(S25)、大当り図柄決定用乱数1更新処理(S30)、大当り図柄決定用乱数2更新処理(S35)、小当り図柄決定用乱数更新処理(S40)、当り決定用乱数更新処理(S45)、リーチ判定用乱数更新処理(S50)、変動パターン決定用乱数更新処理(S55)が行われる。
【0060】
続く入賞確認処理(S60)では、第1始動口11、第2始動口12への入賞、大入賞口14への入賞、普通入賞口31への入賞及び普通図柄作動ゲート17への入球の確認、及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。各始動口及び作動口への入賞(入球)確認処理(始動入賞処理)については、図5を用いて後述する。
【0061】
続いて、当否判定処理(S65)、画像出力処理等の各出力処理(S70)、不正監視処理(S75)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S80)をループ処理する。
【0062】
次に、図5を用いて、主制御装置80が実行する始動入賞処理を説明する。本処理は、図4に示した入賞確認処理(S60)のサブルーチンの一つであり、本発明の保留記憶手段、先読判定手段を含む処理となる。
【0063】
以後、第1始動口11に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第1保留記憶、第2始動口12に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第2保留記憶、普通図柄始動ゲート17を遊技球が通過したときに格納される保留記憶を普図保留記憶として説明する。
【0064】
本処理を開始すると、第1始動口スイッチ11aが遊技球を検出したか否か判定する(S100)。肯定判定であれば(S100:yes)、主制御装置80に既に格納されている第1保留記憶数が上限数(本実施例では4個)未満であるか否か判定する(S105)。肯定判定であれば(S105:yes)、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、小当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数)を抽出し、第1保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し、第1保留記憶の数を示す第1保留記憶カウンタに1を加算する(S110) (本発明の保留記憶手段に相当)。
【0065】
S110に続いては、記憶した第1保留記憶の先読判定を行う(S115)。具体的には、大当り決定用乱数の値が大当りを生起させる値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類を確認する。大当り判定がハズレなら、小当りを生起する値か否かを確認し、小当り値なら小当り図柄の種類を確認する。大当りでも小当りでもないハズレなら、ハズレ図柄の種類を確認する(本発明の先読判定手段に相当)。
【0066】
続いて、S115の先読判定結果に基づいて第1先読判定コマンドを生成してサブ統合制御装置83に送信し(S120)、S110で加算した第1保留記憶カウンタの値を示す第1保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する(S125)。本実施例では、第1先読判定コマンドと第1保留数指示コマンドとを個別のコマンドとしてサブ統合制御装置83に送信しているが、この二つのコマンド内容を一つのコマンドに合成してサブ統合制御装置83に送信する構成も考えられる。また、保留記憶数コマンドの内容は、S110で加算した第1保留記憶カウンタの値を示すものではなく、+1(1増)を示すものでもよい。
【0067】
S125の処理、又はS100、S105の否定判定(S100:no、S105:no)に続いては、第2始動口スイッチ12aが遊技球を検出したか否か判定する(S130)。否定判定なら(S130:no)S160に進み、肯定判定なら(S130:yes)、主制御装置80に格納されている第2保留記憶の数が上限数(=4個)未満か否か判定する(S135)。否定判定なら(S135:no)S160に進み、肯定判定であれば(S135:yes)、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、小当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数)を抽出し、第2保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し、第2保留記憶の数を示す第2保留記憶カウンタに1を加算し(S140)、S115と同様に記憶した第2保留記憶の先読判定を行う(S145)。
【0068】
続いて、S145の判定結果に基づいて第2先読判定コマンドを生成しサブ統合制御装置83に送信し(S150)、S140で加算した第2保留記憶カウンタの値を示す第2保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信して(S155)S160に進む。
【0069】
S160では、普通図柄作動スイッチ17aが遊技球を検出したか否か判定する(S160)。否定判定なら(S160:no)リターンに抜け、肯定判定なら(S160:yes)、主制御装置80に格納されている普図保留記憶数が上限数(=4個)未満か否か判定する(S165)。否定判定なら(S165:no)リターンに抜け、肯定判定であれば(S165:yes)、抽出した当り判定用乱数と当り図柄決定用乱数とを普図保留記憶として記憶し、普図保留記憶数を示す普図保留記憶カウンタに1を加算し(S170)、加算した普図保留記憶カウンタの値を示す普図保留記憶数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S175)、リターンする。
【0070】
サブ統合制御装置83は第1及び第2保留記憶数指示コマンドを受信すると、受信したコマンドが示す保留記憶数に応じて演出図柄表示装置6上で表示する各保留記憶数を変化(保留図柄を表示)させる指示信号を演出図柄制御装置82に送信する。また、本実施例では、演出図柄表示装置6上では普通図柄の保留記憶数表示は行わないが、普図保留記憶数指示コマンドの受信に応じて表示する構成としてもよいし、普図保留記憶数指示コマンド自体を送信しない構成としてもよい。また、普図の先読判定を実施し判定結果をサブ統合制御装置83に送信する構成も考えられる。これにより、普通電動役物(第2始動口12)の開放を期待させる先読予告の実施が可能となる。
【0071】
次に、図6,7,8を用いて、主制御装置80が実行する当否判定処理を説明する。本処理は、本発明の当否判定手段に相当する。本処理を開始すると、条件装置が作動中か否か、即ち、大当り中か否か判定し(S200)、肯定判定なら(S200:yes)リターンし、否定判定なら(S200:no)、第1又は第2特別図柄が変動中か否か判定し(S205)、否定判定なら(S205:no)、第1又は第2特別図柄が確定表示中か否か判定し(S210)、否定判定なら(S210:no)、第2保留記憶が有るか否か判定する(S215)。肯定判定なら(S215:yes)、S225に進み、否定判定なら(S215:no)第1保留記憶が有るか否か判定し(S220)、否定判定なら(S220:no)リターンに抜け、肯定判定なら(S220:yes)S225に進む。S215とS220の判定順により、第2保留記憶の当否判定を優先して実施する構成となっている。
【0072】
尚、本実施例では、特別図柄が複数(第1特別図柄と第2特別図柄)の構成となっているが、特別図柄を1つとした構成であっても本発明の効果に変わりはない。また、2種類の特図が同時に変動可能な構成であっても本発明の効果に変わりはない。
【0073】
S225では時短フラグの値が0か否か判定する(S225)。時短フラグは、主制御装置80が記憶する値であり、値が「1」のときは時短状態、及び開放延長状態であることを、値が「0」のときは非時短状態、非開放延長状態であることを主制御装置80が判断するための値である。肯定判定なら(S225:yes)S230に進み、否定判定なら(S225:no)時短状態中の処理に進む。時短状態中の処理は、特図の変動時間を設定する変動パターン選択テーブルのみが異なる処理となるため説明は割愛する。
【0074】
S230では、保留記憶のシフト処理を行い(S230)、これにより最も古い保留記憶を当否判定の対象とするとともに、保留記憶数を示す保留記憶カウンタから1を減算する。本実施例では、保留数が増加した時のみ保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する構成としているが、この減算に応じて、サブ統合制御装置83に減少を示す保留数指示コマンドを送信する構成としてもよい。
【0075】
S230に続いては、当否判定の対象とした保留記憶の大当り判定用乱数の値と予め設定された当否判定テーブルとを比較して、乱数値が当否判定テーブル内の判定値と一致するか比較する(S235)。当否判定テーブルは通常確率(低確率1/300)用と高確率(1/30)用の2種類のテーブルが設定してあり、当否判定時の遊技状態が通常確率状態(確変フラグ「0」)であれば通常確率用の当否判定テーブルを用いて比較し、高確率状態(確変フラグ「1」)であれば高確率用の当否判定テーブルを用いて比較する。
【0076】
続くS240の処理では、大当り判定用乱数の比較処理(S235)の結果が大当り(判定値と同一)であるか否か判定する(本実施例では1/300)。肯定判定なら(S240:yes)、図柄モード設定処理を行う(S245)。図柄モード設定処理では、判定対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数1に基づいて、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態を決定する図柄モードを設定する。続いて、設定した図柄モードの種類と判定対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数2に基づいて大当り図柄選択処理を行う(S250)。これは、図柄モードの設定によって決定した大当りの種類(大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態)と大当り図柄との関連付けを行うために、図柄モードの種類毎に設定された図柄郡の中から表示する図柄を決定する処理となる。
【0077】
次にS245で設定した図柄モードに基づいてモードバッファ設定処理を行う(S255)。モードバッファは当否判定時に決定した大当り遊技終了後の遊技状態の内容を、該遊技状態を設定する大当り遊技終了時まで記憶する装置である(大当り遊技中は遊技状態を設定する確変フラグ及び時短フラグをクリアする必要があるため)。モードバッファとしては、具体的な遊技内容(確変機能および開放延長機能(時短機能)の作動とその作動回数)は記憶せず、複数種類の具体的な遊技内容のそれぞれに対応した値を記憶する構成となっている。
【0078】
次に、S245で設定した図柄モードに基づいて大当り遊技の内容となる大入賞口の開放パターン設定処理を行い(S260)、当否判定の対象とした保留記憶のリーチ決定用乱数および変動パターン決定用乱数に基づいて、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10、及び演出図柄表示装置6に表示する図柄の変動時間となる変動パターンを、変動パターン選択テーブルから選択する(S265)。
【0079】
次に、選択した大当り図柄および変動パターンの情報を、変動指示コマンドとしてサブ統合制御装置83へ送信する(S270)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づいて、演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、大当り図柄および変動パターンの情報に対応する図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
【0080】
S240が否定判定、即ちハズレなら(S240:no)、S235の比較処理の結果が小当りであるか否か判定し(S280)、肯定判定なら(S280:yes)、特図の種類、遊技状態、及び小当り図柄決定用乱数に基づいて小当り図柄を選択し(S285)、続いて小当り遊技の開放パターン設定処理を行い(S260)、小当り図柄に対応する前述した変動パターン選択処理を行い(S265)、小当り図柄および変動パターンの情報となる変動指示コマンドをサブ統合制御装置83へ送信する(S270)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、小当り図柄および変動パターンの情報に基づいた第1又は第2特図に対応した演出図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は、第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
【0081】
S280が否定判定なら(S280:no)、ハズレ図柄を選択し(S290)、続いてハズレ図柄に対応する変動パターン設定処理を行い(S265)、ハズレに関する図柄及び変動パターンの情報となる変動指示コマンドをサブ統合制御装置83へ送信する(S270)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、ハズレ図柄および変動パターンの情報に基づいた擬似図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
【0082】
次に、S205が肯定判定、即ち、特別図柄の変動中であれば(S205:yes)、図7のフローチャートに進み、特別図柄の変動時間(S265で選択された変動パターンに基づく)が経過したか否か判定する(S300)。否定判定なら(S300:no)リターンし、肯定判断なら(S300:yes)、確定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を制御してS250,S285又はS290で選択した確定図柄を確定表示させる(S305)。確定コマンドを受信したサブ統合制御装置83は演出図柄制御装置82に予め選択されていた擬似図柄を確定表示させる指示信号を送信し、演出図柄制御装置82は、その信号に応じて演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄を確定表示させる。これにより、第1又は第2特別図柄と、演出図柄表示装置6に表示される擬似図柄の変動の開始と終了とが同じタイミングになる(同期する)。
【0083】
S305に続いては、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10で確定表示させた第1又は第2特別図柄が、大当り図柄か否か判定し(S310)、肯定判定なら(S310:yes)、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S315)、確変フラグが1か否か(高確率状態か否か)判定し(S320)、肯定判定なら(S320:yes)、確変フラグに0をセットし(S325)、S325、又はS320の否定判定(S320:no)に続いては、時短フラグが1か否か判定し(S330)、肯定判定なら(S330:yes)、時短フラグに0をセットし(S335)、S335、又はS330の否定判定(S330:no)に続いては、条件装置作動開始処理(S340)と、役物連続作動装置作動開始処理(S345)を行い、大当りフラグに1をセットし(S348)、大当り演出指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する(S350)。
【0084】
一方、S310が否定判定、即ち、確定図柄が大当りでなければ(S310:no)、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S360)、確変フラグが1か否か判定し(S365)、肯定判定なら(S365:yes)、確変カウンタからデクリメントし(S370)、確変カウンタが0か否か判定し(S375)、肯定判定なら(S375:yes)、確変フラグに0をセットする(S380)。続いて、S380、又はS365,S375が否定判定なら(S365:no,S375:no)、時短フラグが1か否か判定し(S385)、肯定判定なら(S385:yes)、時短カウンタからデクリメントし(S390)、時短カウンタが0か否か判定し(S395)、肯定判定なら(S395:yes)、時短フラグに0をセットする(S400)。S365からS400によって、特別図柄が当否判定に応じたハズレ確定表示を行うごとに、高確率状態を規制する確変カウンタと時短(開放延長)状態を規制する時短カウンタとが計数され、これらのカウンタが所定値に至ることで遊技状態が変化(時短(開放延長)状態が終了し、通常状態(通常確変状態で、且つ、通常開放状態)に移行)する。
【0085】
続いて、S400、又はS385,S395が否定判定なら(S385:no,S395:no)、確定表示された特別図柄が小当り図柄か否かを判断し(S405)、肯定判定なら(S405:yes)、小当り遊技の作動開始を行う処理を行い(S410)、S350,S410、又はS405の否定判定(S405:no)に続いては、上記処理の結果に基づく遊技状態を示す状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S355)リターンする。
【0086】
図6に戻り、S210が肯定判定、即ち、確定図柄の表示中なら(S210:yes)、図8のフローチャートに進み、確定図柄表示時間が経過したか否か判定し(S450)、否定判定なら(S450:no)リターンし、肯定判定なら(S450:yes)、確定図柄表示終了処理(S455)を行い、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を制御して特別図柄の確定表示を終了させ、サブ統合制御装置83に擬似図柄の確定表示を終了させる指示信号を送信してリターンする。
【0087】
次に、図9から図12を用いて、主制御装置80が実行する特別遊技処理を説明する。本処理は、図6のS260で設定された大入賞口14の開放パターンに基づいて、大入賞口14の開閉を制御する処理となる。
【0088】
本処理を開始すると、大当りフラグに基づいて条件装置が未作動か否かを判定する(S500)。肯定判定、即ち、大当り中でなければ(S500:yes)、小当り遊技として大入賞口14が作動中か否かを判定する(S505)。S505が否定判定なら(S505:no)リターンし、肯定判定なら(S505:yes)、小当り開始インターバル中であるか否かを判定し(S510)、肯定判定なら(S510:yes)、小当り開始インターバル時間が経過したか否かを判定し(S515)、否定判定なら(S515:no)リターンし、肯定判定なら(S515:yes)、小当り遊技として第1大入賞口14を開放するとともに、サブ統合制御装置83に小当り演出指示コマンドを送信し(S520)リターンする。
【0089】
S510が否定判定なら(S510:no)、小当り動作中か否かを判定し(S525)、肯定判定なら(S525:yes)、カウントスイッチ14aが遊技球を検出したか否か判定し(S530)、肯定判定なら(S530:yes)、当該小当り遊技時の大入賞口14への遊技球の入球数が9個未満か否か判定する(S535)。S530が否定判定(S530:no)、又はS535が肯定判定(S535:yes)なら、大入賞口14の小当り遊技の開放時間が経過したか否か判定し(S540)、否定判定なら(S540:no)リターンする。
【0090】
S535が否定判定(S535:no)、又はS540が肯定判定(S540:yes)なら、小当り遊技を行う大入賞口14の閉鎖処理を行い(S545)、続いて小当り終了演出処理を行い(S550)リターンする。
【0091】
S525が否定判定で小当り遊技中ではないなら(S525:no)、小当り終了演出の時間が経過したか否かを判定し(S555)、否定判定なら(S555:no)リターンし、肯定判定なら(S555:yes)、小当り遊技終了処理を行ない(S560)リターンに抜ける。
【0092】
S500が否定判定、即ち大当りフラグが立っていれば(S500:no)、図10のフローチャートに進み、大入賞口14が閉鎖中か否か判定し(S600)、肯定判定なら(S600:yes)、大当り遊技の開始演出中か否か判定する(S605)。S605が肯定判定なら(S605:yes)、大当り遊技の開始演出時間が経過したか否かを判定し(S610)、否定判定なら(S610:no)リターンし、肯定判定なら(S610:yes)、大入賞口14の開放処理を行うとともに、サブ統合制御装置83に大入賞口開放演出を指示するコマンドを送信し(S615)リターンする。
【0093】
S605が否定判定なら(S605:no)、即ち、大当り遊技の開始演出中ではないなら、ラウンド間インターバル中か否か判定し(S620)、否定判定なら(S620:no)、大当り遊技の終了演出中か否か判定し(S630)、否定判定なら(S630:no)、大当り開始演出処理を行いサブ統合制御装置83に大当り開始演出を指示するコマンドを送信し(S635)リターンする。
【0094】
S635で主制御装置80がサブ統合制御装置83に大当り開始演出指示コマンドを送信すると、該コマンドを受信したサブ統合制御装置83は、パチンコ機に設けられたランプ、LEDを大当り遊技演出用に激しく発光させたり、大当り遊技用の音をスピーカから出力させる。また、サブ統合制御装置83は、演出図柄制御装置82に信号を送信し、演出図柄表示装置6において大当り開始演出を表示させる。
【0095】
S620が肯定判定、即ち、ラウンド間インターバル中なら(S620:yes)、インターバル時間が経過したか否か判定し(S625)、否定判定なら(S625:no)リターンし、肯定判定なら(S625:yes)、大入賞口14の開放処理を行い(S615)リターンする。
【0096】
S600が否定判定、即ち、大入賞口14が開放中なら(S600:no)、図11のフローチャートに進み、カウントスイッチ14aが遊技球を検出したか否か判定し(S700)、肯定判定なら(S700:yes)、当該開放によるカウントスイッチ14aの検出数が9個未満か否か判定する(S705)。S700の否定判定、又はS705が肯定判定(S700:no、S705:yes)なら、大入賞口14の開放時間が経過したか否か判定し(S710)、否定判定なら(S710:no)リターンし、S705が否定判定(S705:no)、又はS710が肯定判定なら(S710:yes)、大入賞口14の閉鎖処理を行い(S715)、終了した大入賞口14のラウンド遊技が最終ラウンドか否か判定する(S720)。
【0097】
S720が肯定判定なら(S720:yes)、大当り終了演出処理を行い、サブ統合制御装置83に大当り終了演出を指示するコマンドを送信し(S725)リターンする。S720が否定判定なら(S720:no)、ラウンド遊技間インターバル処理を行い、サブ統合制御装置83にインターバル演出を開始する指示信号を送信し(S730)リターンする。
【0098】
図10に戻り、S630が肯定判定、即ち、大当り終了演出中なら(S630:yes)、図12のフローチャートに進み、大当り終了演出時間が経過したか否か判定する(S800)。S800が否定判定なら(S800:no)リターンに抜け、S800が肯定判定なら(S800:yes)、役物連続作動装置の停止処理(S805)と条件装置の作動停止処理(S810)を行って大当り遊技を終了し、図6(当否判定処理)のS255で設定したモードバッファを参照して(S815)、確変フラグ(S820)、確変カウンタ(S825)、時短フラグ(S830)、時短カウンタ(S835)を設定し、モードバッファをクリアし(S840)、サブ統合制御装置83に終了コマンドと(S845)、設定した確変フラグと時短フラグに基づく状態指定コマンドを送信し(S850)、大当りフラグに0をセットして(S855)リターンする。
【0099】
次に、図13に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する保留数指示コマンド受信処理を説明する。本処理を開始すると、保留数指示コマンドを受信したか否か判定する(S900)。否定判定なら(S900:no)、リターンし、肯定判定なら(S900:yes)、サブ統合制御装置83が備える保留数カウンタに+1し(S905)、演出図柄制御装置82に保留数表示信号を送信し(S910)、リターンする。演出図柄制御装置82は、保留数表示信号を受信すると、受信時の保留数カウンタ値に応じて演出図柄表示装置6上に保留図柄を表示する。本実施例では1個の保留記憶に対して1個の保留図柄を表示する。なお、保留数カウンタの値は、後述する変動指示コマンド受信処理において変動指示コマンドを受信するごとにデクリメントされる。これにより、絶えず主制御装置50が記憶する保留記憶の数と同一数が管理される。
【0100】
また、サブ統合制御装置83に保留数カウンタを備えない構成も考えられる。この構成では、主制御装置80が送信する保留数指示コマンドが保留記憶数を示しサブ統合制御装置83は指示された数を保留記憶数として表示し、保留数指示コマンドは、変動開始時と、保留記憶発生時に主制御装置80から送信される構成となる。この構成でも、保留記憶図柄の増減タイミングは主制御装置80の保留数指示コマンドの送信タイミングと同じとなり演出図柄表示装置6上でも正確な保留数を報知することが可能となる。
【0101】
次に、図14に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する変動指示コマンド受信処理を説明する。本処理は、主制御装置80から受信した変動指示コマンドの内容と該受信時にサブ統合制御装置53が抽出する乱数値とに応じて、演出図柄表示装置6上に表示する予告演出を含む擬似演出の態様及び出現タイミングを選択し、選択した擬似演出の表示を指示する処理となる。
【0102】
本処理を開始すると、主制御装置80から変動指示コマンドを受信したか否か判定する(S1000)。否定判定なら(S1000:no)リターンし、肯定判定なら(S1000:yes)、振分乱数を抽出し(S1005)、受信した変動指示コマンドの内容とS1005で抽出した振分乱数とに基づいて、サブ統合制御装置83が記憶する複数種類の擬似演出態様の中から演出図柄表示装置6に表示する予告演出を含む表示態様と確定表示する擬似(演出)図柄とを選択する(S1010)。この場合、選択した演出態様に応じて同様に選択された予告演出の出現タイミングも決定される。
【0103】
S1010に続いては、S1010で選択した演出態様は第1カウントダウン演出(擬似図柄変動時に実施するカウントダウン表示)を実施する演出態様か否か判定する(S1015)。第1カウントダウン演出は、期待度がCランクの予告演出(本発明の第1の予告演出に相当)が出現するタイミングを、図を用いて後述するカウントダウン表示によって遊技者に認識させる演出となり、本発明の第1カウント手段、又は第1擬似カウントダウン表示手段による表示演出に相当する。本実施例の予告演出は、大当り期待度が最も高いAランク、その次に高いBランク(本発明の第2の予告演出に相当)、最も低いCランクに大別され、それぞれのランクにおいても期待度の高低に幅がある。
【0104】
S1015が肯定判定なら(S1015:yes)、当該処理によって変動を開始してからS1010で選択された第1カウントダウン演出を開始するまでの時間となる開始タイマをセットして計時を開始し(S1020)、第1カウントダウン演出開始時の表示時間(予告演出が出現するまでのタイミング)を設定し(S1025)、第1カウントダウン開始フラグに1をセットする(S1030)。第1カウントダウン開始フラグは、サブ統合制御装置83が記憶する値であり、値が1なら所定時間が経過後第1カウントダウン表示を開始することを、値が0なら開始しないことを判断する。
【0105】
S1030に続いては、S1010で選択した演出態様は第1カウントダウン演出の切替演出があるか否か、詳しくは、本来はCランクよりも高いランク(Bランク又はAランク)の予告演出がS1010で選択されたが、当初はCランクの予告演出として開始してからカウントダウン表示の数値を切替えることで途中から期待度の高い予告演出の出現タイミングの示唆に変化させるか否かを判定する(S1035)。
【0106】
S1035が肯定判定なら(S1035:yes)、切替タイマをセットして計時を開始し(S1040)、変更時間(延長又は短縮するタイミング)を設定し(S1045)、切替フラグに1を設定する(S1050)。
【0107】
S1040でセットする切替タイマは、第1カウントダウン演出の開始からカウントダウン表示をA又はBランクの予告演出の出現タイミングに切替えるまでの時間となり、S1045で設定する変更時間(タイミング)は、切替時に再設定するタイミング(切替表示を行う数値)となる。切替フラグは、サブ統合制御装置83が記憶する値であり、値が1ならカウントダウン表示が示す予告演出出現のタイミングを切替えることを、値が0なら切替えないことを判断する。
【0108】
S1050、又はS1015、S1035の否定判定(S1015:no、S1035:no)に続いては、S1010で選択した演出態様の表示を演出図柄表示装置6で実施する指示信号を演出図柄制御装置82に送信してリターンする。
【0109】
本実施例では、第1カウントダウン演出としてCランクの予告演出の出現タイミングをカウントダウンする場合にA又はBランクの予告演出に切替えるか否かを判定する構成(第1擬似カウントダウン表示手段から第1変更手段を実施)としたが、最初からA又はBランクの予告演出の出現タイミングをカウントダウンする第1カウントダウン演出を実行してもよい。
【0110】
また、カウントダウンの時間が切替わる場合の擬似的なカウントダウンでは最初にCランクの予告演出が出現するタイミングのカウントダウンを開始するが、この場合Cランクの予告演出は出現してもしなくてもよく、切替わるタイミングはCランクの予告演出が出現するタイミングでなくてもよい。
【0111】
次に、図15に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する第1カウントダウン演出開始処理を説明する。本処理は、本発明の第1カウントダウン表示手段と、第1カウントダウン手段、又は第2カウントダウン手段と第1擬似カウントダウン表示手段に相当する。
【0112】
本処理を開始すると、第1カウントダウン開始フラグが1か否か判定し(S1100)、否定判定なら(S1100:no)リターンし、肯定判定なら(S1100:yes)、S1020でセットした開始タイマが所定値か否か判定し(S1105)、否定判定なら(S1105:no)リターンする。
【0113】
S1105が肯定判定、即ち、第1カウントダウン演出の開始時期に達したなら(S1105:yes)、S1025で設定した表示時間(タイミング)を参照し(S1100)、参照したタイミングで第1カウントダウン演出の表示を開始する指示信号を演出図柄制御装置82に送信し(S1115)、第1カウントダウン実行フラグに1をセットし(S1120)、第1カウントダウン開始フラグに0をセットして(S1125)リターンする。第1カウントダウン実行フラグは、サブ統合制御装置83が記憶する値であり、値が1なら第1カウントダウン表示を実行中であることを、値が0なら実行中でないことを判断する。
【0114】
次に、図16に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する第1カウントダウン演出実行処理を説明する。本処理も、本発明の第1カウントダウン表示手段と、第1カウントダウン手段、又は第2カウントダウン手段と第1擬似カウントダウン表示手段に相当する。
【0115】
本処理を開始すると、第1カウントダウン実行フラグが1か否か判定し(S1150)、否定判定なら(S1150:no)リターンし、肯定判定なら表示時間(タイミング)の演算を行う(S1155)。この場合、S1025で設定された表示時間を比較値として用い、インクリメント演算してもよいし、該表示時間からデクリメント演算を行ってもよい。
【0116】
S1155に続いては、S1155の演算値が表示更新時期か否か判定し(S1160)、否定判定なら(S1160:no)リターンし、肯定判定なら(S1160:yes)、第1カウントダウン表示のカウントダウン更新指示信号を演出図柄制御装置82に送信する(S1165)。この指示により、例えば「05:12」の表示が「05:11」となり、見た目にカウントダウンが実施される。
【0117】
続いて表示の終了時期(表示が「00:00」)か否か判定し(S1170)、否定判定なら(S1170:no)リターンし、肯定判定なら(S1170:yes)、第1カウントダウン表示の終了指示信号を演出図柄制御装置82に送信し(S1175)、第1カウントダウン実行フラグに0をセットして(S1180)リターンする。この第1カウントダウン表示を終了したタイミングでS1010で選択したCランクの予告演出、又は、後述する「第1カウントダウン演出切替処理」によって表示時間が切り替えられた場合はA、又はBランクの予告演出が演出図柄表示装置6に別処理に基づいて出現することになる。
【0118】
次に、図17に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する第1カウントダウン演出切替処理を説明する。本処理は、本発明の第1変更手段に相当する。
【0119】
本処理を開始すると、切替フラグが1か否か判定し(S1205)、否定判定なら(S1205:no)リターンし、肯定判定なら(S1205:yes)、S1040でセットした切替タイマの演算を行い(S1210)、演算値がカウントダウン表示の延長又は短縮を行う切替時期か否か判定し(S1215)、否定判定なら(S1215:no)リターンする。
【0120】
S1215が肯定判定なら(S1215:yes)、S1045で設定した変更時間を参照し(S1220)、第1カウントダウン表示の表示時間を参照した時間に切替える指示信号を演出図柄制御装置82に送信し(S1225)、切替フラグに0をセットして(S1230)リターンする。表示時間を切替えることにより、S1155で演算する表示時間が切替り、遊技者にはカウントダウンのタイミングが延長又は短縮されたように見える。
【0121】
なお、表示時間の切替により、基本的にはカウントダウン表示のタイミングが延長されることでB又はAランクの予告演出が出現するまでのタイミングを示唆するようになるが、稀に表示時間が短縮された場合は、大当り確定の予告演出が出現する構成としてもよい。この場合、カウントダウンタイミングの短縮は所謂プレミアム演出となり、この演出を備えることによって、遊技者のカウントダウン表示への注目度を上げることができる。
【0122】
次に、図18から図21を用いて演出図柄表示装置6に表示する演出表示例について説明する。図18は、特別図柄の変動表示に対応した擬似図柄変動表示の基本構成となる。具体的な表示内容は、画面中央が擬似図柄表示領域となりその中で左中右の擬似図柄が第1又は第2特別図柄の変動に対応して縦方向に変動を行う。画面の左下部は第1保留記憶数表示領域、画面右下部は第2保留記憶数表示領域となり、それぞれで保留記憶数に応じた保留図柄を表示する。図例では第1保留図柄が3個、第2保留図柄が0個であることを示している。
【0123】
図19の(1)A.B.C.は、第1カウントダウン手段による第1カウントダウン表示(期待度の低いCランクの予告演出(本発明の第1の予告演出に相当)が出現するタイミングを示唆)の流れを示している。図19(1)A.は第1カウントダウン表示開始時の表示例であり、具体的には、擬似図柄の変動中にカウントダウンタイマ表示部が画面上部に出現する。図例では、この時点(開始時)でCランクの予告演出が出現するまでのタイミングが「09:25」後であることを報知している。この「09:25」の表示は、第1カウントダウン演出実行処理によって定期的に値が小さくなるカウントダウン表示を行い、「00:00」になると予告演出(Cランク)が出現する。
【0124】
図19(1)B.Cは、A.からのカウントダウンを継続した表示が「00:00」になり、Cランクの予告演出が出現するタイミングに達した時点を示している。カウントダウン表示が「00:00」に達すると、カウントダウンタイマ表示部が消え、C.に示すようにカウントダウンタイマ表示に変わってキャラクタが出現する。Cランクの予告演出で出現するキャラクタは、大当り期待度は高くないがキャラクタの種類や態様の違いによって、リーチ、スーパーリーチへの発展を示唆する。
【0125】
図20図21の(1)A’.B’.C’.D’.E’は、第2カウントダウン手段による第1カウントダウン表示(Cランクよりも期待度の高いBランクの予告演出(本発明の第2の予告演出に相当)が出現するタイミングを示唆)の流れを示している。
図20(1)A’.は第2カウントダウン手段による第1カウントダウン表示開始時の表示例となるが、見た目には図19に示した第1カウントダウン手段による第1カウントダウン表示の開始時と何ら変わりがない(見分けがつかない)。
【0126】
具体的には、この場合も擬似図柄の変動中にカウントダウンタイマ表示部が画面上部に出現し、この時点(開始時)で予告演出が出現するまでのタイミングが「09:25」後であることを報知している。カウントダウンタイマ表示が示すこのタイミング(「09:25」)は、本来であればCランクの予告演出が出現するタイミングとなるが、内部的にはカウントダウン表示時間の切替を行うまでの時間を計時する切替タイマも作動しているため、表示が「00:00」になる以前にカウントダウン表示の数値が増加、又は短縮されることになる。
【0127】
図20(1)B’.C’.は、切替タイマの計時がカウントダウンタイマ表示の切り替え時間に達した時点の表示例となる。具体的には、表示例ではB’.に示すようにカウントダウンタイマ表示が「05:41」に達した時点(内部的に切替タイマが表示切替時期に達した時点(S1215:yes))でカウントダウンタイマ表示部の周辺が光るタイマ表示切替時演出を行い、C’.にしめすように表示が切替り「20:64」まで延長される。予告演出の出現するタイミングが延長(遅くなった)ことより、遊技者はこの時点でCランクよりも期待度が高い予告演出が出現することを認識する。
【0128】
図21のD’.は、図20C’.の「20:64」の表示からカウントダウンを継続し表示が「00:00」になり、Bランクの予告演出が出現するタイミングに達した時点を示している。カウントダウン表示が「00:00」に達すると、カウントダウンタイマ表示部が消え、E’.に示すようにカウントダウンタイマ表示に変わってCランクとは異なるBランクの予告演出(本発明の第2の予告演出に相当)キャラクタが出現する。この段階では既にリーチが成立しており、この予告演出の出現によりスーパーリーチ以上の期待度を示唆する。
【0129】
また本実施例のパチンコ機は、通常図柄で大当りとなった場合は大当り遊技中に昇格演出を行う構成となっており、所定のラウンドで昇格演出が実施されるが、その場合も昇格演出が出現するまでのタイミングを第2カウントダウン表示手段(大当り遊技中に出現する演出の出現タイミングを示唆するカウントダウン表示を実施)によるカウントダウン表示によって遊技者に知らせる演出を行う。
【0130】
本実施例の昇格演出は、昇格率が最も高いAランク(本発明の第2の有利度示唆演出に相当)、その次に高いBランク(本発明の第2の有利度示唆演出に相当)、最も低いCランク(本発明の第1の有利度示唆演出に相当)を備えており、カウントダウン表示を開始しそのままカウントダウンを最後まで継続した場合は昇格率がCランクの昇格演出が出現する確率が高く、カウントダウン表示の途中で表示が切替わった場合はA又はBランクの昇格演出が出現する確率が高くなっている。
【0131】
また、図5の始動入賞処理で主制御装置8から出力される先読判定コマンドに基づいて、複数の特別図柄の変動に跨って所謂連続演出としてカウントダウン表示を実施してもよく、カウントダウン表示とは異なる連続演出を複数の特別図柄の変動に跨って実施しながらカウントダウン表示も複数の特別図柄の変動に亘って実施してもよい。その場合のカウントダウン表示が示唆するタイミングは、当初は最後の変動以外で出現する予告演出の出現タイミングを示唆しながら、最後の変動で出現する予告演出のタイミングに変化する構成としてもよいし、当初のカウントダウン表示で連続演出の連続回数を示唆しながら、カウントダウン表示が変化することで連続回数が増加(期待感が増加)又は減少を示唆する構成も考えられ、1回の変動中に実施するカウントダウン表示よりも、長時間にわたって期待感を煽ることができる。
【0132】
以上が実施例の説明となる。本実施例のパチンコ機は大当り図柄の種類によって大当り遊技終了後の遊技状態を決定したが、大入賞口に特定領域を備え、大当り遊技中の所定のラウンドで該特定領域に遊技球が入球することに基づいて大当り遊技終了後が前記高確率状態に移行する構成とした場合、前記所定のラウンドのタイミングや該所定のタイミングが遊技球の入球可能な態様で大入賞口が作動するか否か等を示唆する信頼度の異なる複数の予告演出を備え、信頼度の違いに応じて表示時間が切替わるカウントダウン表示を行ってもよい。
【0133】
実施例では、カウントダウン表示が0になるタイミングでは予告演出と昇格演出が出現する構成としたが、他にもカウントダウン演出で出現タイミングを示唆する演出として、所謂擬似連(1回の特図の変動中に擬似図柄が複数回変動)を行うタイミングや、リーチ演出が変化や発展するタイミング等を備えてもよい。また、カウントダウン表示は、演出図柄表示装置6での様々な予告演出の出現タイミングだけでなく、遊技機が演出用に備えた可動役物の作動開始タイミングを示唆する構成も考えられ、この構成の場合もカウントダウン表示が変化するタイミングで装飾光がそれまでとは異なる発光を行うことで、演出図柄表示装置6で予告演出を出現させる場合と同様の効果を発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
以上のように、本発明の弾球遊技機によれば、カウントダウン表示によって予告演出が出現するタイミングを遊技者に示しながら、カウントダウンのタイミングを切替える場合があることによって、カウントダウン表示実施時に特定の予告演出の出現に偏らず、高信頼度の予告演出の出現も期待することが可能な弾球遊技機となり、期待度の異なる複数種類の予告演出を備えた弾球遊技機に適用することができる。
【符号の説明】
【0135】
1 遊技盤
6 演出図柄表示装置
11 第1始動口
12 第2始動口
15 普通電動役物
14 大入賞口
17 ゲート
80 主制御装置
82 演出図柄制御装置
83 サブ統合制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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