【文献】
SURESHBABU, V. V. et al.,Tetrahedron Letters,2008年,Vol. 49,pp. 5133-5136
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
PD−1シグナル伝達経路により媒介した免疫応答を調節するための薬の製造における、請求項1−46のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
癌は、骨癌、頭部又は首部の癌、膵臓癌、皮膚癌、皮膚又は眼内の悪性黒色腫、子宮内膜癌、頚部癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病を含む慢性または急性白血病、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌または尿管癌、腎盤癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、アスベストにより誘導されるものを含む環境により誘導される癌、および 前記癌の組み合わせから選択される、請求項50に記載の化合物の使用。
感染症は、HIV、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、リーシュマニア、ウイルス肝炎(A、B、&C)、ヘルペスウイルス(例えばVZV、HSV−I、HAV−6、HSV−II、およびCMV、エプスタイン−バーウイルス)アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウィルス、コロナウイルス、呼吸系発疹ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デング熱ウイルス、パピロマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、およびアルボウイルス脳炎ウイルスによる病原性の感染症、細菌クラミジア、リケッチア属の細菌、ミコバクテリア、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎レンサ球菌、髄膜炎菌およびconococci、クレブシェラ、プロテウス菌、セラチア、シュードモナス、大腸菌、legionella、ジフテリア、サルモネラ、バチルス、コレラ、テタヌス、ボツリスム、炭疽、ペスト、レプトスピラ症、およびライム病細菌による病原性の感染症、ならびに菌類カンジダ属(アルビカンス、クルセイ、グラブラータ、トロピカリスなど)、クリプトコッカス−ネオフォルマンス、アスペルギルス(フミガタス、ニガーなど)、ケカビ属(ケカビ、アブシジア、リゾプス)、スポロスリックスシェンキー、ブラストミセスデルマティティディス、パラコクシジオイデス−ブラジリエンシス、コクシジオイデスイミチス、およびヒストプラスマカプスラーツムによる病原性の感染症から選択される、請求項54に記載の化合物の使用。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、PD−1、PD−L1、又はPD−L2により誘発される免疫抑制シグナルの阻害を含む免疫強化を介した疾患の処置に有用な、治療剤としての1,2,4−オキサジアゾールと1,2,4−チアジアゾールの化合物、及びそれらを用いた治療を提供する。
【0016】
各実施形態は、本発明の制限ではなく、本発明の説明により提供される。実際、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明において様々な改変と変更を行うことができることは、当業者に明白である。例えば、1つの実施形態の一部として示され又は記載される特徴が、別の更なる実施形態をもたらすために別の実施形態に使用され得る。故に、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内で生ずるように、そのような改変と変更をカバーする。本発明の他の目的、特徴、及び態様は、以下の詳細な記載に開示されるか、又はそこから明白となる。現在の議論が例示的実施形態のみの記載であり、本発明のより広範囲の態様を制限すると解釈されるものでないことは、当業者によって理解されるものである。
【0017】
1つの実施形態において、本発明は式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩或いは立体異性体に関するものであり
【0018】
【化2】
式中、
QはS又はOであり;
R
1は、アルキル又はアシルで随意に置換された、アミノ酸Ser又はThrの側鎖であり;
R
2は水素又は−CO−Aaaであり;
Aaaはアミノ酸残基Thr又はSerであり;ここで、そのC末端は遊離末端であり、アミノ化又はエステル化され;
R
3は、Asn、Asp、Gln、又はGluから選択されたアミノ酸の側鎖であり;
−−−−−は随意の単結合であり;
R
4とR
5は独立して水素であるか、又は存在せず;
R
6は、水素、アルキル、又はアシルから選択される。
【0019】
また別の実施形態において、本発明は、式(IA)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩或いは立体異性体を提供し;
【0020】
【化3】
式中、R
1、R
3、及びAaaは、式(I)に定められるものと同じである。
【0021】
また別の更なる実施形態において、本発明は、式(IB)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩或いは立体異性体を提供し;
【0022】
【化4】
式中、R
1とR
3は、式(I)に定められるものと同じである。
【0023】
また別の実施形態に従って、本発明は式(I)の化合物を提供し、そこでは、
R
1はSer又はThrの側鎖であり;
R
2は−CO−Aaaであり;
Aaaはアミノ酸残基Thr又はSerであり;ここで、C末端は遊離しており;
R
3はAsn又はGluの側鎖である。
【0024】
また別の更なる実施形態において、QがSである式(I)に従う化合物が提供される。
【0025】
また別の更なる実施形態において、R
4が水素である式(I)に従う化合物が提供される。
【0026】
また別の更なる実施形態において、R
5が水素である式(I)に従う化合物が提供される。
【0027】
下記の実施形態は本発明の実例であり、特許請求の範囲を、例証された特異的な実施形態に制限するようには意図されていない。
【0028】
1つの実施形態に従い、R
1がSerの側鎖である、式(I)、(IA)、及び(IB)の化合物が特異的に提供される。
【0029】
別の実施形態に従い、R
1がThrの側鎖である、式(I)、(IA)、及び(IB)の化合物が特異的に提供される。
【0030】
また別の実施形態に従い、R
2が水素である、式(I)の化合物が特異的に提供される。
【0031】
また別の実施形態に従い、R
2が−CO−Aaaである、式(I)の化合物が特異的に提供される。
【0032】
また別の実施形態に従い、AaaがThrである、式(I)と(IA)の化合物が特異的に提供される。
【0033】
また別の実施形態に従い、AaaがSerである、式(I)と(IA)の化合物が特異的に提供される。
【0034】
また別の実施形態に従い、R
3がAsnの側鎖である、式(I)、(IA)、及び(IB)の化合物が特異的に提供される。
【0035】
また別の実施形態に従い、R
3がAspの側鎖である、式(I)と(IA)の化合物が特異的に提供される。
【0036】
また別の実施形態に従い、R
3がGlnの側鎖である、式(I)と(IA)の化合物が特異的に提供される。
【0037】
また別の実施形態に従い、R
3がGluの側鎖である、式(I)と(IA)の化合物が特異的に提供される。
【0038】
また別の実施形態に従い、QがOである、式(I)の化合物が特異的に提供される。
【0039】
また別の実施形態に従い、R
1がメチルなどのC
1−5アルキルで随意に置換されたSerの側鎖である、式(I)の化合物が特異的に提供される。
【0040】
また別の実施形態に従い、R
6が水素である、式(I)の化合物が特異的に提供される。
【0041】
また別の実施形態に従って、R
6が−C(O)CH
3、−C(O)CH
2CH
3、−C(O)(CH
2)
2CH
3、−C(O)(CH
2)
3CH
3、−C(O)(CH
2)
4CH
3、又は−C(O)(CH
2)
5CH
3などのアシルである、式(I)の化合物が特異的に提供される。
【0042】
また別の実施形態に従い、R
6がブチリルである、式(I)の化合物が特異的に提供される。
【0043】
また別の実施形態に従い、R
4とR
5が存在しない、式(I)の化合物が特異的に提供される。
【0044】
また別の実施形態に従い、AaaのC末端が遊離している(例えば−CO
2Hの形態)である、式(I)の化合物が特異的に提供される。
【0045】
また別の実施形態に従い、AaaのC末端がエステル化される(例えば、−CO
2Meの形態)、式(I)の化合物が特異的に提供される。
【0046】
また別の実施形態に従い、AaaのC末端がアミド化される(例えば、−CONH
2の形態)である、式(I)の化合物が特異的に提供される。
【0047】
また別の実施形態に従い、1以上の全てのアミノ酸がDアミノ酸である、式(I)、(IA)、及び(IB)の化合物が特異的に提供される。
【0048】
一実施形態において、任意の制限のない式(I)の特異的な化合物、又はその薬学的に許容可能な塩或いは立体異性体を、表(1)に列挙する:
【0051】
1つの実施形態において、本発明は、開示される化合物、及び薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0052】
別の実施形態において、前記医薬組成物は更に、抗癌剤、化学療法薬剤、又は抗増殖性化合物の少なくとも1つを更に含む。
【0053】
本発明に開示される化合物は、製剤の投与のために処方される。
【0054】
1つの実施形態において、本発明は、薬の調製に使用するための、本発明に開示される化合物を提供する。
【0055】
別の実施形態において、本発明は、癌又は感染症の処置用の薬の調製に使用するための、本発明に開示される化合物を提供する。
【0056】
1つの実施形態において、本発明は、細菌感染症、ウイルス性感染症、又は真菌類感染症の処置用の薬の調製に使用するための、本発明に開示される化合物を提供する。
【0057】
1つの実施形態において、本発明は、癌の処置用の薬の調製に使用される化合物を提供し、ここで、癌は、乳癌、結腸癌、肺癌、黒色腫、前立腺癌及び腎癌、骨癌、頭部又は首部の癌、膵臓癌、皮膚癌、皮膚又は眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、頚部癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性又は急性白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病を含む)、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌、腎盤癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、アスベストにより誘導されるものを含む環境により誘導される癌、及び前記癌の組み合わせから成る群から選択される。
【0058】
1つの実施形態において、本発明は、癌の処置に使用するための、本発明に開示される化合物を提供する。
【0059】
1つの実施形態において、本発明は、細菌感染症、ウイルス性感染症、又は真菌類感染症の処置に使用するための、本発明に開示される化合物を提供する。
【0060】
1つの実施形態において、本発明は癌の処置方法を提供し、該方法は、有効な量の本発明の化合物の、必要とする被験体への投与を含む。
【0061】
別の実施形態において、本発明は、被験体のPD−1シグナル伝達経路により媒介される免疫応答を調節する方法を提供し、該方法は、治療上有効な量の本発明の化合物を被験体に投与する工程を含み、それにより被験体の免疫応答が調節される。
【0062】
また別の実施形態において、本発明は、被験体における腫瘍細胞の増殖及び/又は転移を阻害する方法を提供し、該方法は、プログラム細胞死1(PD1)シグナル伝達経路を阻害することが可能な、治療上有効な量の本発明の化合物を被験体に投与する工程を含む。
【0063】
前記腫瘍細胞は癌を含むが、癌は、骨癌、頭部又は首部の癌、膵臓癌、皮膚癌、皮膚又は眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性又は急性白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病を含む)、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌、腎盤癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、アスベストにより誘導されるものを含む環境により誘導される癌、及び前記癌の組み合わせに限定されない。
【0064】
また別の更なる実施形態において、本発明は、被験体の感染症を処置する方法を提供し、該方法は、プログラム細胞死1(PD1)シグナル伝達経路を阻害することが可能な、治療上有効な量の本発明の化合物を被験体に投与する工程を含み、それにより被験体の感染症が処置される。
【0065】
また更に別の実施形態において、本発明は、被験体の細菌感染症、ウイルス性感染症、及び真菌類感染症を処置する方法を提供し、該方法は、プログラム細胞死1(PD1)シグナル伝達経路を阻害することが可能な、治療上有効な量の本発明の化合物を被験体に投与する工程を含み、それにより被験体の細菌感染症、ウイルス性感染症、及び真菌類感染症が処置される。感染症は、限定されないが、HIV、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、リーシュマニア、ウイルス肝炎(A、B、&C)、ヘルペスウイルス(例えばVZV、HSV−I、HAV−6、HSV−II、及びCMV、エプスタイン−バーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス(cornovirus)、呼吸系発疹ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デング熱ウイルス、パピロマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、及びアルボウイルス脳炎ウイルスによる病原性の感染症、細菌クラミジア、リケッチア属の細菌、ミコバクテリア、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎レンサ球菌(pneumonococci)、髄膜炎菌及びconococci、クレブシェラ、プロテウス菌、セラチア、シュードモナス、大腸菌、legionella、ジフテリア、サルモネラ、バチルス、コレラ、テタヌス、ボツリスム、炭疽、ペスト、レプトスピラ症、及びライム病細菌、菌類カンジダ属(アルビカンス、クルセイ、グラブラータ、トロピカリスなど)による病原性の感染症、クリプトコッカス−ネオフォルマンス、アスペルギルス(フミガタス、ニガー(niger)など)、ケカビ属(ケカビ、アブシジア、リゾプス(rhizophus))、スポロスリックスシェンキー、ブラストミセスデルマティティディス、パラコクシジオイデス−ブラジリエンシス、コクシジオイデスイミチス、及びヒストプラスマカプスラーツムによる病原性の感染症、及び、寄生生物エントアメーバヒストリティカ、大腸バランチジウム、ネグレリアフォーレリ、アカントアメーバ菌種(Acanthamoeba sp.)、ランブル鞭毛虫、クリプトスポリジウム菌種(Cryptosporidium sp.)、ニューモシスチス・カリニ、三日熱プラスモジウム、バベシア−ミクロチ、トリパノソーマ−ブルーセイ、クルーズトリパノソーマ、リーシュマニアドノバニ、トキソプラズマ・ゴンディ、ブラジル鉤虫による病原性の感染症を含む。
【0066】
本発明の化合物は、単一の薬剤として、又は、化合物が様々な薬理学的に許容可能な材料と混合された医薬組成物として使用されてもよい。
【0067】
医薬組成物は、経口又は吸入の経路により通常は投与されるが、非経口投与経路によっても投与することができる。本発明において、組成物は、例えば経口投与、静脈内注入、局所投与、腹腔内投与、膀胱内投与、又は鞘内投与され得る。非経口投与の例は、限定されないが、関節内(関節の中)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、及び皮下の経路を含み、水性及び非水性の等張性の無菌注射液を含み、これは、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、及び、製剤を意図したレシピエントの血液と等張にする溶質、及び、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び防腐剤を含み得る水性且つ非水性の無菌の懸濁液を含むことができる。経口投与、非経口投与、皮下投与、及び静脈内投与は、投与の好ましい方法である。
【0068】
本発明の化合物の投与量は、年齢、体重、症状、治療効力、投薬レジメン、及び/又は処置時間に依存して異なる。一般的に、それらは、成人の場合、2・3日に1回、3日に1回、2日に1回、1日1回乃至1日複数回の時間につき、1mg乃至100mgの量で、経口又は吸入の経路により投与されるか、或いは、1日に1乃至24時間、経口又は吸入の経路により連続して投与されてもよい。投与量は様々な条件に影響されるので、上記の投与量未満の量が十分に作用することもあり、或いは、それより高い投与量が幾つかの場合に必要とされることもある。
【0069】
本発明の化合物は、(1)本発明の予防薬物及び/又は治療薬物の予防効果及び/又は治療効果の補足及び/又は増強、(2)本発明の予防薬物及び/又は治療薬物の動態、吸収改善、投与量の減少、及び/又は、(3)本発明の予防薬物及び/又は治療薬物の副作用の減少のために、他の薬物と組み合わせて投与されてもよい。
【0070】
本発明の化合物と他の薬物を含む併用薬は、両方の構成成分が単一の製剤で含まれる組み合わせの調製物として投与されるか、又は別個の製剤として投与されてもよい。別個の製剤による投与は、同時投与と、幾つかの時間間隔を伴う投与を含む。幾つかの時間間隔を伴う投与の場合、本発明の化合物は最初に投与され、その後に別の薬物が投与され、或いは、別の薬物が最初に投与され、その後に本発明の化合物が投与され得る。それぞれの薬物の投与方法は同じか又は異なっていてもよい。
【0071】
他の薬物の投与量は、臨床的に使用された投与量に基づいて、適切に選択され得る。本発明の化合物と他の薬物の配合比は、投与される被験体の年齢と体重、投与方法、投与時間、処置する疾患、症状、及びそれらの組み合わせに従って、適切に選択され得る。例えば、他の薬物は、1質量部の本発明の化合物に基づいて、0.01乃至100質量部の量で使用されてもよい。他の薬物は、適切な比率で2種類以上の任意の薬物の組み合わせであってもよい。本発明の化合物の予防及び/又は治療効果を補足及び/又は増強する他の薬物は、既に発見されたものだけでなく、上記の機構に基づいて、今後発見されるものも含む。
【0072】
この併用が予防効果及び/又は治療効果を及ぼす疾患は、特に限定されない。併用薬は、本発明の化合物の予防効果及び/又は治療効果を補足及び/又は増強する限り、任意の疾患に使用され得る。
【0073】
本発明の化合物は、既存の化学療法剤と併用して、又は混合形態で使用され得る。化学療法剤の例は、アルキル化剤、ニトロソ尿素薬剤、抗代謝剤、抗癌抗生物質、植物由来のアルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン剤、ホルモン拮抗薬、アロマターゼ阻害剤、P−グリコプロテイン阻害剤、白金錯体誘導体、他の免疫療法薬、及び他の抗癌剤を含む。更に、化学療法剤は、白血球減少症(好中球減少症)処置薬、血小板減少症処置薬、制吐剤、及び癌性疼痛介入薬物などの癌治療補助剤と併用して、又は混合形態で使用され得る。
【0074】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、他の免疫調節剤及び/又は増強剤と併用して、又は混合形態で使用され得る。免疫調節剤の例は、様々なサイトカイン、ワクチン、及びアジュバントを含む。免疫応答を刺激するこれらサイトカイン、ワクチン、及びアジュバントの例は、GM−CSF、M−CSF、G−CSF、インターフェロン−α、β、又はγ、IL−1、IL−2、IL−3、IL−12、ポリ(I:C)、及びC
pGを含むが、これらに限定されない。
【0075】
別の実施形態において、増強剤は、シクロホスファミド及びシクロホスファミドのアナログ、抗TGFβ及びイマチニブ(Gleevac)、有糸分裂阻害剤(パクリタキセルなど)、スニチニブ(スーテント)又は他の血管新生阻害剤、アロマターゼ阻害剤(レトロゾールなど)、A2aアデノシン受容体(A2AR)アンタゴニスト、血管形成阻害剤、アントラサイクリン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、TLR4アンタゴニスト、及びIL−18アンタゴニストを含む。
【0076】
他に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本明細書における主題が属する技術分野における当業者によって、一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用されるように、以下の定義は、本発明についての理解を促進するために提供される。
【0077】
本明細書で使用されるように、用語「化合物(複数)」は本発明に開示された化合物を指す。
【0078】
本明細書で使用されるように、用語「含む(comprise)」又は「含むこと(comprising)」は、含む(include)の意味で通常は使用され、つまり1以上の機能又は構成成分の存在を許容することを言う。
【0079】
本明細書で使用されるように、用語「含むこと(including)」は、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、制限されない。
【0080】
本明細書で使用されるように、用語「随意に置換した」は、アルキル、アルコキシ、アシル、ハロ、及びヒドロキシルを含むが、これらに限定されない特定の置換基のラジカルによる、与えられた構造における1以上の水素ラジカルの置き換えを指す。置換基は更に置換されることが理解される。
【0081】
本明細書で使用されるように、用語「アルキル」は炭化水素鎖ラジカルを指し、それは、バックボーンにおいて単独で炭素と水素原子を含み、不飽和を含まず、1乃至20の炭素原子(即ち、C
1−20アルキル)又は1乃至10の炭素原子(即ち、C
1−10アルキル)或いは1乃至5の炭素原子(即ち、C
1−5アルキル)を有し、且つ、単結合(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、又はネオペンチルを含むが、これらに限定されない)によって分子の残りに付けられるものである。それとは反対に説明又は詳述されない限り、本明細書に記載され又は請求されるアルキル基は全て、直鎖又は分枝鎖であり、置換されている又は置換されなくてもよい。
【0082】
本明細書で使用されるように、用語「アシル」は、RC(O)−を指し、ここで、Rは上記に定義されるようなアルキルである。アシル基の例は、アセチル、−C(O)(CH
2)
4CH
3、−C(O)(CH
2)
6CH
3、及び−C(O)(CH
2)
8CH
3を含むが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書で使用されるように、用語「アミド化したC末端」は、アミノ酸のC末端がアミドの形態であるものを指す。
【0084】
本明細書で使用されるように、用語「アミド形態」は、一級、二級、及び/又は三級のアミドを指し、式−C(O)NR
xR
yによって表わされてもよく、ここで、R
xとR
yの各々は独立して水素又はアルキルを表わす。
【0085】
本明細書で使用されるように、用語「アミノ」は、−NH
2基を指す。それとは反対に説明又は詳述されない限り、本明細書に記載され又は請求されるアミノ基は全て、置換されるか又は置換されなくてもよい。
【0086】
本明細書で使用されるように、用語「アミノ酸」は、アルファ炭素においてL又はD原子配置を有するアミノ酸を指す。アミノ酸上の任意の置換基は、特定の置換基のラジカルによる、与えられた構造における1以上の水素ラジカルの置き換えを意味し、セリン又はトレオニンなどのヒドロキシル基を含有するアミノ酸の場合、ヒドロキシル基は特定の置換基で置換され得る。
【0087】
本明細書で使用されるように、用語「アリール」は、1又は2の環を含有するC
4−C
10炭素環式芳香族系を指し、そのような環は縮合されてもよい。アリール基の例は、フェニル及びナフチルを含むが、これらに限定されない。
【0088】
本明細書で使用されるように、用語「アリールアルキル」は、アルキル基に直接結合される、上記に定義されるようなアリール基を指す(例えば、ベンジルなど)。
【0089】
本明細書で使用されるように、用語「カルボン酸」は、−COOH基を指す。
【0090】
本明細書で使用されるように、用語「カップリング剤」は、カルボキシ部分のヒドロキシル部分と反応し、それによりそれを求核攻撃に影響されやすいものにする、化合物を意味する。この種のカップリング剤は当該技術分野で既知であり、EDCI、HATU、HOBt、DIC、及びDCCを含むが、これらに限定されない。
【0091】
本明細書で使用されるように、用語「エステル」は、(C
1−C
6)直鎖又は分枝鎖アルキル、(C
4−C
10)アリール、(C
4−C
10)ヘテロアリール又はアリールアルキルのエステルを指す。
【0092】
本明細書で使用されるように、用語「エステル化したC末端」は、アミノ酸のC末端がエステルの形態であるものを指す。
【0093】
本明細書で使用されるように、用語「遊離C末端」は、アミノ酸のC末端が−CO
2H形態であるものを指す。
【0094】
本明細書で使用されるように、用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を含む。
【0095】
本明細書で使用されるように、用語「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、−OH基を指す。
【0096】
「薬学的に許容可能な塩」は、その塩の1つの形態において、特に、活性成分の遊離形態又は以前に使用した活性成分の他の塩形態と比較して、この塩の形態が活性成分に改善された薬物速度論的特性を与える場合に、式(I)の化合物を含む活性成分を意味すると、捉えられる。活性成分の薬学的に許容可能な塩形態はまた、以前になかった所望の薬物速度論的特性を伴うこの活性成分を初めて提供することができ、更に、身体におけるその治療効果に関するこの活性成分の薬動力学に対する陽性の影響を有し得る。
【0097】
「薬学的に許容可能な」は、通常安全であり、無毒であり、生物学的にも望ましくない医薬組成物の調製に有用なものを意味し、獣医学、同様にヒトの薬学的使用に許容可能なものを含む。
【0098】
用語「立体異性体(stereoisomer/stereoisomers)」は、式(I)の化合物の任意のエナンチオマー、ジアステレオマー、又は幾何異性体を指し、その場合は常に、それらはキラルであり、又は1以上の二重結合を有する。式(I)及び関連する式の化合物がキラルである場合、それらは、ラセミ体又は光学的に活性な形態で存在することができる。本発明に従う化合物のラセミ体又は立体異性体の医薬活性は異なり得るので、エナンチオマーを使用することが望ましいこともある。これらの場合、最終生成物、又は中間体までもが、当業者に既知の、又は合成などにおいても利用される、化学的又は物理的測定によりエナンチオマー化合物に分離され得る。ラセミアミンの場合、ジアステレオマーは、光学的に活性な分割剤との反応により混合物から形成される。適切な分割剤の例は、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、適切なN保護したアミノ酸(例えば、N−ベンゾイルプロリン又はN−ベンゼンスルホニルプロリン)、或いは様々な光学的に活性なカンファースルホン酸のR及びSの形態などの、光学的に活性な酸である。また、光学的に活性な分割剤(例えば、シリカゲル上に固定された、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロース、又は炭水化物の他の誘導体、或いはキラルに誘導されたメタクリル酸塩重合体)の補助によるクロマトグラフィーのエナンチオマー分解能も利点である。
【0099】
用語「被験体」は、家庭動物(例えば、ネコとイヌを含む家庭のペット)及び非家庭動物(野生生物など)といった、哺乳動物(特にヒト)及び他の動物を含む。
【0100】
句「治療上有効な量」又は「有効な量」は、(i)特定の疾患、障害、又は症候群を処置又は予防し、(ii)特定の疾患、障害、又は症候群の1以上の症状を減らし、回復し、又は除去し、或いは(iii)本明細書に記載される特定の疾患、障害、又は症候群の1以上の症状の発症を遅らせるのに十分な量の、本発明の化合物を指す。癌の場合、治療上有効な量の薬物は、癌細胞の数を減らし;癌の大きさを小さくし;末梢器官への癌細胞侵入を阻害し(即ち、ある程度まで遅くし、或いは止める);腫瘍転移を抑え(即ち、ある程度まで遅くし、或いは止める);腫瘍増殖をある程度まで阻害し;及び/又は、癌に関連した1以上の症状をある程度まで和らげることがある。感染症状態の場合、治療上の有効な量は、感染症、最近、ウイルス、及び菌により引き起こされる感染の症状を低下させる又は緩和するのに十分な量である。
【0101】
自然発生のアミノ酸は、以下の表2に示される従来の3文字の略語による明記の全体にわたって同定される:
【0103】
本明細書全体において使用される略語を、その特定の意味とともに以下に要約する。
【0104】
℃(摂氏温度);δ(デルタ);%(パーセンテージ);ブライン(NaCl溶液);CDI CH
2Cl
2/DCM(ジクロロメタン);DMF(ジメチルホルムアミド);DMSO(ジメチルスルホキシド);DCC(ジクロロへキシルカルボジイミド);DIC(N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド);DMSO−d
6(重水素化DMSO);EDC.HCl/EDCI(1−(3−ジメチル・アミノプロピル)−3−カルボジイミド塩酸塩);Et
2NH(ジエチルアミン);EtOH(エタノール);EtOAc(酢酸エチル);EFC(クロロギ酸エチル);Fmoc(フルオレニルメチルオキシカルボニル塩化物);g又はgr(グラム);H又はH
2(水素);H
2O(水);HOBt/HOBT(1−ヒドロキシ・ベンゾトリアゾール);HCl(塩酸);h又はhr(時間);HATU(2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチル・ウラニウム・ヘキサフルオロ・リン酸塩・メタンアミニウム(methanaminium));Hz(ヘルツ);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);K
2CO
3(炭酸カリウム);LiOH(水酸化リチウム);LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析);mmol(ミリモル);M(モル);μl(マイクロリットル);mL(ミリリットル);mg(ミリグラム);m(ジクロロへキシルカルボジイミド);MHz(多重項);MS(ES)(質量分析−電気噴霧);min.(分);Na(ナトリウム);NaHCO
3(重炭酸ナトリウム);NaOAc(酢酸ナトリウム);NMM(N−メチルモルホリン);Na
2SO
4(硫酸ナトリウム);N
2(窒素);NMR(核磁気共鳴法);NH3(アンモニア);NH
2OH.HCl(塩酸ヒドロキシルアミン);PD−L1(プログラム死−リガンド1);PD−L2(プログラム細胞死1 リガンド2);prep−HPLC/分取HPLC(分取高速液体クロマトグラフィー);S(一重項);
tBu(第三級ブチル);TEA/Et
3N(トリエチルアミン);TFA(トリフルオロ酢酸);TFAA(トリフルオロ酢酸(Trifluroacetic)無水物);TLC(薄層クロマトグラフィー);THF(テトラヒドロフラン);TIPS(トリイソプロピルシラン);TFA/CF
3COOH(トリフルオロ酢酸);t(三重項);t
R=(保持時間);Trt(トリフェニルメタン);など。
【実施例】
【0105】
<実験>
本発明の実施形態は、適切な材料を使用して、以下の実施例の手順に従い、式(I)の化合物の調製を提供する。当業者は、以下の調製手順の条件とプロセスの既知の様々な変形が、これら化合物を調製するのに使用され得ることを理解する。更に、詳述された手順の利用により、当業者は、本発明の付加的な化合物を調製することができる。
【0106】
出発物質は通常、Sigma−Aldrich(アメリカ合衆国又はドイツ);Chem−Impex(アメリカ合衆国);G.L. Biochem(中国)、及びSpectrochem(インド)などの、商業的供給減から利用可能である。
【0107】
<化合物の精製と特徴化>
分析HPLC方法:ZIC HILIC 200A°カラム(4.6mm×250mm、5μm)、流速:1.0ml/minを使用して、分析HPLCを行う。使用される溶出条件は次のとおりである:バッファーA:5mmolの酢酸アンモニウム、バッファーB:アセトニトリル、カラムと90%のバッファーBとの平衡、及び、30分の間、90%乃至40%のバッファーBの勾配による溶出。
【0108】
分取HPLC方法:SeQuant ZIC HILIC 200A°カラム(10mm×250mm、5μm)、流速:5.0ml/minを使用して、分取HPLCを行う。使用される溶出条件は次のとおりである:バッファーA:5mmolの酢酸アンモニウム(酢酸によりpH−4に調節する)、バッファーB:アセトニトリル、カラムと90%のバッファーBとの平衡、及び、20分の間、90%乃至40%のバッファーBの勾配による溶出。
【0109】
Mercury MSカラムを使用する、G1315 B DADを伴うAgilent1100シリーズのHPLCを備えるAP1 2000 LC/MS/MS triple quad(Applied bio systems)の上で、又は、Mercury MSカラムを使用する、G1315 B DADを伴うAgilent1100シリーズのHPLCを備えるAgilent LC/MSD VL single quadを使用して、又は、SPD−20 A DADを伴うProminence UFLCシステムを備えるShimadzu LCMS2020 single quadを使用して、LCMSを行った。
【0110】
<実施例1:化合物1の合成>
【0111】
【化5】
【0112】
【化6】
クロロギ酸エチル(1.5g、13.78mmol)とN−メチルモルホリン(1.4g、13.78mmol)を、THF(30mL)における化合物1a(3g、11.48mmol)の溶液に加えて、−20℃で撹拌した。20分後、液体アンモニア(0.77g、45.92mmol)を、インサイツで(in−situ)形成された活性混合無水物に加えて、0−5℃で20分間撹拌した。TLC分析により反応の完了を確認した。反応混合物を減圧下で蒸発させて、水と酢酸エチルの間で分割した。有機質層をNaHCO
3、クエン酸、そしてブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で蒸発させて、2.9gの化合物1b(収率:96.3%)を得た。LCMS:261.0(M+H)
+。
【0113】
【化7】
トリフルオロ酢酸無水物(9.7g、46.0mmol)を、ピリジン(24.3g、307.0mmol)における化合物1b(8g、30.7mmol)の溶液に加えて、室温で3時間撹拌した。TLC分析により反応の完了を確認した。反応混合物を減圧下で蒸発させて、水と酢酸エチルの間で分割した。有機質層をNaHCO
3、クエン酸、そしてブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で蒸発させて、7gの化合物1c(収率:94.0%)を得た。LCMS:187.2(M−
tBu)
+。
【0114】
【化8】
塩酸ヒドロキシルアミン(3g、43.37mmol)と炭酸カリウム(6g、43.37mmol)を、EtOH(70mL)における化合物1c(7g、28.91mmol)の溶液に加えて、90℃で2時間撹拌した。TLC分析により反応の完了を確認した。反応混合物を減圧下で蒸発させて、水と酢酸エチルの間で分割した。有機質層をブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗製の化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出:ヘキサンにおいて0−5%の酢酸エチル)により精製して、4.2gの化合物1d(収率:52.8%)を得た。LCMS:276.4(M+H)
+。
【0115】
【化9】
Deoxo−Fluor(登録商標)(1.83g、8.3mmol)を、CH
2Cl
2(50mL)におけるFmoc−Asn(Trt)−OH(4.5g、7.5mmol)の溶液に加えて、0℃で3時間撹拌した。その後、CH
2Cl
2を蒸発させ、ヘキサンで微細化し、真空下で蒸発させて、対応する酸フルオリドを得た。THFにおけるNMM(1.17g、11.6mmol)と化合物1d(1.6g、5.8mmol)を酸フルオリドに加えて、室温で12時間撹拌した。その後、THFを蒸発させ、酢酸ナトリウム(0.72g、8.7mmol)を、次にEtOH(50mL)を加えた。反応混合物を90℃で2時間撹拌した。TLC分析により反応の完了を確認した。反応混合物を減圧下で蒸発させて、水と酢酸エチルの間で分割した。有機質層をNaHCO
3、クエン酸、そしてブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で濃縮して、それを更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出:ヘキサンにおいて0−5%の酢酸エチル)により精製して、2.8gの化合物1e(収率:44.4%)を得た。LCMS:836.4(M+H)
+。
【0116】
【化10】
CH
2Cl
2(10mL)における化合物1e(2.3g、2.7mmol)に、ジエチルアミン(10mL)を加えて、反応混合物を室温で30分間撹拌した。結果として生じる溶液を真空中で濃縮して、粘着性の残留物を得た。粗製の化合物を中性のアルミナカラムクロマトグラフィー(溶出:ヘキサンにおいて0−5%の酢酸エチル、そしてクロロホルムにおいて0−5%のメタノール)により精製して、1.4gの1f(収率:90%)を得た。LCM:636.5(M+H)
+。
【0117】
【化11】
CH
2Cl
2(5mL)における化合物1f(0.45g)の溶液に、トリフルオロ酢酸(5mL)と触媒量のトリイソプロピルシランを加え、室温で3時間撹拌することで、酸に感受性のある保護基を取り除いた。結果として生じる溶液を真空中で濃縮して、0.29gの粗製の化合物1を得て、それを実験条件の下で、記載された分取HPLC方法を使用して精製した。
1H NMR(DMSO−d
6、400MHz):δ2.58(m、2H)、3.53(m、3H)、3.91(t、1H)、4.36(t、1H)、6.91(s、1H)、7.45(s、1H);
13C NMR(DMSO−d
6、400MHz):δ20.85、45.71、50.23、65.55、171.03、171.41、181.66。LCMS:216.2(M+H)
+。HPLC:t
R=13.1min。
【0118】
<実施例2:化合物2の合成>
【0119】
【化12】
【0120】
【化13】
化合物1f(2.7g、4.39mmol)を、室温でTHF(30mL)の中で、化合物2b(1.67g、4.39mmol)とカップリングさせることにより、尿素結合を行った。THF(10mL)におけるTEA(0.9g、8.78mmol)の追加によりカップリングを開始して、結果として生じる混合物を室温で撹拌した。完了の20時間後、THFを反応質量から蒸発させて、水と酢酸エチルの間で分割した。有機質層を水とブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で濃縮することで、化合物2aを得て、それを更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出:ヘキサンにおいて0−5%の酢酸エチル)により精製して、3.46gの化合物2a(収率:92.10%)を得た。LCMS 857.4(M+H)
+。
【0121】
【化14】
CH
2Cl
2(5mL)における化合物2a(0.22g、0.25mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(5mL)と触媒量のトリイソプロピルシランを加え、室温で3時間撹拌した。結果として生じる溶液を減圧下で濃縮して、0.35gの粗製の化合物を得た。実験条件の下で、記載された分取HPLC方法を使用して、粗製の固形材料を精製した。LCMS:347.1(M+H)
+。HPLC:t
R=12.9min。
【0122】
<化合物2b(NO
2−C
6H
4−OCO−Thr(O
tBu)−O
tBu)の合成>
【0123】
【化15】
CH
2Cl
2(20mL)における化合物 H−Ser(
tBu)−O
tBu(2g、9.2mmol)に、トリエチルアミン(1.39g、13.8mmol)を加えて、溶液を室温で5−10分間撹拌した。この混合物に、CH
2Cl
2における4−ニトロフェニル・クロロホルメート(2.22g、11.04mmol)の溶液を加え、結果として生じる混合物を室温で30分間撹拌した。TLC分析により反応の完了を確認した。反応の完了後、反応混合物をCH
2Cl
2で希釈し、水と5.0Mのクエン酸溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で蒸発させることで、粗製の化合物2bを得て、それを更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出:ヘキサンにおいて0−20%の酢酸エチル)により精製して、2.1g(58.9%)の2bを得た。
【0124】
<実施例3:化合物3の合成>
【0125】
【化16】
実施例1(化合物1)に表されるものと同様の手順を使用して化合物を合成し、D−アミノ酸を逆の順で結合する。Boc−Ser(
tBu)−OH(化合物1a、実施例1)の代わりにBoc−D−Thr(
tBu)−OHを使用し、Fmoc−Asn(trt)−OHの代わりにFmoc−D−Asn(trt)−OHを使用して、化合物3の0.15gの粗製材料を得た。LCMS:230.1(M+H)
+。
【0126】
<実施例4:化合物4の合成>
【0127】
【化17】
H−Ser(
tBu)−O
tBu(化合物2bの合成における)の代わりにH−Thr(
tBu)−O
tBuを使用し、化合物2を合成するための実施例2に表されるものと同様の手順を使用して化合物を合成し、表題化合物の0.35gの粗製材料を得た。実験条件の下で、記載された分取HPLCを使用して、粗製の固形材料を精製した。LCMS:361.2(M+H)
+、HPLC:t
R=12.19min。
【0128】
<実施例5:化合物5の合成>
【0129】
【化18】
実施例4(化合物4)に表されるものと同様の手順を使用して化合物を合成し、D−アミノ酸を逆の順で結合する。Boc−Ser(
tBu)−OHの代わりにBoc−D−Thr(
tBu)−OHを使用し、H−Thr(
tBu)−O
tBuの代わりにH−D−Ser(
tBu)−O
tBuを使用して、表題化合物の0.3gの粗製材料を得た。実験条件の下で、記載された分取HPLCを使用して、粗製の固形材料を精製した。LCMS:361.3(M+H)
+。HPLC:t
R=13.58min。
【0130】
<実施例6:化合物6の合成>
【0131】
【化19】
H−Ser(
tBu)−O
tBu(化合物2bの合成における)の代わりにH−Thr(
tBu)−OMeを使用し、実施例2に表されるものと同様の手順を使用して化合物を合成し、表題化合物の0.2gの粗製材料を得た。実験条件の下で、記載された分取HPLCを使用して、粗製の固形材料を精製した。LCMS:375.1(M+H)
+、HPLC:t
R=11.84min。
【0132】
<実施例7:化合物7の合成>
【0133】
【化20】
【0134】
【化21】
H−Ser(
tBu)−O
tBuの代わりにH−Thr(
tBu)−OMeを使用し、化合物2a(実施例2、工程2a)のものと同様の手順を使用して化合物7aを合成することで、粗製材料を得て、それを更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出:ヘキサンにおいて0−50%の酢酸エチル)により精製して、2.0gの化合物7a(収率:74%)を得た。LCMS:829.2(M+H)
+。
【0135】
【化22】
THF(5mL)における化合物7a(0.35g、4.0mmol)の溶液に、0℃で水酸化リチウム(0.026g、0.63mmol)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。TLC分析により反応の完了を確認した。THFを反応質量から蒸発させて、水と酢酸エチルの間で分割した。有機質層をクエン酸とブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で濃縮することで、7bを得て、それを更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出:DCMにおいて0−5%のメタノール)により精製して、0.3gの生成物7b(収率:86.7%)を得た。LCMS 815.2(M+H)
+。
【0136】
【化23】
DMF(1mL)においてHOBT(0.072g、0.54mmol)とDIC(0.068g、0.54mmol)の方法を使用して、化合物7b(0.295g、0.39mmol)をリンクアミド樹脂(Rink amide resin)(0.7g、0.55mmol/g)に固定した。樹脂を室温で12時間撹拌した。樹脂をDCM、DMF、及びDCMで洗浄し、乾燥した。TFA(5mL)と触媒量のTIPSを使用して、標的の化合物をリンクアミド樹脂から開裂した。時折撹拌しながら室温で2時間、樹脂が残るようにした。2時間後、TFAとTIPSを窒素大気下で蒸発させ、結果として生じる残留物をエーテルで洗浄して、表題化合物7の0.1gの粗製材料を得た。実験条件の下で、記載された分取HPLCを使用して、粗製の固形材料を精製した。LCMS:360.0(M+H)
+、HPLC:t
R=13.88min。
【0137】
<実施例8:化合物8の合成>
【0138】
【化24】
Fmoc−Asn(Trt)−OHの代わりにFmoc−Glu(O
tBu)−OHを使用し、実施例2(化合物2)に表されるものと同様の手順を使用して化合物を合成し、表題化合物の0.4gの粗製材料を得た。実験条件の下で、記載された分取HPLCを使用して、粗製の固形材料を精製した。LCMS:362.1(M+H)
+。HPLC:t
R=13.27min。
【0139】
以下の表3の化合物を、上述の実験手順に基づいて調製した。
【0140】
【表3-1】
【0141】
【表3-2】
【0142】
【表3-3】
【0143】
<実施例9:組み換え型PD−L1/PD−L2の存在下でのマウス脾細胞増殖の救済>
組み替えマウスPD−L1(rm−PDL−1、cat no:1019−B7−100;R&D Systems)を、PD−L1のソースとして使用した。
【0144】
<要件>
6−8週齢のC57 BL6マウスから採取したマウス脾細胞;RPMI 1640(GIBCO、Cat#11875);高グルコースを備えたDMEM(GIBCO、Cat#D6429);ウシ胎児血清[Hyclone、Cat#SH30071.03];ペニシリン(10000単位/ml)−ストレプトマイシン(10,000μg/ml)の液体(GIBCO、Cat#15140−122);MEMピルビン酸ナトリウム溶液100mM(100x)、液体(GIBCO、Cat#11360);非必須アミノ酸(GIBCO、Cat#11140);L−グルタミン(GIBCO、Cat#25030);抗CD3抗体(eBiosciences− 16−0032);抗CD28抗体(eBiosciences− 16−0281);ACK溶解バッファー(1mL)(GIBCO、Cat#−A10492);Histopaque(密度−1.083gm/mL)(SIGMA 10831);トリパンブルー溶液(SIGMA−T8154);2mLのNorm Ject Luer Lock syringe−(Sigma 2014−12);40μmのナイロン細胞ストレーナー(BD FALCON35230);血球計(Bright line−SIGMA Z359629);FACSバッファー(PBS/0.1%のBSA):0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)(SIGMA A7050)とナトリウムアジド(SIGMA 08591)を備えたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH 7.2(HiMedia TS1006);CFSEの5mMの貯蔵溶液:CFSE貯蔵溶液は、180μLのジメチルスルホキシド(DMSO C
2H
6SO、SIGMA−D−5879)により、凍結乾燥したCFSEの希釈によって調製され、更なる使用のためにチューブに等分された。作用濃度(Working concentrations)は、10μMから1μMまで滴定された。(eBioscience−650850−85);0.05%のトリプシンと0.02%のEDTA(Sigma 59417C);96−ウェル・フォーマットELISAプレート(Corning CLS3390);BD FACSキャリバー(E6016);組み替えマウスB7−H1/PDL1 Fcキメラ(rm−PD−L1 cat no:1019−B7−100)。
【0145】
<プロトコル>
<脾細胞の調製と培養>
40μmの細胞ストレーナーの中でマウスの脾臓をつぶすことにより50mLのファルコン・チューブに採取した脾細胞を、室温で5分間、1mLのACK溶解バッファーで更に処理した。9mLのRPMI完全培地での洗浄後、15mLのチューブの中にある3mLの1×PBSにおいて細胞を再懸濁した。脾細胞懸濁液が重なるのを妨げることなく、3mLのHistopaqueをチューブの底に注意深く加えた。室温で20分間、800xgで遠心分離した後、脾細胞の不透明な層を、妨害/混合することなく、注意深く集めた。脾細胞を冷たい1×PBSで2回洗浄し、その後、トリパンブルー除去法を使用して細胞を計数して、更に細胞ベースのアッセイに使用した。
【0146】
脾細胞をRPMI完全培地(RPMI+10%のウシ胎仔血清+1mMのピルビン酸ナトリウム+10,000単位/mLのペニシリンと10,000μg/mLのストレプトマイシン)の中で培養し、37℃で5%のCO
2を伴うCO
2インキュベーターの中で維持した。
【0147】
<CFSE増殖アッセイ>
CFSEは、細胞に受動的に拡散し、且つ細胞内タンパク質に結合する色素である。1×10
6細胞/mLの採取した脾細胞を、37℃で10分間、予め暖めた1×PBS/0.1%のBSA溶液の中で、5μMのCFSEで処理した。5の容量(volume)の氷冷培地を使用して過剰なCFSEをクエンチし、5分間氷の上でインキュベートした。CFSE標識脾細胞を更に、氷冷の完全RPMI培地で3回洗浄した。CFSE標識の1×10
5脾細胞を、MDAP−MB231細胞(高グルコースDMEM培地の中で培養された1×10
5細胞)又は組み換え型ヒトPDL−1(100ng/mL)の何れかと、試験化合物とを含有するウェルに加えた。抗マウスCD3抗体と抗マウスCD28抗体(各々1μg/mL)で脾細胞を刺激し、培養物を5%のCO
2により37℃で72時間、更にインキュベートした。細胞を採取し、氷冷FACSバッファーで3回洗浄し、488nmの励起フィルタと521nmの発光フィルタを備えたフローサイトメトリーにより%増殖を分析した。
【0148】
<データの編集、処理、及び推測>
細胞探究(cell quest)FACSプログラムを使用してパーセント脾細胞増殖を分析し、%バックグラウンド増殖値の演繹と、刺激した脾細胞増殖(正の対照)の%を100%に標準化した後、化合物による脾細胞増殖のパーセント救済を推測した。
刺激された脾細胞:脾細胞+抗CD3/CD28刺激
バックグラウンド増殖:脾細胞+抗CD3/CD28+PD−L1
化合物増殖:脾細胞+抗CD3/CD28+PD−L1+化合物
リガンド(PDL−1)の存在下で、所望の濃度の化合物を、抗CD3/CD28で刺激した脾細胞に加えることにより、化合物の効果を調べる(表4)。
【0149】
【表4】