【実施例】
【0102】
本発明は、本発明のある特定の局面の純粋に例示であることが意図されかつ本発明の範囲を限定する事は意図されない以下の実施例を参照することによってさらに理解される。
【0103】
下記の実施例において、および明細書の全体を通じて、以下の略語は以下の意味を有する。定義されていなければ、用語は、一般に受け入れられているその意味を有する。
AcOH = 酢酸
DMAC = N,N-ジメチルアセトアミド
DMF = N,N-ジメチルホルムアミド
DMI = 1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン
DMSO = ジメチルスルホキシド
g = グラム
IPA = イソプロパノール
IPAC = 酢酸イソプロピル
kg = キログラム
L = リットル
mbar = ミリバール
ml = ミリリットル
mol eq = モル当量
MTBE = メチルtert-ブチルエーテル
TBAC = テトラ-n-ブチルアンモニウムクロリド
TBAHS = テトラ-n-ブチルアンモニウム硫酸水素塩
w/v = 重量/容量
w/w = 重量/重量
【0104】
一般的な手順
Bruker Avance 400分光計を300 Kで用いて、プロトン(
1H)および炭素(
13C)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを取得した。サンプルは、トリメチルシラン(TMS)を含有するd
6-DMSO (d
6-ジメチルスルホキシド)、またはd
4-MeOD (d
4-メタノール)中の溶液として調製された。NMRデータは各シグナルの記述で、標準的な略語(s = 一重線、d = 二重線、m = 多重線、t = 三重線、q = 四重線、br = 広域など)を用い、化学シフト(δ, ppm単位)のリストとして報告されている。スペクトルはd
6-DMSO (δ = 2.50 ppm)またはd
4-MeOD (δ = 3.30 ppm)を基準とした。共鳴の記述のなかで、測定された場合、J-結合定数が記載されている。当技術分野において周知であるように、分析物濃度のバラツキのような、サンプル調製のバラツキの結果として、化学シフトおよびJ-結合定数のわずかなバラツキが生じることもある。
【0105】
Bruker micrOTOF-Q四重極飛行時間型質量分析計を用いて、質量分析データを得た。正イオンエレクトロスプレイイオン化を用いてサンプルを分析した。正確な質量測定を用いて、結果的に生じたイオンの元素式を決定した。
【0106】
伝熱ジャケットを装着し、適切な付属機器で保守点検されるガラスライニング鋼製反応器の中で大規模反応を実行した。より小規模なプロセスの場合には、標準的な実験用ガラス製品および機器を用いた。出発材料、溶媒および試薬は、商業的に購入し、供給されたままの状態で用いた。
【0107】
実施例1
リン酸[6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル二ナトリウム六水和物の調製
【0108】
段階A:6-[(2-クロロ-5-フルオロ-ピリミジン-4-イル)アミノ]-2,2-ジメチル-4H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-3-オンの調製
5-フルオロピリミジン-2,4-ジオール(525 kg, 1.00 mol当量)をオキシ塩化リン(1545 kg, 2.50 mol当量)と混合し、窒素雰囲気下で撹拌しながら約100℃まで加熱する。次にN,N-ジメチルアニリン(980 kg, 2.00 mol当量)を約9時間にわたって添加し、得られる混合物を最大4時間まで約100℃で撹拌する。これを次に、約2時間かけて約20℃まで冷却し、その後、水(3150 kg)およびジクロロメタン(1915 kg)の混合物に入れて冷却し、温度を40℃未満に維持する。内容物を次に、少なくとも3時間、約20℃で撹拌し、その後、層を分離する。水相をジクロロメタン(1915 kg)で洗浄し、層を再び分離する。合わせた有機物を次に、少なくとも1回、時に2回以上、濃縮塩酸水溶液(525 kg)で洗浄し、次に5% w/wの炭酸水素ナトリウム水溶液(2625 kg)で洗浄する。得られる有機溶液を次に、大気圧で約1310 kgまで蒸留し、典型的な溶液強度約50% w/wおよび収率約95%で、2,4-ジクロロ-5-フルオロ-ピリミジンのジクロロメタン溶液を得る。この溶液をその後、次のプロセスにおいて直接用いる。
【0109】
6-アミノ-2,2-ジメチル-4H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-3-オン(450 kg, 1.00 mol当量)を窒素雰囲気下で、約65℃まで加熱しながらメタノール(1971 kg)および水(1610 kg)の混合物中で撹拌する。これに、2,4-ジクロロ-5-フルオロ-ピリミジンのジクロロメタン溶液(2,4-ジクロロ-5-フルオロ-ピリミジン545 kg, 1.40 mol当量,約50% w/wの溶液)を約4時間にわたって添加し、この間にジクロロメタンを留去する。この混合物を次に、蒸留が完了するまで約70℃で撹拌し、その後、約15時間還流状態で撹拌する。これを次いで、約45℃まで冷却し、ろ過する。ろ過された固体をメタノールで2回(2×675 kg)洗浄し、その後、約55℃で真空下で乾燥させる。乾燥したら、固体を約6時間、約50℃で85% w/wの含水ギ酸(3150 kg)中でスラリーにし、その後、ろ過する。このスラリーは繰り返して行われうる。結果的に生じる湿気のある固体を約20℃まで冷却し、メタノールで2回(2×1800 kg)洗浄し、約80℃で真空下で乾燥させて、表題の化合物(577 kg, 77%)を有色の固体として得る。
m/z 324 [MH]
+。
【0110】
段階B:6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-4H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-3-オンの調製
6-[(2-クロロ-5-フルオロ-ピリミジン-4-イル)アミノ]-2,2-ジメチル-4H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-3-オン(段階A) (568 kg, 1.00 mol当量)を窒素雰囲気下で撹拌しながら、N-メチルピロリジン-2-オン(2835 kg)中の3,4,5-トリメトキシアニリン(402 kg, 1.25 mol当量)と混合する。これに水(11 kg)を添加し、混合物を約120℃まで加熱し、約10時間撹拌する。これを次いで、約65℃まで冷却し、pHを4% w/wの水酸化ナトリウム水溶液でpH 8.5に調整する。結果的に生じるスラリーを約20℃までさらに冷却し、少なくとも6時間撹拌し、その後、ろ過する。ろ過された固体を水で2回(2×1440 kg)洗浄し、その後、アセトンで2回(2×1140 kg)洗浄し、最後に約40℃で真空下で乾燥させて、表題の化合物(754 kg, 91%)を有色の固体として得る。
m/z 471 [MH]
+。
【0111】
段階C:リン酸ジtert-ブチル[6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチルの調製
6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-4H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-3-オン(段階B) (382 kg, 1.00 mol当量)、テトラ-n-ブチルアンモニウムクロリド(57.5 kg, 0.25 mol当量)および炭酸カリウム(252 kg, 2.25 mol当量)のN,N-ジメチルアセトアミド(1792 kg)混合物を、撹拌しながら約40℃まで加温する。これに、リン酸ジtert-ブチルクロロメチル(実施例2)の酢酸イソプロピル溶液(リン酸ジtert-ブチルクロロメチル229 kg, 1.10 mol当量,約25% w/vの溶液)を添加する。結果的に生じる混合物を約8時間撹拌し、その後、約5℃まで冷却する。温度を25℃未満に維持しながら、酢酸イソプロピル(1329 kg)を添加し、その後、水(2292 kg)をゆっくり添加する。次いで層を分離し、観察される3つの上層を保持する。これに酢酸(99 kg)を添加し、結果的に生じる、副題の化合物の溶液を次の段階において直接用いる。
【0112】
段階D:リン酸二水素[6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル; 酢酸溶媒和物の調製
リン酸二水素[6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル; 酢酸溶媒和物の種結晶(WO 2011/002999に記述されている方法によって合成された) (15 kg, 0.03 mol当量)とともに酢酸(2605 kg)および水(860 kg)の混合物を約70℃まで加熱する。これに次いで、約5時間かけてリン酸ジtert-ブチル[6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル(段階C)の溶液を添加する。結果的に生じる混合物を約1時間さらに撹拌し、約50℃まで冷却し、その後、ろ過し、アセトンで2回(2×605 kg)洗浄する。湿気のある固体を最終的に、約40℃で真空下で乾燥させて、副題の化合物(317 kg, 61%)をオフホワイト色の固体として得る。
m/z 581 [MH]
+。
【0113】
段階E:リン酸二水素[6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル; N,N-ジメチルホルムアミド溶媒和物の調製
約65℃の加熱された容器中のリン酸二水素[6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル; 酢酸溶媒和物(段階D) (3.50 kg)に、熱N,N-ジメチルホルムアミド(17.5 kg,約70℃まで予熱された)を加える。混合物を約30分間約65℃で撹拌し、リン酸二水素[6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル; N,N-ジメチルホルムアミド溶媒和物の種結晶(WO 2011/002999に記述されている方法によって合成された) (0.04 kg)を添加し、その後、混合物を約4時間かけて約40℃まで冷却する。これを次に、約1時間かけて約60℃まで再び加温し、約30分間保持し、その後、約8時間かけて約20℃まで冷却する。結果的に生じるスラリーを少なくとも10時間撹拌し、ろ過し、その後、メチル-t-ブチルエーテルで2回(2×7.88 kg)洗浄する。湿気のある固体を最終的に、約40℃で真空下で乾燥させて、副題の化合物(2.82 kg, 88%)を白色〜オフホワイト色の固体として得る。
m/z 581 [MH]
+。
【0114】
段階F:リン酸ビス(トリエチルアンモニウム) [6-[[5-フルオロ-2-[(3,4,5-トリメトキシフェニル)アミノ]ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチルの調製
リン酸二水素[6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル; N,N-ジメチルホルムアミド溶媒和物(段階E) (1.00 kg, 1.00 mol当量)に、トリエチルアミン(0.34 kg, 2.20 mol当量)のイソプロパノール(1.32 kg)および水(3.33 kg)溶液を添加する。これを約20℃で撹拌して、溶液を得、これを次にろ過する。結果的に生じる、副題の化合物の溶液を次の段階において直接用いる。
【0115】
段階G:リン酸[6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル二ナトリウム六水和物の調製
リン酸ビス(トリエチルアンモニウム) [6-[[5-フルオロ-2-[(3,4,5-トリメトキシフェニル)アミノ]ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル(段階F)の溶液を約40℃まで加温し、その後、2-エチルヘキサン酸ナトリウム(0.05 kg, 0.20 mol当量)のイソプロパノール(0.04 kg)および水(0.10 kg)溶液を約20分かけて添加する。結果的に生じる溶液にその後、リン酸[6-[[5-フルオロ-2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリミジン-4-イル]アミノ]-2,2-ジメチル-3-オキソ-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル二ナトリウム六水和物の種結晶(WO 2011/002999に記述されている方法によって合成された)(0.01 kg, 0.01 mol当量)を添加し、混合物を約3.5時間保持する。2-エチルヘキサン酸ナトリウム(0.97 kg, 3.80 mol当量)のイソプロパノール(0.75 kg)および水(1.90 kg)溶液を次に、約6時間かけて添加する。結果的に生じるスラリーを少なくとも1時間かけて約20℃まで冷却し、約1時間撹拌し、その後、ろ過し、イソプロパノール(0.53 kg)および水(1.33 kg)の混合物で洗浄し、その後、アセトン(1.58 kg)で洗浄する。湿気のある固体を最終的に、約40℃で真空下(約400 mbar)で乾燥させて、表題の化合物(1.03 kg, 92%)を白色〜オフホワイト色の固体として得る。
m/z 581 [MH]
+。
【0116】
実施例2
リン酸ジtert-ブチルクロロメチルの調製
リン酸ジtert-ブチルカリウム(261 kg, 1.00 mol当量)、テトラ-n-ブチルアンモニウム硫酸水素塩(18.5 kg, 0.05 mol当量)および炭酸水素ナトリウム(400 kg, 4.50 mol当量)の水(1150 kg)混合物に、酢酸イソプロピル(1275 kg)を添加する。混合物を約35℃まで加温し、その後、これに、約4時間かけてクロロ硫酸クロロメチル(313 kg, 1.80 mol当量)を添加する。混合物を約45分間さらに撹拌し、約25℃まで冷却し、その後、層を分離する。有機相を約10℃まで冷却し、2% w/vの炭酸水素カリウム水溶液で2回(2×800 kg)洗浄し、その後、混合された2% w/vの炭酸水素カリウムおよび20% w/vの炭酸水素カリウム水溶液(640 kg)で洗浄する。結果的に生じる有機溶液を次に、温度を45℃未満に維持しながら、100 mbar未満で半分の容量まで蒸留する。結果的に生じる混合物をろ過し、フィルタを酢酸イソプロピル(115 kg)で洗浄して、典型的な溶液強度約25% w/vおよび収率約90%で、表題の化合物を溶液として得る。この溶液を次に、実施例1の段階Cにおいて直接用いる。