特許第6522101号(P6522101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クリアインク ディスプレイズ,インコーポレイテッドの特許一覧

特許6522101フロント照明型半再帰反射ディスプレイのための方法及び装置
<>
  • 特許6522101-フロント照明型半再帰反射ディスプレイのための方法及び装置 図000002
  • 特許6522101-フロント照明型半再帰反射ディスプレイのための方法及び装置 図000003
  • 特許6522101-フロント照明型半再帰反射ディスプレイのための方法及び装置 図000004
  • 特許6522101-フロント照明型半再帰反射ディスプレイのための方法及び装置 図000005
  • 特許6522101-フロント照明型半再帰反射ディスプレイのための方法及び装置 図000006
  • 特許6522101-フロント照明型半再帰反射ディスプレイのための方法及び装置 図000007
  • 特許6522101-フロント照明型半再帰反射ディスプレイのための方法及び装置 図000008
  • 特許6522101-フロント照明型半再帰反射ディスプレイのための方法及び装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522101
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】フロント照明型半再帰反射ディスプレイのための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/167 20190101AFI20190520BHJP
   G02B 5/12 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   G02F1/167
   G02B5/12
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-254095(P2017-254095)
(22)【出願日】2017年12月28日
(62)【分割の表示】特願2016-545266(P2016-545266)の分割
【原出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-87989(P2018-87989A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2017年12月28日
(31)【優先権主張番号】61/884,854
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516091477
【氏名又は名称】クリアインク ディスプレイズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CLEARINK DISPLAYS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】ローン エー.ホワイトヘッド
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−519329(JP,A)
【文献】 特開2013−073127(JP,A)
【文献】 特開2008−033335(JP,A)
【文献】 特開2002−268099(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0114125(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15−1/19
G02B 5/00−5/136
G09F 9/30−9/46
G09G 3/00−3/08,3/12,3/16
G09G 3/19−3/26,3/34,3/38
F21S 2/00
F21V 8/00
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に平坦な第1面と1つ又は複数の凸型突出部を有する第2面とを有し、入射光を前記第1面に対して実質的に垂直に反射する半再帰反射フロントシートと、
光源と、
前記光源からの到来光を受け、前記光源からの前記到来光を前記半再帰反射フロントシートの前記第1面に向かって、前記到来光の方向と実質的に垂直な方向にリダイレクトする光ガイドと、
を備え、
前記入射光は、前記半再帰反射フロントシートを通して実質的に非ランバート方式で反射される、
フロント照明型反射ディスプレイ装置。
【請求項2】
フロント照明源の非ランバート出力を実質的に保持するフロント照明型反射ディスプレイ装置であって、
実質的に平坦な第1面と前記第1面から離れる方向に延びる1つ又は複数の凸型突出部を有する第2面とを有し、前記第1面で入射光を受ける半再帰反射フロントシートと、
外部の光源からの光を受け、前記外部の光源からの光を、前記半再帰反射フロントシートに向かって、前記外部の光源からの光の方向と実質的に垂直な方向に導く光ガイドと、を備え、
前記第1面から離れる方向に延びる前記1つ又は複数の凸型突出部は、前記光ガイドにより前記光源からの光の方向に対して実質的に垂直な方向に導かれた前記光を、前記半再帰反射フロントシートを通して、前記半再帰反射フロントシートの前記第1面と実質的に垂直に反射する、
フロント照明型反射ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記光源は、発光ダイオード(LED)、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)、又は表面実装技術(SMT)白熱ランプを有する、
請求項1又は2に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記半再帰反射フロントシート上に配設される透明なフロント電極をさらに備える、
請求項1又は2に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
リア電極をさらに備える、
請求項に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記フロント電極及び前記リア電極と連絡状態にある電圧源をさらに備える、
請求項に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記光ガイドは1つ以上の光抽出器要素を有する、
請求項1又はに記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記1つ以上の光抽出器要素はポリマー材に埋め込まれたエアポケットを有する、
請求項に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
電気泳動粒子を封じ込める1つ又は複数の横断壁をさらに有する、
請求項1又は2に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
半再帰反射ディスプレイ装置にイメージを表示する方法であって、
光ガイドに到来光を照射するステップと、
前記到来光を、前記光ガイドを通して、実質的に平坦な第1面と複数の凸型突出部を有する第2面とを有する半再帰反射シートに導くステップと、
前記到来光を前記半再帰反射シート及び前記光ガイドを通して反射させる、及び、前記到来光を前記半再帰反射シートの前記複数の凸型突出部の近位の光吸収部で電気泳動粒子により吸収させる、の少なくとも一方の態様で、前記半再帰反射シートを通して前記到来光を変化させるステップと、
を有する、方法。
【請求項11】
前記到来光は、発光ダイオード(LED)、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)、又は表面実装技術(SMT)白熱ランプから前記光ガイドに照射される、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記半再帰反射シートは、前記到来光が実質的に非ランバート反射するように前記到来光を変化させる、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記光ガイドは1つ以上の光抽出器要素を有し、前記1つ以上の光抽出器要素は前記到来光を非ランバートの狭い角度内において、前記半再帰反射シートの前記第1面に導く、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記光吸収部は、低屈折率の媒質内に懸濁した1つ以上の前記電気泳動粒子を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記低屈折率の媒質内を前記1つ以上の電気泳動粒子を電気泳動させ、前記複数の凸型突出部の近位の前記光吸収部に移動させるステップ、をさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記電気泳動粒子は、複数の横断壁により封じ込められている、
請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年9月30日付けで出願された米国仮特許出願第61/884,854号明細書の出願日の優先権を主張するものであり、この特許文献は、そのすべてが本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、フロント照明型半再帰反射ディスプレイ及びその製造方法に関する。一実施形態において、本開示は、透明であると共に選択的な放出性を有する光指向性を有するフロント照明型ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のフロント照明型マイクロカプセル電気泳動ディスプレイは、特性的に、白色状態において所謂ランバート方式で光を反射している。フロントライトに由来する光は、白色状態において、等しい輝度により、すべての方向において等しく放射される。従って、反射光の大部分が、観察者にまで戻るようには反射されず、この結果、ディスプレイの知覚される明るさが制限される。これは、光の約50%が観察者から離れるように反射される画面発散度に対する知覚輝度の約2倍も非効率的である。
【0004】
放出光が、主にフロントライトのプレーンに対して垂直の方向を中心としてセンタリングされた約30°の半角錐体(half−angle cone)に閉じ込められている従来のリア照明型のLCDディスプレイの場合とは光出力が異なる。リア照明型のLCDディスプレイは、通常の観察角度において、画面発散度に対する知覚輝度の比率をほぼ倍増させる。この結果、電池寿命がほぼ倍増する。即ち、画面発散度に対する知覚輝度の比率が、ランバート光の場合の1/pという値から、ほぼ2/pにまで増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、反射ディスプレイが一般人によって更に広範に採用されるためには、相対的に明るいディスプレイをもたらす発散度に対する知覚輝度の大きい比率を有する改善されたフロント照明型反射ディスプレイに対するニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
同一の要素が同様に付番されている以下の例示用の且つ非限定的な図面を参照し、本開示のこれらの及びその他の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】白色状態におけるランバート反射を示す従来のマイクロカプセル電気泳動型ディスプレイを概略的に示す。
図1B】白色状態において半再帰反射方式で実質的に観察者まで反射されて戻ってくる光を有する従来の減衰可能TIRディスプレイを概略的に示す。
図2】本開示の一実施形態による減衰可能TIR半再帰反射ディスプレイを示す。
図3】半再帰反射TIRディスプレイの指向性を有するフロントライトシステムの光ガイド内の抽出器要素から反射される光の拡大図である。
図4】本開示の別の実施形態による例示用のディスプレイを示す。
図5】穿孔シートを有する本開示の例示用の一実施形態を示す。
図6】穿孔シート及び導電性鏡面反射層を有する本開示の例示用の一実施形態を示す。
図7】反射層を有する穿孔シートを有する本開示の例示用の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1Aは、白色状態におけるランバート反射を示す従来のマイクロカプセル電気泳動型ディスプレイを概略的に示している。具体的には、図1Aは、光吸収黒色粒子15及び光反射粒子14を収容するマイクロカプセルの層12を有するディスプレイ10を示している。ディスプレイ10は、光反射粒子14が観察者16に向かってディスプレイ10の外向き表面において配置される白色状態又は反射状態において示されている。従来の光反射粒子は、二酸化チタン(TiO)を含む。
【0009】
点線の光線18によって描かれた入射光ビームが示されており、この場合には、ビームは、ディスプレイ10の外向き表面に対してほぼ垂直である。光は、複数の光反射光線20によって描かれているように、ランバート方式ですべての方向において反射されている。図1Aに示されているように、光の相当な量が、観察者16にまで戻るようには反射されていない。
【0010】
図1Bは、従来の減衰可能TIRディスプレイを概略的に示しており、光は、白色状態において半再帰反射方式で実質的に観察者にまで戻るように反射されている。具体的には、図1Bは、半球ビードを有するフロントシート52を有する減衰可能な全内部反射(Total Internal Reflection:TIR)ディスプレイ50を示している。このようなディスプレイは、例えば、米国特許第6,885,496B2号明細書において開示されている。ディスプレイ52は、光を観察者54にまで戻るように半再帰反射方式で反射した際に、明るい状態にある。フロント表面52にほぼ垂直である方向において点線の光線56によって描かれている入射光ビームが、観察者54にまで戻るように反射される。反射光線58によって描かれているように、光が半再帰反射方式で(又は、半鏡面反射方式で)反射された際には、光の大部分が、観察者54にまで戻るように反射される。この結果、ディスプレイは、相対的に高度な知覚輝度を有し、且つ、観察者にとって相対的に明るく見えうる。
【0011】
一実施形態において、本開示は、(a)主に透明であると共に、ディスプレイの外向きシートの表面との関係において垂直方向に指向性を有するように光を選択的に放出するフロントライトと、(b)発散度に対する輝度の比率を極大化させるべく、光出力の非ランバート特性を実質的に保持するように半鏡面又は半再帰反射を含む相対的に小さい拡散特性を有する反射電子ペーパー表面とを有するディスプレイに関する。一実施形態において、図3は、光源及び光ガイドが機能する方法を概略的に示しており、この場合に、光源は、ディスプレイの外向きのシートの表面に対して平行な方向において、且つ、光ガイド内に光を注入しており、次いで、光ガイドが、この光をディスプレイの外向きのシートの表面に対して垂直方向においてリダイレクトしている。
【0012】
特定の実施形態において、本開示は、フロントライトと反射電子ペーパー表面の組合せから形成されたディスプレイに関する。例示用の一実施形態において、フロントライトは、光をディスプレイの外向きの表面との関係における狭い角度内において垂直方向に指向性を有するように放出するように構成されている。
【0013】
従来、鏡面反射は、単一の到来方向からの光(即ち、光線)が単一の送出方向に反射される表面からの光の鏡のような反射として定義されている。この挙動は、反射の法則によって表されており、この法則は、到来光(入射光線)の方向と反射された送出光(反射光線)の方向とが表面の法線との関係において同一の角度をなすと述べている。即ち、入射の角度は、反射の角度と等しく、且つ、入射の方向、法線の方向、並びに反射の方向が同一平面上に位置している。本開示の一実施形態において、電子ペーパー表面は、半鏡面又は半再帰反射性を有しており、この場合に、反射は、高輝度を維持するが、観察者にとって相対的に白色の又はソフトな外観を有する。
【0014】
相対的に小さい拡散性を有する(即ち、相対的に大きい鏡面反射性を有する)フロント照明された透明表面の組合せは、光を反射すると共に、相対的に明るいディスプレイをもたらすフロント光源の非ランバート出力を保持するディスプレイを提供する。
【0015】
図2は、本開示の一実施形態による減衰可能TIR半再帰反射ディスプレイを示している。図2のディスプレイ100は、指向性を有するフロントライトシステムを装備している。ディスプレイ100は、複数の部分的に埋め込まれた高屈折率透明凸型突出部を有する半再帰反射フロントシート102を含む。凸形突出部は、用途に応じて、様々な設計及び形状を有してもよい。図2において、凸形突出部は、内向きに延在する半球ビード104の形状を有している。図2のディスプレイは、半球ビード104の内向き表面上における透明なフロント電極106と、リア電極110を装備したリア支持部108とを更に有する。リア電極110は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)アレイ又はパターン化電極アレイを有してもよい。
【0016】
又、ディスプレイ100は、フロント電極106をリア電極110に接続する電圧源112を有するように示されている。フロント電極106とリア電極110とによって形成された空洞内には、不活性な低屈折率の媒質114が収容されている。媒質114は、懸濁した電気泳動によって移動可能な粒子116を収容してもよい。
【0017】
ディスプレイ100は、光源118と、光ガイド120と、光抽出器要素122のアレイとを装備した指向性を有するフロントライトシステムを更に含んでもよい。一実施形態において、フロント光源は、限定を伴うことなしに、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)、冷陰極蛍光ランプ(Cold Cathode Fluorescent Lamp:CCFL)、又は表面実装技術(Surface Mount Technology:SMT)白熱ランプを有してもよい。
【0018】
光ガイドは、光をシート102のフロント表面全体にまで導き、光抽出器要素は、光を半再帰反射シート102の外向きの表面に向かって垂直方向において導く。図2に示されている抽出器要素122を有する光ガイドは、概念的な図面であることに留意されたい。従来の光ガイドシステムにおいて、抽出器要素は、限定を伴うことなしに、埋め込まれた反射要素又はエアポケットであってもよく、この場合に、反射は、光ガイドのポリマー材料とエアポケットとの間の境界面における屈折率値の不整合によって生成される。更には、光の均一な抽出を生成するように、抽出器要素のサイズ及び場所が変化してもよい。光ガイドシステムを有する本明細書におけるすべての図面において、図示の光ガイドシステムは、概念的な目的のための例示に過ぎない。
【0019】
点線126の左側において、ディスプレイ100は、白色状態又は半再帰反射状態におけるディスプレイの一部分(又は、1つのピクセル)を示している。この状態において、粒子116は、TIRがシート102において発生しうるように、印加電圧の影響下においてリア電極110まで移動している。TIRの効果は、シート102に対して垂直方向においてフロント光源によって放出される指向性を有する光線128及び132によって示されている。これらの光線は、30°の半角錐体を中心としてセンタリングされた状態において、それぞれ光線130及び134によって示されているように、ランバート方式の代わりに、半再帰反射方式で観察者124に向かって戻るように全内部反射されている。
【0020】
点線126の右側は、減衰したTIRの暗い状態におけるディスプレイ100の一部分(又は、ピクセル)を示している。この状態において、電気泳動によって移動可能な粒子116は、TIRが減衰するように、図2の左側における印加電圧との比較において反対極性を有する印加電圧の影響下において、透明なフロント電極106の表面の近傍に移動している。これは、例えば、光吸収性を有する粒子116によって吸収される指向性を有するように放出された光線136及び138によって示されている。
【0021】
図3は、図2のディスプレイ100の光ガイド120内の抽出器要素122の拡大図である。具体的には、図3は、光源118と、光ガイド120と、抽出器要素122とを示している。抽出器要素は、制御可能な方法で前記ガイドから光を抽出するための光ガイド内の構造である。光ガイドから光を抽出するための多くの方法が存在している。図3における描画は、概念を示すものに過ぎない。
【0022】
又、図3は、半再帰反射表面に対して垂直の方向において個々の複数の反射された光線152内に反射及びリダイレクトされる光源118からの複数の光線150をも示している。光線は、半再帰反射シートに向かって非ランバートの狭い角度範囲内において垂直方向において放出及びリダイレクトされる。
【0023】
図4は、本開示の別の実施形態による例示用のディスプレイを示している。
【0024】
具体的には、図4は、指向性を有するフロントライトと、横断壁とを装備した減衰可能TIRディスプレイの一部分を示している。図4のディスプレイ200は、半球ビード204の形状において複数の凸形突出部を有する観察者218に対向する半再帰反射外側シート202と、半球ビードを有する表面の表面上の透明なフロント電極206と、TFT又はパターン化電極アレイにおいてリア電極として機能する上部導電性層210を有するリア支持部208と、光学的に透明な不活性な低屈折率の媒質214とを含む。媒質214は、フロント透明電極206とリア電極210との間において形成された空洞を充填している。媒質214は、懸濁した光吸収性を有する電気泳動によって移動可能な粒子216を収容している。
【0025】
電圧源212が、フロント電極206とリア電極210を接続している。フロント光源220は、ディスプレイ200の表面を照明する。光ガイド222及び抽出器要素224は、光を垂直方向において半再帰反射シート202に向かってリダイレクトする。
【0026】
ディスプレイ200は、移動可能な粒子216を収容するための井戸又はコンパートメントを形成する壁226を更に有する。壁又は横断壁226は、井戸又はコンパートメントを様々な形状において生成するように構成されてもよい。例えば、井戸は、正方形、三角形、五角形、六角形、又はこれらの組合せであってもよい。壁226は、ポリマー材料を含んでもよく、且つ、フォトリソグラフィ、エンボス加工、又は成形などのような技法により、パターン化されてもよい。壁226は、時間に伴って不良な表示性能をもたらしうる粒子216の沈殿及び移動を防止するべく、電気泳動によって移動可能な粒子216の閉じ込めを支援する。
【0027】
図4において更に示されているように、単一の又は複数のピクセルが、横断壁226によって形成された井戸又はコンパートメント内においてスイッチングされてもよい。例えば、光線228及び230は、フロント光源により、垂直方向において、狭い角度範囲において(即ち、非ランバート)、半再帰反射シート202に向かって指向性を有するように放出されてもよい。これらの光線は、TIRを経験してもよく、且つ、それぞれ反射光線232及び234として、観察者218に向かって戻るように反射されてもよい。反射は、明るい状態又は反射状態を生成するべく、指向性を有するフロントライトの光出力の非ランバート特性を実質的に保持している。これは、粒子216が移動すると共にリア電極表面の210において集合するように電圧が印加された際に、可能となる。
【0028】
或いは、この代わりに、光線236及び238が、単一の又は複数のピクセルにおいて粒子216により吸収又は散乱されるように、印加電圧の極性が反転されてもよく、且つ、粒子216がリア電極210から透明なフロント電極表面206に向かって移動してもよい。ピクセルは、暗い状態を生成するべく、横断壁226によって生成されたコンパートメント又は井戸内において配置されてもよい。
【0029】
図5は、穿孔シートを有する本開示の別の実施形態を示している。この場合には、光が半再帰反射フロントシートにおいて反射される代わりに(例えば、図2及び図4)、光は、穿孔シート又は薄膜上の半鏡面又は半再帰反射表面において反射されている。ディスプレイ300は、透明な外側シート302を含む。シート302は任意選択であってもよく、且つ、光ガイド330が唯一の外側シートとして使用されてもよい。又、ディスプレイ330は、TFT又はパターン化アレイを含みうるリア電極306として機能する上部導電層を有するリア支持部304をも含む。
【0030】
外側シート302とリア電極306との間に形成された空洞内には、薄い、穿孔された連続的な(点線310によって表された)シート又は薄膜308が配設されている。シート308は、少なくとも約10ミクロンの厚さを有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、又はなんらかのその他のポリマー材料などトラックエッチングされたポリマー材料又はガラスから形成されてもよい。薄膜308の穿孔された特性により、光吸収性を有する電気泳動によって移動可能な粒子312は、穿孔314を通過することができる。シート308内の穿孔の平均直径は、粒子312の平均直径を上回っていてもよい(例えば、約10倍大きい)。シート308内の穿孔は、シート308の穿孔314を通じた粒子312の実質的に妨げのない通過を許容するべく、メンブレン308の合計表面積の十分に大きい割合(例えば、少なくとも10%)を構成していてもよい。
【0031】
図5のディスプレイ300は、穿孔された連続的な(点線310によって表された)薄膜又はシート308上においてフロント電極として機能する更なる第1の穿孔され且つ連続的な(点線318によって表された)導電層316を更に示している。薄膜又はシートは、メンブレンを定義してもよい。又、穿孔は、孔又はアパーチャを定義してもよい。層316は、インジウムすず酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、又はBaytron(登録商標)、又はポリマーマトリックス中において分散した導電性ナノ粒子、或いはこれらの組合せなどの透明な導電性材料を含んでもよい。一実施形態において、層316は、反射率を改善するべく、アルミニウム、銀、金、アルミニウムで被覆されたMylar(登録商標)柔軟薄膜、或いはその他の導電性材料などの薄い、光反射性を有する金属層を含む。反射層316は、従来の蒸着技法を使用し、反射(例えば、アルミニウム、銀、金)金属薄膜を有する被覆表面308によって組み立てられてもよい。
【0032】
第2の穿孔され且つ連続的な(点線322によって表された)層320が、層316の上部において形成されてもよい。第2層320は、半再帰反射被覆320を含んでもよい。半再帰反射被覆320は、反射性を有するフロント電極316などの反射性基材内において、或いは透明マトリックス内において埋め込まれると共に、反射性を有するフロント電極316によって裏打ちされたコーナーキューブ又は部分的なコーナーキューブ反射器又はガラスビードを有してもよい。
【0033】
一実施形態において、半再帰反射被覆320からの拡散反射率のレベルは、ピクセル又はサブピクセルクロストークを生成するように、あまり高くはない。例えば、光が1つのサブピクセルを通じて進入した場合に、光は、光が同一のサブピクセルを通じて離脱するように、半再帰反射性被覆320によって反射されることを要し、さもなければ、コントラスト及び/又は色飽和が低減されることになる。穿孔シートの穿孔と共にフロント透明シート302及びリア電極306によって形成された空洞は、粒子312がその内部において懸濁状態にある光学的に透明であると共に不活性な媒質324によって充填されている。
【0034】
電圧源326が、穿孔された薄膜308上の導電性を有する第1層316とリア電極306との間においてバイアスを印加してもよい。反射性を有する金属穿孔層又は薄膜が2つの電極表面(即ち、上部及び下部電極)の間に介在している従来のディスプレイアーキテクチャにおいて、金属薄膜は、制御されていない等電位表面であり、且つ、上部及び下部電極内の電圧の間の任意の値の電圧をとりうる。正確な電圧は、セル全体にわたる電荷分布によって左右される。接続されていない電極上において可変電圧を有するということは、セルの性能が可変動作速度及びヒステリシスを有することになることを意味している。実験データは、このようなアーキテクチャが装置を動作不能にすることを示している。従来のアーキテクチャの欠点に対する1つの解決策は、前記反射性を有する穿孔金属層が、開示されている実施形態において記述されているように、フロント電極層になるように、反射性を有する穿孔金属層をリア電極に対して電気的に接続するというものである。
【0035】
ディスプレイ300は、指向性を有するフロント光源328と、透明な光ガイド330と、光抽出器要素332とを更に有する。光抽出器要素332は、放出された光を、光源328から垂直の方向に狭い角度範囲において、穿孔薄膜表面上の反射層320に向かってリダイレクトしている。
【0036】
明るい状態において、光は、狭い角度範囲において、観察者334にまで戻るように反射される。これが、点線336の左手側において描かれている。この場合には、電気泳動によって移動可能な粒子312が、穿孔シート(並びに、導電性且つ反射性を有する層)の穿孔314を通じて、リア電極306に向かって移動し、これにより、粒子がその表面において集合するように、正しい極性の電圧バイアスが印加されている。粒子312が穿孔シート308の背後に位置している際には、明るい状態が生成される。光ガイド330から垂直な方向において放出された光線338は、反射光(反射光線340によって表されている)が光出力の非ランバート特性を保持し、これにより、観察者334に戻るように誘導されない光の量が極小化されるように、観察者334に向かって戻るように半再帰反射表面320において反射される。
【0037】
点線336の右手側において、図5は、粒子312が、反対極性の電圧バイアスの影響下において穿孔314を通じて移動するような暗い状態を示している。この状態において、粒子312は、光ガイド330から放出された光線を吸収するように、半再帰反射性層320の表面において集合している。これは、粒子312によって吸収される光線342により表されている。
【0038】
ディスプレイ300は、図4に示されているように、1つ又は複数の壁を更に有してもよい。それぞれの井戸は、ディスプレイ300内において電気泳動によって移動可能な粒子312を閉じ込めるためのコンパートメントを生成してもよい。壁又は横断壁は、井戸又はコンパートメントを上述の形状のいずれかにおいて生成するように設計されてもよい。壁は、ポリマー材料から形成されてもよく、且つ、従来のフォトリソグラフィ、エンボス加工、又は成形などの技法によってパターン化されてもよい。壁は、粒子312の閉じ込めを支援し、且つ、時間に伴って不良な表示性能をもたらす粒子312の沈殿及び移動を防止する。
【0039】
図6のディスプレイ400において、指向性を有するフロントライトを有する反射ディスプレイの別の実施形態が示されている。ディスプレイ400は、任意選択の透明なフロントシート402と、リア支持部404と、TFT又はパターン化アレイの形態のリア電極406と、穿孔された連続的な(点線410によって表された)シート又は薄膜408と、光学的に透明な不活性媒質414中において懸濁した電気泳動によって移動可能な粒子412とを含む。
【0040】
反射性を有する導電層がフロント電極として機能するべく透明な外側シート402に対向するように、更なる鏡面反射性を有する導電性の穿孔された(連続的な層を意味するべく点線418によって表された)層416が、穿孔シートの上部において追加されている。反射層416は、アルミニウム、銀、金、アルミニウムによって被覆されたMylar(登録商標)柔軟薄膜、又はその他の類似の材料などの薄い光反射性を有する金属層を定義してもよい。反射層416は、標準的な蒸着技法を使用し、反射性を有する(例えば、アルミニウム、銀、金の)金属薄膜を有する被覆表面408によって組み立てられてもよい。ディスプレイ400は、電気泳動によって移動可能な粒子412を移動させるべく、フロント電極とリア電極に跨って電圧バイアスを印加するための電圧源420を更に有する。又、図6の例示用の実施形態は、光源422と、光抽出器要素426を装備した透明な光ガイド424とを有する指向性を有するフロントライトシステムをも含む。光ガイド表面の上部には、且つ、光ガイド424と観察者428との間には、光拡散層430が配設されている。光拡散層430の構造の材料としては、磨り潰された、灰色の目を有する(grey−eyed)、又はオパールガラスの拡散器及びTeflon(登録商標)又はその他の従来のポリマー拡散器などのいくつかの可能性が存在している。
【0041】
ディスプレイ400の実施形態は、例えば、以下の方法で動作する。点線432の左側において、電気泳動によって移動可能な粒子は、印加電圧の下において穿孔434を通じてリア電極表面406まで移動している。垂直方向においてフロント光ガイド424から指向性を有するように放出された光線436は、反射光が、フロント光ガイド424からの光出力の非ランバート特性を実質的に維持及び保持するように、反射光線438によって示されているように、穿孔シート又は薄膜408の上部の反射性且つ導電性を有する層416により鏡面反射方式で反射される。
【0042】
光線が、観察者428に戻るように、透明な光ガイド424を通じてディスプレイを離脱するのに伴って、光線438は、ディスプレイの明るい状態が紙のように見えるように光をソフト化又は白色化するべく、外側透明光拡散器シート430を通過する。ソフト化の程度は、光拡散器層の特性及び用途の要件によって制御することができる。
【0043】
点線432の右側において、移動可能な粒子412は、フロント光源によって放出された指向性を有する光線がそれによって吸収されるように、穿孔434を通じて反射電極416の上部表面まで移動している。この結果、暗い状態が生成され、これは、電気泳動によって移動可能な粒子412によって吸収されるフロント光源によって放出された光線440により示されている。
【0044】
ディスプレイ400は、図4のディスプレイ200において示されているように、壁を更に有してもよい。壁は、電気泳動によって移動可能な粒子412を閉じ込める井戸又はコンパートメントを生成する。壁は、不良な表示性能をもたらす粒子412の沈殿及び移動を防止するべく、移動可能な粒子412の閉じ込めを支援する。
【0045】
図7は、反射層を有する穿孔シートを有する本開示の例示用の一実施形態を示している。図7のディスプレイ500は、構造において、図6のディスプレイ400と類似している。ディスプレイ500は、任意選択の透明な外側シート502と、リア支持部504と、TFT又はパターン化アレイであってもよいリア電極506と、穿孔、孔、又はアパーチャ512を有する穿孔され且つ連続的な(点線510によって表された)シート又は薄膜508と、透明な外側シート502(光ガイドが透明な外側シートとして使用されてもよいことから、このシートは、任意選択であってもよい)とリア電極506との間において形成された空洞を充填すると共に穿孔512内において収容された光学的に透明且つ不活性な媒質514とを含む。
【0046】
又、ディスプレイ500は、フロント光源516と、光抽出器要素520のアレイを装備した透明な光ガイド518と、透明な光ガイド518の上部に配置されると共に観察者524と対向している透明な光拡散器シート522と、をも含む。ディスプレイ500は、穿孔シート508上において、第1の穿孔された連続的な(点線528によって表された)反射層526を更に有する。穿孔された反射層526の上部には、第2の透明な導電性の穿孔され且つ連続的な(点線532によって表された)層530が存在している。この層530は、フロント電極として機能し、且つ、ITO、又はBaytron(登録商標)、又はポリマーマトリックス中において分散したナノ金属ワイヤなどのナノ粒子、或いはこれらの組合せから構築されてもよい。ディスプレイ500は、電気泳動によって移動可能な粒子517を移動させるためのバイアスを印加するための電圧源534を更に有する。
【0047】
例示用の一実施形態において、ディスプレイ500は、以下の方法で動作している。点線536の左手側において、粒子517は、印加された電圧バイアスの下において、穿孔512を通じてリア電極表面506まで移動している。光線538によって示されている光線が、光ガイド518により、垂直方向に指向性を有するように放出される。この光線は、フロント電極として機能する透明導電性層530を通過する。光線は、反射光線540によって示されているように、反射光がフロント光源からの光出力の非ランバート特性を実質的に維持及び保持するように、穿孔シート又は薄膜508の上部の反射層526により鏡面反射方式で反射される。反射光線540が、透明な光ガイド518を通じて、観察者524まで戻るように、ディスプレイ500を離脱するのに伴って、光線は、ディスプレイの明るい状態が紙のように見えるように光をソフト化又は白色化するべく、外側透明光拡散器シート522を通過する(これは、ディスプレイの任意選択の特徴であってもよい)。ソフト化の程度は、光拡散器層522の特性及び表示要件によって制御してもよい。
【0048】
点線524の右側において、電気泳動によって移動可能な粒子517は、光ガイドによって放出された指向性を有する光線が粒子によって吸収されるように、穿孔512を通じて透明なフロント電極530の上部表面まで移動している。この結果、光ガイドによって放出されると共に粒子517によって吸収される光線542によって示されているように、暗い状態が生成される。
【0049】
図示されてはいないが、ディスプレイ500は、図4に関連して説明したように、壁を更に有してもよい。壁(図示されてはいない)は、ディスプレイ内において移動可能な粒子517を閉じ込めるための井戸又はコンパートメントを生成する。壁は、不良な表示性能をもたらす粒子517の沈殿及び移動を防止するべく、移動可能な粒子517の閉じ込めを支援する。
【0050】
開示されている実施形態は、ディスプレイを有する電子ブックリーダー、携帯型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、サイン、腕時計、装用可能な装置、棚ラベル、フラッシュドライブ、及び屋外看板、或いは屋外サインなどの用途において使用されてもよい。
【0051】
以上、本開示の原理について、本明細書において示されている例示用の実施形態に関連して説明したが、本開示の原理は、これらに限定されるものではなく、且つ、これらのあらゆる変更形態、変化形態、又は変形形態も含む。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7