特許第6522134号(P6522134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6522134鉤付縫合糸を形成するための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522134
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】鉤付縫合糸を形成するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20190520BHJP
   A61L 17/00 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   A61B17/04
   A61L17/00
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-537241(P2017-537241)
(86)(22)【出願日】2015年1月16日
(65)【公表番号】特表2018-508249(P2018-508249A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】SG2015000013
(87)【国際公開番号】WO2016114714
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2017年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】514294186
【氏名又は名称】レーサー・テクノロジー・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】キー・ジュ・ウィリー・コー
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−528418(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0364904(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0257395(US,A1)
【文献】 米国特許第08615856(US,B1)
【文献】 実開昭61−148340(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
A61L 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉤付縫合糸を形成するための装置であって
鉤を形成するための複数の所定長さの縫合糸を露出させるように構成されている縫合糸フレームと、
複数の前記所定長さの縫合糸を屈曲させることによって、屈曲部分に切込を入れるために、前記所定長さの縫合糸それぞれの前記屈曲部分を露出させるように構成されている屈曲機構と、
前記所定長さの縫合糸それぞれの前記屈曲部分の凸状の表面に切込を入れることによって、前記所定長さの縫合糸それぞれの前記屈曲部分に鉤を形成するように構成されている切込組立体と、
前記縫合糸フレーム及び前記切込組立体を支持するように構成されているインデックスブロックであって、複数の鉤を前記所定長さの縫合糸に等間隔で離隔して形成するために、前記縫合糸フレーム及び前記切込組立体を切込位置にロックするように、且つ、前記縫合糸フレームと前記切込組立体との間における段階的な相対運動を実現するように構成されている、間欠運動機構を具備する前記インデックスブロックと、
を備えている前記装置において、
前記縫合糸フレームと前記インデックスブロックと前記間欠運動機構とが、複数の前記所定長さの縫合糸を前記縫合糸フレームから取り外すことなく、複数の前記所定長さの縫合糸それぞれの切込を入れるべき第2の側部を露出させるように、前記縫合糸フレームをひっくり返して前記インデックスブロックに組み付けるように構成されており、これにより、鉤が、複数の前記所定長さの縫合糸それぞれの直径方向において反対側に位置する2つの側部に形成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記屈曲機構が、
前記縫合糸フレームの内側において複数の前記所定長さの縫合糸を下方に移動させるように構成されている押圧ロッドと、
前記縫合糸フレームの内側において複数の前記所定長さの縫合糸の下方に設けられている隆起部であって、複数の前記所定長さの縫合糸が前記押圧ロッドによって移動された場合に、前記所定長さの縫合糸それぞれが前記隆起部の周りで屈曲されるように、複数の前記所定長さの縫合糸を接触した状態で支持するように構成されている前記隆起部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記押圧ロッドが、前記切込組立体に配設された切込ブレードの下方において前記切込組立体に設けられており、
前記隆起部が、前記インデックスブロックに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記隆起部が、前記インデックスブロックの縫合糸サポートに設けられており、
前記縫合糸サポートが、前記押圧ロッドによって前記所定長さの縫合糸それぞれの保持部分を縫合糸保持面に保持するように構成されている、前記縫合糸保持面を有していることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記縫合糸サポートが、前記押圧ロッドによって複数の前記所定長さの縫合糸が移動される場合に、前記屈曲部分と前記保持部分との間における前記所定長さの縫合糸の一部分が如何なる表面とも接触させないように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記切込組立体が、前記所定長さの縫合糸それぞれの表面に対して平行とされる方向において前記所定長さの縫合糸それぞれの前記屈曲部分の凸状の表面に切込を入れるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記縫合糸フレームが、互いに対して反対側に配置されたサイドバーと、互いに対して反対側に配置されたエンドバーとを備えており、前記サイドバーと前記エンドバーとが、内部空間を形成するように接続されており、
ダボピンが、単一の所定長さの縫合糸を一方のエンドバーから他方のエンドバーに至るジグザグ状に且つ一連の前記ダボピンの周りに巻き付けることによって複数の前記所定長さの縫合糸が前記内部空間に配設されるように、互いに対して反対側に配置された前記エンドバーそれぞれに設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記間欠運動機構が、
前記インデックスブロックに設けられている前方ロックカムであって、前記前方ロックカムが回転する度に前記縫合糸フレームを段階的に前方移動させるように構成されている前記前方ロックカムと、
前記縫合糸フレームに設けられている歯付セクション、及び前記インデックスブロックに設けられている歯付キャッチと、
を備えており、
前記歯付セクション及び前記歯付キャッチが、前記縫合糸フレームが前記切込位置に位置している場合に前記縫合糸フレームが後方移動することを防止するために、前記歯付キャッチが前記歯付セクションの歯と係合するように構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記間欠運動機構が、前記前方ロックカムが取り付けられているシャフトと同一のシャフトに設けられている昇降カムを備えており、
前記昇降カムが、前記縫合糸フレームが前方移動している際に前記切込組立体を持ち上げるように構成されており、
前記昇降カムが、前記昇降カムが逆方向に回転された場合に前記切込組立体を前記切込位置に降下させるように構成されており、
前記前方ロックカムが、前記前方ロックカムが逆方向に回転された場合に前記切込組立体を前記切込位置にロックするように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記縫合糸フレームが、前記縫合糸フレームをひっくり返して前記インデックスブロックに組み付けた場合に前記所定長さの縫合糸それぞれの前記第2の側部に形成される複数の鉤が前記所定長さの縫合糸それぞれの第1の側部に既に形成されている複数の前記鉤に対して千鳥状に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項11】
鉤付縫合糸を形成するための方法において、
a)複数の所定長さの縫合糸を屈曲させることによって、切込を入れるために所定長さの縫合糸の屈曲部分を露出させるステップと、
b)切込組立体によって前記所定長さの縫合糸それぞれの前記屈曲部分の凸状の表面に切込を入れ、これにより前記所定長さの縫合糸それぞれの前記屈曲部分に鉤を形成するステップと、
c)複数の前記所定長さの縫合糸に対して平行とされる方向において複数の前記所定長さの縫合糸と前記切込組立体との間の段階的な相対運動を実現するステップと、
d)ステップa)〜ステップc)を繰り返すことによって、等間隔で離隔された複数の前記鉤を前記所定長さの縫合糸それぞれに形成するステップと、
e)複数の前記所定長さの縫合糸をひっくり返すことによって、複数の前記所定長さの縫合糸の直径方向において反対側に配置された切込を入れるべき側部を露出させるステップと、
f)ステップa)〜ステップc)を繰り返すステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記方法が、ステップa)を実施する前に、複数の前記所定長さの縫合糸を縫合糸フレームに取り付けることを含んでおり、
前記縫合糸フレームが、互いに対して反対側に配置されたサイドバーと、互いに対して反対側に配置されたエンドバーとを備えており、前記サイドバーと前記エンドバーとが、内部空間を形成するように接続されており、
単一の所定長さの縫合糸を一方のエンドバーから他方のエンドバーに至るジグザグ状に且つ互いに対して反対側に配置された前記エンドバーに設けられている一連のダボピンの周りに巻き付けることによって、複数の前記所定長さの縫合糸が前記内部空間に配設されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、
g)複数の前記所定長さの縫合糸それぞれを前記縫合糸フレームから分離するように切断するステップ、
を備えていることを特徴とする請求項12に従属する場合の請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ステップg)が、複数の前記所定長さの縫合糸を前記エンドバーのうち一方のエンドバーに沿って切断することを含んでいることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップb)における切込の方向が、前記所定長さの縫合糸それぞれの表面に対して平行とされる方向であることを特徴とする請求項1114のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉤付縫合糸を形成するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉤付縫合糸は、鉤を当該鉤付縫合糸に沿って有している縫合糸である。鉤付縫合糸は、創傷を閉じるために利用されていたが、最近では世界中で急速に人気を得ている美容医療手術において組織をリフトするためにも利用されている。
【0003】
従って、美容医療産業及び他の医療目的における鉤付縫合糸についての要求を満たすために、同一に形成された鉤を有している頑丈な縫合糸を製造する方法及び装置であって、コスト及び時間の観点から効果的な方法で鉤付縫合糸を形成するための方法及び装置についてのニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の典型的な実施態様は、鉤付縫合糸を形成するための装置において、鉤を形成するための複数の所定長さの縫合糸を露出させるように構成されている縫合糸フレームと、複数の所定長さの縫合糸を屈曲させることによって、屈曲部分に切込を入れるために、所定長さの縫合糸それぞれの屈曲部分を露出させるように構成されている屈曲機構と、所定長さの縫合糸それぞれの屈曲部分の凸状の表面に切込を入れることによって、所定長さの縫合糸それぞれの屈曲部分に鉤を形成するように構成されている切込組立体と、縫合糸フレーム及び切込組立体を支持するように構成されているインデックスブロックであって、複数の鉤を所定長さの縫合糸に等間隔で離隔して形成するために、縫合糸フレーム及び切込組立体を切込位置にロックするように、且つ、縫合糸フレームと切込組立体との間における段階的な相対運動を実現するように構成されている、間欠運動機構を具備するインデックスブロックと、を備えている鉤付縫合糸を形成するための装置を提供する。
【0005】
屈曲機構が、縫合糸フレームの内側において複数の所定長さの縫合糸を下方に移動させるように構成されている押圧ロッドと、縫合糸フレームの内側において複数の所定長さの縫合糸の下方に設けられている隆起部であって、複数の所定長さの縫合糸が押圧ロッドによって移動された場合に、所定長さの縫合糸それぞれが隆起部の周りで屈曲されるように、複数の所定長さの縫合糸を接触した状態で支持するように構成されている隆起部と、を備えている。
【0006】
押圧ロッドが、切込組立体に配設された切込ブレードの下方において切込組立体に設けられており、隆起部が、インデックスブロックに設けられている。
【0007】
隆起部が、インデックスブロックの縫合糸サポートに設けられており、縫合糸サポートが、押圧ロッドによって所定長さの縫合糸それぞれの保持部分を縫合糸保持面に保持するように構成されている、縫合糸保持面を有している。
【0008】
縫合糸サポートが、押圧ロッドによって複数の所定長さの縫合糸が移動される場合に、屈曲部分と保持部分との間における所定長さの縫合糸の一部分を如何なる表面とも接触させないように構成されている。
【0009】
切込組立体が、所定長さの縫合糸それぞれの表面に対して平行とされる方向において所定長さの縫合糸それぞれの屈曲部分の凸状の表面に切込を入れるように構成されている。
【0010】
縫合糸フレームが、互いに対して反対側に配置されたサイドバーと、互いに対して反対側に配置されたエンドバーとを備えており、サイドバーとエンドバーとが、内部空間を形成するように接続されており、ダボピンが、単一の所定長さの縫合糸を一方のエンドバーから他方のエンドバーに至るジグザグ状に且つ一連のダボピンの周りに巻き付けることによって複数の所定長さの縫合糸が内部空間に配設されるように、互いに対して反対側に配置されたエンドバーそれぞれに設けられている。
【0011】
間欠運動機構が、インデックスブロックに設けられている前方ロックカムであって、前方ロックカムが回転する度に縫合糸フレームを段階的に前方移動させるように構成されている前方ロックカムと、縫合糸フレームに設けられている歯付セクション、及びインデックスブロックに設けられている歯付キャッチと、を備えており、歯付セクション及び歯付キャッチが、縫合糸フレームが切込位置に位置している場合に縫合糸フレームが後方移動することを防止するために、歯付キャッチが歯付セクションの歯と係合するように構成されている。
【0012】
間欠運動機構が、前方ロックカムが取り付けられているシャフトと同一のシャフトに設けられている昇降カムを備えており、昇降カムが、縫合糸フレームが前方移動している際に切込組立体を持ち上げるように構成されており、昇降カムが、切込組立体を切込位置に降下させるように構成されており、前方ロックカムが、昇降カムと前方ロックカムとが逆方向に回転された場合に切込組立体を切込位置にロックするように構成されている。
【0013】
縫合糸フレームとインデックスブロックと間欠運動機構とが、複数の所定長さの縫合糸を縫合糸フレームから取り外すことなく、複数の所定長さの縫合糸それぞれの切込を入れるべき第2の側部を露出させるように、縫合糸フレームをひっくり返してインデックスブロックに組み付けるように構成されており、これにより、鉤が、複数の所定長さの縫合糸それぞれの直径方向において反対側に位置する2つの側部に形成される。
【0014】
縫合糸フレームをひっくり返してインデックスブロックに組み付けた場合に所定長さの縫合糸それぞれの第2の側部に形成される複数の鉤が、所定長さの縫合糸それぞれの第1の側部に既に形成されている複数の鉤に対して千鳥状に配置されるように、縫合糸フレームが構成されている。
【0015】
本発明の第2の典型的な実施体は、a)複数の所定長さの縫合糸を屈曲させることによって、切込を入れるために所定長さの縫合糸の屈曲部分を露出させるステップと、b)切込組立体によって所定長さの縫合糸それぞれの屈曲部分の凸状の表面に切込を入れ、これにより所定長さの縫合糸それぞれの屈曲部分に鉤を形成するステップと、c)複数の所定長さの縫合糸に対して平行とされる方向において複数の所定長さの縫合糸と切込組立体との間の段階的な相対運動を実現するステップと、d)ステップa)〜ステップc)を繰り返すことによって、等間隔で離隔された複数の鉤を所定長さの縫合糸それぞれに形成するステップと、を備えている、鉤付縫合糸を形成するための方法を提供する。
【0016】
当該方法が、ステップa)を実施する前に、複数の所定長さの縫合糸を縫合糸フレームに取り付けることを含んでおり、縫合糸フレームが、互いに対して反対側に配置されたサイドバーと、互いに対して反対側に配置されたエンドバーとを備えており、サイドバーとエンドバーとが、内部空間を形成するように接続されており、単一の所定長さの縫合糸を一方のエンドバーから他方のエンドバーに至るジグザグ状に且つ互いに対して反対側に配置されたエンドバーに設けられている一連のダボピンの周りに巻き付けることによって、複数の所定長さの縫合糸が内部空間に配設される。
【0017】
当該方法が、e)複数の所定長さの縫合糸をひっくり返すことによって、複数の所定長さの縫合糸の直径方向において反対側に配置された切込を入れるべき側部を露出させるステップと、f)ステップa)〜ステップc)を繰り返すステップと、を備えている。
【0018】
当該方法が、g)複数の所定長さの縫合糸それぞれを縫合糸フレームから分離するように切断するステップを備えている。
【0019】
ステップg)が、複数の所定長さの縫合糸をエンドバーのうち一方のエンドバーに沿って切断することを含んでいる。
【0020】
ステップb)における切込の方向が、所定長さの縫合糸それぞれの表面に対して平行とされる方向である。
【0021】
本発明の第3の典型的な実施形態は、第1の典型的な実施態様の装置及び第2の典型的な実施態様の方法を利用することによって形成される鉤付縫合糸であって、鉤付縫合糸の中間点と第1の端部との間において鉤付縫合糸の第1の半体に沿って等間隔に形成されている第1の複数の鉤が、縫合糸の第1の端部に向いており、鉤付縫合糸の中間点と第2の端部との間において鉤付縫合糸の第2の半体に沿って等間隔に形成されている第2の複数の鉤が、鉤付縫合糸の第2の端部に向いている、鉤付縫合糸を提供する。
【0022】
鉤付縫合糸の一方の側部に沿って形成された複数の鉤が、鉤付縫合糸の直径方向において反対側に配置された側部に沿って形成された複数の鉤に対して千鳥状に配置されている。
【0023】
本発明を完全に理解し、実践的な効果を発揮させるために、本発明の非限定的な例について、添付図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明における典型的な装置の分解斜視図である。
図2】第1の切込を開始する前における典型的な装置の斜視図である。
図3】典型的な装置に取り付けられた所定長さの縫合糸を有している典型的な装置の縫合糸フレームの分解斜視図である。
図4】所定長さの縫合糸を縫合糸フレームに締め付けた後における、図13に表わす縫合糸フレームの斜視図である。
図5図4に表わす縫合糸の側面図である。
図6図5に表わす縫合糸フレームにおける下方に面した歯付セクションの拡大図である。
図7】典型的な装置のインデックスブロックの支持レールにおける歯キャッチの拡大図である。
図8】典型的な装置のインデックスブロックの斜視図である。
図9図8に表わすインデックスブロックの分解斜視図である。
図10】縫合糸フレームをインデックスブロックに沿って一段階移動させた場合における、典型的な装置の斜視図である。
図11】典型的な装置の切込組立体の斜視図である。
図12図11に表わす切込組立体の正面図である。
図13図12に表わす断面A−Aにおける断面図である。
図14図11に表わす切込組立体の調整インサートの正面図である。
図15】切込位置に降下された切込組立体の斜視図である。
図16】切込位置における切込組立体の概略的な側面図である。
図17】切込位置における切込組立体の切込縁部の拡大図である。
図18】所定長さの縫合糸に鉤を形成する切込縁部の拡大図である。
図19】所定長さの縫合糸の反対側に鉤を形成する切込縁部の拡大図である。
図20】一の切込サイクルが終了した後における装置の斜視図である。
図21図4に表わす縫合糸フレームの内側において所定長さの縫合糸を切断することを示す斜視図である。
図22】本発明における装置を利用することによって形成される鉤付縫合糸の概略図である。
図23】本発明における典型的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
方法20及び装置10の典型的な実施例について、図1図23を参照しつつ、以下に説明する。
【0026】
図1及び図2に表わすように、装置10は、鉤を形成可能とされる縫合糸90を取り付けられるように構成されている、取り外し可能とされる縫合糸フレーム100を備えている。また、装置10はインデックスブロック200を備えており、インデックスブロック200は、縫合糸90の長さに沿って一定の間隔で鉤を形成するために、縫合糸フレーム100を支持すると共に縫合糸フレーム100を間欠運動させるように、且つ、縫合糸90に鉤を形成する際に縫合糸90を支持するように構成されている。さらに、装置10は、取り外し可能とされる切込組立体300を備えており、切込組立体300は、インデックスブロック200に係合するように且つ鉤991,992を形成するために縫合糸90に切欠を生じさせるように構成されている。
【0027】
図3に表わす縫合糸フレーム100は、好ましくは、2つの互いに対して反対側に配置されたサイドバー121,122と、2つの互いに対して反対側に配置されたエンドバー123,124とを備えており、サイドバー121,122とエンドバー123,124とは、略矩形状のフレーム100を形成しており、フレーム100の内部には、空間が形成されている。エンドバー123,124は、縫合糸フレーム100の先縁部101及び後縁部102それぞれを形成するように構成されている。ダボピン125,126は、2つのサイドバー121,122の間に且つ2つのサイドバー121,122に対して並行に縫合糸90を取り付けるように構成されている。これにより、単一の所定長さの縫合糸を一方のエンドバー123から他方のエンドバー124にジグザグ状に且つ一連のダボピン125,126の周りに巻き付けることによって、複数の所定長さの縫合糸91が、縫合糸フレーム100の内部空間に露出される。好ましい実施例では、一のダボピン125又は126の周りにヘアピン状に巻かれている、2つの隣り合う所定長さの縫合糸91が、一の鉤付縫合糸90を形成している。鉤付縫合糸91の形成については、以下に詳述する。
【0028】
好ましくは、締付ビーム127,128が、取り付けられた縫合糸90を縫合糸フレーム100に固定するために、エンドバー123,124それぞれのために設けられている。締付ビーム127,128それぞれが、例えばネジのような既知の手段によって対応するエンドバー123,124に取り外し可能に固定されるように構成されている。好ましくは、締付ビーム127,128それぞれが、ダボピン125,126それぞれから成る列に嵌入する複数の穴131,132を備えている。締付ビーム127,128がエンドバー123,124に固定されている場合には、図4に表わすように、ダボピン125,126を中心とした縫合糸のエンドループ93,94それぞれが、締付ビーム127,128とエンドバー123,124との間に締め付けられるので、縫合糸90が縫合糸フレーム100に固定される。
【0029】
サイドバー121,122それぞれが、サイドバー121,122の長さに沿って形成された少なくとも1つの歯付セクションを備えている。好ましい実施例では、サイドバー121,122それぞれが、サイドバー121,122の長さに沿って形成された少なくとも2つの歯付セクション133,134を有しており、図5に表わすように、2つの歯付セクション133,134は、縫合糸フレーム100の互いに対して反対側に配置された側部135,136に設けられている。図6は、一方のサイドバー121に設けられた歯付セクション133の一部分の拡大図である。歯付セクション133の歯は、4mmのピッチと1.86mmの高さとを有している。歯139それぞれは、垂直面137と、垂直面137に対して365.82°の傾斜角度を有している傾斜面138とを備えている。好ましくは、歯付セクション133,134は、同一の歯ピッチ及び同一の歯形を有している。
【0030】
サイドバー121,122の歯付セクション133,134の歯139それぞれは、上方に突出している歯キャッチ241と係合するように構成されており(図7参照)、図8に表わすように、歯キャッチ241は、インデックスブロック200の支持レール245,246の上方に面した表面243,244に設けられている。従って、装置10は、サイドバー121,122それぞれの歯付セクション133,134と係合するように構成されている2つの歯キャッチ241を備えている。好ましくは、歯キャッチ241それぞれが、支持レール245,246それぞれの略中心位置に配置されている。支持レール245,246は、インデックスブロック200の平坦なベースプレート259の上に互いに対して並行に取り付けられており、縫合糸フレーム100のサイドバー121,122それぞれを支持するように且つ縫合糸フレーム100のサイドバー121,122それぞれと滑動可能に係合するように構成されている。
【0031】
歯キャッチ241それぞれは、好ましくは縫合糸フレーム100の歯付セクション133,134に形成された歯139それぞれの傾斜面138と同一の傾斜角度を有している、傾斜面248を有している。縫合糸フレーム100の下方に面した歯付セクション133又は134に形成された歯139それぞれの傾斜面138は、(縫合糸フレーム100がインデックスブロック200の上に位置している場合に)歯キャッチ241の径斜面248と滑動可能に係合するように構成されており、これにより、縫合糸フレーム100は、図2の矢印Aによって示すように、インデックスブロック200に沿って、複数の所定長さの縫合糸に対して平行とされる前方方向に移動可能とされる。また、歯キャッチ241それぞれが、歯139の垂直面138と係合するように構成されている垂直面247を備えている。垂直面137,247同士の係合によって、縫合糸フレーム100がインデックスブロック200に沿って後方方向に移動することが防止される。従って、縫合糸フレーム100の歯付セクション133,134とインデックスブロック200の歯付キャッチ241とは、縫合糸フレーム100が一方向Aのみに移動可能とされるように、且つ、縫合糸フレーム100がインデックスブロック200に沿って段階的に間欠運動されるか又は移動するように構成されており、段階それぞれにおける縫合糸フレーム100の変位歯、歯付セクション133,134の歯のピッチに対応している。縫合糸フレーム100の間欠運動は、先縁部側のエンドバー123に隣り合って配置されている歯付セクション133,134の第1の歯140から始まるように構成されている。
【0032】
歯付セクション133,134を縫合糸フレーム100の互いに対して反対側に配置された側部135,136に配設することによって、縫合糸フレーム100の側部の両方がインデックスブロック200と係合可能とされる。このようにして、所定長さの縫合糸91それぞれの互いに対して反対側に配置された側部135,136が、複数の所定長さの縫合糸91を縫合糸フレーム100から取り外すことなく、縫合糸フレーム100を反転させることによって、上方に面した状態で露出される。
【0033】
好ましくは、歯キャッチ241それぞれが、縫合糸フレーム100が前方に移動する際に、サイドバー121,122に形成された歯139の径斜面138が歯キャッチ241の径斜面248に対して滑動した場合に、上方に面した表面243,244の中に押し下げられるように構成されている。歯キャッチ241を押し下げることによって、縫合糸フレーム100が同一の水平高さに維持される。歯139それぞれが歯キャッチ241の上方を通過する場合に、縫合糸フレーム100が最小の上方移動を伴ってインデックスブロック200に沿って移動されるからである。歯キャッチ241は、歯139が押し下げられている歯キャッチ241の上方を通過する場合に、縫合糸フレーム100がインデックスブロック200に沿って後方方向に移動することを防止するために、支持レール245,246の上方に面した表面243,244から再び自動的に延在することによって、歯139及び歯キャッチ241の垂直面137,138が互いに係合するように構成されている。従って、好ましくは、歯キャッチ241それぞれは、縫合糸フレーム100がインデックスブロック200に沿って移動する場合に伸縮が繰り返し可能となるようにバネ懸架式とされる。一の実施例では、歯キャッチ241それぞれが、製造及び組立を容易にするために、支持レール245,246それぞれに形成された切欠部254に配置されているインサート253として設けられている。図9は、インデックスブロック200の構成部品を良好に理解及び指示するための、インデックスブロック200の分解図である。
【0034】
前方ロックカム251が設けられたシャフトに接続されているクランク249をインデックスブロック200に設けることによって、縫合糸フレーム100はインデックスブロック200に沿って移動可能とされる。クランク249は、支持レール245,246のうち一方の支持レール245の外側に設けられている。好ましくは、クランク249及びシャフトは、シャフトが一方の支持レール245から他方の支持レール246に延在している状態において、支持レール245,246の略中央位置に配置されており、縫合糸フレーム100の前方移動の方向に対して垂直とされる軸線Qを中心として回転するように構成されている。前方ロックカム251は、縫合糸フレーム100がインデックスブロック200に配置された場合に、前方ロックカム251の外面261が縫合糸フレーム100の下方に面した表面135又は136に接触するように、支持レール245,246に形成された切欠部252においてシャフトに接触して位置決めされている。前方ロックカム251は、カム輪郭を有している。クランク249を反時計回りにクランク249の行程の最後まで回転させることによって、図10の矢印Bによって表わすように、縫合糸フレーム100が一枚の歯の分だけ(by one toothed step)前方方向Aに移動される。前方ロックカム251それぞれは、また、切込の際に切込組立体300を所定位置に固定するためにフックの形態で構成されている内面262を有している。これについては、以下に詳述する。従って、前方ロックカム251、歯付セクション133,134、及び歯キャッチ241は、縫合糸フレーム100と切込組立体300との間における段階的な相対運動を実現することができる、装置10の間欠運動機構を共に形成している。
【0035】
図3及び図4に表わすように、好ましくは、外側歯付セクション110が、縫合糸フレーム100のサイドバー121,122の外面111,112それぞれに設けられている。外側歯付セクション110は、好ましくは、サイドバー121,122の歯付セクション134,135と同一の歯ピッチ及び同一の歯形を有している。図9に表わすように、外側歯付セクション110は、インデックスブロック200の支持レール245,246の内側垂直面211,212に設けられている、押下可能な突起210と係合するように構成されている。縫合糸フレーム100が、インデックスブロック200に対して相対的に前方方向Aに依然として移動可能とされる一方、インデックスブロック200から離隔するように上方に移動することを防止するように、押下可能な突起210と外側歯付セクション110とが互いに係合するように構成されている。クランク249が回転された場合には、外側歯付セクション110の歯の傾斜面が押下可能な突起210に対して滑動し、押下可能な突起210が支持レール245,246の内部に向かって押し下げられる。これにより、縫合糸フレーム100がインデックスブロック200に沿って前方方向に移動可能とされる。好ましい実施例では、押下可能な突起210は、バネ懸架式とされる玉軸受の形態とされる。
【0036】
装置10を利用することによって、縫合糸フレーム100をインデックスブロック200に沿って段階的に移動させ、縫合糸フレーム100において所定長さの縫合糸91それぞれの上方に面した表面903に調整された切欠を作ることができるので、等間隔で離隔配置されている複数の鉤が、所定長さの縫合糸91それぞれに形成される。切欠を作るために、切込組立体300の切込ブレード361は、縫合糸フレーム100の内部において所定長さの縫合糸91の上方に配置されるように、且つ、所定長さの縫合糸91それぞれの上方に面した表面903に切込を入れるように構成されている。図11図14に表わすように、切込組立体300は、頂部ブロック363と、頂部ブロック363の側面それぞれから下方に延在している2つの側部ブロック365,366とを備えている。
【0037】
切込組立体300がインデックスブロック200及び縫合糸フレーム100に組み込まれた場合には、切込組立体300の側部ブロック365,366は、縫合糸フレーム100に取り付けられた縫合糸90の側部それぞれにおいて縫合糸フレーム100を貫通して延在するように構成されている。側部ブロック365,366の底面367,368は、昇降カム255,256それぞれに載置されるように構成されている。好ましくは、昇降カム255,256は、前方ロックカム251と同一のシャフトに且つインデックスブロック200の支持ブロック257の側部それぞれに設けられている。支持ブロック257は、支持レール245,246同士の間の中央においてベースプレート259に固定及び位置決めされている。昇降カム255,256は、図10の矢印Bによって示されるように、クランク249が反時計回りに回転された場合に、矢印Yによって示されるように、昇降カム255,256に載置されている切込組立体300を持ち上げるように構成されているカム輪郭を有している。切込組立体300を持ち上げることによって、既に上述のようにクランク249が反時計回りに回転された場合に、切込組立体300が前方方向Aにおける縫合糸フレーム100の移動を阻害することを回避することができる。
【0038】
典型的な実施例では、図8及び図9に表わすように、垂直方向に方向づけられた案内ピン258が、支持ブロック257及び切込組立体300の両方の適切に配置された穴を貫通するように、ベースプレート259に設けられている。これにより、装置10が縫合糸90に鉤を切込により形成するために組み付けられた場合に、支持ブロック257及び切込組立体300をインデックスブロック200に対して相対的に堅固に位置決めすることができる。
【0039】
図11図14に表わす切込組立体300の典型的な実施例では、切込ブレード361は、切込ブレード361の少なくとも1つの切込縁部364が側部ブロック365,366に対して垂直とされるように、側部ブロック365,366同士の間に且つ頂部ブロック363の下方に形成されている空間に設けられている。例えばラックアンドピニオン機構のような適切な機構が、切込ブレード361を、回動点370を中心として回動可能に頂部ブロック363に連結されたレバー367と接続するために、当該空間に設けられている。レバー367は、側部ブロック365,366に対して垂直とされる軸線Rを中心として回転するように構成されている。レバー367と切込ブレード361とは、当該適切な機構によって接続されている。これにより、切込組立体300が縫合糸フレーム100に載った状態で支持ブロック257に載置されている場合に、レバー367を回転させることによって、切込ブレード361が、矢印Xによって示すように直線的に、好ましくは水平に変位される。好ましい実施例では、切込ブレード361は、回動点370の周囲に設けられているピニオン369に係合しているラック368に接続している。これにより、装置10が鉤付縫合糸を形成するために組み立てられた場合に、レバー367を時計回りに回転させることによって、切込ブレード361を前方方向Aに移動させることができる。
【0040】
レバー367の回転に対する切込ブレード361の変位及び位置合わせは調整可能とされるように構成されている。このことは、図14に表わすように調整インサート310を切込組立体300に設けることによって実現される。好ましくは、調整インサート310は、ラック368を切込ブレード361と接続しているすり割り付コネクタ312を備えている。すり割り付コネクタ312は、すり割り付コネクタ312をラック368に調整可能に固定するための調整ネジ314と係合するように構成されている。水平スロット316が、調整ネジ314に係合するようにコネクタ312に形成されている。コネクタ312は、水平スロット316及び調整ネジ314を介してラック368に調整可能に固定可能とされる一方、切込ブレード361に堅固に固定されている。水平スロット316を調整ネジ314に対して相対的に適切に移動させることによって、切込ブレード361は、ラック368に対して相対的に移動されるので、切込ブレード361の変位及び位置合わせが調整可能となる。
【0041】
さらに、切込組立体300は、押圧ロッド320を備えており、押圧ロッド320は、切込ブレード361の切込縁部364の下方に、及び好ましくは切込ブレード361の切込縁部364に対して平行に設けられている。好ましくは、押圧ロッド320は、切込組立体300の側部ブロック365,366同士の間の中央に取り付けられている。押圧ロッド320は、切込の際に所定の長さの縫合糸91を移動させるように構成されている。
【0042】
切込の際に切込組立体300を固定及び安定化させるために、好ましくは、切込組立体300は、側部ブロック365,366から垂直に延在しているロックピン362を備えている。クランク249が、図15に表わす方向Cに時計回りに回転され、且つ、切込組立体300が、切込組立体300の底面367,368に対して作用する昇降カム255,256のカム輪郭に従って、切込位置に向かって(矢印Gで示すように)降下された場合に、図9に表わすように、ロックピン362は、前方ロックカム251の内面262によってインデックスブロック200の内部に係止されるように構成されている。前方ロックカム251をロックピン362に係留することによって、切込組立体300が安定化され、切込組立体300が切込の際に上昇することが防止される。
【0043】
さらに好ましくは、切込組立体300は左右対称であるように構成されており、図13に表わすように、切込ブレード361は2つの切込縁部364を有しており、図11に表わすように、レバー367は回動点370を中心として両方向に回転可能とされるように構成されている。このようにして、切込組立体300は、いずれの方向にしてもインデックスブロック200及び縫合糸フレーム100に対して組立可能とされる一方、いずれの方向にしても同様に動作可能とされる。これにより、利用者のために装置10の組立及び操作を単純化することができる。
【0044】
切込の際に切込ブレード361によって所定長さの縫合糸91を支持するために、支持ブロック257は、縫合糸フレーム100の内部に且つ複数の所定長さの縫合糸91の下方に設けられている縫合糸サポート220を備えている。縫合糸サポート220は、図16図19に表わすように、切込の際に縫合糸フレーム100の内部において点901,902で所定長さの縫合糸91それぞれの下方に面した表面904に接触するように構成されている。縫合糸サポート220は、隆起部221と縫合糸保持面222とを備えている。図16図19に表わす実施例では、縫合糸サポート220は、縫合糸保持面222の上方に延在している隆起部221を備えており、縫合糸保持面222は、隆起部221の後方且つ下方に傾斜している。隆起部221は、縫合糸フレーム100がインデックスブロック200に組み付けられた場合に、縫合糸フレーム100に取り付けられている所定長さの縫合糸91のすべてに対して垂直であるように構成されている。
【0045】
図17及び図19に表わすように、所定長さの縫合糸91に切込を入れる際に、切込組立体300が切込位置に降下されると、押圧ロッド320が所定長さの縫合糸91と接触し、所定長さの縫合糸91を下方に移動させ、縫合糸フレーム100の内部の所定長さの縫合糸91を縫合糸保持面222に接触した状態で所定長さの縫合糸91それぞれの保持部分902において保持する。所定長さの縫合糸91を隆起部221の方向に移動させることによって、その結果として、所定長さの縫合糸91それぞれが、隆起部221によって支持されている屈曲部分901において隆起221を中心として屈曲される(ステップ2321)。切込隆起部221及び押圧ロッド320を提供することによって、装置10は、切込を入れるための所定長さの縫合糸91それぞれの屈曲部分901を露出させるために、所定長さの縫合糸91それぞれを屈曲させるように構成されている。切込位置において縫合糸サポート220の縫合糸保持面222の傾斜角度を適切に設定することによって、縫合糸91それぞれが30°〜80°の角度で屈曲される。好ましい実施例では、縫合糸サポート220は、切込位置において所定長さの縫合糸91を70°の角度で屈曲させるように構成されている。
【0046】
切込ブレード361は、(上述のように)レバー367をレバー367の行程の最後まで時計回りに回転させることによって、前方方向において直線状に移動され、これにより、切込ブレード361の切込縁部364が、所定長さの縫合糸91それぞれの屈曲部分901の上方に面した表面すなわち凸状の表面に切込を入れる(ステップ2322)。好ましくは、特に図18から理解されるように、切込方向は、所定長さの縫合糸91それぞれの外面に対して平行とされる方向とされる。屈曲部分901に対する切込の長さは、切込ブレード361の直線移動量を調整することによって制御可能とされ、屈曲部分901に対する切込の深さは、切込組立体300が切込位置に位置している場合における切込ブレード361の垂直位置を調整することによって制御可能とされる。
【0047】
装置10を利用することによって鉤付縫合糸90を形成するサイクルについて説明する。
【0048】
図3に表わすように、所定長さの縫合糸が、縫合糸フレーム100のダボピン125,126の周りにジグザグ状に巻き付けられ、締付ビーム127,128それぞれでエンドバー123,124を締め付けることによって縫合糸フレーム100に固定される。これにより、図4に表わすように、単に縫合糸フレーム100をひっくり返すことによって両側において切込可能とされる、複数の所定長さの縫合糸91が露出される。
【0049】
縫合糸フレーム100は、縫合糸フレーム100の一方の側部135に設けられた歯付セクション133の第1の歯140がインデックスブロック200の歯キャッチ241によって係合されるように、インデックスブロック200に組み付けられる。これにより、切込ブレード361によって切込を入れるための、所定長さの縫合糸91それぞれの第1の側部903を露出される。図2に表わすように、切込組立体300は、昇降カム255,256に載置させるために、縫合糸フレーム100の上方に位置決めされている。
【0050】
図15に表わすように、クランク149は、クランク149の行程の最後まで時計回りに回転され、所定長さの縫合糸91を、切込ブレード361によって切込を入れるべき所定長さの縫合糸91それぞれの屈曲部分902を露出させている図16及び図17に表わす切込位置に至るまで移動させる(ステップ2321)。
【0051】
図18に表わすように、レバー367は、レバー367の行程の最後まで反時計回りに回転され、所定の変位量で所定長さの縫合糸91それぞれの屈曲部分902の内部に向かって直線的に切込ブレード361を移動させ、所定長さの縫合糸91それぞれに切込を入れることによって、所定長さの縫合糸91それぞれに鉤を形成する(ステップ2322)。その後に、レバー367は、切込ブレード361を切込部から後退させるために、時計回りに回転される。
【0052】
図10に表わすように、クランク249はクランク249の行程の最後まで反時計回りに回転されることによって、切込組立体300が持ち上げられ、縫合糸フレーム100を歯ピッチP単位で間欠運動させる(ステップ2323)。これにより、縫合糸91に切込を入れることによって鉤を形成するための、所定長さの縫合糸91それぞれの他の部分が露出される。縫合糸フレーム100の歯付セクション133,134の歯の歯ピッチPは、0.5mm〜5mmとされる。好ましい実施例では、歯ピッチPは1.5mmとされる。
【0053】
クランク249を反時計回りに回転させた(切込組立体300を持ち上げ、縫合糸フレーム100を間欠運動させる)後に時計回りに回転させる(切込組立体300を切込位置に降下させる)ことを繰り返した後に、レバー367を時計回りに回転させた(縫合糸に切込を入れるために切込ブレードを移動させる)後に反時計回りに回転させる(切込ブレードを退避させる)ことによって、縫合糸フレーム100の内部且つ所定長さの縫合糸91それぞれの一方の側部903において、連続する鉤991が、所定長さの縫合糸91それぞれの長さに沿って形成される。
【0054】
図20に表わすように、クランク249を回転させることによって縫合糸フレーム100がさらに前進移動しないように、縫合糸フレーム100が歯付セクション133の最後の歯に至るまで間欠運動させた場合に、装置10が一の切込サイクルの最後に到達する。図2に表わす切込サイクルの開始時における装置10と比較して、縫合糸フレーム100は、著しく前方に移動しているように見える。その後に、切込組立体300と縫合糸フレーム100とが、インデックスブロック200から取り外される。
【0055】
その後に、縫合糸フレーム100がひっくり返され、インデックスブロック200に再び組み付けられるが、縫合糸フレーム100の他方の側部136に位置する歯付セクション134の第1の歯140は、インデックスブロック200の歯キャッチ241によって係合される。このようにして、所定長さの縫合糸91それぞれの直径方向において反対側に位置する第2の表面904が、所定長さの縫合糸91それぞれを縫合糸フレーム100から取り外すことなく、切込組立体300によって切込を入れるために露出されている。その後に、切込組立体300が、ひっくり返された縫合糸フレーム100の上方に再び位置決めされ、昇降カム255,256に載置される。
【0056】
図19に表わすように、組み立てられた装置10は、複数の鉤992を所定長さの縫合糸91の第2の側部904に形成するために、第2の切込サイクルが終了するまで上述のように再び動作する。従って、2つの切込サイクルの間に縫合糸フレーム100を一度ひっくり返すことを伴う、装置10の2つの切込サイクルを利用することによって、鉤付縫合糸90が形成される。
【0057】
所定長さの縫合糸91それぞれの直径方向において反対側に位置する側部903,904に形成されている鉤991,992は、同一の方向に方向づけられている。また、図19は、隆起部221と降下された縫合糸保持面222とが共に、切込組立体300によって切込を入れる際に、屈曲部分901と保持部分902との間に位置する縫合糸91の一部分が任意の表面と接触することを防止し、これにより、所定長さの縫合糸91それぞれの第1の表面すなわち下方に面した表面903の既に形成された鉤991が所定長さの縫合糸91に押し戻され且つ鉤として機能することができなくなることを防止する。
【0058】
図5に表わすように、歯付セクション133,134は、鉤991,992が所定長さの縫合糸91の2つの側部903,904それぞれに千鳥状に形成されるように構成されている。これにより、図19及び図22に表わすように、鉤991,992が形成された切込地点における所定長さの縫合糸91の脆弱性を最小限度に抑えることができる。鉤991,992を千鳥状に配置させることによって、縫合糸91の第2の側部904において鉤992を形成する場合に、所定長さの縫合糸91の第1の側部903に形成された鉤991が隆起部221によって圧縮されることが防止される。好ましくは、鉤991,992は、隣り合う鉤991,992同士の間の鉤ピッチPが歯付セクション133,134の歯ピッチPの半分とされるように、所定長さの縫合糸91の2つの側部903,904に千鳥状に等間隔で配置されている。好ましい実施例では、鉤ピッチPは0.75mmとされる。
【0059】
クランク249を回転させることによって縫合糸フレーム100が前方移動することができないように、縫合糸フレーム100が歯付セクション134の最後の歯に至るまで間欠運動された場合には、切込組立体300と縫合糸フレーム100とがインデックスブロック200から再び取り外される。
【0060】
その後に、図21に表わすように、縫合糸フレーム100の内側に露出している所定長さの縫合糸91は、一方のエンドバー124に沿って完全に切断される。締付ビーム127,128の締付を解除すると、その結果として、複数の縫合糸90が完成する。図22に表わすように、縫合糸90それぞれは、縫合糸フレーム100の内側において、2つの隣り合う所定長さの縫合糸91から形成されており、縫合糸90それぞれの中間部分905が、所定長さの縫合糸91が切断されていない他方のエンドバー123において、ダボピン125それぞれの周りにヘアピン状に巻き付けられている。上述の装置10から形成された鉤付縫合糸90それぞれは、縫合糸90の中心横断軸線Tに関して対称とされる。図22に表わすように、複数の千鳥状に配置された縫合糸90の鉤991,992が、縫合糸90の中間部分905から縫合糸90の端部910,920それぞれに向かって面している。
【0061】
本発明の典型的な実施例について、上記の如く説明したが、設計、構造、及び/又は動作の詳細に関する、本発明の技術的範囲から逸脱しない多様な変形例に関する技術における当業者であれば理解可能である。例えば、代替的な実施例では、上述の屈曲機構が、縫合糸フレームの内部において所定長さの縫合糸を隆起部に抗して下方に移動させるが、他の屈曲機構が、例えば、所定長さの縫合糸が直立した縁部に接触し屈曲されるように縫合糸フレームを降下させることによって利用される場合がある。上述のように、クランク及びレバーを回転させることによって間欠運動及び切込形成が実現されるが、付加的又は代替的には、自動化システムによって間欠運動及び切込形成が実現される。縫合糸フレームの間欠運動について説明したが、代替的な実施例では、間欠運動機構は、縫合糸フレームを水平方向において静止状態に維持しつつ、切込組立体及び縫合糸サポートを間欠運動させるように構成されている場合がある。
【符号の説明】
【0062】
10 装置
90 縫合糸
91 縫合糸
93 (縫合糸の)エンドループ
94 (縫合糸の)エンドループ
100 縫合糸フレーム
101 (縫合フレーム100の)先縁部
102 (縫合フレーム100の)後縁部
110 外側歯付セクション
111 (サイドバー121の)外面
112 (サイドバー122の)外面
121 サイドバー
122 サイドバー
123 エンドバー
124 エンドバー
125 ダボピン
126 ダボピン
127 締付ビーム
128 締付ビーム
131 穴
132 穴
133 歯付セクション
134 歯付セクション
135 (縫合フレーム100の)側部
136 (縫合フレーム100の)側部
138 (歯139の)傾斜面
139 (歯付セクション133,134の)歯
140 (歯付セクション133,134の)第1の歯
200 インデックスブロック
210 押下可能な突起
211 (支持レール245の)内側垂直面
212 (支持レール246の)内側垂直面
220 縫合糸サポート
221 隆起部
222 縫合糸保持面
241 歯キャッチ
243 (支持レール245の)上方に面した表面
244 (支持レール246の)上方に面した表面
245 支持レール
246 支持レール
247 (歯キャッチ241の)垂直面
248 (歯キャッチ241の)傾斜面
249 クランク
251 前方ロックカム
252 (支持レール245,246の)切欠部
253 インサート
254 (支持レール245,246の)切欠部
255 昇降カム
256 昇降カム
257 支持ブロック
258 案内ピン
259 ベースプレート
300 切込組立体
310 調整インサート
312 すり割り付コネクタ
314 調整ネジ
316 水平スロット
361 切込ブレード
362 ロックピン
363 頂部ブロック
364 (切込ブレード361の)切込縁部
365 側部ブロック
366 側部ブロック
367 レバー/(側部ブロック365の)底面
368 ラック/(側部ブロック366の)底面
369 ピニオン
370 回動点
901 点/(縫合糸91の)屈曲部分
902 点/(縫合糸91の)保持部分
903 (縫合糸91の)上方に面した表面(第1の側部、第1の表面)
904 (縫合糸91の)下方に面した表面(第2の側部、第2の表面)
905 (縫合糸90の)中間部分
991 鉤
992 鉤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23