(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、発光装置について詳細に説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0022】
図1は、発光装置1の斜視図である。
図2(A)〜
図2(C)は、それぞれ、発光装置1の上面図、側面図および底面図である。
図3(A)〜
図4(B)は、発光装置1の構造を説明するための図である。
【0023】
発光装置1は、基板10、4つのLED素子21B,22R,23G,24B、蛍光体層30、樹脂枠41、封止樹脂50および遮光部材61を有する。発光装置1は、赤色(R)光、緑色(G)光および青色(B)光をそれぞれ出射する3つのLED素子22R,23G,24Bと、蛍光体層30を用いて白色(W)光を出射するLED素子21Bとにより、高演色の白色光を実現する。発光装置1の側方の3面および上面は、樹脂枠41および遮光部材61によって覆われている。樹脂枠41によって覆われていない側方の1面が発光装置1の出射口48であり、ここから、発光装置1は、
図4(A)および
図4(B)に矢印Lで示したように光を出射する。発光装置1は、照明光源やバックライト用の光源に利用可能な、側面発光型のLEDパッケージである。
【0024】
なお、
図1は、遮光部材61が取り外された発光装置1を示す。
図1および
図2(A)では、LED素子21B,22R,23G,24Bの記載を省略している。
図3(A)は、樹脂枠41および遮光部材61が取り付けられた発光装置1を示す斜視図であり、
図3(B)は、
図3(A)の縦断面図である。
図3(C)は、樹脂枠41および遮光部材61が取り外された発光装置1を示す斜視図であり、
図3(D)は、
図3(C)の縦断面図である。
図4(A)は、遮光部材61が取り外された発光装置1の上面図であり、
図4(B)は、
図4(A)の縦断面図である。また、
図19は、基板10上の回路パターン16a〜16fとLED素子21B,22R,23G,24Bの配置を示す平面図である。
【0025】
基板10は、その上面である同じ実装面にLED素子21B,22R,23G,24Bが実装される基板であり、例えばガラスエポキシ基板や、BTレジン基板、セラミックス基板、メタルコア基板などの絶縁性基板である。
図2(C)に示すように、基板10の底面には、LED素子21B,22R,23G,24Bに電力を供給するための5つの電極11〜15が設けられている。また、
図19に示すように、基板10の上面には、底面の電極11〜14にそれぞれ対応する位置に、略矩形状の回路パターン16a〜16dが設けられ、底面の電極15に対応する位置に、略矩形状の2つの回路パターン16e,16fが設けられている。回路パターン16a〜16c,16eは蛍光体層30よりも出射口48に近い側に、回路パターン16d,16fは蛍光体層30よりも出射口48から遠い側に、それぞれ配置されている。
【0026】
電極11〜14と回路パターン16a〜16dとは貫通電極17a〜17dを介してそれぞれ電気的に接続され、電極15と回路パターン16e,16fとは貫通電極17e,17fを介して電気的に接続されている。例えば、電極11〜14は、LED素子21B,22R,23G,24Bにそれぞれ対応するアノード電極であり、電極15は、LED素子21B,22R,23G,24Bに共通のカソード電極である。あるいは、基板10には、4つのLED素子にそれぞれ対応する4つのカソード電極と4つのLED素子に共通の1つのアノード電極とを設けてもよいし、LED素子21B,22R,23G,24Bのそれぞれに2個ずつの、合計8個の電極を設けてもよい。
【0027】
LED素子21B,22R,23G,24Bの各電極(素子電極)は、Agペーストなどの導電性接着材料またはワイヤボンディングによるワイヤなどを介して、回路パターン16a〜16fに電気的に接続されている。具体的には、
図19に示すように、LED素子21Bは回路パターン16f上に実装され、その素子電極はワイヤ25により回路パターン16d,16fに接続されている。LED素子22Rは回路パターン16e上に実装され、その素子電極はワイヤ25により回路パターン16cに接続されている。LED素子23Gは回路パターン16e上に実装され、その素子電極はワイヤ25により回路パターン16b,16eに接続されている。LED素子24Bは回路パターン16e上に実装され、その素子電極はワイヤ25により回路パターン16a,16eに接続されている。
【0028】
LED素子21Bは、第1のLED素子の一例であり、例えば発光波長帯域が450〜460nm程度の青色光を発光する青色LED素子である。蛍光体層30は、
図3(D)に示すように、蛍光体35を含有する樹脂層であり、LED素子21BとLED素子22Rの間で封止樹脂50を2分するように設けられている。蛍光体35としては、例えば、YAG(yttrium aluminum garnet)などの黄色蛍光体が用いられる。LED素子21Bは、青色光と、その青色光により蛍光体層30内の黄色蛍光体を励起して生成される黄色光との組合せにより、白色光を出射する。
【0029】
なお、蛍光体層30は、黄色蛍光体に代えて、緑色蛍光体と赤色蛍光体などの複数種類の蛍光体を含有してもよい。緑色蛍光体は、LED素子21Bが出射した青色光を吸収して緑色光に波長変換する、例えば(BaSr)
2SiO
4:Eu
2+などの粒子状の蛍光体材料である。赤色蛍光体は、LED素子21Bが出射した青色光を吸収して赤色光に波長変換する、例えばCaAlSiN
3:Eu
2+などの粒子状の蛍光体材料である。この場合、LED素子21Bは、青色光と、その青色光により緑色蛍光体および赤色蛍光体を励起させて得られる緑色光および赤色光とを混合させて得られる白色光を出射する。
【0030】
あるいは、LED素子21Bと蛍光体層30に代えて、第1のLED素子および蛍光体層として、例えば、黄色蛍光体を含有する樹脂層で上面および側面が被覆され、単体で白色光を出射する青色LED素子を設けてもよい。
【0031】
LED素子22Rは、第2のLED素子の一例であり、例えば発光波長帯域が620〜660nm程度の赤色光を出射する赤色LED素子である。LED素子23Gは、第3のLED素子の一例であり、例えば発光波長帯域が510〜530nm程度の緑色光を出射する緑色LED素子である。LED素子24Bは、第4のLED素子の一例であり、例えば、LED素子21Bと同じく、発光波長帯域が450〜460nm程度の青色光を発光する青色LED素子である。なお、LED素子21B,24Bは、特性が同じものでもよいし、特性が違うものでもよい。
【0032】
発光装置1では、LED素子21B,22R,23G,24Bにそれぞれ対応した電極11〜14と電極15が設けられているため、4つのLED素子を独立に駆動することができる。RGBの3つのLED素子だけで色味を調整しようとすると各LED素子の電流値の制御が複雑になるが、発光装置1では、さらに白色(W)のLED素子21Bがあるため、LED素子22R,23G,24BのいずれかとLED素子21Bの2つを発光させることにより、白色光を基準として色味を調整することができる。例えば、LED素子21B,22Rの2つを発光させれば赤味がかった白色光が容易に得られ、LED素子21B,24Bの2つを発光させれば青味がかった白色光が容易に得られるので、LED素子の電流値の制御が単純化される。
【0033】
青色光は黄色蛍光体を励起するため、黄色蛍光体を用いて白色光を出射する白色LED素子の近くに単体の青色LED素子を実装すると、その青色LED素子の出射光は黄色蛍光体を励起して白色光になってしまい、青色光の光量が低下するおそれがある。また、緑色光も黄色蛍光体を若干励起するため、白色LED素子の近くに緑色LED素子を実装した場合にも、緑色光の光量は低下し得る。一方、赤色光は黄色蛍光体を励起しないため、赤色LED素子は、白色LED素子の近くに実装しても、赤色光の光量は低下しない。このため、青色、緑色、赤色および白色のLED素子を同じ基板上に実装する場合には、青色LED素子を白色LED素子の蛍光体層から離す必要があり、緑色LED素子もその蛍光体層からなるべく離した方がよいが、赤色LED素子はどこに配置してもよい。
【0034】
そこで、発光装置1では、LED素子22R,23G,24Bは、LED素子24Bが蛍光体層30から最も離れ、かつLED素子22Rが蛍光体層30に最も近くなるように、蛍光体層30よりも出射口48に近い側で、LED素子21Bの発光経路(光路)の前方に直線状に実装されている。すなわち、LED素子24Bは、蛍光体層30を挟んでLED素子21Bとは反対側において、LED素子22R,23Gよりも蛍光体層30から遠くに配置されており、LED素子21B,22R,23G,24Bは、基板10の実装面上において、この順序で1直線状に配列している。
【0035】
また、LED素子23G,24Bは、例えば、サファイアをベースとして構成された透明な素子であることが好ましい。LED素子23G,24Bが白色光および赤色光を透過させる透明な素子であれば、出射口48に向けてLED素子22R,23G,24Bが1直線状に実装されていても、例えばLED素子22Rによる赤色光はLED素子23G,24Bによって遮られないため、混色性が向上する。また、LED素子22Rは、不透明な素子であることが好ましい。LED素子22Rが青色光を透過させない不透明な素子であれば、LED素子24Bから蛍光体層30に向けて出射された青色光がLED素子22Rによって遮られるため、蛍光体層30からの励起光が不必要に発生することがなくなる。
【0036】
樹脂枠41は、発光装置1の出射口48がある1面を除いて、基板10の外周の3面を取り囲む樹脂製の部材である。樹脂枠41は、LED素子21B,22R,23G,24Bによる出射光の出射口48を有し、その出射光は、出射口48から、基板10の実装面に平行な方向に出射される。
【0037】
図3(B)に示すように、樹脂枠41は、LED素子21B,22R,23G,24Bによる出射光を封止樹脂50の側に反射させる内側の白色樹脂層46と、外部への光の透過を防止する外側の黒色樹脂層47との2層構造を有することが好ましい。発光装置1では、白色樹脂層46があることにより、各LED素子からの光は発光装置1の内側に反射するため、混色性が向上する。また、白色樹脂層46だけでは、樹脂枠41を透過して発光装置1の側面から光が漏れるおそれがあるが、発光装置1では、白色樹脂層46の外側にさらに黒色樹脂層47があることにより、外部に光が漏れにくくなるので、発光効率が向上する。
【0038】
封止樹脂50は、樹脂枠41内の基板10上に充填されて、LED素子21B,22R,23G,24Bの全体を一体に被覆し保護(封止)する。封止樹脂50としては、例えば、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの無色かつ透明な樹脂を使用するとよい。
【0039】
図3(D)に示すように、封止樹脂50には、LED素子21B,22R,23G,24Bによる出射光を拡散させるガラス粒などの散乱剤55を分散混入させることが好ましい。散乱剤55としては、例えば、SiO
2を主成分とし、粒径が5〜8μmの粉砕型のものが使用される。あるいは、散乱剤55として、同じくSiO
2を主成分とし、粒径が1.5μmで球形のものを使用してもよい。散乱剤55入りの封止樹脂50を設けて光を拡散させることで、出射口48の発光面を一様に発光させることができる。
【0040】
遮光部材61は、例えば樹脂製のシート状の部材であり、基板10の実装面とは反対側の面である封止樹脂50の上面全体を覆うように配置される。
図3(B)に示すように、遮光部材61も、樹脂枠41と同様に、LED素子21B,22R,23G,24Bによる出射光を封止樹脂50の側に反射させる内側の白色シート66と、外部への光の透過を防止する外側の黒色シート67との2層構造を有することが好ましい。
【0041】
発光装置1では、白色シート66があることにより、各LED素子からの光は発光装置1の内側に反射するため、混色性が向上する。また、白色シート66だけでは、遮光部材61を透過して発光装置1の上面から光が漏れるおそれがあるが、発光装置1では、白色シート66の外側にさらに黒色シート67があることにより、外部に光が漏れにくくなるので、発光効率が向上する。なお、樹脂枠41と遮光部材61は、必ずしも独立した2つの部材でなくてもよく、発光装置1の側面3面と上面を一体的に覆う1つの部材であってもよい。
【0042】
図5(A)〜
図12(B)は、発光装置1の製造工程を示す図である。各図の(A)は各工程における斜視図を示し、各図の(B)は(A)の縦断面図を示す。
【0043】
まず、
図5(A)および
図5(B)に示すように、基板10の上面に、LED素子21B,22R,23G,24Bがこの順序で1列に実装される(工程1)。ここでは、6個の発光装置1を同時に製造する場合の例を示しており、基板10上には、3行2列の計6組のLED素子21B,22R,23G,24Bが実装される。
【0044】
続いて、
図6(A)および
図6(B)に示すように、例えばモールド成型などの方法により、封止樹脂50で、基板10上の複数組のLED素子21B,22R,23G,24Bが一体に被覆される(工程2)。なお、封止樹脂50は単なる透明樹脂であってもよいが、封止樹脂50には散乱剤を分散混入させることが好ましい。
【0045】
次に、
図7(A)および
図7(B)に示すように、工程2で得られた封止樹脂50に対してダイシングを行うことにより、蛍光体層30用の溝56が形成される(工程3)。ここでは、基板10の左右2列に分けて3個ずつの発光装置1を作るために、2本の溝56が形成される。
【0046】
さらに、
図8(A)および
図8(B)に示すように、工程3で形成された溝56に、蛍光体を含有する樹脂を充填させることにより、蛍光体層30が形成される(工程4)。
【0047】
続いて、
図9(A)および
図9(B)に示すように、工程4で得られた封止樹脂50に対してダイシングを行うことにより、樹脂枠41用の溝57が形成される(工程5)。その際、封止樹脂50のうち、4つの側面全体と、蛍光体層30に直交する2本の溝部が削り取られる。
【0048】
次に、
図10(A)および
図10(B)に示すように、工程5で削り取られた封止樹脂50の4つの側面、溝57の内部および封止樹脂50の上面が反射性の白色樹脂で被覆されて、樹脂枠41と遮光部材61が形成される(工程6)。ここでは、樹脂枠41と遮光部材61が一体に形成される場合の例を示している。なお、工程6では、白色樹脂の表面をさらに黒色樹脂で被覆して、樹脂枠41と遮光部材61を2層構造にすることが好ましい。
【0049】
さらに、
図11(A)および
図11(B)に示すように、溝57が形成されていた部分(符号X)と溝57に直交する基板10の中央部分に対してダイシングを行う(工程7)。これにより、
図12(A)および
図12(B)に示すように、6個の発光装置1が完成する。以上で、発光装置1の製造工程は終了する。
【0050】
図13(A)〜
図13(F)は、それぞれ、発光装置1,1A,1B,1C,1D,1Eの上面図である。これらの図では、遮光部材61が取り外された状態の上面図を示す。
【0051】
まず、蛍光体層30は、LED素子21BとLED素子22Rの間で封止樹脂50を2分する壁状のものでなくてもよい。例えば、
図13(B)に示す発光装置1Aの蛍光体層30Aのように、蛍光体層は、LED素子21Bの周囲において、樹脂枠41の3方の側壁で囲まれる空間全体を埋め尽くしてもよい。また、
図13(E)に示す発光装置1Dの蛍光体層30Dのように、蛍光体層は、LED素子21Bを取り囲むロの字型の壁状であってもよい。
【0052】
また、
図13(C)に示す発光装置1Bの樹脂枠41Cのように、樹脂枠は、4つのLED素子の配列方向に対する側方に出射口48Cを有してもよい。この場合、赤色光、緑色光、青色光および白色光を混色させるために、出射口48Cは、LED素子22R,23G,24Bの側方のみに設けられていることが好ましい。発光装置1Cの出射光は、出射口48Cから、基板10の実装面に平行な方向であって、4つのLED素子の配列方向に直交する方向に出射される。
【0053】
また、LED素子22R,23G,24Bを3角形状に配置してもよい。例えば、
図13(D)に示す発光装置1Cのように、LED素子22R,23G,24Bを、蛍光体層30よりも出射口48に近い領域において、LED素子24Bが蛍光体層30から最も離れるように、3角形状に配列させて実装してもよい。3角形の配置であれば、3つのLED素子を1直線上に配置した場合と比べて素子間の距離が短くなるので、例えば3つのLED素子を出射方向に対して横向き1列に配置した場合と比べて、混色性が向上する。
【0054】
また、
図13(F)に示す発光装置1Eのように、LED素子22Rを蛍光体層30よりもLED素子21Bに近い側に配置してもよい。赤色光は蛍光体層30内の黄色蛍光体を励起しないため、LED素子22Rの位置は、他のLED素子21B,23G,24Bと同じ実装面上のどこでもよい。
【0055】
図14(A)〜
図15(B)は、発光装置2の構造を説明するための図である。発光装置2は、基板10、4つのLED素子21B,22R,23G,24B、蛍光体層30、樹脂枠42、封止樹脂50および遮光部材62を有する。発光装置2は、樹脂枠および遮光部材の形状、ならびに光の出射方向のみが発光装置1と異なり、その他の点では発光装置1と同じ構成を有する。このため、以下では、発光装置2について、発光装置1と異なる点を説明し、発光装置1と重複する説明を省略する。
【0056】
発光装置2の側方の4面は樹脂枠42によって覆われ、上面の一部は遮光部材62によって覆われている。遮光部材62によって覆われていない上方の一部が発光装置2の出射口49であり、ここから、発光装置2は、
図15(B)に矢印Lで示したように光を出射する。発光装置2は、照明光源やバックライト用の光源に利用可能な、上面発光型のLEDパッケージである。
【0057】
図14(A)は、樹脂枠42および遮光部材62が取り付けられた発光装置1を示す斜視図であり、
図14(B)は、
図14(A)の縦断面図である。
図14(C)は、樹脂枠42および遮光部材62が取り外された発光装置2を示す斜視図であり、
図14(D)は、
図14(C)の縦断面図である。
図15(A)は、遮光部材62が取り外された発光装置2の上面図であり、
図15(B)は、
図15(A)の縦断面図である。
【0058】
樹脂枠42は、基板10の外周の4面全体を取り囲む樹脂製の部材である。発光装置2でも、
図14(B)に示すように、樹脂枠42は、LED素子21B,22R,23G,24Bによる出射光を封止樹脂50の側に反射させる内側の白色樹脂層46と、外部への光の透過を防止する外側の黒色樹脂層47との2層構造を有することが好ましい。白色樹脂層46があることにより混色性が向上し、白色樹脂層46の外側にさらに黒色樹脂層47があることにより、外部に光が漏れにくくなるので発光効率が向上する。
【0059】
遮光部材62は、例えば樹脂製のシート状の部材であり、LED素子21Bの上方のみを覆うように、封止樹脂50の上面の半分程度に配置される。発光装置2は、LED素子22R,23G,24Bの上方に出射口49を有し、LED素子21B,22R,23G,24Bによる出射光は、出射口49から、基板10の実装面に垂直な方向に出射される。発光装置2でも、
図14(B)に示すように、遮光部材62は、主にLED素子21Bによる出射光を封止樹脂50の側に反射させる内側の白色シート66と、外部への光の透過を防止する外側の黒色シート67との2層構造を有することが好ましい。白色シート66があることにより混色性が向上し、白色シート66の外側にさらに黒色シート67があることにより、外部に光が漏れにくくなるので発光効率が向上する。
【0060】
図16(A)〜
図16(E)は、それぞれ、発光装置2,2A,2C,2D,2Eの上面図である。これらの図では、遮光部材62が取り外された状態の上面図を示す。
【0061】
上面発光型の発光装置2についても、蛍光体層30は、LED素子21BとLED素子22Rの間で封止樹脂50を2分する壁状のものでなくてもよい。例えば、
図16(B)に示す発光装置2Aの蛍光体層30Aのように、蛍光体層は、LED素子21Bの周囲において、樹脂枠42の3方の側壁で囲まれる空間全体を埋め尽くしてもよい。また、
図16(D)に示す発光装置2Dの蛍光体層30Dのように、蛍光体層は、LED素子21Bを取り囲むロの字型の壁状であってもよい。
【0062】
また、LED素子22R,23G,24Bを3角形状に配置してもよい。例えば、
図16(C)に示す発光装置2Cのように、蛍光体層30を挟んだLED素子21Bとは反対側の領域において、LED素子22R,23G,24Bを、LED素子24Bが蛍光体層30から最も離れるように、3角形状に配列させて実装してもよい。
【0063】
また、
図16(E)に示す発光装置2Eのように、LED素子22Rを蛍光体層30よりもLED素子21Bに近い側に配置してもよい。赤色光は蛍光体層30内の黄色蛍光体を励起しないため、LED素子22Rの位置は、他のLED素子21B,23G,24Bと同じ実装面上のどこでもよい。
【0064】
図17(A)〜
図17(D)は、それぞれ、他の発光装置1F,1G,2F,2Gの上面図である。これらの図は、
図3(B)または
図14(B)に対応する縦断面図である。発光装置1F,1G,2F,2Gは、封止樹脂50内の散乱剤55の有無のみが発光装置1,2とは異なり、その他の点では発光装置1,2と同じ構成を有する。封止樹脂50内に散乱剤55を分散混入させることにより混色性が向上するが、散乱剤55は、封止樹脂50の全体に一様に混入させてもよいし、封止樹脂50の一部のみに混入させてもよい。例えば、
図17(A)および
図17(C)に示すように、蛍光体層30で2分されたLED素子21B側の封止樹脂50のみに散乱剤55を混入させてもよいし、
図17(B)および
図17(D)に示すように、LED素子22R,23G,24B側の封止樹脂50のみに散乱剤55を混入させてもよい。
【0065】
あるいは、図示しないが、側面発光型の発光装置1と上面発光型の発光装置2のいずれについても、出射口48,49がある発光面の端面付近のみに、散乱剤入りの、例えば無色かつ透明な樹脂枠を設けてもよい。このように、発光面の端面付近のみに散乱剤を設けても、混色性が向上する。
【0066】
また、上記の発光装置はいずれも全体が矩形の形状を有しているが、例えば樹脂枠41,42の角部をテーパ形状にしてもよいし、丸みを帯びた形状にしてもよい。このような形状変更によっても、発光効率を向上させることが可能である。発光装置の全体形状は、用途に応じて適宜変更してもよい。
【0067】
図18(A)および
図18(B)は、発光装置3の構造を説明するための図である。
図18(A)は、
図4(A)および
図15(A)に対応する発光装置3の上面図であり、
図18(B)は、
図18(A)の縦断面図である。
【0068】
発光装置3は、基板10、4つのLED素子21B,22R,23G,24B、蛍光体層30、樹脂枠43、封止樹脂50および遮光部材61を有する。発光装置3は、樹脂枠の形状および光の出射方向のみが発光装置1と異なり、その他の点では発光装置1と同じ構成を有する。このため、発光装置3についても、発光装置1と異なる点を説明し、発光装置1と重複する説明を省略する。
【0069】
発光装置3では、樹脂枠43は、LED素子21Bが実装されている側のほぼ半分程度においてのみ、基板10の外周を取り囲んでいる。LED素子22R,23G,24Bが実装されている反対側のほぼ半分程度では、基板10上には樹脂枠43は設けられていない。また、発光装置3でも、発光装置1と同様に、遮光部材61は封止樹脂50の上面全体を覆っている。したがって、発光装置3では、LED素子の配列方向の前方にある側面48’、およびLED素子の配列方向の側方にある側面のうち樹脂枠43によって覆われていない領域48L,48Rが、光の出射口になる。発光装置3は、これらの側面48’および領域48L,48Rから、
図18(A)に矢印Lで示したように3方向に光を出射する。発光装置3は、照明光源やバックライト用の光源に利用可能な、側方3面発光型のLEDパッケージである。
【0070】
発光装置からの光の出射方向は、発光装置1,2のように側面または上面の1方向に限らず、発光装置3のように複数の方向であってもよい。また、図示しないが、領域48L,48Rの一方を樹脂枠で覆うことにより、発光装置からの光の出射方向を、側面48’と領域48Lまたは領域48Rとの2方向にしてもよい。また、例えば、
図13(B)〜
図13(F)に示した発光装置1A〜1Eにおいても、樹脂枠41,41CにおけるLED素子21B,22R,23G,24Bの配列方向の前方とLED素子22R,23G,24Bの側方の両方を取り除いて、複数の方向に光を出射できるようにしてもよい。あるいは、
図16(A)〜
図16(E)に示した発光装置2,2A,2C〜2Eにおいても、例えば、樹脂枠42のうちLED素子21B,22R,23G,24Bの配列方向の前方を取り除いて、側方と上方の2方向に光を出射できるようにしてもよい。
【0071】
以上説明したそれぞれの発光装置は、白色光を出射するLED素子21Bの発光経路に、赤色、緑色および青色のLED素子であるLED素子22R,23G,24Bを有する。これにより、各発光装置では、演色性が向上し、白色光の色味を容易に調整することが可能になる。また、上記の各発光装置では、LED素子22R,23G,24Bのうちで、LED素子23G,24Bは蛍光体層30の外側にあり、特に、蛍光体を励起し得るLED素子24Bは蛍光体層30から最も離れた位置に配置されている。この配置のため、LED素子23G,24Bの発光が蛍光体によって阻害されることはなく、また、LED素子24Bが蛍光体を励起しにくくなるので、LED素子21B,24Bを同時に発光させたとしても、励起光が不必要に発生することがなくなる。
【0072】
赤色、緑色および青色のLED素子を出射方向に対して横向きに1列に並べると、指向性の影響により混色性が悪くなることがあるが、上記の各発光装置では、LED素子22R,23G,24Bの配列を出射方向に沿った直線状または3角形状にすることで、混色性が向上する。また、上記の各発光装置では、樹脂枠41〜43と遮光部材61,62があることにより、出射口48,49以外から漏れる光が少なくなるため、発光効率も向上する。