特許第6522158号(P6522158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6522158積層された光導波路を有するニアアイディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522158
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】積層された光導波路を有するニアアイディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20190520BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20190520BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   G02B27/02 Z
   G02B6/42
   H04N5/64 511A
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-557090(P2017-557090)
(86)(22)【出願日】2016年7月6日
(65)【公表番号】特表2018-522262(P2018-522262A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】US2016041186
(87)【国際公開番号】WO2017027131
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2018年1月16日
(31)【優先権主張番号】14/824,445
(32)【優先日】2015年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッフル,ヘイズ・エス
(72)【発明者】
【氏名】カクマクシ,オザン
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス,オスカー・エイ
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0207887(US,A1)
【文献】 特表2015−508182(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/112705(WO,A1)
【文献】 米国特許第08665178(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0062998(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0322810(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0192777(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00−27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と、前記表面から隔てて設けられた裏面と、それ自体の周囲を形成する端部とを有するアイピースであって、目から反射された目測光を前記アイピース内に向け、かつ、前記アイピースからのディスプレイ光を前記目に向ける傾斜面を内部に有するアイピースと、
前記アイピース内に形成され、前記傾斜面から前記端部に延在し、第1の表面処理部を有する前記傾斜面の第1の部分に光学的に結合された第1の導波管と、
前記アイピース内に形成され、前記傾斜面から前記端部に延在し、第2の表面処理部を有する前記傾斜面の第2の部分に光学的に結合された第2の導波管と、
を備え
前記第1および前記第2の導波管は互いに積層されている、装置。
【請求項2】
表面と、前記表面から隔てて設けられた裏面と、それ自体の周囲を形成する端部とを有するアイピースであって、目から反射された目測光を前記アイピース内に向け、かつ、前記アイピースからのディスプレイ光を前記目に向ける傾斜面を内部に有するアイピースと、
前記アイピース内に形成され、前記傾斜面から前記端部に延在し、第1の表面処理部を有する前記傾斜面の第1の部分に光学的に結合された第1の導波管と、
前記アイピース内に形成され、前記傾斜面から前記端部に延在し、第2の表面処理部を有する前記傾斜面の第2の部分に光学的に結合された第2の導波管と、
を備え
前記第1および前記第2の導波管は、一方の導波管が前記表面付近に、かつ、他方の導波管が前記裏面付近にある状態で、一方の導波管が他方の導波管の前方に積層されている、装置。
【請求項3】
前記第1の表面処理部は、前記傾斜面の前記第1の部分を50/50ミラーにする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の表面処理部は、前記傾斜面の前記第2の部分を、赤外線放射を反射するものの可視光波長に部分的に透明な赤外線反射器にする、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記端部に設けられ、前記第1の導波管に光学的に結合され、前記ディスプレイ光を前記第1の導波管内へと放つことが可能なディスプレイと、
前記端部に設けられ、前記第2の導波管に光学的に結合され、前記第2の導波管からの目測放射を捉えることが可能なカメラと、
をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ディスプレイおよび前記カメラは、光カプラによって前記端部に光学的に結合されている、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1および前記第2の導波管は当接している、請求項に記載の装置。
【請求項8】
別の傾斜面をさらに備え、前記第1の導波管は前記第1の表面処理部を有する前記傾斜面の前記第1の部分に光学的に結合されており、前記第2の導波管は前記第2の表面処理部を有する前記別の傾斜面の一部に光学的に結合されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
システムであって、
ユーザの目の前方で1つ以上のニアアイディスプレイを保持するフレームを備え、前記1つ以上のニアアイディスプレイのうちの少なくとも1つは、
表面と、前記表面から隔てて設けられた裏面と、それ自体の周囲を形成する端部とを有するアイピースであって、目から反射された目測光を前記アイピース内に向け、かつ、前記アイピースからのディスプレイ光を前記目に向ける傾斜面を内部に有するアイピースと、
前記アイピース内に形成され、前記傾斜面から前記端部に延在し、第1の表面処理部を有する前記傾斜面の第1の部分に光学的に結合された第1の導波管と、
前記アイピース内に形成され、前記傾斜面から前記端部に延在し、第2の表面処理部を有する前記傾斜面の第2の部分に光学的に結合された第2の導波管とを含み、前記システムはさらに、
前記端部に設けられ、前記第1の導波管に光学的に結合され、前記ディスプレイ光を前記第1の導波管内へと放つことが可能なディスプレイと、
前記端部に設けられ、前記第2の導波管に光学的に結合され、前記第2の導波管からの目測放射を捉えることが可能なカメラと、
を備え
前記第1および前記第2の導波管は互いに積層されている、システム。
【請求項10】
システムであって、
ユーザの目の前方で1つ以上のニアアイディスプレイを保持するフレームを備え、前記1つ以上のニアアイディスプレイのうちの少なくとも1つは、
表面と、前記表面から隔てて設けられた裏面と、それ自体の周囲を形成する端部とを有するアイピースであって、目から反射された目測光を前記アイピース内に向け、かつ、前記アイピースからのディスプレイ光を前記目に向ける傾斜面を内部に有するアイピースと、
前記アイピース内に形成され、前記傾斜面から前記端部に延在し、第1の表面処理部を有する前記傾斜面の第1の部分に光学的に結合された第1の導波管と、
前記アイピース内に形成され、前記傾斜面から前記端部に延在し、第2の表面処理部を有する前記傾斜面の第2の部分に光学的に結合された第2の導波管とを含み、前記システムはさらに、
前記端部に設けられ、前記第1の導波管に光学的に結合され、前記ディスプレイ光を前記第1の導波管内へと放つことが可能なディスプレイと、
前記端部に設けられ、前記第2の導波管に光学的に結合され、前記第2の導波管からの目測放射を捉えることが可能なカメラと、
を備え
前記第1および前記第2の導波管は、一方の導波管が前記表面付近に、かつ、他方の導波管が前記裏面付近にある状態で、一方の導波管が他方の導波管の前方に積層されている、システム。
【請求項11】
前記第1の表面処理部は、前記傾斜面の前記第1の部分を50/50ミラーにする、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の表面処理部は、前記傾斜面の前記第2の部分を、赤外線放射を反射するものの可視光波長に部分的に透明な赤外線反射器にする、請求項9〜11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記ディスプレイおよび前記カメラは、光カプラによって前記端部に光学的に結合されている、請求項〜12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1および前記第2の導波管は当接している、請求項に記載のシステム。
【請求項15】
別の傾斜面をさらに備え、前記第1の導波管は前記第1の表面処理部を有する前記傾斜面の前記第1の部分に光学的に結合され、前記第2の導波管は前記第2の表面処理部を有する前記別の傾斜面の一部に光学的に結合されている、請求項9〜14のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された実施形態は、一般にニアアイディスプレイに関し、特に積層された光導波路を有するニアアイディスプレイに関するが、それらに限定されるわけではない。
【背景技術】
【0002】
背景
ヘッドアップディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ、HMDとしても知られる)によって、ユーザは関連情報がシーンに重ねられた状態でシーンを眺めることができ、その結果、ヘッドアップディスプレイを通して眺めているユーザは、シーンと関連情報とを同時に見ることができる。たとえば、飛行機を着陸させつつヘッドアップディスプレイを通して眺めているパイロットは、ヘッドアップディスプレイがパイロットが飛行機を着陸させるために必要とする、速度、機首方位および高度(関連情報)を投影している状態で、ヘッドアップディスプレイを通して前方の空港(シーン)を同時に見ている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ヘッドアップディスプレイの使用においては、シーンのどの部分をユーザが眺めているかを知ることが役立つ場合もある。このための1つの方法は目測技術によって実現されるが、既存の目測技術にはいくつか欠点もある。既存の目測技術の中には、目測および表示のために別々の光路を使用するが、ヘッドアップディスプレイはより嵩張って複雑になり、流線形でなくなってしまう。
【0004】
HMDにはユーザの目の前方および目の付近に位置するコンパクトなニアアイディスプレイを含むものもある。人間工学的な調整およびアルゴリズムの複雑さの双方を解消しつつ、カメラおよびディスプレイがオフアクシスのときにニアアイディスプレイを有するHMDにおいて目測を可能にすることは、困難である。たとえば、ディスプレイおよびアイセンサの双方について同じ光導波路を使用するオンアクシス法が開発されたが、全てのディスプレイ設計がこの方法に対応しているわけではない。この問題は2次元解を用いるため、ディスプレイおよびアイセンサがほぼ同軸構成で配置されると、同問題ははるかに単純になる。
【0005】
以下の図面を参照して説明される本発明の実施形態は限定的でも網羅的でもなく、特に指定されない限り、同様の参照符号はさまざまな図面にわたって同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】ニアアイディスプレイの実施形態の上面図である。
図1B】ニアアイディスプレイの実施形態の正面図である。
図1C】ニアアイディスプレイの代替実施形態の正面図である。
図1D】ニアアイディスプレイの代替実施形態の正面図である。
図2A】ニアアイディスプレイの代替実施形態の上面図である。
図2B】ニアアイディスプレイの代替実施形態の上面図である。
図3】上述のニアアイディスプレイの実施形態を含むヘッドマウントディスプレイの実施形態の斜視図である。
図4】ニアアイディスプレイの別の実施形態の上面図である。
図5図1A図1Bに示すようなニアアイディスプレイを形成するためのプロセスの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図示された実施形態の詳細な説明
積層された導波管を有するニアアイディスプレイのための装置、システム、および方法の実施形態について説明する。実施形態を理解するために具体的な詳細について説明を行なうが、当業者であれば、本発明は、説明される詳細に説明されたもののうち1つ以上がなくても、または、他の方法、構成要素、材料などと一緒に実施可能であると理解するであろう。いくつかの例では、周知の構造、材料、もしくは動作は詳細に図示または説明されないが、それでもなお、本発明の範囲内に包含されている。
【0008】
本明細書を通じて、「1つの実施形態」または「ある実施形態」という言及は、説明される特徴、構造、または特性が少なくとも1つの説明される実施形態に含まれ得ることを意味するため、「一実施形態において」または「ある実施形態において」は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、説明される特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において好適ないかなる態様でも組み合わせることが可能である。
【0009】
図1Aおよび図1Bは、どちらもニアアイディスプレイ100の実施形態を示す図である。図1Aは上面図(x−z平面における)であり、図1Bは側面図(ユーザの目10から眺めたx−y平面における)である。ディスプレイ100は、その周囲に表面101、裏面103および端部105を有するアイピース102を含む。アイピース102は対象の波長において実質的に透明ないかなる種類の材料でも形成され得る。たとえば、アイピース102は、一実施形態ではポリカーボネートまたは光学グレードアクリルなどのプラスチック材料で形成可能であるが、他の実施形態ではガラスなど異なる材料で形成可能である。図示された実施形態では表面101および裏面10は平面であり、そのためアイピース102は実質的に平坦になっているが、他の実施形態では、表面101および裏面103は湾曲していることがあり、それによって、アイピース102も湾曲している(たとえば、図3を参照)。
【0010】
傾斜面104が、目10と実質的に一直線に並ぶ(図示された実施形態では、アイピースの実質的に中央において)アイピース102の一部において横方向に位置している(すなわち、x方向において)。傾斜面104は、ディスプレイ116から進むディスプレイ光をアイピース102を介してユーザの目10に導くように、かつ、目10によって反射された目測放射をアイピース102を介してカメラ118に導くように向けられている。図示された実施形態では、傾斜面104は、表から裏に(すなわち、z方向において)実質的にアイピース102の全奥行にわたって延在し、上から下に(すなわち、y方向に)実質的にアイピース102の全高にわたって延在する。しかしながら、他の実施形態では、傾斜面104はアイピース102の全奥行または全高にわたって延在する必要はない。
【0011】
傾斜面104は、第1の表面処理部を有する第1の部分108と、第2の表面処理部を有する第2の部分112とを含む。例示された実施形態では、第1の部分108および第2の部分112は互いに隣接するが、他の実施形態では隣接する必要はない。さらに、例示された実施形態では、第1の部分108は第2の部分112の上にあるが、他の実施形態では、これらの位置は反対でもよい(たとえば、図1Cおよび図1Dを参照)。一実施形態では、第1の表面処理部によって第1の部分108は50/50(50%透過、50%反射)ミラーとなり、第2の表面処理部は、光の可視波長を透過させつつ、第2の部分112に赤外線などの目に見えない目測放射を実質的に反射させる被覆である。当然のことながら、他の実施形態は第1の部分108および第2の部分112のために他の第1および第2の表面処理部を用いてもよい。
【0012】
第1の導波管106および第2の導波管110が、傾斜面104の第1の部分108および傾斜面104の第2の部分112に異なる表面処理部が形成されたことによって、アイピース102内に形成される。第1の導波管106は、ディスプレイ116から光カプラ114およびアイピース102を通って、傾斜面104の第1の部分108まで実質的に延在する。第2の導波管110は、傾斜面104の第2の部分112からアイピース102および光カプラ114を通ってカメラ118まで実質的に延在する。第1の導波管106および第2の導波管110の高さ(すなわち、y方向の広がり)および奥行(すなわち、z方向の広がり)は、概して、傾斜面104の第1の部分108および第2の部分112の高さおよび奥行と関連する。例示された実施形態では、第1の導波管106および第2の導波管110は、アイピース102内における別々の導波管として示されているが、他の実施形態では、導波管106と110との間に物理的または光学的な分離は必要ではない。
【0013】
光カプラ114は、ディスプレイ116およびカメラ118がアイピース102に光学的に結合されるように、端部105に沿って設けられている。より詳細には、光カプラ114は、ディスプレイ116を第1の導波管106に結合し、目測カメラ118を第2の導波管110に結合する。例示された実施形態では、光カプラ114はプリズムまたはプリズムのような素子であるが、他の実施形態では、他の種類の光カプラを使用可能である。また、例示された実施形態では、光カプラ114はディスプレイ116およびカメラ118の双方をアイピース102に結合する一体構造であるが、他の実施形態では、ディスプレイ116およびカメラ118が別々の光カプラによってアイピース102に結合されるように、複数の光カプラであってもよい。また、例示された実施形態では、たとえば、光学的に透明な接着剤を用いて光カプラ114はアイピース102に取付けられているが、他の実施形態では、光カプラ114はアイピース102と一体形成可能である。
【0014】
ディスプレイ116およびカメラ118は、光カプラ114を介してアイピース102に光学的に結合されている。ディスプレイ116は、ディスプレイ116からのディスプレイ光が第1の導波管106内に入力されるように、第1の導波管106に光学的に結合されている。一実施形態では、ディスプレイ11は、リキッドクリスタル・オン・シリコン(LCOS)ディスプレイであるが、他の実施形態では、他の種類のディスプレイを使用可能である。ディスプレイ116は、ディスプレイ116によって放出されたディスプレイ光が第1の導波管106内に発せられる前にディスプレイ光を調整する(すなわち、焦点を合わせる、または平行にする)ように、別の光学素子も含み得る。
【0015】
目測カメラ118は、目10で反射され、傾斜面104の第2の部分112によって第2の導波管110内に結合される目測放射を受け取るように第2の導波管110に光学的に結合されている。一実施形態では、カメラ118は、画像形成光学素子、CMOSまたはCCDイメージセンサなどのイメージセンサ(図4)、およびカメラによって取り込まれた画像を処理する処理回路および論理などの別の要素を含むカメラでもよい。目測放射は、可視域内または可視域外の波長を有し得るが、概して、ディスプレイ116によって出力される波長と異なる波長である。一実施形態では、目測放射は赤外線であり得る。
【0016】
ニアアイディスプレイ100の動作中は、ディスプレイにおいて、ディスプレイ光路、目測放射路、および周辺光路の3つの光路が同時に作動し得る。ディスプレイ光路はディスプレイ116から始まり、ディスプレイ116は、第1の導波管106に入射し、傾斜面104の第1の部分108への全内部反射などのメカニズムによって導波管内を進むディスプレイ光を生成する。表面処理部のために、第1の部分108が50/50ミラーである一実施形態では、ディスプレイ光の50%はミラー内を透過するが、50%は、アイピース102から出てユーザの目10に導かれるように進行方向を変えられる。
【0017】
第2の光路は、目測放射の経路である。目測放射は、ユーザの目10によって傾斜面104の第2の部分112に向けて反射される。目10によって反射される目測放射は、周囲光から生じてもよく、または、光を目測波長で放出し、目10に向けて目測放射を導くように設けられた1つ以上の目測放射源から生じてもよい(たとえば、図4を参照)。第2の部分112に入射する目10からの目測放射は、第2の部分によって反射されて第2の導波管110に入り、第2の導波管110を通ってカメラ118に進む。その後、目測カメラ118は受け取った目測放射を使用して、ユーザの目10を結像し、その特性を測定することができる。
【0018】
第3の光路は、周囲光路である。第1の部分108が50/50ミラーであり第2の部分12が可視光を透過させる赤外線反射面である一実施形態では、シーン99からの周囲光の可視部分の少なくとも一部は、第1の部分108および第2の部分112の双方を通って、かつ、アイピース102を通ってユーザの目10に入る。それにより、ユーザは、シーン99とディスプレイ116からの情報を同時に見ることができる。
【0019】
図1Cは、ヘッドアップディスプレイ150の別の実施形態を示す図である。ディスプレイ150は、ディスプレイ100と構造が類似している。ディスプレイ100と150との間の主な相違は、ディスプレイ150が、ディスプレイ100の場合のように互いに隣接するのではなく、縦方向に互いに隔てられた第1の部分108および第2の部分112、したがって、第1の導波管106および第2の導波管110を有することである。ディスプレイ150における3つの光路は、ディスプレイ100における光路と類似している。
【0020】
図1Dは、ヘッドアップディスプレイ175の別の実施形態を示す図である。ディスプレイ175は、ディスプレイ150と構造が類似している。つまり、主な相違は導波管の位置決めにある。ディスプレイ175では、第1の導波管106および第2の導波管110の位置が反対になっており、そのため、第2の導波管110は第1の導波管106の下ではなく上にある。ディスプレイ175は、ディスプレイ100と同様に作動し、ディスプレイ光路、目測放射路、および周囲光路の3つの同時に作動する光路を有する。
【0021】
図2Aは、ディスプレイ100に多くの点で類似するニアアイディスプレイ200を示す図である。ディスプレイ100と200との間の主な相違は、ディスプレイ200では導波路が異なる態様で積層されていることである。
【0022】
ディスプレイ200は、その周囲に表面201、裏面203、および端部205を有するアイピース202を含む。アイピース202は、ディスプレイ100のようにy方向ではなくz方向に積層された第1の導波管204および第2の導波管208を含む。これは、1つの導波管が他方の導波管の上ではなく前方に積層されていることを意味している。例示された実施形態では、第2の導波管208は第1の導波管204の前方に積層されているが、他の実施形態では、これらの位置は反対でもよい。また、例示された実施形態では、第1および第2の導波管はアイピース202の全厚を構成している―すなわち、第1の導波管204が裏面203を形成して第2の導波管208が表面201を形成している―が、他の実施形態では、第1の導波管204および第2の導波管208は、アイピースの表面および裏面を形成しないように、アイピース202内に埋め込まれた状態で図示するように積層されてもよい。例示された実施形態では、アイピース202は実質的に平坦であるが、他の実施形態のディスプレイ100のように、表面201および裏面203は湾曲していてもよく、それによって、アイピース202も湾曲している(たとえば、図3を参照)。
【0023】
第1の導波管204および第2の導波管208は、対象の波長において実質的に透明ないかなる種類の材料で構成されてもよい。たとえば、一実施形態では導波管204および206はポリカーボネートまたは光学グレードアクリルなどのようなプラスチック材料で構成され得るが、他の実施形態では、ガラスなどの異なる材料で形成可能である。いくつかの実施形態では、第1の導波管204および第2の導波管208はどちらも同じ屈折率を有する材料から構成され得るが、他の実施形態では、第1の導波管204および第2の導波管208の屈折率は、同じである必要はない。第1の導波管204および第2の導波管208が類似の屈折率を有する実施形態では、全内部反射が各導波管内で別々に発生し得るように、低指数光学接着剤を用いて界面207に沿って互いに接合されていてもよい。
【0024】
第1の傾斜面206は、目10と実質的に一直線に並ぶアイピース202の一部において(例示された実施形態では、実質的にアイピースの中央において)横方向に(すなわち、x方向において)設けられている。傾斜面206は、ディスプレイ214から進むディスプレイ光を導波管204を介して目10の方へ導くように向けられている。一実施形態では、傾斜面206は、前方から後方に(すなわち、z方向において)実質的に導波管204の全奥行にわたって、かつ、上から下に(すなわち、y方向において)実質的に導波管204の全高にわたって延在してもよい。しかしながら、他の実施形態では、傾斜面206は導波管204の全奥行または全高にわたって延在する必要はない。傾斜面206の少なくとも一部が、傾斜面206の一部を部分的に反射性にする第1の表面処理部を有している。たとえば、一実施形態では、第1の表面処理部によって傾斜面206の第1の部分が50/50(50%透過、50%反射)ミラーになるが、当然のことながら、他の実施形態では他の第1の表面処理部を用いてもよい。
【0025】
第2の傾斜面210は、目10と実質的に一直線に並ぶアイピース202の一部において(例示された実施形態ではアイピースの実質的に中央において)横方向に(すなわち、x方向において)設けられている。第2の傾斜面210は、目10によって反射された、入射した目測放射を受け取り、それをカメラ218まで進むように導波管208内に導くように向けられている。一実施形態では、傾斜面210は、前方から後方に(すなわち、z方向において)導波管208の実質的に全奥行にわたって延在してもよく、上から下に(すなわち、y方向において)導波管208の実質的に全高にわたって延在してもよい。しかしながら、他の実施形態では、傾斜面210は導波管208の全奥行または全高にわかって延在する必要はない。傾斜面210の少なくとも一部は、傾斜面210の処理部分を少なくとも部分的に目測放射に対して反射性にする第2の表面処理部を有する。一実施形態では、第2の表面処理部は、光の可視波長を透過させつつ赤外線などの非可視目測放射を実質的に反射する被覆でもよい。当然のことながら、他の実施形態では、他の第2の表面処理部を用いてもよい。
【0026】
ディスプレイ100と同様に、ディスプレイ200において、ディスプレイ光路、目測放射路、および周囲光路の3つの光路が同時に作動し得る。ディスプレイ光路はディスプレイ214から始まり、ディスプレイ214は、第1の導波管204に入射し、全内部反射などのメカニズムによって導波管内を傾斜面206の処理部分へ進むディスプレイ光を生成する。表面処理部によって第1の部分108が50/50ミラーである一実施形態では、ディスプレイ光の50%はミラー内を透過するが、50%はアイピース202から出てユーザの目10内に導かれるように進行方向を変える。
【0027】
第2の光路は、目測放射の経路である。目測放射は、ユーザの目10によって傾斜面206に向けて反射される。この面は50/50ミラーであるため、放射の半分を第2の傾斜面210に送る。第2の傾斜面210の処理部分に入射する目測放射は第2の導波管208内に反射され、この導波管を通して、目測放射がカメラ218まで進む。その後、目測カメラ218は受け取った目測放射を使用してユーザの目10を結像し、その特性を測定することができる。
【0028】
第3の光路は、周囲光路である。第1の傾斜面206の少なくとも一部が50/50ミラーであり第2の傾斜面210の少なくとも一部が可視光を透過させる赤外線反射面である一実施形態では、シーン99からの周囲光の可視部分の少なくとも一部は、第1の傾斜面206および第2の傾斜面210の双方を通って、かつ、アイピース102を通ってユーザの目10に進む。それにより、ユーザはシーン99とディスプレイ214からの情報を同時に見ることができる。
【0029】
図2Bは、ディスプレイ200と多くの点で類似するニアアイディスプレイ250を示す図である。ディスプレイ200と250との間の主な相違は、傾斜面が異なる態様で位置決めされていることである。ディスプレイ250では、第1の傾斜面206および第2の傾斜面は横方向にずれている(すなわち、x方向においてずれている)が、依然として目10の視野内にある。ディスプレイ250における3つの光路は、周囲光路および目測光路が傾斜面の双方を透過する必要がないという点を除き、ディスプレイ200における3つの光路に類似している。
【0030】
図3は、眼鏡の対として実現されるヘッドアップディスプレイ300の実施形態を示す図である。ヘッドアップディスプレイ300はアイピース304の対を含み、少なくともそのうちの1つは、ニアアイディスプレイ100、150、175、200、または250などのニアアイディスプレイでもよい。図示された実施形態では、レンズ304は、第1の導波管308および第2の導波管310を含む。光カプラ312はレンズ304の端部上に設けられ、ディスプレイ/カメラアセンブリ314は、光カプラによって、レンズ304―したがって、第1の導波管308および第2の導波管310―に、光学的に結合されている。
【0031】
アイピース304はフレーム302に取付けられている。フレーム302は、アイピース304がユーザの目の前に適切に位置決めされた状態で、ユーザの頭上にディスプレイ300が設けられた状態を保つため、左耳用アーム304および右耳用アーム(図示せず)を含む。図面は両眼用(2つのアイピース)の実施形態を示すが、ヘッドアップディスプレイ300は、単眼用(1つのアイピース)の実施形態として実施されてもよい。当然のことながら、他の形状を有する他のフレームアセンブリも使用可能である(たとえば、耳用アームおよび鼻梁支持部を有するバイザー、単一の隣接するヘッドセット部材、ヘッドバンド、またはゴーグルタイプのアイウェアなど)。
【0032】
図4は、ニアアイディスプレイ400の別の実施形態を示す図である。いくつかの実施形態では、目測放射はシーンからまたは周辺領域から生じる周囲光によって生じ得るが、他の実施形態では、目測波長で放射を発する照明を提供するために目測放射が必要な場合がある。ディスプレイ400は、傾斜面104を中心として設けられた目測放射源402の対を含む。目測放射源402は、目測波長で放射を発し、目10から反射された目測放射の少なくとも一部が傾斜面104に向けて導かれるように、ユーザの目10に向けてそれらの目測放射を向けるように配置および配向がなされている。たとえば、図3に示すような眼鏡の実施形態では、放射源402は、フレーム上のどこかに設けることが可能である。一実施形態では、放射源402は赤外線LEDであり、それによって、目測光は赤外領域において波長を有する。しかしながら、他の実施形態では、放射源402は異なる波長または波長領域を発する、異なる放射線源でもよい。放射源402は概して、実質的に目10を照射する広い放射ビームを放出することが望ましい。
【0033】
放射源402に加えて、またはそれらの代わりに、ディスプレイ400は、カメラ118上にまたはその近くに設けられた目測放射源404を含み得る。図示された実施形態では、目測放射源404は、カメラ118と関連する撮像光学素子の両側に位置するため、目測放射はアイピース102において第2の導波管110を内を透過し(図1Bを参照)、第2の部分112で反射されて目10に入る。その後、目10は目測放射をアイピース102内に反射して戻し、そこで、目測放射は第2の部分112によって反射されて第2の導波管110内へ入り、カメラ118へと向かう。図示された実施形態は2つの放射源404を示すが、他の実施形態では、それより多いまたは少ない放射源が備えられていてもよい。さらに他の実施形態では、目測放射源404は、図示されたものとは異なる態様で設けられ得る。
【0034】
図5は、ニアアイディスプレイ100を形成するためのプロセスの実施形態を示す図であるが、図示されたプロセスは、他の開示されたディスプレイの形成にも使用可能である。まず、アイピース102の第1の半分102Aおよび第2の半分102Bが所望の材料で形成される。第1の半分102Aは第1の傾斜面104Aを含み、第2の半分102Bは第2の傾斜面104Bを含む。第1および第2の表面処理部は、第1の傾斜面104A、第2の傾斜面104B、またはそれら双方に形成され、次に、第1の半分102Aおよび第2の半分102Bは、傾斜面104Aと104Bとが合わせられ、たとえば光学的に透明な接着剤で互いに接合されて傾斜面104を形成するように組み立てられる。アイピース102が半分102Aおよび102Bを接合することによって形成されると、光カプラ114は光学的に透明な接着剤を用いてアイピースの端部に接着される。光カプラ114がアイピース102に接合されると、ディスプレイ116およびカメラ11が光学的に透明な接着剤または他の締結手段を用いて光カプラ114に接合される。他の実施形態では、当然のことながら、ディスプレイ100は図示されたものとは別のプロセスによって構成可能である。
【0035】
要約書の説明を含む実施形態の上述の説明は、網羅的なものを意図したものではなく、また、本発明を説明された形態に制限するように意図したものでもない。本発明の特定の実施形態およびその例は、ここでは例示の目的で説明されたものであり、当業者にとって理解されるように、上述の説明に鑑みて、本発明の範囲内でさまざまな同等の修正形態が可能である。
【0036】
以下の特許請求の範囲で使用される用語を、本発明を明細書および特許請求の範囲で開示された特定の実施形態に限定するものと解釈するべきではない。そうではなく、本発明の範囲は、もっぱら以下の特許請求の範囲によって決定されるものであり、特許請求の範囲は、確立された特許請求の範囲の解釈の見解を用いて解釈されるものである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4
図5