(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記側射照明装置は、光源から上記撮影軸方向に出射された照明光を上記撮影軸方向と交差する方向へ反射するミラーと、上記ミラーにより反射された照明光の広がり角を制限するスリットとを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像測定器。
上記側射照明装置は、上記拡散照明装置の上記光源に対して同心円状に配置された光源を有し、上記拡散照明装置の下端よりも上記撮影軸方向に鏡筒部を突出させて形成した段差部に上記スリットが形成されることを特徴とする請求項5に記載の画像測定器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の画像測定器では、落射照明を利用した寸法測定において、ワーク表面のテクスチャ、すなわち、加工跡、模様、微細な凹凸をエッジとして誤抽出してしまうことがあり、透過照明を利用する場合に比べ、寸法測定が安定し難いという問題があった。特に、撮影倍率が低いカメラを用いてステージ上のワークを撮影する場合に、安定してエッジを抽出することができないという問題があった。通常、寸法測定では、カメラの撮影軸に平行な垂直面がエッジとして抽出される。ところが、撮影倍率が低いカメラは、被写界深度が深いことから、垂直面の上端にフォーカスを合わせたとしても、垂直面の下端にもピントが合ってしまう。このため、垂直面の上端だけでなく垂直面の下端のテクスチャの影響も受けることになり、エッジを正しく抽出することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、安定したエッジ抽出を行うことができる画像測定器を提供することを目的とする。特に、落射照明を利用した寸法測定において、ワーク表面のテクスチャをエッジとして誤抽出するのを抑制することができる画像測定器を提供することを目的とする。また、カメラの撮影軸方向に段差を有するワークを測定する場合に、段差をエッジとして正しく抽出することができる画像測定器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明による画像測定器は、ワークを載置するためのステージと、上記ステージ上のワークを撮影し、ワーク画像を生成するカメラと、上記カメラの撮影軸方向に急峻に変化する光量分布を有し、上記ステージ上のワークに側方から照明光を照射する側射照明装置と、上記ワーク画像に対し、測定対象箇所を指定する測定対象箇所指定手段と、上記ステージ又は上記側射照明装置を上記撮影軸方向に移動させることにより、上記ステージに対する上記側射照明装置の相対位置を調整する相対位置調整手段と、上記相対位置を異ならせて撮影された2以上の上記ワーク画像について、上記測定対象箇所内の輝度変化を求め、相対位置を特定する相対位置特定手段と、特定された相対位置に基づいて上記相対位置調整手段を制御し、上記側射照明装置を駆動して上記ワーク画像を取得する撮像制御手段と、取得されたワーク画像に基づいて、上記測定対象箇所のエッジを抽出し、抽出したエッジに基づいて、上記測定対象箇所の寸法を求める寸法測定手段とを備えて構成される。
【0009】
この画像測定器では、側射照明装置がカメラの撮影軸方向に急峻に変化する光量分布を有するので、ステージ上のワークに対する照明光の照射位置を撮影軸方向に局所化することができる。例えば、撮影軸方向に段差を有するワークを測定する場合に、段差の上端部又は下端部のいずれか一方にだけ照明光を照射してワークを撮影することができる。この様に照明光の照射位置を局所化することにより、測定対象箇所から撮影軸方向に離間した位置のテクスチャの影響を受け難くすることができる。このため、落射照明を利用した寸法測定において、ワーク表面のテクスチャをエッジとして誤抽出するのを抑制することができる。
【0010】
また、測定対象箇所から撮影軸方向に離間した位置のテクスチャの影響を受け難いので、撮影倍率が低いカメラを用いてワークを撮影する場合であっても、所望のエッジを正しく抽出することができる。例えば、撮影軸方向に段差を有するワークを測定する場合に、段差の上端部或いは下端部にだけ照明光を照射してワークを撮影すれば、段差をエッジとして正しく抽出することができる。
【0011】
さらに、相対位置を異ならせて撮影された2以上のワーク画像について、測定対象箇所内の輝度変化を求めて相対位置を特定するので、測定対象箇所のエッジを抽出するのに適切な照明光の照射位置を自動的に特定してワークを撮影することができる。
【0012】
第2の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記側射照明装置が、平行光からなる照明光又は平行光に近い拡がり角からなる照明光であって、上記光量分布の周縁部の変化領域が上記カメラの被写界深度よりも狭い上記照明光を照射するように構成される。
【0013】
この様な構成によれば、カメラの被写界深度内に照明光の境界が位置するように、側射照明装置の相対位置を調整することにより、測定対象箇所から離間したテクスチャの影響を受けることなく、被写界深度内のエッジを正しく抽出することができる。
【0014】
第3の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記側射照明装置が、上記照明光を上記被写界深度よりも狭い範囲に照射するように構成される。この様な構成によれば、撮影軸方向に関してカメラの被写界深度内をピンポイントで照明することができるので、被写界深度内のエッジを正しく抽出することができる。
【0015】
第4の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記側射照明装置が、光源から上記撮影軸方向に出射された照明光を上記撮影軸方向と交差する方向へ反射するミラーと、上記ミラーにより反射された照明光の拡がり角を制限するスリットとを有するように構成される。
【0016】
この様な構成によれば、光源から出射された照明光をミラーにより折り曲げるので、撮影軸方向と交差する方向に側射照明装置を小型化することができる。また、照明光の拡がり角をスリットにより制限するので、より平行光に近い照明光を照射することができる。
【0017】
第5の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記側射照明装置の上記スリットが、上記カメラの被写界深度よりも狭い間隙からなるように構成される。この様な構成によれば、カメラの被写界深度よりも狭い照明光を得ることができる。
【0018】
第6の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記カメラの撮影軸を取り囲むリング状の光源を有し、上記ステージ上のワークに拡散光を上方から照射する拡散照明装置を備え、上記側射照明装置が、上記拡散照明装置の上記光源に対して同心円状に配置された光源を有し、上記拡散照明装置の下端よりも上記撮影軸方向に鏡筒部を突出させて形成した段差部に上記スリットが形成されるように構成される。
【0019】
この様な構成によれば、側射照明装置の光源が拡散照明装置の光源に対して同心円状に配置されるので、ワークの周囲を側方から照明することができる。また、拡散照明装置の下端よりも撮影軸方向に鏡筒部を突出させて形成した段差部にスリットが形成されるので、撮影軸方向と交差する方向に側射照明装置を大型化することなく、拡散照明装置及び側射照明装置を配置することができる。
【0020】
第7の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記測定対象箇所指定手段が、上記拡散照明装置の上記拡散光を照射して撮影された上記ワーク画像上の領域を測定対象箇所として指定するように構成される。この様な構成によれば、拡散光を照射して撮影されたワーク画像を用いることにより、ワークの全体像を確認しながら測定対象箇所を指定することができる。
【0021】
第8の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、2以上の上記測定対象箇所を相対位置に関連づけて保持する測定箇所情報記憶手段を備え、上記撮像制御手段が、上記測定箇所情報記憶手段に保持された測定対象箇所ごとに、対応する相対位置に上記ステージ又は上記側射照明装置を移動させ、上記ステージ上のワークに側方から上記側射照明装置の上記照明光を照射させて上記ワーク画像を取得することを繰り返すように構成される。この様な構成によれば、同一のワーク画像に対し、複数の測定対象箇所が指定されている場合に、ステージに対する側射照明装置の相対位置を調整しながら、これらの測定対象箇所のエッジを順次に抽出することができる。
【0022】
第9の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記相対位置特定手段が、上記側射照明装置の上記照明光を照射して撮影された複数の上記ワーク画像について、上記測定対象箇所のエッジ付近のコントラストを求め、求めたコントラストに基づいて、上記測定対象箇所に対応づける相対位置を特定するように構成される。この様な構成によれば、相対位置を異ならせて撮影された複数のワーク画像の中から、コントラストの大きいワーク画像が撮影された相対位置に基づいて、測定対象箇所に対応づける相対位置を特定することにより、エッジ抽出の安定性を向上させることができる。
【0023】
第10の本発明による画像測定器は、上記構成に加え、上記撮像制御手段が、上記照明光の照射位置が上記カメラの焦点位置に一致するように、上記相対位置調整手段を制御して上記ワーク画像を取得するように構成される。この様な構成によれば、ピントの合った画像領域内のエッジを正しく抽出することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、安定したエッジ抽出を行うことができる画像測定器を提供することができる。特に、測定対象箇所から撮影軸方向に離間したテクスチャの影響を受け難いので、落射照明を利用した寸法測定において、ワーク表面のテクスチャをエッジとして誤抽出するのを抑制することができる画像測定器を提供することができる。また、カメラの撮影軸方向に段差を有するワークを測定する場合に、段差をエッジとして正しく抽出することができる画像測定器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<画像測定器1>
図1は、本発明の実施の形態による画像測定器1の一構成例を示した斜視図である。この画像測定器1は、ワークを撮影したワーク画像内のエッジを抽出してワークの寸法を測定する寸法測定装置であり、測定ユニット10、制御ユニット20、キーボード31及びマウス32により構成される。ワークは、その形状や寸法が測定される測定対象物である。
【0027】
測定ユニット10は、ディスプレイ装置11、可動ステージ12、XY調整つまみ14a、Z調整つまみ14b、電源スイッチ15及び実行ボタン16を備え、可動ステージ12上のワークに可視光からなる検出光を照射し、その透過光又は反射光を受光してワーク画像を生成する。ワークは、可動ステージ12の検出エリア13内に載置される。また、測定ユニット10は、ワーク画像をディスプレイ装置11の表示画面11aに表示する。
【0028】
ディスプレイ装置11は、ワーク画像や測定結果を表示画面11a上に表示する表示装置である。可動ステージ12は、ワークを載置するための載置台であり、検出光を透過させる検出エリア13が設けられている。検出エリア13は、透明ガラスからなる円形状の領域である。この可動ステージ12は、カメラの撮影軸に平行なZ軸方向と、撮影軸に垂直なX軸方向及びY軸方向に移動させることができる。
【0029】
XY調整つまみ14aは、可動ステージ12をX軸方向又はY軸方向に移動させることにより、X軸方向及びY軸方向の位置を調整するための操作部である。Z調整つまみ14bは、可動ステージ12をZ軸方向に移動させることにより、Z軸方向の位置を調整するための操作部である。電源スイッチ15は、測定ユニット10及び制御ユニット20の主電源をオン状態及びオフ状態間で切り替えるための操作部である。実行ボタン16は、寸法測定を開始させるための操作部である。
【0030】
制御ユニット20は、測定ユニット10による撮影や画面表示を制御し、ワーク画像を解析してワークの寸法を測定するコントローラ部であり、キーボード31及びマウス32が接続されている。電源投入後、検出エリア13内にワークを配置して実行ボタン16を操作すれば、ワークの寸法が自動的に測定される。
【0031】
<測定ユニット10>
図2は、
図1の測定ユニット10の構成例を模式的に示した説明図であり、測定ユニット10を撮影軸と平行な垂直面により切断した場合の切断面が示されている。この測定ユニット10は、ディスプレイ装置11、可動ステージ12、筐体100、ステージ調整部101、鏡筒部102、照明位置調整部103、カメラ110,120、同軸落射照明ユニット130、リング照明ユニット140及び透過照明ユニット150により構成される。
【0032】
ステージ調整部101、鏡筒部102、カメラ110,120、同軸落射照明ユニット130及び透過照明ユニット150は、筐体100内に配置されている。ステージ調整部101は、制御ユニット20からの駆動信号に基づいて、可動ステージ12をX,Y又はZ軸方向に移動させ、ワークのX,Y及びZ軸方向の位置を調整する。
【0033】
カメラ110は、撮影倍率の低い撮像装置であり、撮像素子111、結像レンズ112、絞り板113及び受光レンズ114により構成される。撮像素子111は、検出光を受光してワーク画像を生成する。この撮像素子111は、受光面を下方に向けて配置されている。結像レンズ112は、検出光を撮像素子111上に結像させる光学部材である。絞り板113は、検出光の透過光量を制限する光学絞りであり、結像レンズ112及び受光レンズ114間に配置されている。受光レンズ114は、ワークからの検出光を集光する光学部材であり、可動ステージ12に対向させて配置されている。結像レンズ112、絞り板113及び受光レンズ114は、上下方向に延びる中心軸を中心として配置されている。
【0034】
カメラ120は、撮影倍率の高い撮像装置であり、撮像素子121、結像レンズ122、絞り板123、ハーフミラー124及び受光レンズ114により構成される。撮像素子121は、検出光を受光してワーク画像を生成する。この撮像素子121は、受光面を水平方向に向けて配置されている。結像レンズ122は、検出光を撮像素子121上に結像させる光学部材である。絞り板123は、検出光の透過光量を制限する光学絞りであり、結像レンズ122及びハーフミラー124間に配置されている。受光レンズ114は、カメラ110と共通である。受光レンズ114を透過した検出光は、ハーフミラー124により水平方向に折り曲げられ、絞り板123及び結像レンズ122を介して撮像素子121に結像する。
【0035】
撮像素子111及び121には、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)などのイメージセンサが用いられる。受光レンズ114には、上下方向、すなわち、撮影軸方向の位置が変化しても、像の大きさを変化させない性質を有するテレセントリックレンズが用いられる。
【0036】
同軸落射照明ユニット130は、可動ステージ12上のワークに照明光を上方から照射する落射照明装置であり、照射光の光軸を撮影軸に一致させている。この同軸落射照明ユニット130は、水平方向に向けて配置された光源131と、光源131から出射された照明光を下方に折り曲げるハーフミラー132とにより構成される。
【0037】
結像レンズ112,122、絞り板113,123、ハーフミラー124,132及び受光レンズ114は、鏡筒部102内に配置されている。
【0038】
透過照明ユニット150は、可動ステージ12上のワークに照明光を下方から照射する透過照明装置であり、光源151、ミラー152及び集光レンズ153により構成される。光源151は、水平方向に向けて配置されている。光源151から出射された照明光は、ミラー152により反射され、集光レンズ153を介して出射される。この照明光は、可動ステージ12を透過し、その透過光の一部は、ワークにより遮断され、他の一部が受光レンズ114に入射する。
【0039】
リング照明ユニット140は、可動ステージ12上のワークに照明光を上方又は側方から照射する落射照明装置であり、カメラ110及び120の撮影軸を取り囲むリング形状からなる。照明ユニット130〜150の光源には、LED(発光ダイオード)やハロゲンランプが用いられる。照明位置調整部103は、リング照明ユニット140を撮影軸方向に移動させることにより、可動ステージ12に対する側射照明装置40の相対位置を調整する相対位置調整手段である。ワークの照明方法としては、透過照明、リング照明又は同軸落射照明のいずれかを選択することができる。
【0040】
<リング照明ユニット140>
図3は、
図2のリング照明ユニット140の構成例を示した断面図である。このリング照明ユニット140は、平行光に近い拡がり角からなる照明光2を側方から照射する側射照明装置40と、拡散光を照射する拡散照明装置50とを同軸に配置した照明装置である。
【0041】
側射照明装置40は、配線基板41、光源42、鏡筒部43、ミラー44、拡散板45及びスリット46により構成される落射照明装置であり、撮影軸方向に急峻に変化する光量分布を有している。鏡筒部43は、撮影軸方向に延びる円筒形状の内部空間からなり、配線基板41、光源42、ミラー44及び拡散板45が収容されている。
【0042】
配線基板41及び光源42は、鏡筒部43の天蓋部に配置され、ミラー44、拡散板45及びスリット46は、鏡筒部43の底部に配置されている。光源42は、下方に向けた状態で配線基板41上に配設されている。例えば、光源42には、LED(発光ダイオード)が用いられ、2以上のLEDが円周上に配置されたリング状光源からなる。
【0043】
ミラー44は、光源42から撮影軸方向に出射された照明光2を撮影軸方向と交差する方向へ反射する光学部材である。このミラー44は、円環形状の反射板からなり、45°程度傾斜させて配置されている。光源42から出射された照明光2をミラー44により折り曲げるので、光源42からスリット46までの光路長を確保しつつ、撮影軸方向と交差する方向に側射照明装置40を小型化することができる。
【0044】
スリット46は、ミラー44により反射された照明光2の拡がり角を制限する拡がり角制限部であり、撮影軸方向の間隙であって、周方向に延びる形状からなる。このスリット46は、光源42から一定の距離だけ離間した位置に配置される。照明光2の拡がり角をスリット46により制限するので、より平行光に近い照明光2を照射することができる。例えば、スリット46は、低倍率撮影用のカメラ110の被写界深度よりも狭い間隙からなる。
【0045】
拡散板45は、照明光2を周方向に拡散させる高アスペクト比の拡散板であり、ミラー44とスリット46との間に配置されている。この拡散板45は、撮影軸方向に延びる円筒形状からなる。この様な拡散板45を配置することにより、光源42が離散的に配置された多数のLEDからなる場合であっても、周方向に光量ムラが生じるのを防止することができる。
【0046】
側射照明装置40の投光窓から出射される照明光2の光軸は、水平方向に対し、0°以上45°以下の範囲内で傾斜している。例えば、照明光2の光軸は、水平方向に対し、30°程度傾斜している。
【0047】
拡散照明装置50は、配線基板51、光源52及び拡散板53により構成される落射照明装置であり、光源52がカメラ110及び120の撮影軸を取り囲むリング状の光源からなる。光源52は、下方に向けた状態で配線基板51上に配設されている。拡散板53は、光源52から出射された照明光を周方向及び径方向に拡散させる光学部材である。この拡散板53は、円環形状を有し、撮影軸に平行な垂直面による断面形状が円弧状の曲面からなる。拡散光は、可動ステージ12上のワークに対し、上方或いは側方から照射される。
【0048】
側射照明装置40の鏡筒部43は、拡散照明装置50の径方向外方に形成され、光源42は、拡散照明装置50の光源52に対して同心円状に配置されている。また、拡散照明装置50の下端よりも撮影軸方向に鏡筒部43を突出させて形成した段差部3にスリット46が形成されている。側射照明装置40の光源42が拡散照明装置50の光源52に対して同心円状に配置されるので、ワークの周囲を側方から照明することができる。また、段差部3にスリット46が形成されるので、撮影軸方向と交差する方向に側射照明装置40を大型化することなく、拡散照明装置50及び側射照明装置40を配置することができる。
【0049】
図4は、
図3の側射照明装置40の光量分布の一例を示した図である。図中には、横軸を光量とし、縦軸をZ軸方向の位置として、可動ステージ12の検出エリア13付近における照明光2の光量分布が示されている。この図には、照明光2がZ軸方向の位置Zoを中心として概ね線対称な光量分布を有する場合が示されている。
【0050】
照明光2の光量分布は、可動ステージ12上のワークに照明光2を照射した場合のワーク上の照度分布に相当し、Z軸方向の位置Zoにおいて最大値Kmとなり、位置Zoから離間するのに従って急激に光量が低下している。照明光2の照射部分と非照射部分との境界を明瞭化することにより、より微細な凹凸をエッジとして正しく抽出するという観点から、光量分布の周縁部における変化領域ΔZa及びΔZbは、狭いほど良い。
【0051】
例えば、変化領域ΔZa及びΔZbは、光量が最大値Kmの90%程度から10%程度に変化する領域であり、低倍率撮影用のカメラ110の被写界深度よりも狭い。この様に構成することにより、カメラ110の被写界深度内に照明光2の境界が位置するように、リング照明ユニット140の相対位置を調整することにより、測定対象箇所から離間したテクスチャの影響を受けることなく、被写界深度内のエッジを正しく抽出することができる。
【0052】
また、照明光2のZ軸方向の幅ΔZcは、カメラ110の被写界深度に比べて十分に狭く、照明光2がカメラ110の被写界深度よりも狭い範囲に照射される。この様に構成することにより、撮影軸方向に関してカメラ110の被写界深度内をピンポイントで照明することができるので、被写界深度内のエッジを正しく抽出することができる。
【0053】
図5は、
図2の測定ユニット10の動作の一例を示した図であり、可動ステージ12上のワークWの上端部に側射照明の照明光2を照射する場合が示されている。また、
図6は、
図2の測定ユニット10の動作の一例を示した図であり、
図5の状態で撮影されたワーク画像が示されている。
【0054】
側射照明装置40は、撮影軸方向に急峻に変化する光量分布を有するので、可動ステージ12上のワークWに対する照明光2の照射位置を撮影軸方向に局所化することができる。このため、撮影軸方向に段差を有するワークWを測定する場合に、段差の上端部にだけ照明光2を照射してワークWを撮影することができる。
【0055】
この例では、ワークWの上端部にだけ照明光2が照射され、ワーク画像では、上端部のエッジ付近で輝度が大きく変化している。この様に照明光2の照射位置を局所化することにより、測定対象箇所から撮影軸方向に離間した位置のテクスチャの影響を受け難くすることができる。
【0056】
図7は、
図2の測定ユニット10の動作の一例を示した図であり、可動ステージ12上のワークWの中段部に側射照明の照明光2を照射する場合が示されている。また、
図8は、
図2の測定ユニット10の動作の一例を示した図であり、
図7の状態で撮影されたワーク画像が示されている。
【0057】
この例では、ワークWの中段部にだけ照明光2が照射され、ワーク画像では、中段部のエッジ付近で輝度が大きく変化している。この様に照明光2の照射位置を局所化することにより、測定対象箇所から撮影軸方向に離間した位置のテクスチャの影響を受け難くすることができる。
【0058】
<制御ユニット20>
図9は、
図1の制御ユニット20内の機能構成の一例を示したブロック図である。この制御ユニット20は、撮像制御部21、ワーク画像記憶部22、測定対象箇所指定部23、測定箇所情報記憶部24、相対位置特定部25及び寸法測定部26により構成される。
【0059】
撮像制御部21は、ユーザ操作に基づいて、カメラ110,120、照明位置調整部103及び照明ユニット130〜150を制御し、カメラ110又は120からワーク画像を取得してワーク画像記憶部22内に格納する。
【0060】
測定対象箇所指定部23は、ワーク画像に対し、測定対象箇所を指定する。例えば、測定対象箇所指定部23は、ユーザ操作に基づいて、拡散照明装置50の拡散光を照射して撮影されたワーク画像上の領域を測定対象箇所として指定する。拡散光を照射して撮影されたワーク画像を用いることにより、ワークの全体像を確認しながら測定対象箇所を指定することができる。測定箇所情報記憶部24には、測定対象箇所を示す位置情報や測定種別が測定箇所情報として保持される。
【0061】
相対位置特定部25は、可動ステージ12に対する側射照明装置40の相対位置を異ならせて撮影された2以上のワーク画像について、測定対象箇所内の輝度変化を求め、相対位置を特定する。上記2以上のワーク画像は、同一のワークが側射照明装置40による照明を利用して撮影されたワーク画像である。例えば、相対位置特定部25は、側射照明装置40により照明光2を照射して撮影された複数のワーク画像のそれぞれについて、測定対象箇所内の画像のコントラストを求め、求めたコントラスト同士を比較し、最もコントラストが大きくなるワーク画像が撮影された相対位置を測定対象箇所に対応づける相対位置として特定する。
【0062】
一般に、画像のコントラストが大きいほど、エッジ抽出は安定する。この様な測定対象箇所のコントラストをエッジ抽出の安定度を示す評価値として求め、側射照明装置40の相対位置を異ならせて撮影された複数のワーク画像の中から評価値が高いワーク画像、すなわち、コントラストが大きいワーク画像を抽出して相対位置を特定することにより、エッジ抽出の安定性を向上させることができる。
【0063】
なお、測定対象箇所に対応づける相対位置を特定する方法には、複数のワーク画像の中から測定対象箇所内のコントラストが最大のワーク画像を特定し、当該ワーク画像が得られた相対位置とする上記方法以外にもある。例えば、可動ステージ12に対する側射照明装置40の相対位置が異なる3以上のワーク画像に基づいて、相対位置ごとのコントラストからなる分布を求め、この分布に2次曲線等の曲線を当てはめることにより、コントラストが最大となる相対位置を推定するような構成であっても良い。
【0064】
測定箇所情報記憶部24には、2以上の測定対象箇所が相対位置に関連づけて保持される。測定対象箇所及び相対位置は、測定箇所情報として保持される。撮像制御部21は、相対位置特定部25により特定された相対位置に基づいて照明位置調整部103を制御し、側射照明装置40を駆動してワーク画像を取得する。寸法測定部26は、撮像制御部21により取得されたワーク画像に基づいて、測定対象箇所のエッジを抽出し、抽出したエッジに基づいて、測定対象箇所の寸法を求め、測定結果を出力する。
【0065】
可動ステージ12に対する側射照明装置40の相対位置を異ならせて撮影された2以上のワーク画像に基づいて、相対位置を特定するので、測定対象箇所のエッジを抽出するのに適切な照明光2の照射位置を自動的に特定してワークを撮影することができる。
【0066】
撮像制御部21は、測定箇所情報記憶部24に保持された測定対象箇所ごとに、対応する相対位置に側射照明装置40を移動させ、可動ステージ12上のワークに側方から側射照明装置40の照明光2を照射させてワーク画像を取得することを繰り返す。この様に構成することにより、同一のワーク画像に対し、複数の測定対象箇所が指定されている場合に、可動ステージ12に対する側射照明装置40の相対位置を調整しながら、これらの測定対象箇所のエッジを順次に抽出することができる。
【0067】
また、撮像制御部21は、照明光2の照射位置がカメラ110の焦点位置に一致するように、照明位置調整部103を制御してワーク画像を取得する。この様に構成することにより、ピントの合った画像領域内のエッジを正しく抽出することができる。
【0068】
寸法値などの測定結果は、ディスプレイ装置11に表示される。また、制御ユニット20は、ワークを連続して測定するための測定設定データを作成する。この測定設定データは、位置決め情報、測定箇所情報、測定対象箇所ごとの設計値や公差を示す情報からなる。位置決め情報は、ワーク画像を解析してワークの位置や姿勢を検出するための情報である。
【0069】
図10及び
図11のステップS101〜S115は、
図1の画像測定器1における測定設定時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、制御ユニット20は、リング照明ユニット140の拡散照明装置50を点灯し、可動ステージ12上のワークをカメラ110により撮影し(ステップS101,S102)、カメラ110から取得したワーク画像をディスプレイ装置11に表示する。
【0070】
次に、制御ユニット20は、ユーザ操作を受け付け、ワーク画像に対し、測定対象箇所が指定されれば(ステップS103)、拡散照明装置50に代えて側射照明装置40を点灯し、可動ステージ12上のワークをカメラ110により撮影する(ステップS104,S105)。制御ユニット20は、照明光2を側方から照射して撮影されたワーク画像に基づいて、測定対象箇所内の輝度変化を求め、エッジ付近のコントラストをエッジ抽出の安定度を示す評価値として算出する(ステップS106)。
【0071】
制御ユニット20は、照明位置調整部103を制御して、予め定められた2以上のZ軸方向の位置にリング照明ユニット140を順次に移動させながら、ステップS105及びS106の処理手順を繰り返す(ステップS107)。そして、制御ユニット20は、可動ステージ12に対する側射照明装置40の相対位置、すなわち、照明位置が異なる複数のワーク画像の評価値を比較し、測定対象箇所に対応づける相対位置を算出する(ステップS108)。
【0072】
次に、制御ユニット20は、照明位置を調整するために、照明位置調整部103を制御して、評価値から算出した相対位置にリング照明ユニット140を移動させる(ステップS109)。そして、制御ユニット20は、可動ステージ12上のワークを撮影してワーク画像を取得する(ステップS110)。
【0073】
制御ユニット20は、取得したワーク画像に基づいて、測定対象箇所のエッジを抽出し(ステップS111)、抽出したエッジに基づいて、測定対象箇所の寸法値を算出し(ステップS112)、エッジや寸法値を測定結果としてディスプレイ装置11に表示する(ステップS113)。
【0074】
制御ユニット20は、ユーザ操作を受け付け、異なる測定対象箇所が指定されれば、ステップS103以降の処理手順を繰り返し(ステップS114)、全ての測定対象箇所について、寸法測定が完了すれば、測定設定データを作成してこの処理を終了する(ステップS115)。
【0075】
図12のステップS201〜S211は、
図1の画像測定器1における寸法測定時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、制御ユニット20は、ユーザ操作を受け付け、連続測定対象のワークに応じた測定設定データを選択する(ステップS201)。
【0076】
次に、制御ユニット20は、測定ユニット10の実行ボタン16が操作されれば(ステップS202)、測定設定データとして保持された測定対象箇所を読み出し(ステップS203)、照明位置を調整するために、照明位置調整部103を制御して、測定対象位置に対応づけられた相対位置にリング照明ユニット140を移動させる(ステップS204)。そして、制御ユニット20は、側射照明装置40を点灯し、可動ステージ12上のワークを撮影してワーク画像を取得する(ステップS205)。
【0077】
制御ユニット20は、取得したワーク画像に基づいて、測定対象箇所のエッジを抽出し(ステップS206)、抽出したエッジに基づいて、測定対象箇所の寸法値を算出する(ステップS207)。制御ユニット20は、他に測定対象箇所があれば、ステップS203からステップS207までの処理手順を繰り返し(ステップS208)、全ての測定対象箇所について、寸法測定が完了すれば、エッジや寸法値を測定結果としてディスプレイ装置11に表示し(ステップS209)、測定結果を保存する(ステップS210)。
【0078】
制御ユニット20は、他に連続測定対象のワークがあれば、ステップS202以降の処理手順を繰り返し、他に連続測定対象のワークがなければ、この処理を終了する(ステップ211)。
【0079】
本実施の形態によれば、側射照明装置40がカメラ110及び120の撮影軸方向に急峻に変化する光量分布を有するので、可動ステージ12上のワークに対する照明光2の照射位置を撮影軸方向に局所化することができる。この様な照射位置の局所化により、測定対象箇所から撮影軸方向に離間した位置のテクスチャの影響を受け難くなるので、落射照明を利用した寸法測定において、ワーク表面のテクスチャをエッジとして誤抽出するのを抑制することができる。
【0080】
また、測定対象箇所から撮影軸方向に離間した位置のテクスチャの影響を受け難いので、撮影倍率が低いカメラ110を用いてワークを撮影する場合であっても、所望のエッジを正しく抽出することができる。さらに、相対位置を異ならせて撮影された2以上のワーク画像について、測定対象箇所内の輝度変化を求めて相対位置を特定するので、測定対象箇所のエッジを抽出するのに適切な照明光2の照射位置を自動的に特定してワークを撮影することができる。
【0081】
なお、本実施の形態では、光源42から撮影軸方向に出射された照明光をミラー44により撮影軸方向と交差する方向へ反射させる側射照明装置40の例について説明したが、本発明は側射照明装置40の構成をこれに限定するものではない。例えば、ミラー44を備えず、光源42から水平方向に出射された照明光をスリット46により絞り込むことにより、平行光に近い拡がり角からなる照明光2を側方から照射する構成であっても良い。
【0082】
図13は、側射照明装置40の他の構成例を示した断面図である。この側射照明装置40は、配線基板41、光源42、鏡筒部43及びスリット46により構成される。鏡筒部43は、水平方向に延びる内部空間を有する。配線基板41及び光源42は、鏡筒部43の右端部に配置され、スリット46は、鏡筒部43の左端に形成されている。
【0083】
光源42は、水平方向の左側に向けた状態で配線基板41上に配設されている。スリット46は、光源42から出射された照明光2の拡がり角を制限する。このスリット46は、光源42から一定の距離だけ離間した位置に配置される。この様な側射照明装置40であっても、カメラ110及び120の撮影軸方向に急峻に変化する光量分布を有する落射照明装置を実現することができる。
【0084】
図14は、側射照明装置40のその他の構成例を示した断面図であり、図中の(a)には、集光レンズ47を用いて平行光に近い拡がり角からなる照明光2を得る場合が示され、(b)には、レーザー光を生成する光源42を用いて平行光からなる照明光2を得る場合が示されている。
【0085】
図中の(a)に示す側射照明装置40は、配線基板41、光源42、鏡筒部43及び集光レンズ47により構成される。鏡筒部43は、水平方向に延びる内部空間を有する。配線基板41及び光源42は、鏡筒部43の右端部に配置され、集光レンズ47は、鏡筒部43の左端に配置されている。
【0086】
光源42は、水平方向の左側に向けた状態で配線基板41上に配設されている。集光レンズ47は、光源42から出射された照明光2を集光することにより、平行光に近い狭い角度の拡がり角からなる照明光2を得る光学部材である。
【0087】
図中の(b)に示す側射照明装置40は、レーザー光を生成するレーザー発振器を備えた光源42により構成される。光源42は、水平方向の左側に向けて配置され、レーザー発振器から出射されたレーザー光が平行光からなる照明光2として側方から照射される。この様な側射照明装置40であっても、カメラ110及び120の撮影軸方向に急峻に変化する光量分布を有する落射照明装置を実現することができる。
【0088】
また、本実施の形態では、可動ステージ12に対する側射照明装置40の相対位置を異ならせて撮影された複数のワーク画像に基づいて、測定対象箇所に対応づける相対位置を特定する場合の例について説明した。しかし、測定対象箇所に対応づける相対位置を特定する方法は、これ以外にも存在する。例えば、ワークのZ軸方向の高さを測定する高さ測定手段を備え、高さの測定結果に基づいて、測定対象箇所に対応づける相対位置を特定しても良い。また、ワークの形状や寸法を示す設計情報に基づいて、測定対象箇所に対応づける相対位置を特定しても良い。
【0089】
また、本実施の形態では、測定対象箇所のエッジ付近のコントラストに基づいて、エッジ抽出の安定度を評価する場合の例について説明したが、本発明は、エッジ抽出の安定度を評価する方法をこれに限定するものではない。例えば、測定対象箇所について、輝度の平均値を求め、輝度の平均値に基づいて、エッジ抽出の安定度を評価しても良い。輝度の平均値が高いほど、エッジ抽出の安定度が高い。或いは、測定対象箇所内で輝度の変化量が大きな領域以外の領域について、輝度ムラを求め、輝度ムラに基づいて、エッジ抽出の安定度を評価しても良い。輝度ムラが少ないほど、エッジ抽出の安定度が高い。
【0090】
また、本実施の形態では、ユーザ操作に基づいて測定対象箇所が指定されれば、可動ステージ12に対する側射照明装置40の相対位置を異ならせながら可動ステージ12上のワークを撮影してワーク画像を取得し、得られた複数のワーク画像に基づいて、測定態様箇所に対応づける相対位置を特定する場合の例について説明した。しかし、測定対象箇所に対応づける相対位置を特定する方法は、これ以外にも存在する。例えば、可動ステージ12に対する側射照明装置40の相対位置を異ならせながら可動ステージ12上のワークを撮影してワーク画像を取得し、得られたワーク画像ごとにエッジ抽出を行い、複数のワーク画像から抽出されたエッジ群を共通のワーク画像上に表示する。その様なエッジ群の中から測定対象とするエッジを指定するような構成であっても良い。
【0091】
また、本実施の形態では、照明位置調整部103がリング照明ユニット140のZ軸方向の位置を調整することにより、可動ステージ12に対する側射照明装置40の相対位置が調整される場合の例について説明したが、本発明は、相対位置調整手段の構成をこれに限定するものではない。例えば、可動ステージ12をZ軸方向に移動させ、或いは、可動ステージ12及び側射照明装置40をそれぞれZ軸方向に移動させることにより、可動ステージ12に対する側射照明装置40の相対位置を調整するような構成であっても良い。