(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非通常状態は、前記第1のセンサに生じた不具合により、前記電源ユニットから電力の供給を受ける霧化部によってエアロゾル源が霧化されない場合に、前記制御部に検知される状態である
請求項1または2に記載されたエアロゾル生成装置の電源ユニット。
前記制御部は、前記電源ユニットを活動状態に遷移させる指示を検知したときに、前記回数が所定の閾値以上である場合には前記電源ユニットを活動状態に遷移させず、前記回数が所定の閾値未満である場合には前記電源ユニットを活動状態に遷移させる
請求項10または11に記載されたエアロゾル生成装置の電源ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エアロゾル生成装置を継続して使用していると、経年劣化等を原因とする不具合が、ユーザの吸引動作を検知するセンサに生じる場合がある。センサに不具合が生じた場合、ユーザが意図していないとき、例えば、ユーザが吸引動作をしていないときに、エアロゾル生成装置でエアロゾル源が霧化され、エアロゾル源が浪費される事態が生じ得る。したがって、センサに不具合が生じた場合に、当該不具合の発生が検知されることが望まれる。
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に記載の技術は、センサの出力値に応じてヒータへの電力の供給を制御する技術であり、センサの不具合を検知することを考慮していない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、センサにおける不具合の発生を検知することができるエアロゾル生成装置の電源ユニット、エアロゾル生成装置の電源ユニットの制御方法、およびエアロゾル生成装置の電源ユニット用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエアロゾル生成装置の電源ユニットは、エアロゾル生成要求を検知する第1のセンサと、前記第1のセンサの電気的な変化に基づく自センサの電気的な変化を検知し、当該変化に基づく値を出力する第2のセンサと、前記値に基づき、前記第1のセンサの状態が通常状態および非通常状態のいずれの状態であるかを検知する制御部と、を備える。
【0010】
前記制御部が前記通常状態を検知する前記値と、前記制御部が前記非通常状態を検知する前記値とは異なる値としてもよい。
【0011】
さらに、前記非通常状態は、前記第1のセンサに生じた不具合により、前記電源ユニットから電力の供給を受ける霧化部によってエアロゾル源が霧化されない場合に、前記制御部に検知される状態としてもよい。
【0012】
前記通常状態は前記電源ユニットから電力の供給を受ける霧化部によってエアロゾル源が霧化され得る場合に、前記制御部に検知される状態としてもよい。
【0013】
さらに、前記第2のセンサから出力される値は、前記第1のセンサに印加される電圧の変化に応じて変化する前記第2のセンサに印加される電圧の値であり、前記制御部は、当該電圧の値に基づき、前記第1のセンサの状態が前記通常状態および前記非通常状態のいずれの状態であるかを検知するようにしてもよい。
【0014】
前記第2のセンサは、PTCサーミスタとしてもよい。
【0015】
さらに、前記第2のセンサから出力される値は、前記第1のセンサに流れる電流の変化に応じて変化する前記第2のセンサに流れる電流の値であり、前記制御部は、当該電流の値に基づき、前記第1のセンサの状態が前記通常状態および前記非通常状態のいずれの状態であるかを検知するようにしてもよい。
【0016】
前記電源ユニットは、通知部をさらに備え、前記制御部は、前記非通常状態を検知した場合に、前記通知部にその旨を通知させるようにしてもよい。
【0017】
前記制御部は、前記非通常状態を検知した場合に、前記電源ユニットを活動状態から休止状態に遷移させるようにしてもよい。
【0018】
前記電源ユニットは、記憶部をさらに備え、前記記憶部には、前記制御部が前記非通常状態を検知した回数を示す情報が記憶されるようにしてもよい。
【0019】
前記記憶部には、さらに、前記制御部が検知した前記非通常状態の内容を示す情報が記憶されるようにしてもよい。
【0020】
前記制御部は、前記電源ユニットを活動状態に遷移させる指示を検知したときに、前記回数が所定の閾値以上である場合には前記電源ユニットを活動状態に遷移させず、前記回数が所定の閾値未満である場合には前記電源ユニットを活動状態に遷移させるようにしてもよい。
【0021】
前記制御部は、前記電源ユニットが活動状態のときに、前記第1のセンサの状態が前記通常状態および前記非通常状態のいずれの状態であるかを検知するようにしてもよい。
【0022】
本発明のエアロゾル生成装置の電源ユニットの制御方法は、エアロゾル生成要求を検知するステップと、前記ステップを実行する第1のセンサの電気的な変化に基づく第2のセンサの電気的な変化を検知し、当該変化に基づく値を出力するステップと、前記値に基づき、前記第1のセンサの状態が通常状態および非通常状態のいずれの状態であるのか検知するステップと、を備える。
【0023】
本発明のエアロゾル生成装置の電源ユニット用プログラムは、コンピュータに、エアロゾル生成要求を検知する処理と、前記処理を実行する第1のセンサの電気的な変化に基づく第2のセンサの電気的な変化を検知し、当該変化に基づく値を出力する処理と、前記値に基づき、前記第1のセンサの状態が通常状態および非通常状態のいずれの状態であるのか検知する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のエアロゾル生成装置の電源ユニット、エアロゾル生成装置の電源ユニットの制御方法、およびエアロゾル生成装置の電源ユニット用プログラムによれば、センサにおける不具合の発生を検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略又は実質的に同一の機能および構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ説明を行う。
【0027】
本実施形態に係るエアロゾル生成装置1は、例えば、加熱式たばこや電子たばこを想定している。しかし、本実施形態に係るエアロゾル生成装置1は、ネブライザ等の他の種類又は用途のエアロゾル生成装置であってもよい。
【0028】
図1は、本実施形態に係るエアロゾル生成装置1の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
エアロゾル生成装置1は、
図1に示されるように、カートリッジユニット100と、カプセルユニット200と、電源ユニット300とを含む。エアロゾル生成装置1は、例えば、略円筒形状に構成され、ユーザがエアロゾル生成装置1を保持しやすくなっている。なお、カートリッジユニット100と、カプセルユニット200と、電源ユニット300とは、それぞれ着脱不可に構成されていてもよいし、それぞれ着脱可能に構成されていてもよい。
【0030】
カートリッジユニット100は、
図1に示されるように、貯留部110と、供給部120と、負荷130を備える霧化部140とを含む。
【0031】
貯留部110は、加熱により霧化される液体状のエアロゾル源を貯留する容器である。エアロゾル源は、例えば、グリセリンやプロピレングリコールのようなポリオール系の材料である。また、エアロゾル源は、ニコチン液、水、香料等を含む混合液であってもよい。そして、エアロゾル源は、貯留部110を必要としない固体であってもよい。
【0032】
供給部120は、例えば、ガラス繊維のような繊維材料を撚って形成されるウィックである。供給部120の一端は、貯留部110に接続される。また、供給部120の他の一端は、負荷130に接続されるか、または負荷130の近傍に配置される。そのような構成により、供給部120は、負荷130またはその近傍に、貯留部110から吸い上げたエアロゾル源を導くことができる。なお、供給部120には、多孔質状のセラミックで形成されたウィックが用いられてもよい。
【0033】
霧化部140に備えられる負荷130は、例えばコイル状のヒータであり、電力が供給されると発熱する。負荷130は、供給部120の周囲に巻かれていてもよいし、供給部120に覆われていてもよい。負荷130には、電源ユニット300に含まれる後述する制御部340による制御に基づき、後述する電源部320から電力が供給される。負荷130に電力が供給されると、供給部120によって導かれたエアロゾル源が負荷130によって加熱され、エアロゾルが生成される。
【0034】
カプセルユニット200は、
図1に示されるように、香味源210を含む。
【0035】
香味源210は、エアロゾルに香味成分を付与する植物材料の原料片によって構成される。香味源を構成する原料片には、例えば、刻みたばこやたばこ原料のような材料を、粒状やシート状に成形した成形体が用いられる。また、香味源210を構成する原料片には、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ等)が用いられてもよい。そして、香味源210には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0036】
図1における矢印は、カートリッジユニット100およびカプセルユニット200における空気の流れを示している。空気取込口(図示省略)を介して外部から取り込まれた空気は、エアロゾル生成装置1(カートリッジユニット100、およびカプセルユニット200)内を通過する過程で、エアロゾルと混合され香味成分を付加され、ユーザに吸引される。具体的には、外部から取り込まれた空気は、カートリッジユニット100内の霧化部140を通過する。当該空気は、霧化部140を通過するときに、霧化部140に備えられる負荷130によって生成されたエアロゾルと混合される。そして、エアロゾルと混合された空気がカプセルユニット200を通過するときに、エアロゾルと混合された空気に、カプセルユニット200に含まれる香味源210由来の香味成分が付加される。そして、エアロゾルと混合され香味成分が付加された空気が、カプセルユニット200の端部からユーザによって吸引される。すなわち、香味成分が付加されたエアロゾルが、ユーザによって吸引される。
【0037】
電源ユニット300は、
図1に示されるように、電源ボタン310と、電源部320と、センサ部330と、制御部340と、記憶部350と、通知部360とを含む。
【0038】
電源ボタン310は、エアロゾル生成装置1の動作状態を遷移させるボタンである。電源ボタン310が押下され電源ONされると、エアロゾル生成装置1の状態は、後述する活動状態になる。また、エアロゾル生成装置1の状態が活動状態のときに、電源ボタン310が押下され電源OFFされると、エアロゾル生成装置1の状態は、活動状態から後述する休止状態に遷移する。
【0039】
なお、エアロゾル生成装置1の状態が活動状態であることと、バッテリユニット300の状態が活動状態であることは同義である。また、エアロゾル生成装置1の状態が休止状態であることと、バッテリユニット300の状態が休止状態であることは同義である。
【0040】
電源部320は、例えば、リチウムイオン二次電池のような再充電可能な電池であり、その種類は限定されない。電源部320は、制御部340の制御に基づき、エアロゾル生成装置1の各部に、電力を供給する。
【0041】
センサ部330は、少なくとも、ユーザによる吸引動作(エアロゾル生成装置1に、エアロゾルの生成を要求する動作)を検知する機能と、当該機能等の不具合を検知する機能とを備える。センサ部330は、
図1に示されるように、第1のセンサであるマイクロフォンコンデンサ331と、第2のセンサであるPTCサーミスタ332とを含む。
マイクロフォンコンデンサ331は、ユーザによる吸引動作を検知する。
【0042】
PTCサーミスタ332は、センサ部330を構成する各要素等に、過剰な電流が流れようした場合に、当該過剰な電流を流さないようにする機能(以下、「過電流保護機能」という)を働かせる。
【0043】
なお、センサ部330についての詳細は後述する。
【0044】
制御部340は、電源ボタン310が押下された場合に、エアロゾル生成装置1を2つの動作状態のいずれかに遷移させる。2つの動作状態とは、電源部320からエアロゾル生成装置1の各部に電力が供給される得る活動状態と、電源部320からエアロゾル生成装置1の各部に電力が供給されない又は極小の電力しか供給され得ない休止状態とである。エアロゾル生成装置1の状態が活動状態の場合には、センサ部330がユーザによる吸引動作を検知したときに、制御部340は、電源部320に負荷130へ電力を供給させエアロゾル源を霧化させる。また、電源ユニット300の状態が休止状態の場合には、ユーザが吸引動作をしても、制御部340は、電源部320に負荷130へ電力を供給させない。したがって、エアロゾル源は霧化されない。なお、制御部340の制御による電源部320から負荷130への電力の供給は、センサ部330がユーザによる吸引動作を検知しているときに行われる。
【0045】
また、制御部340は、PTCサーミスタ332に印加される電圧値に基づき、マイクロフォンコンデンサ331の状態が、通常状態および非通常状態のいずれの状態であるかを検知する。
【0046】
ここで、通常状態とは、マイクロフォンコンデンサ331に不具合が生じておらず、マイクロフォンコンデンサ331がユーザの吸引動作を正常に検知できる状態をいう。言い換えれば、通常状態とは、ユーザが吸引動作を行うと、マイクロフォンコンデンサ331が当該吸引動作を検知し、負荷130に電力が供給されエアロゾルが生成される状態をいう。
【0047】
非通常状態とは、マイクロフォンコンデンサ331に不具合が生じ、マイクロフォンコンデンサ331がユーザの吸引動作を正常に検知できない状態をいう。言い換えれば、非通常状態とは、ユーザが吸引動作をしても、マイクロフォンコンデンサ331が当該吸引動作を検知せず、エアロゾルが生成されない状態をいう。また、ユーザが吸引動作をしていないのにもかかわらず、マイクロフォンコンデンサ331がユーザの吸引動作を検知し、負荷130に電力が供給されエアロゾルが生成される状態をいう。
【0048】
なお、制御部340は、電源ボタン310が押下されエアロゾル生成装置1が休止状態から活動状態に遷移した後に、常時、マイクロフォンコンデンサ331の状態が通常状態および非通常状態のいずれの状態であるかを検知する処理(以下、「状態検知処理」という)を実行する。また、制御部340は、電源ボタン310が押下され電源ユニット300が活動状態から休止状態に遷移した場合に、状態検知処理を行わない。状態検知処理の詳細については後述する。
【0049】
記憶部350は、例えば、不揮発性のメモリである。記憶部350には、エアロゾル生成装置1を動作させるための各種データやプログラムが記憶されている。記憶部350には、例えば、状態検知処理を実行するためのプログラム(又はファームウェア)が記憶されている。
【0050】
また、記憶部350には、制御部340がセンサ部330の状態が非通常状態であると検知した場合に、当該非通常状態に関する情報が記憶される。具体的には、記憶部350には、センサ部330に生じた不具合の内容が記憶される。
【0051】
さらに、記憶部350には、制御部340がマイクロフォンコンデンサ331の状態が非通常状態であると検知した回数(以下、「検知回数」という)と、エアロゾル生成装置1の休止状態から活動状態への遷移を制限する値である制限閾値とが記憶される。検知回数および制限閾値の詳細は、後述する。
【0052】
通知部360は、例えば、発光ダイオードである。通知部360は、制御部340の制御に基づいて発光する。例えば、制御部340がマイクロフォンコンデンサ331の状態が非通常状態であると検知した場合に、通知部360は、制御部340の制御に基づき発光する。なお、通知部360の発光色は、寒色(青色)系統の色、暖色(赤色)系統の色などが考えられ、特に限定されない。
【0053】
なお、通知部360は、例えば、電源ユニット300の上流端部の周方向に沿って設けられ、当該端部全体が発光するように設置されてもよい。また、例えば、通知部360は、電源ボタン310の周方向に沿って設けられ、電源ボタン310の周囲が発光するように設置されてもよい。
【0054】
次に、センサ部330について詳細に説明する。
【0055】
図2は、センサ部330の回路構成の一例を示す図である。
図2に示すように、当該回路は、マイクロフォンコンデンサ331と、PTCサーミスタ332と、P型MOSFET333とを含む。電源ボタン310が押下され、エアロゾル生成装置1が休止状態から活動状態に遷移すると、P型MOSFET333において、ベース電圧が印加され、ドレイン電流が流れる。そして、PTCサーミスタ332およびマイクロフォンコンデンサ331に電流が流れ、PTCサーミスタ332およびマイクロフォンコンデンサ331は、それぞれが備える機能を発揮できる状態になる。
【0056】
図3は、マイクロフォンコンデンサ331の構成の一例を示す図である。
【0057】
マイクロフォンコンデンサ331は、ユーザの吸引動作に起因する音や圧力の変化等により振動する金属板であるダイヤフラム331Aと、固定された金属板であるバックプレート331Bとを含む。ユーザの吸引動作に起因する音や圧力の変化等が存在しない場合に、ダイヤフラム331Aとバックプレート331Bとにより規定される静電容量は変化しない。一方で、ユーザの吸引動作に起因する音や圧力の変化等が生じた場合に、当該音や圧力の変化に基づきダイヤフラム331Aが振動し、ダイヤフラム331Aとバックプレート331Bとにより規定される静電容量が変化する。当該静電容量の変化に基づいて、ユーザによる吸引動作が検知される。
【0058】
図4および
図5は、PTCサーミスタ332の特性を説明するための図である。
【0059】
図4は、PTCサーミスタ332の抵抗温度特性の一例を示しており、縦軸が抵抗値を示し、横軸が温度を示している。
図4に示すように、PTCサーミスタ332の抵抗値は、PTCサーミスタ332の温度が低いとき(例えば、室温程度のとき)には略一定の値であるが、ある一定の温度(以下、「A点」という)を超えると値が急上昇する。このため、A点の温度以上になった場合に、PTCサーミスタ332は、過剰な電流が流れないように機能する。すなわち、PTCサーミスタ332は、過電流保護機能を働かせる。
【0060】
図5は、PTCサーミスタ332の電圧電流特性の一例を示しており、縦軸が電流値を示し、横軸が電圧値を示している。
図5に示すように、PTCサーミスタ332では、ある電圧値まではオームの法則にしたがって電流値も上昇するが、ある一定の電圧値(以下「B点」という)を超えると、抵抗値が急激に増加するので、電流値が下降する。言い換えると、PTCサーミスタ332に印加される電圧値がB点を超える値になった場合に、PTCサーミスタ332は、過剰な電流が流れないように機能する。すなわち、PTCサーミスタ332は、過電流保護機能を働かせる。
【0061】
図3に示されるように、PTCサーミスタ332はマイクロフォンコンデンサ331に電気的に接続されるので、PTCサーミスタ332に印加される電圧値は、マイクロフォンコンデンサ331における電気的変化の影響を受ける。したがって、PTCサーミスタ332の電圧値がB点を超える値になった場合に、過剰な電流を流そうとする不具合が、マイクロフォンコンデンサ331に生じたことを意味する。なお、当該不具合は、例えば、マイクロフォンコンデンサ331における短絡である。また、マイクロフォンコンデンサ331における電気的変化の影響とは、マイクロフォンコンデンサ331に印加される電圧値の変化や、マイクロフォンコンデンサ331に流れる電流値の変化などが含まれる。
【0062】
本実施形態では、制御部340は、PTCサーミスタ332に印加される電圧値を、例えば、PTCサーミスタ332からの出力によって取得する。そして、制御部340は、当該電圧値と、予め設定されるB点以上の電圧閾値とを比較して、マイクロフォンコンデンサ331の状態が通常状態および非通常状態のいずれであるかを検知する。具体的には、制御部340は、PTCサーミスタ332に印加される電圧値が、前述した電圧閾値以上である場合に、マイクロフォンコンデンサ331の状態が非通常状態であると検知する。すなわち、制御部340は、マイクロフォンコンデンサ332において不具合(短絡)が生じたことを検知する。
【0063】
次に、制御部340が実行する状態検知処理について詳細に説明する。
図6は、制御部340が実行する状態検知処理の一例を説明するフローチャートである。
【0064】
制御部340は、エアロゾル生成装置1の状態が休止状態の場合に、電源ボタン310が押下されたか否かを判定する(ST101)。電源ボタン310が押下されていないと判定した場合(ST101:NO)に、再びステップST101の処理が実行される。つまり、電源ボタン310が押下されるまで、エアロゾル吸引装置1の状態は休止状態である。
【0065】
電源ボタン310が押下されたと判定した場合(ST101:YES)に、制御部340は、エアロゾル生成装置1の状態を休止状態から活動状態に遷移させる(ST102)。
【0066】
そして、制御部340は、マイクロフォンコンデンサ331の状態が非通常状態であるかを検知する(ST103)。制御部340は、前述したように、PTCサーミスタ332に印加される電圧値と電圧閾値との比較に基づいて、マイクロフォンコンデンサ331の状態が通常状態および非通常状態のいずれの状態であるかを検知する。したがって、制御部340によって通常状態と検知されるPTCサーミスタ332に印加される電圧値と、制御部340によって通常状態と検知されるPTCサーミスタ332に印加される電圧値とは異なる値である。
【0067】
制御部340がマイクロフォンコンデンサ331の状態が通常状態であると検知した場合(ST103:NO)、再びステップST103の処理が実行される。つまり、エアロゾル吸引器1の状態が活動状態の場合に、常時、マイクロフォンコンデンサ331の非通常状態を検知する処理が実行される。このような構成により、マイクロフォンコンデンサ331に生じた不具合を漏れなく検知できる。
【0068】
制御部340は、マイクロフォンコンデンサ331の状態が非通常状態であると検知した場合(ST103:YES)に、記憶部350に、非通常状態に関する情報を記憶させる(ST104)。具体的には、制御部340は、記憶部350に、マイクロフォンコンデンサ331に生じた不具合の内容(短絡の発生)を記憶させる。このように、記憶部350に不具合の内容を記憶させることで、後日、エアロゾル生成装置1の修理をするときに、特殊な検査をせずとも不具合の内容を容易に把握することができるので、修理に要する工数を大幅に削減することができる。
【0069】
制御部340は、通知部360を動作させる(ST105)。具体的には、制御部340は、通知部360を発光させる。これにより、エアロゾル生成装置1を使用しているユーザに、マイクロフォンコンデンサ331に不具合が生じたことを通知できる。
【0070】
そして、制御部340は、エアロゾル生成装置1を活動状態から休止状態に遷移させる(ST106)。このように、マイクロフォンセンサ331に不具合が生じた場合に、エアロゾル吸引装置1の状態をエアロゾルが生成されない休止状態に遷移させることで、エアロゾルが正常に生成され得ないのにもかかわらず、エアロゾル生成装置1の各部に電力が供給されることを防ぐことができる。すなわち、電力の浪費を防ぐことができる。
【0071】
以上のように、本実施形態におけるエアロゾル生成装置1では、制御部340は、マイクロフォンコンデンサ331に印加される電圧値と、予め設定されるB点以上の電圧閾値とを比較して、マイクロフォンコンデンサ331の状態が通常状態および非通常状態のいずれであるかを検知する。具体的には、制御部340は、PTCサーミスタ332に印加される電圧値が、電圧閾値以上である場合に、マイクロフォンコンデンサ331の状態が非通常状態であると検知する。したがって、本実施形態におけるエアロゾル生成装置1においては、ユーザの吸引動作を検知するセンサにおける不具合の発生を検知することができる。
【0072】
また、本実施形態におけるエアロゾル生成装置1では、マイクロフォンコンデンサ331の不具合を検知する構成として、過電流保護機能を備えるPTCサーミスタ332が採用されている。そのような構成により、マイクロフォンコンデンサ331の不具合に起因する過電流がエアロゾル生成装置1内に流れ、エアロゾル生成装置1のセンサ部330以外の構成に不具合が生じるという二次的被害を防ぐことができる。すなわち、そのような構成により、センサの不具合を検知すると共に、センサの不具合に起因する他の構成における不具合の発生を防ぐという課題を解決することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、センサに不具合が発生した場合に、当該不具合を検知することができるので、例えば、ユーザが吸引動作をしていないときに、エアロゾル生成装置でエアロゾル源が霧化され、エアロゾル源が浪費される事態を防ぐことができる。すなわち、本実施形態におけるエアロゾル生成装置は、省資源および省エネルギー効果を奏する。
【0074】
上記実施形態では、制御部340が実行する状態検知処理は、
図6に示される例で説明されたが、これに限定されない。例えば、制御部340が実行する状態検知処理は、
図7に示される例であっても良い。
【0075】
図7に示されるフローチャートは、
図6に示されるフローチャートと比較して、ST201〜ST203が追加される点と、ST106の処理の後に、再度ST101の処理が実行される点とで相違する。なお、ST203は、制御部340が、記憶部350に、マイクロフォンコンデンサ331の状態が非通常状態であると検知した回数(検知回数)を記憶させる処理である。
【0076】
以下、ST203の処理が、既に複数回行われているものとして、すなわち、マイクロフォンコンデンサ331の状態が非通常状態であると、制御部340に複数回検知されているものとして、前述した相違点を中心に
図7に示されるフローチャートを説明する。
【0077】
図7に示されるフローチャートでは、制御部340がマイクロフォンコンデンサ331の状態が非通常状態であると検知した場合(ST103:YES)に、ST104と、ST203と、ST105〜106との処理を経て、再度ST101の処理が実行される。したがって、
図7に示されるフローチャートでは、ST203の処理が複数回実行され得る。よって、記憶部340に記憶されるマイクロフォンコンデンサ331の状態が非通常状態であると検知された検知回数が、更新され得る。
【0078】
制御部340は、ST101において再び電源ボタン310が押下された場合(ST101:YES)に、記憶部350に記憶されている情報を読み込む(ST201)。具体的には、制御部340は、検知回数と、エアロゾル生成装置1の休止状態から活動状態への遷移を制限する閾値である制限閾値とを読み込む。
【0079】
そして、制御部340は、検知回数が、制限閾値未満であるか否かを判定する(ST202)。検知回数が制限閾値未満であれば(ST202:YES)、ST102以降の処理が実行される。例えば、検知回数が2で、制限閾値が3であった場合に、ST102以降の処理が実行される。
【0080】
その一方で、検知回数が制限閾値以上であれば(ST202:NO)、処理は終了する。例えば、検知回数が3で制限閾値が3であった場合に、処理は終了する。すなわち、エアロゾル生成装置1の状態は、今後、電源ボタン310が押下されても、休止状態から活動状態に遷移しない。このように、検知回数と制限閾値との比較に基づき、エアロゾル生成装置1の状態の遷移を制御する理由は、次の通りである。
【0081】
貯留部110から漏れだしたエアロゾル源に濡れることで、マイクロフォンコンデンサ331が一時的に誤作動してしまう場合がある。具体的には、マイクロフォンコンデンサ331におけるダイヤフラム331Aが、エアロゾル源に濡れることにより正常に振動しなくなってしまい、マイクロフォンコンデンサ331が誤動作してしまうことがある。そして、制御部340が、当該誤作動に基づいて、マイクロフォンコンデンサ331の状態が非通常状態だと検知する場合がある。ダイヤフラム331Aは、エアロゾル源による濡れが乾燥等により解消されると、正常に振動する状態に戻ることが多い。すなわち、エアロゾル源に濡れることによる誤作動は、当該濡れが乾燥すれば解消されることが多い。
【0082】
そのようなことを踏まえ、検知回数が制限閾値未満である場合には、マイクロフォンコンデンサ331の非通常状態は、エアロゾル源の濡れによる一時的な誤作動に起因するとみなされ、電源ボタン310が押下されると、再び活動状態に遷移するよう構成される。
【0083】
その一方で、検知回数が制限閾値以上に達した場合には、マイクロフォンコンデンサ331の非通常状態は、短絡等の恒久的な不具合に起因すると見なされ、再度、エアロゾル生成装置1が休止状態から活動状態に遷移することはない。
【0084】
したがって、
図7に示される検知処理のフローチャートでは、マイクロフォンコンデンサ331の非通常状態について、その非通常状態がエアロゾル源の漏れに起因する一時的なものであるのか、短絡等の恒久的なものであるのかを判別し、エアロゾル生成装置1の状態遷移を制御している。したがって、エアロゾル生成装置1に恒久的な不具合が生じていないのにも関わらず、エアロゾル生成装置1を使用できない状態にすることがないので、エアロゾル生成装置1の使用に関する利便性を向上させることができる。
【0085】
なお、上記実施形態は、第2のセンサとして、PTCサーミスタ332を用いる場合で説明されたが、第2のセンサはPTCサーミスタ332に限定されない。例えば、第2のセンサとして、電流を計測する電流計測センサ334が用いられてもよい。
図8は、PTCサーミスタ332の代わりに電流計測センサ334が採用された場合のエアロゾル生成装置1の概略的な構成の一例を示すブロック図である。なお、
図1と同一の構成には同一の符号を付している。
【0086】
図8に示されるエアロゾル生成装置1の電源ユニット300を構成した場合、電流計測センサ334から制御部340に出力される値は、マイクロフォンコンデンサ331における電気的変化に応じて変化する電流計測センサ334に流れる電流の値になる。そして、制御部340は、当該電流の値に基づき、マイクロフォンコンデンサ331の状態が通常状態および非通常状態のいずれの状態であるかを検知する。具体的には、制御部340は、当該電流の値と所定の電流閾値とを比較し、当該電流の値が電流閾値以上の場合に、マイクロフォンコンデンサ331に短絡等の不具合(短絡)が生じたと検知する。
【0087】
また、本実施形態では、エアロゾル生成装置1は、ユーザの吸引動作に応じてエアロゾルを生成する場合で説明されたが、これに限定されない。例えば、エアロゾル生成装置1は、ユーザの吸引動作に応じて不可視の蒸気を生成する構成であってもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0088】
また、本実施形態では、通知部360は、制御部340の制御に従い発光する場合
で説明されたが、これに限定されない。例えば、通知部360は、制御部340がマイクロフォンコンデンサ331の非通常状態を検知した場合に、所定の振動パターンで振動する構成であってもよいし、所定の音を出力する構成であってもよい。また、通知部360は、それらを組み合わせた通知をしてもよい。具体的には、例えば、通知部360は、光と振動とを組み合わせた通知をしても良いし、光と振動と音とを組み合わせた通知をしても良い。
【0089】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態の構成を組み合わせてもよい。
【解決手段】電源ユニット300は、エアロゾル生成要求を検知するマイクロフォンコンデンサ331と、マイクロフォンコンデンサ331の電気的な変化に基づく自センサの電気的な変化を検知し、当該変化に基づく値を出力するPTCサーミスタ332と、PTCサーミスタ332が出力する値に基づき、マイクロフォンコンデンサ331の状態が通常状態および非通常状態のいずれの状態であるかを検知する制御部340と、を備える。