特許第6522225号(P6522225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6522225霧化ユニットの製造方法、非燃焼型香味吸引器、霧化ユニット及び霧化ユニットパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522225
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】霧化ユニットの製造方法、非燃焼型香味吸引器、霧化ユニット及び霧化ユニットパッケージ
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20190520BHJP
【FI】
   A24F47/00
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-236884(P2018-236884)
(22)【出願日】2018年12月19日
(62)【分割の表示】特願2017-504492(P2017-504492)の分割
【原出願日】2015年3月10日
(65)【公開番号】特開2019-68827(P2019-68827A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2018年12月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】松本 光史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晶彦
(72)【発明者】
【氏名】中野 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】 西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/022448(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0338685(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0340775(US,A1)
【文献】 特表2014−530632(JP,A)
【文献】 特開2002−215246(JP,A)
【文献】 特開2009−063966(JP,A)
【文献】 特表2015−503916(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/145988(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/098396(WO,A2)
【文献】 国際公開第2011/160788(WO,A1)
【文献】 国際公開第1997/048293(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を抵抗電熱で霧化する抵抗発熱体の抵抗値と温度との対応を、前記抵抗発熱体が前記エアロゾル源を抵抗電熱で霧化できない条件下で測定する工程Aと、
前記工程Aで測定された前記対応、前記抵抗発熱体に対する電源出力として前記対応に応じて定められる調整済み電源出力、又は、前記対応又は前記調整済み電源出力と対応付けられた識別情報を記録する工程Bと
前記対応、前記調整済み電源出力、又は前記識別情報に基づいて、前記抵抗発熱体に対する電源出力を制御する工程とを備えることを特徴とする抵抗発熱体に対する電源出力の制御の最適化方法。
【請求項2】
前記工程Bは、前記抵抗発熱体に対する電源出力として前記対応及び電源の蓄電量の減少に伴って増大する電源出力に応じて定められる調整済み電源出力を記憶することを特徴とする請求項1に記載の抵抗発熱体に対する電源出力の制御の最適化方法。
【請求項3】
前記工程Aは、前記エアロゾル源を吸い上げるエアロゾル吸引部に前記抵抗発熱体を接触させ、電源を接続するための電極を前記抵抗発熱体に接続した後に、前記対応を測定する工程であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の抵抗発熱体に対する電源出力の制御の最適化方法。
【請求項4】
前記工程Aは、前記抵抗発熱体を含む霧化ユニットをアッセンブリした後に、前記対応を測定する工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の抵抗発熱体に対する電源出力の制御の最適化方法。
【請求項5】
前記工程Aは、前記霧化ユニットの使用温度よりも低い温度で前記対応を測定する工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の抵抗発熱体に対する電源出力の制御の最適化方法。
【請求項6】
前記工程Aは、前記対応を常温で測定する工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の抵抗発熱体に対する電源出力の制御の最適化方法。
【請求項7】
前記抵抗値の温度係数αが0.8×10−3[℃−1]以下であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の抵抗発熱体に対する電源出力の制御の最適化方法。
【請求項8】
前記抵抗値の温度係数αが0.4×10−3[℃−1]以下であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の抵抗発熱体に対する電源出力の制御の最適化方法。
【請求項9】
前記エアロゾル源を保持するリザーバに前記エアロゾル源を注入する工程に先立って、前記工程Aを実行することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の抵抗発熱体に対する電源出力の制御の最適化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼を伴わずにエアロゾル源を霧化する抵抗発熱体を有する霧化ユニットの製造方法、非燃焼型香味吸引器、霧化ユニット及び霧化ユニットパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼を伴わずに香味を吸引するための非燃焼型香味吸引器が知られている。非燃焼型香味吸引器は、燃焼を伴わずにエアロゾル源を霧化する霧化部と、霧化部よりも吸口側に設けられる香味源とを有する(例えば、特許文献1)。
【0003】
ここで、霧化部は、例えば、エアロゾル源を吸い上げるウィックと、ウィックに巻き回される抵抗発熱体とを有する。ウィックに巻き回される抵抗発熱体の温度のバラツキを抑制するために、抵抗発熱体に電力を供給したときの抵抗発熱体の温度をサーモグラフィによって測定するととともに、測定された温度に基づいて抵抗発熱体に対する電源出力を調整する技術が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−506594号公報
【特許文献2】国際公開第2014/115143号パンフレット
【発明の概要】
【0005】
第1の特徴は、霧化ユニットの製造方法であって、エアロゾル源を抵抗電熱で霧化する抵抗発熱体の抵抗値を測定する工程Aと、前記工程Aで測定された抵抗値、前記抵抗発熱体に対する電源出力として前記抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力、又は、前記抵抗値又は前記調整済み電源出力と対応付けられた識別情報を情報源に記録する工程Bとを備えることを要旨とする。
【0006】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記工程Aは、前記エアロゾル源を吸い上げるエアロゾル吸引部に前記抵抗発熱体を接触させ、電源を接続するための電極を前記抵抗発熱体に接続した後に、前記抵抗値を測定する工程であることを要旨とする。
【0007】
第3の特徴は、第1の特徴又は第2の特徴において、前記工程Aは、前記抵抗発熱体を含む霧化ユニットをアッセンブリした後に、前記抵抗値を測定する工程であることを要旨とする。
【0008】
第4の特徴は、第1の特徴乃至第3の特徴のいずれかにおいて、前記情報源は、前記抵抗発熱体を含む霧化ユニットに設けられることを要旨とする。
【0009】
第5の特徴は、第1の特徴乃至第4の特徴のいずれかにおいて、前記霧化ユニットの製造方法は、前記霧化ユニットを有する非燃焼型香味吸引器がアクセス可能な外部記憶媒体に、前記抵抗値又は前記調整済み電源出力を格納する工程Cを備え、前記工程Bは、前記識別情報を前記情報源に記録する工程であることを要旨とする。
【0010】
第6の特徴は、第1の特徴乃至第5の特徴のいずれかにおいて、前記工程Aは、前記非燃焼型香味吸引器の使用温度よりも低い温度で前記抵抗値を測定する工程であることを要旨とする。
【0011】
第7の特徴は、第1の特徴乃至第6の特徴のいずれかにおいて、前記工程Aは、前記抵抗値を常温で測定する工程であることを要旨とする。
【0012】
第8の特徴は、第6の特徴又は第7の特徴において、前記抵抗値の温度係数αが0.8×10−3[℃−1]以下であることを要旨とする。
【0013】
第9の特徴は、第6の特徴又は第7の特徴において、前記抵抗値の温度係数αが0.4×10−3[℃−1]以下であることを要旨とする。
【0014】
第10の特徴は、非燃焼型香味吸引器であって、エアロゾル源を抵抗電熱で霧化する抵抗発熱体と、前記抵抗発熱体に対する電源出力を特定するための特定情報を有する情報源と、前記情報源が有する特定情報に基づいて、前記抵抗発熱体に対する電源出力を制御する制御部とを備え、前記特定情報は、前記抵抗発熱体の抵抗値、前記抵抗発熱体に対する電源出力として前記抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力、又は、前記抵抗値又は前記調整済み電源出力と対応付けられた識別情報であることを要旨とする。
【0015】
第11の特徴は、第10の特徴において、前記抵抗発熱体及び前記情報源を有する霧化ユニットと、前記制御部を有する制御ユニットとを備えることを要旨とする。
【0016】
第12の特徴は、第11の特徴において、非燃焼型香味吸引器は、前記制御ユニットは、前記抵抗値又は前記調整済み電源出力を格納する外部記憶媒体にアクセスする外部アクセス部を有し、前記情報源は、前記識別情報を前記特定情報として有しており、前記制御部は、前記外部アクセス部が前記識別情報を用いて前記外部記憶媒体から取得する情報に基づいて、前記抵抗発熱体に対する電源出力を制御することを要旨とする。
【0017】
第13の特徴は、第11の特徴において、前記情報源は、前記抵抗値を前記特定情報として記憶しており、前記制御部は、温度変化に伴う前記抵抗発熱体の抵抗値の変化を考慮せずに、前記情報源から読み出された情報を用いて、前記抵抗発熱体に対する電源出力を制御することを要旨とする。
【0018】
第14の特徴は、第11の特徴乃至第13の特徴のいずれかにおいて、前記抵抗発熱体の抵抗値の温度係数αが0.8×10−3[℃−1]以下であることを要旨とする。
【0019】
第15の特徴は、第11の特徴乃至第13の特徴のいずれかにおいて、前記抵抗発熱体の抵抗値の温度係数αが0.4×10−3[℃−1]以下であることを要旨とする。
【0020】
第16の特徴は、霧化ユニットであって、エアロゾル源を抵抗電熱で霧化する抵抗発熱体と、前記抵抗発熱体に対する電源出力を特定するための特定情報を有する情報源とを備え、前記特定情報は、前記抵抗発熱体の抵抗値、前記抵抗発熱体に対する電源出力として前記抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力、又は、前記抵抗値又は前記調整済み電源出力と対応付けられた識別情報であることを要旨とする。
【0021】
第17の特徴は、霧化ユニットパッケージであって、エアロゾル源を抵抗電熱で霧化する抵抗発熱体を有する霧化ユニットと、前記抵抗発熱体に対する電源出力を特定するための特定情報を有する情報源とを備え、前記特定情報は、前記抵抗発熱体の抵抗値、前記抵抗発熱体に対する電源出力として前記抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力、又は、前記抵抗値又は前記調整済み電源出力と対応付けられた識別情報であることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器100を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る霧化ユニット111を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器100のブロック構成を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る霧化部111R(抵抗発熱体)の抵抗値の特性を説明するための図である。
図5図5は、変更例1に係る非燃焼型香味吸引器100のブロック構成を示す図である。
図6図6は、変更例2に係る霧化ユニットパッケージ400を示す図である。
図7図7は、変更例2に係る非燃焼型香味吸引器100のブロック構成を示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係る霧化ユニット111の製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において、実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0024】
従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0025】
[実施形態の概要]
上述した特許文献2の目的は、抵抗発熱体に許容された上限温度を超えないように抵抗発熱体の温度を制御することである。従って、引用文献2では、抵抗発熱体に電力を供給したときの抵抗発熱体の温度を測定するためにサーモグラフィを用いる必要があるが、一般的にサーモグラフィは高価である。また、上述した目的を達成するためには、エアロゾル源を吸い上げた状態のウィックを抵抗発熱体と接触させ、かつ、抵抗発熱体の温度を使用温度(非燃焼型香味吸引器を使用するときの抵抗発熱体の温度)まで昇温するために抵抗発熱体への通電を数秒間に亘って行う必要があるといった制約がある。
【0026】
第1に、実施形態に係る霧化ユニットの製造方法は、エアロゾル源を抵抗電熱で霧化する抵抗発熱体の抵抗値を測定する工程Aと、前記工程Aで測定された抵抗値、前記抵抗発熱体に対する電源出力として前記抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力、又は、前記抵抗値又は前記調整済み電源出力と対応付けられた識別情報を情報源に記録する工程Bとを備える。
【0027】
実施形態では、抵抗発熱体に対する電源出力を特定するための特定情報として、抵抗発熱体の抵抗値、又は、抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力を用いる。すなわち、サーモグラフィを用いないため、サーモグラフィを用いる制約を気にせずに、抵抗発熱体に対する電源出力の制御を最適化することができる。
【0028】
第2に、実施形態に係る非燃焼型香味吸引器は、エアロゾル源を抵抗電熱で霧化する抵抗発熱体と、前記抵抗発熱体に対する電源出力を特定するための特定情報を有する情報源と、前記情報源が有する特定情報に基づいて、前記抵抗発熱体に対する電源出力を制御する制御部とを備え、前記特定情報は、前記抵抗発熱体の抵抗値、前記抵抗発熱体に対する電源出力として前記抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力、又は、前記抵抗値又は前記調整済み電源出力と対応付けられた識別情報である。
【0029】
実施形態では、抵抗発熱体に対する電源出力を特定するための特定情報として、抵抗発熱体の抵抗値、抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力、又は、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力と対応付けられた識別情報を用いる。すなわち、サーモグラフィを用いないため、サーモグラフィを用いる制約を気にせずに、抵抗発熱体に対する電源出力の制御を最適化することができる。
【0030】
[第1実施形態]
(非燃焼型香味吸引器)
以下において、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器について説明する。図1は、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器100を示す図である。非燃焼型香味吸引器100は、燃焼を伴わずに香喫味成分を吸引するための器具であり、非吸口端から吸口端に向かう方向である所定方向Aに沿って延びる形状を有する。図2は、第1実施形態に係る霧化ユニット111を示す図である。なお、以下においては、非燃焼型香味吸引器100を単に香味吸引器100と称することに留意すべきである。
【0031】
図1に示すように、香味吸引器100は、吸引器本体110と、カートリッジ130とを有する。
【0032】
吸引器本体110は、香味吸引器100の本体を構成しており、カートリッジ130を接続可能な形状を有する。具体的には、吸引器本体110は、筒体110Xを有しており、カートリッジ130は、筒体110Xの吸口端に接続される。吸引器本体110は、燃焼を伴わずにエアロゾル源を霧化する霧化ユニット111と、電装ユニット112とを有する。
【0033】
第1実施形態では、霧化ユニット111は、筒体110Xの一部を構成する筒体111Xを有する。霧化ユニット111は、図2に示すように、リザーバ111Pと、ウィック111Qと、霧化部111Rとを有する。リザーバ111P、ウィック111Q及び霧化部111Rは、筒体111Xに収容される。リザーバ111Pは、エアロゾル源を保持する。例えば、リザーバ111Pは、樹脂ウェブ等材料によって構成される孔質体である。ウィック111Qは、リザーバ111Pに保持されるエアロゾル源を吸い上げるエアロゾル吸引部の一例である。例えば、ウィック111Qは、ガラス繊維によって構成される。霧化部111Rは、ウィック111Qによって吸い上げられたエアロゾル源を霧化する。霧化部111Rは、例えば、ウィック111Qに所定ピッチで巻き回される抵抗発熱体(例えば、電熱線)によって構成される。
【0034】
第1実施形態において、霧化部111Rは、エアロゾル源を抵抗電熱で霧化する抵抗発熱体の一例である。抵抗発熱体の温度に対する抵抗発熱体の抵抗値の変化量は、R(T)=R[1+α(T−T)]で表される。但し、R(T)は、温度Tにおける抵抗値、Rは、温度Tにおける抵抗値、αは、温度係数である。温度係数αは、温度Tによって変化するが、第1実施形態に係る香味吸引器100の製造・使用条件下においては、定数に近似することができる。このようなケースにおいて、抵抗発熱体の抵抗値の温度係数αは、測定温度と使用温度との間における抵抗値の変化が所定範囲に収まる値であることが好ましい。測定温度は、香味吸引器100の製造において、抵抗発熱体の抵抗を測定するときの抵抗発熱体の温度である。測定温度は、抵抗発熱体の使用温度よりも低いことが好ましい。さらには、測定温度は、常温(20℃±15℃の範囲)であることが好ましい。使用温度は、非燃焼型香味吸引器100を使用するときの抵抗発熱体の温度であり、100℃〜400℃の範囲である。測定温度が20℃で使用温度が250℃である条件において所定範囲を20%に設定する場合には、温度係数αは、例えば、0.8×10−3[℃−1]以下であることが好ましい。測定温度が20℃で使用温度が250℃である条件において所定範囲を10%に設定する場合には、温度係数αは、例えば、0.4×10−3[℃−1]以下であることが好ましい。
【0035】
エアロゾル源は、グリセリン又はプロピレングリコールなどの液体である。エアロゾル源は、例えば、上述したように、樹脂ウェブ等の材料によって構成される孔質体によって保持される。孔質体は、非たばこ材料によって構成されていてもよく、たばこ材料によって構成されていてもよい。なお、エアロゾル源は、ニコチン成分等を含有する香味源を含んでいてもよい。或いは、エアロゾル源は、ニコチン成分等を含有する香味源を含まなくてもよい。エアロゾル源は、ニコチン成分以外の成分を含む香味源を含んでいてもよい。或いは、エアロゾル源は、ニコチン成分以外の成分を含む香味源を含まなくてもよい。
【0036】
電装ユニット112は、筒体110Xの一部を構成する筒体112Xを有する。香味吸引器100を駆動する電源、香味吸引器100を制御する制御回路を有する。電源や制御回路は、筒体112Xに収容される。電源は、例えば、リチウムイオン電池である。制御回路は、例えば、CPU及びメモリによって構成される。制御回路の詳細については後述する(図3を参照)。
【0037】
第1実施形態において、電装ユニット112は、通気孔112Aを有する。通気孔112Aから導入される空気は、図2に示すように、霧化ユニット111(霧化部111R)に導かれる。
【0038】
カートリッジ130は、香味吸引器100を構成する吸引器本体110に接続可能に構成される。カートリッジ130は、吸口から吸い込まれる気体(以下、空気)の流路上において霧化ユニット111よりも吸口側に設けられる。言い換えると、カートリッジ130は、必ずしも物理空間的に霧化ユニット111よりも吸口側に設けられている必要はなく、霧化ユニット111から発生するエアロゾルを吸口側に導くエアロゾル流路上において霧化ユニット111よりも吸口側に設けられていればよい。すなわち、第1実施形態において、「吸口側」は、エアロゾルの流れの「下流」と同義であると考えてもよく、「非吸口側」は、エアロゾルの流れの「上流」と同義であると考えてもよい。
【0039】
具体的には、カートリッジ130は、カートリッジ本体131と、香味源132と、網目133Aと、フィルタ133Bとを有する。
【0040】
カートリッジ本体131は、所定方向Aに沿って延びる筒状形状を有する。カートリッジ本体131は、香味源132を収容する。
【0041】
香味源132は、吸口から吸い込まれる空気の流路上において霧化ユニット111よりも吸口側に設けられる。香味源132は、エアロゾル源から発生するエアロゾルに香喫味成分を付与する。言い換えると、香味源132によってエアロゾルに付与される香味は、吸口に運ばれる。
【0042】
第1実施形態において、香味源132は、霧化ユニット111から発生するエアロゾルに香喫味成分を付与する原料片によって構成される。原料片のサイズは、0.2mm以上1.2mm以下であることが好ましい。さらには、原料片のサイズは、0.2mm以上0.7mm以下であることが好ましい。香味源132を構成する原料片のサイズが小さいほど、比表面積が増大するため、香味源132を構成する原料片から香喫味成分がリリースされやすい。従って、所望量の香喫味成分をエアロゾルに付与するにあたって、原料片の量を抑制できる。香味源132を構成する原料片としては、刻みたばこ、たばこ原料を粒状に成形した成形体を用いることができる。但し、香味源132は、たばこ原料をシート状に成形した成形体であってもよい。また、香味源132を構成する原料片は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源132には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0043】
ここで、香味源132を構成する原料片は、例えば、JIS Z 8801に準拠したステンレス篩を用いて、JIS Z 8815に準拠する篩分けによって得られる。例えば、0.71mmの目開きを有するステンレス篩を用いて、乾燥式かつ機械式振とう法によって20分間に亘って原料片を篩分けによって、0.71mmの目開きを有するステンレス篩を通過する原料片を得る。続いて、0.212mmの目開きを有するステンレス篩を用いて、乾燥式かつ機械式振とう法によって20分間に亘って原料片を篩分けによって、0.212mmの目開きを有するステンレス篩を通過する原料片を取り除く。すなわち、香味源132を構成する原料片は、上限を規定するステンレス篩(目開き=0.71mm)を通過し、下限を規定するステンレス篩(目開き=0.212mm)を通過しない原料片である。従って、実施形態では、香味源132を構成する原料片のサイズの下限は、下限を規定するステンレス篩の目開きによって定義される。なお、香味源132を構成する原料片のサイズの上限は、上限を規定するステンレス篩の目開きによって定義される。
【0044】
第1実施形態において、香味源132は、アルカリ性のpHを有するたばこ源である。たばこ源のpHは、7よりも大きいことが好ましく、8以上であることがより好ましい。これによって、たばこ源から発生する香喫味成分をエアロゾルによって効率的に取り出すことができる。これにより、所望量の香喫味成分をエアロゾルに付与するにあたって、たばこ源の量を抑制できる。一方、たばこ源のpHは、14以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。これによって、香味吸引器100(例えば、カートリッジ130又は吸引器本体110)に対するダメージ(腐食等)を抑制することができる。
【0045】
なお、香味源132から発生する香喫味成分はエアロゾルによって搬送されており、香味源132自体を加熱する必要はないことに留意すべきである。
【0046】
網目133Aは、香味源132に対して非吸口側においてカートリッジ本体131の開口を塞ぐように設けられており、フィルタ133Bは、香味源132に対して吸口側においてカートリッジ本体131の開口を塞ぐように設けられている。網目133Aは、香味源132を構成する原料片が通過しない程度の粗さを有する。網目133Aの粗さは、例えば、0.077mm以上0.198mm以下の目開きを有する。フィルタ133Bは、通気性を有する物質によって構成される。フィルタ133Bは、例えば、アセテートフィルタであることが好ましい。フィルタ133Bは、香味源132を構成する原料片が通過しない程度の粗さを有する。
【0047】
(ブロック構成)
以下において、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器のブロック構成について説明する。図3は、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器100のブロック構成を示す図である。
【0048】
図3に示すように、上述した霧化ユニット111は、霧化部111R(抵抗発熱体)に加えて、メモリ111Mを有する。上述した電装ユニット112に設けられる制御回路50は、制御部51を有する。制御回路50は、抵抗発熱体に対する電源出力を制御する制御部を有する制御ユニットの一例である。
【0049】
メモリ111Mは、霧化部111R(抵抗発熱体)に対する電源出力を特定するための特定情報を有する情報源の一例である。第1実施形態では、特定情報は、抵抗発熱体の抵抗値、又は、霧化部111R(抵抗発熱体)に対する電源出力として抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力である。
【0050】
ここで、抵抗発熱体の抵抗値は、抵抗値の実測値であってもよく、抵抗値の推定値であってもよい。具体的には、抵抗発熱体の両端に測定装置の端子を接続することによって、抵抗発熱体の抵抗値を測定する場合には、抵抗発熱体の抵抗値として実測値を用いることができる。或いは、香味吸引器100に設けられる電源と接続するための電極が抵抗発熱体に接続されている状態で、抵抗発熱体に接続された電極に測定装置の端子を接続することによって、抵抗発熱体の抵抗値を測定する場合には、抵抗発熱体以外の部分(電極など)の抵抗値を考慮する必要がある。このようなケースにおいては、抵抗発熱体以外の部分(電極など)の抵抗値を考慮した推定値を抵抗発熱体の抵抗値として用いることが好ましい。
【0051】
また、抵抗発熱体に対する電源出力の大きさは、抵抗発熱体に対して連続的に電圧が印加されるケースにおいては、抵抗発熱体に対して印加される電圧の値及び電源出力の供給を継続する時間で定義される。一方で、電源出力の大きさは、抵抗発熱体に対して断続的に電圧が印加されるケース(パルス制御)においては、抵抗発熱体に対して印加される電圧の値、デューティ比(すなわち、パルス幅及びパルス間隔)及び電源出力の供給を継続する時間によって定義される。
【0052】
制御部51は、メモリ111Mが有する特定情報に基づいて、抵抗発熱体に対する電源出力を制御する。
【0053】
例えば、抵抗発熱体の抵抗値が図4に示す特性を有するケースを例に挙げて説明する。図4では、縦軸が抵抗値(Ω)を示しており、横軸が温度(℃)を示している。常温は、20℃±15℃の範囲である。使用温度は、非燃焼型香味吸引器100を使用するときの抵抗発熱体の温度であり、100℃〜400℃の範囲である。使用温度は、エアロゾル源の組成に応じて適宜定められる。抵抗値の傾きは、抵抗発熱体の温度に対する抵抗発熱体の抵抗値の変化量(すなわち、温度係数α)である。
【0054】
図4に示すように、サンプルA(抵抗発熱体)の抵抗値は、温度が同じであれば、基準サンプル(抵抗発熱体)の抵抗値よりも高い。サンプルB(抵抗発熱体)の抵抗値は、温度が同じであれば、基準サンプルの(抵抗発熱体)の抵抗値よりも低い。霧化部111R(抵抗発熱体)の抵抗値は、抵抗発熱体の長さ、抵抗発熱体の太さ等に依存するため、霧化部111R(抵抗発熱体)毎にバラツキを有することに留意すべきである。
【0055】
このような前提下において、所望の温度を得るために基準サンプル(抵抗発熱体)対する電源出力が基準出力である場合に、制御部51は、基準出力よりも大きくするようにサンプルAに対する電源出力を制御する。一方で、制御部51は、基準出力よりも小さくするようにサンプルBに対する電源出力を制御する。これによって、霧化部111R(抵抗発熱体)毎の抵抗値のバラツキを抑制しながら、所望の温度を得ることができる。
【0056】
このような制御を実現するために、メモリ111Mが有する特定情報は、上述したように、抵抗発熱体の抵抗値、又は、抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力であればよい。
【0057】
詳細には、特定情報が抵抗発熱体の抵抗値である場合には、制御部51は、抵抗発熱体に対する電源出力と抵抗値との対応関係を予め把握していれば、メモリ111Mから読み出された抵抗値に基づいて、抵抗発熱体に対する電源出力を適切に制御することができる。また、特定情報が抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力である場合には、制御部51は、メモリ111Mから読み出された調整済み電源出力に基づいて、抵抗発熱体に対する電源出力を適切に制御することができる。
【0058】
ここで、制御部51は、温度変化に伴う抵抗発熱体の抵抗値の変化を考慮せずに、メモリ111Mから読み出された抵抗値を用いて、抵抗発熱体に対する電源出力を制御することが好ましい。或いは、制御部51は、温度変化に伴う抵抗発熱体の抵抗値の変化を考慮せずに、メモリ111Mから読み出された調整済み電源出力を用いて、抵抗発熱体に対する電源出力を制御することが好ましい。
【0059】
なお、抵抗発熱体の抵抗値は、抵抗発熱体の使用温度よりも低い温度で測定されることが好ましく、さらには、常温で測定されることが好ましい。これによって、抵抗発熱体の温度が使用温度となるまで抵抗発熱体に対する通電を行う必要がなく、霧化ユニット111の製造工程を簡略化することができる。このようなケースにおいては、抵抗発熱体の抵抗値の温度係数αが0.8×10−3[℃−1]以下(好ましくは、0.4×10−3[℃−1]以下)であることが好ましい。これによって、抵抗発熱体の抵抗値として抵抗発熱体の使用温度よりも低い温度(例えば、常温)で測定された値を温度変化に伴う抵抗発熱体の抵抗値の変化を考慮せずに用いたとしても、使用温度における抵抗発熱体の抵抗値に対する抵抗値の差異が小さい。従って、抵抗発熱体の抵抗値のバラツキに伴う抵抗発熱体の温度のバラツキを適切に抑制することができる。
【0060】
(作用及び効果)
第1実施形態では、抵抗発熱体(霧化部111R)に対する電源出力を特定するための特定情報として、抵抗発熱体の抵抗値、又は、抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力を用いる。すなわち、サーモグラフィを用いないため、サーモグラフィを用いる制約を気にせずに、抵抗発熱体に対する電源出力の制御を最適化することができる。
【0061】
第1実施形態では、特定情報を有する情報源(メモリ111M)が霧化ユニット111に設けられる。従って、霧化ユニット111が交換可能であるケースであっても、霧化ユニット111に設けられるメモリ111Mから特定情報を読み出すことによって、抵抗発熱体の抵抗値のバラツキに伴う抵抗発熱体の温度のバラツキを適切に抑制することができる。
【0062】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について説明する。
【0063】
具体的には、第1実施形態では、メモリ111Mが有する特定情報は、上述したように、抵抗発熱体の抵抗値、又は、抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力である。これに対して、変更例1では、メモリ111Mが有する特定情報は、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力と対応付けられた識別情報である。
【0064】
(ブロック構成)
以下において、変更例1に係る非燃焼型香味吸引器のブロック構成について説明する。図5は、変更例1に係る非燃焼型香味吸引器100のブロック構成を示す図である。なお、図5では、図3と同様の構成について同様の符号を付していることに留意すべきである。
【0065】
ここで、図5において、通信端末200は、サーバ300と通信を行う機能を有する端末である。通信端末200は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどである。サーバ300は、抵抗発熱体の抵抗値又は抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力を格納する外部記憶媒体の一例である。また、メモリ111Mは、上述したように、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力と対応付けられた識別情報を特定情報として有する。
【0066】
図5に示すように、制御回路50は、外部アクセス部52を有する。外部アクセス部52は、直接的又は間接的にサーバ300にアクセスする機能を有する。図5では、外部アクセス部52が通信端末200を介してサーバ300にアクセスする機能を例示している。このようなケースにおいて、外部アクセス部52は、例えば、通信端末200と有線で接続するためのモジュール(例えば、USBポート)であってもよく、通信端末200と無線で接続するためのモジュール(例えば、Bluetoothモジュール)であってもよい。
【0067】
但し、外部アクセス部52は、サーバ300と直接的に通信を行う機能を有していてもよい。このようなケースにおいて、外部アクセス部52は、無線LANモジュールであってもよい。
【0068】
外部アクセス部52は、メモリ111Mから識別情報を読み出すとともに、読み出された識別情報を用いて、識別情報と対応付けられた情報(すなわち、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力)をサーバ300から取得する。
【0069】
制御部51は、外部アクセス部52が識別情報を用いてサーバ300から取得する情報(すなわち、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力)に基づいて、抵抗発熱体に対する電源出力を制御する。抵抗発熱体に対する電源出力の制御方法は、第1実施形態と同様である。
【0070】
(作用及び効果)
変更例1では、霧化部111R(抵抗発熱体)に対する電源出力を特定するための特定情報として、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力と対応付けられた識別情報を用いる。従って、第1実施形態と同様に、サーモグラフィを用いる制約を気にせずに、抵抗発熱体に対する電源出力の制御を最適化することができる。
【0071】
[変更例2]
以下において、第1実施形態の変更例2について説明する。以下においては、変更例1に対する相違点について説明する。
【0072】
具体的には、変更例1では、抵抗発熱体に対する電源出力を特定するための特定情報を有する情報源が霧化ユニット111に設けられるメモリ111Mである。これに対して、変更例2では、情報源は、霧化ユニット111とは別に設けられる媒体などである。霧化ユニット111及び媒体は、霧化ユニットパッケージを構成する。なお、媒体は、変更例1と同様に、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力と対応付けられた識別情報を特定情報として有する。媒体は、例えば、識別情報が表された紙媒体(霧化ユニット111の外側面に貼付されるラベル、霧化ユニット111と同梱される説明書、霧化ユニット111を収容する箱などの入れ物など)である。
【0073】
変更例2では、霧化ユニットパッケージ400は、図6に示すように、霧化ユニット111と、霧化ユニット111の外側面に貼付されるラベル111Yとを有する。ラベル111Yは、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力と対応付けられた識別情報を特定情報として有する情報源の一例である。
【0074】
(ブロック構成)
以下において、変更例2に係る非燃焼型香味吸引器のブロック構成について説明する。図7は、変更例2に係る非燃焼型香味吸引器100のブロック構成を示す図である。なお、図7では、図5と同様の構成について同様の符号を付していることに留意すべきである。
【0075】
図7に示すように、通信端末200は、識別情報の入力又は識別情報の読み取りによって、ラベル111Yが有する識別情報を取得する。通信端末200は、取得された識別情報と対応付けられた情報(すなわち、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力)をサーバ300から取得する。
【0076】
外部アクセス部52は、通信端末200がサーバ300から取得する情報(すなわち、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力)を通信端末200から取得する。
【0077】
制御部51は、外部アクセス部52が識別情報を用いてサーバ300から取得する情報(すなわち、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力)に基づいて、抵抗発熱体に対する電源出力を制御する。抵抗発熱体に対する電源出力の制御方法は、第1実施形態及び変更例1と同様である。
【0078】
なお、変更例2では、通信端末200がラベル111Yから識別情報を取得するケースについて説明した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。識別情報の入力又は識別情報の読み取りを行う機能を制御回路50が有している場合には、制御回路50がラベル111Yから識別情報を取得してもよい。
【0079】
(作用及び効果)
変更例2では、抵抗発熱体に対する電源出力を特定するための特定情報を有する情報源として、霧化ユニット111とは別に設けられる媒体を用いる。従って、霧化ユニット111にメモリ111Mを搭載しなくても、第1実施形態と同様に、サーモグラフィを用いる制約を気にせずに、抵抗発熱体に対する電源出力の制御を最適化することができる。
【0080】
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、霧化ユニット111の製造方法について図8を用いて説明する。図8は、第2実施形態に係る霧化ユニット111の製造方法を示すフロー図である。
【0081】
図8に示すように、ステップS10において、エアロゾル源を抵抗電熱で霧化する抵抗発熱体(霧化部111R)を製造する。
【0082】
ステップS20において、ステップS10の後に抵抗発熱体の抵抗値を測定する(工程A)。抵抗発熱体の抵抗値は、エアロゾル吸引部(例えば、ウィック111Q)に抵抗発熱体を接触させ、電源と接続するための電極を抵抗発熱体に接続した後に測定されてもよい。或いは、抵抗発熱体の抵抗値は、抵抗発熱体を含む霧化ユニット111をアッセンブリした後に測定されてもよい。霧化ユニット111のアッセンブリとは、リザーバ111P、ウィック111Q及び霧化部111Rなどをハウジング内に収容して、霧化ユニット111を組み立てる工程である。このようなケースにおいて、抵抗発熱体の抵抗値は、エアロゾル源をリザーバ111Pに注入する前に測定されることが好ましい。これによって、抵抗値が許容範囲に収まっておらず、霧化ユニット111のアッセンブリが不良品であると判定された場合において、抵抗発熱体以外の部材を再利用することができる。
【0083】
ここで、抵抗発熱体の抵抗値は、抵抗発熱体の使用温度よりも低い温度で測定されることが好ましく、さらには、常温で測定されることが好ましい。抵抗発熱体の温度が使用温度となるまで抵抗発熱体に対する通電を行う必要がなく、霧化ユニット111の製造工程を簡略化することができる。このようなケースにおいては、抵抗発熱体の抵抗値の温度係数αが0.8×10−3[℃−1]以下(好ましくは、0.4×10−3[℃−1]以下)であることが好ましい。これによって、抵抗発熱体の抵抗値として抵抗発熱体の使用温度よりも低い温度(例えば、常温)で測定された値を温度変化に伴う抵抗発熱体の抵抗値の変化を考慮せずに用いたとしても、使用温度における抵抗発熱体の抵抗値に対する抵抗値の差異が小さい。従って、抵抗発熱体の抵抗値のバラツキに伴う抵抗発熱体の温度のバラツキを適切に抑制することができる。
【0084】
一方で、抵抗発熱体の抵抗値の温度係数αが0.8×10−3[℃−1]よりも大きい場合には、抵抗発熱体の使用温度よりも低い温度(例えば、常温)における抵抗値と使用温度における抵抗値との差異が大きいため、抵抗発熱体の抵抗値は使用温度で測定されることが好ましい。これによって、抵抗発熱体に対する電源出力の制御の最適化を適切に行うことができる。
【0085】
ステップS30において、ステップS20で測定された抵抗値、ステップS20で測定された抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力、又は、抵抗値又は調整済み電源出力と対応付けられた識別情報を情報源に記録する(工程B)。
【0086】
ここで、第1実施形態に示す霧化ユニット111では、ステップS30は、霧化ユニット111に設けられる情報源(メモリ111M)に、ステップS20で測定された抵抗値、又は、ステップS20で測定された抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力を記録する工程である。
【0087】
或いは、変更例1に示す霧化ユニット111では、ステップS30は、霧化ユニット111に設けられる情報源(メモリ111M)に、抵抗発熱体の抵抗値又は調整済み電源出力と対応付けられた識別情報を記録する工程である。このようなケースにおいて、霧化ユニット111の製造方法は、非燃焼型香味吸引器100(外部アクセス部52)がアクセス可能な外部記憶媒体(例えば、サーバ300)に、抵抗発熱体の抵抗値又は抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力を格納する工程(工程C)をさらに含む。
【0088】
或いは、変更例2に示す霧化ユニットパッケージ400では、ステップS30は、霧化ユニットパッケージ400に含まれる情報源(ラベル111Y)に、抵抗値又は調整済み電源出力と対応付けられた識別情報を記録する工程である。このようなケースにおいて、霧化ユニット111の製造方法は、非燃焼型香味吸引器100(外部アクセス部52)がアクセス可能な外部記憶媒体(例えば、サーバ300)に、抵抗発熱体の抵抗値又は抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力を格納する工程(工程C)をさらに含む。
【0089】
(作用及び効果)
第2実施形態では、抵抗発熱体(霧化部111R)に対する電源出力を特定するための特定情報として、抵抗発熱体の抵抗値、又は、抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められる調整済み電源出力を用いる。すなわち、サーモグラフィを用いないため、サーモグラフィを用いる制約を気にせずに、抵抗発熱体に対する電源出力の制御を最適化することができる。
【0090】
第2実施形態では、抵抗発熱体の抵抗値は、エアロゾル吸引部(例えば、ウィック111Q)に抵抗発熱体を接触させ、電源を接続するための電極を抵抗発熱体に接続した後に測定される。従って、出荷時の製品構成に近い状態で抵抗値が測定されるため、抵抗発熱体に対する電源出力の制御の最適化の精度を高めることができる。
【0091】
第2実施形態では、抵抗発熱体の抵抗値は、抵抗発熱体を含む霧化ユニット111をアッセンブリした後に測定される。従って、アッセンブリ後の霧化ユニット111をストックした上で、抵抗発熱体の抵抗値を測定することが可能であるため、霧化ユニット111の製造工程を簡略化することができる。
【0092】
第2実施形態では、抵抗発熱体の抵抗値は、抵抗発熱体を含む霧化ユニット111をアッセンブリした後であって、エアロゾル源をリザーバ111Pに注入する前に、抵抗発熱体の使用温度よりも低い温度で測定される。これによって、抵抗発熱体の加熱に伴う各部材(例えば、ウィック111Qなど)へのダメージを抑制することができる。
【0093】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0094】
実施形態では、カートリッジ130は霧化ユニット111を含まないが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、カートリッジ130は、霧化ユニット111とともに1つのユニットを構成してもよい。
【0095】
実施形態では特に触れていないが、霧化ユニット111は、吸引器本体110に対して接続可能に構成されていてもよい。
【0096】
実施形態では特に触れていないが、制御部51は、霧化部111R(抵抗発熱体)対する電源出力をパルス制御によって制御していてもよい。制御部51は、霧化部111Rによって霧化されるエアロゾルの量が所望範囲に収まるように、電装ユニット112に設けられる電源(例えば、リチウム電池)の蓄電量の減少及び抵抗発熱体の抵抗値に基づいて、1回のパフ動作において抵抗発熱体に対する電源出力(例えば、抵抗発熱体に印加する電圧のデューティ比)を増大してもよい。このようなケースにおいて、調整済み電源出力は、電源の蓄電量の減少に伴って増大する電源出力(例えば、抵抗発熱体に印加する電圧のデューティ比)及び抵抗発熱体の抵抗値に応じて定められてもよい。所望範囲は、例えば、0.1mg/1パフ動作以上、かつ、4.0mg/1パフ動作以下の範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
実施形態によれば、サーモグラフィを用いないことによってサーモグラフィを用いる制約を気にせずに、抵抗発熱体に対する電源出力の制御を最適化することを可能とする霧化ユニットの製造方法、非燃焼型香味吸引器、霧化ユニット及び霧化ユニットの製造方法を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8