特許第6522244号(P6522244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6522244クロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522244
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】クロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/205 20060101AFI20190520BHJP
【FI】
   H01P1/205 C
   H01P1/205 K
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-527943(P2018-527943)
(86)(22)【出願日】2016年11月7日
(65)【公表番号】特表2018-535617(P2018-535617A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】KR2016012754
(87)【国際公開番号】WO2017095035
(87)【国際公開日】20170608
【審査請求日】2018年5月29日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0168430
(32)【優先日】2015年11月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョウン−フェ キム
(72)【発明者】
【氏名】スン−ホ ジャン
【審査官】 橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−233604(JP,A)
【文献】 米国特許第06078231(US,A)
【文献】 特開2007−300171(JP,A)
【文献】 特開2003−174303(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0119850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタにおいて、
複数のキャビティ(cavity)を有するために内部が中空で一側に開放面を有するハウジングと、
前記ハウジングの開放面を遮蔽するカバーと、
前記ハウジングの前記中空に位置する複数の共振素子と、
前記複数の共振素子のうちの少なくとも2つの共振素子の間にクロスカップリングのために設けられる切欠基板とを含み、
前記切欠基板は、
前記少なくとも2つの共振素子とそれぞれ機構的に結合する第1結合構造および第2結合構造を備えた非導電性材質のメイン基板と、
前記メイン基板に形成される導体パターンで実現され、前記少なくとも2つの共振素子のうちの第1共振素子の信号を、前記少なくとも2つの共振素子のうちの第2共振素子に非接触カップリング方式で伝達する導電性線路とを含むことを特徴とする無線周波数フィルタ。
【請求項2】
前記導電性線路は、
前記メイン基板の前記第1結合構造において前記第1共振素子の支持台と電気的に連結される第1サブ導体パターンと、
前記メイン基板の前記第2結合構造において前記第2共振素子の支持台と電気的に連結される第2サブ導体パターンとを含むことを特徴とする請求項1に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項3】
前記第1結合構造および第2結合構造は、前記少なくとも2つの共振素子の支持台にそれぞれ挟まれる形態で機構的に結合する貫通型ホールを形成することを特徴とする請求項2に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項4】
前記カバーには、
前記切欠基板と対応する部位に切欠特性をチューニングするための切欠チューニングピンが切欠チューニング用貫通ホールを介して結合され、
前記切欠基板のメイン基板には、前記切欠チューニングピンと対応する部位において、前記切欠チューニングピンの下端部と対応する大きさの貫通型ホールを形成するチューニング用ホール構造が形成されることを特徴とする請求項3に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項5】
前記第1サブ導体パターンと前記第2サブ導体パターンは、前記メイン基板の切欠チューニング用ホール構造が形成される部位において互いに非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成されることを特徴とする請求項4に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項6】
前記メイン基板の第1結合構造および第2結合構造の貫通型ホールの内面は、それぞれ導電性金属被膜が形成され、
前記第1サブ導体パターンと前記第2サブ導体パターンは、前記メイン基板における互いに異なる面にそれぞれ形成され、
前記第1サブ導体パターンの第1端は、前記第1結合構造の貫通型ホールの内面と連結される形態で構成され、
前記第2サブ導体パターンの第1端は、前記第2結合構造の貫通型ホールの内面と連結される形態で構成され、
前記第1サブ導体パターンの第2端と、前記第2サブ導体パターンの第2端は、前記メイン基板を挟んで互いに対向する部位が形成され、相互非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項7】
前記メイン基板の第1結合構造および第2結合構造の貫通型ホールの内面は、それぞれ導電性金属被膜が形成され、
前記第1サブ導体パターンと前記第2サブ導体パターンは、前記メイン基板における同一面にそれぞれ形成され、
前記第1サブ導体パターンの第1端は、前記第1結合構造の貫通型ホールの内面と連結される形態で構成され、
前記第2サブ導体パターンの第1端は、前記第2結合構造の貫通型ホールの内面と連結される形態で構成され、
前記第1サブ導体パターンの第2端側の一部と、前記第2サブ導体パターンの第2端側の一部とが相互対向する部位が形成され、相互非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項8】
前記第1サブ導体パターンと前記第2サブ導体パターンは、前記メイン基板における同一面にそれぞれ形成され、
前記第1サブ導体パターンの第1端は、前記第1結合構造の貫通型ホールを形成する領域の少なくとも一部を取り囲み、前記第1結合構造の貫通型ホールと隔離距離を維持する形態で形成され、
前記第2サブ導体パターンの第1端は、前記第2結合構造の貫通型ホールを形成する領域の少なくとも一部を取り囲み、前記第1結合構造の貫通型ホールと隔離距離を維持する形態で形成されることを特徴とする請求項3に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項9】
前記第1サブ導体パターンの第2端と前記第2サブ導体パターンの第2端は、直接的に連結されて一体的に形成されることを特徴とする請求項8に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項10】
前記メイン基板の第1結合構造の貫通型ホールの内面は、導電性金属被膜が形成され、
前記第1サブ導体パターンの第1端は、前記第1結合構造の貫通型ホールの内面と連結される形態で構成され、
前記第2サブ導体パターンの第1端は、前記第2結合構造の貫通型ホールを形成する領域の少なくとも一部を取り囲み、前記第1結合構造の貫通型ホールと隔離距離を維持する形態で形成されることを特徴とする請求項3に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項11】
前記第1サブ導体パターンの第2端と前記第2サブ導体パターンの第2端は、直接的に連結される構造で形成されることを特徴とする請求項10に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項12】
前記切欠基板は、前記複数の共振素子のうちの第3共振素子と前記第1共振素子および前記第2共振素子とクロスカップリングするための構造を有し、
前記切欠基板のメイン基板は、前記複数の共振素子のうちの第3共振素子と機構的に結合する第3結合構造を備え、
前記導電性線路は、前記第1共振素子または前記第2共振素子の信号を、前記第3共振素子に非接触カップリング方式で伝達する導電性線路を含むことを特徴とする請求項1に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項13】
前記第1結合構造および第2結合構造は、前記少なくとも2つの共振素子の支持台にそれぞれ挟まれる形態で機構的に結合する貫通型ホールを形成し、
前記第3結合構造は、前記第3共振素子の支持台に挟まれる形態で機構的に結合する貫通型ホールを形成することを特徴とする請求項12に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項14】
前記切欠基板の少なくとも一部分が円弧形態または折曲げられた形態を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の無線周波数フィルタ。
【請求項15】
前記第1結合構造および前記第2結合構造の前記貫通型ホールには、ソルダー用半田注入用溝が形成されることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の無線周波数フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムで用いられる無線周波数フィルタに関し、特に、クロスカップリング切欠(notch)構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
キャビティタイプの無線周波数フィルタ(以下、「フィルタ」とも略称する)は、通常、金属材質のハウジングを介して直方体などの収容空間、すなわちキャビティ(cavity)を複数個具備し、各キャビティの内部に、例えば、誘電体共振素子(DR:Dielectric Resonance element)または金属共振棒から構成された共振素子をそれぞれ備えることで、高周波の共振を発生させる。場合によっては、誘電体共振素子を備えることなくキャビティ自体の形状で共振を発生させる構造を採用することもできる。また、このようなキャビティタイプの無線周波数フィルタにおいて、通常、キャビティ構造の上部には、当該キャビティの開放面を遮蔽するカバーが備えられ、カバーには、当該無線周波数フィルタのフィルタリング特性をチューニングするためのチューニング構造であって、複数のチューニングネジおよび当該チューニングネジを固定するためのナットが設けられる。キャビティタイプの無線周波数フィルタに関する一例としては、本出願人によって先出願された韓国公開特許公報第10−2004−100084号(名称:『無線周波数フィルタ』、公開日:2004年12月2日、発明者:パク・ジョンギュ外2名)に開示されたものが例に挙げられる。
【0003】
このようなキャビティタイプの無線周波数フィルタは、無線通信システムにおいて送受信無線信号の処理のために用いられ、特に、移動通信システムにおける基地局や中継器などに代表的に適用される。
【0004】
最近、移動通信システムは、要求されるデータ処理容量の増大によって、無線データトラフィックの急増を解消するために多数の小型(または超小型)基地局を設ける方策が提案されている。これとともに、基地局内に設けられる無線信号を処理する装備の軽量化および小型化のための地道な技術開発が進められている。特に、キャビティタイプのフィルタは、キャビティを有する構造の特性上、比較的非常に大きいサイズを要求しているため、このようなキャビティタイプのフィルタの小型、軽量化がさらに主たる考慮事項として浮上している。
【0005】
一方、無線周波数フィルタの重要な特性としては、挿入損失とスカート特性がある。挿入損失とは、信号がフィルタを通過しながら損失する電力を意味し、スカート特性は、フィルタの通過帯域と阻止帯域が急な程度を意味する。挿入損失とスカート特性は、フィルタの段数(次数)に応じて互いにトレードオフ(Trade Off)の関係にある。フィルタの段数が高くなるほどスカート特性は良くなるが、挿入損失は悪くなる関係が成立する。
【0006】
フィルタの段数を高めることなくフィルタのスカート特性を改善するために、切欠(減衰極)を形成する方法が主に用いられる。切欠を形成する最も一般的な方法にクロスカップリング方法がある。
【0007】
クロスカップリング方式の切欠構造は、通常、回路的に連続しない2つのキャビティの共振素子の間のキャパシタンスカップリングを形成する金属棒のような金属加工物を主な構成とする。このような金属棒は、2つのキャビティの間を区分する内壁に貫通して設けられる。この時、金属棒を内壁と電気的に隔離させるために、金属棒の外部はテフロン(登録商標)のような誘電体材質(図示せず)の支持物で包まれた後、内壁に結合される。この時、内壁で金属棒の設けられる部位は、貫通ホール構造に形成されてもよい。しかし、貫通ホールを内壁に形成することは作業工程上容易でないので、内壁の上端を一部削り取って、当該削り取った部位に前記支持物で包まれた金属棒を設けることが一般的である。このような支持物は、金属棒の絶縁の役割だけでなく、前記内壁における削られた部位の形状と噛み合う形態を有し、当該設けられる部位に固定されることにより、結果的に金属棒を固定されるように支持する。
【0008】
このようなクロスカップリング方法を利用した切欠形成に関する技術としては、「K&L Microwave」社の米国特許番号第6,342,825号(名称:『Bandpass filter having tri−section』、発明者:Rafi Hershtig、特許日:2002年1月29日)、または「RADIO FREQUENCY SYSTEMS」社の米国特許番号第6,836,198号(名称:『Adjustable capacitive coupling structure』、発明者:Bill Engst、特許日:2004年12月28日)に開示されたものが例に挙げられる。
【0009】
このようなクロスカップリング方式を利用した切欠構造は、小型または超小型基地局に適用される小型または超小型キャビティタイプのフィルタの実現時にもほぼ必須に適用可能である。この時、小型フィルタの特性上空間およびサイズの制約によって、クロスカップリング方式を利用した切欠構造において所望のカップリング量を得るためには、共振素子と金属棒との間の距離を非常に近接して設計しなければならない。ところが、金属加工において一般的に用いられている、例えば、約±0.03〜0.05mm程度の加工公差では、共振素子と金属棒との間の距離が要求されるカップリング量と対応するように正確に実現することが非常に難しく、これによって、製品間のクロスカップリング量のばらつきがひどくなる。
【0010】
これによって、小型または超小型フィルタに適用されるクロスカップリング方式の切欠構造において、設計した構造を実際の製品に実現しようとする場合には、クロスカップリング構造の金属棒(および共振素子)の製作および設置時に非常に高い加工精度が必要である。例えば、金属棒と共振素子との間の間隔における加工公差は約0.01mm以下が要求されることもある。しかし、非常に精密な加工公差を要求する場合には、加工作業の困難が加重し、加工時間が長くなり、これは、結果的に加工費の上昇をもたらし、生産歩留まりが低くて量産に困難を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の一部の実施形態に係る目的は、さらに小型および軽量化が可能なクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタを提供することである。
【0012】
本発明の一部の実施形態に係る他の目的は、より簡単で、製作が容易であり、安定した構造を有するため、安定した切欠特性を与えることができるクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の少なくとも一部の実施形態は、クロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタにおいて、複数のキャビティ(cavity)を有するために内部が中空で一側に開放面を有するハウジングと、前記ハウジングの開放面を遮蔽するカバーと、前記ハウジングの前記中空に位置する複数の共振素子と、前記複数の共振素子のうちの少なくとも2つの共振素子の間にクロスカップリングのために設けられる切欠基板とを含み、前記切欠基板は、前記少なくとも2つの共振素子とそれぞれ機構的に結合する第1結合構造および第2結合構造を備えた非導電性材質のメイン基板と、前記メイン基板に形成される導体パターンで実現され、前記少なくとも2つの共振素子のうちの第1共振素子の信号を、前記少なくとも2つの共振素子のうちの第2共振素子に非接触カップリング方式で伝達する導電性線路を含むことを特徴とする。
【0014】
前記導電性線路は、前記メイン基板の前記第1結合構造において前記第1共振素子の支持台と電気的に連結される第1サブ導体パターンと、前記メイン基板の前記第2結合構造において前記第2共振素子の支持台と電気的に連結される第2サブ導体パターンとを含むことができる。
【0015】
前記第1結合構造および第2結合構造は、前記少なくとも2つの共振素子の支持台にそれぞれ挟まれる形態で機構的に結合する貫通型ホールを形成することができる。
【0016】
前記カバーには、前記切欠基板と対応する部位に切欠特性をチューニングするための切欠チューニングピンが切欠チューニング用貫通ホールを介して結合され、前記切欠基板のメイン基板には、前記切欠チューニングピンと対応する部位において、前記切欠チューニングピンの下端部と対応する大きさの貫通型ホールを形成するチューニング用ホール構造が形成される。
【0017】
前記メイン基板の第1結合構造および第2結合構造の貫通型ホールの内面は、それぞれ導電性金属被膜が形成される。
【0018】
前記第1サブ導体パターンと前記第2サブ導体パターンは、前記メイン基板における互いに異なる面にそれぞれ形成され、前記第1サブ導体パターンの第1端は、前記第1結合構造の貫通型ホールの内面と連結される形態で構成され、前記第2サブ導体パターンの第1端は、前記第2結合構造の貫通型ホールの内面と連結される形態で構成される。
【0019】
前記第1サブ導体パターンおよび/または前記第2サブ導体パターンの第1端は、前記第1結合構造の貫通型ホールを形成する領域の少なくとも一部を取り囲み、前記第1結合構造の貫通型ホールと隔離距離を維持する形態で形成される。
【0020】
前記第1サブ導体パターンの第2端と、前記第2サブ導体パターンの第2端は、相互非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成されるか、直接的に連結されるように構成される。
【0021】
前記切欠基板は、前記複数の共振素子のうちの第3共振素子と前記第1共振素子および前記第2共振素子とクロスカップリングするための構造を有し、前記切欠基板のメイン基板は、前記複数の共振素子のうちの第3共振素子の支持台に挟まれる形態で機構的に結合する貫通型ホールを形成する第3結合構造を備え、前記導電性線路は、前記第1共振素子または前記第2共振素子の信号を、前記第3共振素子に非接触カップリング方式で伝達する導電性線路を含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明の実施形態に係る切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタは、さらに小型および軽量化が可能な切欠構造を提供し、特に、より簡単で、製作が容易であり、安定した構造を有するため、安定した切欠特性を与える切欠構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタの一部分離斜視図である。
図2図1の無線周波数フィルタのA部の切断面図である。
図3A図2のA−A’部の切断面図である。
図3B図2のA−A’部の切断面図である。
図4A図1の切欠基板の詳細斜視図である。
図4B図1の切欠基板の詳細斜視図である。
図5A図1の切欠基板の一部の変形例の斜視図である。
図5B図1の切欠基板の一部の変形例の斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタに適用可能な切欠基板の斜視図である。
図7A】本発明の第3実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタに適用可能な切欠基板の構成図である。
図7B】本発明の第3実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタに適用可能な切欠基板の構成図である。
図8】本発明の第4実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタに適用可能な切欠基板の斜視図である。
図9】本発明の第5実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタに適用可能な切欠基板の斜視図である。
図10】本発明の第6実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタの一部分離斜視図である。
図11図10の切欠基板の詳細斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る好ましい実施形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタの一部分離斜視図である。図1を参照すれば、本発明の第1実施形態に係る切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタは、内部が中空で、外部と遮断されるキャビティを複数個(図1および図5の例においては7個)有する函体を具備する。函体は7個のキャビティを形成し、一側(例えば、上側)が開放されたハウジング20と、前記ハウジング20の開放面を遮蔽するカバー10とを含んで形成される。カバー10とハウジング20は、レーザ溶接や半田付けなどによって結合する構造を有してもよいし、その他にも、固定ネジ(図示せず)によるネジ結合方式で結合可能である。
【0026】
前記ハウジング20およびカバー10は、アルミニウム(合金)などの材質で構成され、電気的特性を向上させるために、少なくともキャビティを形成する面に銀または銅材質でメッキされる。前記共振素子も、アルミニウム(合金)または鉄(合金)などの材質で構成され、銀または銅材質でメッキされる。
【0027】
図1の例では、ハウジング20内に、例えば、7個のキャビティ構造が多段に連結された場合の例を示している。すなわち、7個のキャビティ構造が順次に連結された構造と見なすことができる。ハウジング20の各キャビティは、その中心部に共振素子31、32、33、34、35、36、37をそれぞれ備える。また、ハウジング20においてそれぞれのキャビティ構造が互いに順次のカップリング構造を有するようにするために、互いに順次に連結構造を有するキャビティ構造の間には連結通路構造のカップリングウィンドウが形成される。このようなカップリングウィンドウは、キャビティ構造相互間の隔壁201、202、203、204、205に相当する部位で予め設定されたサイズに一定部分除去された形態で形成される。
【0028】
前記図1に示された構造において、それぞれの共振素子31、32、33、34、35、36、37のうちの少なくとも一部は同一の構造を有することができるが、図1の例では、説明の便宜のために、共振素子がすべて同一の構造を有するものとして示した。例えば、第1〜第7共振素子31〜37は、それぞれ円形の平板形態を有する平板部と、平板部を固定および支持する支持台との構造に構成され、各支持台は、当該キャビティの内部底面、すなわちハウジング20に固定されるように設けられる。それぞれの共振素子31〜37における平板部および支持台のより具体的な詳細構造は、当該フィルタの設計条件によって多様な構造を有することができ、互いに異なる詳細構造の共振素子が混用されて構成されてもよい。
【0029】
カバー10には、各キャビティ構造の共振素子31〜37と対応して周波数チューニングのための第1〜第7陥没構造101、102、103、104、105、106、107が形成される。また、カバー10には、その他にも、ハウジング20におけるそれぞれのキャビティ構造の連結通路構造であるカップリングウィンドウと対応する部位にカップリングチューニングネジホール111が複数個形成される。カップリングチューニングネジホール111にカップリングチューニングのためのカップリングチューニングネジ41が適正な深さに挿入され、カップリングチューニング作業を行えるようにもする。この時、カップリングチューニングネジ41は、追加的にエポキシ樹脂などのような別途の接着剤を用いて固定できる。
【0030】
また、当該無線周波数フィルタの入力端子21および出力端子22がハウジング20の一側面に形成される貫通ホールなどを介して設けられる。図1の例では、入力端子21と第1共振素子31とが結合され、出力端子22は第7共振素子37と連結される状態を示している。この時、例えば、入力端子21の延長線路(図示せず)と第1共振素子31の支持台と直接連結される方式で結合されるか、非接触カップリング方式で連結されるように構成することができる。
【0031】
前記において、カバー10の構造は、通常のキャビティ構造を有する無線周波数フィルタで適用される方式と同様の構造を有することができるが、例えば、本出願人によって先出願された韓国公開特許公報第10−2014−0026235号(名称:『キャビティ構造を有する無線周波数フィルタ』、公開日:2014年3月5日、発明者:パク・ナムシン外2名)に開示された構造と類似の構造を有することができる。前記公開特許公報第10−2014−0026235号は、より一般的な構造であるチューニングネジおよび固定用ナットの締結構造を採用することなく周波数チューニングが可能な、簡単で単純化されたフィルタ構造を提案している。本発明の実施形態に係るカバー10は、前記公開特許公報第10−2014−0026235号で開示されているように、共振素子31〜37と対応する位置に1つまたは複数の陥没構造101〜107が形成される。このような陥没構造101〜107に、外部打刻装備の打刻ピン(pin)による打刻または押圧によってドットピーン(dot peen)構造を複数個形成することにより、周波数チューニングを可能にする。
【0032】
一方、本発明の他の一部の実施形態では、カバー10により一般化された周波数チューニング方式を適用して、前記陥没構造101〜107などの構造を形成せず、周波数チューニングネジおよび固定用ナットを備えてもよい。ただし、前記周波数チューニングネジおよび固定用ナットを備える構造はより複雑な構造であり、小型化しにくいことがある。
【0033】
前記構造をみると、本発明の第1実施形態に係る無線周波数フィルタにおいて、ハウジング20およびカバー10に形成されるキャビティ構造と、キャビティの内部における共振素子31〜37の構造は、従来と比較してより小さいサイズで実現できる点以外には、比較的類似の構造であり得る。しかし、本発明の実施形態に係る切欠構造およびその設置構造は、従来と比較して改良された構造を有する。
【0034】
図1では、本発明の第1実施形態に係る切欠構造として、切欠基板51が第4共振素子34と第6共振素子36との間にクロスカップリングのために設けられることが例として示されている。この時、第4共振素子34のキャビティと第6共振素子36のキャビティとを区分する隔壁204には、当該切欠基板51が設けられるように適切な部位の除去された形態のウィンドウが形成される。また、カバー10には、切欠基板51と対応する部位に切欠特性をチューニングするために切欠チューニングピン61が結合される切欠チューニング用貫通ホール121が形成される。切欠チューニング用貫通ホール121に切欠チューニングのために適切な長さに設定された切欠チューニングピン61が挿入され、前記切欠基板51と連動して切欠特性のチューニング作業を行えるようにもする。この時、切欠チューニングピン61は、全体的にネジ状に形成され、切欠チューニング用貫通ホール121とネジ結合により結合される構造を有することができる。このような切欠チューニングピン61は、アルミニウム(合金)や黄銅(合金)のような導電性金属材質で構成され、銀メッキが形成される。
【0035】
図2は、図1の無線周波数フィルタの点線の四角ボックスで表したA部の切断面図であって、切欠基板51を含めて、第4共振素子34と、第6共振素子36および切欠チューニングピン61などの関連部位をより詳細に示している。図3Aおよび図3Bは、図2のA−A’部の切断面図であって、図3Aには切欠チューニングピン61を含んだ構造が示され、図3Bには切欠チューニングピン61を含まない構造が示される。図4Aおよび図4Bは、図1の切欠基板51の詳細斜視図であって、図4Aには切欠基板51を第1側(例えば、上側)から眺めた斜視構造が示され、図4Bには切欠基板51を第2側(例えば、下側)から眺めた斜視構造が示される。
【0036】
図2図4Bを参照して、本発明の第1実施形態に係る切欠基板51の構成をより詳細に説明すれば、切欠基板51は、全体的にPCB(Printed Circuit Board)構造を有することができるが、本発明の一部の実施形態により、テフロンなどのような非導電性材質のメイン基板513と、前記メイン基板513の第1面(例えば、上面)および/または第2面(例えば、下面)に、例えば、一般的なPCB基板の製作工程時の導体パターン形成工程を利用して形成される導電性線路511、512とを含んで構成される。このようなメイン基板513は、一般的なPCB基板と類似して、FR(Frame Retardant)系やCEM(Composite Epoxy Material)系の単層または多層基板で実現されてもよい。
【0037】
メイン基板513は、少なくとも2つの共振素子、すなわち、図2図4Bの例では、第4共振素子34および第6共振素子36にそれぞれ機構的に結合して当該メイン基板513を固定されるように支持するための結合構造、すなわち、図2図4Bの例では、それぞれ貫通型ホールを形成する、例えば、リング状の第1結合構造51aおよび第2結合構造51cが形成される。第1結合構造51aの貫通型ホール部分には第4共振素子34の支持台342が挟まれる形態で結合され、第2結合構造51cの貫通型ホール部分には第6共振素子36の支持台362が挟まれる形態で結合される。
【0038】
導電性線路511、512は、少なくとも2つの共振素子、すなわち、図2図4Bの例では、第4共振素子34および第6共振素子36と電気的に連結され、少なくともいずれか1つの共振素子の信号を、他の1つの共振素子に非接触カップリング方式で伝達するために、前記メイン基板513の上面および/または下面に形成される導体パターンで実現される。このような導電性線路511、512は、例えば、メイン基板513の上面に形成され、第4共振素子34の支持台342と電気的に接触するように連結される第1サブ導体パターン511と、メイン基板513の下面に形成され、第6共振素子36の支持台362と電気的に接触するように連結される第2サブ導体パターン512とに区分されるように構成され、第1サブ導体パターン511と第2サブ導体パターン512との間は互いに非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成される。
【0039】
より詳細に説明すれば、メイン基板513の第1結合構造51aの貫通型ホールの内面は、一般的にPCB基板上に形成されるビアホール(via hole)の構造と同じく、導電性金属被膜が形成されるように構成され、前記第1サブ導体パターン511の一端(第1端)は、前記第1結合構造51aの貫通型ホールの内面と連結される形態で構成される。同じく、第2結合構造51cの貫通型ホールの内面も導電性金属被膜が形成され、第2サブ導体パターン512の一端(第1端)がこれと連結される形態で構成される。この時、メイン基板513を挟んで、第1サブ導体パターン511の他端(第2端)と、第2サブ導体パターン512の他端(第2端)は、例えば、メイン基板513の中央地点である程度互いに対向する部位が形成され、相互非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成される。
【0040】
また、メイン基板513には、追加的に、切欠チューニングピン61のボディの下端部と対応する部位において、切欠チューニングピン61の下端部が挿入可能な形態で設けられるように、切欠チューニングピン61の下端部と対応する大きさの貫通型ホールを形成するチューニング用ホール構造51bが形成される。このようなメイン基板513のチューニング用ホール構造51bは、メイン基板513の中央地点に形成される。この時、前記第1サブ導体パターン511と第2サブ導体パターン512の互いに対向する部位は、前記チューニング用ホール構造51bの周辺領域における当該メイン基板513の上下面にそれぞれ適切に形成される。このような構造は、第1サブ導体パターン511と第2サブ導体パターン512が互いに非接触カップリングされる地点に切欠チューニングのための切欠チューニングピン61が設けられる構造であって、当該地点で切欠特性に対するチューニングがより効果的に行われる。
【0041】
前記構造を有する切欠基板51において、メイン基板513の第1結合構造51aおよび第2結合構造51cに形成された貫通型ホールにそれぞれ第4共振素子34および第6共振素子36の支持台342、362に挟まれる形態で結合された後、当該結合部位にソルダリング作業を追加的に行うことができる。これによって、当該結合部位が機構的および電気的により安定して結合されることにより、最終的に切欠基板51が固定されるように設けられる。切欠基板51が固定されるように設けられた後、切欠チューニングピン61が図1に示されるようなカバー10の切欠チューニング用貫通ホール121に結合されながら、切欠チューニングピン61の下端部が切欠基板51に形成されたチューニング用ホール構造51bに挿入可能な形態で設けられる。
【0042】
前記において、切欠チューニングピン61の下端部が切欠基板51と近接する程度およびチューニング用ホール構造51bに挿入される程度を調節して、切欠基板51を介して伝達される信号の一部が切欠チューニングピン61とカップリングされる程度を調節することにより、切欠基板51によって発生する切欠特性を適切に調節することができる。この時、切欠チューニングピン61はネジ構造に形成されてカバー10の切欠チューニング用貫通ホール121にネジ結合される構造を有する場合に、切欠チューニングピン61のネジ結合状態を締めたり解除されるようにして、切欠チューニングピン61と切欠基板51との距離などを調節するように構成することができる。あるいは、その他にも、予め適切に異なる長さに設計された切欠チューニングピン61を入れ替えて設けたり、切欠チューニングピン61の下端部の長さが適正な長さとなるように適切に切断して再設置する作業により、切欠チューニングピン61との切欠基板51との距離などが調節されるように構成してもよい。
【0043】
前記図1図4Aに示されるように、本発明の第1実施形態に係る無線周波数フィルタに適用される切欠基板51が構成および設置されるが、このような切欠基板51は、基本的にPCB基板と類似の構造の基板に信号伝送のための導体パターンが形成される構造を有し、従来の一般的な金属棒などを用いた切欠構造に比べてその製作工程が非常に簡単でありながらも精密な形態で実現することができる。特に、切欠基板51の貫通型ホールを形成する第1および第2結合構造51a、51cにクロスカップリングしようとする2つの共振素子、例えば、第4および第6共振素子34、36の支持台342、362に挟まれる形態で、切欠基板51が簡単に設けられるため、従来の加工公差および組立公差による問題点を解消しかつ、切欠基板51を非常に容易に設けることができる。
【0044】
一方、前記図1図4Aに示された本発明の第1実施形態に係る前記切欠基板51(および後述する本発明の他の実施形態に係る切欠基板)は、メイン基板513や導電性線路511、512の形態およびサイズのような詳細特徴において多様な変形や変更があり得る。例えば、図5Aに示されるような、切欠基板51の一変形例では、貫通型ホールを形成する第1結合構造51aの適正部位に追加的にソルダー用半田注入用溝51dが形成されることが示されている。このようなソルダー用半田注入用溝51dは、第1結合構造51aとこれに結合される共振素子の支持台とソルダリング作業時に、ソルダー用半田の注入および塗布作業をより容易にする。もちろん、このようなソルダー用半田注入用溝51dは、切欠基板51の第2結合構造51cにも形成される。
【0045】
図5Bに示された切欠基板51の他の変形例では、貫通型ホールを形成する第1結合構造51aの一部部位の切開された形態の切開部位51eが形成されることが示されている。このように、切欠基板51の第1結合構造51aおよび/または第2結合構造51cは、切れた部分のない完全なリング状に構成されてもよいが、一部分の切開されたリング状に構成されてもよい。
【0046】
図6は、本発明の第2実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタに適用可能な切欠基板52の斜視図である。図6を参照すれば、本発明の第2実施形態に係る切欠基板52は、前記図2図4Bに示された第1実施形態の構造と同じく、それぞれ貫通型ホールを形成する第1結合構造52aおよび第2結合構造52cを有するメイン基板523と、前記メイン基板523上に形成される導電性線路521、522とを含んで構成される。
【0047】
ところが、図6に示された切欠基板52では、第1実施形態とは異なり、導電性線路521、522がメイン基板523における同一面に形成される。すなわち、導電性線路521、522は、例えば、メイン基板523の第1結合構造52aの貫通型ホール領域に形成される金属被膜と一端(第1端)が電気的に接触するように形成される第1サブ導体パターン521と、メイン基板523の第2結合構造52cの貫通型ホール領域に形成される金属被膜と一端(第1端)が電気的に接触するように形成される第2サブ導体パターン522とから構成されるが、第1および第2サブ導体パターン521、522は、例えば、すべてメイン基板523の上面に形成される。また、第1サブ導体パターン521の他端(第2端)と、第2サブ導体パターン522の他端(第2端)は、例えば、メイン基板523の中央地点である程度互いに対向する部位が形成され、相互非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成される。
【0048】
この時、メイン基板523には、前記第1実施形態の構造と同じく、例えば、中央地点にチューニング用ホール構造52bが形成されるが、前記第1サブ導体パターン521の他端(第2端)側の一部部位と、第2サブ導体パターン522の他端(第2端)側の一部部位とが前記チューニング用ホール構造52bを取り囲む形態で形成される。
【0049】
図7Aおよび図7Bは、本発明の第3実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタに適用可能な切欠基板53の構成図であって、図7Aには切欠基板53の斜視図が示され、図7Bには切欠基板53の設置状態を示す側面構造の一部が示される。まず、図7Aを参照すれば、本発明の第3実施形態に係る切欠基板53は、前記図6に示された第2実施形態の構造と同じく、それぞれ貫通型ホールを形成する第1結合構造53aおよび第2結合構造53cを有するメイン基板533と、前記メイン基板533上に形成される導電性線路531、532とを含んで構成される。また、導電性線路531、532を構成する第1サブ導体パターン531および第2サブ導体パターン532は、メイン基板533における同一面に形成される。
【0050】
ところが、図7Aに示された切欠基板53では、メイン基板533の第1結合構造53aおよび第2結合構造53cは、それぞれ共振素子の支持台と結合するための貫通型ホール形態を形成するが、図6に示された第2実施形態とは異なり、金属被膜が形成されない。この時、第1サブ導体パターン531の一端(第1端)は、このようなメイン基板533の上面において、第1結合構造53aの貫通型ホールを形成する領域の少なくとも一部(図7Aの例では、全部)を取り囲む形態で形成される。また、この場合に、第1サブ導体パターン531における当該貫通型ホールを取り囲む部位は、当該貫通型ホールに結合される共振素子の支持台と直接的に接触せずに非接触カップリング方式で信号が伝達されるように、当該貫通型ホールと離隔距離を維持する構造に形成される。同じく、第2サブ導体パターン532の一端(第1端)は、メイン基板533の上面において、第2結合構造53cの貫通型ホールを形成する領域の少なくとも一部を取り囲みながら、当該貫通型ホールと離隔距離を維持する構造に形成される。
【0051】
また、第1サブ導体パターン531および第2サブ導体パターン532は、相互非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成されるのではなく、互いに直接的に連結されて一体的に形成される。すなわち、第1サブ導体パターン531の他端(第2端)と、第2サブ導体パターン532の他端(第2端)は、例えば、メイン基板533の中央地点に形成されたチューニング用ホール構造53bを取り囲む形態で形成されながら、相互対向する部位が直接的に連結されるように構成される。
【0052】
前記図7Aに示されるような第3実施形態に係る切欠基板53では、第1結合構造53aおよび第2結合構造53cに形成された貫通型ホールにそれぞれ共振素子の支持台が挟まれる形態で結合されるが、当該結合部位がソルダリングされない構造であることが分かる、すなわち、各共振素子の支持台は、切欠基板53の第1および第2サブ導体パターン531、532と非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成される。この時、図7Bに示されるように、各共振素子34の支持台には、当該結合された切欠基板53をより安定して支持するように適切な形態の係止突起341aが形成される。
【0053】
図8は、本発明の第4実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタに適用可能な切欠基板54の斜視図である。図8を参照すれば、本発明の第4実施形態に係る切欠基板54は、前記図7に示された第3実施形態の構造と大部分類似して、それぞれ貫通型ホールを形成する第1結合構造54aおよび第2結合構造54cを有するメイン基板543と、前記メイン基板543上に形成される導電性線路541、542とを含んで構成される。また、導電性線路541、542を構成する第1サブ導体パターン541および第2サブ導体パターン542は、メイン基板543における同一面に形成される。この時、第1サブ導体パターン541および第2サブ導体パターン542は、メイン基板543の中央地点に形成されたチューニング用ホール構造54bを取り囲む形態で形成されながら、相互対向する部位が直接的に連結されるように構成される。
【0054】
ところが、図8に示された切欠基板54では、第1結合構造54aおよび第1サブ導体パターン541における第1結合構造54aに関連する部位は、前記図7Aに示された構造と同じく、当該結合される共振素子の支持台と直接的に接触せずに非接触カップリング方式で信号が伝達される構造を有するが、第2結合構造54bおよび第2サブ導体パターン542における第2結合構造54cに関連する部位は、前記図2図6に示された実施形態と同じく、当該結合される共振素子の支持台と直接的に接触して信号が伝達される構造を有する。
【0055】
前記図2図8に示されるように、本発明の切欠基板では、第1および第2結合構造と第1および第2サブ導体パターンの結合構造は、クロスカップリングされる量の設計条件や、設置条件などによって多様な実施形態の構造が適切に互いに混用されて選択的に構成される。また、その他にも、本発明のさらに他の実施形態では、図7A図8に示された構造における第1および第2サブ導体パターンは、互いに直接的に連結されずに非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成されることも可能である。この場合に、第1および第2サブ導体パターンは、メイン基板における互いに異なる面に形成されてもよい。
【0056】
図9は、本発明の第5実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタに適用可能な切欠基板55の斜視図である。図9を参照すれば、本発明の第5実施形態に係る切欠基板55は、前記図2図4Bに示された第1実施形態の構造と同じく、それぞれ貫通型ホールを形成する第1結合構造55aおよび第2結合構造55cと、チューニング用ホール構造55bを有するメイン基板553とを含んで構成される。また、前記メイン基板553のそれぞれ異なる面に形成され、相互非接触カップリング方式で信号を伝達する第1サブ導体パターン551および第2サブ導体パターン552から構成される導電性線路551、552を有する。
【0057】
ただし、図2図4Bに示された第1実施形態の切欠基板51は、全体的に「一」字状に形成されることが示されているが、図9に示された第5実施形態に係る切欠基板55は、少なくとも一部分が折曲げられた形態であって、例えば、全体的に「L」字状に形成されることが示されている。
【0058】
このように、本発明の一部の実施形態に係る切欠基板は、当該フィルタ設計によって、円弧の形態を有するか、複数の折曲げられた部位を有する多様な形態に形成される。また、このように多様な形態に製作する場合にも、本発明の切欠基板はPCB構造で実現されるので、格別に追加の工程や追加の精密作業が要求されることなく簡単に製作可能である。
【0059】
図10は、本発明の第6実施形態に係るクロスカップリング切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタの一部の分離斜視図である。図10を参照すれば、本発明の第6実施形態に係る無線周波数フィルタは、前記図1に示された構造と大部分同一であり、ただし、本発明の第6実施形態に係る切欠構造として、切欠基板56が、第4共振素子34と第6共振素子36との間を含めて、第2共振素子32と第4共振素子34との間においてもクロスカップリングのために設けられることが例として示されている。この時、第4共振素子34のキャビティと第6共振素子36との間の隔壁204および第2共振素子32と第4共振素子34との間の隔壁202には、当該切欠基板56が設けられるように適切な部位の除去された形態のウィンドウが形成される。
【0060】
また、カバー10には、切欠基板56と対応する部位に第4共振素子34と第6共振素子36との間の切欠特性をチューニングするために第1切欠チューニングピン61が結合される第1切欠チューニング用貫通ホール121が形成され、切欠基板56と対応する部位に第2共振素子32と第4共振素子34との間の切欠特性をチューニングするために第2切欠チューニングピン62が結合される第2切欠チューニング用貫通ホール122が形成される。
【0061】
図11は、図10の切欠基板56の詳細斜視図である。図11を参照して、本発明の第6実施形態に係る切欠基板56は、メイン基板565と、前記メイン基板565の第1面(例えば、上面)および/または第2面(例えば、下面)に形成される導電性線路561、562、563、564とを含んで構成される。
【0062】
メイン基板565は、少なくとも3つの共振素子、すなわち、図11の例では、第4共振素子34の支持台342、第6共振素子36の支持台362および第2共振素子32の支持台322にそれぞれ機構的に結合して当該メイン基板565を固定されるように支持するための第1結合構造56a、第2結合構造56cおよび第3結合構造56dが形成される。
【0063】
導電性線路561、562、563、564は、例えば、メイン基板565の上面に形成され、第4共振素子34の支持台342と電気的に接触するように連結される第1サブ導体パターン561と、メイン基板563の下面に形成され、第6共振素子36の支持台362と電気的に接触するように連結される第2サブ導体パターン562とを含み、前記第1および第2サブ導体パターン561、562は、メイン基板565に形成された第1チューニング用ホール構造51bの部位においてメイン基板565を挟んで相互非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成される。また、導電性線路561、562、563、564は、例えば、メイン基板565の上面に形成され、第2共振素子32の支持台322と電気的に接触するように連結される第3サブ導体パターン563と、メイン基板565の下面に形成され、第4共振素子34の支持台342と電気的に接触するように連結される第4サブ導体パターン564とを含み、前記第3および第4サブ導体パターン563、564は、メイン基板565に形成された第2チューニング用ホール構造52bの部位において相互非接触カップリング方式で信号を伝達するように構成される。図11では、メイン基板565の下面に形成された第2サブ導体パターン562および第4サブ導体パターン564の図示は省略した。
【0064】
前記図10および図11に示された構造をみると、本発明の第6実施形態に係る切欠基板56の構造は、前記図1図4Bに示された第1実施形態に係る切欠基板51の構造が二重に形成される構造であることが分かる。
【0065】
このように、本発明の他の一部の実施形態に係る切欠基板は、当該フィルタ設計によって、複数の切欠構造を一体的に形成できることが分かる。この時、複数の切欠構造を一体に製作する場合にも、格別に追加の工程や追加の精密作業が要求されないことが分かる。一方、この場合に、複数の切欠構造を1つの切欠基板を用いて一体的に形成する場合に、メイン基板の複数の結合構造と複数の導体パターンの構造などは、クロスカップリングされる量の設計条件や、設置条件などによって多様な実施形態の構造が適切に互いに混用されて選択的に構成されてもよいことはもちろんである。
【0066】
上記のように、本発明の実施形態に係る切欠構造を備えたキャビティタイプの無線周波数フィルタが構成できる。一方、発明では、その他にも、多様な実施形態や変形例があり得、したがって、本発明の範囲は説明された実施形態によって定めるものではなく、請求範囲と請求範囲の均等なものによって定められなければならない。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11