特許第6522245号(P6522245)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522245
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】多分割型アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20190520BHJP
   H01Q 1/14 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   H01Q1/12 Z
   H01Q1/14
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-527944(P2018-527944)
(86)(22)【出願日】2016年11月28日
(65)【公表番号】特表2018-535618(P2018-535618A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】KR2016013758
(87)【国際公開番号】WO2017095091
(87)【国際公開日】20170608
【審査請求日】2018年5月29日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0168939
(32)【優先日】2015年11月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン−マン カン
(72)【発明者】
【氏名】インホ キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョウン−ソク ヤン
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−266825(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0030250(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0057047(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101471495(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
H01Q 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多分割型アンテナであって、前記多分割型アンテナは、
少なくとも3分割されたそれぞれのアンテナがキャニスタ(canister)をなすように整列され、前記多分割型アンテナは、前記それぞれのアンテナの下面に結合されるアダプタ(adapter)を含む多分割型アンテナ。
【請求項2】
前記それぞれのアンテナは、中空型であってその内部に連結固定部を形成した、請求項1に記載の多分割型アンテナ。
【請求項3】
前記アダプタの上面にはアダプタ側連結固定部が形成されており、前記それぞれのアンテナの前記連結固定部と前記アダプタ側連結固定部とは連結部材によって連結されて固定される、請求項2に記載の多分割型アンテナ。
【請求項4】
前記アダプタは、前記それぞれのアンテナに対応するアンテナ対応領域を提供し、前記それぞれのアンテナ対応領域に前記アダプタ側連結固定部が少なくとも1つ形成された、請求項3に記載の多分割型アンテナ。
【請求項5】
前記連結部材は、ワイヤである、請求項4に記載の多分割型アンテナ。
【請求項6】
前記ワイヤは、上部ワイヤおよび下部ワイヤを含み、上部ワイヤは、張力調節部を含み、下部ワイヤは、ノードを起点として上部ワイヤから少なくとも二本に分岐されて、下へいくほど互いに対向して距離が遠くなるように下向き延長した、請求項5に記載の多分割型アンテナ。
【請求項7】
前記下部ワイヤの端部は、他のアンテナの前記それぞれのアンテナ対応領域に形成された前記アダプタ側連結固定部に連結されて固定される、請求項6に記載の多分割型アンテナ。
【請求項8】
前記アダプタは、前記それぞれのアンテナのコネクタ部を収容するための複数のスロットを形成した、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多分割型アンテナ。
【請求項9】
前記アダプタは、その外周端部近傍にそれぞれのアンテナと結合されるための結合ホールを形成した、請求項8に記載の多分割型アンテナ。
【請求項10】
多分割型アンテナであって、前記多分割型アンテナは、
第1アンテナ、第2アンテナおよび第3アンテナを含み、
前記第1、第2および第3アンテナは、キャニスタ(canister)をなすように整列され、
前記多分割型アンテナは、前記第1、第2および第3アンテナの下面に結合されるアダプタ(adapter)を含み、
前記第1、第2および第3アンテナは、中空型であってその内部にそれぞれの連結固定部を形成し、
前記アダプタの上面にはアダプタ側連結固定部が形成されており、
前記第1、第2および第3アンテナの前記それぞれの連結固定部と前記アダプタ側連結固定部とが連結部材によって連結されて固定される多分割型アンテナ。
【請求項11】
前記アダプタは、前記第1、第2および第3アンテナに対応するそれぞれのアンテナ対応領域を提供し、前記連結部材の端部は、他のアンテナの前記それぞれのアンテナ対応領域に形成された前記アダプタ側連結固定部に連結されて固定される、請求項10に記載の多分割型アンテナ。
【請求項12】
前記連結部材は、ワイヤである、請求項10または11に記載の多分割型アンテナ。
【請求項13】
多分割型アンテナの設置方法であって、前記設置方法は、
少なくとも3分割されたそれぞれのアンテナを提供する過程と、
多分割型アンテナのアダプタとポールとを結合する過程と、
前記それぞれのアンテナと前記アダプタとを連結部材を用いて結合する過程とを含む多分割型アンテナの設置方法。
【請求項14】
前記連結部材を用いて結合する過程は、前記連結部材を前記それぞれのアンテナに形成された連結固定部と前記アダプタに形成されたアダプタ側連結固定部との間に連結して固定する過程である、請求項13に記載の多分割型アンテナの設置方法。
【請求項15】
前記連結部材を用いて結合する過程は、前記それぞれのアンテナの連結固定部に対応する前記アダプタのアダプタ側連結固定部が十分に対向して離隔するように前記連結部材を連結して固定する過程である、請求項14に記載の多分割型アンテナの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多分割型アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記述された内容は、単に本実施形態に関する背景情報を提供するだけで、従来技術を構成するものではない。
【0003】
最近、移動通信基地局や中継器で広く用いられているアンテナは、小型化および軽量化を求めるべく多様な研究が行われている。これはアンテナタワーに対する物理的負担を軽減する方法でもあるが、都市環境の視覚的阻害要素を解消するためでもある。特に、最近は、都心地のビルや小型タワーの場合、都市環境の視覚的阻害要素になったりして、今後、事業者の通信網構築に一つの障害要素として作用する可能性もある。
【0004】
図1Aは、現在多く用いられているアンテナタワーを設けた図である。アンテナポスト1’を中心に3つの分割マスト(mast)型のアンテナ1a’、1b’、1c’が分岐設置されている。それぞれのマストアンテナ1a’、1b’、1c’は、板状でそれぞれ120度範囲の信号波を受信するようになっている。この先行技術は、板状構造で完全に分離されているため、構造の一体性を確保できずに設置および維持補修に高費用が費やされ、都市環境の視覚的美観を損ねるという欠点がある。
【0005】
最近、上述した問題を解決するために、1つのポールまたはタワーにアンテナ3つを設け、円筒状のキャニスタ(canister)を被せて偽装する技術が登場した。
【0006】
例えば、図1Bは、『タワーコスタッフィング、インク(TowerCo Staffing,Inc.)』が出願人である米国公開特許出願第2014/0240193号の隠匿型アンテナタワーを示す。隠匿型アンテナポール(pole;10’)は、ポール10b’上にアンテナキャニスタ15’を設けている。アンテナキャニスタ15’は円筒状である。
【0007】
図1Bのような技術では、公報の図17に示すように、通常、キャニスタの内部を貫通する中心の支柱にブラケット(bracket)連結構造を設け、これを介して3つのアンテナを所定角度をおいて設ける方式を採用している。
【0008】
このような先行技術は、外観が都市環境に似合うという利点はあるが、アンテナキャニスタ15’の内部構造をすべて組立てた後、ポール10b’上に設けなければならないので、設置作業が難しく、障害が発生すると、アンテナキャニスタ1’を解体して補修しなければならないという欠点がある。また、キャニスタ15’を別途製作しなければならないので、コスト上昇の原因となり、アンテナ全体のサイズが大きくなり、重量が増加するという欠点がある。
【0009】
また、アンテナは、地上の高い位置で風と気候の影響に敏感なため、強風や台風の影響があっても、それぞれの信号波受信範囲がずれることがなくてこそ高性能を維持することができる。ところが、図1Bの隠匿型アンテナポール10’は、アンテナ間の連結構造の強固さにおいて改善の余地があった。
【0010】
出願人は、以上の問題点に対する認識に基づいて、多分割型アンテナを用いてこれを一体化するように改善すると、上述した先行技術の欠点を解消しつつ、組立、設置および維持補修が容易であり、アンテナ間の連結構造を半永久的に強固に維持し、都市環境の視覚的美観にも寄与できるという知見に至るようになった。
【0011】
以下に述べる本開示の説明はこの知見に基づくものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示は、組立、設置および維持補修が容易であり、アンテナ間の連結構造を半永久的に強固に維持し、都市環境の視覚的美観にも寄与できる多分割型アンテナを提供することを目的とする。
【0013】
本開示は、小型化、軽量化の面で有利であり、コンパクトな構造で費用を節減できる多分割型アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の一実施形態は、多分割型アンテナであって、少なくとも3分割されたそれぞれのアンテナがキャニスタ(canister)をなすように整列され、多分割型アンテナは、それぞれのアンテナの下面に結合されるアダプタ(adapter)を含む多分割型アンテナを提供する。
【0015】
本開示の他の側面による実施形態は、多分割型アンテナが第1アンテナ、第2アンテナおよび第3アンテナを含み、第1、第2および第3アンテナは、キャニスタをなすように整列され、さらに、多分割型アンテナは、第1、第2および第3アンテナの下面に結合されるアダプタを含み、第1、第2および第3アンテナは、中空型であってその内部にそれぞれの連結固定部を形成し、アダプタの上面にはアダプタ側連結固定部が形成されており、第1、第2および第3アンテナそれぞれの連結固定部とアダプタ側連結固定部とが連結部材によって連結されて固定される多分割型アンテナを提供する。
【0016】
本開示の他の側面による実施形態は、多分割型アンテナの設置方法が、少なくとも3分割されたそれぞれのアンテナを提供する過程と、多分割型アンテナのアダプタとポールとを結合する過程と、それぞれのアンテナとアダプタとを連結部材を用いて結合する過程とを含む多分割型アンテナの設置方法を提供する。
【0017】
本開示の実施形態によれば、連結部材は、ワイヤであることが好ましい。
【0018】
ワイヤは、張力を調節してそれぞれのアンテナをアダプタに強固に固定するように適用される。
【発明の効果】
【0019】
本開示の実施形態は、分割されたアンテナの一体化構造により円筒のキャニスタ型アンテナを提供するので、都市の視覚的美観に似合う効果を奏する。
【0020】
さらに、製作、設置および維持補修に便利であり、小型化軽量化の面で有利である。
【0021】
本開示の実施形態によれば、連結部材としてワイヤを用いた強固な締結構造により半永久的にこの可能な多分割型アンテナを提供する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】先行技術のマスト型アンテナを示す図である。
図1B】他の先行技術の隠匿型アンテナを示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る多分割型アンテナの斜視図である。
図3A】本開示の実施形態に係るアダプタの保護カバーを解体して見上げた斜視図である。
図3B】本開示の実施形態に係るアダプタを見下ろした斜視図である。
図3C】アダプタの平面図である。
図4】本開示の実施形態に係る多分割型アンテナの第1アンテナがアダプタと結合したことを示す斜視図である。
図5】本開示の実施形態に係るアダプタとポールとが結合したことを示す斜視図である。
図6】本開示の実施形態に係るそれぞれのアンテナがアダプタと結合したことを示す斜視図である。
図7】本開示の実施形態に係るキャップがそれぞれのアンテナと結合したことを示す斜視図である。
図8】本開示の実施形態に係る充填材と保護カバーが多分割型アンテナに設けられたことを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図面により詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨をあいまいにし得ると判断された場合には、その詳細な説明は省略する。
【0024】
また、本発明の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、Bなどの用語を使うことができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順序などが限定されない。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」、「備える」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0025】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「締結」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結または接続されるが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「締結」されてもよいことが理解されなければならない。
【0026】
また、図面に示された構成要素の大きさや形状などは、説明の明瞭性と便宜上誇張されて示されることがある。さらに、本発明の構成および作用を考慮して特別に定義された用語は本発明の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0027】
以下、本開示の一実施形態として提示される多分割型アンテナ1について、添付図面を参照して説明する。
【0028】
図2において、本開示の多分割型アンテナ1は、第1アンテナ1a、第2アンテナ1bおよび第3アンテナ1cを含む。それぞれのアンテナ1a、1b、1cは、同一の形状でそれぞれ約120度範囲の信号波帯域を管轄する。それぞれのアンテナ1a、1b、1cは、仮想の円形カラムを均等に3等分したセクタを占有する形状をなしている。この場合、それぞれのアンテナ1a、1b、1cは、略扇形断面をした、長く延びた部材になる。
【0029】
多分割型アンテナ1の上面のそれぞれのアンテナ1a、1b、1cの間には境界線1ab、1bc、1caが形成されている。境界線1ab、1bc、1caの下部では、それぞれのアンテナ1a、1b、1cの間に、例えば、プラスチック密封材のような充填材30が介在して、外部から多分割型アンテナ1を保護して気密に密封している。充填材30は、一体型アンテナの外観を与えるように、それぞれのアンテナ1a、1b、1cの外面と均一な面を形成することが好ましい。
【0030】
図2において、本開示の多分割型アンテナ1は、中空型の一例を挙げたもので、それぞれのアンテナ1a、1b、1cの結合時、内部には空き空間が形成され、この空間を覆うようにキャップ10が設けられている。キャップ10は、それぞれのアンテナ1a、1b、1cの上面と実質的に均一な1つの面のように見えるように結合されることが好ましい。また、空き空間とキャップ10は円形であり得るが、必ずしもこれに限定されない。
【0031】
これと異なり、本開示の多分割型アンテナ1は、中実型であってもよい。この場合、それぞれのアンテナ1a、1b、1cの結合時、内部には空き空間が形成されず、よって、キャップ10は必要でない。
【0032】
本開示の多分割型アンテナ1は、第1アンテナ1a、第2アンテナ1bおよび第3アンテナ1cからなる構造自体で円筒のキャニスタ型アンテナを提供する点に特徴がある。したがって、キャニスタの別途提供による大きさの増大や高費用の問題を解消しつつ、周りの都市環境の視覚的美観に似合うアンテナ構造を提供することができる。アンテナを覆う別途のキャニスタを設ける場合、全径は1.5m〜2mになる。しかし、本開示の多分割型アンテナ1は、1m程度と直径を縮小できるため、小型化と軽量化の面で有利であり、設置が容易である。
【0033】
このような機能を達成する限り、本開示の多分割型アンテナは、3セクタ型アンテナ構造に限定されないことは自明である。例えば、4セクタ、6セクタ、...、nセクタに分けられた分割型アンテナの製作も可能である。6セクタ型アンテナであれば、それぞれのアンテナは約60度範囲の信号波を担うようになる。
【0034】
また、それぞれのアンテナ1a、1b、1cの境界部には、例えば、アンテナ1a、1b、1cを連結するための連結構造を介在させたり、または外部密封のためのダミー(dummy)を追加するなど様々な変形が可能である。
【0035】
さらに、図2において、本開示の多分割型アンテナ1は、第1アンテナ1a、第2アンテナ1bおよび第3アンテナ1cの下面に連結されたアダプタ20をさらに含んでいる。アダプタ20は、下へいくほど直径が縮小した円錐状であるが、これに限定されない。200は、アダプタ20の内部構成を外部から保護するための保護カバー200である。
【0036】
多分割型アンテナ1は、ポール11に設けられる。ポール11は、単に一例を提示したものであり、屋内外のタワー、旗竿など任意のロッド(rod)またはポストであってもよい。
【0037】
図3Aは、本開示のアダプタ20の保護カバー200を解体して見上げた斜視図である。
【0038】
アダプタ20は、多分割型アンテナ1の構造に合わせてそれぞれのアンテナ設置のための領域、すなわち、第1領域20a、第2領域20bおよび第3領域20cに3分割され、それぞれの領域は、三角形状の分離板20ab、20bc、20caによって規定されている。
【0039】
それぞれの領域20a、20b、20cには、それぞれのアンテナ1a、1b、1cに形成された小口径のターミナルまたはポートP1と大口径のターミナルまたはポートP2が複数個突出している。ポートP1、P2は、アンテナのコネクタを形成し、ポール11を介して延びるRFジャンパー(Radio frequency jumper)および/またはAISGケーブル(Antenna interface standards group cable;C)が連結される。当業者に知られているように、ポートP1、P2は、周波数範囲、例えば、817〜869Mhz、1860〜1945Mhzおよび2490〜2890Mhzによって区画されて配列され、これに相応するジャンパーまたはケーブルCそれぞれが結合する。
【0040】
図3Bは、本開示のアダプタ20を見下ろした斜視図であり、図3Cは、アダプタ20の平面図である。
【0041】
アダプタ20は、アンテナが設けられるそれぞれの領域20a、20b、20cでその周りを囲んで配列された複数のスロット23を形成している。スロット23は、アンテナのポートP1、P2を収容するための開口である。スロット23は、それぞれのアンテナ設置領域20a、20b、20cに、図示の例では6個、よって、全体的に18個設けられているが、その個数と形状は仕様によって任意に変更可能である。
【0042】
本開示のアダプタ20は、アンテナを組立結合するための連結固定部21を形成している。連結固定部21は、ホールが形成された半円形のフランジ状にアダプタ20の上面に、好ましくはアダプタ20と一体に製作される。図示の例において、連結固定部21は、それぞれのアンテナ設置領域20a、20b、20cにおいて、スロット23の前方とアダプタ20の中心部との間に並んで位置した一対の連結固定部21a、21a;21b、21b;21c、21cを含んでいる。同一のアンテナ設置領域に形成された連結固定部は一対にセットをなすため、相互間の距離は、他の連結固定部との離隔距離より小さいようになっている。
【0043】
これは一例を提示したものであり、アンテナ設置領域20a、20b、20cによって連結固定部21の形状および個数は任意に変更可能であることはもちろんである。
【0044】
また、アンテナ設置領域20a、20b、20cの区分なしに、アダプタ20の上面に同一の間隔で差別なく連結固定部21を囲んで配列することも可能である。
【0045】
アダプタ20の外周端部には、一定間隔をおいて結合ホール22が形成されている。結合ホール22は、アダプタ20にそれぞれのアンテナ1a、1b、1cを締結する開口を提供する。結合ホール22を介した締結手段は、ボルト、ナット、ワッシャなどいずれも任意に適宜選択可能である。あるいは、結合ホール22のない、溶接による締結も可能である。
【0046】
未説明符号24は、ポール11と、例えば、ボルト−ナット締結されるための開口を提供するスロットである。
【0047】
都市環境に似合う多分割型アンテナ1を提供するためには、分割されたアンテナが互いに密接に整列され、ずれのないキャニスタをなさなければならない。そのためには、それぞれのアンテナがアダプタに対して半永久的に強固に締結されることが必要である。
【0048】
図4は、本開示の多分割型アンテナ1それぞれのアンテナがアダプタ20と結合したことを示す斜視図である。図示の便宜のために、第1アンテナ1aを例として説明するが、第2および第3アンテナ1b、1cに対しても同一に適用される。
【0049】
第1アンテナ1aは、前述のように中空型であり、内部中央部には高さ方向に沿って長く延びたポスト2aが形成されている。ポスト2aの上部、例えば、図示の例では上端近傍に、ホールが形成された半円形のフランジ状の連結固定部3aが設けられている。ポスト2aは、連結固定部3aの支柱の役割を果たすため、ポスト2aを省略し、第1アンテナ1aの内部面に連結固定部3aを直接設けてもよい。
【0050】
第1アンテナ1aの連結固定部3aとアダプタ20の連結固定部21とは連結部材4によって強固に連結され、第1アンテナ1aがアダプタ20の上面に垂直に起立している。連結部材4は、強い張力を提供する限り、いずれの部材も採用可能であるが、本実施形態では、ワイヤ4を例に挙げて説明する。
【0051】
本実施形態のワイヤ4は、上部ワイヤ5および下部ワイヤ6を含む。
【0052】
上部ワイヤ5は、適切な箇所に張力調節部8を設け、連結構造の緩みなく、第1アンテナ1aがアダプタ20に垂直に正確に起立するようにしている。張力調節部8は、例えば、テンションスプリングとテンションスプリングの張力を調節するダイヤルまたは機械的なブッシングのようなテンショナなどいずれも適宜選択して構成することができる。
【0053】
下部ワイヤ6は、ノード7を起点として上部ワイヤ5から二本に分岐されて、下へいくほど互いに対向して距離が遠くなるように下向き延長されている。下部ワイヤ6の端部は、図4に示すように、1つは連結固定部21bに連結され、他の1つは連結固定部21cに連結されて固定されている。このように下部ワイヤ6の分岐された端部が相対的に離隔距離の大きい連結固定部21b、21cの間で固定されるため、第1アンテナ1aに対してより強い張力を提供しながら組立てることが可能である。
【0054】
このような結合方式を取る理由は、当業者に自明のように、ワイヤ4が締結および被締結部材の間で互いに対向して、また、間隔が遠くなって連結されるほど2つの部材の間の安定した結合に有利であり、結合後の揺れやねじれを防止できるからである。したがって、この目的を達成できる限り、前述のようにアダプタ20の連結固定部21の配置を変更すると、これに合わせてワイヤ4の連結構造も適宜変更可能である。
【0055】
以上説明した第1アンテナ1aと同様の方式で、図示しない第2アンテナ1bの連結部材は、連結固定部21a、21cの間で固定され、図示しない第3アンテナ1cの連結部材は、連結固定部21a、21bの間で固定される。したがって、それぞれのアンテナ1a、1b、1cは、アダプタ20に対して垂直に起立して境界線1ab、1bc、1caを基準に分割されながらも一体化された1つの円筒状のキャニスタを形成することができる。そして、それぞれのアンテナ1a、1b、1cは、アダプタ20上のそれぞれのアンテナ設置領域20a、20b、20cを占有するのである。
【0056】
4セクタ型以上の分割型アンテナの場合にも、連結固定部とワイヤを用いて、同様の方式で一体型のアンテナを形成することができる。
【0057】
以下、上述した本開示の多分割型アンテナ1の構成に基づいて、多分割型アンテナ1の設置過程を図5図8を参照して順に説明する。これは説明の便宜のためのものであり、設置工程の順序は作業環境に応じて適宜変更可能である。
【0058】
まず、図5に示すように、アダプタ20のスロット24にポール11のフランジに形成された結合孔101を位置させ、例えば、ボルト−ナット結合によりアダプタ20とポール11を整列させて下部構造を完成する。
【0059】
次に、図6に示すように、図4を参照して説明したのと同じく、連結部材4を用いて、それぞれのアンテナ1a、1b、1cがアダプタ20に垂直に起立するように張力を調節して固定し、この位置で結合ホール22を介して、例えば、ボルト−ナット結合によりそれぞれのアンテナ1a、1b、1cとアダプタ20との連結構造を半永久的に強固に締結する。そして、ポール11を介して延びたジャンパーまたはケーブルCをスロット23を介して突出したアンテナコネクタのターミナルまたはポートP1、P2に連結して通信データの連結を完成する。
【0060】
次に、図7に示すように、キャップ10をそれぞれのアンテナ1a、1b、1cの上面によって形成される空洞を密封するように結合する。結合方式は、図示しないボルトとブラケットの結合または密封材を添加した溶接などいずれも適宜選択可能である。
【0061】
最後に、図8に示すように、充填材30を介在させて、外部から多分割型アンテナ1を保護するように気密に密封し、保護カバー200をアダプタ20の下面に結合させて外装を完成する。
【0062】
このように製作された本開示の多分割型アンテナ1は、第1アンテナ1a、第2アンテナ1bおよび第3アンテナ1cからなる構造自体で円筒のキャニスタに一体化されたアンテナを提供するため、図示の視覚的美観に似合う効果を奏する。
【0063】
さらに、ワイヤを用いた強固な締結構造によって、強風や台風のような自然環境下でも信号波受信を安定して行うことができ、使用者にいつでも高性能のサービスを提供できることが分かる。
【0064】
以上、本開示の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明したが、これは一例に過ぎず、本開示は、実施形態に基づいて同一の技術思想の範囲内で形状、位置、大きさおよび配列に対して多様な変形が可能である。したがって、本開示の権利範囲は、上述した特定の実施形態に限定されてはならず、本開示の保護範囲は、以下に添付する請求の範囲と同一および均等な領域にまで及ぶことに留意しなければならない。
【関連出願との相互参照】
【0065】
本特許出願は、2015年11月30日付で韓国に出願した特許出願番号第10−2015−0168939号に対して米国特許法119(a)条(35U.S.C§119(a))により優先権を主張し、そのすべての内容は参考文献として本特許出願に組み込まれる。同時に、本特許出願は、米国以外の国に対しても上記同様の理由で優先権を主張し、そのすべての内容は参考文献として本特許出願に組み込まれる。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8