(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脱酸素温度にて前記混合物を加熱することに先立って、0.5重量%〜10重量%の酸素量へと前記微粒子金属を予備酸化させることを更に含み、前記脱酸素温度にて前記混合物を加熱する間に、セパレータとして過剰なMgOが形成されるように、前記微粒子金属の初期酸素含有量が0.2重量%〜0.5重量%である、請求項1に記載の方法。
脱酸素金属が、チタン、アルミニウム、クロム、バナジウム、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ハフニウム又はそれらの合金を含む、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
チタン(Ti)及びチタン合金(この後、全てTiと称される)は、航空宇宙産業、生物医学、化学、建築、及び消費者産業において多くの用途を有する。焼結用の出発材料としてTi粉末を使用することは、Tiからの生成物を製造するための1つのアプローチである。Ti粉末は、添加剤製造技術の到来故に、近年特に高需要となってきた。Tiは、金属の添加剤製造用の有望な材料である。しかし、Ti粉末の現在の市場規模は非常に小さい。市場が小さいことに関する少なくとも1つの理由は、多くの場合、Ti粉末が非常に高価である、という事実である。
【0004】
Ti粉末を作製する上での高コストに寄与する、多数の要因が存在する。これら要因のうち1つは、Ti粉末が、低酸素含有量に関する厳密な要件を満たさなければならない、ということである。Ti金属又は合金中の酸素は、Ti金属又は合金の機械的性質に対して有害となり得る。Ti中の許容酸素含有量よりも高いと、低延性、成形不良、脆性、及び早期故障の可能性をもたらし得る。
【0005】
しかし、Ti中の酸素含有量を制御して最小化することは、単純な作業ではない。Tiは、酸素に対して強い化学親和力を有する。Ti金属は、通常の条件下で容易に酸化する。事実、Tiよりも酸素に対する親和力が強い元素は一握りのみである。これらの要素としては、Ca、Mg、Be、Li、Ba、Al及びUが挙げられる。理論上、これらの元素を使用して酸化チタン、TiO
2を還元することができる。
【0006】
高純度及び低酸素のTi粉末を製造するための1つの課題は、Ti粉末中の酸素含有量を制御し、かつ最小化することである。Ti粉末中の酸素含有量を制御するための方法は、粉末の生成及び取り扱いに使用される特定の条件及び方法に応じて異なることができる。場合によっては、Ti粉末を製造する場合に、粉末中の酸素含有量が規格を満たさない、即ち、酸素含有量が所望よりも高い場合がある。従って、所望よりも多い酸素含有量を伴うTi粉末は、多くの場合、「脱酸素化」処理を施される。脱酸素化の目的は、材料から酸素を除去して、酸素含有量を許容可能なレベルまで低下させることである。最終の生成物形成形品における、チタン合金中の酸素含有量のための典型的な要件は、0.2%未満とすることができる。このような要件を満たすために、原料として粉末を用いて生成物を作製する場合、製造工程中に酸素含有量が最も多くなることを考慮して、初期粉末中の酸素含有量を0.15%又は0.12%未満とすることができる。
【0007】
Ti一次金属は、典型的には、工業規格バッチ操作型クロール法又はハンター法のいずれかを使用して、商業的に製造される。技術的見地並びに経済的見地の両方故に、今日では全世界的にクロール法が最も優性な方法である。クロール法では、四塩化チタン(TiCl4
4)を液体Mgにより還元してTiスポンジを生成する。蒸留により、TiCl
4から望ましくない不純物を比較的容易に除去することができ、かつ精製されたTiCl
4により高純度のTi金属を製造することができる。しかし、TiCl
4を生成するプロセスは、TiCl
4に関して高価格をもたらす一連の高エネルギー集約及び費用のかかるプロセスを伴う。なお、TiCl
4は非常に危険であり、これにより、たとえ軽度の漏洩であっても、近接するほとんどの金属構造体及び電気機器に深刻な損傷を引き起こし得る。
【0008】
TiCl
4の使用の欠点を回避するために、商用のTiO
2を前駆体として使用することが1つの代替策であり、この方法は作業において安全であり、かつTiCl
4の酸化による塩化物プロセスに代えて、硫酸プロセスを介して代替的に生成することができる。TiO
2を還元するために直接電気を使用することは、TiO
2からTi粉末を作製するための1つの任意選択肢である。しかし、電解槽の拡大及び炭素からの汚染という難点が、この任意選択肢に対する欠点である。TiO
2の還元におけるその他の課題もまた、存在している。最初に、チタンに対する酸素の親和力が強いため、TiCl
4から調製されるTiの塩素含有量を低減させることよりも、TiO
2から調製される最終生成物における酸素含有量に関する要件を満たすことの方が、より困難である。第2に、TiCl
4を還元することにより生成した塩化物よりもはるかに高い融点を有する酸化副生成物が必要とされる。従って、蒸留の代わりに酸浸出により、酸化副生成物がチタンから分離される。これらの問題は、Ti粉末の製造に関して、前駆体としてのTiO
2の使用の普及を妨げ続けている。
【0009】
チタンは、約33原子パーセントの酸素を格子間で溶解させることで知られている。固溶体Ti(O)は溶在酸素原子を伴うチタン金属を含み、これは酸化チタンTiO
2とは異なる。TiO
2からTiを調整するプロセスは、2つの副工程に分割することができる。種々のTi
XO
y中間体を介して、Ti(O)からTiO
2を還元する「還元」である。Ti(O)の酸素含有量は、Ti結晶格子内の八面体格子部位を占めている酸素原子を伴って、約14重量%程の多さとすることができる。「脱酸素化」の第2の副工程は、Ti(O)中の溶在酸素量を、所望の最終酸素含有量にまで更に低減させることを含む。2つの見地から、Ti金属生成用の本プロセスの費用に影響を及ぼす。(1)TiO
2中のほとんどの酸素は、TiO
2がTi(O)へと還元される間に除去され、従って、還元剤及び任意のその他の投入化学物質(塩など)の量が多くなり、また再利用費用又はこれらの化学物質を再生する費用が相当なものとなる。(2)Ti(O)におけるTi−Oの結合エネルギーがルチルにおけるものよりも強く、また酸素含有量が1.5重量%未満である場合には、MgOにおけるよりも更に強い。これにより、Ti(O)の酸素含有量を効果的に低減させることができる脱酸素試薬の種類が制限される。Caが脱酸素化用の、唯一の経済的な試剤であるとの報告がある。
【0010】
Ca金属を採用する場合、還元及び脱酸素化の工程を1つの工程へと併合することができ、これはカルシウム熱還元と称される。固体水素化物CaH
2、蒸気−Ca、液体−Ca、及び電子媒介還元(EMR)を含む4つの異なる形態のCaを、カルシウム熱還元用の任意選択肢として使用することができる。Caを使用して、Ti又はTi合金中の酸素含有量を非常に低いレベルへと最小化することができ、例えば、TiO
2を還元することにより、900℃にて、CaCl
2の補助を伴い、Ti金属において0.42重量%の酸素が報告された。それらの酸素混合物のカルシウム共還元により、広範囲のその他のTi合金を調製することもできる。
【0011】
更に、RMIチタンにより発展したDOSSプロセスなどの、独立した脱酸素化プロセスにCaを適用することができる。本プロセスは、脱酸素剤として液体Caの使用を含むことができる。本技術は、βTi合金(例えば、Ti−Mo及びTi−V合金)中の酸素含有量を低減させるために使用されてきた。真空で発生させたCa蒸気を、500〜830℃の比較的低い温度にて脱酸素剤として使用することもまた、研究されてきた。別の方法では、CaCl
2を使用してCaOの副生成物を溶解し酸素除去速度を促進する間に、Ca及びCaCl
2と混合すること、並びにアルゴンにて900〜950℃まで加熱することにより、高い初期酸素含有量でスクラップされるチタンを脱酸素する。Ca金属からの不純物汚染を回避するために、CaCl
2塩にてCa蒸気を溶解すること、及び1000℃にて還元剤として化学的活性Ca−飽和塩を使用することにより、Tiの脱酸素化を実施することもまたできる。
【0012】
Caの強い還元能の評価を高める、種々のカルシウム熱還元モード及び脱酸素化モードが開発されてきた。しかし、Ca及びCaCl
2の融点が高い故に、約900〜1000℃の高作業温度が不利である。
【0013】
Mgが、Tiスポンジに関して要求される閾値まで酸素レベルを低減させるのに十分に強い還元剤ではない、と報告されているが故に、Caと比較してMg金属をTiO
2の予備還元のために使用することができ、また経済性がこのような採択を要求する場合には、Caを最終の脱酸素化に使用することができる、と元来考えられており、これは、900℃未満にて、チタンを3.58重量%の最小限の酸素含有量へと還元することにおいてのみ効果的である、と考えられており、かつ熱力学的分析により、酸素含有量に対して、Mgに準拠して約1.9%にてより低い限界が存在していることが示されている。従って、報告されたMgに準拠したTiO
2の還元結果は、1重量%よりも多い酸素含有量を伴っていた。
【発明を実施するための形態】
【0018】
これらの代表的実施形態は、当業者による本発明の実施を可能にするよう十分詳細に記載されてはいるが、その他の実施形態も実現され得ること、並びに本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明に対する種々の変更をなし得る、と理解すべきである。従って、本発明の実施形態についての以下のより詳細な記載は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定することを意図するものではないが、限定ではなく例示のみを目的として、本発明の特徴及び特性を記載し、本発明の操作の最良の形態を説明し、かつ当業者による本発明の実施を十分に可能にするために、提示される。従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって規定されるものとする。
【0019】
本発明を説明し、特許請求する際に、以下の用語を使用する。
【0020】
本明細書において、及び添付の特許請求の範囲において使用される際、「a」、「an」、「the」という単数形は、文脈が別途明白に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。従って、例えば、「金属」への言及は、このような材料のうち1つ以上を含み、「時間」への言及は、このような要素のうち1つ以上への言及を含み、「加熱」への言及は、このような工程の1つ以上への言及を含む。
【0021】
本発明で使用する場合、用語「固溶体」とは、溶媒中の1種以上の溶質の固体状態の溶体、特に固体金属を表すために使用される。固溶体において、溶媒の結晶構造は、溶質原子により実質的に変わらないままである。例えば、チタン中の酸素の固溶体では、チタン金属の結晶構造を実質的に変化させることなく酸素原子がチタン金属中に溶解する。従って、チタン金属中の酸素の固溶体は、酸化チタンとは実質的に異なり、これはチタン金属とは異なる構造を有する。本発明で使用する場合、「Ti(O)」とはチタン中の酸素の固溶体を意味し、一方「TiO及び「TiO
2」とはチタンの酸化物を意味する。「Ti
2O
3」及び「Ti
3O
5」などの、その他のチタンの酸化物が存在する、ということにも留意する。
【0022】
本発明で使用する場合、「脱酸素化」とは、固溶体から酸素を除去するプロセスを意味する。そのようなものであるから、機構としての脱酸素化は還元とは異なる。例えば、Ti(O)固溶体を脱酸素して溶存酸素を除去することができ、その一方でTiO
2酸化物を還元して、当該酸化物を金属Tiへと変換することができる。従って、還元はTiの酸化状態の変化を伴うが、その一方で溶在酸素の除去はTiの酸化状態の変化を伴わない。
【0023】
本発明で使用する場合、用語「共晶」は、いずれかの構成成分のみよりも更に低い融点を有する、2つ又はそれ以上の混成成分の混合物を記述するために使用される。従って、「共晶塩」は、共晶塩混合物を構成する個々の塩よりも更に低い融点を有する。しかし、本発明で使用する場合、「共晶」は、最小の可能融点を発生させる単一の構成成分である混合物の構成成分が、正確に「共晶点」にあることを、必ずしも必要としない。むしろ、本明細書で記載される共晶塩は、個々の塩の融点よりも低い融点を発生させる、種々の構成成分を有することができる。特定の実施例では、共晶塩は、「共晶点」にある、又は「共晶点」に近い、最小の融点を有する構成成分を有することができる。
【0024】
本発明で使用する場合、用語「約(about)」及び「およそ(approximately)」は、例えば、数的範囲の終点における所与の値が、終点を「少し上回る」又は「少し下回る」可能性があることを示すためなど、柔軟性を提供するために使用される。特定の変数に対する柔軟度は、文脈に基づいて、当業者によって容易に判定することができる。
【0025】
本発明で使用する場合、用語「実質的に」は、行為、特徴、特性、状態、構造、項目、若しくは結果の完全な又はほぼ完全な度合又は程度を指す。絶対的な完全性からの正確な許容可能な逸脱度は、一部の場合において、具体的な文脈に依存し得る。しかし、完全さの近接性は、一般的に、あたかも絶対的かつ総合的な完全さが得られたかのように、同じ全体的な結果を有するためのものである。「実質的に」の使用は、行為、特徴、特性、状態、構造、項目、又は結果の完全な又はほぼ完全な欠如を指すために否定的な意味合いで使用されるとき、等しく適用可能である。
【0026】
特定の性質又は状況に関して本発明で使用する場合、「実質的に」とは、ばらつきが、特定の性質又は状況から測定され得る程に外れるようなものではなく、十分わずかなものであることを意味する。許容され得るばらつきの正確な程度は、場合によっては具体的な文脈に依存し得る。
【0027】
本発明で使用する場合、複数の項目、構造要素、構成要素、及び/又は材料は、便宜上、共通の一覧で示されてよい。しかし、これらの一覧は、あたかも一覧の各要素が、別個の独自の要素として個々に認識されるように解釈されるべきである。従って、このような一覧の個々の要素は、別途記載のない限り、共通の群の中でのこれらの提示のみに基づき、同じ一覧の任意のその他の要素の事実上の均等物として、解釈されるべきでない。
【0028】
濃度、量、及びその他の数値データは、本明細書において範囲の形式で提示されてよい。このような範囲の形式は、単に便宜上及び簡潔性のために用いられると理解すべきであり、かつ、範囲の限定として明示的に列挙される数値を含むだけでなく、あたかも各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含されている個々の数値又は部分範囲全ても含むと、柔軟に解釈するべきである。例えば、約1〜約4.5の数的範囲は、1〜約4.5の明示的に列挙された限界だけでなく、2、3、4等の個々の数字、及び1〜3、2〜4等の副範囲も含む、と解釈するべきである。同じ原理は、「約4.5未満」等の1つの数的値のみを列挙する範囲に適用され、これは、上で列挙される値及び範囲の全てを含む、と解釈するべきである。更に、記載されている範囲の幅又は特性に関係なく、このような解釈を適用するべきである。
【0029】
請求項で請求される任意の方法又はプロセスにて詳述する任意の工程は、任意の順序で実行されてよく、特許請求の範囲に提示される順序に限定されるものではない。ミーンズ・プラス・ファンクション又はステップ・プラス・ファンクションの限定は、特定の請求項の限定に対し、以下の条件の全て、a)「〜のための手段(means for)」又は「〜のための工程(step for)」が明示的に列挙され、かつb)対応する機能が明示的に列挙される場合にのみ、用いられるであろう。ミーンズ・プラス・ファンクションを支える構造、材料又は動作は、本明細書における説明で明示的に列挙される。従って、本発明の範囲は、単に本明細書で与えられる説明及び実施例ではなく、添付の特許請求の範囲及びこれらの法的均等物によってのみ決定されるべきである。
【0030】
本技術の実施例
示される代表的実施形態が参照され、同様のものを記述するために、特定の言語が本明細書内で用いられるであろう。それでもなお、それにより本技術の範囲の限定が意図されない、と理解されるであろう。本技術の追加の特徴及び利点は、実施例、本技術の特徴により続けて示す添付図面と共に記載される、次の詳細な説明により明らかとなるであろう。
【0031】
一般的な実施例が上記の要約にて記載されている場合、本開示において、システム、又は関連する装置若しくは方法を記載する場合に、特定の実施例又は実施形態の内容において明示的に議論されているかどうか、個別又は別個の記載が一方に対して適用可能であるかを考慮することに留意する。例えば、装置自体を検討する際に、その他の装置、システム、及び/又は方法実施形態もまたこのような議論に含まれ、かつその逆もまた同様である。
【0032】
なお、種々の修正及び組み合わせを本開示及び図から得ることができ、またそのようなものであるから、以下の図を限定すると考えるべきではない。
【0033】
Tiが酸素に関する著しい溶解度を有する故に、酸素を伴うTi固溶体中の酸素を除去する熱力学的推進力は、その酸化物の還元とは異なる。
図1は、CaO及びMgOにおけるものに対する、Ti(O)における酸素ポテンシャルを示し、MgO及びCaOの潜在的還元剤を示している。図では、TiO
2、TiO、MgO、及びCaOの酸素ポテンシャルが破線として示されている。いくつかのTi(O)固溶体の酸素ポテンシャルが、実線として示されている。各Ti(O)固溶体中に溶在する酸素の重量パーセントは、各線に隣接する数字(即ち、0.01〜2.0&)により指定されている。Ti(O)線の傾斜における変化は、α−Ti(O)又はβ−Ti(O)相からの相転移に対応している。この図は、Caが強力な脱酸素剤であり得ることを示している。例えば、Mgを使用した場合では実質的に不可能である一方、Caは、α−Ti(O)又はβ−Ti(O)相のどちらかにて、それぞれ低温又は高温(即ち、約1300℃未満の任意の温度)にて、酸素含有量を0.2%未満へと低減させることができる。
【0034】
Ca及びMgに関する脱酸素化能の理論分析は、
図1に示すMgO、CaO、及びTiO
x(種々の酸素含有量を伴うTi−O固溶体)を含む、金属酸化物中の酸素ポテンシャルに基づく。一般原則として、温度を上昇させると、CaO中の酸素ポテンシャルがTiO
xよりも急速に上昇する。これは、温度が上昇する際に不十分な還元剤となっていくCaを伴うα−溶体範囲にわたって、継続される。α−β変換領域わたって温度が上昇する場合、Ti−O溶体は急速に安定性を低下させ、Caが再びより効果的な還元剤となる。より高い温度では、Caの効果は再び弱くなる。より高い温度では、α及びβTi−O固溶体の両方に関して脱酸素化の効果は弱くなる。Mgの場合に関しても同様である。しかし、この図に基づくと、TiO
xの可能な脱酸素化に関して、Mgは脱酸化剤としては弱すぎると思われる。Mgの脱酸素化により得られる、示された均衡酸素濃度は、610℃にて約1重量%である。高温時には、脱酸素化の程度が少なくなる。従って、Mg金属が安価でかつCaよりも取り扱いに関して安全であり得るにもかかわらず、Mgが脱酸素剤として使用されてこなかったことは、驚くべきことではない。
【0035】
以前、脱酸素剤としてカルシウム(Ca)を用いてTiを脱酸素化してきた。1つのこのような工程では、固形CaとTi粉末とを混合させて、900℃を超えるまで加熱する。Ti中の酸素を溶解したCaと反応させて、CaO及び低酸素含有量を伴うTiを得る。本脱酸素化プロセスの間、Tiは固体状態にある。しかし、効果的にするために、使用される温度はCaを溶解するよう十分に高い。高温での作業には、高温により、粒子を分離させるために粉砕しなければならないような焼結結合が粉末に引き起こされること、高温では、反応器及びその他の機器が必要とされる問題がある、高温では粉末の汚染を引き起こす場合がある、及び高エネルギー消費を引き起こす場合がある、といったことを含む、多くの不都合が伴う。更に、Caを使用することによる等しい酸素モルの除去に関する材料費は、Mgを使用する場合の少なくとも2倍である。なお、Caは非常に活性的であり、かつ取り扱いが困難であり得る。
【0036】
本開示は、Mgを用いたTi又はその他の金属の脱酸素化のためのプロセスを記載する。いくつかの実施形態では、金属は、約0.15重量%〜約14.3重量%の溶在酸素量を有することができる。上記のTi(O)固溶体などの、固溶体中の金属中に、酸素を溶解させることができる。従って、場合によっては、金属は、酸化物に欠ける、又は実質的に酸化物を欠いている場合がある。しかし、金属から予め酸化物を除去することは、事例によっては困難な場合がある。従って、いくつかの実施形態では、金属は、50重量%未満の金属酸化物、又はその他の実施形態では、10重量%未満の金属酸化物を含むことができる。別の態様では、金属は、40重量%未満の金属酸化物を含むことができる。より特定の実施形態では、金属は、20重量%未満の金属酸化物を含むことができる。
【0037】
本明細書の多くの記述がチタン金属に焦点を当てているにもかかわらず、本明細書で記載される脱酸素化の方法はまた、その他の金属と共に使用することもできる。特に、酸素との高い反応性を有する金属は、本発明の方法から利益を得ることができる。いくつかの実施形態では、金属としては、チタン、アルミニウム、バナジウム、鉄、ニッケル、コバルト、銅、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ハフニウム、それらの水素化物、又はそれらの合金が挙げられ得る。特定の実施例では、金属はチタンを含むことができる。別の任意の態様では、プロセス混合物及び金属は、実質的にセラミック、又はその他の複合材料を欠くことができる。同様に、場合によっては、金属は、還元金属、金属を伴う溶体中の酸素、金属の酸化物、及び金属の水素化物のうち少なくとも1つから、本質的に構成されることができる。
【0038】
金属は、商業的に得ることができる、又は対応する金属酸化物の還元により生成することができる。例えば、精製されたTiO
2を還元して水素化チタン生成物を形成し、かつ水素化チタン生成物を脱水素化して金属を形成することにより、Ti金属を形成することができる。特定の代表的なこのようなプロセスは、参考として本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第14/935,245号、表題:「Methods of Producing a Titanium Product」(2015年11月6日出願)に記載されている。
【0039】
金属が固体又は比較的大きい断片であることができるにもかかわらず、多くの場合、金属は微粒子金属であることができる。微粒子金属は、任意の好適な粒径を有することができる。しかし、通常のガイドラインとしては、粒径は、0.1μm〜10mm、また場合によっては1μm〜500μm、またその他の場合では約5μm〜45μmの範囲であることができる。
【0040】
ある1つの場合では、金属は、実質的に球状のTi又はTi合金粉末であることができる。特に好適な球状Ti又はTi合金粉末は、参考として本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第14/950,346号、表題:「Production of Substantially Spherical Metal Powders」(2015年11月24日出願)に記載されるプロセスを使用して、形成することができる。本プロセスでは、Ti又はTi合金粉末を粉砕して、溶体中で結合剤と混合させて、スラリーを形成することができる。次に、スラリーを粒状にして、実質的に球形の粒体を形成することができる。各粒体は、結合剤により共に保持された、粉末の複数の粒子の凝集体であり得る。次に、加熱により粒体を分離させ、また次に分離した粒体を部分的に又は完全に焼結し、これにより、個々の粒子がその粒体を共に融着させる。最終成果物は、実質的に球状のTi又はTi合金粉末であることができる。
【0041】
更に別の態様では、金属は、水素化チタン生成物から形成された、球状のTi又はTi合金粉末であることができる。
【0042】
更に別の実施例では、金属は、プラズマトーチ球状化系を使用して形成された、実質的に球状のTi又はTi合金粉末であることができる。代表的なプラズマトーチ球状化系としては、Tekna Plasma Systems Inc.から入手可能なTeKSphero(商標)誘導プラズマトーチが挙げられる。これらの系は、誘導プラズマトーチを介して粒子を通過させることにより、不規則な形状の金属粒子を実質的に球状の金属粒子へと変換することができる。粒子は、プラズマトーチを通過するにつれて溶融し、次に冷却されて球状粒子を形成する。この種類の系を使用して球状のTi又はTi合金粉末を作製することは、重量に対する比較的高い表面領域の比率故に、特に比較的細かい粉末に関して、入手可能である不規則な形状のTi又はTi合金粉末の焼結材料が、所望の酸素含有量よりも高い酸素含有量を有する傾向にある故に、困難であった。しかし、本明細書にて開示した脱酸素化の方法を使用することで、プラズマトーチ系を使用して球状化されてきた球状のTi又はTi合金粉末を、脱酸素することができる。いくつかの実施例では、誘導プラズマトーチを使用して、実質的に球状のTi又はTi合金粉末を形成することができ、また次に、本明細書で記載される方法を使用して、得られた粉末を脱酸素することができる。その他の実施例では、本明細書で記載される脱酸素化の方法を使用して、不規則な形状のTi又はTi合金粉末を脱酸素することができ、また次に、誘導プラズマトーチを使用して、実質的に脱酸素化された粉末を球状化させることができる。更に別の態様では、非球状水素化チタンの粒子を、直接球状化させることができる。
【0043】
本発明の技術は、金属を脱酸素するためのMgの使用を提供する。Mgは、概して言えば、Ti(O)固溶体に関して、Caほど強い脱酸素剤ではない。熱力学の基本原理に基づくと、MgがTi(O)を還元できる、Ti中の酸素含有量には限界がある。750℃にてMgを使用して還元できるTi(O)中の酸素含有量の限界は1.5〜2重量%であり、これはTi粉末の多くの適用に関して好適なものよりも著しく高い、ということが、広範にわたって理解されている。また、この限界は温度の影響を受ける。通常、非常に低い温度では、
図1にて示すように、Mgは熱力学的にTi中の酸素含有量を最小化することができる。しかし、これらの非常に低い温度での動的反応速度は非常に遅く、この方法では、脱酸素化されたTiを生成することは特に不可能である。より具体的には、Ti(O)中の酸素ポテンシャルがMgO中の酸素ポテンシャルと等しくなる温度として、平衡温度を定義することができる。平衡温度未満の温度では、Mgは熱力学的にTi(O)を脱酸素することができるが、その一方で平衡温度以上の温度では、MgはTi(O)を脱酸素することができない。しかし、MgとTi(O)との間の任意の反応の動的速度が非常に制限され、更に低温度にて特に不可能であることが、課題である。
【0044】
しかし、本発明の技術は、水素(H
2)を含有する雰囲気においてプロセスが実施される場合に、中程度に高い温度にて、MgによりTi(O)が脱酸素されることを可能にする。いくつかの実施形態では、水素を含有する雰囲気は、実質的に純水素であり得る。代替的な実施形態では、水素を含有する雰囲気は、水素とアルゴン(Ar)との混合物であり得る。水素は、Tiのためのβ相安定剤として作用する。Tiが溶存水素を含有する場合には、α相とβ相との間の遷移温度が低下する。
図2は、異なる溶存酸素量を有するいくつかのTi(O)固溶体に関する、酸素ポテンシャルを示す。黒い実線は、Ti(O)固溶体の酸素ポテンシャルを示している。
図1のように、実線の傾斜は、α相とβ相との間の遷移領域において変化する。
図2もまた、実線から延びる点線を示す。点線は、溶存水素も存在する場合に、Ti(O)固溶体の酸素ポテンシャルを表す。溶存水素は、傾斜を変化させることなく点線が実線から連続するように、α−β相遷移温度を低下させる。この領域でTi(O)溶体の酸素ポテンシャルが変化する故に、MgO対Ti(O)の相対的な安定性が変化する。例えば、約750℃では、アルファ相(水素を伴わない)にある場合に、Ti−(0.2%O)はMgOよりも更に安定しているが、その一方で、ベータ相(水素を伴う)にある場合に、MgOはTi(O)よりも更に安定している。従って、水素の存在下で、Mgを用いてTi(O)を脱酸素することができる。この場合、Mg脱酸素によるTi中の平衡酸素濃度は、755℃では約0.2重量%、670℃では0.1重量%、また590℃では0.05重量%である。換言すれば、比較的低い温度(<900℃)でのH
2の導入により、MgはTi(O)を脱酸素することができるが、その一方で、これは水素の使用なしでは実行不可能である。水素は、α−Tiからβ−Tiへと相の変換を誘導し、MgとTi(O)との間の熱力学的関係を変化させる。α−Ti(O)の場合、温度は500℃よりも低くならなければならず、Ti(O)中のOが0.3%に達しなければならない。
【0045】
従って、本発明は、水素の存在下にて、Mgを使用してTi(O)の脱酸素化を可能にする。所定の酸素含有量、例えば0.2%のOを伴うTiに関しては、Mgがその酸素含有量を低下させることができる温度は、水素雰囲気下にて、不活性雰囲気下でよりも高い温度へと上昇し、脱酸素化を動力学的に可能にする。所定の温度で、H
2又はAr+H
2雰囲気下でのMgとの反応後に、純Ar雰囲気下でよりも、Ti中の最小酸素含有量がより低くなる。水素の使用により、Mgを用いて、市販のTi又はTi合金の規格を満たす酸素含有量のレベルへと、Ti(O)を脱酸素することができる。
【0046】
図3は、700℃での、Ti−O−Hの状態図である。
図3では、この式により、α
Hが定義される。
【0048】
例えば、1atmH
2では、α
H=27.6であり、0.5atmH
2では、α
H=19.5であり、0.1atmH
2では、α
H=8.7であり、また0.05atmH
2では、α
H=6.16である。熱力学的には、H
2の導入により、Mgを用いた脱酸素化が可能となり、なお、H
2の分圧は、相変換速度、脱酸素化動態及び脱酸素化されたTi粉末中の水素含有量に影響を及ぼすことができ、これは、Ti−H−O三元状態図の分析により結論付けられる。例えば700℃での状態図を採択することにより、
図3に示すように、下記のように推論することができる。
【0049】
Ti(O)溶体は、状態図上のA点にて4重量%の初期酸素含有量を有することができる。初期α−Tiが、脱酸素剤としてのMgを用いてアルゴン中で1バールにて加熱される場合、理論上、システム点はA〜Bの点線に沿ってB点へと移動してB点と平衡する。B点における酸素含有量は2重量%であり、これは、これらの条件にて脱酸素剤としてMgを使用する場合に、熱力学的な限界となる。他方では、Mgを用いずに初期α−Tiを水素含有雰囲気中で加熱する場合(例えば、a
H=8、総圧力1atmにて、又は容量で8.42%のH
2)、システム点はA〜Dの点線に沿ってD点へと移動してD点と平衡する。従って、Ti(O)溶体は水素を吸収し、かつα及びβの共存領域に入る。B点におけるα相Tiは、Mgを用いない水素含有雰囲気下での加熱により、B〜Eの点線に沿って、E点(D点よりもβ相をより伴うα−βTi)に到達することができる。更に、D点におけるα−βTiは、Mg脱酸素剤を用いる同様の水素含有雰囲気下での昇温により、D〜Eの点線に沿って、E点に達することができる。
【0050】
初期α−Tiが、Mg脱酸素剤を用いて、単一工程において、同様の水素含有雰囲気下にて加熱される場合、α−Ti中に溶在する酸素がMgにより徐々に捕捉され、かつ同様に金属が徐々に水素を吸収する。これらの条件下で、A〜Fの線に沿ってシステム点がAからFへと移動し、脱酸素化及び水素化の速度により線A〜Fのラジアンが決定され、また次に、更に線F〜Eに沿っていくことができる。
【0051】
同様の制御雰囲気下で十分なMgが添加される場合、初期α−Tiが同時に脱酸素化及び水素化され、等圧線a
H=8上でAからFへと移動する。Tiの位相組成物は、α−Tiからα(多い)とβ(少ない)との混合物へと進行し、次に、α(少ない)とβ(多い)との混合物へと進行し、かつ最終的にβ−Tiへと進行する。
【0052】
なお、β−Tiにおける酸素拡散速度がα−Tiにおけるものよりも速く、従って、酸素の分圧がより大きく、β−Ti相の発生がより速く、また初期に似てβ−Ti量がより多い、という点に留意すべきである。更に、Ti−O状態図によれば、β−Tiにおける酸素溶解性がα−Tiのものよりもかなり低く、これはまた、β相Tiにおけるより好ましい脱酸素化を確実にする。
【0053】
このような方法でTiを脱酸素した後、真空又は不活性雰囲気における単純な加熱処理を介して水素を容易に除去することができ、これにより、極めて低いレベルの酸素及び水素を伴う純Tiが残る。水素により寄与される熱力学的な利点のみならず、β相における酸素の高拡散速度を活かすことにより、脱酸素化の動態もまた向上する場合がある。
【0054】
いくつかの実施形態では、脱酸素化プロセス中に、Ti粒子において酸素勾配を形成することができる。Tiコアと表面との間の酸素濃度勾配は、表面への酸素の拡散を更に促進して、システムがその均衡に達するまで脱酸素剤と反応させる。
【0055】
H
2においてMgによる脱酸素能を定量的に評価するために、Ti(H)
x(O)
yにおける酸素ポテンシャルを予想して
図4に表示し、約2、1.5、及び0.166重量%の酸素をそれぞれ伴うMgO、Ti(O)
x、及びTi(H)
x(O)
yにおける酸素ポテンシャルと比較した。700℃にて、水素を伴うことなく、MgOにおける酸素ポテンシャルはTi(O)
0.0456(1.5重量%O)におけるものとほぼ等くなるが、その一方で、Ti(O)
0.005(0.166重量%O)における酸素ポテンシャルはMgOにおけるものより著しく低く、即ち、Ti(O)
0.005がMgOより更に安定しており、かつMgがTi(O)
0.005から酸素を除去することができない。
【0056】
しかし、水素を伴って、Ti(H)
x(O)
0.005及びTi(H)
x(O)
0.061の両方における酸素ポテンシャルが、Ti(H)
x(O)
0.005及びTi(H)
x(O)
0.061それぞれのものよりも消極性が低く、水素がTi−O固溶体を不安定化させ、従って、Mgに関する推進力を増大させて、Ti−O溶体からの酸素を捕捉することを示している。一般に、
図4は、酸素ポテンシャルが酸素及び水素含有量の両方の関数であることを示す。酸素含有量が低い場合、Ti(H)
x(O)
yはMgOよりも更に安定する場合がある。所定の酸素含有量では、水素の増加に伴って酸素ポテンシャルが増大する。しかし、
図4におけるデータが、0.83重量%までの低い水素含有量に限定されることに留意する。この限定は、公開された状態図におけるデータの有効性故である。実際には、水素含有量は、1.0重量%よりも更に著しく高くあり得る。これは、
図7にて更に示される。
【0057】
別の実施形態では、溶融塩の存在下にて、水素含有雰囲気におけるMgOを用いたTi(O)の脱酸素化を実行することができる。脱酸素温度は、使用される特定の塩の融点を超えることができ、これにより、塩が溶融状態となる。溶融塩はMgとTi(O)との間の反応を促進して、MgOを形成することができる。塩は、MgCl
2などのマグネシウム含有塩であることができる。塩はまた、その他の塩を含む混合物であることもできる。いくつかの実施形態では、塩はMgCl
2、KCl、NaCl、LiCl、RbCl、CsCl、CaCl
2、又はこれらの組み合わせ(例えば、MgCl
2−KCl、MgCl
2−NaCl、MgCl
2−LiCl、MgCl
2−RbCl、MgCl
2−CsCl、MgCl
2−CaCl
2、MgCl
2−KCl−NaCl、MgCl
2−LiCl−NaCl、MgCl
2−RbCl−NaCl、MgCl
2−CaCl
2−NaCl、MgCl
2−CaCl
2−KCl、MgCl
2−CaCl
2−LiClなど)を含むことができる。混合塩の組成物は、共晶塩の融点が750℃より低く、かつ混合塩におけるMgCl
2の質量含有率が2重量%未満である限り、広範囲の相対量における塩の組み合わせを含むことができる。塩の混合物を使用する1つの利点は、混合塩又は共晶塩の溶融温度が、多くの場合単結晶塩のものよりも低い、ということである。例えば、MgCl
2の溶融温度は714℃であるが、その一方で種々の組成物を伴うMgCl
2−KClの液体形成温度が表1に列挙されており、これらは熱重量分析及び示差走査熱量測定(TGA−DSC)により決定される。
【0059】
一実施形態では、脱酸素反応は溶融塩の融点よりも高いがMgの融点よりも低い温度にて実施することができる。換言すれば、Mgは、その個体状態であることができる。特定の実施例では、脱酸素温度を590℃〜900℃とすることができる。別の実施例では、脱酸素温度を650℃〜750℃とすることができる。場合によっては、脱酸素温度を550℃〜900℃とすることができるが、一方、その他の場合では、脱酸素温度を550℃〜649℃とすることができる。脱酸素温度範囲は、Mg及び対応する塩の融点に依存し得る。例えば、固体Mg及び溶融塩を使用した場合、550℃〜649℃の脱酸素温度を使用することができる。液体Mg及びMgCl
2が共晶塩を支持している一方、脱酸素温度は650℃〜900℃の範囲であり得る。同様に、液体Mg及び単一MgCl2塩を伴うと、脱酸素温度は通常715℃〜900℃の範囲であり得る。
【0060】
本発明に従った方法は、脱酸素反応後に浸出させて、MgOの副生成物、残留Mg、及び塩を除去する工程を、更に含むことができる。HClの希薄溶液を用ることで、浸出を行うことができる。その他の酸性溶液もまた使用することができる。その他の酸としては、酢酸、NH
4Clなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
表2は、Mgによる、H
2及びAr雰囲気における、市販の純Ti(CP−Ti)の脱酸素効率を比較している。CP−Ti中の酸素レベルは、Mgにより、H
2において処理された後に500〜600ppmとできる限り低くあることができ、これは、Tiスポンジに関して、ASTM標準仕様よりもはるかに低い0.15重量%である。しかし、Arにおいては全く別の状況であり、また約2重量%の酸素が実験予測理論データと一致する。水素を導入することにより、Ti−Mg−Oに関する熱力学的平衡が修正されることが実験的に証明される。脱酸素プロセスにおいて使用した塩は、脱酸素速度を動力学的に向上し得るが、関係する熱力学的な限界は変化させない。
【0063】
図5〜8は、温度、水素分圧、時間、及び粒径を含む、脱酸素効率における特定の変数を示す。
図5は、脱酸素後の酸素の重量パーセントと脱酸素温度との関係を示す。ここで、出発材料は表2と同じであり、またMgCl
2及びKClで構成される共晶塩が使用された。純H
2雰囲気において、温度、時間及び粒径の効果における調査が実施された。各データ点の隣に、脱酸素時間が文字列で示される。対応するデータ点の隣に、4つの最も低い重量パーセンテージが文字列で記載される。Mg金属の融点(649℃)よりも低い比較的低い温度にて還元した場合、より長い24時間の継続時間が適用された。あるいは、12時間のより短い時間が選択された。温度が670〜750℃に設定された場合に、十分に良好な脱酸素効率が保証され得ることが証明される。しかし、温度を更に800℃まで上昇させた場合、1時間というより短い時間が更に12時間よりもはるかに良好に作用するが、これは、より短い時間でMg還元の蒸発減が制限される故であり得る。
【0064】
熱力学的には、チタン中の酸素含有量は反応温度の関数である。反応温度を低くすると、チタン中の酸素含有量が低くなる。しかし、より低い温度を用いることは、動力学的な困難を必然的にもたらすことになる。従って、本明細書で記載される脱酸素方法は、脱酸素化に関する好ましい熱力学を提供するだけではなく、好適な動力学的脱酸素速度をも提供することができる温度範囲にわたって、実施することができる。水素及びMgCl
2支持塩の援助により、脱酸素速度をかなり速くすることができる。いくつかの実施例では、脱酸素反応は、3時間以内で均衡近くに達することができる。更なる実施形態では、脱酸素化のための時間は約0.5時間〜約120時間であることができる。
図6は、脱酸素後の酸素含有量と脱酸素時間との関係を示す。表2と同様のものである出発材料は、純水素雰囲気においてMgCl
2−KCl共晶塩の援助により、Mgを用いて680℃にて脱酸素化される。
【0065】
図3によれば、β−相Ti(O)の形成は、純H
2雰囲気中でなくてもよい。しかし、水素分圧の最低限界の存在に留意すべきである。例えば、α−Tiの酸素含有量が2重量%(
図3のB点)である場合、理論的には、β−相Ti(O)を形成することができないので、700℃にて、3.5より小さいa
H値(C点、及び容量で1.6%の酸素分圧)では、Mgは脱酸素能を示さない。従って、5%〜100%の範囲で水素分圧の影響を調査した。
図7は、水素分圧並びに脱酸素化後の酸素含有量及び脱酸素化後の水素含有量の関係を示す。水素分圧の増大は、脱酸素化後に、より低い酸素含有量及びより高い水素含有量という結果をもたらす。本結果は、限りなく低い5%の水素分圧下であっても、酸素含有量が0.26重量%へと著しく低下し得ることを示す。また、より高い水素分圧では、酸素除去率がより高くなる。粒径の効果を、
図8にて示す。粒子径が減少すると、脱酸素後の酸素含有量が増大する。
【0066】
特定の実施形態では、最終の脱酸素化粉末は、0.2重量%未満の溶在酸素量を有することができる。更なる実施形態では、脱酸素化粉末は、0.15重量%未満の溶在酸素量を有することができる。
【0067】
更に、いくつかの実施形態では、最終の脱酸素金属は粉末形態であることができる。特定の実施例では、金属粉末は、実質的に球状の粒子を含むことができる。このような粉末は、金属(例えばTi)部品の製造に有用である。この脱酸素化された金属粉末は、高い均一性及び低い酸素含有量を伴う3D印刷としても機能することができる。
【0068】
図9は、脱酸素化前の、特定のTi粉末の形態を示す。
図10は、脱酸素化後の、Ti粉末の形態を示す。これらの図で明らかなように、脱酸素化故に、粒子の形態は目に付くほどには変化しない。
図11は、脱酸素化の間に形成されたMgOシェルを伴う、脱酸素化されかつ水洗されたTi粒子を示す。MgOシェルは、脱酸素化の間、Ti粒子間の焼結の防止を手助けすることができる。一度脱酸素が完了すると、浸出により、MgOシェルが除去され得る。浸出工程は、脱酸素中に使用されるMg含有塩及び金属Mgを除去することも可能である。
図12は、平滑な表面を有する最終のTi粒子を示す。本最終粉末における水素含有量は、1.62重量%にて決定された。
【0069】
別の任意の態様では、プロセス中に、混合物へとセパレータを追加することができる。このようなセパレータは、脱酸素中の金属粉末の凝集を回避するのに役立ち得る。好適な粒子状セパレータとしては、MgO、CaO、BAOなど、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。セパレータ材料は、一般に、0〜1000重量パーセントの金属粉末、及び場合によっては、0.1〜1000重量%の金属粉末からなり得る。脱酸素化の副生成物MgOの量が、粒子間の焼結を抑制するのに十分ではない故に、初期の金属粉末における酸素含有量が0.5重量%よりも低い場合に、セパレータを追加することは非常に有用である。
【0070】
あるいは、脱酸素化に先立って、金属粉末の酸化を制御することにより、セパレータを回避することができる。制御された酸化は、酸素源(例えば、純酸素ガス、0.1%〜100%等の範囲の酸素容積比を伴うAr−O
2混合ガス)へと微粒子金属を暴露すること、あるいはAr若しくはH
2又はAr−H
2混合雰囲気において、金属粉末の混合物と酸化物粉末(例えば、MgO粉末、CaO粉末、TiO
2粉末、等)とを焼結させること、のいずれかにより達成され得る。前者の方法による制御された酸化は、一般的に約700℃までの室温で維持され得るが、その一方で、対応する酸素源から酸素を金属粉末へと移送する(例えば、MgO、CaO、等)後者の方法では、温度は300〜1400℃である。典型的には、制御された酸化に先だったこのような金属粉末は、0.2重量%〜0.5重量%の酸素含有量を有することができる。制御された酸化は、0.5重量%〜10重量%の酸素含有量という結果をもたらし得る。その後、前述のように、金属粉末の脱酸素化を実施することができる。金属粉末中の酸素含有量が増大すると、脱酸素化後に副生成物MgOの量が増大し、これが金属粒子間のセパレータとして作用する。
【0071】
図13は、本開示プロセスの一実施形態に従った、脱酸素化に先立った球状化を含む、金属を脱酸素する方法を示す(1300)。より具体的には、より高い酸素含有量を有する非球状金属粉末を供給することができる(1310)。次に、非球状金属粉末に球状化処理を施すことにより(1320)、相対的に高い酸素含有量を有する球状の金属粉末を形成することができる(1330)。次に、前述のように、制御された水素雰囲気中で、球状金属粉末を脱酸素することができる(1340)。本工程は、任意のセパレータ材料としてMgOを用いることにより実施が可能である。得られた脱酸素金属を、MgO、未反応Mg、及び種々の塩などの脱酸素化副生成物と混合する。このような副生成物は、前述のように、浸出により除去することができる(1350)。次に、浸出材料の洗浄及び乾燥を実施して(1360)、本明細書で記載されるプロセスと一致した低酸素(1370)を有する、脱酸素化された球状の粉末を生成する。
【0072】
図14は、脱酸素化(1430)、浸出(1440)、並びに洗浄及び乾燥(1450)の後で発生する球状化の工程を除いて、
図13と類似した方法(1400)を示す。
【0073】
図15は、本開示プロセスの一実施形態に従った、脱酸素化に先立った球状化及び制御された酸化を含む、金属を脱酸素する方法(1500)を示す。より具体的には、比較的より低い酸素含有量を有する非球状金属粉末を供給することができる(1510)。次に、非球状金属粉末に球状化処理を施すことにより(1520)、球状の金属粉末を形成することができる(1530)。次に、酸素源を使用して球状の金属粉末に制御された酸化を施すことにより(1540)、金属粉末の酸素含有量を増大させて、比較的より高い酸素含有量を有する球状粉末を形成することができる(1550)。次に、前述のように、制御された水素雰囲気中で、球状粉末を脱酸素することができる(1560)。予備酸化により、脱酸素中のセパレータの使用を通常回避することができる。得られた脱酸素金属を、MgO、未反応Mg、及び種々の塩などの脱酸素化副生成物と混合する。このような副生成物は、前述のように、浸出により除去することができる(1570)。次に、浸出材料の洗浄及び乾燥を実施して(1580)、本明細書で記載されるプロセスと一致した低酸素(1590)を有する、脱酸素化された球状の粉末を生成する。
【0074】
図16は、脱酸素化1660、浸出1670、並びに洗浄及び乾燥1680後に、非球状粉末1630の球状化1620が発生することを除いて、
図15に示されるものと類似の方法1600を示す。
【実施例】
【0075】
実施例1.非球状Ti粉末の脱酸素化
1%の酸素を含有する5グラムの量の非球状Ti粉末を、0.23グラムのMg、及び2.5グラムの無水MgCl
2と混合する。混合物は、ステンレス鋼坩堝内に置かれる。坩堝にモリブデン(Mo)シートを内張りして、坩堝のTiとステンレス鋼との間で起こり得る反応を防止する。混合物を収容した坩堝を、管状炉内へと置く。加熱に先立って、正規のArで炉を半時間パージする。次に、加熱速度10℃/分にて炉を730℃まで加熱して、H
2フロー雰囲気中で8時間保持する。脱酸素後、H
2雰囲気中で炉を室温まで冷却して、サンプルを取り出す前にArでパージする。室温にて1時間、希釈酢酸を用いて固形物を浸出させる。次に、pH値が7に達するまで、水を用いて固形物を複数回洗浄する。エタノール及びアセトンにより粉末を更に濯いで、最終的に空気乾燥又は真空乾燥させる。非球状Ti粉末中の酸素含有量を0.13重量%まで低下させる。
【0076】
実施例2.球状Ti−6Al−4V粉末の脱酸素化
4%の酸素を含有する5グラムの量の球状Ti−6Al−4V粉末を、0.9グラムのMg、及び2.5グラムの無水MgCl
2−KCl共晶塩(MgCl
2とKClとのモル比は1:0.25)と混合する。混合物は、ステンレス鋼坩堝内に置かれる。坩堝にMoシートを内張りして、Tiとステンレス鋼との間で起こり得る反応を防止する。混合物を収容した坩堝を、管状炉内へと置く。加熱に先立って、正規のArで炉を半時間パージする。次に、加熱速度10℃/分にて炉を630℃まで加熱して、H
2フロー雰囲気中で12時間保持する。脱酸素後、H
2雰囲気中で炉を室温まで冷却して、サンプルを取り出す前にArでパージする。室温にて1時間、希釈酢酸を用いて固形物を浸出させる。次に、pH値が7に達するまで、水を用いて固形物を複数回洗浄する。エタノール及びアセトンを用いて粉末を濯いで、最終的に空気乾燥又は真空乾燥させる。球状Ti−6Al−4V粉末中の酸素含有量を0.06重量%まで低下させる。
【0077】
実施例3.非球状Ti粉末の脱酸素化
2%の酸素を含有する5グラムの球状Ti粉末を、0.30グラムのMg、及び2.5グラムの無水MgCl
2−KCl共晶塩(MgCl
2とKClとのモル比は1:0.25)と混合する。混合物は、ステンレス鋼坩堝内に置かれる。坩堝にMoシートを内張りして、Tiとステンレス鋼との間で起こり得る反応を防止する。混合物を収容した坩堝を、管状炉内へと置く。加熱に先立って、正規のArで炉を半時間パージする。次に、加熱速度10℃/分にて炉を670℃まで加熱して、H
2フロー雰囲気中で9時間保持する。脱酸素後、H
2雰囲気中で炉を室温まで冷却して、サンプルを取り出す前にArでパージする。室温にて1時間、HCl溶液を用いて固形物を浸出させる。Tiの溶解を防ぐために、1.5よりも低いpH値を浸出中に利用する。次に、pH値が7に達するまで、水を用いて固形物を複数回洗浄する。次に、エタノール及びアセトンにより固形物を濯いで、最終的に空気乾燥又は真空乾燥させる。非球状Ti粉末中の酸素含有量を0.09重量%まで低下させる。
【0078】
実施例4.球状Ti−6Al−4V粉末の脱酸素化
4%の酸素を含有する5グラムの球状Ti−6Al−4V粉末を、0.9グラムのMg、及び3.75グラムの無水MgCl
2−KCl共晶塩(MgCl
2とKClとのモル比は1:0.25)と混合する。混合物は、ステンレス鋼坩堝内に置かれる。坩堝にMoシートを内張りして、Tiとステンレス鋼との間で起こり得る反応を防止する。混合物を収容した坩堝を、管状炉内へと置く。加熱に先立って、正規のArで炉を半時間パージする。次に、加熱速度10℃/分にて炉を670℃まで加熱して、50%のH
2+50%のArフロー雰囲気中で24時間保持する。脱酸素後、50%のH
2+50%のAr雰囲気中で、炉を室温まで冷却して、サンプルを取り出す前に純Arでパージする。室温にて0.5時間、希釈酢酸を用いて固形物を浸出させる。次に、pH値が7に達するまで、水を用いて固形物を複数回洗浄する。エタノール及びアセトンにより固形物を更に濯いで、最終的に空気乾燥又は真空乾燥させる。球状Ti−6Al−4V粉末中の酸素含有量を0.07重量%まで低下させる。
【0079】
実施例5.非球状Ti粉末の脱酸素化
2%の酸素を含有する5グラムの非球状Ti粉末を、0.45グラムのMg、及び5グラムの無水MgCl
2塩と混合する。混合物は、ステンレス鋼坩堝内に置かれる。坩堝にMoシートを内張りして、Tiとステンレス鋼との間で起こり得る反応を防止する。混合物を収容した坩堝を、管状炉内へと置く。加熱に先立って、正規のArで炉を半時間パージする。次に、加熱速度10℃/分にて炉を750℃まで加熱して、H
2フロー雰囲気中で6時間保持する。脱酸素後、H
2雰囲気中で炉を室温まで冷却して、サンプルを取り出す前にArでパージする。室温にて1時間、HCl溶液を用いて固形物を浸出させる。Tiの溶解を防ぐために、1.5よりも低いpH値を浸出中に利用する。次に、pH値が7に達するまで、水を用いて固形物を複数回洗浄する。エタノール及びアセトンにより固形物を更に濯いで、最終的に空気乾燥又は真空乾燥させる。非球状Ti粉末中の酸素含有量を0.14重量%まで低下させる。
【0080】
実施例6.球状Ti−6Al−4V粉末の脱酸素化
5%の酸素を含有する5グラムの球状Ti−6Al−4V粉末を、1.13グラムのMg、及び2.5グラムの無水MgCl
2−KCl共晶塩(MgCl
2とKClとのモル比は1:0.5)と混合する。混合物は、ステンレス鋼坩堝内に置かれる。坩堝にMoシートを内張りして、Tiとステンレス鋼との間で起こり得る反応を防止する。混合物を収容した坩堝を、管状炉内へと置く。加熱に先立って、正規のArで炉を半時間パージする。次に、加熱速度10℃/分にて炉を600℃まで加熱して、H
2雰囲気中で18時間保持する。脱酸素後、H
2雰囲気中で炉を室温まで冷却して、サンプルを取り出す前に純Arでパージする。室温にて1時間、希釈酢酸を用いて固形物を浸出させる。次に、pH値が7に達するまで、水を用いて固形物を複数回洗浄する。エタノール及びアセトンにより固形物を更に濯いで、最終的に空気乾燥又は真空乾燥させる。球状Ti−6Al−4V粉末中の酸素含有量を0.05重量%まで低下させる。
【0081】
実施例7.非球状Ti粉末の脱酸素化
2%の酸素を含有する5グラムの球状Ti粉末を、0.45グラムのMg、及び2.5グラムの無水MgCl
2−KCl共晶塩(MgCl
2とKClとのモル比は1:0.5)と混合する。混合物は、ステンレス鋼坩堝内に置かれる。坩堝にMoシートを内張りして、Tiとステンレス鋼との間で起こり得る反応を防止する。混合物を収容した坩堝を、管状炉内へと置く。加熱に先立って、正規のArで炉を半時間パージする。次に、加熱速度10℃/分にて炉を700℃まで加熱して、10%のH
2+90%のArフロー雰囲気中で24時間保持する。脱酸素後、10%のH
2+90%のAr雰囲気中で、炉を室温まで冷却して、サンプルを取り出す前にArでパージする。室温にて1時間、HCl溶液を用いて固形物を浸出させる。Tiの溶解を防ぐために、1.5よりも低いpH値を浸出中に利用する。次に、pH値が7に達するまで、水を用いて固形物を複数回洗浄する。エタノール及びアセトンにより固形物を更に濯いで、最終的に空気乾燥又は真空乾燥させる。非球状Ti粉末中の酸素含有量を0.18重量%まで低下させる。
【0082】
説明される特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施例において、任意の好適な様態で組み合されてよい。先行する説明において、説明される技術の実施例の完全な理解を提供するために、種々の構成の実施例等の多数の具体的な詳細を提供した。しかし、当業者は、本技術が、具体的な詳細のうち1つ以上を伴わずに、又は他の方法、構成要素、装置等を伴って実践され得ることを認識するであろう。その他の場合、本技術の態様を不明瞭にすることを回避するために、周知の構造又は動作は、詳細には図示又は説明されていない。
【0083】
前述の詳細な説明は、特定の代表的実施形態を参照して本発明について記載している。しかし、添付の特許請求の範囲に説明される本発明の範囲を逸脱することなく、種々の修正及び変更を行うことができる、と理解されよう。詳細な説明及び添付図面は、制限するものではなく、単に例示的なものとしてみなされるものとし、このような全ての修正又は変更は、たとえあったとしても、本明細書で記載及び説明される本発明の範囲内に収まることが意図されている。