(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522334
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】リザーバー一体型のウォッシャー液加熱装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/48 20060101AFI20190520BHJP
【FI】
B60S1/48 B
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-263508(P2014-263508)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-30593(P2016-30593A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年9月26日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0096241
(32)【優先日】2014年7月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】515001004
【氏名又は名称】デンソー、コリア、オートモーティブ、コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】DENSO KOREA AUTOMOTIVE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】ペク、スン、キル
(72)【発明者】
【氏名】ワン、サン、ホン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ソク、チョン
【審査官】
岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/088233(WO,A1)
【文献】
実開昭48−074137(JP,U)
【文献】
特表2009−544525(JP,A)
【文献】
実開昭53−100648(JP,U)
【文献】
実開平04−056559(JP,U)
【文献】
実開昭62−174963(JP,U)
【文献】
独国実用新案第20301655(DE,U1)
【文献】
特開平07−156757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リザーバー内のウォッシャー液を加熱するためにリザーバーのホールに設置される板状のヒーター;
前記ヒーターを取り囲むようにリザーバーに組み立てられる保護カバー;
前記ヒーターと保護カバーをリザーバーに固定するための締結手段;及び
前記ヒーター周りの部分に沿って結合される結合部材を含み、
前記板状のヒーターは発熱がなされる加熱面がリザーバー内のウォッシャー液を加熱できるように、前記ホールを通じてリザーバーの内側へ露出されるよう、固定され、
前記締結手段は、
前記結合部材の外側面、及び結合部材と保護カバーの間の接合部位を取り囲みながら、リザーバーのホールに押入されて固定されるリング状の取り付け部材であることを特徴とする、リザーバー一体型のウォッシャー液加熱装置。
【請求項2】
前記ヒーターは、
板状のベース部材;
前記ベース部材に積層される下部絶縁層;
前記下部絶縁層上に積層される発熱体;
前記発熱体に外部電源を印加できるように接続される電極;及び
前記発熱体と電極の上に積層される上部絶縁層を含み、
前記下部絶縁層の上に長く形成された複数の発熱体が定められた間隔に配列されてパターン化されていることを特徴とする、請求項1に記載のリザーバー一体型のウォッシャー液加熱装置。
【請求項3】
前記結合部材がリング状に形成されて結合部材の内側にヒーターが結合され、前記結合部材と保護カバー周りの部分に沿ってフランジが突出形成され、結合部材のフランジと保護カバーのフランジが接合した状態で前記取り付け部材が両側フランジの間の接合部位を取り囲むように組み立てられることを特徴とする、請求項1に記載のリザーバー一体型のウォッシャー液加熱装置。
【請求項4】
前記取り付け部材は、リザーバー内のウォッシャー液の漏水を防止するために、リザーバーのホールに押入された状態で前記リザーバーと結合部材、保護カバーに密着された状態に結合されることを特徴とする、請求項1に記載のリザーバー一体型のウォッシャー液加熱装置。
【請求項5】
前記リザーバーのホールの内側に挿入される押入部下側の取り付け部材の外側面の周りに沿って係止溝が形成され、前記係止溝にリザーバーのホール周りの部分が挟まれて結合された状態で、上側の押入部が係止突起の役割をするようになったことを特徴とする、請求項1に記載のリザーバー一体型のウォッシャー液加熱装置。
【請求項6】
前記ヒーターが設置されるリザーバーのホールは、リザーバー内のウォッシャー液が常に残っている位置であるリザーバーの下端部面または底面に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のリザーバー一体型のウォッシャー液加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のウォッシャー液加熱装置に関するものであって、さらに詳細には、リザーバー内のウォッシャー液の粘度の増加によるウォッシャーポンプの吐出圧低下、ウォッシャー液の供給不良及び着手位置不良、ガラス磨きの不良、ウォッシャーポンプの損傷及び作動スイッチの損傷などの問題点を改善できる自動車のウォッシャー液加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車を運転するにあたり、安全運行のために何より重要なのは、円滑な前方視野の確保である。
【0003】
よって、通常、自動車には運転者の円滑な前方視野の確保のために、フロントガラスの表面に附着された異物をとり除き、雨天時にガラス表面の雨水を拭いてくれるワイパー装置が設置されている。
【0004】
同時に、車両にはフロントガラスの表面を洗浄する過程で異物をより容易くとり除けるように、ガラスの表面にウォッシャー液を噴射してくれるウォッシャー液噴射装置が備えられている。
【0005】
ウォッシャー液噴射装置は、リザーバー(reservoir)に保存されているウォッシャー液をウォッシャーポンプ(ウォッシャーモーター)が押送し、噴射ノズルを通じてガラスの表面へ噴射できるよう構成されるが、通常の噴射ノズルは車両のカウルトップ(cowl top)の内部やフード(hood)に設置される。
【0006】
図1は一般的なウォッシャー液噴射装置の構成を示す概路図であって、ウォッシャー液噴射装置はウォッシャー液が保存されるリザーバー1、リザーバー1に装着されてリザーバーに保存されたウォッシャー液をウォッシャーホース3を通じて押送するウォッシャーポンプ2、ウォッシャーホース3を通じて押送されるウォッシャー液をフロントガラス5の表面へ噴射するウォッシャーノズル4を含む。
【0007】
このような構成において、運転者が作動スイッチ(多機能スイッチ内のウォッシャースイッチ)をオン(On)にする場合、ウォッシャーポンプ2が作動してリザーバー1に保存されているウォッシャー液を押送し、押送されたウォッシャー液はウォッシャーノズル4を通じてガラス5の表面へ噴射される。
【0008】
一方、寒冷地域や低い温度条件でウォッシャー液は凍結されることがあるし、また温度が低いほどウォッシャー液の粘度が増加するところ、特にウォッシャー液の粘度が増加する時にはウォッシャー液噴射の不良が生じえる。
【0009】
したがって、
図2に示されたように、ウォッシャーホース3の途中でウォッシャー液を加熱してくれる加熱装置6が適用されたりもするが、通常のウォッシャー液加熱装置6はウォッシャーポンプ2から噴射ノズル4へ押送されるウォッシャー液が通過できるようになったハウジングを含む。
【0010】
前記ハウジングは、前後端の各ウォッシャーホース3が繋がって、ウォッシャー液がそれぞれ流入及び排出される入口ポートと出口ポートを有し、ハウジングにはコントローラーの制御信号によって電源を印加されて発熱作動するヒーター棒が内蔵される。
【0011】
これによって、ウォッシャーポンプ2の作動によって押送されるウォッシャー液がウォッシャーホース3の途中に配置された加熱装置6のハウジング内部を通過しながら、前記ヒーター棒によって加熱された後、再度ウォッシャーホース3を通じて噴射ノズル4に供給される。
【0012】
このような構成で、運転者が作動スイッチをオンにする場合、ウォッシャーポンプ2が作動すると共に加熱装置6に電源が印加され、ウォッシャーポンプ2によってウォッシャー液が押送される間、加熱装置6がウォッシャー液を加熱するので、加熱されたウォッシャー液がウォッシャーホース3を通じて噴射ノズル4に供給されて噴射できるようになる。
【0013】
しかし、加熱装置6がリザーバー1と分離されてウォッシャーホース3の途中に設置されるので、ウォッシャーホースを通じて押送されるウォッシャー液を加熱することはできるが、温度などの条件によってリザーバー1に保存されているウォッシャー液の粘度が増加した場合、リザーバーに装着されたウォッシャーポンプ2がウォッシャー液を容易に押し出すことができず、結局ウォッシャーポンプの吐出圧低下によってウォッシャー液の着手位置が不良になる問題点がある。
【0014】
すなわち、ウォッシャー液の粘度増加によるウォッシャーポンプの吐出圧低下及びそれによるウォッシャー液の着手位置不良、ガラス磨きの不良が、加熱装置の装着有無にかかわらず同一に発生している。
【0015】
特に、ウォッシャー液の粘度が増加する場合、ウォッシャーポンプ2の作動電流増加によってウォッシャーポンプ(ウォッシャーモーター)の炭化の可能性があり、同時に作動スイッチ(多機能スイッチ内のウォッシャースイッチ)の接点炭化及び損傷が発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明は前記のような問題点を解決するために作り出したものであって、效果的なウォッシャー液の加熱を通じてウォッシャー液の粘度増加を防止し、ウォッシャー液の粘度増加によって表れる問題点を解決することができる自動車のウォッシャー液加熱装置を提供することにその目的がある。
【0017】
なお、本発明はリザーバーとウォッシャー液加熱装置が分離されている従来の構成で表れる問題点、つまり、リザーバー内のウォッシャー液の粘度増加によるウォッシャーポンプの吐出圧低下、ウォッシャー液の供給不良及び着手位置不良、ガラス磨きの不良、ウォッシャーポンプの損傷及び作動スイッチの損傷などの問題点を改善することができるウォッシャー液加熱装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を果たすために、本発明は、リザーバー内のウォッシャー液を加熱するためにリザーバーのホールに設置される板状のヒーター;前記ヒーターを取り囲むようにリザーバーに組み立てられる保護カバー;及び前記ヒーターと保護カバーをリザーバーに固定するための締結手段を含み、前記板状のヒーターは発熱がなされる加熱面がリザーバー内のウォッシャー液を加熱できるように、前記ホールを通じてリザーバーの内側へ露出されるよう、固定されることを特徴とするリザーバー一体型のウォッシャー液加熱装置を提供する。
【0019】
ここで、前記ヒーターは、板状のベース部材;前記ベース部材に積層される下部絶縁層;前記下部絶縁層の上に積層される発熱体;前記発熱体に外部電源を印加できるように接続される電極;及び前記発熱体と電極の上に積層される上部絶縁層を含み、前記下部絶縁層の上に長く形成された複数の発熱体が定められた間隔に配列されてパターン化されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の一実施例によるウォッシャー液加熱装置は、前記ヒーター周りの部分に沿って結合される結合部材をさらに含み、前記締結手段は、前記結合部材の外側面、及び結合部材と保護カバーの間の接合部位を取り囲みながら、リザーバーのホールに押入されて固定されるリング状の取り付け部材であることを特徴とする。
【0021】
ここで、前記結合部材がリング状に形成されて結合部材の内側にヒーターが結合され、前記結合部材と保護カバー周りの部分に沿ってフランジが突出形成され、結合部材のフランジと保護カバーのフランジが接合した状態で前記取り付け部材が両側フランジの間の接合部位を取り囲むように組み立てられることを特徴とする。
【0022】
また、前記取り付け部材は、リザーバー内のウォッシャー液の漏水を防止するために、リザーバーのホールに押入された状態で前記リザーバーと結合部材、保護カバーに密着された状態に結合されることを特徴とする。
【0023】
また、前記リザーバーのホールの内側に挿入される押入部下側の取り付け部材の外側面の周りに沿って係止溝が形成され、前記係止溝にリザーバーのホール周りの部分が挟まれて結合された状態で、上側の押入部が係止突起の役割をするようになったことを特徴とする。
【0024】
そして、本発明の他の実施例によるウォッシャー液加熱装置は、前記ヒーターの周り部分に沿って保護カバーのフランジと接合されるフランジが突出形成され、前記締結手段はヒーターのフランジと保護カバーのフランジ、リザーバーのホール周りの部分が接合された状態でその接合部位を締結するボルトであることを特徴とする。
【0025】
ここで、相互接合されるヒーターのフランジと保護カバーのフランジの間、そしてヒーターのフランジとリザーバーのホール周りの部分の間にウォッシャー液の漏水を防止するための水密パッドが介在されることを特徴とする。
【0026】
また、前記ヒーターが設置されるリザーバーのホールは、リザーバー内のウォッシャー液が常に残っている位置であるリザーバーの下端部面または底面に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
これによって、本発明のウォッシャー液加熱装置によると、リザーバーに一体型で装着されてリザーバーの内側に露出された板状のヒーターがウォッシャー液を直接加熱することになるので、低い温度条件でのウォッシャー液の粘度増加による問題点、すなわちウォッシャーポンプの吐出圧低下、ウォッシャー液の供給不良及び着手位置不良、ガラス磨きの不良、ウォッシャーポンプの損傷及び作動スイッチの損傷などの問題点を改善できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一般的なウォッシャー液噴射装置の構成を示す概路図である。
【
図2】従来の加熱装置を有するウォッシャー液噴射装置を示す概路図である。
【
図3】本発明の一実施例によるウォッシャー液加熱装置がリザーバーに一体型で装着された状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例によるウォッシャー液加熱装置がリザーバーに一体型で装着された状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例によるウォッシャー液加熱装置の分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施例によるウォッシャー液加熱装置が装着された状態を示す切開斜視図である。
【
図7】本発明の一実施例で板状のヒーターの構成を示す分解斜視図である。
【
図8】本発明の一実施例で板状のヒーターのパターン化された発熱体及び電極を示す平面図である。
【
図9】本発明の他の実施例によるウォッシャー液加熱装置がリザーバーに一体型で装着された状態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の他の実施例によるウォッシャー液加熱装置がリザーバーに一体型で装着された状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明の他の実施例によるウォッシャー液加熱装置の分解斜視図である。
【
図12】本発明の他の実施例によるウォッシャー液加熱装置が装着された状態を示す切開斜視図である。
【
図13】本発明の他の実施例で板状のヒーターのパターン化された発熱体及び電極を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照にして、本発明の実施例について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。
【0030】
本発明は、低い温度条件でウォッシャー液の粘度増加による問題点を改善できるウォッシャー液加熱装置を提供するもので、特にリザーバーとウォッシャー液加熱装置が分離されている従来の構成を改善し、リザーバー内のウォッシャー液の粘度増加によるウォッシャーポンプの吐出圧低下、ウォッシャー液の供給不良及び着手位置不良、ガラス磨きの不良、ウォッシャーポンプの損傷及び作動スイッチの損傷などの問題点を改善できるウォッシャー液加熱装置を提供しようとするものである。
【0031】
このために、本発明のウォッシャー液加熱装置は、ウォッシャー液が保存されるリザーバーに一体型で装着されてリザーバー内のウォッシャー液を直接加熱できるように構成される点に主な特徴がある。
【0032】
図3及び
図4は本発明の一実施例によるウォッシャー液加熱装置を示す斜視図であって、
図3は実施例のウォッシャー液加熱装置がリザーバーに一体型で装着された平面斜視図であり、
図4は底面斜視図である。
【0033】
ウォッシャー液が保存されるリザーバー1は、上部タンクと下部タンクに分離構成されることができるが、上部タンクと下部タンクが上下に組み立てられて所定の容積の密閉された内部空間を持つリザーバーが構成される。
【0034】
図3及び
図4にはリザーバー1を構成する上、下部タンクの中で下部タンクだけが図示されていて、下部タンクに本発明のウォッシャー液加熱装置100が一体と装着される。
【0035】
図5は本発明の一実施例によるウォッシャー液加熱装置の分解斜視図で、
図6はリザーバーにウォッシャー液加熱装置が装着された状態を示す切開斜視図である。
【0036】
図示されたように、実施例のウォッシャー液加熱装置100は、ウォッシャー液が保存されるリザーバー1に一体型で附着され、リザーバーに保存されたウォッシャー液を直接加熱することができる構造で固定装着される。
【0037】
また、実施例のウォッシャー液加熱装置100は、リザーバー1内のウォッシャー液の量に係らずウォッシャー液を加熱できる位置、すなわちリザーバーの下部に装着されることができるし、リザーバーの内部空間に接するように固定され、リザーバー内のウォッシャー液を直接加熱することができる板状のヒーター110を有する。
【0038】
好適な実施例において、ウォッシャー液加熱装置100の装着部位は、リザーバー1の下端部面または底面になりえるし、リザーバー1の下端部面または底面にホール1aを形成し、前記ホール1aに板状のヒーター110がリザーバー内のウォッシャー液と直接接触できるように固定される。
【0039】
この時、板状のヒーター110はリザーバー1のホール1aを仕上げるように固定されて位置づけられ、発熱がなされる加熱面がリザーバー内のウォッシャー液を加熱できるよう、前記ホール1aを通じてリザーバー1の内側に露出されるように固定される。
【0040】
また、板状のヒーター110がリザーバー1のホール1aを通じてリザーバー内に露出されてもウォッシャー液の中で発熱がなされてからこそ過熱を防止することができ、そうすることでヒーター110が保護されるところ、板状のヒーター110が設置されるリザーバー1のホール1aは、ウォッシャーポンプ(不図示)が作動してもリザーバー内のウォッシャー液が常に残っている位置に形成される。
【0041】
すなわち、リザーバー1でウォッシャーポンプによるウォッシャー液の吸入が行われる位置より低い位置でありながら、リザーバー内のウォッシャー液の永久残量が存在する位置であるリザーバーの下端部面または底面に前記ホール1aが形成される。
【0042】
構成についてさらに詳細に説明すると、実施例のウォッシャー液加熱装置100は電源を印加されて発熱し、リザーバー1内のウォッシャー液を加熱するようにリザーバーのホール1aに固定される板状のヒーター110、ヒーター110を取り囲むようにリザーバー1に組み立てられてヒーターを保護する保護カバー120、ヒーター110と保護カバー120周りの部分を取り囲むように組み立てられ、リザーバー1のホール1aに押入された状態でヒーターと保護カバーをリザーバーで固定及び支持しながらウォッシャー液の漏水を防止するリング状の取り付け部材140を含む。
【0043】
ここで、板状のヒーター110は
図7に示したように、板状のベース部材111、ベース部材111の上に積層される下部絶縁層112、細くて長くパターン化されて下部絶縁層112の上に積層される発熱体113、前記パターン化された発熱体113に外部電源を印加するための電極114、発熱体113と電極114の上に積層される上部絶縁層115を含む構成を持つ。
【0044】
前記ベース部材111は、発熱体113と電極114を支持する支持体の役割をする基材になるもので、ステンレス鋼などのような金属や合成樹脂などで製作されることができるし、このようなベース部材111の上面に絶縁材料をコーティングして下部絶縁層112を形成することができる。
【0045】
図8は実施例で板状のヒーター110を図示した平面図であって、下部絶縁層112の上に細くて長くパターン化された複数の発熱体113を所定の間隔で横方向に配置し、パターン化された発熱体113の両端に共通に接続されることができるように電極114を縦方向に長く配置する。
【0046】
板状のヒーター110を構成するにあたり、例示したように細くて長い発熱体113を一定間隔にヒーターの全面積に均等に配置することで発熱面積を大きくすることができ、熱の集積度を下げて特定部位で発熱が集中されないようにすることができる。
【0047】
前記電極114にはワイヤを通じて電源用コネクター117が繋がり、コントローラー(不図示)の制御信号によってコネクター117及び電極114を通じて発熱体113に電源が印加されれば、発熱体113が発熱作動してウォッシャー液を加熱できるようになる。
【0048】
上部絶縁層115はパターン化された発熱体113と電極114の上に絶縁材料をコーティングして形成することができる。
【0049】
図8で図面符号116は、発熱体113を含むヒーター110の温度を検出するために付着される、図示されていないサーミスタ(thermistor)のための接続端子であって、この接続端子116がワイヤを通じてサーミスタ用コネクター118に繋がり、サーミスタ用コネクター118にはワイヤを通じてコントローラーが繋がる。
【0050】
これで、コントローラーがサーミスタによって検出されるヒーター110の温度によってヒーターの作動電源、すなわち発熱体113に印加される電源を制御することができ、基本的には運転者がウォッシャー液噴射のために作動スイッチ(ウォッシャースイッチ)を操作すれば、電源を印加してヒーターを作動させ、基準温度以上にヒーターの温度が過熱されると、電源を遮断してヒーターをオフさせる。
【0051】
前記保護カバー120は、ヒーター110の下側を覆ってヒーターを保護できるように組み立てられるものであって、所定の容積を内部空間を持ちながら開放された上面周りの部分に沿ってフランジ121が突出形成された構造に製作されることができる。
【0052】
この時、例示したように電源用コネクター117は、保護カバー120の外側面やリザーバー1の外側面に固定装着されることができ、この場合、電源用コネクター117に繋がったワイヤが保護カバー120を貫いてヒーター110の電極114に接続される。
【0053】
また、サーミスタ用コネクター118は、それ自体が保護カバー120を貫くように組み立てられることができ、サーミスタ用コネクター118も保護カバー120内のワイヤを通じてヒーター110のサーミスタ用接続端子116に接続される。
【0054】
また、好適な実施例において、板状のヒーター110は別途の結合部材130を媒介にして保護カバー120及び取り付け部材140に結合されることができ、これはヒーター110を保護カバー120及び取り付け部材140と結合するために使われるものであって、内側に板状のヒーター110が入れられるリング状に形成され、ヒーター周りの部分に結合される。
【0055】
実施例において、前記結合部材130はヒーター110周りの部分に沿って一体と射出成形される成形物になりえるし、下端周りの部分に沿ってフランジ131が突出形成された構造に成形されることができる。
【0056】
また、結合部材130のフランジ131と保護カバー120のフランジ121が接合された状態で締結手段になるリング状の取り付け部材140がフランジ121、131の間の接合部位を含んで結合部材130の外側を取り囲むように組み立てられ、このような取り付け部材140によって結合部材130と保護カバー120、ヒーター110が一体と組み立てられた状態を維持するようになる。
【0057】
前記取り付け部材140はリザーバー1でヒーター110と結合部材130、保護カバー120を固定及び支持する締結手段でありながら、これら部品とリザーバーの間の間隙を閉鎖してウォッシャー液の漏水を防止するシーリング及び水密用部材であって、硬質のゴム材料のようにヒーター110と結合部材130、保護カバー120を支持することができる十分な支持力を発揮しながらも、若干の弾性を持つ材質で成形製作されることが望ましい。
【0058】
これによって、取り付け部材140がリザーバー1、結合部材130の外側面及びフランジ131、保護カバー120のフランジ121と密着した状態で結合部材及びヒーター、保護カバーを動かないように固定させ、特にリザーバー、結合部材、保護カバーに密着された状態でウォッシャー液の漏水を防止することになる。
【0059】
前記取り付け部材140は結合部材130及びヒーター110、保護カバー120と組み立てられた状態でリザーバー1のホール1aに圧入方式で固定結合されるが、取り付け部材140の上部にはリザーバーのホールの内側に挿入して固定される押入部141が形成され、押入部141下側の取り付け部材の外側面の周りに沿って、リザーバー1のホール1a周りの部分が挟まれて結合される係止溝142が形成される。
【0060】
これで、係止溝142を基準にして、その上側部分である取り付け部材140の押入部141がリザーバー1のホール1aに挿入された状態である時、リザーバー1のホール1a周りの部分が取り付け部材140の係止溝142に挟まれてかかっているようになり、結局、係止溝142を基準にして突出されている押入部141が係止突起作用をすることになり、これによって取り付け部材140がリザーバー1のホール1aから離脱されずに堅く固定される。
【0061】
結局、結合部材130及びヒーター110、保護カバー120が取り付け部材140によってリザーバー1に固定された状態と維持されることができるし、結合部材130及びヒーター110、保護カバー120を含む加熱装置100全体がリザーバー1に一体型で付着された状態になる。
【0062】
また、取り付け部材140と結合部材130がリング状に製作されて組み立てられるので、その中央の内側に位置するヒーター110がリザーバー1のホール1aを閉鎖する形で固定され、このようなヒーター110の上面(加熱面になる)がリザーバー1の内側へ露出されるようになるので、ヒーターがウォッシャー液を直接加熱することが可能となる。
【0063】
一方、
図9〜
図12は本発明の他の実施例を示す図面であって、図示されたように板状のヒーター110をリザーバー1に直接ボルト150を締結して固定する方式を適用することが可能である。
【0064】
図9〜
図12の実施例では、取り付け部材が削除される代わりに、板状のヒーター110と電源用コネクター117、サーミスタ用コネクター118、ワイヤを組立てて構成したヒーターアセンブリーを保護カバー120と共に直接ボルト150でリザーバー1に締結して固定する。
【0065】
この時、ヒーター110の基本構成は、
図3〜
図6の実施例と差がなく(
図7参照)、ただ
図12に示したようにヒーター110周りの部分、より明確にはベース部材111周りの部分に沿って保護カバー120のフランジ121と接合された状態でボルトが締結されるフランジ111aが突出形成される。
【0066】
これによって、ヒーター110のフランジ111aと保護カバー120のフランジ121を接合した状態で、相互接合されたフランジ部位をリザーバー1のホール1a周りの部分にボルト150で締結することでヒーター110と保護カバー120を固定し、この時、電源用コネクター117とサーミスタ用コネクター118は保護カバー120に固定することができる。
【0067】
また、好ましくは、相互接合されるヒーター110のフランジ111aと保護カバー120のフランジ121の間、そしてヒーター110のフランジ111aとリザーバー1の接合部位の間には、ウォッシャー液の漏水を防止するための水密パッド151が介在されることがある。
【0068】
このように固定された加熱装置100でヒーター110の上面がリザーバー1の内側に露出されるようになるので、ヒーター110がウォッシャー液を直接加熱することが可能となる。
【0069】
結局、本発明によるウォッシャー液加熱装置を適用する場合、リザーバー内に保存されたウォッシャー液を直接加熱するようになるので、低い温度条件でウォッシャー液の粘度増加による問題点、すなわちウォッシャーポンプの吐出圧低下、ウォッシャー液の供給不良及び着手位置不良、ガラス磨きの不良、ウォッシャーポンプの損傷及び作動スイッチの損傷などの問題点を改善することができるようになる。
【0070】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではなく、以下の特許請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者のいろいろな変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1:リザーバー 1a:ホール
100:ウォッシャー液加熱装置 110:ヒーター
111:ベース部材 111a:フランジ
112:下部絶縁層 113:発熱体
114:電極 115:上部絶縁層
116:接続端子 117:電源用コネクター
118:サーミスタ用コネクター 120:保護カバー
121:フランジ 130:結合部材
131:フランジ 140:取り付け部材
141:押入部 142:係止溝
150:ボルト 151:水密パッド