【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度〜平成26年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「固体酸化物形燃料電池を用いた事業用発電システム要素技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発電部は、前記第1の方向において、前記圧力容器の一方の端部から1m以上6m以下の領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
前記発電部は、前記第1の方向において、前記圧力容器の全長Laに対して、前記圧力容器の一方の端部から0.15La以上0.85La以下の領域に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る燃料電池システムについて説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0018】
図1は、本実施形態の燃料電池システムを模式的に表した概略構成図である。本実施形態の燃料電池システム10は、固体酸化物型の燃料電池モジュール、いわゆる、SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)を備えており、燃料電池モジュールを制御しながら、運転を行っている。燃料電池システムは、燃料電池モジュールを通過した燃料ガスと空気(酸化剤ガス)の一部をガスタービンの燃焼器に供給してもよい。つまり、燃料電池システム10は、他の発電装置と連結したコンバインドシステムの一部としてもよい。
【0019】
図1に示すように、燃料電池システム10は、燃料電池モジュール12と、空気(酸化剤ガス)を供給する空気供給装置(酸化剤供給手段)14と、燃料電池モジュール12を通過した空気(排空気、排酸化剤ガス)が排出される空気排出管15と、燃料ガスを供給する燃料供給装置16と、燃料電池モジュール12を通過した燃料ガス(排燃料ガス)が排出される燃料排出管17と、各部の動作を制御する制御装置18と、電圧計19と、電流計20と、温度計21と、を備えている。なお、本実施形態では、酸化剤ガスとして空気を用いる例で説明するが酸素含有ガスなどの燃料ガスを酸化させる酸化剤であればよい。
【0020】
燃料電池モジュール12は、供給される空気と燃料ガスとを反応させ発電する。燃料電池モジュールについては、後述する。
【0021】
空気供給装置14は、燃料電池モジュール12に空気を供給する。空気供給装置14は、空気供給源22と空気供給配管24とを有する。空気供給源22は、掃気ファン、ポンプ等の空気を送る装置である。空気供給配管24は、空気供給源22と燃料電池モジュール12とを接続している。空気供給配管24は、空気供給源22により送られる空気を燃料電池モジュール12に供給する。
【0022】
燃料供給装置16は、燃料供給室84へ向けて燃料ガスを供給する。燃料供給装置16は、燃料供給源26と燃料供給配管28とを有する。燃料供給源26は、燃料ガスを貯留するタンクと、タンクから供給する燃料ガスの流量を制御する制御弁等を備えている。燃料供給配管28は、燃料供給源26と燃料電池モジュール12とを接続している。燃料供給配管28は、燃料供給源26により送られる燃料ガスを燃料電池モジュール12に供給する。
【0023】
また、燃料電池システム10は、燃料電池モジュール12から出力する電圧値を計測する電圧計19と、燃料電池モジュール12から出力する電流値を計測する電流計20と、燃料電池モジュール12に設けられた温度計21とを備えている。電流計20は、燃料電池モジュール12の発電によって得られた電流を計測している。温度計21は、燃料電池モジュール12の後述する発電室82の温度を計測する。
【0024】
制御装置18は、燃料電池モジュール12の起動運転時における制御を行ったり、燃料電池モジュール12の発電運転時における制御を行ったりしている。制御装置18は、電圧計19、電流計20や温度計21の計測結果や、入力された指示に基づいて、空気供給装置14から供給する空気の量や燃料供給装置16から供給する燃料ガスの量、燃料電池モジュール12から取り出す電力を制御する。
【0025】
次に、
図2から
図4を用いて、燃料電池モジュール12について説明する。
図2は、燃料電池モジュールを模式的に表した斜視図である。
図3は、燃料電池モジュールを模式的に表した概略構成図である。
図4は、セルスタックを模式的に表した概略構成図である。
【0026】
図2及び
図3に示すように、燃料電池モジュール12は、圧力容器40と、セル集合体42と、管支持板(上側管支持板)44と、管支持板(下側管支持板)46と、断熱体(上側断熱体)48と、断熱体(下側断熱体)50と、周方向断熱体52と、仕切り板54と、を有する。
【0027】
圧力容器40は、円筒部60と、円筒部60の両端に設けられた上半球部62および下半球部64と、を有する。ここで、圧力容器40は、鉛直方向に平行な方向であるZ軸方向(第1の方向)が長手方向となる向きで設置されている。つまり、上半球部62が下半球部64の鉛直方向上側に配置され、円筒部60の中心軸がZ軸方向と平行な向きとなる。燃料電池モジュール12は、本実施形態のように、円筒部60の中心軸がZ軸方向と平行な向きとなる向きで配置することが好ましいが、これに限定されない。
【0028】
圧力容器40は、2つの空気流入管66と、2つの空気排出管68と、燃料ガス流入管70と、燃料ガス排出管72と、が形成されている。2つの空気流入管66は、円筒部60の下半球部64の近傍側に形成されている。空気流入管66は、空気供給配管24と接続され、空気供給配管24から供給される空気を圧力容器40の内部に流入させる。2つの空気排出管68は、円筒部60の上半球部62の近傍側に形成されている。空気排出管68は、空気排出管15と接続され、圧力容器40の内部の空気を空気排出管15に排出させる。燃料ガス流入管70は、上半球部62に形成されている。燃料ガス流入管70は、燃料供給配管28と接続され、燃料供給配管28から供給される燃料ガスを圧力容器40の内部に流入させる。燃料ガス排出管72は、下半球部64に形成されている。燃料ガス排出管72は、燃料排出管17と接続され、圧力容器40の内部の燃料ガスを燃料排出管17に排出させる。
【0029】
ここで、圧力容器40は、2つの空気流入管66、2つの空気排出管68、燃料ガス流入管70、燃料ガス排出管72が設けられている部分以外は密閉された容器となる。圧力容器40は、セル集合体42と、管支持板(上側管支持板)44と、管支持板(下側管支持板)46と、断熱体(上側断熱体)48と、断熱体(下側断熱体)50と、周方向断熱体52と、仕切り板54と、が内部に収容されている。
【0030】
セル集合体42は、多数のセルスタック56が並列で配置されている。複数のセルスタック56は、内部が空間の円筒形状であり、中心軸がZ軸方向となる向き、つまり、中心軸が円筒部60の中心軸と平行となる向きで配置されている。セルスタック56は、
図3に示すように、Z軸方向に複数の燃料電池セル100が列状に配置されている。
【0031】
図4は、セルスタックを模式的に表した概略構成図である。
図4に示すように、セルスタック56は、筒形状をなす基体管101と、基体管101の外周面に設けられた発電素子となる燃料電池セル100と、を有する。基体管101は、多孔質となるセラミックス製の円筒管であり、その内部、つまり円筒形状の内周面で囲われた領域を燃料ガスが流れる。そして、基体管101は、多孔質となっているため、内部に流れる燃料ガスを、基体管101の外周面側に導いている。燃料電池セル100は、燃料極103と、固体電解質104と、空気極105とを積層して構成され、固体電解質104の両側に燃料極103および空気極105が設けられている。この空気極105には、活性金属が含まれており、空気極105は、含有する活性金属により燃焼反応に寄与する機能(触媒作用による燃焼)を有している。また、燃料電池セル100は、燃料極103が基体管101の外周面に接しており、基体管101の軸方向に複数配置されている。複数の燃料電池セル100は、隣接する一方の燃料電池セル100の燃料極103と、隣接する他方の燃料電池セル100の空気極105とが、インターコネクタ106により接続されている。このように構成された燃料電池セル100は、燃料電池システム10の発電運転時において、例えば800℃から950℃の高温下で発電を行う。
【0032】
管支持板44および管支持板46とは、セルスタック56の両端を支持する。管支持板44は、圧力容器40の軸方向の一方(上側)に配置された板状の部材である。
【0033】
管支持板46は、圧力容器40の軸方向の他方(下側)に配置された板状の部材である。管支持板46は、圧力容器40内に配置されたセルスタック56の他方の端部が挿入されている。管支持板44は、圧力容器40内に配置されたセルスタック56の一方の端部が挿入されている。管支持板44、46は、それぞれ圧力容器40内に配置された全てのセルスタック56が挿入されている。管支持板44、46は、セルスタック56との接続部が密閉されている。また、管支持板44、46は、外縁が圧力容器40または周方向断熱体52と接しており接触部が密閉されている。これにより、管支持板44は、圧力容器40の内部空間を区画している。
【0034】
圧力容器40の上半球部62と管支持板44とで囲われた空間(区画された空間)は、燃料ガス流入管70と接続されており、燃料ガス流入管70から燃料ガスが供給される燃料供給室84となる。また、圧力容器40の下半球部64と管支持板46とで区画された空間は、燃料ガス排出管72が接続されており、燃料ガスを燃料ガス排出管72から排出する燃料排出室86となる。また、燃料供給室84は、管支持板44に挿入されたセルスタック56の一方の開口端が接続されている。燃料排出室86は、管支持板44に挿入されたセルスタック56の他方の開口端が接続されている。これにより、燃料供給室84に供給された燃料ガスは、セルスタック56の内部つまり円筒形状の内周面で囲われた領域を通過して燃料排出室86に排出される。
【0035】
断熱体48および断熱体50は、管支持板44と管支持板46との間に配置されている。断熱体48は、圧力容器40の軸方向の一方(上側)に配置され、断熱材料を用いてブランケット状あるいはボード状に形成されている。断熱体50は、圧力容器40の軸方向の他方(下側)に配置され、断熱材料を用いてブランケット状あるいはボード状などに形成されている。各断熱体48,50には、セルスタック56が挿通される孔51a,51bがそれぞれ形成されている。孔51a,51bは、直径がセルスタック56の直径よりも大きい。
【0036】
断熱体48および断熱体50に挟まれた空間は、発電室82となる。また、管支持板46と下側断熱体50との間の空間は、空気流入管66と接続されており空気供給室88となる。管支持板44と上側断熱体48との間の空間は、空気排出管68と接続されており、空気排出室89となる。これにより、セルスタック56の、管支持板46と下側断熱体50との間の空間である発電室82に配置されている部分は、円筒形状の外周面に空気が供給される。
【0037】
周方向断熱体52は、圧力容器40の円筒部60の内周に張り付けられている。周方向断熱体52は、圧力容器40の内部と外部との熱の移動を抑制する。仕切り板54は、圧力容器40の円筒部60の内部に配置され、セルスタック56の延在方向に延びた板部材である。仕切り板54は、セル集合体42のセルスタック56の間に挿入され、セル集合体42を複数の領域に分けている。
【0038】
ここで、燃料電池モジュール12のセルスタック56は、発電室82内にのみに燃料電池セル100が配置されている。セルスタック56は、燃料電池セル100が配置されている領域を発電部90とし、発電部90よりもZ軸方向の上側の燃料電池セル100が配置されていない部分をリード部92とし、発電部90よりもZ軸方向の下側の燃料電池セル100が配置されていない部分をリード部94とする。リード部92は、管支持板44と接する部分及び断熱体48と対面する部分を含む。リード部94は、管支持板46と接する部分及び断熱体50と対面する部分を含む。
【0039】
ここで、上記構成からなる燃料電池モジュール12の動作について説明する。燃料電池モジュール12は、燃料電池セル100を所定の温度まで上昇させる起動運転を行った後、燃料電池セル100において発電を行う発電運転を行っている。燃料電池モジュール12が発電運転を行うと、燃料電池モジュール12の空気供給室88には空気が流入する。該空気は断熱体50の孔51bとセルスタック56との隙間を通って、発電室82内に供給される。一方、燃料供給室84には燃料ガスが流入する。該燃料ガスはセルスタック56の基体管101の内部を通って発電室82内に供給される。このとき、空気と燃料ガスとは、セルスタック56の内周面および外周面において、互いに逆向きに流れている。
【0040】
基体管101の内部を流れる燃料ガスは、基体管101の細孔を通過して燃料極103に達する。この燃料ガスは、燃料極103に含まれる活性金属を触媒にして水蒸気改質される。水蒸気改質により生成された水素は、燃料極103の細孔を通過して固体電解質104まで到達する。一方、空気は、基体管101(空気極105)の外側を流れる。空気中の酸素は、空気極105の細孔を通過する途中または固体電解質104まで到達して電子を受け取りイオン化する。イオン化した酸素は固体電解質104を通過し、燃料極103に到達する。固体電解質104を通過した酸素イオンは燃料ガスと反応し、燃料ガスは電子を放出し、この電子が燃料極から外部回路を経由して空気極へと移動する。このような電池反応により、燃料電池モジュール12は発電を行う。
【0041】
そして、発電室82において、発電に利用され高温となった燃料ガスは、空気供給室88において、セルスタック56を介して、発電に利用される前の空気との間で熱交換される。また、発電室82において、発電に利用され高温となった空気は、空気排出室89において、セルスタック56を介して、発電に利用される前の燃料ガスとの間で熱交換される。
【0042】
上記熱交換により、冷却された後、燃料ガスは、燃料排出室86に流入して、燃料排出室86から燃料電池モジュール12の外部に排出され、空気は、空気排出室89から燃料電池モジュール12の外部に排出される。
【0043】
燃料電池システム10及び燃料電池モジュール12は、Z軸方向(第1の方向)に沿った向きにおいて、セルスタック56を圧力容器40の端部から端部まで配置する。具体的には、燃料電池システム10及び燃料電池モジュール12は、Z軸方向において圧力容器40に2つの管支持板44、46を配置し、セルスタック56のそれぞれの端部を管支持板44、46で支持する。ここで、管支持板44は、圧力容器40の一方の端部、具体的には、円筒部60と上半球部62との接続部の近傍に配置される。管支持板46は、圧力容器40の他方の端部、具体的には、円筒部60と下半球部64との接続部の近傍に配置される。セルスタック56は、両端が管支持板44と管支持板46のそれぞれに挿入されている。したがって、セルスタック56は、円筒部60のZ軸方向の一方の端部側から他方の端部側まで配置されている。本実施形態のセルスタック56は、Z軸方向において、円筒部60の全域に配置されており、円筒部60よりも長く、一方の一部が円筒部60から上半球部62側に突出し、他方の一部が円筒部60から下半球部64側に突出する。燃料電池モジュール12は、圧力容器40のZ軸方向において、セル集合体42を1つ配置する。これにより、Z軸方向において、発電室82、燃料供給室84、燃料排出室86、空気供給室88、空気排出室89を1つとすることができる。また、Z軸方向に1つのカートリッジとすることができ、Z軸方向において、カートリッジ同士を接続する必要がない。これにより、圧力容器40内、配線の配置効率をよくすることができ、セルスタック54の配置密度を高くすることができる。これにより、単位体積当たりの発電効率を高くすることができる。
【0044】
ここで、発電部90のZ軸方向
における長さをLb、リード部92のZ軸方向
における長さをLc、リード部94のZ軸方向
における長さをLdとした場合、1.7≦Lb/(Lc+Ld)≦2.3とすることが好ましい。このとき、発電部9
0は、圧力容器40の全長Laに対して、一方の端部から0.15La以上0.85La以下の領域に配置されていることが好ましい。また、一方の端部から一方の端部に近い側の発電部90の端部の距離Leは、0.10La以上0.30La以下とすることが好ましい
。なお、
図3に示す例では、鉛直方向上側の圧力容器40の端部からとしたが、鉛直方向下側の圧力容器40の端部からの関係が上記関係を満たしてもよい。燃料電池モジュール12は、セルスタック56の配置位置が上記のいずれかの関係を満たすことで、燃料ガスと空気とで熱交換を行う範囲と発電を行う範囲とのバランスをよくすることができる。これにより、発電効率を高くすることができる。
【0045】
また、発電部90は、Z軸方向において、圧力容器
40の一方の端部から1m以上6m以下の領域に配置されていることが好ましく、圧力容器
40の一方の端部から1.5m以上5.5m以下の領域に配置されていることがより好ましい。燃料電池モジュール12は、圧力容器
40に対するセルスタック56の発電部90の位置が上記範囲を満たすことで、燃料ガスと空気とで熱交換を行う範囲と発電を行う範囲とのバランスをよくすることができる。これにより、発電効率を高くすることができる。
【0046】
ここで、セルスタック56は、Z軸方向の長さLを3m以上6.5m以下とすることが好ましく、Z軸方向の長さLを6m以上6.5m以下とすることがより好ましい。また、圧力容器40は、Z軸方向の長さLaを4m以上7m以下とすることが好ましい。なお、長さLa>Lとなる。このようにセルスタック56や圧力容器40がZ軸方向に長い場合にセルスタック56を上記配置にすることで、大型の燃料電池モジュールであっても体積出力密度を高くすることができる。
【0047】
図5は、圧力容器の内部におけるセルスタックの配置の一例を示す断面図である。燃料電池モジュール12は、
図5に示すように、セルスタック56を千鳥格子状に配置することが好ましい。これにより、配置密度を高くすることができる。また、燃料電池モジュール12は、セルスタック56の配置位置に所定の間隔で、各セルスタックの電流を集電し、圧力容器外の外部回路に導くための集電棒110を設ける。
【0048】
図6は、圧力容器の内部におけるセルスタックの配置の一例を示す断面図である。燃料電池モジュール12aは、
図6に示すように、圧力容器40側のリング上の領域120に周方向に等角度間隔でセルスタック56を配置し、領域120よりも内側の領域122に隣接するセルスタック56を所定間隔にて千鳥配置することが好ましい。これにより、配置密度を高くすることができる。また、圧力容器40の内周面である領域120に周方向に等角度間隔でセルスタック56を配置する。また、圧力容器40の内周面である領域120に周方向に等角度間隔で配置する節スタック56の間隔は、領域122に隣接するセルスタック56の所定間隔と同じとすることが好ましい。これにより、自重及び運転時に圧力容器面内の温度分布により生じるセルスタック56の熱伸び差により発生する応力から管支持板44、46を介して圧力容器40に伝達する応力を周方向に平均化することがで、圧力容器40や、セルスタック56、管支持板44、46の周方向の一部に応力集中が生じることを抑制できる。
【0049】
また、上記実施形態では、効率よくセルスタック56を配置できるため、Z軸に直交する断面において、円形状の圧力容器40に、円形状にセルスタック56を配置したがこれに限定されない。セルスタックを多角形、例えば六角形、八角形に配置してもよい。
【0050】
次に、
図7及び
図8を用いて、他の実施形態の燃料電池モジュールについて説明する。
図7は、他の実施形態の燃料電池モジュールを模式的に表した概略構成図である。
図8は、座屈防止板の一部を示す拡大図である。
図7に示す燃料電池モジュール12bは、座屈防止板130を備えている以外は、燃料電池モジュール12と同様の構造である。以下座屈防止板130について説明する。座屈防止板130は、圧力容器40の発電室82、つまり、Z軸方向においてセルスタック56の発電部90が設けられている位置に配置されている。尚、セルスタックの管径により(管径が小さい場合)、所定間隔をもって複数配置する場合してもよい。また、座屈防止板は、セルスタック56の全長に対して、等間隔に設置することが好ましい(座屈防止板が一枚の場合は、セルスタックの長手方向の中央となる)。座屈防止板130は、外縁が円板形状であり、外縁が周方向断熱体52で支持されている。座屈防止板130は、耐熱性の材料、例えば、セラミックを溶射等でコートした金属材料、一例としてはTBCコート材を用いることが好ましい。
図7及び
図8に示すように、座屈防止板130は、複数の孔132が形成されている。孔132は、セルスタック56の配置に対応して形成されており、セルスタック56が挿入されている。孔132は、セルスタック56の燃料電池セル100の周囲または燃料電池セル100の間の周囲を覆っている。孔132は、内径Dがセルスタック56の外径Daよりも大きい。これにより、孔132とセルスタック56との間には隙間が形成されている。
【0051】
燃料電池モジュール12bは、座屈防止板130を設けることで、セルスタック56がZ軸に直交する面内の方向に変形することを抑制することができる。つまり、セルスタック56がZ軸に直交する面(
図8に示す面)内で、セルスタック56が移動すると、セルスタック56が孔132と接触し、その位置以上に変形することを抑制することができる。これにより、セルスタック56の変形を抑制することができ、燃料電池モジュール12bの耐久性を高くすることができる。また、座屈防止板130で、変形を抑制できることで、セルスタック56の径を細くすることができ、配置密度をより高くすることができる。また、座屈防止板130は、圧力容器40に支持部材を設け、支持部材に溶接等で固定してもよい。
【0052】
図9は、他の実施形態の燃料電池モジュールを模式的に表した概略構成図である。
図10は、セルスタックの連結部を示す拡大図である。
図9に示す燃料電池モジュール12cは、セル集合体42aのセルスタック56a以外は、燃料電池モジュール12と同様の構造である。以下、セルスタック56aについて説明する。セルスタック56aは、複数の基体管201と、接続部202とを有する。基体管201は、基体管101と同様にZ軸方向に延びた管であり、外周面に発電素子となる燃料電池セル100が設けられている。基体管201は、Z軸方向に複数の燃料電池セル100が配置されている。複数の基体管201は、Z軸方向において、直列で配置されている。接続部202は、Z軸方向において、並んでいる基体管201と基体管201とを接続している。
図10に示すように、接続部202は、接合部材210と、シール層212と、空気極214と、を有する。接合部材210は、基体管201と熱膨張係数が同程度の材料で形成されている部材である。接合部材210は、円筒状の部材であり、外周径が、基体管201の内周径とほぼ同じか小さい形状である。接合部材210は、接続する2つの基体管201の接続される側の端部に挿入されている。つまり、接合部材210は、基体管201よりも径が小さい管路であり、一方の端部が一方の基体管201に挿入され、他方の端部が他方の基体管201に挿入されている。接合部材210は、外周側の面と基体管201の内周面と向かい合う面に接着層が形成されている。接合部材210と基体管201は、間に設けられた接着層で接着されている。接着層に用いる接着剤としては、基体管と同質材料を用いることができる。接着剤は、例えば、基体管と同じ固体粒子を有し、具体的には、CSZ粉末またはCSZ+NiO混合粉末にスキージオイルなどのビヒクルを添加し、3本ローラをより混合して調製して作成することができる。接合部材210は、2つの基体管201の両方に挿入され、接着層により2つの基体管201と接着することで、2つの基体管201を繋げている。シール層212は、接合部材210の外周側でかつ接続する2つの基体管201の間をシールする。シール層212は、固体電解質と同質材料で形成され、ガスの透過を遮断する。空気極214は、シール層212の外周と2つの基体管201の外周に形成されている。空気極214は、一方の基体管201の端部に形成された燃料電池セル100のインターコネクタと接続し、かつ、他方の基体管201の端部に形成された燃料電池セル100のインターコネクタと接続する。これにより、接続部202は、接続部202を挟んで隣接する2つの基体管201のそれぞれの燃料電池セルを電気的に接続する。
【0053】
燃料電池モジュール12cは、複数の基体管201を接続部202で接続したセルスタック56aを用いることで、1本の基体管201を短くすることができる。これにより、圧力容器40のZ軸方向の端部から端部に配置されるセルスタック56aを製造しやすくすることができ、燃料電池モジュール12cを製造しやすくすることができる。なお、基体管201を接続する接続部202は、本実施形態に限定されず、2つの基体管201を接着し、2つの基体管201を電気的に接続し、かつ、2つの基体管201の間をシールすることができればよい。
【0054】
図11は、他の実施形態の燃料電池モジュールを模式的に表した概略構成図である。
図11に示す燃料電池モジュール12dは、セルスタック56aが複数の基体管201と、接続部202とを有し、基体管201が接続部202で接続されている。また、燃料電池モジュール12dは、座屈防止板130が設けられている。燃料電池モジュール12dのように、複数の基体管201を接続部202で接続したセルスタック56aとし、さらに座屈防止板130を設けることで、上記の効果を得ることができる。また接続部202と座屈防止板130のZ軸方向における配置位置、配置数は任意の数とすることができる。
【0055】
図12は、他の実施形態の燃料電池システムを模式的に表した概略構成図である。
図13は、燃料電池モジュールを模式的に表した斜視図である。
図14は、燃料電池モジュールの断面図である。
図15は、燃料電池モジュールを模式的に表した概略構成図である。
図12に示す燃料電池システム10eは、燃料電池モジュール12eの圧力容器40a内の領域をZ軸に直交する面において、複数に分割しているものである。
【0056】
燃料電池モジュール12eは、圧力容器40aの内部が空間分割板310で分割されている。空間分割板310は、Z軸方向に延びた板であり、
図15に示すように、圧力容器40aの内部をZ軸に直交する面において、8つに分割している。圧力容器40aは、内空間分割板310によって分割されているそれぞれの領域が、領域間で空気や燃料ガスが流れない状態に分離されている。空間分割板310は、圧力容器40aの中心軸を通り、圧力容器40aの内周面と接している。空間分割板310は、耐熱性の材料、例えば、セラミックを溶射等でコートした金属材料、一例としてはTBCコート材を用いることが好ましい。
【0057】
燃料電池モジュール12eは、空間分割板310で分割されたそれぞれの空間が発電ユニット311となる。発電ユニット311は、セル集合体42aと、管支持板(上側管支持板)44aと、管支持板(下側管支持板)46aと、を有する。発電ユニット311は、断熱体(上側断熱体)、断熱体(下側断熱体)、周方向断熱体も有する。各部は、Z軸方向に直交する断面において、配置される領域が圧力容器40aの全体から圧力容器40aの空間分割板310で分割された領域内となった以外は、同様の構造である。
【0058】
また、圧力容器40aは、発電ユニット311のそれぞれに対して、空気流入管66a、空気排出管68a、燃料ガス流入管70a、燃料ガス排出管72aが設けられている。発電ユニット311は、空気流入管66a、空気排出管68a、燃料ガス流入管70a、燃料ガス排出管72aが接続されている位置及び管支持板44a、46a、断熱体により、各領域が、発電室82a、燃料供給室84a、燃料排出室86a、空気供給室88a、空気排出室89aに分割される。
【0059】
また、空気流入管66aは、分岐管312を介して空気供給配管24と接続されている。分岐管312には、制御弁314が設けられている。空気排出管68aは、分岐管316を介して空気排出管15と接続されている。分岐管316には、制御弁318が設けられている。燃料ガス流入管70aは、分岐管322を介して燃料供給配管28と接続されている。分岐管322には、制御弁324が設けられている。燃料ガス排出管72aは、分岐管320を介して燃料排出管17と接続されている。分岐管320には、制御弁328が設けられている。
【0060】
燃料電池システム10e及び燃料電池モジュール12eは、空間分割板310により、Z軸方向に直交する断面における領域を複数に分割することで、一部の発電ユニット311で発電の継続ができない場合でも他の発電ユニット311での発電を継続することができる。具体的には、制御弁314、318、324、328の開閉を切り換えることで、燃料ガスと空気を送る発電ユニット311を選択することができる。
【0061】
また、空間分割板310により、Z軸方向に直交する断面における領域を複数に分割することで、Z軸方向において、発電室82a、燃料供給室84a、燃料排出室86a、空気供給室88a、空気排出室89aを1つとすることができ、配線の配置効率をよくすることができる。これにより、セルスタック56の配置密度を高くすることができる。また、本実施形態では、圧力容器40aの内部を8つに分割したが分割数は特に限定されず、2つでも4つでも3つでも9つ以上でもよい。また、燃料電池モジュール12eは、各発電ユニットを電気的に直列で繋いでもよい。これにより、燃料電池モジュール12eから取り出せる電圧値を高くすることができる。