(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1流体が流れる第1流路に交差するように第2流体が流れる第2流路が設けられ、前記第2流路を流れる第2流体を前記第1流路における前記第1流体の流れ方向に向けて噴出する放水ノズルであって、
中空形状をなして前記第1流路に交差するように配置される放水ノズル本体と、
前記放水ノズル本体の長手方向に所定間隔をあけて設けられる流体噴出口と、
前記放水ノズル本体の長手方向における所定の位置で前記放水ノズル本体の長手方向に交差する方向に沿うと共に前記流体噴出口側の一部を閉塞する第1隔壁部と、
を有し、
前記放水ノズル本体の長手方向に沿うと共に一端部が前記第1隔壁部に接続されることで、前記放水ノズル本体内に複数の分割流路を形成する第2隔壁部が設けられ、
前記複数の分割流路は、前記流体噴出口側の第1分割流路における入口部の流路断面積が、前記流体噴出口側と反対側の第2分割流路における入口部の流路断面積より大きく設定され、
前記第2分割流路は、前記放水ノズル本体の長手方向に沿う上流側流路と、前記放水ノズル本体の長手方向の交差する方向に沿う下流側流路とにより構成され、前記上流側流路の流路断面積より前記下流側流路の流路断面積が大きく設定され、
前記分割流路は、前記第2流路に連通する入口部の流路断面積に対して、前記流体噴出口の開口面積が小さく設定される、
ことを特徴とする放水ノズル。
前記第1流路における前記第2流路との交差部より第1流体の流動方向の上流側に設けられる堰と、前記第1流路における前記堰より第1流体の流動方向の上流側に設けられるポンプと、前記堰から第1流体の流動方向の上流側で且つ底部側に向けて延出して前記ポンプの吸込口の上方を覆うガイド板とが設けられることを特徴とする請求項4に記載の混合槽。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の酸化槽にて、処理海水は、流路から放水ノズル内に供給され、長手方向に流れながら各排出孔から海水の流路に噴出する。そのため、処理海水は、放水ノズル内で略60度屈曲してから海水の流路に噴出されることとなり、放水ノズルにおける手前側の放水ノズルの排出孔から噴出される処理水の流速及び方向と、放水ノズルにおける奥側の放水ノズルの排出孔から噴出される処理水の流速及び方向とが相違してしまう。すると、酸化槽で渦流が発生し、海水と処理海水を均一に混合させることが困難となる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、複数種類の流体を均一に混合させることができる放水ノズル及び混合槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の放水ノズルは、第1流体が流れる第1流路に交差するように第2流体が流れる第2流路が設けられ、前記第2流路を流れる第2流体を前記第1流路における前記第1流体の流れ方向に向けて噴出する放水ノズルであって、中空形状をなして前記第1流路に交差するように配置される放水ノズル本体と、前記放水ノズル本体の長手方向に所定間隔をあけて設けられる流体噴出口と、前記放水ノズル本体の長手方向における所定の位置で前記放水ノズル本体の長手方向に交差する方向に沿うと共に前記流体噴出口側の一部を閉塞する第1隔壁部と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
従って、第2流路から放水ノズル本体内に導入された第2流体は、流体噴出口側を流れる一部の第2流体が第1隔壁部に遮られるため、流速が低下してから流体噴出口を通して第1流路における第1流体の流れ方向に向けて噴出される。そのため、放水ノズル本体における入口部側の流体噴出口から第1流体に噴出される第2流体は、この第1流体の流れ方向に沿って噴出されることとなり、放水ノズル本体における手前側の第2流体の流速及び方向と奥側の第2流体の流速及び方向とを近似させることができる。そのため、複数種類の流体を均一に混合させることができる。
【0009】
本発明の放水ノズルでは、前記放水ノズル本体の長手方向に沿うと共に一端部が前記第1隔壁部に接続されることで、前記放水ノズル本体内に複数の分割流路を形成する第2隔壁部が設けられることを特徴としている。
【0010】
従って、放水ノズル本体内に複数の分割流路を形成することから、第2流路から放水ノズル本体内に導入された第2流体は、複数の分割流路に分けられてから、各流体噴出口を通して第1流路に噴出されることとなり、流体噴出口側を流れる第2流体の流速を適正に低下させてから流体噴出口を通して第1流路に噴出させることができる。
【0011】
本発明の放水ノズルでは、前記複数の分割流路は、前記流体噴出口側の第1分割流路における入口部の流路断面積が、前記流体噴出口側と反対側の第2分割流路における入口部の流路断面積より大きく設定されることを特徴としている。
【0012】
従って、入口部の流路断面積が大きい第1分割流路を流れる第2流体の流速を適正に低下させることができる。
【0013】
本発明の放水ノズルでは、前記第2分割流路は、前記放水ノズル本体の長手方向に沿う上流側流路と、前記放水ノズル本体の長手方向の交差する方向に沿う下流側流路とにより構成され、前記上流側流路の流路断面積より前記下流側流路の流路断面積が大きく設定されることを特徴としている。
【0014】
従って、第2分割流路の上流側流路に導入された第2流体は、流路断面積が大きくなった下流側流路に流れ込むことでその流速が低下し、流体噴出口を通して第1流路における第1流体の流れ方向に向けて噴出することとなり、第1分割流路から第1流体に噴出される第2流体と、第2分割流路から第1流体に噴出される第2流体との流速及び方向を近似させることができる。
【0015】
本発明の放水ノズルでは、前記分割流路は、前記第2流路に連通する入口部の流路断面積に対して、前記流体噴出口の開口面積が小さく設定されることを特徴としている。
【0016】
従って、第2流路から分割流路に導入された第2流体は、開口面積が小さい流体噴出口から加速されて第1流体に噴出されることとなり、第1流路を流れる第1流体の流れ方向と流体噴出口から噴出される第2流体の流れ方向を平行に近づけることができる。
【0017】
本発明の放水ノズルでは、前記放水ノズル本体は、矩形断面形状をなし、前記複数の分割流路は、前記第1流路の長手方向に沿って並設されることを特徴としている。
【0018】
従って、放水ノズル本体内に複数の分割流路を容易に区画することができ、製造コストを低減することができる。
【0019】
本発明の放水ノズルでは、前記複数の分割流路は、配管によって構成されることを特徴としている。
【0020】
従って、配管を用いて複数の分割流路を構成することで、製造コストを低減することができる。
【0021】
また、本発明の混合槽は、第1流体が流れる第1流路と、前記第1流路に交差するように第2流体が流れる第2流路と、前記第2流路を流れる第2流体を前記第1流路における前記第1流体の流れ方向に向けて噴出する前記放水ノズルと、を有することを特徴とするものである。
【0022】
従って、第2流路を流れる第2流体を第1流路における前記第1流体の流れ方向に向けて噴出して混合するとき、放水ノズル本体における手前側の第2流体の流速及び方向と奥側の第2流体の流速及び方向とを近似させることができる。そのため、複数種類の流体を均一に混合させることができる。
【0023】
本発明の混合槽は、前記第1流路における前記第2流路との交差部より第1流体の流動方向の上流側に設けられる堰と、前記第1流路における前記堰より第1流体の流動方向の上流側に設けられるポンプと、前記堰から第1流体の流動方向の上流側で且つ底部側に向けて延出して前記ポンプの吸込口の上方を覆うガイド板とが設けられることを特徴としている。
【0024】
従って、第1流路を流れる第1流体は、堰の手前でポンプにより一部の流体が吸い込まれるが、このポンプによる流体の吸い込み位置の上方側の流体中にガイド板が設けられていることから、ポンプによる空気の吸込が防止され、ポンプの損傷を抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の放水ノズル及び混合槽によれば、放水ノズル本体の長手方向における所定の位置で放水ノズル本体の長手方向に交差する方向に沿うと共に流体噴出口側の一部を閉塞する第1隔壁部を設けるので、複数種類の流体を均一に混合させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る放水ノズル及び混合槽の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0028】
[第1実施形態]
図1は、海水排煙脱硫装置を表す概略構成図である。
【0029】
排煙脱硫吸収塔11は、硫黄分を含んだ排ガスGと海水Wとを気液接触させることで、排ガスGを浄化するものである。排煙脱硫吸収塔11は、上部に複数の噴霧ノズル12が設けられており、この噴霧ノズル12は、海水Wを供給する海水供給ラインL1が連結されており、この海水供給ラインL1は、海水供給ポンプ13が設けられている。また、排煙脱硫吸収塔11は、下部に排ガスGを導入する排ガス導入ラインL2が連結されると共に、上端部に浄化ガスGpを排出する浄化ガス排出流路L3が連結されている。また、排煙脱硫吸収塔11は、下端部に排ガスGから硫黄分を除去した処理水(硫黄分吸収海水)Wsを貯留する貯水部14が設けられている。
【0030】
酸化槽15は、曝気装置(エアレーション装置)16が設けられている。曝気装置16は、酸化槽15に空気Aを供給するものである。曝気装置16は、空気Aを供給するブロア17と、散気管18と、複数の噴出ノズル19とを有している。
【0031】
排煙脱硫吸収塔11から酸化槽15に処理水Wsを送給する処理水送給ラインL4が設けられている。また、海水供給ラインL1は、下流側が海水元供給ラインL5に連結されており、海水元供給ラインL5は、下流側が酸化槽15に連結されている。そして、酸化槽15は、水質回復海水Wrを排出する海水排出ラインL6が設けられている。
【0032】
そのため、海水供給ポンプ13が駆動すると、海水Wが海水供給ラインL1に汲み上げられ、一部の海水Wが排煙脱硫吸収塔11に供給される。排煙脱硫吸収塔11は、排ガス導入ラインL2から排ガスGが導入されると共に、複数の噴霧ノズル12から海水Wが上方に液柱状に噴出される。そのため、排ガスGが海水Wに接触することで、排ガスG中の硫黄分が除去され、浄化ガスGpが浄化ガス排出流路L3から排出される一方、硫黄分を含んだ処理水Wsが貯水部14に貯留される。
【0033】
貯水部14の処理水Wsは、処理水送給ラインL4により酸化槽15に送られる。また、一部の海水Wが海水元供給ラインL5により処理水送給ラインL4に供給される。そのため、この処理水送給ラインL4にて、処理水Wsが海水Wにより希釈され、処理水WsのpHが上昇する。酸化槽15にて、ブロア17が作動することで、空気Aを散気管18を通して複数の噴出ノズル19に供給すると、この噴出ノズル19は、処理水Wsと海水Wとの混合水に空気Aを噴出する。すると、混合水に酸素が溶解することで、処理水Wsが水質回復されて水質回復海水Wrとなる。そして、この水質回復海水Wrは、海水排出ラインL6により海へ放流される。
【0034】
ここで、第1実施形態の混合槽について説明する。この混合槽は、処理水送給ラインL4と海水元供給ラインL5と酸化槽15により構成される。
図2は、酸化槽を表す平面図、
図3は、酸化槽を表す側面図である。
【0035】
図2及び
図3に示すように、混合槽において、海水元供給ラインL5は、第1流路21により構成されており、下流側に酸化槽15が配置されている。処理水送給ラインL4は、第2流路22によって構成され、下流側端部に放水ノズル23が接続されている。第1流路21は、第1流体としての海水Wが流れ、第2流路22は、第2流体としての処理水Wsが流れ、第1流路21に対して水平方向に交差(直交)するように第2流路22が設けられており、放水ノズル23は、第2流路22を流れる処理水Wsを第1流路21における海水Wの流れ方向に向けて噴出するものである。
【0036】
放水ノズル23は、第2流路22の下流側の端部に接続され、流路断面積が同様に設定されている。放水ノズル23は、第1流路21の側部から貫通するように、この第1流路21の幅方向に沿ってその全域に配置されている。第1流路21は、放水ノズル23における海水Wの流れ方向の上流側と下流側に堰24,25が設けられている。堰24,25は、放水ノズル23や酸化槽15の水位を確保するためのものである。また、第1流路21は、堰24より海水Wの流れ方向の上流側に海水供給ポンプ13が設けられている。
【0037】
そのため、第1流路21は、海水Wが流れ、海水供給ポンプ13により一部の海水Wが汲み上げられて排煙脱硫吸収塔11に供給される。排煙脱硫吸収塔11により脱硫処理して生成された処理水Wsは、第2流路22を通って第1流路21側に戻され、放水ノズル23からこの第1流路21に噴出される。そして、処理水Wsは、海水Wにより希釈されて混合水Wmとなり、酸化槽15でpHが調整されて水質回復海水Wr(
図1参照)となる。
【0038】
以下、放水ノズル23について詳細に説明する。
図4は、第1実施形態の放水ノズルを表す平面図、
図5は、
図4のV−V断面図、
図6は、第1流路における流体噴出口を表す断面図である。
【0039】
放水ノズル23は、
図4及び
図5に示すように、中空形状をなすと共に断面が矩形状をなす放水ノズル本体31を有し、放水ノズル本体31は、基端部が第2流路22の下流側端部に連結され、先端部が閉塞部31aにより閉塞している。放水ノズル本体31は、長手方向における所定の位置に第1隔壁部32,33が固定されている。第1隔壁部32,33は、放水ノズル本体31の長手方向に交差(直交)する方向に沿う板材であり、放水ノズル本体31の長手方向に対して均等間隔で配置されている。また、この第1隔壁部32,33は、放水ノズル本体31の流路を第1流路21(
図2参照)における下流側の一部を閉塞するように設けられている。この場合、基端部側に位置する第1隔壁部32に対して、先端部側に位置する第1隔壁部33の方が、第1流路21(
図2参照)におけるより上流側まで大きな範囲を閉塞する。
【0040】
また、放水ノズル本体31は、長手方向に交差(直交)する方向における所定の位置に第2隔壁部34,35が固定されている。第2隔壁部34,35は、放水ノズル本体31の長手方向に沿う板材であり、基端部が第2流路22の下流側端部に位置し、先端部が第1隔壁部32,33の端部に接続されている。そのため、放水ノズル本体31は、内部がL字形に接続される第1隔壁部32及び第2隔壁部34により第1分割流路36が区画され、L字形に接続される第1隔壁部33及び第2隔壁部35により第2分割流路37と第3分割流路38が区画される。
【0041】
第1分割流路36は、基端部側の入口部が第2流路22の下流側端部に連通し、先端部が第1隔壁部32により閉塞された流路であり、第1流路21の下流側に向けて第2流体を噴出する流体噴出口39が放水ノズル本体31の長手方向に所定間隔をあけて複数(本実施形態では、3個)設けられている。そして、第1分割流路36は、第2流路22に連通する入口部の流路断面積に対して、3個の流体噴出口39の合計の開口面積が小さく設定されている。
【0042】
第2分割流路37は、放水ノズル本体31の長手方向に沿って基端部側の入口部が第2流路22の下流側端部に連通する上流側流路37aと、放水ノズル本体31の長手方向の交差する方向に沿って基端部側が上流側流路37aの先端部側に連通する下流側流路37bとにより構成されている。そして、下流側流路37bは、第1流路21の下流側に向けて第2流体を噴出する流体噴出口40が放水ノズル本体31の長手方向に所定間隔をあけて複数(本実施形態では、3個)設けられている。そして、第2分割流路37は、上流側流路37aの流路断面積に対して、下流側流路37bの流路断面積が大きく設定されると共に、下流側流路37bの流路断面積に対して、3個の流体噴出口40の合計の開口面積が小さく設定されている。
【0043】
第3分割流路38は、放水ノズル本体31の長手方向に沿って基端部側の入口部が第2流路22の下流側端部に連通する上流側流路38aと、放水ノズル本体31の長手方向に交差する方向に沿って基端部側が上流側流路38aの先端部側に連通する下流側流路38bとにより構成されている。そして、下流側流路38bは、第1流路21の下流側に向けて第2流体を噴出する流体噴出口41が放水ノズル本体31の長手方向に所定間隔をあけて複数(本実施形態では、3個)設けられている。そして、第3分割流路38は、上流側流路38aの流路断面積に対して、下流側流路38bの流路断面積が大きく設定されると共に、下流側流路38bの流路断面積に対して、3個の流体噴出口41の合計の開口面積が小さく設定されている。
【0044】
この第1分割流路36と第2分割流路37の上流側流路37aと第3分割流路38の上流側流路38aは、放水ノズル本体31の幅方向、つまり、第1流路21の長手方向に沿って並設されている。また、第1分割流路36と第2分割流路37の下流側流路37bと第3分割流路38の下流側流路38bは、放水ノズル本体31の長手方向、つまり、第1流路21の長手方向に交差する方向に沿って並設されている。
【0045】
また、複数の分割流路36,37,38は、第1分割流路36、第2分割流路37、第3分割流路38の順に、入口部の流路断面積(第1分割流路36と上流側流路37aと上流側流路38aの幅)が小さくなるように設定されている。また、複数の分割流路36,37,38は、流体噴出口39,40,41側の流路断面積(第1分割流路36と下流側流路37bと下流側流路38bの幅)が同じに設定されている。
【0046】
なお、流体噴出口39,40,41は、放水ノズル本体31の縦壁と上部壁との間の角部に設けられているが、縦壁に設けたり、上部壁に設けたりしてもよい。また、流体噴出口39,40,41は、放水ノズル本体31を構成する板材の板厚方向に沿って形成したが、
図6に示すように、流体噴出口39だけを第2流路22側の水平方向に傾斜させてもよい。
【0047】
ここで、放水ノズル23の作用について説明する。
図2に示すように、第1流路21を流れる第1流体は、海水供給ポンプ13により一部が吸い込まれて排煙脱硫吸収塔11(
図1参照)に送られ、残りがそのまま酸化槽15に流れ込む。排煙脱硫吸収塔11から排出された第2流体は、第2流路22から放水ノズル23に流れ込む。放水ノズル23は、この第2流体を第1流路21の第1流体中に供給する。
【0048】
図4に示すように、第2流路22から放水ノズル本体31に流れ込んだ第2流体(処理水)Wsは、複数の分割流路36,37,38に分岐して流れ込み、各流体噴出口39,40,41から第1流体に対して噴出される。即ち、第2流路22から第1分割流路36に導入された第2流体Ws1は、流路断面積が大きく、且つ、先端部が第1隔壁部32により閉塞されていることから、流速が低下する。そして、各流体噴出口39から加速されて第1流路21における第1流体Wの流れ方向に向けて噴出される。この場合、第1分割流路36に導入された第2流体Ws1は、流速が低下することから、放水ノズル本体31の流れ方向の成分が弱くなり、また、流体噴出口39を通過することから、第1流体Wの流れ方向の成分が強くなる。そのため、流体噴出口39から第1流路21に噴出される第2流体Ws1は、第1流体Wの流れ方向に沿うものとなる。
【0049】
また、第2流路22から第2、第3分割流路37,38に導入された第2流体Ws2,Ws3は、上流側流路37a,38aから下流側流路37b,38bに流れ込んだとき、流路断面積が大きくなり、且つ、先端部が第1隔壁部33及び閉塞部31aにより閉塞されていることから、流速が低下する。そして、各流体噴出口40,41から加速されて第1流路21における第1流体Wの流れ方向に向けて噴出される。この場合、第2、第3分割流路37,38に導入された第2流体Ws2,Ws3は、流速が低下することから、放水ノズル本体31の流れ方向の成分が弱くなり、また、流体噴出口40,41を通過することから、第1流体Wの流れ方向の成分が強くなる。そのため、流体噴出口40,41から第1流路21に噴出される第2流体Ws2,Ws3は、第1流体Wの流れ方向に沿うものとなる。
【0050】
そのため、各分割流路36,37,38の流体噴出口39,40,41から噴出される第2流体Ws1,Ws2,Ws3は、それぞれ第1流体Wの流れ方向に沿うと共に、流速が近似するものとなり、酸化槽15での渦の発生を抑制して均一に混合することとなる。
【0051】
このように第1実施形態の放水ノズルにあっては、中空形状をなして第2流路22が連結されると共に第1流路21に交差するように配置される放水ノズル本体31と、放水ノズル本体31の長手方向に所定間隔をあけて設けられる流体噴出口39,40,41と、放水ノズル本体31の長手方向における所定の位置で放水ノズル本体31の長手方向に交差する方向に沿うと共に流体噴出口39,40,41側の一部を閉塞する第1隔壁部32,33とを設けている。
【0052】
従って、第2流路22から放水ノズル本体31内に導入された第2流体Wsは、第1隔壁部32,33により流速が低下してから流体噴出口39,40,41を通して第1流路21における第1流体Wの流れ方向に向けて噴出される。そのため、放水ノズル本体31における流体噴出口39,40,41から第1流体Wに噴出される第2流体Wsは、この第1流体Wの流れ方向に沿って噴出され、且つ、流速が近似される。そのため、複数種類の流体W,Wsを均一に混合させることができる。
【0053】
第1実施形態の放水ノズルでは、放水ノズル本体31の長手方向に沿うと共に一端部が第1隔壁部32,33に接続されることで、放水ノズル本体内に複数の分割流路36,37,38を形成する第2隔壁部34,35を設けている。従って、第2流路22から放水ノズル本体31内に導入された第2流体Wsは、複数の分割流路36,37,38に分けられてから、各流体噴出口39,40,41を通して第1流路21に噴出されることとなり、第2流体Wsの流速を適正に低下させてから第1流路21に噴出することができる。
【0054】
第1実施形態の放水ノズルでは、複数の分割流路36,37,38は、第1分割流路36における入口部の流路断面積が、第2、第3分割流路37,38における入口部の流路断面積より大きく設定されている。従って、放水ノズル本体31の入口部に近い第1分割流路36を流れる第2流体Wsの流速を適正に低下させることができる。
【0055】
第1実施形態の放水ノズルでは、第2、第3分割流路37,38として、放水ノズル本体31の長手方向に沿う上流側流路37a,38aと、放水ノズル本体31の長手方向に交差する方向に沿う下流側流路37b,38bを設け、上流側流路37a,38aの流路断面積より下流側流路37b,38bの流路断面積が大きく設定されている。従って、上流側流路37a,38aに導入された第2流体Ws2,Ws3は、流路断面積が大きくなった下流側流路37b,38bに流れ込むことでその流速が低下し、流体噴出口40,41を通して第1流路21における第1流体Wの流れ方向に向けて噴出することとなり、第2、第3分割流路37,38から第1流路21に噴出される第2流体Wsの流速を低下させることができる。
【0056】
第1実施形態の放水ノズルでは、分割流路36,37,38は、第2流路22に連通する入口部の流路断面積に対して流体噴出口39,40,41の開口面積を小さく設定している。従って、第2流路22から分割流路36,37,38に導入された第2流体Wsは、開口面積が小さい流体噴出口39,40,41から加速されて第1流体Wに噴出されることとなり、第1流路21を流れる第1流体Wの流れ方向と流体噴出口39,40,41から噴出される第2流体Wsの流れ方向を平行に近づけることができる。
【0057】
第1実施形態の放水ノズルでは、放水ノズル本体31を矩形断面形状とし、複数の分割流路36,37,38を第1流路21の長手方向に沿って並設している。従って、放水ノズル本体31内に複数の分割流路36,37,38を容易に区画することができ、製造コストを低減することができる。
【0058】
また、第1実施形態の混合槽にあっては、第1流体Wが流れる第1流路21と、第1流路21に交差するように第2流体Wsが流れる第2流路22と、第2流路22を流れる第2流体Wsを第1流路21における第1流体Wの流れ方向に向けて噴出する放水ノズル23とを設けている。
【0059】
従って、第2流路22を流れる第2流体Wsを第1流路21における第1流体Wの流れ方向に向けて噴出して混合するとき、放水ノズル本体31における流体噴出口39,40,41から第1流体Wに噴出される第2流体Wsは、この第1流体Wの流れ方向に沿って噴出され、且つ、流速が近似されることとなり、複数種類の流体W,Wsを均一に混合させることができる。
【0060】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の放水ノズルを表す平面図、
図8−1は、流路の配置構成を表す
図7のVIII−VIII断面図、
図8−2は、流路の配置構成の変形例を表す断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0061】
第2実施形態において、
図7に示すように、第2流路22は、中空形状をなすと共に断面が円形状をなす配管であって、放水ノズル50は、中空形状をなすと共に断面が円形状をなす複数の配管からなる放水ノズル本体51を有し、放水ノズル本体51は、基端部が第2流路22の下流側端部に連結され、先端部が閉塞している。放水ノズル本体51は、長さの異なる3個の配管により第1分割流路52と第2分割流路53と第3分割流路54から構成されている。
【0062】
各分割流路52,53,54は、同様な流路断面積に設定され、基端部側の入口部52a,53a,54aが第2流路22の下流側端部に連通している。各分割流路52,53,54は、第1分割流路52、第2分割流路53、第3分割流路54の順に長さが長く設定されており、先端部が閉塞している。なお、各分割流路52,53,54の閉塞部が本発明の第1隔壁部であり、各分割流路52,53,54の壁部が本発明の第2隔壁部である。
【0063】
第1分割流路52は、第1流路21の下流側に向けて第2流体を噴出する流体噴出口55が放水ノズル本体51の長手方向に所定間隔をあけて複数(本実施形態では、3個)が設けられている。また、第2、第3分割流路53,54は、第1流路21の下流側に向けて第2流体を噴出する流体噴出口56,57が放水ノズル本体51の長手方向に所定間隔をあけて複数(本実施形態では、3個)が設けられている。そして、各分割流路52,53,54は、第2流路22に連通する入口部52aの流路断面積に対して流体噴出口55(3個)の合計の開口面積が小さく設定されている。また入口部53aの流路断面積に対しても流体噴出口56(3個)の合計の開口面積が小さく設定されており、更に入口部54aの流路断面積に対しても流体噴出口57(3個)の合計の開口面積が小さく設定されている。
【0064】
なお、複数の分割流路52,53,54を構成する配管は、
図8−1に示すように、水平方向に直列に並設して設けたり、
図8−2に示すように、三角状に配置してもよい。
【0065】
そのため、第2流路22から放水ノズル本体51に流れ込んだ第2流体(処理水)Wsは、複数の分割流路52,53,54に分岐して流れ込み、各流体噴出口55,56,57から第1流体Wに対して噴出される。即ち、第2流路22から各分割流路52,53,54に導入された第2流体Ws1,Ws2,Ws3は、先端部が閉塞されていることから、流速が低下する。そして、各流体噴出口55,56,57から加速されて第1流路21における第1流体Wの流れ方向に向けて噴出される。この場合、各分割流路52,53,54に導入された第2流体Ws1,Ws2,Ws3は、流速が低下することから、放水ノズル本体51の流れ方向の成分が弱くなり、また、絞られた流体噴出口55,56,57を通過することから、加速されて第1流体Wの流れ方向の成分が強くなる。そのため、流体噴出口55,56,57から第1流路21に噴出される第2流体Ws1,Ws2,Ws3は、第1流体Wの流れ方向に沿うものとなり、流速が近似されて酸化槽15で均一に混合する。
【0066】
このように第2実施形態の放水ノズルにあっては、放水ノズル本体51に配管によって複数の分割流路52,53,54を構成している。従って、製造コストを低減することができる。
【0067】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態の放水ノズルを表す平面図、
図10は、
図9のX−X断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
第3実施形態において、
図9及び
図10に示すように、放水ノズル60は、中空形状をなすと共に断面が円形状をなす放水ノズル本体61を有し、放水ノズル本体61は、基端部が第2流路22の下流側端部に連結され、先端部が閉塞部61aにより閉塞している。放水ノズル本体61は、長手方向における所定の位置に第1隔壁部62が固定されている。第1隔壁部62は、放水ノズル本体61の長手方向に交差(直交)する方向に沿う円形板材であり、放水ノズル本体61の長手方向における中間部に配置されている。また、この第1隔壁部62は、放水ノズル本体61の流路を第1流路21(
図2参照)における下流側の一部を閉塞するように設けられている。
【0069】
また、放水ノズル本体61は、長手方向に交差(直交)する方向における所定の位置に第2隔壁部63が固定されている。第2隔壁部63は、放水ノズル本体61の長手方向に沿う円筒形状をなす板材であり、基端部が第2流路22の下流側端部に位置し、先端部が第1隔壁部62の端部に接続されている。そのため、放水ノズル本体61は、内部が先端部の閉塞した配管形状をなす第1隔壁部62及び第2隔壁部63により第1分割流路64と第2分割流路65が区画される。
【0070】
第1分割流路64は、基端部側の入口部が第2流路22の下流側端部に連通し、先端部が第1隔壁部62により閉塞された流路であり、第1流路21の下流側に向けて第2流体を噴出する流体噴出口66が放水ノズル本体61の長手方向に所定間隔をあけて複数(本実施形態では、5個)設けられている。そして、第1分割流路64は、第2流路22に連通する入口部の流路断面積に対して、5個の流体噴出口66の合計の開口面積が小さく設定されている。
【0071】
第2分割流路65は、放水ノズル本体61の長手方向に沿って基端部側の入口部が第2流路22の下流側端部に連通する上流側流路65aと、放水ノズル本体61の長手方向に交差する方向に沿って基端部側が上流側流路65aの先端部側に連通する下流側流路65bとにより構成されている。そして、下流側流路65bは、第1流路21の下流側に向けて第2流体を噴出する流体噴出口67が放水ノズル本体61の長手方向に所定間隔をあけて複数(本実施形態では、5個)設けられている。そして、第2分割流路65は、上流側流路65aの流路断面積に対して、下流側流路65bの流路断面積が大きく設定されると共に、下流側流路65bの流路断面積に対して、5個の流体噴出口67の合計の開口面積が小さく設定されている。
【0072】
そのため、第2流路22から放水ノズル本体61に流れ込んだ第2流体(処理水)Wsは、複数の分割流路64,65に分岐して流れ込み、各流体噴出口66,67から第1流体Wに対して噴出される。即ち、第2流路22から第1分割流路64に導入された第2流体Ws1は、流路断面積が大きく、且つ、先端部が第1隔壁部62により閉塞されていることから、流速が低下する。そして、各流体噴出口66から加速されて第1流路21における第1流体Wの流れ方向に向けて噴出される。この場合、第1分割流路64に導入された第2流体Ws1は、流速が低下することから、放水ノズル本体61の流れ方向の成分が弱くなり、また、流体噴出口66を通過することから、第1流体Wの流れ方向の成分が強くなる。そのため、流体噴出口66から第1流路21に噴出される第2流体Ws1は、第1流体Wの流れ方向に沿うものとなる。
【0073】
また、第2流路22から第2分割流路65に導入された第2流体Ws2は、上流側流路65aから下流側流路65bに流れ込んだとき、流路断面積が大きくなり、且つ、先端部が閉塞部61aにより閉塞されていることから、流速が低下する。そして、各流体噴出口67から加速されて第1流路21における第1流体Wの流れ方向に向けて噴出される。この場合、第2分割流路65に導入された第2流体Ws2は、流速が低下することから、放水ノズル本体61の流れ方向の成分が弱くなり、また、流体噴出口67を通過することから、第1流体Wの流れ方向の成分が強くなる。そのため、流体噴出口67から第1流路21に噴出される第2流体Ws2は、第1流体Wの流れ方向に沿うものとなる。
【0074】
すると、各分割流路64,65の流体噴出口66,67から噴出される第2流体Ws1,Ws2は、それぞれ第1流体Wの流れ方向に沿うと共に、流速が近似するものとなり、酸化槽15での渦の発生を抑制して均一に混合することとなる。
【0075】
このように第3実施形態の放水ノズルにあっては、中空形状をなして第2流路22が連結されると共に第1流路21に交差するように配置される放水ノズル本体61と、放水ノズル本体61の長手方向に所定間隔をあけて設けられる流体噴出口66,67と、放水ノズル本体61の内部に設けられた第1隔壁部62及び第2隔壁部63とを設けている。
【0076】
従って、第2流路22から放水ノズル本体61内に導入された第2流体Wsは、第1、第2分割流路64,65により流速が低下してから流体噴出口66,67を通して第1流路21における第1流体Wの流れ方向に向けて噴出される。そのため、放水ノズル本体61における流体噴出口66,67から第1流体Wに噴出される第2流体Wsは、この第1流体Wの流れ方向に沿って噴出され、且つ、流速が近似される。そのため、複数種類の流体W,Wsを均一に混合させることができる。
【0077】
[第4実施形態]
図11は、第4実施形態の取水ピットを表す側面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0078】
第4実施形態において、
図11に示すように、第1流路21は、第2流路22が接続される位置より第1流体Wの流動方向の上流側に堰24が設けられ、この堰24より第1流体Wの流動方向の上流側に海水供給ポンプ13が設けられている。そして、この堰24から第1流体Wの流動方向の上流側で且つ底部側に向けて延出して海水供給ポンプ13の吸込口13aの上方を覆うガイド板71が設けられている。
【0079】
このガイド板71は、一端部が堰24の上端部に連結されて他端部が第1流体Wの流動方向の上流側に延出する第1ガイド72と、一端部が第1ガイド72に連結されて他端部が第1流体Wの流動方向の上流側へ底部側に向けて延出する第2ガイド73とから構成されている。第1ガイド72は、水平に配置され、両側部が第1流路21の側部に連結されている。海水供給ポンプ13は、この第1ガイド72を貫通し、吸込口13aが第1ガイド72の下方に位置している。第2ガイド73は、第1流体Wの流動方向の上流側に向かって下方に所定角度で傾斜して配置されている。この場合、第2ガイド73の先端部の位置は、堰24の高さの半分の高さより下方に位置することが望ましい。
【0080】
そのため、第1流路21を流れる第1流体Wは、ガイド板71により上方を流れる第1流体W1と、下方を流れる第1流体W2に分けられ、第1流体W1は、堰24を乗り越えて流れる一方、第1流体W2は、一部が海水供給ポンプ13に吸込まれる。このとき、海水供給ポンプ13の吸込口13aが、ガイド板71より下方に位置しており、且つ、第2ガイド73の先端部の位置は、第1流体Wの高さに対してH1>H2に設定されていることから、外部から吸込口13aの近傍に空気が取り込まれることはなく、海水供給ポンプ13による空気の吸込が防止される。
【0081】
このように第4実施形態の放水ノズルにあっては、第1流路21における堰24から第1流体Wの流動方向の上流側で且つ底部側に向けて延出して海水供給ポンプ13の吸込口13aの上方を覆うガイド板71を設けている。
【0082】
従って、第1流路21を流れる第1流体Wは、堰24の手前で海水供給ポンプ13により一部の流体Wが吸い込まれるが、この海水供給ポンプ13による第1流体Wの吸い込み位置の上方側の流体中にガイド板71が設けられていることから、海水供給ポンプ13による空気の吸込が防止され、海水供給ポンプ13の損傷を抑制することができる。