(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記情報生成部は、前記反射光を受光した前記受光セルのピクセル情報に基づき取得された前記第1方向の位置情報と、前記レーザ光が照射されてから前記受光ラインセンサで受光されるまでの光往復時間から取得された計測対象エリアまでの距離情報と、前記レーザ光を照射した際の前記スキャナの送光制御角度に基づき取得された前記第2方向の位置情報とから前記計測対象エリアの3次元情報を生成することを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、長尺受光素子を受光素子の長尺方向と直交する方向にアレイ状に並べた長尺受光素子アレイを備え、アレイ状に並べられた各長尺受光素子が受信した受信信号を加算する加算回路が必要となり、装置構成及び信号処理が煩雑になる問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、受光側のスキャンレスを簡単な構成で実現できるレーザレーダ装置、及び、走行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、レーザ光源と、レーザ光源から発光されるレーザ光を所定の第1方向に延びるライン状に成形する送光側レンズと、ライン状に成形されたレーザ光を、計測対象エリアにおける第1方向に直交する第2方向に走査させながら照射するスキャナと、計測対象エリアから反射される反射光を受光する受光側レンズと、受光側レンズの下流側に配置され、第1方向に沿って並べられた複数の受光セルを有する受光ラインセンサと、受光側レンズと受光ラインセンサとの間に配置され、受光側レンズで受光された反射光を受光ラインセンサに向けて集光するとともに、第2方向に集光される倍率が第1方向に集光される倍率よりも大きく設定された受光側光学系と、受光ラインセンサが出力した受信信号に基づき、計測対象エリアの3次元情報を生成する情報生成部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第1方向に沿って並べられた複数の受光セルを有する受光ラインセンサと、受光側レンズと受光ラインセンサとの間に配置され、受光側レンズで受光された反射光を受光ラインセンサに向けて集光するとともに、第2方向に集光される倍率が第1方向に集光される倍率よりも大きく設定された受光側光学系とを備えるため、計測対象エリア全体を受光ラインセンサのセンサ視野に収めることができ、受光側のスキャンレスを簡単な構成で実現できる。
【0009】
この構成において、受光側光学系は、受光側レンズの結像位置付近、または後方に配置されリレーレンズと、リレーレンズから伝送された略平行光束を受光ラインセンサに向けて集光させる集光レンズとを備えても良い。この構成によれば、2種類のレンズを組み合わせた簡単な構成で、受光側レンズの結像情報を受光ラインセンサに集光させることができる。
【0010】
また、情報生成部は、反射光を受光した受光セルのピクセル情報に基づき取得された第1方向の位置情報と、レーザ光が照射されてから受光ラインセンサで受光されるまでの光往復時間から取得された計測対象エリアまでの距離情報と、レーザ光を照射した際のスキャナの送光制御角度に基づき取得された第2方向の位置情報とから計測対象エリアの3次元情報を生成しても良い。この構成によれば、受光側の視野スキャンにより受信信号の空間位置座標取得が不要となるため、3次元情報を生成するための信号処理の負荷を軽減できる。
【0011】
また、上記したレーザレーダ装置を走行体に搭載しても良い。この構成によれば、走行体の走行経路の3次元情報を常に取得することができ、走行体の運転支援を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1方向に沿って並べられた複数の受光セルを有する受光ラインセンサと、受光側レンズと受光ラインセンサとの間に配置され、受光側レンズで受光された反射光を受光ラインセンサに向けて集光するとともに、第2方向に集光される倍率が第1方向に集光される倍率よりも大きく設定された受光側光学系とを備えるため、計測対象エリア全体を受光ラインセンサのセンサ視野に収めることができ、受光側のスキャンレスを簡単な構成で実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0015】
図1は、本実施形態に係るレーザレーダ装置の概略構成図である。レーザレーダ装置1は、
図1に示すように、予め設定された所定の計測対象エリアAに対し、例えば、水平方向(第1方向)Xに延びるライン状のレーザ光Lを、この水平方向Xに直交する垂直方向(第2方向)Yに走査しながら照射し、このレーザ光Lの反射光Rを受光して計測対象エリアAの3次元情報を生成する。このレーザレーダ装置1は、例えば、線路上を走行する列車などの車両(走行体)の進行方向前方に搭載され、車両の進行方向に設定された計測対象エリアの3次元情報を生成する。これにより、生成された3次元情報を利用して、車両の進行方向に障害物が存在するか否かを判別できる。
【0016】
レーザレーダ装置1は、
図1に示すように、レーザ光源11と、送光側レンズ12と、スキャナ13と、受光側レンズ16と、受光側光学系17と、受光ラインセンサ18と、アンプ回路19と、距離演算部20と、情報生成部21と、光源制御部30と、スキャナ制御部31と、を有する。光源制御部30は、レーザ光源11の動作を制御する。スキャナ制御部31は、スキャナ13の動作を制御する。光源制御部30は、レーザレーダ装置1のマスタークロックを有し、レーザ光Lの発光と同時にパルス状の発光同期信号を距離演算部20に発信する。
【0017】
レーザレーダ装置1は、水平方向Xに延びるライン状のレーザ光Lを、計測対象エリアAの垂直方向Yに走査しながら照射する。計測対象エリアAは、レーザレーダ装置1から所定距離離れた位置に設定されたエリアである。レーザレーダ装置1が、例えば、列車などの車両に搭載された場合には、計測対象エリアAは車両の走行に応じて随時更新される。
【0018】
レーザ光源11は、レーザ光Lを発光する。レーザ光Lは、例えば、200〜2000nmの波長のレーザ光が用いられる。特に、レーザレーダ装置1を屋外の広い空間で使用する場合には、800〜2000nmの波長のレーザ光を用いることで、安定した計測を実現できる。レーザ光源11は、例えば、レーザダイオードなどから構成され、光源制御部30の発光指令に基づきレーザ光Lをパルス状に発光する。送光側レンズ12は、円筒型凸レンズで構成され、レーザ光源11から発光されるレーザ光Lをライン状に成形する。本実施形態では、送光側レンズ12の軸方向を水平方向Xに合わせることで、レーザ光Lは水平方向Xに延びるライン状に成形される。スキャナ13は、ライン状に成形されたレーザ光Lを、計測対象エリアAの垂直方向Yに走査する。
【0019】
スキャナ13は、計測対象エリアAを走査する機能を有し、ライン状のレーザ光Lを反射させる反射ミラー14と、反射ミラー14で反射したライン状のレーザ光Lを垂直方向Yに走査させる垂直走査部15とを備える。反射ミラー14は、送光側レンズ12でライン状に成形されたレーザ光Lを垂直走査部15に反射する。垂直走査部15は、例えば、ガルバノスキャナにより構成され、平面鏡であるガルバノミラー15aと、ガルバノミラー15aの鏡面を揺動させる駆動モータ15bと、を備えている。垂直走査部15は、スキャナ制御部31の制御の下、駆動モータ15bを駆動させてガルバノミラー15aを揺動させる。これにより、反射ミラー14を反射したレーザ光Lの垂直方向の角度が変更され、計測対象エリアAの垂直方向Yに走査される。なお、本実施形態では、垂直走査部15の一例として、ガルバノスキャナを用いた構成を説明したが、この構成に限るものではなく、例えば、ポリゴンミラーを有するポリゴンスキャナを用いても良い。また、送光側レンズ12の光軸上に垂直走査部15を配置できる構成では、反射ミラー14を設けなくても良い。
【0020】
スキャナ制御部31は、所定の走査パターンに基づき、駆動モータ15bの動作を制御する。これにより、ライン状のレーザ光Lは、走査パターンに則して計測対象エリアAに照射され、この照射された点(領域)が計測点Sとなる。この場合、スキャナ制御部31は、各計測点Sに対応するガルバノミラー15aのミラー角(送光制御角度)を取得し、このミラー角を情報生成部21に発信する。本実施形態では、スキャナ13は、ライン状のレーザ光Lをラインの延びる方向に垂直な方向に走査しながら計測対象エリアAに照射する。このため、計測対象エリアAに対する3次元計測レートが向上し、計測対象エリアAの計測を短時間に行うことができる。
【0021】
また、受光側レンズ16は、計測対象エリアAの各計測点Sから反射される反射光Rを受光する。受光側光学系17は、受光側レンズ16で受光された反射光Rを垂直方向Yに集光する。
【0022】
図2は、受光側光学系を含む周辺構成を示す模式図であり、
図3は、集光レンズの構成を示す斜視図である。
図2に示すように、計測対象エリアAの各計測点Sで反射される反射光Rは、それぞれ受光側レンズ16で受光される。この受光側レンズ16は、各計測点Sの像を受光側レンズ16の下流側の所定位置(結像位置)で結像する。
【0023】
受光側光学系17は、受光側レンズ16の結像位置に配置されるリレーレンズ35と、このリレーレンズ35の下流側に配置される集光レンズ36とを備える。この
図2では、リレーレンズ35と集光レンズ36とを1枚ずつ備えた構成としているが、各レンズを複数組み合わせたレンズユニットとしても良いことは勿論である。リレーレンズ35は、凸レンズで構成され、結像位置における受光側レンズ16の結像情報を保持したまま、それ以降の光束を略平行化するレンズであり、この結像情報をそのまま集光レンズ36に伝送する機能を有する。また、本実施形態では、リレーレンズ35は、受光側レンズ16の結像位置に配置する構成としたが、これに限るものではなく、受光側レンズ16の結像位置付近、または結像位置の後方に配置しても良い。
【0024】
集光レンズ36は、
図3に示すように、反射光Rの入射側が曲面36a、出射側が平面36bの円筒型凸レンズで構成される。この集光レンズ36は、垂直方向Yに集光される倍率が水平方向Xに集光される倍率よりも大きくなるように形成されている。すなわち、集光レンズ36は、リレーレンズ35から伝送された反射光Rの平行光束、すなわち結像情報のすべてを受光ラインセンサ18に向けて垂直方向Yに集光させる。このため、受光側光学系17は、2種類のレンズを組み合わせた簡単な構成で、受光側レンズ16の結像情報を受光ラインセンサ18に集光させることができ、受光側のスキャンレスを実現できる。
【0025】
受光ラインセンサ18は、水平方向Xに沿って並べられた複数(本実施形態では5つ)の受光セル18aを備えて構成される。各受光セル18aは、反射光Rを受光して電流に変換する光電変換素子(例えば、フォトダイオード)で形成されており、単一のピクセルを有する単一素子で形成されている。このため、短いパルスのレーザ光Lに応答することができる。
【0026】
この構成では、受光セル18aの数(5つ)に応じて、計測対象エリアAは、5つの分割エリアAaに区分けされる。そして、計測対象エリアAからの反射光Rは、分割エリアAaに対応して5つに空間分解され、分割エリアAaに対応する受光セル18aに受光される。この場合、分割エリアAaからの反射光Rは、集光レンズ36によって、垂直方向Yに集光されて、対応する受光セル18aに受光される。このため、受光ラインセンサ18には、計測対象エリアAからの反射光Rの平行光束、すなわち結像情報のすべてが集光される。
【0027】
受光ラインセンサ18は、受光側光学系17で集光された反射光Rを受光し、受光した反射光Rに含まれるレーザ光Lに基づいた受信信号を出力する。アンプ回路19は、受光ラインセンサ18が出力した受信信号を電圧信号として増幅する。受光ラインセンサ18が出力する受信信号は、微弱な電流信号であるため、アンプ回路19は、電流信号を電圧信号に変換して距離演算部20に出力する。本実施形態では、受光ラインセンサ18とアンプ回路19とを備えて受光部を構成する。
【0028】
距離演算部20は、アンプ回路19にて増幅された受信信号に基づき、計測対象エリアAの計測点Sの距離情報を演算する。距離演算部20は、光源制御部30から発信されたパルス状の発光同期信号とアンプ回路19から発信された受信信号とを受信し、レーザ光Lが照射された計測対象エリアAの計測点Sまでの距離を演算し、距離情報を情報生成部21に発信する。具体的には、距離演算部20は、発光同期信号と受信信号とに基づいてレーザ光Lを発光してから反射光Rを受光するまでの時間を計測するとともに、この計測時間に基づいてレーザ光Lを反射した計測点Sまでの距離を演算する。また、距離演算部20は、距離情報とともに、受信信号に含まれる受光強度を距離情報と関連づけて情報生成部21に発信しても良い。
【0029】
また、距離演算部20は、アンプ回路19にて増幅された受信信号に基づき、計測対象エリアAの計測点Sの水平方向Xの位置情報を演算する。具体的には、距離演算部20は、反射光Rを受光した受光セル18aのピクセル情報(番号)を取得し、このピクセル情報から計測点Sの水平方向Xの位置情報を演算し、この位置情報を情報生成部21に発信する。
【0030】
情報生成部21は、スキャナ制御部31から発信された計測点Sに関するガルバノミラー15aのミラー角(送光制御角度)を取得し、このミラー角に基づき、該計測点Sの垂直方向Yの位置情報を演算する。情報生成部21は、距離演算部20から受信した計測点Sの距離情報及び水平方向Xの位置情報と、計測点Sの垂直方向Yの位置情報に基づき、計測点Sにおける座標情報を取得し、計測対象エリアAに存在する複数の計測点Sの座標情報分布から計測対象エリアAの3次元情報を生成する。この構成では、受光側の視野スキャンによる受信信号の空間位置座標取得が不要となるため、3次元情報を生成するための信号処理の負荷を軽減できる。情報生成部21で生成された計測対象エリアAの3次元情報は、外部機器25(例えば、車両のコンピュータ等)に有線または無線にて送信され、この外部機器25で利用される。
【0031】
本実施形態のレーザレーダ装置1は、集光レンズ36は、リレーレンズ35から伝送された受光側レンズ16の結像情報のすべてを、各受光セル18aを横並びに配置した受光ラインセンサ18に集光する。このため、受光ラインセンサ18には、計測対象エリアAのどの計測点Sからの反射光Rも集光されることにより、受光ラインセンサ18は、常時、計測対象エリアAにおける区分された領域Aa全体をセンサの各受光セル視野に収めることができる。
【0032】
例えば、特許第5602225号公報に記載されている長尺受光素子を受光素子の長尺方向と直交する方向にアレイ状に並べた長尺受光素子アレイと、各長尺受光素子の受信信号を加算する加算回路とを備えることで、広い2次元視野の確保しつつ受光側のスキャンレスを実現している。しかし、従来技術では、長尺受光素子を受光素子の長尺方向と直交する方向にアレイ状に並べることで、長尺受光素子アレイが大型化してしまい、レーザレーダ装置の小型化という目的に反する恐れがある。また、アレイ状に並べられた各長尺受光素子が受信した受信信号を加算する加算回路が必要となり、装置構成が煩雑になる恐れがあった。これに対して、レーザレーダ装置1は、上述したように、受光側光学系17を設けたことにより、受光ラインセンサ18には、計測対象エリアAの反射光Rが垂直方向Yに集光されるため、計測対象エリアAのどの計測点Sからの反射光Rも受光ラインセンサ18に集光される。このため、受光ラインセンサ18は、常時、計測対象エリアA全体をセンサ視野に収めることができ、従って、計測対象エリアAからの反射光を単一の情報として取り扱うことができ、小型化を実現できる。
【0033】
ここで、単一ピクセルからなる受光セル18aを有する受光ラインセンサ18を受光側レンズ16の結像位置に配置する構成が想定される。しかし、この構成では、受光ラインセンサ18の受光セル18aの面積が、受光側レンズ16の結像位置での結像情報の面積に比べて極めて小さいため、計測対象エリアAの垂直方向Yの一部分しかセンサ視野に収めることができない。また、計測対象エリアAの垂直方向Y全体のセンサ視野を確保するためには、各受光セル18aの垂直方向Yの大きさ(高さ)を受光側レンズ16の結像位置での結像情報と同等以上の大きさとする必要がある。しかし、受光セル18aのセンサ画素サイズが大きくなると、受光セル(フォトダイオード)としての応答性が低下する問題がある。
【0034】
これに対して、本実施形態では、受光側光学系17は、受光側レンズ16の結像位置に配置されるリレーレンズ35と、このリレーレンズ35の下流側に配置される集光レンズ36とを備え、集光レンズ36は、リレーレンズ35から伝送された受光側レンズ16の結像情報のすべてを、受光セル18aを並べた受光ラインセンサ18に集光する。このため、応答性を低下することなく、受光側レンズ16の有する視野全体の情報を受光セル18aの画素形状に関係なくカバーすることを可能としている。このため、受光セル18aは、長方形、正方形や円形の画素が並んだラインセンサでも構成可能となり、センサの選択幅を広くすることができる。
【0035】
次に、受光素子の変形例について説明する。
図4は、受光ラインセンサの変形例を示す図である。上記した実施形態では、受光セル18aを水平方向Xに横並びに配置した受光ラインセンサ18を1つ設ける構成としたが、
図4に示すように、複数(例えば3つ)の受光ラインセンサ18を垂直方向Yにアレイ状に並べたラインセンサアレイ180とすることもできる。この構成では、垂直方向Yに並んだ残りの2つの受光ラインセンサ18は、予備的に配置されるものであり、レーザレーダ装置1の運用中に受光側レンズ16−リレーレンズ35−集光レンズ36による受光ラインセンサ18への集光位置がずれたり、集光サイズが最適点からずれて拡大した場合でも、ラインセンサアレイ180のうち、反射光が集光される受光ラインセンサ18を使用することができる。これによれば、反射光を確実に受光素子で受光することができ、計測品質を確保することができる。
【0036】
次に、本実施形態のレーザレーダ装置1の適用例について説明する。
図5−1は、線路上を走行する列車にレーザレーダ装置を搭載した構成を示す斜視図であり、
図5−2は、線路上を走行する列車にレーザレーダ装置を搭載した構成を示す側方視図である。この適用例では、レーザレーダ装置1を列車(走行体)100に搭載している。列車100は、線路101上を走行するものであり、運転士の操縦によって運転される構成や、コンピュータによって自動運転される構成であっても良い。
【0037】
レーザレーダ装置1は、列車100の前側上部に設けられ、この列車100の進行方向前方に設定される計測対象エリアAを監視するようになっている。このレーザレーダ装置1は、上述のように、受信側のスキャナを設けない構成であるため、レーザレーダ装置1の小型化を実現している。このため、このレーザレーダ装置1を搭載した列車100は、該レーザレーダ装置1の配置レイアウトによる列車100内の自由空間の減少、もしくは列車100外への突出部などの影響を最小限に抑えることができる。
【0038】
計測対象エリアAは、具体的には、列車100から所定距離D(例えば300〜500m)に亘って、線路101を含んだ進行方向前方の走行路面に設定されており、この計測対象エリアAは列車100の走行に応じて随時更新される。レーザレーダ装置1は、この計測対象エリアAに向けて、レーザ光Lを走査しながら照射し、各計測点Sの距離情報及び位置情報に基づき、計測対象エリアAの3次元情報を生成する。
【0039】
列車100は、図示は省略するが、外部機器25(
図1)として、レーザレーダ装置1から出力された計測対象エリアAの3次元情報を取得するコンピュータと、このコンピュータが3次元情報に基づいて描画した計測対象エリアAの形状を表示するディスプレイとを備える。これらコンピュータ及びディスプレイは、列車100の運転室に配置される。
【0040】
この構成では、レーザレーダ装置1が生成した3次元情報は、随時、列車100のコンピュータに出力され、このコンピュータを介して、ディスプレイに表示される。このため、例えば、線路101上に障害物102が存在する場合であっても、この障害物102を含んだ計測対象エリアAの形状がディスプレイに表示されるため、運転士への運転支援を実現することができる。また、ディスプレイに形状を表示するだけでなく、計測対象エリアAにおける進行方向への形状変化が所定の閾値を超えた場合には、障害物102が存在する可能性が高いとして、注意警報を発報する構成としてもよい。
【0041】
また、列車100がコンピュータによって自動運転される構成において、レーザレーダ装置1が生成した3次元情報に基づき、線路101上に障害物102が存在する場合には、列車100を停止することで安全な自動運転を実現できる。
【0042】
図6は、車両にレーザレーダ装置を搭載した構成を示す斜視図である。この適用例では、レーザレーダ装置1を車両(走行体)150に搭載している。車両150は、路面上を自在に走行するものであり、運転手の操縦によって運転される構成や、コンピュータによって自動運転される構成であっても良い。
【0043】
レーザレーダ装置1は、車両150の前側上部に設けられ、この車両150の進行方向前方の地形200上に設定される計測対象エリアAを監視するようになっている。このレーザレーダ装置1は、上述のように、受信側のスキャナを設けない構成であるため、レーザレーダ装置1の小型化を実現している。このため、このレーザレーダ装置1を搭載した車両150は、該レーザレーダ装置1の配置レイアウトによる車両150内の自由空間の減少、もしくは車両150外への突出部などの影響を最小限に抑えることができる。
【0044】
計測対象エリアAは、具体的には、車両150から所定距離D(例えば100m)に亘って、進行方向前方の地形200の表面に設定されており、この計測対象エリアAは車両150の走行に応じて随時更新される。レーザレーダ装置1は、この計測対象エリアAに向けて、レーザ光Lを走査しながら照射し、各計測点Sの距離情報及び位置情報に基づき、計測対象エリアA(地形200)の3次元情報を生成する。この
図6では、地形200は、起伏の大きな頂き部200Aと、起伏の小さな平坦部200Bとを備えるものとして説明する。
【0045】
車両150は、図示は省略するが、外部機器25(
図1)として、この車両150の経路案内を行うナビゲーション装置を備える。このナビゲーション装置は、ナビゲーション装置全体を制御する制御部と、経路(地図情報)を表示するディスプレイとを備え、計測対象エリアAの3次元情報は制御部に出力される。ナビゲーション装置は、計測対象エリアAの3次元情報に基づき、起伏の大きな頂き部200Aを避けて、起伏の小さな平坦部200Bを通る経路201を設定する。この構成によれば、起伏の激しい地形200を走行する場合であっても、なるべく平坦部200Bを含む経路201を走行することができ、運転手への運転支援を実現することができる。
【0046】
また、車両150がコンピュータによって自動運転される構成において、レーザレーダ装置1が生成した3次元情報に基づき、なるべく平坦部200Bを含む経路201を走行することで安全な自動運転を実現できる。
【0047】
上記した適用例では、レーザレーダ装置1を列車100や車両150の走行体に搭載する構成を説明したが、自走する走行体であればこれらに限るものではない。また、上記した適用例では、レーザレーダ装置1を走行体に搭載したが、例えば、計測対象エリアAが設定される交差点や踏切等の脇に立設された支柱上に計測対象エリアAを俯瞰するように配置され、ライン状のレーザ光Lを垂直方向Yにスキャンしながら照射し、計測対象エリアA内の物体(例えば、歩行者、自転車、二輪自動車、自動車等の移動物体や建物、ガードレール、樹木等の静止物体等)の反射光Rを受光することで、これら物体の3次元情報を生成する構成としても良い。
【0048】
以上、説明したように、本実施形態に係るレーザレーダ装置1は、レーザ光源11と、レーザ光源11から発光されるレーザ光Lを水平方向Xに延びるライン状に成形する送光側レンズ12と、ライン状に成形されたレーザ光Lを、計測対象エリアAにおける水平方向Xに直交する垂直方向Yに走査させながら照射するスキャナ13と、計測対象エリアAから反射される反射光Rを受光する受光側レンズ16と、受光側レンズ16の下流側に配置され、水平方向Xに沿って並べられた複数の受光セル18aを有する受光ラインセンサ18と、受光側レンズ16と受光ラインセンサ18との間に配置され、受光側レンズ16で受光された反射光Rを受光ラインセンサ18に向けて集光するとともに、垂直方向Yに集光される倍率が水平方向Xに集光される倍率よりも大きく設定された受光側光学系17と、受光ラインセンサ18が出力した受信信号に基づき、計測対象エリアAの3次元情報を生成する情報生成部21と、を備えるため計測対象エリアA全体を受光ラインセンサ18のセンサ視野に収めることができ、受光側のスキャンレスを簡単な構成で実現できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、受光側光学系17は、受光側レンズ16の結像位置に配置され、該結像位置での結像情報を保持したまま伝送するリレーレンズ35と、リレーレンズ35から伝送された平行光束を受光ラインセンサ18に向けて集光させる集光レンズ36とを備えるため、2種類のレンズを組み合わせた簡単な構成で、受光側レンズ16の結像情報を受光ラインセンサ18に集光させることができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、情報生成部21は、反射光Rを受光した受光セル18aのピクセル情報に基づき取得された計測対象エリアAの計測点Sの水平方向Xの位置情報と、レーザ光Lが照射されてから受光ラインセンサ18で受光されるまでの光往復時間から取得された計測点Sまでの距離情報と、レーザ光Lを照射した際のスキャナ13のミラー角に基づき取得された計測点Sの垂直方向Yの位置情報とから計測対象エリアAの3次元情報を生成するため、受光側の視野スキャンにより受信信号の空間位置座標取得が不要となり、3次元情報を生成するための信号処理の負荷を軽減できる。
【0051】
また、上記したレーザレーダ装置1は、列車100や車両150に搭載されるため、列車100または車両150の走行経路の3次元情報を常に取得することができ、列車100または車両150の運転支援を行うことができる。