(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
<環状N−ビニルラクタム系共重合体>
本発明の樹脂組成物は、環状N−ビニルラクタム系共重合体(以下、「本発明の共重合体」という)を含む。
【0016】
本発明において、「環状N−ビニルラクタム系共重合体」とは、N−ビニルラクタムに由来する構造単位を含む共重合体を表す。
【0017】
上記「N−ビニルラクタムに由来する構造単位」とは、N−ビニルラクタムが重合して形成される構造単位と同じ構造の構造単位を表す。すなわち、N−ビニルラクタムが重合して形成される構造単位と同じ構造を有すれば、N−ビニルラクタムを重合する方法以外の方法で形成された構造単位も、N−ビニルラクタムに由来する構造単位に含まれる。
【0018】
上記「N−ビニルラクタム」とは、環状N−ビニルラクタム構造を有する単量体であれば制限はなく、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、およびそれらに含まれる水素原子の1または2以上の水素原子が他の置換基で置換された化合物等が例示される。上記他の置換基とは、アルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミド基等が例示される。上記他の置換基は、炭素数が0〜12の置換基が好ましく、1〜4の置換基が好ましい。これら環状N−ビニルラクタム系単量体は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を併用しても良い。環状N−ビニルラクタム系単量体の中でも樹脂組成物の吸放湿性が向上する傾向にあることから、N−ビニルピロリドンが特に好ましい。
【0019】
本発明の共重合体は、N−ビニルラクタムに由来する構造単位を全単量体に由来する構造単位(N−ビニルラクタムに由来する構造単位と後述するその他の単量体に由来する構造単位)100モル%に対して、50モル%以上、99モル%以下含むことが好ましく、60モル%以上、99モル%以下含むことがより好ましく、70モル%以上、99モル%以下含むことがさらに好ましい。
【0020】
N−ビニルラクタムに由来する構造単位とは、例えばN−ビニルラクタムがN−ビニルピロリドンの場合、下記構造式(5)で表すことができる。
【0022】
構造式(5)において、アステリスクマークは、N−ビニルラクタムに由来する構造単位が結合している原子を表す。
【0023】
本発明の共重合体は、その他の単量体に由来する構造単位を含む。上記その他の単量体とは、重合性の炭素炭素二重結合を含む化合物であるが、N−ビニルラクタムは含まれない。上記その他の単量体は、好ましくはラジカル重合可能な化合物である。上記その他の単量体としては、具体的には、(i)アクリル酸、メタアクリル酸、およびその塩等の不飽和モノカルボン酸;(ii)フマル酸、マレイン酸、メチレングルタル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸及びこれらの塩(一塩であっても二塩であっても良い);(iii)3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸およびこれらの塩等の不飽和スルホン酸;(iv)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノールおよびこれらの水酸基にアルキレンオキシドを付加した不飽和アルコール;(v)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(vi)(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のN置換若しくは無置換の(メタ)アクリルアミド;(vii)スチレン、ビニルトルエン、インデン、ビニルナフタレン、フェノキシポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、ナフトキシポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、フェニルマレイミド、ビニルアニリン等の芳香族系単量体;(viii)イソブチレン、オクテン等のアルケン類;(ix)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;(x)N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールおよびこれらの塩またはこれらの4級化物等の不飽和アミン;(xi)n−ブチルビニルエーテル、1−アリルオキシ−3−ブトキシプロパン−2−オール、等の後述する一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体等が挙げられる。なお、上記(i)〜(iii)における塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が例示される。上記(iv)におけるアルキレンオキシド若しくは上記(vii)におけるポリアルキレングリコールを構成するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が例示され、炭素数1〜20のアルキレンオキシドが好ましく炭素数1〜4のアルキレンオキシドがより好ましい。上記(iv)若しくは上記(vii)におけるアルキレンオキシドの付加モル数としては、上記(iv)の化合物若しくは上記(vii)の化合物1モルあたり0〜50モルが好ましく、0〜20モルがより好ましい。
【0024】
上記(xi)のアルコキシ基含有単量体は、下記一般式(2)で表される。
【0026】
一般式(2)において、R
0は水素原子またはメチル基を表し、R
1は単結合、CH
2基、CH
2CH
2基のいずれかを表し、R
2は炭素数1〜13の、置換または無置換のアルキル基、炭素数6〜10の、置換または無置換のアリール基を表す。なお、上記R
1が単結合とは、一般式(2)がCH
2=C(R
0)−OR
2で表されることをいう。
【0027】
上記「置換のアルキル基」、「置換のアリール基」とは、それぞれアルキル基、アリール基の水素原子の1または2以上が、他の置換基で置換されている基である。上記他の置換基としては、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基等が例示され、該アルコキシ基、アリールオキシ基の水素原子の1または2以上は、他の置換基で置換されていてもよい。上記置換のアルキル基としては、例えば−CH
2−CH(X)−CH
2(Y)で表される基(ただし、X、Yのいずれか一方は水酸基を表し、他の一方は炭素数1〜10のアルコキシ基を表す)が例示される。
上記R
2が置換または無置換のアルキル基の場合、R
2の炭素数は1〜13であることがより好ましく、上記R
2が置換または無置換のアリール基の場合、R
2の炭素数は6〜10であることがより好ましい。
【0028】
上記一般式(2)におけるR
2としては、イソプロピル基、n−ブチル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、−CH
2−CH(OH)−CH
2(OC
4H
9)で表される基、等が例示される。
【0029】
なお、上記一般式(2)においてR
2が−CH
2−CH(X)−CH
2(Y)で表される基である単量体は、下記一般式(1)で表すことができる。
【0031】
一般式(1)において、R
0は水素原子またはメチル基を表し、R
1は単結合、CH
2基、CH
2CH
2基のいずれかを表し、X、Yは水酸基または炭素数1〜10の、置換または無置換のアルコキシ基を表す(ただし、X、Yのいずれか一方は水酸基を表し、他の一方は炭素数1〜10の置換または無置換のアルコキシ基を表す)。一般式(1)における置換のアルコキシ基とは、アルコキシ基の水素原子の1または2以上が、他の置換基で置換されている基であり、置換のアルコキシ基全体で炭素数1〜10である。置換または無置換のアルキル基は、炭素数が1〜4であることが好ましい。他の置換基としては、アルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミド基等が例示される。
上記一般式(1)で表される単量体は、例えば特開2014−062176に記載の方法で製造することができる。
【0032】
本発明の共重合体は、その他の単量体に由来する構造単位を1種含んでもよいし、2種以上含んでもよい。その他の単量体に由来する構造単位とは、その他の単量体が重合して形成される構造単位と同じ構造の構造単位であり、具体的には、その他の単量体の炭素炭素二重結合が単結合になった構造である。例えば、その他の単量体がアクリル酸ブチル(CH
2=CHCOOC
4H
9)である場合、その他の単量体に由来する構造単位は、−CH
2−CH(COOC
4H
9)−、で表すことができる。その他の単量体が上記一般式(2)で表される単量体である場合、その他の単量体に由来する構造単位は、下記一般式(4)で表すことができ、その他の単量体が上記一般式(1)で表される単量体である場合、その他の単量体に由来する構造単位は、下記一般式(3)で表すことができる。
【0035】
上記一般式(3)、(4)において、R
0は水素原子またはメチル基を表し、R
1は単結合、CH
2基、CH
2CH
2基のいずれかを表し、X、Yは水酸基または置換または無置換のアルコキシ基を表し(ただし、X、Yのいずれか一方は水酸基を表し、他の一方は置換または無置換のアルコキシ基を表す。なお、上記置換または無置換のアルコキシ基の炭素数は、一般式(3)においては1〜10であり、一般式(4)においては1〜13である)、アステリスクマークは、その他の単量体に由来する構造単位が結合している原子を表す。
【0036】
本発明の共重合体は、その他の単量体に由来する構造単位を、全単量体に由来する構造単位100モル%に対して、1モル%以上、50モル%以下含むことが好ましく、1モル%以上、40モル%以下含むことがより好ましく、1モル%以上、30モル%以下含むことがさらに好ましい。
【0037】
上記その他の単量体としては、本発明の樹脂組成物の機械的強度が向上する傾向にあることから、疎水性単量体を含むことがより好ましい。本発明において、疎水性単量体とは、水への溶解度が5%以下の単量体をいう。本発明の共重合体は、疎水性単量体に由来する構造単位を、全単量体に由来する構造単位100モル%に対して、1モル%以上、50モル%以下含むことが好ましく、1モル%以上、40モル%以下含むことがより好ましく、1モル%以上、30モル%以下含むことがさらに好ましい。
【0038】
上記その他の単量体としては、本発明の樹脂組成物の機械的強度が向上する傾向にあることから、上記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体を含むことがより好ましい。本発明の共重合体は、一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体に由来する構造単位を、全単量体に由来する構造単位100モル%に対して、1モル%以上、50モル%以下含むことが好ましく、1モル%以上、40モル%以下含むことがより好ましく、1モル%以上、30モル%以下含むことがさらに好ましい。なお、一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体に由来する構造単位は、上記一般式(4)で表すことができる。
【0039】
上記その他の単量体としては、本発明の樹脂組成物の機械的強度が特に向上する傾向にあることから、上記一般式(1)で表される単量体を含むことがより好ましい。本発明の共重合体は、一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を、全単量体に由来する構造単位100モル%に対して、1モル%以上、50モル%以下含むことが好ましく、1モル%以上、40モル%以下含むことがより好ましく、1モル%以上、30モル%以下含むことがさらに好ましい。なお、一般式(1)で表されるアルコキシ基含有単量体に由来する構造単位は、上記一般式(3)で表すことができる。
【0040】
本発明の共重合体における各構成単位は、ランダムに存在していても、ブロック状等、規則的に存在していても構わない。
【0041】
本発明の共重合体は、本発明の樹脂組成物の機械的強度が向上し、吸放湿性が向上する傾向にあることから、重量平均分子量が3,000以上、3,000,000以下であることが好ましく、5,000以上、1,000,000以下であることがより好ましい。なお、上記重量平均分子量は後述する測定方法により測定することができる。
【0042】
上記のとおり、本発明の樹脂組成物において、本発明の共重合体が、N−ビニルラクタムに由来する構造単位(a)と、下記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位(b)とを含み、該共重合体に含まれる構造単位(a)と構造単位(b)とのモル比(構造単位(a):構造単位(b))が70:30〜99:1である、N−ビニルラクタム系共重合体(以下、「N−ビニルラクタム系共重合体(1)」ともいう)である形態は、本発明の好ましい形態である。N−ビニルラクタム系共重合体(1)、あるいはN−ビニルラクタム系共重合体(1)を含む共重合体組成物もまた、本発明に含まれる。
【0043】
上記共重合体組成物(以下、「本発明の共重合体組成物」ともいう)は、N−ビニルラクタム系共重合体(1)のみを含んでいても良いが、他の成分を含んでいても良い。本発明の共重合体組成物は、N−ビニルラクタム系共重合体(1)を1〜100質量%含むことが好ましく、10〜99.9質量%含むことがより好ましい。
本発明の共重合体組成物は、溶剤を含んでいても良い。溶剤としては、後述の重合工程で例示した溶剤が例示される。本発明の共重合体組成物の溶剤の含有量は、例えば0〜99質量%であり、好ましくは0.1〜90質量%である。
本発明の共重合体組成物は、重合開始剤や単量体の残渣等を含んでいても良い。
本発明の共重合体組成物は、N−ビニルラクタムを、該共重合体組成物に含まれるN−ビニルラクタム系共重合体(1)に対して、0〜5質量%、好ましくは0〜3質量%含んでいても良い。
本発明の共重合体組成物は、下記一般式(1)で表される単量体を、該共重合体組成物に含まれるN−ビニルラクタム系共重合体(1)に対して、0〜5質量%、好ましくは0〜3質量%含んでいても良い。
【0044】
<共重合体の製造方法>
本発明の共重合体は、N−ビニルラクタムおよびその他の単量体を含む単量体成分を重合する工程(以下、「重合工程」ともいう)を含み、製造することが好ましい。
【0045】
上記重合工程における重合は、溶剤の不存在下で行ってもよいし、溶剤を使用してもよい。重合は、従来公知の種々の方法、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、或いは注型重合法、薄膜重合法、噴霧重合法等を採用することができる。
【0046】
上記重合工程において、N−ビニルラクタムを含む単量体成分の重合を開始する方法としては、重合開始剤を添加する方法、UVを照射する方法、熱を加える方法、光開始剤存在下に光を照射する方法等を採用することができる。
上記重合工程において、重合開始剤を用いることが好ましい。上記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アスコルビン酸と過酸化水素、スルホキシル酸ナトリウムとt−ブチルヒドロパーオキシド、過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤等が好適である。これらの重合開始剤のうち、残存単量体が減少する傾向にあることから、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物が最も好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよく、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0047】
上記重合開始剤の使用量としては、単量体の使用量(N−ビニルラクタムとその他の単量体の合計の使用量)1モルに対して、0.1g以上、10g以下であることが好ましく、0.1g以上、7g以下であることがより好ましく、0.1g以上、5g以下であることがさらに好ましい。
【0048】
上記重合する工程においては、必要に応じて連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、具体的には、メルカプトエタノール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、n−ドデシルメルカプタン等の、チオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロピルアルコール、グリセリン等の、第2級アルコール;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸(塩)(これらの水和物を含む);亜リン酸、亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸(塩);亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の亜硫酸(塩);亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等の重亜硫酸(塩);亜ジチオン酸ナトリウム等の亜ジチオン酸(塩);ピロ亜硫酸カリウム等のピロ亜硫酸(塩);などが挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
連鎖移動剤の使用量としては、単量体(全単量体)の使用量1モルに対して、0g以上、600g以下であることが好ましく、1g以上、500g以下であることがより好ましい。
【0049】
上記重合工程は、反応促進等を目的として、重金属イオンを使用しても良い。本発明で重金属イオンとは、比重が4g/cm
3以上の金属のイオンを意味する。重金属イオンを使用することで、重合開始剤の使用量を低減することが可能となる。上記重金属イオンは、イオンの形態として含まれるものであれば特に限定されないが、重金属化合物を溶解してなる溶液を用いる方法を用いると、取り扱い性に優れるため好適である。上記重金属化合物としては、モール塩(Fe(NH
4)
2(SO
4)
2・6H
2O)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化マンガン等が例示される。
上記重金属イオンの使用量としては、重合反応液全量に対して、0ppm以上、100ppm以下であることが好ましく、0ppm以上、50ppm以下であることがより好ましい。
【0050】
上記重合工程において、溶剤を使用する場合、溶剤としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール類等から選ばれる1種または2種以上が例示される。
溶媒の使用量としては、単量体100質量%に対して40〜1000質量%が好ましい。より好ましくは、45質量%以上であり、更に好ましくは、50質量%以上である。また、より好ましくは、950質量%以下であり、更に好ましくは、900質量%以下である。溶媒の使用量が40質量%未満であると、得られる重合体の分子量が高くなるおそれがあり、1000質量%を超えると、得られる重合体の濃度が低くなり、保管等のコストが高額になるおそれがある。
【0051】
上記重合工程におけるN−ビニルラクタムの使用量は、全単量体100モル%に対し、50モル%以上、99モル%以下であることが好ましく、60モル%以上、99モル%以下であることがより好ましく、70モル%以上、99モル%以下であることがさらに好ましい。上記重合工程におけるその他の単量体の使用量は、全単量体100モル%に対し、1モル%以上、50モル%以下であることが好ましく、1モル%以上、40モル%以下であることがより好ましく、1モル%以上、30モル%以下であることがさらに好ましい。
【0052】
上記重合工程において、重合温度は、特に限定されるものではないが、比較的低温の方が共重合体の分子量が大きくなるので好ましく、20℃〜100℃の範囲内が重合率が向上するのでさらに好ましい。尚、反応時間は、上記重合反応が完結するように、反応温度や、単量体成分、重合開始剤、および溶媒等の種類(性質)や組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すればよい。
【0053】
本発明の共重合体は、上記重合工程に加え、任意の工程を含んで製造してもよい。例えば、残存した重合開始剤や連鎖移動剤を失活させる工程、精製工程、安定剤等の添加剤添加工程、濃縮・希釈工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、造粒工程等を含んでいてもよい。
【0054】
<ポリエステル>
本発明の樹脂組成物は、ポリエステルを含む。
上記ポリエステルとしては、酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸から選択される1以上のジカルボン酸に由来する構造単位を必須に含み、ジオール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールから選択される1以上のジオールに由来する構造単位から選択される1種以上の構造単位を必須に含むポリエステルが好ましい。
【0055】
上記「ジカルボン酸に由来する構造単位」とは、ジカルボン酸が重縮合して形成される構造単位と同じ構造の構造単位であり、例えばテレフタル酸に由来する構造単位は、テレフタル酸をHOOC−Ph−COOHと表した場合、−OC−Ph−CO−と表すことができる。なお、ジカルボン酸が重縮合して形成される構造単位と同じ構造であれば、ジカルボン酸を使用しなくても、ジカルボン酸に由来する構造単位に含まれる。
【0056】
上記「ジオールに由来する構造単位」とは、ジオールが重縮合して形成される構造単位と同じ構造の構造単位であり、例えばエチレングリコール(HOCH
2CH
2OH)に由来する構造単位は、−OCH
2CH
2O−と表すことができる。
【0057】
上記ポリエステルとしては、酸成分として、テレフタル酸およびイソフタル酸以外のジカルボン酸(以下、「その他のジカルボン酸」ともいう)に由来する構造単位を含んでいてもよい。その他のジカルボン酸としては、フタル酸、コハク酸、アジピン酸、ナフトキシジカルボン酸、テレフタル酸若しくはイソフタル酸の水素原子の1または2以上が、置換基で置換されたジカルボン酸が例示される。上記置換基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、スルホン酸基、アミノ基等が例示される。
【0058】
上記ポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸から選択される1以上のジカルボン酸に由来する構造単位を全ジカルボン酸に由来する構造単位(テレフタル酸に由来する構造単位、イソフタル酸に由来する構造単位、その他のジカルボン酸に由来する構造単位)100モル%に対し、50モル%以上、100モル%以下含むことが好ましく、80モル%以上、100モル%以下含むことがより好ましく、90モル%以上、100モル%以下含むことがさらに好ましい。
【0059】
上記ポリエステルとしては、ジオール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコール以外のジオール(以下、「その他のジオール」ともいう)に由来する構造単位を含んでいてもよい。その他のジオールとしては、ジエチレングリコール(HOCH
2CH
2OCH
2CH
2OH)、トリエチレングリコール(HOCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2OH)等のアルキレングリコールが縮合した構造のジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール若しくはブチレングリコールの水素原子の1または2以上が、置換基で置換されたジオール等が例示される。上記置換基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、スルホン酸基、アミノ基等が例示される。
【0060】
上記ポリエステルは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールから選択される1以上のジオールに由来する構造単位を全ジオールに由来する構造単位(エチレングリコールに由来する構造単位、プロピレングリコールに由来する構造単位、ブチレングリコールに由来する構造単位、その他のジオールに由来する構造単位)100モル%に対し、50モル%以上、100モル%以下含むことが好ましく、80モル%以上、100モル%以下含むことがより好ましく、90モル%以上、100モル%以下含むことがさらに好ましい。
【0061】
上記ポリエステルは、グリコール酸や乳酸などのヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位やトリメリット酸やグリセリン等の分岐成分に由来する構造単位を含んでいてもよい。
【0062】
上記ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレンイソフタレート、ポリブチレンイソフタレート等が例示される。
【0063】
上記ポリエステルの融点は、150℃以上、260℃以下であることが好ましく、200℃以上、255℃以下であることがより好ましい。上記範囲の融点を有するポリエステルと、上記範囲以外の融点を有するポリエステルとを混合してもよい。
【0064】
上記ポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸、およびこれらのエステル若しくは酸塩化物から選択される1以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールから選択される1以上とを必須とする成分を重縮合する工程を含み、製造することが好ましい。上記重縮合においては、触媒を使用することが好ましく、例えばアンチモン系、チタン系、スズ系等の公知の触媒等を使用することができる。触媒は2種以上を併用しても良い。
上記ポリエステルは、重縮合する工程の他に任意の工程を含んで製造してもよく、例えば触媒の失活工程、精製工程等を含んでいてもよい。
【0065】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、ポリエステルと、本発明の共重合体とを含む。
本発明の樹脂組成物に含まれる、ポリエステルと、本発明の共重合体との質量の比率は、99:1〜60:40であることが好ましく、98:2〜65:35であることがより好ましく、97:3〜70:30であることがさらに好ましい。
【0066】
本発明の樹脂組成物は、ポリエステルと、本発明の共重合体以外の成分を含んでいてもよい。本発明の樹脂組成物におけるポリエステルおよび本発明の共重合体の合計の含有量は、80質量%以上、100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上、100質量%以下であることがより好ましい。ポリエステルと、本発明の共重合体以外の成分としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の白色顔料等が例示される。
【0067】
本発明の樹脂組成物は、ポリエステルと、本発明の共重合体との相溶性が良好であることが好ましい。例えば電子顕微鏡で観察した際に、ポリエステルと、本発明の共重合体とのミクロ層分離が観察されないか、または島成分(本発明の共重合体)の平均粒径が500nm以下であることが好ましい。上記島成分の平均粒径は、300nm以下であることがより好ましい。
【0068】
本発明の樹脂組成物は、良好な吸放湿性を有している。本発明の樹脂組成物は、好ましくは吸湿率が0.30%以上、15%以下であり、より好ましくは吸湿率が0.35%以上、10%以下であり、さらに好ましくは吸湿率が0.40%以上、8%以下である。
【0069】
本発明の樹脂組成物は、ポリエステルと、本発明の共重合体を混合する工程を含み、製造することが好ましい。通常は溶融混合することが好ましいが、溶剤に溶解して混合してもよい。溶融混合する際の混合器としては、特に限定されないが、一軸押出機、二軸押出機、双腕型ニーダー等を用いることができる。また、混合する工程は、回分式でも連続式でも行うことができる。
本発明の樹脂組成物は、上記混合する工程以外に任意の工程を含んで製造してもよく、例えば、乾燥工程、成型工程等が例示される。
【0070】
本発明の樹脂組成物は、ポリエステル繊維の原料として好適であるが、その形状は特に制限されず、例えばペレット状や、シート状、棒状、塊状、紛体状とすることができる。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0072】
<重合反応率、重合体組成分析>
実施例1と実施例2における重合反応時の反応率および重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフィ(Agilent Technologies社製 6890N)を用いて求めた。
【0073】
<重合平均分子量の測定条件>
装置:東ソー製 HLC−8320GPC
検出器:RI
カラム:東ソー製 TSK−GEL ALPHA−M,ALPHA−2500
カラム温度:40℃
流速:0.8ml/min
検量線:TSKgel standard Poly(ethylene oxide)
溶離液:アセトニトリルと0.2M 硝酸ナトリウム水溶液とを1:4で混合した溶液。
【0074】
<樹脂の強度評価>
樹脂ペレットを、手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC−180C型)を用いて、270℃、10MPaで1分間溶融プレス成形して、厚さ100μmの未延伸フィルムを作製した。得られたフィルムに対し、重さ2.7gの球体を150mmの高さから自由落下させ、球体がフィルムに衝突時にフィルムが割れないものを○、該条件では割れるが、100mmの高さから自由落下させ、球体がフィルムに衝突時にフィルムが割れないものを△、いずれも割れるものを×とした。
【0075】
<吸湿性>
樹脂ペレットを、手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC−180C型)を用いて、270℃、10MPaで1分間溶融プレス成形して、厚さ100μmの未延伸フィルムを作製した。得られたフィルムを110℃で12時間乾燥した質量(X)を測定した。続いて、フィルムを40℃、相対湿度80%の恒温槽にて保管し、5時間後に取り出して吸湿後の質量(Y)を測定した。吸湿率は以下の計算式で計算した。
【0076】
吸湿率(%)=(Y−X)×100/X。
【0077】
<単量体製造例>
温度計、還流冷却管を備えた容量1Lの四つ口フラスコに、工業用ブタノール(以下、「BuOH」と称する)649.1g、および48%水酸化ナトリウム水溶液15.6gを仕込み、マグネティックスタラーで撹拌しながら60℃まで昇温した。次に、撹拌下、60℃に保持された反応系中に、アリルグリシジルエーテル(以下、「AGE」と称する)100.0gを120分かけて等速で滴下した後、更に180分間、60℃に維持(熟成)して反応を終了した。
当該反応液を30℃まで冷却した後、上記フラスコから還流冷却管を取り外し、リービッヒ冷却管、1Lの受器、及び窒素投入管を取り付けた。上記反応系を6.7kPaまで減圧後、反応液を加熱し、液の温度が100℃になるまで未反応のBuOH及び水を留去した。次に、反応液を100℃に維持しながら窒素ガスを反応に使用したAGEに対し6モル%/時で270分間投入し、更に未反応のBuOH及び水を留去した。
【0078】
このようにして1‐アリロキシ‐3‐ブトキシプロパン‐2‐オール(以下、「A1B」と称する)を81.0質量%含む単量体組成物(1)を得た。なお、単量体組成物(1)には、不純物として、AIBにさらにAGEが付加した化合物、AGEに水が付加した化合物、が含まれていた。
【0079】
<実施例1>
二枚パドル型の攪拌翼、ガラス製の蓋、撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器に、2−プロパノール(以下、「IPA」と記す)90.0質量部と上記単量体組成物(1)1.9質量部を仕込み、窒素気流下100rpmで撹拌して、還流するまで昇温した。
単量体溶液として、N−ビニルピロリドン(以下、「NVP」と記す)35.6質量部を用意した。
開始剤溶液としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製、以下、「V−601」と記す)1.1質量部にIPA21.4質量部を加えた溶液を調製した。
還流を保ちながら、上記で調製を行った単量体溶液と開始剤溶液を120分間連続的に滴下した。滴下完了後に5質量%のV−601のIPA溶液を1.1質量部、さらに滴下完了後から60分後に5質量%のV−601のIPA溶液を1.1質量部加えて60分還流を保って重合反応を完結させた。なお、重合完結後のNVP及びA1Bの残存量は得られた共重合体に対してそれぞれ1.2質量%、0.7質量%であった。よって、得られた共重合体(A−1)に含まれるNVPとA1Bのモル比は97:3であった。
IPAの一部を留去して、次いで減圧乾燥してラボミルサーにて粉砕することで目的の共重合体(A−1)の粉体を得た。得られた共重合体(A−1)の重量平均分子量は37,900であった。
ポリエステル樹脂(ユニチカ製、MA−2101M)28.45gと得られた共重合体(A−1)1.55gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて270℃で5分間混練し、ポリエステル樹脂とNVP/A1B共重合体との樹脂組成物(B−1)を得た。得られた樹脂組成物(B−1)の評価結果を表1に示す。
【0080】
<実施例2>
二枚パドル型の攪拌翼、ガラス製の蓋、撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器に、IPA102.0質量部と上記単量体組成物(1)3.0質量部を仕込み、窒素気流下100rpmで撹拌して、還流するまで昇温した。
単量体溶液として、NVP28.5質量部を用意した。
開始剤溶液として0.9質量部のV−601にIPA17.1質量部を加えた溶液を調製した。
還流を保ちながら、上記で調製を行った単量体溶液と開始剤溶液を180分間連続的に滴下した。滴下完了後に5質量%のV−601のIPA溶液を0.9質量部、さらに滴下完了後から60分後に5質量%のV−601のIPA溶液を0.9質量部加えて60分還流を保って重合反応を完結させた。なお、重合完結後のNVP及びA1Bの残存量は得られた共重合体に対してそれぞれ2.0質量%、1.7質量%であった。よって、得られた共重合体(A−2)に含まれるNVPとA1Bのモル比は94:6であった。
IPAの一部を留去して、次いで減圧乾燥してラボミルサーにて粉砕することで目的の共重合体(A−2)の粉体を得た。得られた共重合体(A−2)の重量平均分子量は6,700であった。
ポリエステル樹脂(ユニチカ製、MA−2101M)28.41gと得られた共重合体(A−2)1.59gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて270℃で5分間混練し、ポリエステル樹脂とNVP/
A1B共重合体との樹脂組成物(B−2)を得た。得られた樹脂組成物(B−2)の評価結果を表1に示す。
【0081】
<実施例3>
二枚パドル型の攪拌翼、ガラス製の蓋、撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器に、IPA69.9質量部、イオン交換水5.0質量部、上記単量体組成物(1)14.6質量部を仕込み、pH10となるまで酢酸を加えた。さらにNVP27.3質量部を加えて、窒素気流下100rpmで撹拌して、還流するまで昇温した。
開始剤溶液として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業社製、以下、「V−59」と記す)1.3質量部にIPA11.3質量部を加えた溶液を調製した。
還流を保ちながら、上記で調製を行った開始剤溶液を全量加えて120分間加熱を続けた。120分後に10質量%のV−59のIPA溶液を1.3質量部、投入後から60分後に10質量%のV−59のIPA溶液を1.3質量部加えて60分還流を保って重合反応を完結させた。なお、重合完結後のNVP及びA1Bの残存量は得られた共重合体に対してそれぞれ2.7質量%、2.0質量%であった。よって、得られた共重合体(A−3)に含まれるNVPとA1Bのモル比は80:20であった。
IPAの一部を留去して、次いで減圧乾燥してラボミルサーにて粉砕することで目的の共重合体(A−3)の粉体を得た。得られた共重合体(A−3)の重量平均分子量は9,000であった。
ポリエステル樹脂(ユニチカ製、MA−2101M)27.90gと得られた共重合体(A−3)2.10gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて270℃で5分間混練し、ポリエステル樹脂とNVP/
A1B共重合体との樹脂組成物(B−3)を得た。得られた樹脂組成物(B−3)の評価結果を表1に示す。
【0082】
<比較例1>
マックスブレンド(住友重機械工業社の登録商標)型の攪拌翼、ガラス製の蓋、撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたSUS製反応容器に、イオン交換水(420.4質量部)、5%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「5%NaOHaq」と記す)1.5質量部、ジ亜リン酸ナトリウム一水和物(和光純薬工業社製、以下、「SHP・1H2O」と記す)2.5質量部、を仕込み、窒素気流下200rpmで撹拌して、90℃に昇温した。
単量体水溶液として、NVP500質量部にイオン交換水55.6質量部を加えた溶液を調製した。
開始剤水溶液として2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩(和光純薬工業社製、以下、「V−50」と記す)3.0質量部にイオン交換水17.0質量部を加えた溶液を調製した。
窒素を30mL/分で導入し、温度を90±2℃に保ちながら、上記で調製を行った単量体水溶液を360分間連続的に滴下した。また開始剤水溶液は390分間連続的に滴下した。滴下完了後30分間、90℃に保って重合反応を完結させた。
更に88%ギ酸水溶液(和光純薬工業社製)2.9質量部を重合開始から420分後に一括で添加することによりPVP(A−4)の水溶液を得た。
【0083】
得られた水溶液をドラムドライヤーに投入し、ドラム表面温度140℃、ドラム回転数1.5rpmの運転条件で20秒間乾燥した後、得られた乾燥物をラボミルサーに粉砕してPVP(A−4)の粉体を得た。得られたPVP(A−4)の重量平均分子量は20,500であった。
ポリエステル樹脂(ユニチカ製、MA−2101M)28.50gと得られたPVP(A−4)1.50gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて270℃で5分間混練し、ポリエステル樹脂とPVPとの樹脂組成物(B−4)を得た。得られた樹脂組成物(B−4)の評価結果を表1に示す。
【0084】
<実施例4>
二枚パドル型の攪拌翼、ガラス製の蓋、撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器に、IPA55.5質量部とNVP35.6質量部を仕込み、窒素気流下100rpmで撹拌して、還流するまで昇温した。
単量体溶液として、スチレン(以下、「St」と記す)1.9質量部にIPA35.6質量部を加えた溶液を調製した。
開始剤溶液として1.1質量部のV−601にIPA20.3質量部を加えた溶液を調製した。
還流を保ちながら、上記で調製を行った単量体溶液と開始剤溶液を180分間連続的に滴下した。滴下完了後から30分後に5質量%のV601のIPA溶液を3質量部、さらに滴下完了後から90分後に5質量%のV601のIPA溶液を3質量部加えて60分還流を保って重合反応を完結させた。なお、重合完結後のNVP及びStの残存量は得られた共重合体に対してそれぞれ1.3質量%、0.0質量%であった。よって、得られた共重合体(A−5)に含まれるNVPとStの重量比は95:5であった。
IPAの一部を留去して、次いで減圧乾燥してラボミルサーにて粉砕することで目的の共重合体(A−5)の粉体を得た。得られた共重合体(A−5)の重量平均分子量は19,800であった。
ポリエステル樹脂(ユニチカ製、MA−2101M)28.42gと得られた共重合体(A−5)1.58gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて270℃で5分間混練し、ポリエステル樹脂とNVP/St共重合体との樹脂組成物(B−5)を得た。得られた樹脂組成物(B−5)の評価結果を表1に示す。
【0085】
<比較例2>
ポリエステル樹脂(ユニチカ製、MA−2101M)30.00gを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて270℃で5分間混練した。評価結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
表1の結果から、本発明の共重合体は、ポリエステルに良好な吸湿性と、機械的強度とを付与することが可能であることが明らかとなった。また、本発明の樹脂組成物は、良好な吸湿性と、機械的強度とを有することが明らかとなった。