(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1に係る羽根駆動装置の分解斜視図。
【
図2】実施形態1の羽根駆動装置の羽根開き状態を示す概略平面図。
【
図3】実施形態1の羽根駆動装置の羽根閉じ動作を示す概略平面図。
【
図4】実施形態1の羽根駆動装置の羽根閉じ状態を示す概略平面図。
【
図5】実施形態1の羽根駆動装置の羽根開き動作を示す概略平面図。
【
図6】本発明の実施形態2に係る羽根駆動装置の分解斜視図。
【
図7】実施形態2の羽根駆動装置の羽根開き状態を示す概略平面図。
【
図8】実施形態2の羽根駆動装置の羽根閉じ動作を示す概略平面図。
【
図9】実施形態2の羽根駆動装置の羽根閉じ動作を示す概略平面図。
【
図10】実施形態2の羽根駆動装置の羽根閉じ状態を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、1枚または複数枚の羽根に係合して動作する係合動作部を一対の当接端部に当接させて折返し往復動作させるにあたり、一対の当接端部に当接前の係合動作部に対して衝撃吸収部材を先立って当接させ、係合動作部が一対の当接端部に当接するときの衝撃を実質的に吸収するようにした点に特徴がある。
【0014】
これにより、係合動作部が衝撃吸収部材への当接によって減速した後に一対の当接端部に当接することになるため、一対の当接端部に当接したときの係合動作部のバウンドを効果的に低減できることから、係合動作部に係合する羽根の走行を安定化できる。したがって、光が通過する開口部を羽根によって高精度に開閉できることから、バウンドに伴う画質低下を効果的に防止できる。
【0015】
また、本発明は、上述したようにバウンド動作を効果的に低減できることから、例えば、バウンド防止のために羽根の外形を大きくしなくてもよいため、羽根駆動装置の小型化にも極めて有効である他、省エネ駆動を実現でき、駆動モータ等の動力源を小さくできる。なお、本発明は、光が通過する経路に出入りして遮光する遮光羽根、あるは、光学フィルタを羽根として、もしくは光学フィルタを装着した羽根等を駆動する際に適用可能である。
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について具体例を挙げて説明する。
<実施形態1>
図1には本発明の実施形態1に係る羽根駆動装置の分解斜視図を示し、
図2〜
図5には、
図1の羽根駆動装置の開閉動作を示す概略平面図を示す。
【0017】
図示するように、本実施形態の羽根駆動装置は、シャッタ羽根を2枚備えたシャッタ装置である。具体的には、1つの駆動手段によって同時に相反する方向へ往復作動させられる2枚のシャッタ羽根が、開き作動を行う場合には露光開口の中央部から開き始め、閉じ作動を行う場合には露光開口の中央部を最後にして閉じるように構成したシャッタ装置である。
【0018】
なお、この種のシャッタ装置は、銀塩フィルムを使用するカメラにも、各種情報端末機器用カメラを含むデジタルカメラにも採用することが可能であるが、本実施形態の作動は、デジタルカメラに採用された場合で説明する。
【0019】
先ず、主に
図1を用いて、本実施形態の構成を説明する。本実施形態の地板1は、合成樹脂製であって、
図1に示すように、その略中央部に円形をした被写体光路用の開口部1bを形成している。また、この地板1には、所定の間隔を空けてカバー板4が取り付けられ、両者の間に一つの羽根室を構成している。
【0020】
このカバー板4は、
図1にだけ示してあり、以降の図においては省略してあるが、平面形状は地板1と略同じ形状をしており、その略中央部には円形をした被写体光路用の開口部を形成している。なお、その開口部よりも上記の開口部1bの方が、直径が小さいため、本実施形態における露光開口は、開口部1bによって規制されている。また、このカバー板4は、図示はしていないが複数箇所でビスにより、地板1に取り付けられている。
【0021】
図1に示すように、地板1の羽根室外側には、回動リング部材5、電磁アクチュエータである回転子6、ヨーク7、コイル8、固定枠9が取り付けられている。本実施形態の回転子6は、径方向に2極に着磁された円筒状の永久磁石6dと、その永久磁石に一体化された合成樹脂製の駆動ピン部6a、当接ピン6bとからなっていて、孔6cと地板1の軸1hとが嵌合し、回転可能に取り付けられている。
【0022】
そして、駆動ピン6aは、地板1に円弧状に形成された周知の孔1aから羽根室内に挿入され、その先端を、カバー板4の同じ形状をした孔に挿入している。尚、本実施形態では、駆動ピン6aが合成樹脂製になっているが、それらを永久磁石製にすることも知られている。
【0023】
回動リング部材5は、孔5a有し、孔5bと地板1の軸1gとが嵌合し、回動可能なように取り付けられている。ここで、地板1の軸1gと1hは同軸であるため、駆動ピン6と回動リング5は同軸で回動することになる。ヨーク7は、平面形状が示されていないが、ヨークのように略U字形をしており、二つの脚部の一方をコイル8の中空部に挿入しており、固定枠9により地板1に固定されている。
【0024】
地板1の羽根室側の面には、二つの羽根軸1c,1cと、2つのストッパ軸1e,1fと、が一体成形により立設されている。また、羽根室内には、2枚のシャッタ羽根2、3が配置されている。それらのうち、地板1側に配置されているシャッタ羽根2は、長孔2aを有していて、孔2bと羽根軸1dが嵌合し、回転可能に取り付けられている。
【0025】
一方、カバー板4側に配置されているシャッタ羽根3は、長孔3aを有していて、孔3bと羽根軸1cが嵌合し、回転可能に取り付けられている。そして、それらのシャッタ羽根2、3の長孔2a,3aには、上記の回転子6の駆動ピン6aが嵌合されている。
【0026】
次に、本実施形態の作動を説明する。
図2は、撮影待機状態を示す模式図であって、シャッタ羽根2,3は、開口部1bを全開にしている。そのため、図示していない固体撮像素子には被写体光が当たっており、撮影者は、モニターによって被写体像を観察することが可能になっている。
【0027】
また、このとき、電磁アクチュエータのコイル8には通電されていない。ところが、周知のように、このとき、回転子6は、その永久磁石6dの磁極とヨーク7の二つの磁極部との対向配置関係によって
反時計方向へ回転するように付勢されており、それによって、駆動ピン6aには、
図2において略下方へ移動し、シャッタ羽根2,3を相反する方向へ回転させる力が与えられている。シャッタ羽根2,3が、ストッパ軸1g,1hに接触し、さらに図
2のように駆動ピン6aが地板1の孔1aに接触し、その回転を阻止されているため、この状態が維持されている。
【0028】
撮影に際してレリーズボタンが押されると、固体撮像素子に蓄積されていた電荷を放出させて、撮影が開始され、新たな電荷が固体撮像素子に蓄積されていく。そして、所定の時間が経過すると、露光時間制御回路からの信号によって、コイル8に対して順方向の電流が供給される。
【0029】
そのため、回転子6は、時計方向へ回転させられ、駆動ピン6aを、
図2において略上方へ移動させていくので、シャッタ羽根2は
反時計方向へ回転され、シャッタ羽根3は
時計方向へ回転される。それによって、2枚のシャッタ羽根2,3は、開口部1bを閉じていく。
【0030】
その後、
図3のようにシャッタ羽根2,3が開口部1bの中央部を覆い終わると、回転子6は、当接ピン6bと回動リング部材5の孔5aが当接することにより、回転速度を減速されながら回動リング部材5と一体となって回転する。その後、
図4のように回転子6の駆動ピン6aが地板1の孔1aに当接して停止させられ、シャッタ羽根2,3も減速されながら地板1のストッパ部1e,1fに当接することにより回転が停止させられる。
【0031】
このようにして、
図4に示された状態になると、固体撮像素子に蓄積された電荷が、撮像情報として記憶装置に転送される。そして、その転送が終わると、コイル8に対して上記とは異なり逆方向の電流が供給されるため、回転子6は、反時計方向へ回転させられ、その駆動ピン6aを、図
4において略下方へ移動させていく。
【0032】
そのため、シャッタ羽根2、3は、相反する方向へ回転させられ、開口部1bをその略中央部から開放していく。そして、図
5のようにシャッタ羽根2、3が開口部1bを全開にすると、
図5のように駆動ピン6aは、当接ピン6bと回動リング部材5の孔5aが当接することにより、回転速度を減速されながら回動リング部材5と一体となって回転する。その後、回転子6および羽根2,3は減速されながらも回転を続け、それぞれ地板の孔1a、ストッパ部1e,1fに当接することで停止し、
図2の状態に復帰することになる。
【0033】
尚、本実施形態のように回転子6の当接ピン6bは、回動リング部材5に当接する際の衝撃力を弱めるために、駆動ピン6aよりも孔6c側に配置されるのが望ましい。
【0034】
また、本実施形態の作動はデジタルカメラに採用された場合で説明したが、銀塩フィルムカメラに採用された場合には、
図4に示された状態が撮影待機状態になって、シャッタ羽根2、3の開閉作動によって撮影が行われる。
【0035】
このように、本実施形態によれば、シャッタ羽根2,3が回動リング部材5により減速されながら地板1のストッパ1e,1fに当接するため、衝撃力を低減させることができ、シャッタ羽根2、3の耐久性およびバウンドに有利である。尚、羽根2、3が回動リング部材5により減速されるのは、シャッタ閉じ動作においては、羽根2、3が地板1の開口部1bを遮蔽し終わった後であり、シャッタ開き動作においては、羽根2、3が地板1の開口部1bを全開にした後であるため、シャッタスピードへの影響は無い。
【0036】
<実施形態2>
本実施形態の羽根駆動措置は、
図6に示すように、2つの回動リング部材5,10を2枚重ねて使用していること以外は実施形態1と同様である。その他の構成については実施形態1と同様であるため、その説明は省略する。
【0037】
次に、本実施形態の作動を説明する。
図7は、撮影待機状態を示す模式図である。
図6に示したように、回動リング部材5、10が重なった状態で配置されており、紙面奥側が回動リング部材10、手前側が回動リング部材5である。尚、本実施形態の特徴として、回動リング部材10の孔10aは回動リング部材5の孔5aよりも狭くなっている。このとき、電磁アクチュエータのコイルには通電されていないが、実施形態1と同様に、回転子6は、その永久磁石6dの磁極とヨーク7の二つの磁極部との対向配置関係によって
反時計方向へ回転するように付勢されており、それによって、駆動ピン6aには、
図7において略下方へ移動し、さらに図
7のように駆動ピン6aが地板1の孔1aに接触し、その回転を阻止されているため、この状態が維持されている。
【0038】
撮影指示に応じてコイルに順方向の電流が供給されると、回転子6は、時計方向へ回転させられ、駆動ピン6aを、
図7において略上方へ移動させていき、シャッタ羽根が開口部1bを閉じていく。その後、シャッタ羽根が開口部1bの中央部を覆い終わると、
図8のように、回転子6は、当接ピン6bと回動リング部材10の孔10aが当接することにより、回転速度を減速されながら回動リング部材10と一体となって回転する。
【0039】
その後、
図9のように、回転子6は、当接ピン6bと回動リング部材5の孔5aが当接することにより、更に回転速度を減速されながら回動リング部材5、10と一体となって回転する。その後、
図10のように回転子6の駆動ピン6aが地板1の孔1aに当接して停止させられ、シャッタ羽根も減速されながら地板1のストッパ部に当接することにより回転が停止させられる。
【0040】
このようにして、
図10に示された状態になると、固体撮像素子に蓄積された電荷が、撮像情報として記憶装置に転送される。そして、その転送が終わると、コイルに対して上記とは異なり逆方向の電流が供給されるため、回転子6は、反時計方向へ回転させられ、その駆動ピン6aを、
図10において略下方へ移動させていく。そのため、シャッタ羽根は、相反する方向へ回転させられ、開口部1bをその略中央部から開放していく。
【0041】
そして、シャッタ羽根が開口部1bを全開にすると、駆動ピン6は、当接ピン6bと回動リング部材10の孔10aが当接することにより、回転速度を減速されながら回動リング部材10と一体となって回転する。その後、回転子6は、当接ピン6bと回動リング部材5の孔5aが当接することにより、更に回転速度を減速されながら回動リング部材5、10と一体となって回転する。
【0042】
その後、
図10のように回転子6の駆動ピン6aが地板1の孔1aに当接して停止させられ、シャッタ羽根も減速されながら地板1のストッパ部に当接することにより回転が停止させられ、
図7の状態に復帰することになる。
【0043】
このように、本実施形態によれば、シャッタ羽根が回動リング部材5、10により二段階に減速されながら地板1のストッパに当接するため、衝撃力を低減させることができ、シャッタ羽根の耐久性およびバウンドに有利である。尚、シャッタ羽根が回動リング部材5、10により減速されるのは、シャッタ閉じ動作においては、羽根が地板1の開口部1bを遮蔽し終わった後であり、シャッタ開き動作においては、シャッタ羽根が地板1の開口部1bを全開にした後であるため、シャッタスピードへの影響は無い。