(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522411
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】内燃エンジン用の吸気システム、空気流制御部品、内燃エンジン、及びその組み立て方法
(51)【国際特許分類】
F02D 35/00 20060101AFI20190520BHJP
F02M 35/024 20060101ALI20190520BHJP
F02M 35/112 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
F02D35/00 366L
F02D35/00 360F
F02M35/024 521C
F02M35/112
【請求項の数】31
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-92506(P2015-92506)
(22)【出願日】2015年4月30日
(65)【公開番号】特開2015-212548(P2015-212548A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2018年3月20日
(31)【優先権主張番号】1407740.8
(32)【優先日】2014年5月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】591030617
【氏名又は名称】ジェイ. シー. バンフォード エクスカヴェイターズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】J.C. BAMFORD EXCAVATORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ペーター、 ハットヤン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン、 ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】コリン、 ラウド
【審査官】
首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0241683(US,A1)
【文献】
特表平02−503102(JP,A)
【文献】
特開2008−223524(JP,A)
【文献】
特開2012−202410(JP,A)
【文献】
特開2012−241556(JP,A)
【文献】
特開昭59−221439(JP,A)
【文献】
特開2007−146715(JP,A)
【文献】
特開2010−255581(JP,A)
【文献】
特開2010−071190(JP,A)
【文献】
特開2012−163003(JP,A)
【文献】
米国特許第6467359(US,B1)
【文献】
特開2004−176547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 35/00
F02M 35/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジン用の吸気システムであって、
開口部を含む上流端と、空気流制御部品に接続するための下流端とを有する吸気ダクトを備え、
質量空気流量センサーアセンブリを更に備え、
前記質量空気流量センサーアセンブリは、前記上流端より前記下流端の近くに配置され、
前記質量空気流量センサーアセンブリはベンチュリ管の形態の空気圧センサーを含み、前記ベンチュリ管の下流の末広ノズルがない、吸気システム。
【請求項2】
前記質量空気流量センサーアセンブリは、前記空気流制御部品の上流入口に近接して取り付けられる、請求項1に記載の吸気システム。
【請求項3】
前記空気流制御部品は、ターボチャージャー、スロットル又はインレットマニホールドである、請求項1又は2に記載の吸気システム。
【請求項4】
前記ベンチュリ管は、前記空気流制御部品のハウジングを貫通する、前記質量空気流量センサーアセンブリの計測チューブ用の孔を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項5】
前記質量空気流量センサーアセンブリは、温度センサーを更に備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項6】
前記温度センサーはサーミスタである、請求項5に記載の吸気システム。
【請求項7】
前記ベンチュリ管は入口と出口とを備え、前記ベンチュリ管の出口と入口の内径の比は1:1.5と1:2.2の間である、請求項1から6のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項8】
前記吸気ダクトは、前記質量空気流量センサーアセンブリの上流に所定の角度を有する湾曲部を備える、請求項1から7のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項9】
前記吸気ダクトは、前記質量空気流量センサーアセンブリの上流に、前記吸気ダクトの直径の少なくとも7倍に等しい直線部を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項10】
前記空気流制御部品はハウジングを備える、請求項1から9のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記質量空気流量センサーアセンブリの質量空気流量センサーをその上に取り付けるための台を含む、請求項10に記載の吸気システム。
【請求項12】
前記ハウジングは、1つ以上の鋳造部品から形成される、請求項11に記載の吸気システム。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記空気流制御部品から上流に延びる延長部を備える、請求項10から12のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項14】
前記質量空気流量センサーアセンブリの質量空気流量センサーが、前記ハウジングに直接取り付けられる、請求項10から13のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項15】
前記質量空気流量センサーは、前記ハウジングに解放可能に固定される、請求項14に記載の吸気システム。
【請求項16】
前記空気流制御部品のハウジングの上流の延長部は、前記ベンチュリ管を含む、請求項13に記載の吸気システム。
【請求項17】
前記ハウジングは鋳造部品であり、前記ベンチュリ管は前記ハウジングと同じ鋳造品から形成される、請求項16に記載の吸気システム。
【請求項18】
前記ハウジングの上流の延長部は、それに吸気ダクトを取り付けるための差込口を備える、請求項13から17のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項19】
前記質量空気流量センサーアセンブリは、前記空気流制御部品とは別個であり且つ前記空気流制御部品に取り付け可能な、独立型の質量空気流量センサーアセンブリである、請求項1から18のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項20】
前記独立型の質量空気流量センサーアセンブリは、前記空気流制御部品のハウジングの上流に取り付けられる、請求項19に記載の吸気システム。
【請求項21】
空気流の方向に、前記空気流制御部品の上流入口は、前記吸気ダクトと係合する開放端と、収束領域と、圧縮機入口の下流端に位置する小径領域とを含み、前記開放端、前記収束領域及び前記小径領域は前記ベンチュリ管を形成する、請求項1から20のいずれか一項に記載の吸気システム。
【請求項22】
前記ベンチュリ管は、前記ベンチュリ管の収束領域の上流及び下流の圧力差を検出するように構成されている、請求項1から21のいずれか一項に記載の吸気システム。
【請求項23】
内燃エンジン用の空気流制御部品であって、
ハウジングを備え、
前記ハウジングは単一の部品であり、
前記ハウジングに質量空気流量センサーアセンブリが取り付けられ、
前記質量空気流量センサーアセンブリはベンチュリ管の形態の空気圧センサーを含み、前記ベンチュリ管の下流の末広ノズルがない、空気流制御部品。
【請求項24】
前記質量空気流量センサーアセンブリは、前記空気流制御部品の上流入口に近接して取り付けられる、請求項23に記載の空気流制御部品。
【請求項25】
前記ベンチュリ管は、前記ハウジングと同じ単一の部品から形成される、請求項24に記載の空気流制御部品。
【請求項26】
内燃エンジンであって、
空気流制御部品と質量空気流量センサーアセンブリとを備え、
前記空気流制御部品と前記質量空気流量センサーアセンブリは前記内燃エンジンに取り付けられ、
前記質量空気流量センサーアセンブリはベンチュリ管の形態の空気圧センサーを含み、前記ベンチュリ管の下流の末広ノズルがない、内燃エンジン。
【請求項27】
前記質量空気流量センサーアセンブリは、前記空気流制御部品の上流入口に近接して取り付けられる、請求項26に記載の内燃エンジン。
【請求項28】
前記空気流制御部品は鋳造されたハウジングを備え、前記質量空気流量センサーアセンブリは前記ハウジングに取り付けられる、請求項27に記載の内燃エンジン。
【請求項29】
前記ベンチュリ管は、前記ハウジングと同じ単一の部品から形成される、請求項28に記載の内燃エンジン。
【請求項30】
内燃エンジンを組み立てる方法であって、
第1生産ライン上にエンジンブロックを有し、
a)前記内燃エンジンの内部部品を前記エンジンブロック内に組み立てるステップと、
b)少なくとも1つの空気流制御部品と質量空気流量センサーアセンブリを含む前記内燃エンジンの付属部品を前記エンジンブロックの外側に組み立てるステップと
を含み、
前記質量空気流量センサーアセンブリは前記空気流制御部品に取り付けられ、
前記質量空気流量センサーアセンブリはベンチュリ管の形態の空気圧センサーを含み、前記ベンチュリ管の下流の末広ノズルがない、方法。
【請求項31】
前記方法は、前記第1生産ラインとは異なる第2位置で、前記内燃エンジンを作業機械に設置する更なるステップc)をステップa)及びb)の後に含み、前記設置は、前記質量空気流量センサーアセンブリに吸気ダクトを接続することを含む、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジン用の吸気システムに、特に、限定されないがディーゼル内燃エンジンに関する。本発明はまた、空気流制御部品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸気システムは、燃料噴射式の内燃(IC)エンジンに入る空気の質量流量を測定するのに、質量空気流量(MAF)センサーを使用する。これらのMAFセンサーは、エンジンに入る空気の流量と温度を測定するのに必要とされる。これらのデータは、燃費を維持し且つ排気を削減するべく燃料空気混合気を最適化するために、エンジンECUによって使用される。通常は、これらのMAFセンサーは、エアフィルタの近くにある、大気からICエンジンの燃焼室への空気経路の上流の入口端に取り付けられる。
【0003】
特にオフハイウェイの用途では、一部の(ディーゼル)内燃エンジンは、様々な機械に使用され、異なる場所に取り付けられ得る。例えば、バックホーローダーの運転室の前方に直列配置で、しかしながらテレスコピックハンドラーのサイドポッド内に横方向に、エンジンを取り付けることができる。このため、空気経路を提供するダクトは、設置ごとに異なることになる。
【0004】
本出願は、このようなMAFセンサーが現在のところ設置ごとに専用のキャリブレーションを必要とすることを認識している。これらのキャリブレーションの各々は、行うのに相当な金額がかかり且つかなりの時間がかかる。空気経路が変わるたびに、新たな空気経路のキャリブレーションを行わなければならない。また、温度センサーがエンジンの燃焼室への入口から遠いほど、例えば、エンジンからの熱伝達によって、燃焼室に流入する空気の測定温度と実際の温度との格差の可能性が大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくとも従来技術の問題を克服するか又は軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、内燃エンジン用の吸気システムであって、開口部を含む上流端と、空気流制御部品に接続するための下流端とを有する吸気ダクトを備え、質量空気流量センサーアセンブリを更に備え、質量空気流量センサーアセンブリは、上流端より下流端の近くに配置される、吸気システムを提供する。
【0007】
有利なことに、これにより、空気の測定温度と燃焼室に入る空気の実際の温度との間の格差が低減され、MAFアセンブリをエンジンに取り付けることが可能になる。また、空気経路ごとの専用のキャリブレーションの必要性をなくすことができ、それにより全体的なコスト及び時間の節約の利点をもたらす。
【0008】
好ましくは、質量空気流量センサーアセンブリは、空気流制御部品の上流の入口に近接して取り付けられる。
【0009】
空気流制御部品は、ターボチャージャー、スロットル又はインレットマニホールドであることができる。
【0010】
好ましくは、質量空気流量センサーアセンブリは、空気圧センサーを含む。
【0011】
より好ましくは、空気圧センサーはベンチュリ管である。
【0012】
更により好ましくは、ベンチュリ管は、ハウジングを貫通する、質量空気流量センサーアセンブリの計測チューブ用の孔を含む。
【0013】
有利なことに、これにより、センサーを取り付ける簡単な方法が提供される。
【0014】
好ましくは、ベンチュリ管の下流の末広ノズルがない。
【0015】
有利には、これによりコンパクトな構成が提供される。
【0016】
一実施形態では、質量空気流量センサーアセンブリは、温度センサーを更に備える。
【0017】
好ましくは、温度センサーはサーミスタである。
【0018】
一実施形態では、ベンチュリ管は入口と出口とを備え、ベンチュリ管システムの出口と入口の内径の比は1:1.5と1:2.2の間である。
【0019】
有利には、これにより正確なMAF測定のための十分な圧力差が提供される。
【0020】
好ましくは、吸気ダクトは、質量空気流量センサーアセンブリの上流に所定の角度を有する湾曲部を備える。
【0021】
有利には、これにより、所定の角度に対して垂直なMAFに対するダクトの角度が一定の角度の範囲内に留まるならば、ベンチュリ管に標準的な流れ状態が提供される。
【0022】
一実施形態では、吸気ダクトは、質量空気流量センサーアセンブリの上流に、吸気ダクトの直径の少なくとも7倍に等しい直線部を備える。
【0023】
有利には、これにより、ベンチュリ管に標準的な流れ状態が提供される。
【0024】
空気流制御部品はハウジングを備えることができる。
【0025】
好ましくは、ハウジングは、質量空気流量センサーアセンブリの質量空気流量センサーをその上に取り付けるための台を備える。
【0026】
有利なことに、これにより、センサーアセンブリは更に一体化される。
【0027】
一実施形態では、ハウジングは、1つ以上の鋳造部品から形成される。
【0028】
好ましくは、ハウジングは、空気流制御部品から上流に延びる延長部を備える。
【0029】
より好ましくは、質量空気流量センサーアセンブリの質量空気流量センサーが、ハウジングに直接取り付けられる。
【0030】
更により好ましくは、質量空気流量センサーは、ハウジングに、好ましくは上流の延長部に解放可能に固定される。
【0031】
空気流制御部品のハウジングの上流の延長部は、ベンチュリ管を含むことができる。
【0032】
好ましくは、ハウジングは鋳造部品であり、ベンチュリ管はハウジングと同じ鋳造品から形成される。
【0033】
有利なことに、これにより、センサーアセンブリは更に一体化される。
【0034】
ハウジングの上流の延長部は、それに吸気ダクトを取り付けるための差込口(スピゴット)を備えることができる。
【0035】
前記質量空気流量センサーアセンブリは、空気流制御部品とは別個であり且つ空気流制御部品に取り付け可能な、独立型の質量空気流量センサーアセンブリであることができる。
【0036】
好ましくは、独立型の質量空気流量センサーアセンブリは、空気流制御部品のハウジングの上流に取り付けられる。
【0037】
一実施形態では、空気流制御部品はターボチャージャーである。
【0038】
別の実施形態では、空気流制御部品はスロットルである。
【0039】
更なる実施形態では、空気流制御部品はエアインレットマニホールドである。
【0040】
本発明の第2の態様は、内燃エンジン用の空気流制御部品であって、ハウジングを備え、ハウジングは単一の、例えば鋳造部品であり、ハウジングに質量空気流量センサーアセンブリが取り付けられる、空気流制御部品を提供する。
【0041】
有利なことに、これにより、エンジン部品の数が削減され、より強固なエンジン部品が提供され、空気経路ごとの専用のキャリブレーションの必要性をなくすことができる。
【0042】
好ましくは、質量空気流量センサーアセンブリは、空気流制御部品の上流の入口に近接して取り付けられる。
【0043】
より好ましくは、ハウジングと同じ単一の部品、例えば鋳造品からベンチュリ管が形成される。
【0044】
一実施形態では、空気流制御部品はターボチャージャーである。
【0045】
別の実施形態では、空気流制御部品はスロットルである。
【0046】
更なる実施形態では、空気流制御部品はエアインレットマニホールドである。
【0047】
本発明の第3の態様は、内燃エンジンであって、空気流制御部品と質量空気流量センサーアセンブリとを備え、空気流制御部品と質量空気流量センサーアセンブリはエンジンに取り付けられる、内燃エンジンを提供する。
【0048】
好ましくは、質量空気流量センサーアセンブリは、空気流制御部品の上流の入口に近接して取り付けられる。
【0049】
より好ましくは、空気流制御部品は鋳造されたハウジングを備え、質量空気流量センサーアセンブリはハウジング鋳造品に取り付けられる。
【0050】
更により好ましくは、ハウジングと同じ単一の部品、例えば鋳造品からベンチュリ管が形成される。
【0051】
一実施形態では、空気流制御部品はターボチャージャーである。
【0052】
別の実施形態では、空気流制御部品はスロットルである。
【0053】
更なる実施形態では、空気流制御部品はエアインレットマニホールドである。
【0054】
本発明の第4の態様は、内燃エンジンを組み立てる方法であって、第1生産ライン上にエンジンブロックを有し、内燃エンジンの内部部品をエンジンブロック内に組み立てるステップと、少なくとも1つの空気流制御部品と質量空気流量センサーアセンブリを含むエンジンの付属部品をエンジンブロックの外側に組み立てるステップとを含み、質量空気流量センサーアセンブリは空気流制御部品に取り付けられる、方法を提供する。
【0055】
有利には、これは、キャリブレーションに対する必要性を減らしてMAFを標準的な方法で取り付けることができることを意味する。
【0056】
好ましくは、方法は、第1とは異なる第2位置で、エンジンを機械に、例えば作業機械に設置するステップを更に含み、設置は、質量空気流量センサーに吸気ダクトを接続することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0057】
添付の図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【
図1A】既知のエンジンレイアウトの概略図である。
【
図1B】本発明実施形態に従うエンジンレイアウトの概略図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に従う一体化されたMAFセンサーアセンブリを有するターボチャージャーの等角図である。
【
図3】
図2の一体化されたMAFセンサーアセンブリの正面図である。
【
図4】
図3の一体化されたMAFアセンブリのA−A平面における断面図である。
【
図5】
図3の一体化されたMAFアセンブリの側面図である。
【
図6】
図2の一体化されたMAFアセンブリの平面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に従うスロットルの上流に取り付けられたMAFセンサーアセンブリの等角図である。
【
図8】
図7のMAFセンサーアセンブリとスロットルの正面図である。
【
図9】
図8の独立型のMAFセンサーアセンブリの平面C−Cにおける断面図である。
【
図10】
図7のMAFセンサーアセンブリとスロットルの側面図である。
【
図11】
図7のMAFセンサーアセンブリとスロットルの平面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に従う独立型のMAFセンサーアセンブリの等角図である。
【
図13】
図12の独立型のMAFセンサーアセンブリの正面図である。
【
図14】
図13の独立型のMAFセンサーアセンブリの平面B−Bにおける断面図である。
【
図15】
図12の独立型のMAFセンサーアセンブリの平面図である。
【
図16】
図12の独立型のMAFセンサーアセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
初めに
図1Aを参照すると、先行技術の実施例に従うエンジン及び吸気システムが、全体として1で示されている。吸気システム1は、エアフィルタ3を介して吸気ダクト4内に空気を引き込む空気入口2を備える。通常は、エアフィルタ3の直ぐ下流に、MAFセンサー6が配置される。濾過された空気は、次に、通常は様々な湾曲部及び直線部を組み込んだ経路を通って、吸気ダクト4を流下し、内燃エンジンの燃焼室7の近傍に取り付けられたターボチャージャー11のコンプレッサー10に到達する。圧縮空気はその後、スロットル5を通って流れ、インレットマニホールド12を通ってエンジンブロック8の燃焼室7に入る。燃焼後、排気ガスは、次に、ターボチャージャー11のタービン13を通って流れ、シャフト14によってコンプレッサー10を駆動し、適切な排気処理後に排気管15から排出される(図示せず)。
【0059】
図1Bは、
図1Aとほぼ同様のエンジンのレイアウトを概略的に示しているが、燃焼室22を有するエンジンブロック20だけでなく、本発明の実施形態に従う吸気システム60を組み込んでいる。このシステムでは、それぞれ27,28に破線で示す位置に、ターボチャージャー40、スロットル50又はインレットマニホールド62のいずれかの上流で空気流量測定値を直接取得するように、MAFセンサーアセンブリ30が配置される。このようなMAFセンサーアセンブリが1つだけエンジンに装着され、その位置は、例えば、エンジンにターボチャージャーが取り付けられているかどうかに依存する。
【0060】
このシステムでは、追加の温度センサー29が、外気温度を提供するために、エアフィルタ23の近くに吸気ダクト24の上流端に向かって配置されることができる。
【0061】
この実施形態では、エンジンは、ディーゼルエンジンであるが、本発明は、ガソリン、バイオディーゼル又はCNG(圧縮天然ガス)のような他の燃料を用いてICエンジンにも適用可能であることが予想される。
【0062】
本出願の目的のために、ターボチャージャー、スロットル及びインレットマニホールドは、それらが全て燃焼室へ入る前に空気流に作用するので、まとめて「空気流制御部品」と定義される。
【0063】
図2から6は、本発明の実施形態に従うターボチャージャー40の形の空気流制御部品をより詳細に示す。ターボチャージャーは、コンプレッサー42(
図1B)と、シャフト64(
図1B)によって連結されたタービン43(
図1B)と、コンプレッサーハウジング41と、タービンハウジング(図示せず)とを備える。ターボチャージャーは、エンジンブロックに直接取り付けるか、或いは、ブラケット(図示せず)を介して、又は、シリンダヘッド(図示せず)、又は排気マニホールド(図示せず)などの他の部品を介して取り付けることができる。
【0064】
本実施形態では、コンプレッサーハウジング41は、単一の鋳造金属部品である(すなわち、それは、単一の鋳造作業で形成され、全体の形を形成するためにその上に溶接又は他の方法で固定された追加の部品を有していない)。それは、さまざまな一体的な特徴を有して形成され、例えば、平坦な合わせ面とボルトを通すことができる孔とを提供するために、機械加工作業を受ける。
【0065】
コンプレッサーハウジング41は、一体的な入口48と、一体的な出口49とを備え、コンプレッサー入口48は、ターボチャージャー40の中心から上流側に、コンプレッサー、シャフト及びタービン(図示せず)の回転軸X−Xと同軸に延びる(
図4)。コンプレッサー出口49は、本実施形態では軸X−Xと平行な軸を有するが、軸X−Xからずれている。他の実施形態では、コンプレッサー出口は、軸X−Xに対して実質的に垂直な軸を有することができる。
【0066】
コンプレッサー入口48は、既知のターボチャージャーよりも更に上流に延びる延長部を含む。入口の内部孔は、本実施形態ではベンチュリ管66(
図4)を含む。また、これは、コンプレッサーハウジングと同じ鋳造品から形成される。これにより、全体的なターボチャージャーアセンブリ40の設置面積を最小限に抑えることができ、より強固なアセンブリを作ることができる。空気流の方向に、コンプレッサー入口48は、空気ダクト24と係合する大径開放端46と、収束領域44と、コンプレッサー入口の下流端(すなわち、コンプレッサーのすぐ上流側)に位置する小径領域45とを備える。大径開放端46と、収束領域44と、小径領域45は、連続してベンチュリ管66を形成する。
【0067】
コンプレッサー入口48は、入口48を画定する壁を通って半径方向に延びる2つの孔32,33を更に備える。孔は、孔32,33内に配置された2つの計測チューブ35,36が、それぞれ計測チューブ35,36の最上部に近接してMAFセンサーアセンブリ30のセンサー本体34内に位置する2つの測定ポート74,76によって測定される空気圧を、入口48の外側に送信することを可能にする。センサー本体34は、このために好適な電圧及び温度検出部品と、質量空気流量と温度を示す信号をエンジンECU(図示せず)に送る電気ケーブル用のコネクタとを含む。
【0068】
第1計測チューブ35は、コンプレッサー入口48の収束領域44に近い大径端46に位置し、温度センサーがコンプレッサーハウジング内に延びるように、その自由端に温度センサー39を含む。温度センサーの上にあるチューブの横孔55が、空気圧がセンサー本体34に向かってチューブの上方へ送られることを可能にする。このチューブ35は、センサー本体34に取り付けられ、孔32を通してユニットとして挿入される。チューブ35はまた、孔32の半径方向外側でパイプ31内に収容される。空気が横孔に到達するための通路を提供するために、チューブ35孔32と、パイプ31との間に隙間が設けられる。
【0069】
第2計測チューブ36は、小径領域45の壁を通る孔33と、そこから半径方向に延びる別個のパイプ31とによって直接画定される。センサー本体に収束領域44の両側の差圧を送るためにそれぞれ2つの計測チューブ35,36の必要な分離が、ベンチュリ管の長さ、ひいてはコンプレッサー入口48に影響を与える。代替的な実施形態では、パイプ31は、ハウジング41と一体に形成されることができる。
【0070】
パイプ31の高さは、MAFセンサーアセンブリ30に組み込まれた温度センサー39の長さに依存する。このため、より短い温度センサー39の使用により、より短いチューブ35が可能となり、センサー本体をコンプレッサー入口48の壁に近づけることが可能である。
【0071】
センサー本体34の取付台37が、パイプ31の外端に固定される。台37は、MAFセンサー本体34をコンプレッサー入口48に解放可能に固定するための取付ボルト38を受け入れるねじ付き孔を提供する。代替的な実施形態では、取付台37は、ハウジング内に一体的に形成され、例えば、単一の部品として同じ鋳造品から形成され、機械加工され、又は焼結されることができる。
【0072】
パイプ31の配置は、コンプレッサー入口48と、台37と、センサー本体34とに対して気密に封止されることが理解されるであろう。パイプ31は、コンプレッサー入口と台37に溶接、はんだ付け、ねじ止め又は圧入することができ、それにより台の構造的支持として機能する。
【0073】
この実施形態では、コンプレッサー入口48の大径開放端46は、ホースクリップ69と連携して吸気ダクト24を保持するために、DIN 3021−3−Aの周辺リブ差込口の特徴47を更に備える。このスピゴット47の外径は、空気ダクト24に適合するように調整される。
【0074】
MAFセンサーアセンブリ30は、開放端46と小径領域45との間に有意な径差を必要とする。例えば、小径領域45が32.66mmの内径を有する場合、対応する開放端46の内径は、MAFセンサーアセンブリ30の動作範囲内に留まるように、50mmから70mmの間であるべきである。他の実施形態では、MAFセンサーの動作範囲は変わり得る。
【0075】
ターボチャージャー40のコンプレッサー42が乱流を取り入れ、それは末広ノズルの整流効果が必要とされないことを意味するので、通常このタイプの従来のMAFセンサーに存在するベンチュリ管の末広ノズルが、本システム60では必要とされない。
【0076】
図7から11を参照すると、スロットルが本発明の他の実施形態に従って全体として150で示される。本実施形態の対応する部品には、
図2−6に対して100大きい符号が付けられる。相違点のみをより詳細に説明する。
【0077】
スロットル150は、アクチュエータ153によってスロットルを開閉するように回転可能なスロットル弁152と、スロットルハウジング141とを備える。ハウジング141は、入口148と出口149とを含み、スロットル入口は、弁152とスロットルアクチュエータ153から軸方向上流側に延びる。スロットル入口148は、第1実施形態のベンチュリ管66と同様の形式のベンチュリ管166を備え、ベンチュリ管166は、スロットルハウジングの一部分と同じ鋳造品から形成され、スロットル150全体の全体的な設置面積を最小化する。スロットル150は、通常は、エンジンのインレットマニホールド62に取り付けられる。代替的な実施形態では、二重バレル又はスライディングプレートスロットルなどの異なるスロットルを使用することができる。
【0078】
スロットル150は、入口148の壁を通ってベンチュリ管166内に半径方向に延びる2つの孔132,133を更に備える。しかしながら、本実施形態は、取付台137が入口ハウジング148の残りの部分と同じ鋳造品から形成され、且つ孔132,133の全長が鋳造品によって画定される点で、第1実施形態と異なる。
【0079】
図12から16は、本発明の第3実施形態に従う、便宜上「独立型の」MAFセンサーアセンブリ230として説明することができるものを示し、この図の対応する部品には、
図7から11に対して100大きい符号が付けられる。相違点のみをより詳細に説明する。
【0080】
独立型のMAFセンサー230は、一定の張力のホースクリップ269によって吸気ダクト224の下流端80に固定される。代替的な実施形態では、動作環境に適した他の保持方法を使用することができる。独立型のMAFセンサーアセンブリ230は、V字バンドクリップ272を更に備え、V字バンドクリップ272によって空気流制御部品の上流端に、例えば、標準的なターボチャージャータのコンプレッサーハウジング(図示せず)、標準的なスロットル(図示せず)、又は標準的なインテークマニホールドのハウジング(図示せず)のいずれかの開放端に、固定することができる。代替的な実施形態では、動作環境に適した別の気密インターフェイスを使用することができる。第1及び第2実施形態のように、MAFセンサーアセンブリ230は、センサーからベンチュリ管266内へ延びる2つの計測チューブ235,236と2つの測定ポート274,276とを備える。
【0081】
本実施形態では、独立型のMAFセンサーアセンブリ230に取り付けられた吸気ダクト224は、独立型のMAFセンサーの上流側に円弧部を含み、円弧部の曲率は、角度αによって画定される。ダクト224は、円弧部のすぐ上流側のダクトの中心線に対応する軸Z−Zを画定する。独立型のMAFセンサー230は、上記の軸X−Xと同じである回転軸Y−Yを画定し、角度αは軸Y−YとZ−Zとの間の角度として定義される。本実施形態では、角度αは90°であるように示されているが、代替的な実施形態では、これは任意の角度であることができる。
【0082】
独立型のMAFセンサー230は、軸Y−Yに対して90°の角度で固定された、MAFセンサーの中心線に対応する軸B−Bを画定する。角度αは、従って軸B−BとZ−Zとの間の共平面性を定める。MAFセンサー230の軸B−Bは、入口ダクト224の軸Z−Zに対する角度βを定める。角度βは、軸B−BとZ−Zとの間の回転角度に相当し、本実施形態では0である。他の実施形態では、角度βは、
図13に示すように±30°の間で変化することができる。角度αが固定されると、角度βは、MAFセンサー230の再較正を必要とせずに、±30°で変化させることができる。
【0083】
これらの構成は、MAFセンサーアセンブリ230が空気流を許容可能な正確さで測定することを可能にする、繰り返し可能な空気流を生じさせる。この範囲内の角度が入口ダクト224に利用可能でない場合は、入口ダクトは、長さがダクトの内径の7倍に等しい直線領域を備えることができる。このため、独立型のユニットは、下流の部品、及びユニットが取り付けられている残りの上流側ダクトに関係なく、追加のキャリブレーションを必要とせずに、吸気ダクト内に取り付けることができる。同様の考察は、第1、第2実施形態のアセンブリの上流ダクトに適用される。
【0084】
ベンチュリ管とセンサープレート37の表面粗さは、MAFセンサーの仕様に応じて提供され、この仕様を満たすために、これらの面の追加の機械加工又は処理を行うことができる。
【0085】
ICエンジンは、1つの生産ラインで組み立てられるように、その内部部品、例えば、ピストン、コンロッド、クランクシャフト、カムシャフト、プッシュロッド、バルブ、フライホイールなどを有することが一般的である。様々な外付けの付属部品、例えば、スタータモータ、オルタネータ、ターボチャージャー、インタークーラー、スロットル、オイルポンプなども、適切なブラケット及びボルトなどの固定具を用いて、同じ第1の場所で、第1生産ラインで組み立てることができるのが一般的である。これらの付属部品は、「エンジン上に」あると言われる。
【0086】
エンジン及び前述の「エンジン上に」ある部品を機械(例えば、バックホーローダー、テレハンドラー、ローディングショベル、スルー掘削機、スキッドステアローダー、トラクター、発電機などの作業機械)に、通常、第1の場所から離れた第2の場所(例えば、異なる場所にある別の工場や大規模な工場の別の部分)で設置するのが一般的である。この設置中に、エンジンは、冷却システム(熱交換器及び関連するホース)、燃料システム(燃料タンク、燃料フィルタなど)、及び吸気システム(前述のエアフィルタ及び吸気ダクト)に接続される。これらのすべては、コンパクトで、換気が良く、修理し易く、信頼性の高いレイアウトをもたらすために、その機械の特別な実装のニーズのために特注であってもよい。
【0087】
本発明は、MAFの位置を変えることによって、既にエンジンに取り付けられた部品との全体的な又は部分的な一体化、及び既にエンジンに取り付けられた部品の支持によって、MAFが「エンジン上に」ある部品であることを可能にすることが理解されるであろう。これは、機械全体の組み立ての初期段階で組み立てることができ、組立方法をある程度標準化すること、キャリブレーションを全く必要としないか又は削減することができることを意味する。この方法は、機械に装着される追加の周囲空気温度センサーを必要とするかもしれないが、上記のコスト削減は、このほんのわずかな追加費用を大幅に上回ることが予想される。
【0088】
本明細書で使用される用語「単一の部品」は、部品が、例えば、鋳造、焼結、鍛造又は成形のようなプロセスによって、同一の連続した又は一体化した塊から形成され、例えば、溶接、接着又は蝋付けによって互いに接合される2つ以上の部品から形成された部品を含まないことを意味する。
【0089】
1つ以上の好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきたが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更又は修正がなされ得ることが理解されるであろう。
【0090】
差圧センサーは、ベーンメータセンサー、コールドワイヤセンサーなどの異なるセンサーに置き換えることができる。また、差圧センサーを熱線又は膜センサーで置き換えることにより、MAFセンサーに別個の温度センサーを組み込む必要性がなくなる。
【0091】
他の実施形態では、代替的な構成を使用することができる。例えば、入口は、その関連する空気流制御部品に、溶接され、蝋付けされ、接着され、又は留め具で固定されることができる。ハウジングは、鋳造されるのではなく、組み立て、鍛造又は成形することができる。