(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。尚、各図中、同一の部分には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
【0014】
図1は、本発明に係る建設機械の一例としての油圧ショベルの概略構成を示す図である。
【0015】
図1において、油圧ショベル10は、下部走行体20と、下部走行体20の上部に左右方向に旋回可能に設けられた上部旋回体30と、上部旋回体30の前部に上下方向に回動可能に設けられたフロント作業装置40とを備えている。
【0016】
下部走行体20は、左右のクローラフレーム21と、左右のクローラフレーム21にそれぞれ装着された左右のクローラ22と、左右のクローラ22をそれぞれ独立に駆動する左右の走行油圧モータ23とを備えている(全て左側のみ図示)。
【0017】
上部旋回体30は、支持構造体としての旋回フレーム31を有し、旋回フレーム31上には、各油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプ32、油圧ポンプ32を駆動するエンジン33、下部走行体20に対して上部旋回体30を旋回させる旋回装置34、旋回装置34を駆動する旋回油圧モータ(不図示)等が搭載されている。また、旋回フレーム31の前方左側に設けられた運転室35には、フロント作業装置40及び旋回装置34を操作するための左右の電気式操作レバー装置3a,3b(
図2に示す)、油圧ショベル10の各種情報を表示するためのモニタ6(
図2に示す)等が設置されている。
【0018】
フロント作業装置40は、上部旋回体30の前部に上下方向に回動可能に取り付けられたブーム41と、ブーム41の先端に回動可能に取り付けられたアーム42と、アーム42の先端に回動可能に取り付けられたバケット43とを有している。ブーム41は、ブームシリンダ44の伸縮により、ブーム上げ/ブーム下げ動作を行う。アーム42は、アームシリンダ45の伸縮により、アーム引き(アームクラウド)/アーム押し(アームダンプ)動作を行う。バケット43は、バケットシリンダ46の伸縮により、バケット掘削(バケットクラウド)/バケット放土(バケットダンプ)動作を行う。
【0019】
なお、ISO規格の操作方式では、左操作レバー4aの前操作がアームダンプ動作に、後操作がアームクラウド動作に、左操作が左旋回動作に、右操作が右旋回動作にそれぞれ対応し、右操作レバー4bの前操作がブーム下げ動作に、後操作がブーム上げ動作に、左操作がバケットクラウド動作に、右操作がバケットダンプ動作にそれぞれ対応している。
【0020】
図2は、
図1に示す油圧ショベルに搭載されたエンジン始動システムの構成を示す図である。
【0021】
図2において、エンジン始動システム100は、エンジンキー1が挿入されるキースイッチ2と、左右の電気式操作レバー装置3a,3bと、各種制御を行うコントローラ5と、油圧ショベル10の各種情報を表示するモニタ6と、エンジン33(
図1に示す)を始動するスタータモータ8と、キースイッチ2とスタータモータ8との接続と遮断とを切り替えるリレー9とを備えている。
【0022】
キースイッチ2は、エンジンキー1がオン位置に操作されるとオン信号を出力し、スタート位置に操作されるとスタート信号を出力する。
【0023】
キースイッチ2から出力されたオン信号は、コントローラ5に入力される。コントローラ5は、キースイッチ2からオン信号が入力されると、操作者の認証操作を受け付けるモード(以下「認証モード」という。)で起動する。
【0024】
キースイッチ2から出力されたスタート信号は、リレー9を介して、スタータモータ8に入力される。リレー9は、コントローラ5から入力されるエンジン始動許可信号がオフの間は非接続状態を保持し、エンジン始動許可信号がオンになると接続状態となる。これにより、コントローラ5から出力されるエンジン始動許可信号がオンになるまでは、キースイッチ2から出力されるスタート信号がリレー9によって遮断され、スタータモータ8に伝達されないため、エンジン33は始動不能となる。
【0025】
左右の電気式操作レバー装置3a,3bは、非操作時に中立位置に復帰する左右の操作レバー4a,4bをそれぞれ有し、左右の操作レバー4a,4bの前後方向の操作量(傾転角度)に応じた電圧(以下「前後出力電圧」という。)と、左右方向の操作量(傾転角度)に応じた電圧(以下「左右出力電圧」という。)とをそれぞれ出力する。左右の電気式操作レバー装置3a,3bからそれぞれ出力された前後(左右)出力電圧は、コントローラ5のA/D変換器5aに入力され、電圧値に変換される。
【0026】
コントローラ5は、起動してからエンジン33が始動されるまでは認証モードで動作し、エンジン33が始動された後は通常モードで動作する。
【0027】
認証モードにあるコントローラ5は、エンジン33の始動前に実行された左右の操作レバー4a,4bを中立位置に保持する中立保持操作と左右の操作レバー4a,4bを前後左右のいずれかの方向に最大限操作するフルレバー操作とに基づいて操作パターンの列(以下「入力パターン列」という。)を生成し、当該入力パターン列が予めメモリ5cに登録されている操作パターンの列(以下「認証パターン列」という。)と一致した場合に、エンジン始動許可信号をオンにする。
【0028】
一方、通常モードにあるコントローラ5は、A/D変換器5aで変換した左右の電気式操作レバー装置3a,3bから入力された前後(左右)出力電圧の各電圧値を、演算器5bで各アクチュエータ(ブームシリンダ44、アームシリンダ45、バケットシリンダ46及び旋回油圧モータ)の動作速度に変換し、各動作速度に応じたアクチュエータ操作信号を出力する。これにより、左右の操作レバー4a,4bの前後左右方向の操作量に応じて、各アクチュエータの動作速度が制御される。
【0029】
モニタ6は、コントローラ5が認証モードにあるときは、認証画面7を表示する。認証画面7のレバー位置表示欄7aには、左右の操作レバー4a,4bの操作位置が表示され、パターン入力数表示欄7bには、入力の確定した操作パターンの数に相当する数の“*”が表示される。これにより、操作者は、自身の実行する操作パターンを確認しながら認証操作を行うことできる。また、操作者は、左右の操作レバー4a,4bの実際の操作位置とレバー位置表示欄7aに表示された操作位置とが一致することを確認することにより、左右の電気式操作レバー装置4a,4bから前後(左右)出力電圧が正常に出力されていることを確認することができる。なお、モニタ6は、コントローラ5が通常モードにあるときは、油圧ショベル10の各種情報を表示するための画面(不図示)を表示する。
【0030】
図3は、認証操作の実行中にモニタ6に表示される認証画面7の遷移例を示す図である。以下、各画面について説明する。
【0031】
画面M1は、キースイッチ2に挿入されているエンジンキー1がオン位置に操作され、コントローラ5が認証モードで起動した直後の認証画面7の状態を示す。画面M1において、左右の操作レバー4a,4bが中立位置にあることが十字線上の黒丸によって示され、操作パターンの入力数が0であることがパターン入力数表示欄7bの空欄によって示されている。認証操作は、画面M1に示すように、操作パターンの入力数が0でかつ左右の操作レバー4a,4bが中立位置にある状態で開始する。
【0032】
画面M2は、1番目の操作パターン(以下「第1パターン」という。)として、左操作レバー4aの後方向のフルレバー操作と右操作レバー4bの非操作との組合せを実行している最中の認証画面7の状態を示す。第1パターンの実行後、画面M3に示すように、左操作レバー4aを中立位置に戻し、左右の操作レバー4a,4bを所定時間中立位置に保持すると、第1パターンの入力が確定し、パターン入力数表示欄7bに1つ目の“*”が表示され、次の操作パターンの実行待ち状態となる。
【0033】
画面M4は、2番目の操作パターン(以下「第2パターン」という。)として、左操作レバー4aの右方向のフルレバー操作と右操作レバー4bの非操作との組合せを実行している最中の認証画面7の状態を示す。第2パターンの実行後、画面M5に示すように、左操作レバー4aを中立位置に戻し、所定時間中立位置に保持すると、第2パターンの入力が確定し、パターン入力数表示欄7bに2つ目の“*”が表示され、次の操作パターンの実行待ち状態となる。
【0034】
画面M6は、3番目の操作パターン(以下「第3パターン」という。)として、左操作レバー4aの右方向のフルレバー操作と右操作レバー4bを左方向のフルレバー操作との組合せを実行している最中の認証画面7の状態を示す。第3パターンの実行後、画面M5に示すように、左右の操作レバー4a,4bを中立位置に戻し、所定時間中立位置に保持すると、第3パターンの入力が確定し、パターン入力数表示欄7bに3つ目の“*”が表示され、次の操作パターンの実行待ち状態となる。
【0035】
画面M8は、操作パターンの入力終了を知らせるための特殊な操作パターン(以下「終了パターン」という。)として、左操作レバー4aの前後左右方向のフルレバー操作(順不同)と右操作レバー4bの前後左右方向のフルレバー操作(順不同)との組合せを実行している最中の認証画面7の状態を示す。終了パターンの実行後、画面M9に示すように、左右の操作レバー4a,4bを中立位置に戻し、所定時間中立位置に保持すると、認証操作が終了し、第1〜第3パターンからなる入力パターン列と予めメモリ5cに登録されている認証パターン列とが一致するか否かが判定される。
【0036】
図4は、操作レバー4a(4b)の前後(左右)方向のレバー操作量と電気式操作レバー装置3a(3b)から出力される前後(左右)出力電圧との関係を示す図である。
【0037】
操作レバー4a(4b)が中立位置(非操作位置)にあるときは、前後(左右)出力電圧は2.5Vとなる。
【0038】
操作レバー4a(4b)を後方向(左方向)に操作すると、前後(左右)出力電圧は2.5Vから0.5V(最小出力電圧)までの間で変化し、操作レバー4a(4b)を前方向(右方向)に操作すると、前後(左右)出力電圧は2.5Vから4.5V(最大出力電圧)までの間で変化する。
【0039】
認証モードにあるコントローラ5は、操作レバー4a(4b)のガタ等を考慮し、操作レバー4a(4b)の操作位置を以下のように判定する。
【0040】
前後(左右)出力電圧が2.5Vから所定のマージンを差し引いた電圧Vl2以上でかつ2.5Vに所定のマージンを加えた電圧Vh2以下である場合は、操作レバー4a(4b)が中立位置にあるとみなす。
【0041】
前後(左右)出力電圧が最小出力電圧(0.5V)から所定のマージンを加えた電圧Vl1以下である場合は、操作レバー4a(4b)が後方向(左方向)のフルレバー操作位置にあるとみなす。
【0042】
前後(左右)出力電圧が最大出力電圧(4.5V)から所定のマージンを差し引いた電圧Vh1以上である場合は、操作レバー4a(4b)が前方向(右方向)のフルレバー操作位置にあるとみなす。
【0043】
前後(左右)出力電圧が上記のいずれにも該当しない場合は、操作レバー4a(4b)が不定位置にあるとみなす。
【0044】
以下、前後左右方向のフルレバー操作をそれぞれ「前フル操作」、「後フル操作」、「左フル操作」及び「右フル操作」といい、各操作時の操作レバー4a(4b)の操作位置をそれぞれ「前フル位置」、「後フル位置」、「左フル位置」及び「右フル位置」という。
【0045】
図5は、認証モードにあるコントローラ5によって実行される操作レバー4a(4b)の操作位置を判定する処理(以下「操作位置判定処理」という。)を示すフロー図である。以下、各ステップについて説明する。
【0046】
まず、操作レバー4a(4b)が後(左)フル位置にあるか否か(すなわち、操作レバー4a(4b)の前後(左右)出力電圧がVl1以下であるか否か)を判定する(ステップS101)。
【0047】
ステップS101で前後(左右)出力電圧がVl1以下である(YES)と判定した場合は、操作レバー4a(4b)の操作位置判定結果を後(左)フル位置とし(ステップS102)、操作位置判定処理を終了する。
【0048】
ステップS101で前後(左右)出力電圧がVl1より大きい(NO)と判定した場合は、操作レバー4a(4b)が前(右)フル位置にあるか否か(すなわち、操作レバー4a(4b)の前後(左右)出力電圧がVh1以上であるか否か)を判定する(ステップS103)。
【0049】
ステップS103で前後(左右)出力電圧がVh1以上である(YES)と判定した場合は、操作レバー4a(4b)の操作位置判定結果を前(右)フル位置とし(ステップS104)、操作位置判定処理を終了する。
【0050】
ステップS103で前後(左右)出力電圧がVh1未満である(NO)と判定した場合は、操作レバー4a(4b)が中立位置にあるか否か(すなわち、前後(左右)出力電圧がVl2以上かつVh2以下であるか否か)を判定する(ステップS105)。
【0051】
ステップS105で前後(左右)出力電圧がVl2以上かつVh2以下である(YES)と判定した場合は、操作レバー4a(4b)の操作位置判定結果を中立位置とし(ステップS106)、操作位置判定処理を終了する。
【0052】
ステップS105で前後(左右)出力電圧がVl2未満又はVh2より大きい(NO)と判定した場合は、操作レバー4a(4b)の操作位置判定結果を不定位置とし(ステップS107)、操作位置判定処理を終了する。
【0053】
図6は、認証モードにあるコントローラ5によって実行される認証処理を示すフロー図である。以下、各ステップについて説明する。
【0054】
まず、左右の操作レバー4a,4bのそれぞれに対して操作位置判定処理(
図5に示す)を実行する(ステップS201)。
【0055】
ステップS201に続き、ステップS201の判定結果を操作パターンデータとして記憶する(ステップS202)。具体的には、
図7(a)に示すように、操作パターンデータを8ビットで構成し、右操作レバー4bの前フル操作の有無をビット0(最下位ビット)に、右操作レバー4bの左フル操作の有無をビット1に、右操作レバー4bの後フル操作の有無をビット2に、右操作レバー4bの右フル操作の有無をビット3に、左操作レバー4aの前フル操作の有無をビット4に、左操作レバー4aの左フル操作の有無をビット5に、左操作レバー4aの後フル操作の有無をビット6に、左操作レバー4aの右フル操作の有無をビット7(最上位ビット)にそれぞれ記憶する。この場合、
図7(b)に示すように、第1パターン(左操作レバー4aの後フル操作と右操作レバー4bの非操作との組合せ)は2進数表記で01000000(16進数表記で0x40)となり、第2パターン(左操作レバー4aの右フル操作と右操作レバー4bの非操作との組合せ)は10000000(0x80)となり、第3パターン(左操作レバー4aの右フル操作と右操作レバー4bの左フル操作との組合せ)は10000010(0x82)となり、終了パターン(左操作レバー4aの前後左右のフル操作と右操作レバー4bの前後左右のフル操作との組合せ)は11111111(0xFF)となる。このように操作パターンを数値化することにより、入力パターン列と認証パターン列とが一致するか否かを判定することが可能となる。
【0056】
ステップS202に続き、操作パターンの入力が確定したか否か(すなわち、左右の操作レバー4a,4bが所定時間(例えば1秒間)中立位置に保持されたか否か)を判定する(ステップS203)。
【0057】
ステップS203で操作パターンの入力が確定した(YES)と判定した場合は、操作パターンの入力が終了したか否か(すなわち、ステップS203で入力の確定した操作パターンが終了パターン(0xFF)と一致するか否か)を判定する(ステップS204)。
【0058】
ステップS204で操作パターンの入力が終了していない(NO)と判定した場合は、ステップS203で入力の確定した操作パターンが有効であるか否か(すなわち、操作パターンが左右の操作レバー4a,4bの少なくとも一方の前後左右いずれかのフルレバー操作を含むもの(0x00以外)であるか否か)を判定する(ステップS205)。
【0059】
ステップS205で操作パターンが有効ではない(NO)と判定した場合は、ステップS201に戻る。
【0060】
ステップS205で操作パターンが有効である(YES)と判定した場合は、当該操作パターンを入力パターン列に追加する(ステップS206)と共に、パターン入力数表示欄7bに“*”を1つ追加し(ステップS207)、ステップS201に戻る。
【0061】
ステップS204で操作パターンの入力が終了した(YES)と判定した場合は、入力パターン列と予めメモリ5cに登録されている認証パターン列とが一致するか否かを判定する(ステップS208)。
【0062】
ステップS208で入力パターン列と認証パターン列とが一致しない(NO)と判定した場合は、入力パターン列をクリアする(ステップS210)と共に、パターン入力数表示欄7bをクリアし(ステップS111)、ステップS101に戻る。これにより、認証に失敗した場合は、認証操作を最初からやり直すことが可能となる。
【0063】
ステップS208で入力パターン列と認証パターン列とが一致する(YES)と判定した場合は、エンジン始動許可信号をオンにし(ステップS209)、認証処理を終了する。これにより、リレー9が接続状態となり、キースイッチ2から出力されるスタート信号がスタータモータ8に伝達されるため、エンジン33の始動が可能となる。
【0064】
図8は、
図3に示す認証操作における左右の操作レバー4a,4bの各操作位置を時系列に示す図である。
【0065】
図8において、区間T0は、コントローラ5が認証処理を開始した直後の操作パターンの実行待ち状態であり、左右の操作レバー4a,4bはそれぞれ中立位置にある。
【0066】
区間T0(実行待ち状態)において、左操作レバー4aの後方向の操作が入ると、第1パターン実行中の状態(区間T1)に移行する。左操作レバー4aが後フル操作された後、中立位置に戻されると、確定待ち状態(区間T2)に移行する。左右の操作レバー4a,4bが所定時間中立位置に保持されると、第2パターン(0x80)の入力が確定し、次の操作パターンの実行待ち状態(区間T3)に移行する。ここで、区間T1(第1パターン実行中の状態)において、左右の操作レバー4a,4bが前後左右いずれかの方向にハーフレバー操作されていたとしても、操作パターンデータには反映されない。また、区間T2(確定待ち状態)において、左右の操作レバー4a,4bが前後左右いずれかの方向の操作が入った場合は、確定待ち状態(区間T2)は解除され、第1パターン実行中の状態(区間T1)が継続しているとみなされる。
【0067】
区間T3(実行待ち状態)において、左操作レバー4aの右方向の操作が入ると、第2パターン実行中の状態(区間T4)に移行する。左操作レバー4aが右フル操作された後、中立位置に戻されると、確定待ち状態(区間T5)に移行する。左右の操作レバー4a,4bが所定時間中立位置に保持されると、第2パターン(0x80)の入力が確定し、次の操作パターンの実行待ち状態(区間T6)に移行する。
【0068】
区間T6(実行待ち状態)において、左操作レバー4aの右方向の操作が入ると、第3パターン実行中の状態(区間T7)に移行する。左操作レバー4aが右フル操作され、右操作レバー4bが左フル操作された後、それぞれ中立位置に戻されると、確定待ち状態(区間T8)に移行する。左右の操作レバー4a,4bが所定時間中立位置に保持されると、第3パターン(0x82)の入力が確定し、次の操作パターンの実行待ち状態(区間T9)に移行する。なお、区間T7において、左右の操作レバー4a,4bの操作の入りが逆の順番であっても、操作パターンデータは同一となる。
【0069】
区間T9(実行待ち状態)において、左右の操作レバー4a,4bの前方向の操作が入ると、第4パターン実行中の状態(区間T10)に移行する。左右の操作レバー4a,4bがそれぞれ前フル操作、左フル操作、後フル操作、右フル操作(順不同)された後、中立位置に戻されると、操作パターンの確定待ち状態(区間T11)に移行する。左右の操作レバー4a,4bが所定時間中立位置に保持されると、第4パターン(0xFF)の入力が確定し、第4パターンが終了パターン(0xFF)と一致することにより、認証操作は終了する。
【0070】
次に、認証パターン列を登録(更新)する手順を説明する。認証パターン列の登録(更新)は、認証許可後でかつエンジン始動前に特殊な操作を実行し、認証モードから認証パターン列を登録するモード(以下「登録モード」という。)に移行した上で行う。
【0071】
図9は、認証モードにあるコントローラ5によって実行される認証モードから登録モードへの移行処理(以下「登録モード移行処理」という。)を示すフロー図である。以下、各ステップについて説明する。
【0072】
まず、エンジン33が停止しているか否かを判定する(ステップS301)。
【0073】
ステップS301でエンジン33が停止している(YES)と判定した場合は、左右の操作レバー4a,4bが各所定の操作位置にあるか否か(
図9に示す例では、左操作レバー4aが右フル位置にあり、かつ右操作レバー4bが左フル位置にあるか否か)を判定する(ステップS303)。
【0074】
ステップS303で左右の操作レバー4a,4bが各所定の操作位置にある(YES)と判定した場合は、左右の操作レバー4a,4bが各所定の操作位置に所定時間(
図9に示す例では10秒間)保持されたか否かを判定する(ステップS304)。
【0075】
ステップS304で左右の操作レバー4a,4bが各所定の操作位置に所定時間保持されていない(NO)と判定した場合は、登録モードには移行せず、登録モード移行処理を終了する。
【0076】
ステップS304で左右の操作レバー4a,4bが各所定の操作位置に所定時間保持された(YES)と判定した場合は、登録モードに移行し(ステップS305)、登録モード移行処理を終了する。
【0077】
ステップS301でエンジン33が停止していない(NO)と判定した場合は、現在いずれのモードにあるかを問わず通常モードに移行し(ステップS302)、登録モード移行処理を終了する。これにより、認証パターン登録処理中にエンジン33が始動された場合は、強制的に通常モードに復帰する。
【0078】
なお、
図9に示す登録モード移行処理は、あくまで一例であり、ステップS303の各所定の操作位置やステップS304の所定時間は種々選択可能である。
【0079】
図10は、登録モードにあるコントローラ5によって実行される認証パターン列の登録処理(以下「認証パターン列登録処理」という。)を示すフロー図である。以下、各ステップについて説明する。
【0080】
図10において、ステップS401〜S407は、左右の操作レバー4a,4bの操作位置から入力パターン列を生成するためのステップであり、
図6に示す認証処理のステップS201〜S207と同一であるため、これらの説明は省略する。
【0081】
ステップS404で入力が終了した(YES)と判定した場合は、入力パターン列が1回目に生成されたものであるか否かを判定する(ステップS408)。
【0082】
ステップS408で入力パターン列が1回目に生成されたものである(YES)と判定した場合は、当該入力パターン列を暫定認証パターン列として記憶し(ステップS409)、ステップS401に戻る。
【0083】
ステップS408で入力パターン列が1回目に生成されたものではない(NO)と判定した場合(すなわち、入力パターン列が2回目に生成されたものであると判定した場合)は、入力パターン列と暫定認証パターン列とが一致するか否かを判定する(ステップS410)。
【0084】
ステップS410で入力パターン列と暫定認証パターン列とが一致しない(NO)と判定した場合は、認証パターン列をメモリ5cに登録せず、通常モードに移行した後(ステップS412)、認証パターン列登録処理を終了する。
【0085】
ステップS410で入力パターン列と暫定認証パターン列とが一致する(YES)と判定した場合は、当該暫定認証パターン列を認証パターンとしてメモリ5cに登録し(ステップS411)、通常モードに移行した後(ステップS412)、認証パターン列登録処理を終了する。このように、認証パターン列として登録したい入力パターン列を2回生成し、両者が一致することを確認することにより、操作者の意図しない入力パターン列が認証パターン列として登録されることを防止することができる。また、認証パターン列を構成する操作パターンの数を増減することにより、認証強度を自在に調整することが可能となる。
【0086】
本実施形態によれば、既存の左右の電気式操作レバー装置3a,3bの左右の操作レバー4a,4bを認証操作に利用することにより、認証手段の低コスト化を実現できる。また、左右の操作レバー4a,4bの中立保持操作とフルレバー操作とに基づいて操作パターン列を生成することにより、認証操作の簡便化を実現できる。さらに、左右の操作レバー4a,4bの中立保持操作時及びフルレバー操作時に左右の電気式操作レバー装置3a,3bから出力される前後(左右)出力電圧に基づいて左右の操作レバー4a,4bの操作位置を判定することにより、左右の操作レバー4a,4bの操作方向及び操作量に応じた前後(左右)出力電圧が出力されない左右の電気式操作レバー装置3a,3bの異常時は、認証が許可されず、エンジン33が始動不能となるため、左右の電気式操作レバー装置3a,3bの異常をエンジン始動前に検知することができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。