特許第6522605号(P6522605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイヴォックス システムズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6522605破裂ディスクをカスケードするためのシステム及び方法
<>
  • 特許6522605-破裂ディスクをカスケードするためのシステム及び方法 図000002
  • 特許6522605-破裂ディスクをカスケードするためのシステム及び方法 図000003
  • 特許6522605-破裂ディスクをカスケードするためのシステム及び方法 図000004
  • 特許6522605-破裂ディスクをカスケードするためのシステム及び方法 図000005
  • 特許6522605-破裂ディスクをカスケードするためのシステム及び方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522605
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】破裂ディスクをカスケードするためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/06 20060101AFI20190520BHJP
   F16K 17/16 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   F17C13/06 301A
   F16K17/16
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-525017(P2016-525017)
(86)(22)【出願日】2014年10月21日
(65)【公表番号】特表2016-540162(P2016-540162A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】US2014061585
(87)【国際公開番号】WO2015061324
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2017年10月13日
(31)【優先権主張番号】61/893,478
(32)【優先日】2013年10月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507239374
【氏名又は名称】エイヴォックス システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】フォルクル,フランク・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドローギ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,ドゥワード・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】フェッツァー,アダム
(72)【発明者】
【氏名】グーテンクンスト,グレッグ
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第01781854(US,A)
【文献】 米国特許第03413992(US,A)
【文献】 特表2008−509363(JP,A)
【文献】 実公昭47−015785(JP,Y1)
【文献】 特表2005−523403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/06
F16K 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス貯蔵システムであって、
ある圧力下でガスを貯蔵するように構成され、ポートを有する容器と、
前記ポートと空気連通している第1の流路と、
第1の破裂ディスクであって、前記第1の流路内のガス流が前記第1の破裂ディスクによって阻止されるように前記第1の流路内に配置され、第1の破裂圧力で破裂して前記第1の流路にガスれるのを可能にするように構成される、第1の破裂ディスクと、
前記第1の流路と空気連通し、前記第1の破裂ディスクの下流にある第2の流路と、
第2の破裂ディスクであって、前記第2の流路内のガス流が前記第2の破裂ディスクによって阻止されるように前記第2の流路内に配置され、前記第1の破裂圧力未満である第2の破裂圧力で破裂して前記第2の流路にガスれるのを可能にするように構成される、第2の破裂ディスクと、を備える、ガス貯蔵システム。
【請求項2】
前記第1の破裂ディスクに穴を形成するように構成される放出デバイスを更に備える、
請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項3】
前記容器がボトルである、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項4】
前記第2の流路が通気孔である、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項5】
前記第1の破裂ディスク及び前記第2の破裂ディスクが金属で製作される、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項6】
前記金属が、黄銅及びニッケル合金からなる群から選択される、請求項5に記載のガス貯蔵システム。
【請求項7】
前記第1の流路は、前記第1の破裂ディスクより下流側に位置する第3の流路を有し、
前記第の流路が、前記第2の流路の流量よりも少ない流量を提供するように構成される寸法を有する、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項8】
前記第1の破裂圧力が、第1の破裂圧力範囲を成し、前記第2の破裂圧力が、第2の破裂圧力範囲を成し、前記第2の破裂圧力範囲が、前記第1の破裂圧力範囲未満である、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項9】
前記第2の破裂圧力が、前記第1の破裂圧力と前記容器の最大充填圧力との間である、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項10】
ガス貯蔵システム用のレギュレータであって、
容器のポートと空気連通するように構成される第1の流路と、
第1の破裂ディスクであって、前記第1の流路内のガス流が前記第1の破裂ディスクによって阻止されるように前記第1の流路内に配置され、第1の破裂圧力で破裂して前記第1の流路にガスれるのを可能にするように構成される、第1の破裂ディスクと、
前記第1の流路と空気連通し、前記第1の破裂ディスクの下流にある第2の流路と、
第2の破裂ディスクであって、前記第2の流路内のガス流が前記第2の破裂ディスクによって阻止されるように前記第2の流路内に配置され、第2の破裂圧力で破裂して前記第2の流路にガスれるのを可能にするように構成される、第2の破裂ディスクと、を備える、レギュレータ。
【請求項11】
前記第2の破裂圧力が、前記第1の破裂圧力未満である、請求項10に記載のレギュレータ。
【請求項12】
前記第1の破裂ディスクに穴を形成するように構成される放出デバイスを更に備える、請求項10に記載のレギュレータ。
【請求項13】
方法であって、
第1の流路に沿って第1の破裂ディスクを通してガス流を提供する工程であって、前記ガス流の圧力が第1の値であり、前記第1の流路に接続される第2の流路に沿った第2の破裂ディスクが無傷のままである、工程と、
前記第1の値よりも高い第2の値まで前記圧力を上昇させる工程と、
前記圧力が前記第2の値であるときに、前記第2の破裂ディスクを破裂させる工程と、を含む、方法。
【請求項14】
ガス流を提供する前記工程が、前記第1の破裂ディスクを穿刺するサブ工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
方法であって、
第1の破裂ディスク及び前記第1の破裂ディスクの下流の第2の破裂ディスクに接続されるガス貯蔵ユニット内にガスを貯蔵する工程であって、前記ガスの圧力が第1の値であり、前記第1の破裂ディスク及び前記第2の破裂ディスクが無傷のままである、工程と、
前記第1の値よりも高い第2の値まで前記圧力を上昇させる工程と、
前記圧力が前記第2の値であるときに、前記第1の破裂ディスクを破裂させる工程と、
前記圧力が前記第2の値であるときに、前記第1の破裂ディスクの後に前記第2の破裂ディスクを破裂させる工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2013年10月21日に出願された米国仮出願第61/893,478号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、高圧ガスを貯蔵するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、高圧ガスを貯蔵するシステム用の破裂ディスクに関する。
【背景技術】
【0003】
高圧でのガス貯蔵は、過圧が生じた場合に、ガスを放出し、ガス貯蔵ユニットの破断を防止するために、再密閉不可能な機構が必要になる場合がある。過圧は、周囲の温度の変化、又はガス貯蔵ユニットの過充填によって引き起こされる場合がある。例えば、火気の近くでは、ガス貯蔵ユニットに近接する周囲の温度が変化する場合がある。そのような状況においてガス放出機構を伴わなければ、ガス貯蔵ユニットを破断させ、周囲に損害を与えるか、又は近くの人々に危害を加える場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過圧が生じた場合に放出されるガスの流れを誘導し、圧力のタイムリーな排出に十分なサイズの流路にその流れを案内するために、移動シール及び移動弁が使用されている。しかしながら、これらの移動シール及び移動弁は、故障又はシステム障害のリスクを増加させる移動部分を含む。放出されたガスが流路に流出することを可能にする新しいシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態では、ガス貯蔵システムが提供される。このガス貯蔵システムは、ある圧力下でガスを貯蔵するように構成され、ポートを有する容器と、ポートと空気連通している第1の流路と、第1の破裂ディスクであって、第1の流路内のガス流が第1の破裂ディスクによって阻止されるように第1の流路内に配置され、第1の破裂圧力でのガス流を可能にするように構成される、第1の破裂ディスクと、第1の流路と空気連通し、第1の破裂ディスクの下流にある第2の流路と、第2の破裂ディスクであって、第2の流路内のガス流が第2の破裂ディスクによって阻止されるように第2の流路内に配置され、第1の破裂圧力未満である第2の破裂圧力でのガス流を可能にするように構成される、第2の破裂ディスクと、を備える。
【0006】
本開示の別の実施形態では、ガス貯蔵システム用のレギュレータが提供される。このレギュレータは、容器のポートと空気連通するように構成される第1の流路と、第1の破裂ディスクであって、第1の流路内のガス流が第1の破裂ディスクによって阻止されるように第1の流路内に配置され、第1の破裂圧力でのガス流を可能にするように構成される、第1の破裂ディスクと、第1の流路と空気連通し、第1の破裂ディスクの下流にある第2の流路と、第2の破裂ディスクであって、第2の流路内のガス流が第2の破裂ディスクによって阻止されるように第2の流路内に配置され、第2の破裂圧力でのガス流を可能にするように構成される、第2の破裂ディスクと、を備える。
【0007】
本開示の別の実施形態では、ガスを提供するための方法が開示される。この方法は、第1の流路に沿って第1の破裂ディスクを通してガス流を提供する工程であって、ガス流の圧力が、第1の値であり、第1の流路に接続される第2の流路に沿った第2の破裂ディスクが、無傷のままである、工程と、第1の値よりも高い第2の値まで圧力を上昇させる工程と、圧力が第2の値であるときに、第2の破裂ディスクを破裂させる工程と、を含む。
【0008】
本開示の別の実施形態では、過圧ガス放出のための方法が提供される。この方法は、第1の破裂ディスク及び第1の破裂ディスクの下流の第2の破裂ディスクに接続されるガス貯蔵ユニット内にガスを貯蔵する工程であって、ガスの圧力が、第1の値であり、第1の破裂ディスク及び第2の破裂ディスクが、無傷のままである、工程と、第1の値よりも高い第2の値まで圧力を上昇させる工程と、圧力が第2の値であるときに、第1の破裂ディスクを破裂させる工程と、圧力が第2の値であるときに、第1の破裂ディスクの後に第2の破裂ディスクを破裂させる工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の性質及び目的のより完全な理解のために、添付図面と関連してなされる以下の詳細な説明を参照するべきである。
図1】本開示の実施形態によるガス貯蔵システムの断面図である。
図2図1のガス貯蔵システムの斜視図である。
図3】本開示の別の実施形態によるガスレギュレータを示す。
図4】本開示の別の実施形態による方法のフローチャートである。
図5】本開示の別の実施形態による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
破裂ディスクは、破断ディスク又は破裂膜としても知られる、再密閉不可能な圧力解放デバイスであり、無傷のときにはチャネルを通るガス流を阻止し、(例えば、操作者の行動を通して、又は過圧により)破断したときにはガス流を可能にするように構成される。破裂ディスクは、温度又は圧力の変化に対して素早く反応する。一実施例において、この反応は、数ミリ秒の範囲内であり得る。破裂ディスクは、信頼性、漏れ耐性があり、また、低コストである。破裂ディスクは、例えば、高圧ガスが貯蔵され、システムが再充填不可能又は再使用不可能である用途で使用することができる。
【0011】
図1は、カスケーディング破裂ディスクを使用した実施形態の断面図である。ガス貯蔵システム10は、ポート14を有するガス貯蔵ユニット12(すなわち、容器)を含む。容器12は、例えば、ガスを貯蔵するタンク、カートリッジ、シリンダー、ボトル、又は他の密閉可能な容器であり得る。容器12は、当業者に知られている酸素、アルゴン、他の希ガス、窒素、空気、他の不活性ガス、又は他のガスを含むことができる。
【0012】
システム10は、容器12のポート14と空気連通している第1の流路22を有するレギュレータ20を含む。第1の流路22は、容器12から呼吸マスク又はシステムへのガスの放出を誘導するように構成され得る。第1の破裂ディスク24は、第1の流路22内に配置され、また、第1の破裂ディスク24が無傷のときにはいかなるガス流も不可能であるように、ガス流路22を密閉するように構成される。第1の破裂ディスク24は、ディスク24を破断させる第1の破裂圧力を有する。第1の破裂圧力は、容器12の最大圧力よりも高いある圧力であるように構成され得る。例えば、第1の破裂圧力は、容器12の最大定格圧力の1.5倍、1.75倍、又は2倍であり得る。他の実施形態において、第1の破裂圧力は、システム10の動作圧力よりも高い。例えば、システム10が、呼吸ガスを航空機の乗客に提供することによって動作するように設計されている場合、第1の破裂ディスク24は、この動作圧力よりも高い第1の破裂圧力で破裂するように構成され得る。
【0013】
システム10は、操作者又はアクチュエータによる行動に応じて、第1の破裂ディスク24を突き通すように構成されるストライカ(計画的ガス放出デバイス16)を含むことができる。図1及び図2に示される実施形態において、ストライカ16は、予め負荷を加えた付勢ばね17とともに構成され、ピン18は、ばね負荷を維持するために使用される。このようにして、ピン18が取り外されると、ばね17がストライカ16を第1の破裂ディスク24に突き通させ、よって、ガスは、第1の流路22を通って流れることができる。ガスは、第1の流路22を通って、第1の流路22の一部であり得る第3の流路40(すなわち、マスク又は他のシステム/デバイスへの出力41)に流れることができる。この使用法は、「正常な使用」又は「計画的放出」とみなすことができる。
【0014】
レギュレータ20は、第1の流路22と空気連通し、第1の破裂ディスク24の下流の(すなわち、容器12から第1の破裂ディスク24の反対側の)第2の流路26を備える。第2の破裂ディスク28は、ディスク28が無傷のときに第2の流路26を通るガス流を阻止するように第2の流路26内に配置される。
【0015】
第3の流路40は、第2の流路26の流量よりも少ない流量を提供するように構成される寸法を有することができるので、第3の流路40を通る流れを制限することができる。他の実施形態において、第3の流路40は、システム10の動作圧力を制限するために、更なる圧力レギュレータ又は他のデバイスを有する。この動作圧力の制限は、システム10が使用される特定の用途に対して設計することができる。しかしながら、例えば容器12の過圧による第1の破裂ディスク24の破裂などの緊急時において、第3の流路40は、ガスの放出を可能にするための十分な流量を有しない場合があるか、又は安全なガスの放出のために十分な容積を有しない場合がある。第3の流路40は、排出場所又は他の欠点を有する場合があり、該流路を緊急時のガス放出に望ましくないものにする。
【0016】
このような事象において、容器12の過圧による第1の破裂ディスク24の破断の結果としてガスが放出される場合は、高いガス圧力が第2の破裂ディスク28を破断させ、ガスが第2の流路26を通して通気される。第2の流路26の直径又は他の寸法は、ある特定の時間内で通気することを可能にするように、又は他の仕様を満たすように構成され得る。例えば、0.7MPa(100psia)などの所与の試験圧力で、第2の流路26は、容器12のサイズの関数である最小量の流れを可能にすることが必要になる場合がある。第2の流路26を通しての通気の要件は、例えば、業界団体又は政府機関によって設定される場合がある。
【0017】
第1の流路22及び第2の流路26は、レギュレータ20内に形成されるパイプ、導管、チャネルなどであり得る。第1の流路22及び第2の流路26は、角度付けされ得るか、又は他の部品若しくは構成要素を含むことができる。したがって、実際の流れの幾何学形状は、本開示に照らして当業者に明らかになるように変化し得る。第1の流路22と第2の流路26との接続は、垂直又は他の角度であり得る。
【0018】
第1の破裂ディスク24は、第1の流路22に位置付けられる。この第1の破裂ディスク24は、ガス貯蔵ユニット12に貯蔵されるガスに晒される。第1の破裂ディスク24は、それが破裂するか、又は別様には破断若しくは破損する第1の破裂圧力を有する。いくつかの実施形態において、第1の破裂ディスク24は、アセンブリの一部であり得る。そのようなアセンブリは、ガス貯蔵ユニット12のシール又はキャップに一体化することができるか、又はガス貯蔵ユニット12自体に一体化することができる。
【0019】
第2の破裂ディスク28は、第2の流路26に位置付けられる。この第2の破裂ディスク28は、容器12からのガス流に関して第1の破裂ディスク24の下流にある。第2の破裂ディスク28は、それが破裂するか、又は別様には破断若しくは破損する、第1の破裂圧力よりも低い第2の破裂圧力を有する。したがって、第2の破裂ディスク28は、第1の破裂ディスク24よりも低い圧力で破裂する。第2の破裂ディスク28は、ガス貯蔵ユニット12内のガスが第1の流路22(及び存在する場合は、第3の流路40)を通るか、又はその内部に放出されるまで、加圧されていないままであり得る。第2の破裂ディスク28は、ガスがガス貯蔵ユニット12から放出された後に第1の流路22を通って流れているときなどの、正常な動作圧力に晒されているときに、完全性を保持するように設計される。いくつかの実施形態において、第2の破裂ディスク28は、アセンブリの一部であり得る。このアセンブリは、第2の流路26の一部であり得る。
【0020】
ほぼ平坦に例示されているが、第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28は、ドーム形状、湾曲形状、又は他の形状であり得る。ドーム形状は、特定の圧力での破裂を確実にする助けとなり得、ドームの頂点は、ガス流に関していずれかの方向に向けられ得る。第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28は、ガス流に関して内向き又は外向きに破裂し得る。第1の破裂ディスク24又は第2の破裂ディスク28には、破裂圧力がガス貯蔵ユニット12の圧力未満に下がったときに該ディスクが弱化されるような手法で、故意に損傷を与えることができる。第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28は、破裂時に裂け得るか、又は破裂時に取り付けられたままであり得る。
【0021】
ガス貯蔵ユニット12の過圧が生じた場合は、第1の破裂ディスク24が破裂し、次いで、第2の破裂ディスク28が破裂する。したがって、第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28が「カスケードする」と言われる。第3の流路40を通る流れは、過圧中にガス貯蔵ユニット12の通気を可能にするには、又は第2の破裂ディスク28の破裂を阻止するには不十分である場合がある。したがって、ガスはまた、第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28の双方が破裂した後に、第2の破裂ディスク28を過ぎて第2の流路26通して通気することもできる。
【0022】
ガス貯蔵システム10は、最大充填圧力(典型的には、特定の温度で測定される)及び定格破裂圧力を有するように構成される。定格破裂圧力は、一例において最大充填圧力よりも1.5倍高いなどの、安全ガイドラインによって設定することができる。第2の破裂ディスク28が破裂する圧力は、最大充填圧力と、破裂圧力又は第1の破裂ディスク24が破裂する範囲の下限との間であり得る。第2の破裂ディスク28は、定格破裂圧力未満で破裂させることができる。この関係は、過圧時又は他の緊急事態時に、第1の破裂ディスク24が破裂した場合に、第2の破裂ディスク28も破裂させることを確実にする。第1の破裂ディスク24は、定格破裂圧力未満で、又はそれを超えて破裂させることができる。
【0023】
第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28の破裂圧力範囲は、ガス貯蔵ユニット12の可能な用途に基づいて選択される。製造許容度により、一群又は多数の第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28は、特定の値ではなく特定の範囲で破裂するように設計され得る。
【0024】
圧力に関して説明されているが、第1の破裂ディスク24又は第2の破裂ディスク28の製作に使用されるいくつかの材料は、より高い温度で弱化する場合があるので、第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28の破裂圧力は、温度に基づき得る。第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28が破裂する正確な圧力又は温度は、ガス貯蔵ユニット12が使用されている用途又は設計仕様に基づいて変化し得る。
【0025】
酸素を使用する特定の一実施例において、ガス貯蔵ユニット12の最大充填温度は、21℃で約21MPa(70°Fで3000psig)である。ガス貯蔵ユニット12の定格破裂圧力は、最大充填圧力の1.5倍であり、31MPa(4500psi)である。第1の破裂ディスク24は、28.6MPa(4150psig)の破裂下限及び32.58MPa(4725psig)の破裂上限を有することができ、いずれの圧力も21℃(70°F)でのものである。第1の破裂ディスク24の公称破裂圧力は、31MPa(4500psig)である。第2の破裂ディスク28は、27MPa(3900psig)の破裂下限及び28MPa(4100psig)の破裂上限を有することができ、いずれの圧力も21℃(70°F)でのものである。
【0026】
第1の破裂ディスク24の破裂上限は、ガス貯蔵ユニット12の最大充填圧力を超えてもよい。この破裂上限には、最大充填圧力を超える許容可能な許容度が存在する場合がある。第1の破裂ディスク24と定格破裂圧力との関係は、ガス貯蔵ユニット12が使用されている用途によって変化し得る。ある実施例において、第1の破裂ディスク24の公称破裂圧力は、ガス貯蔵ユニット12の最大充填圧力であり得る。この第1の破裂ディスク24には、公称破裂圧力を超える、又はそれ未満のいくつかの製造許容度が存在する場合がある。例えば、最大充填圧力の約105%が許容上限であり得、破裂圧力の約90%が許容下限であり得る。正確な許容度は変化し得る。
【0027】
第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28は、使い捨てであり得るか、又は単回使用となるように構成され得る。各々は、金属で製作され得るが、他の材料を使用することができる。第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28は、材料、用途、ガス貯蔵ユニット12の最大充填圧力、又はガス貯蔵ユニット12に含まれるガスに基づいて、様々な寸法を有することができる。一実施例において、第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28は、厚さ0.318cm(0.125インチ)未満であるが、他の寸法が可能である。第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28に使用される金属は、安全規則に従うように選択することができ、又はガス貯蔵ユニット12に貯蔵されているガスに照らして選択することができる。例えば、酸素がガス貯蔵ユニット12に貯蔵される場合、モネル又はインコネルのような黄銅又はニッケル合金などの酸素に安全な金属を使用することができる。言うまでもなく、用途又はガス貯蔵ユニット12に貯蔵されているガスに応じて、当業者に知られている他の材料も使用することができる。
【0028】
第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28は、熱に晒されたときに弱化する場合がある。しかしながら、第1の破裂ディスク24の破裂圧力範囲が第2の破裂ディスク28の破裂圧力範囲を超えるという関係は、いかなる弱化によっても変化させることができない。これは、第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28で類似する材料又は類似する寸法を使用することによって生じさせることができる。他の設計は、熱に晒されたときにこの関係が変化するのを防止することができる。例えば、第1の破裂ディスク24及び第2の破裂ディスク28のうちの1つは、刻み目形成され得る。一実施例において、第1の破裂ディスク24は、X字形に刻み目形成される。他の設計も可能である。
【0029】
ガス貯蔵システム10のいくつかのの実施形態はまた、計画的放出デバイス16も含む。この計画的放出デバイス16は、第1の破裂ディスク24を計画的に穿刺するように、又は別様には穴を形成するように構成される。ある事例において、計画的放出デバイス16は、ストライカとして知られている場合があるが、第1の破裂ディスク24を穿刺しない他のデバイスが可能である。図1において矢印で例示されているが、計画的放出デバイス24は、3面角錐、又は当業者に知られている他の設計であり得る。計画的放出デバイス16は、第1の破裂ディスク24のいずれかの側に、又は別様には近接して位置付けられ得る。したがって、計画的放出デバイス16は、単に図1で例示される設計だけに限定されない。例えば、計画的放出デバイス16は、ガス流に対して平行でない角度で、ドーム形である第1の破裂ディスク24の実施形態を計画的に穿刺することができる。
【0030】
第1の破裂ディスク24を穿刺すること、又はそれに穴を形成することで、ガス貯蔵ユニット12に貯蔵されているガスを放出する。これは、要求に応じて行うことができる。正常な動作中に穿刺又は穴の形成が生じた場合、第2の破裂ディスク28は、完全性を維持する。しかしながら、穿刺又は穴の形成の後に過圧が生じた場合に、第2の破裂ディスク28が破裂する。
【0031】
計画的放出デバイス16によって第1の破裂ディスク24に形成される穴は、円形又は他の形状であり得る。第1の破裂ディスク24は、穿刺又は他の穴の形成が生じた場合に第1の破裂ディスク24を通しての所望のガス流を可能にするために、刻み目形成され得るか、又は穿孔を含み得る。この刻み目形成は、第1の破裂ディスク24を「花弁」にすることを可能にすることができる。言うまでもなく、第2の破裂ディスク28も、刻み目形成され得るか、又は穿孔を含み得る。第1の破裂ディスク24は、計画的放出デバイス16が第1の破裂ディスク24を通して、又は近接して配置される場合、穴又は穿孔を通る所望のガス流量を可能にするように構成され得る。
【0032】
ガス貯蔵システム10は、緊急流路又は通気が必要になる場合がある複数の用途に使用することができる。例えば、ガス貯蔵システム10は、航空宇宙システムの酸素タンク、溶接システムに使用されるアルゴンタンク、潜水用途のための空気タンク、医療システムの酸素タンクとともに、又は製造に使用される単回使用のガスキャニスタとともに使用することができる。したがって、ガス貯蔵ユニット12は、例えば半導体の製造で使用される異種、更には有毒種を含む場合がある。有毒種又は他の種の場合、第2の流路26は、種々の産業衛生システムに接続されて、通気時に人々、施設、又は環境への被害を防ぐことができる。
【0033】
破裂ディスクの使用は、ガス貯蔵システム10用のシールの設計を単純化するが、依然として適正なガス基準を満たしている。破裂ディスクは、動的シール又は3−2弁の使用を回避する。これは、複雑さ及び部品数を低減させ、信頼性を増加させる。
【0034】
図3を参照すると、本開示は、ガス貯蔵システムとともに使用するためのレギュレータ20(すなわち、容器に取り付けられるように構成されるレギュレータ)として具現化され得る。レギュレータ20は、上で説明されるレギュレータ20の実施形態のいずれかと類似する場合がある。具体的には、レギュレータ20は、容器のポートと空気連通するように構成される第1の流路22を有する。第1の破裂ディスク24は、ディスク24が無傷のときに第1の流路22内のガス流が第1の破裂ディスク24によって阻止されるように、第1の流路22内に配置される。第1の破裂ディスク24は、第1の破裂圧力での流れを可能にするように構成される。
【0035】
レギュレータ20は、第1の流路22と空気連通している第2の流路26を有する。第2の流路26は、レギュレータを容器に接続したときに、ガス流に関して第1の破裂ディスク24の下流にある。第2の破裂ディスク28は、第2の流路26内に配置される。このようにして、第2の流路26を通るガス流は、第2の破裂ディスク28が無傷のときに該ディスク28によって阻止される。第2の破裂ディスク28は、第2の破裂圧力でのガス流を可能にするように構成される。第2の破裂圧力は、第1の破裂圧力未満であり得る。
【0036】
本開示は、ガスを提供するための方法100として具現化され得る(例えば、図4を参照されたい)。方法100は、第1の流路に沿って第1の破裂ディスクを通るガス流を提供する工程103を提供する。ガス流の圧力は、第1の破裂ディスク又は第2の破裂ディスクの破裂圧力未満である第1の値である。このようにして、第2の破裂ディスクは、無傷のままである。例えば、ガス流は、106で第1の破裂ディスクをストライカで穿刺することによって103で提供することができる。109で、第1の値かつ第2の破裂ディスクの破裂圧力以上である第2の値まで圧力を上昇させ、上昇した圧力により、112で、第2の破裂ディスクを破断(破裂)させる。
【0037】
他の実施形態では、過圧ガス放出のための方法200が提供される(例えば、図5を参照されたい)。方法200は、203で、第1の破裂ディスクに接続されるガス貯蔵ユニット内にガスを貯蔵することを含む。第2の破裂ディスクは、第1の破裂ディスクが無傷の間に第2の破裂ディスクがガスに晒されないように、第1の破裂ディスクの下流に提供される。ガス圧力は、第1及び第2の破裂ディスクの破裂圧力未満である第1の値である。このようにして、第1及び第2の破裂ディスクは、無傷のままである。206で、第1の値よりも大きい第2の値まで圧力を上昇させる。第2の値はまた、第1及び第2の破裂ディスクの破裂圧力以上でもある。209で、ガスの圧力により第1の破裂ディスクを破裂させ、ガスが第2の破裂ディスクに到達することを可能にする。212で、ガス圧力により第2の破裂ディスクを破裂させる。
【0038】
本開示を1つ以上の特定の実施形態に関して説明してきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態がなされ得ることが理解されるであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその合理的な解釈によってだけ限定されるものとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5