特許第6522609号(P6522609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6522609同速回転のオートバイの動力伝達装置、及び動力伝達装置を備えたオートバイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522609
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】同速回転のオートバイの動力伝達装置、及び動力伝達装置を備えたオートバイ
(51)【国際特許分類】
   B62M 17/00 20060101AFI20190520BHJP
   F16D 3/227 20060101ALI20190520BHJP
   F16D 3/18 20060101ALI20190520BHJP
   B62K 25/20 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   B62M17/00 D
   F16D3/227 Z
   F16D3/18 Z
   B62K25/20
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-530204(P2016-530204)
(86)(22)【出願日】2014年10月10日
(65)【公表番号】特表2017-501920(P2017-501920A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】IB2014065213
(87)【国際公開番号】WO2015071789
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2017年6月21日
(31)【優先権主張番号】PD2013A000309
(32)【優先日】2013年11月14日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514151524
【氏名又は名称】ピアッジオ・アンド・シー.・エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】ソアッティ、ピエーロ
(72)【発明者】
【氏名】ボッシエロ、マッシミリアーノ
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−029387(JP,A)
【文献】 特開2008−230382(JP,A)
【文献】 特開2007−230354(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01361149(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 17/00
B62J 6/18,23/00
B62K 25/00,25/20
F16D 3/18, 3/227
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動軸(X−X)を規定している、装着され得るオートバイのシャーシへの枢支端部(12)から、ホイール(20)への接続端部(16)へと延びている揺動アーム(8)と、
前記枢支端部(12)の側に配置された同速回転ジョイント(36)と、
前記接続端部(16)の側に配設されたギアカップリング(40)とを具備し、
前記同速回転ジョイント(36)は、動力取り出し部に接続されているインプットシャフト(48)の第1の端部(44)と、前記ギアカップリング(40)に機械的接続されているアウトプットシャフト(56)の第2の端部(52)とを、互いに、運動学的に接続しており、前記ギアカップリング(40)は、動きをホイール(20)に伝達し、
前記同速回転ジョイント(36)は、前記第1と第2との端部(44,52)間の瞬時で一定の伝達比を果たし、又、
前記同速回転ジョイント(36)は、前記揺動アーム(8)の枢支端部(12)に、ホイール(20)の支持面(P)に垂直な垂直方向(Y−Y)でオフセットしており、前記揺動軸(X−X)に平行な、ストロークスタートとストロークエンドとの間のアウトプットシャフト(56)の揺動を可能にし、
前記同速回転ジョイント(36)は、アウトプットシャフト(56)のスタートストローク位置及びエンドストローク位置でアウトプットシャフト(56)の第2の端部(52)に垂直な直線(A、B)が、揺動アーム(8)の前記枢支端部(12)で交わるように、形状が設定されているオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項2】
前記同速回転ジョイント(36)は、前記枢支端部(12)と揺動アーム(8)の接続端部(16)とを結ぶ直線に関して、前記枢支端部(12)に対して垂直方向(Y−Y)でオフセットするようにホイール(20)の支持面(P)と反対側の半面にある請求項1に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項3】
前記同速回転ジョイント(36)は、装着され得るオートバイのシャーシへの前記枢支端部(12)に対して、揺動軸(X−X)及び垂直軸(Y−Y)に対して垂直な長手方向(L−L)でオフセットされている請求項1又は2に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項4】
前記同速回転ジョイント(36)は、前記枢支端部(12)を通り前記垂直方向(Y−Y)に平行な中心線を含む平面(M−M)を跨ぐように位置されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項5】
前記同速回転ジョイント(36)は、前記枢支端部(12)を通り前記垂直方向(Y−Y)に平行な中心線を含む平面(M−M)に対して対称に位置されている請求項4に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項6】
前記同速回転ジョイント(36)は、第1及び第2のキャップ(60,64)を有しており、第1のキャップ(60)は、インプットシャフト(48)の前記第1の端部(44)に一体的に回転するように接続されており、又、第2のキャップ(64)は、アウトプットシャフト(56)の前記第2の端部(52)に一体的に回転するように接続されており、前記第1及び第2のキャップ(60,64)は、ストロークスタートとストロークエンドとの間でアウトプットシャフト(56)の回転を許容することと、アウトプットシャフト(56)の前記第2の端部(52)とインプットシャフト(48)の前記第1の端部(44)との間の距離の変化を可能にすることとのために、インプットシャフト(48)とアウトプットシャフト(56)の間の瞬間の運動の伝達なすように、回転伝達カップリングに従って一緒に結合されている、請求項1乃至のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項7】
前記第2のキャップ(64)は、アーチ形状のカップリングにより、前記第1のキャップ(60)の中に少なくとも部分的に挿入されている請求項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項8】
前記アーチ形状のカップリングは、インプットシャフト(48)とアウトプットシャフト(56)との間のトルクの伝達のために、溝(68)を有している請求項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項9】
前記第1と第2のキャップ(60,64)間の回転伝達カップリングは、ボールとローラとを最小の摩擦となるように相互に位置させることを含んでいる請求項6乃至8のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項10】
前記アウトプットシャフト(56)は、動力取り出し部からホイール(20)への動きの伝達の間に、アウトプットシャフト(56)の全長を変更することができるように、又は、ミスアラインメントを起こさせることができるように、摺動ジョイント(80)により、直列に接続されている第1のロッド(72)と第2のロッド(76)とを有している請求項1乃至のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項11】
前記摺動ジョイント(80)は、溝が形成された直線又はアーチタイプの軸ジョイントである請求項10に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項12】
前記揺動アーム(8)は、単一のアームタイプであり、この単一のアームは、少なくとも部分的にも前記インプットシャフト(48)及び/又は前記アウトプットシャフト(56)を収容している請求項1乃至11のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項13】
前記揺動アーム(8)は、2つのアームのタイプである請求項1乃至11のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項14】
前記ギアカップリング(40)は、前記第2の端部の反対側に配置され、1対の円錐又は螺旋形のベベルギアを有している請求項1乃至13のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の動力伝達装置(4)を備えたオートバイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、同速回転のオートバイの動力伝達装置、及び動力伝達装置を備えたオートバイに関している。
【背景技術】
【0002】
知られているように、オートバイの分野での動力伝達装置は、一般的に、ピニオンとチェーンとクラウンとの組(夫々、クランクシャフトから後輪に移動する)により、又は、カルダン形式のジョイントにより、なされている。
【0003】
第1の解決策の効果は、これが、動力伝達の瞬時の同速回転(transmission instantaneously homokinetic )を生じさせ、かくして、快適で信頼性が有り、比較的低価格であるという事実である。更に、このような動力伝達装置は、又、軽量である。欠点は、チェーンの動力伝達は、連続したメンテナンス(クリーニング及び潤滑に関して)が必要なことと、ピニオン又はクランクのチェーン及び/又は歯の摩耗とにより、かなり制限された継続期間であるこことである。
【0004】
カルダン形式のジョイントの伝達装置は、実質的にメンテナスフリー(これは、オイル又はグリース浴中のケースに収容されている)である効果を有しているけれども、このような動力伝達装置は、重く、又、比較的高価である。更に、この伝達装置は、平均的ではあるが、カップリングにより接続されているシャフト間の伝達比(transmission ratio)が、使用者に最適な快適性を与えないような時間全体に渡って正弦曲線のパターンを有しているので、瞬時の同速回転ではない。
【0005】
後者の制限を克服するために、US 7971674により、カルダン形式のジョイント(モータシャフトに同速回転形式で接続されている)とリアーホイールに同速回転形式で接続されている同速回転ジョイントとを直列に含んでいる動力伝達装置が提供することが、知られている。この同速回転ジョイントは、これに接続されているアクスルとの間の軸摺動を可能にして、これらの一体的な(及び同速の)回転が果たされる。このようにして、揺動アームの枢支点に対してカルダン形式のジョイントの中心のミスアラインメントが可能になっている。実際、揺動アームの回動は、同速回転ジョイントの軸摺動により可能とされている。このようにして、スクワート角の制限は克服され、又、車両の動的な動きは、所望のように変更され得る。しかし、一方では、このような解決は、カルダン形式のジョイントの存在による価格及び重量の問題を有しており、又、動力伝達は、瞬時の同速回転ではない問題を有している。実際、カルダン形式のジョイントによる「正弦曲線の揺動(sinusoidal oscillation)」は、常時存在し、同速回転ジョイントにより厳格に伝達される。
【発明の概要】
【0006】
かくして、従来技術を参照して説明された欠点と制限とを解決する必要性が感じられた。
【0007】
換言すると、この必要性は、チェーンとピニオンとクラウンとの動的機構に代わって、瞬時の同速回転であり、揺動アーム及び/又は過度の価格/重量のジオメトリー/運動学のもとでの制限を有していない動力伝達装置を提供することのように感じられた。
【0008】
上記必要性は、請求項1に係わるオートバイの動力伝達装置による満たされている。
【0009】
本願発明の他の特徴及び効果は、好ましいが限定されるものではない実施の形態の以下の記載からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本願発明に係わるオートバイの動力伝達装置の側方からの部分的な断面図を示している。
図2図2は、図1のオートバイの動力伝達装置の機能的な概略図である。
図3図3は、図2のIIIを拡大して詳細に示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に記載される実施の形態間で共通の部材、又は部材の部分は、同じ参照符号で示されている。
【0012】
詳細な説明
上記図において、参照符号4は、オートバイのリアーアクスルに与えられる、本願発明に係わるオートバイの動力伝達装置を、全体に渡って、示している。
【0013】
この発明の目的のために、オートバイという用語は、少なくとも2つのホイールを、即ち、1つのフロントホイールと少なくとも1つのリアーホイールとを有するいかなるオートバイを含んでいる広い意味で考えられなければないないことに気付くべきである。かくして、この定義は、また、前側に2つの対をなしたステアリングホイールと、後側に1つの駆動ホイールとを有する3つのホイールのオートバイも、又含んでいる。しかし、前端に1つのみのステアリングホイールを、又、後ろに2つの駆動ホイールを有しているオートバイも、又、含んでいる。最後に、オートバイの定義は、又、前端に2つのホイールを又、後端に2つのホイールを有する、所謂、ガード(guad)も含んでいる。
【0014】
本願発明に係わるオートバイの動力伝達装置4は、取付け可能なオートバイのシャーシ(図示されていない)への枢支端部12からホイール20への接続端部16へと延びて、揺動軸X−Xを規定している、揺動アーム8を有している。
【0015】
本願発明の目的にとって、揺動アーム8は、如何なる形状、サイズを有し得、例えば、ラテスタイプ、ボックス状のタイプ、ダイキャスト等であり得る。
【0016】
特に、揺動アーム8は、1つのアームか、2つのアームであり得る。
【0017】
前記枢支端部12は、既知の方法でのブッシュの相互位置付けによりシャーシに枢支され得る。
【0018】
前記接続端部16は、代表的には、ホイール20のハブ24を支持している。
【0019】
代表的に、少なくとも1つのショックアブソーバのアッセンブリ28が、シャーシと揺動アームとの間に介在され、枢支端部12及び揺動軸X−Xを中心としたシャーシに対する揺動アーム8の相対的な回動を可能にするように、少なくとも1つのばね30と少なくとも1つのショックアブソーバ32とを有している。
【0020】
動力伝達装置4は、更に、枢支端部12の側に位置された同速回転ジョイント36と、接続端部16の側に位置されたギアカップリング40とを有している。
【0021】
前記同速回転ジョイント36は、動力取り出し部(例えば、駆動シャフトの出力ピニオン)に接続されている、インプットシャフト48の第1の端部44と、ギアカップリング40に機械的に接続されているアウトプットシャフト56の第2の端部52とを、互いに、運動学的(kinematically)に接続している。
【0022】
前記ギアカップリング40は、代わって、ホイール20に動きを伝え、例えば、ギアカップリング40は、第2の端部側に配置され、1対の円錐又は螺旋形のベベルギアを有している。
【0023】
効果的には、前記同速回転ジョイント36は、第1の端部と第2の端部との間、かくして、インプットシャフト48とアウトプットシャフト56との間の瞬時で一定の速度伝達比を果たす。
【0024】
前記同速回転ジョイント36は、揺動アーム8の枢支端部12に対して、ホイール20の支持面Pに垂直な垂直方向Y−Yにオフセットしており、揺動軸X−Xに平行な、ストロークスタートとストロークエンドとの間でのアウトプットシャフト56の揺動を可能にしている。
【0025】
アウトプットシャフト56の揺動は、図2及び3で角度αで示されている。
【0026】
ストロークエンドの位置は、図2に実線と破線とで夫々示されている。
【0027】
より良く理解するために、揺動アーム8とアウトプットシャフト56との参照は、ストロークエンド位置で、頂点(apex)8’,56’により示されている。
【0028】
かくして、揺動アーム8とアウトプットシャフト56とは、前記角度αだけのシャフトの回動の後に、参照符号8’,56’により示されている。
【0029】
通常では、ストロークスタート位置とストロークエンド位置とは、夫々ショックアブソーバのアッセンブリ28の最大延びと最大圧縮とに対応している。
【0030】
垂直方向に沿った枢支端部12に対する同速回転ジョイント36のオフセットにより、このジョイントと前記枢支端部とは、垂直方向Y−Yにおいて、支持面Pから異なる高さ、即ち、距離に位置している。
【0031】
このようなミスアラインメントによって、同速回転ジョイント36の位置を枢支端部12から解除(release)することが可能であり、かくして、伝達のスクワート角(squat angle)φは、枢支端部12の位置を適切に変えることにより、比較的高い自由度で変更され得る。
【0032】
前記スクワート角は、動きに従った、地面のラインLと、地面に対するホイール20の接触点と、揺動アーム8の揺動軸X−Xとを結ぶ直線との間の角度を意味している。
【0033】
可能な実施の形態に従えば、同速回転ジョイント36は、垂直方向Y−Yで枢支端部12に対してオフセットされるように、枢支端部12と揺動アーム8の接続端部16とを結ぶ直線に関しては、ホイール20の支持面Pの反対側の半面にある
【0034】
可能な実施の形態に係われば、同速回転ジョイント36は、取付け可能なシャーシへの枢支端部12に対して、揺動軸X−X及び垂直軸Y−Yに対して垂直な長手方向L−Lでオフセットされている。
【0035】
好ましくは、同速回転ジョイント36は、枢支端部12を通り垂直方向Y−Yに平行な中心線を含む平面M−Mを跨ぐように位置されている。
【0036】
例えば、同速回転ジョイント36は、枢支端部12を通り垂直方向Y−Yに平行な中心線を含む平面M−Mに対して対称に位置され得る。
【0037】
一実施の形態に係われば、同速回転ジョイント36は、アウトプットシャフト56のスタートストローク位置及びエンドストローク位置でアウトプットシャフト56の第2の端部52に垂直な両直線A、Bが、揺動アーム8の枢支端部12で交わる(図2)ように、形状が設定されている。換言すると、アウトプットシャフト56のスタートストローク位置及びエンドストローク位置でアウトプットシャフト56の第2の端部52に垂直な両直線A、Bは、揺動軸X−Xに衝突するように、交差している揺動アーム8の枢支端部12で交わっている。
【0038】
更に換言すると、同速回転ジョイント36によりアウトプットシャフト56に与えられる回転中心は、枢支端部12により揺動アーム8に与えられる揺動中心と一致(congruent)している。
【0039】
前記「一致」は、回転/揺動の両中心が、アウトプットシャフト56の回転と揺動アーム8の揺動とを、往復動の妨害が無く、夫々、与えることを意味している。特に、アウトプットシャフト56は、揺動アームの揺動に適用している(そして、かくして反対方向ではない)回転の中心の周りで回転する。かくして、ジョイントの運動は、如何なる場合でも、ショックアブソーバのアッセンブリ3の動的動きに、下記に制限されるけれども、影響/害を与えない。
【0040】
可能な実施の形態に係われば、同速回転ジョイント36は、第1及び第2のキャップ60,64を有しており、第1のキャップ60は、インプットシャフト48の第1の端部44に一体的に回転するように接続されており、又、第2のキャップ64は、アウトプットシャフト56の第2の端部52に一体的に回転するように接続されている。
【0041】
キャップ60及び64は、ストロークスタートとストロークエンドとの間でアウトプットシャフト56の回転を許容し、又、アウトプットシャフト56の第2の端部52とインプットシャフト48の第1の端部44との間の距離の変化を可能にするように、インプットシャフト48とアウトプットシャフト56の間の瞬間の運動の伝達なすように、回転伝達カップリングに従って一緒に結合されている。
【0042】
好ましくは、キャップ60,64間の回転伝達カップリングは、ボールとローラとを最小の摩擦となるように相互に位置させることを含んでいる。
【0043】
アウトプットシャフト56の第2の端部52とインプットシャフト48の第1の端部44との間の距離の上述された変化は、揺動軸X−Xを中心とした揺動アーム8の正しい動き(即ち、揺動)を可能にしている。換言すれば、インプットシャフト48とアウトプットシャフト56とからなるアッセンブリの全長は、揺動軸X−Xに対する揺動アーム8の瞬時の回動に合わさなければならない。このようにして、ショックアブソーバのアッセンブリは、互いの妨害がなく、働く。
【0044】
例えば、第2のキャップ64は、アーチ形状のカップリング(vault shaped coupling)により、第1のキャップ60の中に少なくとも部分的に挿入されている。
【0045】
前記アーチ形状のカップリングは、インプットシャフト48とアウトプットシャフト56との間のトルクの伝達のために、溝68を有し得る。
【0046】
本願発明の更なる実施の形態に係われば、アウトプットシャフト56は、動力取り出し部からホイール20への動きの伝達の間に、アウトプットシャフト56の全長を変更することができるように、又は、ミスアラインメントを起こさせることができるように、摺動ジョイント80により、直列に接続されている第1のロッド72と第2のロッド76とを有している。
【0047】
例えば、前記摺動ジョイント80は、溝が形成された直線又はアーチタイプの軸ジョイントである。
【0048】
見られるように、前記揺動アーム8は、所定の形状及びサイズを有し得る。例えば、これは、内部に少なくとも部分的に、同速回転ジョイント36を、そして、特にインプットシャフト48及びアウトプットシャフト56を収容している全体に渡ってボックス形状の構造を有し得る。例えば、揺動アーム8は、単一のアームタイプであり、この単一のアームは、少なくとも部分的にもインプットシャフト48及び/又はアウトプットシャフト56を収容している。
【0049】
上記記載から理解できるように、本願発明に係わるオートバイの動力伝達装置は、従来技術の欠点を克服し得る。
【0050】
特に、本願発明は、瞬間的に同速回転の、かくして、非常に快適ではあるが、一般のチェーンを使用する必要のない動力伝達装置を得ることを可能にしている。
【0051】
動力伝達は、これは、知られているように同側回転ではないカルダンジョイントが全く無いので、瞬時の同速回転である。
【0052】
更に、この動力伝達は、カールダンジョイントの動力伝達装置のように、非常に信頼性が有り、又、実質的にメンテナンスフリーである。
【0053】
又、本願発明の動力伝達装置は、揺動アームの枢支点とジョイントの位置付けとの間に特別な制限を課していない。かくして、オートバイのタイプに最適なスクワート角φを使用することが可能であり、負荷の伝達の観点で、オートバイに好ましい動的な動きを与えている。
【0054】
オートバイの動力伝達装置は、チェーンによる解決と比較して、コンパクトであり、且つ、過度の重量を課していない。
【0055】
当業者は、特定且つ付随的な必要に合うように、上述されたオートバイの動力伝達装置の幾つかの変更及び調節が、以下の請求項で規定されている保護範囲内で、なし得る。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 揺動軸(X−X)を規定している、装着され得るオートバイのシャーシへの枢支端部(12)から、ホイール(20)への接続端部(16)へと延びている揺動アーム(8)と、
前記枢支端部(12)の側に配置された同速回転ジョイント(36)と、
前記接続端部(16)の側に配設されたギアカップリング(40)とを具備し、
前記同速回転ジョイント(36)は、動力取り出し部に接続されているインプットシャフト(48)の第1の端部(44)と、前記ギアカップリング(40)に機械的接続されているアウトプットシャフト(56)の第2の端部(52)とを、互いに、運動学的に接続しており、前記ギアカップリング(40)は、動きをホイール(20)に伝達し、
前記同速回転ジョイント(36)は、前記第1と第2との端部(44,52)間の瞬時で一定の伝達比を果たし、又、
前記同速回転ジョイント(36)は、前記揺動アーム(8)の枢支端部(12)に、ホイール(20)の支持面(P)に垂直な垂直方向(Y−Y)でオフセットしており、前記揺動軸(X−X)に平行な、ストロークスタートとストロークエンドとの間のアウトプットシャフト(56)の揺動を可能にしている、オートバイの動力伝達装置(4)。
[2] 前記同速回転ジョイント(36)は、前記枢支端部(12)と揺動アーム(8)の接続端部(16)とを結ぶ直線に関して、ホイール(20)の支持面(P)と対向している半面に見られる[1]に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[3] 前記同速回転ジョイント(36)は、装着され得るオートバイのシャーシへの前記枢支端部(12)に対して、揺動軸(X−X)及び垂直軸(Y−Y)に対して垂直な長手方向(L−L)でオフセットされている[1]又は[2]に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[4] 前記同速回転ジョイント(36)は、前記枢支端部(12)を通り前記垂直方向(Y−Y)に平行な中心線を含む平面(M−M)を跨ぐように位置されている[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[5] 前記同速回転ジョイント(36)は、前記枢支端部(12)を通り前記垂直方向(Y−Y)に平行な中心線を含む平面(M−M)に対して対称に位置されている[4]に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[6] 前記同速回転ジョイント(36)は、アウトプットシャフト(56)のスタートストローク位置及びエンドストローク位置でアウトプットシャフト(56)の第2の端部(52)に垂直な直線(A、B)が、揺動アーム(8)の前記枢支端部(12)で交わるように、形状が設定されている[1]乃至[5]のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[7] 前記同速回転ジョイント(36)は、第1及び第2のキャップ(60,64)を有しており、第1のキャップ(60)は、インプットシャフト(48)の前記第1の端部(44)に一体的に回転するように接続されており、又、第2のキャップ(64)は、アウトプットシャフト(56)の前記第2の端部(52)に一体的に回転するように接続されており、前記第1及び第2のキャップ(60,64)は、ストロークスタートとストロークエンドとの間でアウトプットシャフト(56)の回転を許容することと、アウトプットシャフト(56)の前記第2の端部(52)とインプットシャフト(48)の前記第1の端部(44)との間の距離の変化を可能にすることとのために、インプットシャフト(48)とアウトプットシャフト(56)の間の瞬間の運動の伝達なすように、回転伝達カップリングに従って一緒に結合されている、[1]乃至[6]のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[8] 前記第2のキャップ(64)は、アーチ形状のカップリングにより、前記第1のキャップ(60)の中に少なくとも部分的に挿入されている[7]に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[9] 前記アーチ形状のカップリングは、インプットシャフト(48)とアウトプットシャフト(56)との間のトルクの伝達のために、溝(68)を有している[8]に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[10] 前記第1と第2のキャップ(60,64)間の回転伝達カップリングは、ボールとローラとを最小の摩擦となるように相互に位置させることを含んでいる[7]乃至[9]のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[11] 前記アウトプットシャフト(56)は、動力取り出し部からホイール(20)への動きの伝達の間に、アウトプットシャフト(56)の全長を変更することができるように、又は、ミスアラインメントを起こさせることができるように、摺動ジョイント(80)により、直列に接続されている第1のロッド(72)と第2のロッド(76)とを有している[1]乃至[10]のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[12] 前記摺動ジョイント(80)は、溝が形成された直線又はアーチタイプの軸ジョイントである[11]に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[13] 前記揺動アーム(8)は、単一のアームタイプであり、この単一のアームは、少なくとも部分的にも前記インプットシャフト(48)及び/又は前記アウトプットシャフト(56)を収容している[1]乃至[12]のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[14] 前記揺動アーム(8)は、2つのアームのタイプである[1]乃至[12]のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[15] 前記ギアカップリング(40)は、前記第2の端部側に配置され、1対の円錐又は螺旋形のベベルギアを有している[1]乃至[14]のいずれか1項に記載のオートバイの動力伝達装置(4)。
[16] [1]乃至[15]のいずれか1項に記載の動力伝達装置(4)を備えたオートバイ。
図1
図2
図3