(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御ユニットが前記ラウドスピーカの電気的モデル(38)をさらに備え、各瞬間における前記励振信号を計算するための前記手段(70、80、90)が、前記ラウドスピーカの前記電気的モデル(38)にさらに基づいて前記励振信号を計算し得ることを特徴とする、請求項1に記載の、ラウドスピーカ(14)を制御するためのデバイス。
【背景技術】
【0002】
ラウドスピーカは、電気信号を音響信号に変換する電磁気デバイスである。ラウドスピーカが招く非線形歪みは、取得される音響信号に大きな影響を及ぼすことがある。
【0003】
ラウドスピーカの動作における歪みを適切な指令によって解消することを可能にするようにラウドスピーカを制御するために、多くの解決策が提案されている。
【0004】
第1のタイプの解決策は、ラウドスピーカの動作の線形化を可能にする隷属化を実施するために、一般的にはマイクロホンである機械的センサを使用する。そのような技術の主な短所は、デバイスの機械的大きさおよび非標準化、ならびに高コストである。
【0005】
そのような解決策の例が、たとえば、EP1 351 543、米国特許第6,684,204号、米国特許出願公開第2010/017 25 16号、および米国特許第5,694,476号の文献に説明されている。
【0006】
望ましくない機械的センサの使用を避けるために、オープンループタイプ制御が検討されている。オープンループタイプ制御では、高くつくセンサが必要とされない。オープンループタイプ制御は、任意選択で、ラウドスピーカの端子にわたって印加される電圧および/または電流を測定するのみである。
【0007】
そのような解決策は、たとえば米国特許第6,058,195号および米国特許第8,023,668号の文献に説明されている。
【0008】
しかしながら、これらの解決策には、ラウドスピーカの非線形性の組が考慮されていないこと、これらのシステムは設置するのが複雑であること、また、等価なラウドスピーカから得られる補正された挙動を選択するための完全な自由が提供されないこと、といった短所がある。
【0009】
米国特許第6,058,195号の文献は、電流制御を伴ういわゆる「ミラーフィルタ」技術を使用する。この技術は、所定のモデルを取得するために非線形性を解消することを可能にするものである。実施された推定器Eが、測定電圧とモデルによって予測された電圧との間の誤差信号を生成する。この誤差が、パラメータの更新回路Uによって使用される。推定されるパラメータの数から見て、各パラメータの、それらの真の値への収斂は、通常の動作条件の下ではとても起こりそうもないことである。
【0010】
米国特許第8,023,668号は、ラウドスピーカの、所望の挙動に対する望ましくない挙動を相殺するオープンループ制御モデルを提案する。そのために、ラウドスピーカに印加される電圧が、ラウドスピーカの、所望の挙動に対する望ましくない挙動を相殺する付加的な電圧によって補正される。制御アルゴリズムは、ラウドスピーカのモデルの離散時間の離散化によって行われる。これにより、次の時間のダイヤフラムの位置を予測して、その位置を所望の位置と比較することが可能になる。このアルゴリズムは、このように、ラウドスピーカが所望の挙動に従うように、ラウドスピーカの所望のモデルとラウドスピーカのモデルの間の一種の無限利得隷属化を遂行する。
【0011】
前の文献におけるように、米国特許第8,023,668号の文献におけるこの補正は、閉じたフィードバックループを実施しないにもかかわらず、指令が、それぞれの瞬間における補正を計算して入力信号に加える補正を実行する。
【0012】
入力信号に加算する補正を計算するためのこの機構は実施するのが複雑である上に、得られる結果は不十分なことがあり、この補正モデルは、特定の動作条件または入力信号の特定の形態に対して、不適当であるかまたは効果がないと判明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、所望のモデルとラウドスピーカのモデルとをそれぞれの瞬間において比較することによって計算された補正信号を加算することにより、入力信号の変更に関連した短所のない、ラウドスピーカの十分な制御を提案することを目標とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのために、本発明は、
- 再生される音声信号およびエンクロージャの構造に基づいてラウドスピーカのダイヤフラムの所望の動的値を計算するための手段と、
- 各瞬間におけるラウドスピーカのダイヤフラムの複数の所望の動的値を、所望の動的値だけに基づいて計算するための手段と、
- ラウドスピーカの機械的モデリング手段と、
- ラウドスピーカの機械的モデルおよび所望の動的値から、フィードバックループなしで、各瞬間におけるラウドスピーカの励振信号を計算するための手段と、
を備えている制御ユニットを備えることを特徴とする前述のタイプのラウドスピーカ制御デバイスに関するものである。
【0016】
特定の実施形態によれば、この制御デバイスは、
- 前記制御ユニットがラウドスピーカの電気的モデルをさらに備え、各瞬間における励振信号を計算するための手段が、ラウドスピーカの電気的モデルにさらに基づいて励振信号を計算することができ、
- ラウドスピーカの電気的モデルが、
- ラウドスピーカの磁気損失を表す抵抗と
- ラウドスピーカにおける渦電流の影響に由来するパラインダクタンスを表すインダクタンスと、
を考慮に入れるものであり、
- ラウドスピーカの電気的モデルが、ラウドスピーカコイルのインダクタンスの、ラウドスピーカにおいて循環する電流の強度に基づく変化を考慮に入れるものであり、
- ラウドスピーカの電気的モデルが、ラウドスピーカコイルのインダクタンスの、コイルダイヤフラムの位置に基づく変化を考慮に入れるものであり、
- ラウドスピーカの電気的モデルが、ラウドスピーカコイルによって捕捉される磁束の、ラウドスピーカにおいて循環する電流の強度に基づく変化を考慮に入れるものであり、
- ラウドスピーカの電気的モデルが、ラウドスピーカコイルによって捕捉される磁束の、コイルダイヤフラムの位置に基づく変化を考慮に入れるものであり、
- ラウドスピーカの電気的モデルが、ラウドスピーカコイルのインダクタンスの時間に関する導関数の、ラウドスピーカにおいて循環する電流の強度に基づく変化を考慮に入れるものであり、
- ラウドスピーカの電気的モデルが、ラウドスピーカコイルのインダクタンスの時間に関する導関数の、コイルダイヤフラムの位置に基づく変化を考慮に入れるものであり、
- ラウドスピーカの電気的モデルが、ラウドスピーカコイルの抵抗の、ラウドスピーカの磁気回路の測定温度に基づく変化を考慮に入れるものであり、
- ラウドスピーカの電気的モデルが、ラウドスピーカコイルの抵抗の、ラウドスピーカコイルにおいて測定される電流の強度に基づく変化を考慮に入れるものであり、
- 再生される音声信号に基づいて所望の動的値を計算するための手段が、遮断周波数未満の有用な帯域幅内に積分を制限する遮断周波数によって特徴付けられる少なくとも1つの有界積分器を備え、
- 複数の所望の動的値が、同じ関数の異なる次数の導関数である4つの関数の所与の瞬間における値の組であり、
- 所望の動的値を計算するための手段が、再生される音声信号の積分および/または微分によって所望の動的値を計算することができ、
- フィードバックループなしで所望の動的値から励振信号を計算するための手段が、コイル内の所望の電流の強度と、コイル内の所望の電流の強度の時間に関する導関数との代数計算をもたらすことができ、
- ラウドスピーカの機械的モデルが、ラウドスピーカの機械的摩擦を考慮に入れるものであり、この制御デバイスが、摩擦抵抗を、所望の動的値のうち少なくとも1つが所定値に向かっているとき、無限大に向かって非線形に増加する関数による所望の動的値の少なくとも1つに依存するようにする手段を備え、
- 複数の所望の動的値が、ラウドスピーカのダイヤフラムの加速度およびラウドスピーカのダイヤフラムの位置を含み、この制御デバイスが、ダイヤフラムの位置の可動域が所定値を超えるのを制限するために加速度を所定の幅の中に制限するための手段を備え、
- ラウドスピーカのダイヤフラムの動的値を計算するための手段が、恒等式とは異なる補正を適用することができ、ラウドスピーカのダイヤフラムに関連する動的値とは異なるエンクロージャの構造の動的値を考慮に入れるものであり、
- エンクロージャがベントを備え、エンクロージャの構造の動的値が、エンクロージャによって変位される空気の位置の、少なくとも1つの所定の次数の導関数を含み、
- エンクロージャの構造の動的値が、エンクロージャによって変位される空気の位置を含み、
- エンクロージャの構造の動的値が、エンクロージャによって変位される空気の速度を含み、
- エンクロージャは開放形エンクロージャであり、エンクロージャの構造の動的値が、
- エンクロージャの音響漏れ係数、
- ベント内の空気の質量と等価なインダクタンス、
- エンクロージャ内の空気のコンプライアンス、といったパラメータのうち少なくとも1つに依存し、
- エンクロージャがパッシブラジエータのエンクロージャであり、エンクロージャの構造の動的値が、
- エンクロージャの音響漏れ係数、
- パッシブラジエータのダイヤフラムの質量と等価なインダクタンス、
- エンクロージャ内の空気のコンプライアンス、
- パッシブラジエータの機械損、
- ダイヤフラムの機械的コンプライアンスといったパラメータのうち少なくとも1つに依存する、といった特徴のうち1つまたは複数を含むものである。
【0017】
本発明は、単に例として提供される以下の説明を、図面を参照しながら読み取ることで、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示されたサウンドリトリーバル装置10は、知られているように、電圧増幅器16を介してエンクロージャのラウドスピーカ14に接続されたデジタルディスク読取り装置など、音声信号を生成するためのモジュール12を備える。音声源12と増幅器16の間には、エンクロージャの所望の挙動モデルに対応する所望のモデル20と制御デバイス22が、順次に直列に配置されている。この所望のモデルは線形または非線形である。
【0020】
特定の一実施形態によれば、ラウドスピーカ14と制御デバイス22の間に、ラウドスピーカの磁気回路の温度またはラウドスピーカコイルにおいて循環する電流の強度などの物理量を測定するためのループ23が設けられる。
【0021】
所望のモデル20は、装置に使用されているラウドスピーカおよびそのモデルから独立したものである。
【0022】
図2に示されるように、所望のモデル20は、S
audio_refで示される所望の信号の振幅とモジュール12からの入力信号の振幅S
audioの比の周波数に基づいて表現される関数である。
【0023】
有利には、周波数f
min未満の周波数については、この比は、周波数がゼロに向かっているときゼロに向かって収斂する関数であって、過度に低い周波数の再生を制限し、それによって、ラウドスピーカのダイヤフラムが、製造業者によって推奨された範囲の外へ動くのを回避する。
【0024】
信号の周波数が無限大に向かっているとき比がゼロに向かう、周波数f
maxを超える高周波について、同じことが言える。
【0025】
別の実施形態によれば、この所望のモデルは規定されておらず、所望のモデルは単一体であると見なされる。
【0026】
詳細な構造が
図3に示されている制御デバイス22が、増幅器16の入力に配置されている。制御デバイス22は、所望のモデル20の出力において定義された再生される音声信号S
audio_refを入力として受け取って、ラウドスピーカの励振信号を形成する信号U
refを出力として供給することができ、信号U
refは増幅のために増幅器16に供給される。この信号のU
refは、ラウドスピーカ14の非線形性を考慮に入れるのに適切である。
【0027】
制御デバイス22は、同時に定義された他の量の微分値または積分値に基づいて異なる量を計算するための手段を備える。
【0028】
計算の必要性のために、瞬間nにおいて知られていない量の値は、瞬間n-1における対応する値と等しいと見なされる。瞬間n-1における値は、好ましくは、瞬間n-1において知られている高次微分を使用するそれらの値の1次または2次の予測によって補正される。
【0029】
本発明によれば、制御デバイス22は、微分平坦原理を部分的に使用して制御を実行することにより、十分に滑らかな基準軌道から、微分的に平坦なシステムの基準制御信号を定義することを可能にする。
【0030】
図3に示されるように、制御モジュール22は、所望のモデル20から再生される音声信号S
audio_refを入力として受け取る。増幅器16のピーク電圧と、ユーザによって制御される0と1の間の減衰変数とに依存する単位換算利得を適用するためのユニット24は、基準音声信号S
audio_refの、再生される物理量の表象である信号γ
0への推移を保証する。信号γ
0は、たとえばラウドスピーカの反対側の空気の加速度またはラウドスピーカ14によって動かされる空気の速度である。以下、信号γ
0は、エンクロージャによる運動において設定される空気の加速度であると仮定する。
【0031】
制御デバイスは、増幅ユニット24の出力において、ラウドスピーカが使用されているエンクロージャの構造に基づく、再生される信号の構造的適応のためのユニット25を備える。このユニットは、ここではラウドスピーカを備えるエンクロージャによって設定される空気の変位のための信号γ
0である対応する値から、ラウドスピーカのダイヤフラムに対する各瞬間における所望の基準値A
refを与えることができる。
【0032】
したがって、検討された例では、再生される空気の加速度γ
0から計算された基準値A
refは、ラウドスピーカのダイヤフラムにとっての再生すべき加速度であり、その結果、ラウドスピーカの動作が空気に加速度γ
0を与える。
【0033】
ラウドスピーカが閉じたハウジングの中に取り付けられている閉じたエンクロージャの場合、ダイヤフラムの所望の基準加速度A
refは空気の所望の加速度γ
0に等しい。
【0034】
この基準値A
refは、各瞬間において、基準値の時間に関する導関数の値dA
ref/dt、ならびにその基準値の時間に関する1回積分値V
refおよび2回積分値X
refをもたらすことができる基準動的値を計算するために、ユニット26に導入される。
【0035】
基準動的値の組は、以下でG
refと示される。
【0036】
図4は、計算ユニット26の詳細を示すものである。入力A
refは、一方では微分ユニット30に接続されており、他方では有界積分ユニット32に接続されており、そしてまた、積分ユニット32の出力が、別の有界積分ユニット34に接続されている。
【0037】
したがって、ユニット30、32および34の出力において、加速度の導関数dA
ref/dt、加速度の1回積分V
refおよび2回積分X
refが、それぞれ取得される。
【0038】
有界積分ユニットは、1次の低域フィルタによって形成されており、遮断周波数F
OBFによって特徴付けられる。
【0039】
有界積分ユニットを使用すると、制御デバイス22において、有用な帯域幅すなわち遮断周波数F
OBFよりも高い周波数を除いた周波数において、互いの微分または積分ではない値を使用することが可能になる。これによって、当の値の低周波の可動域を制御することが可能になる。
【0040】
通常動作中、遮断周波数F
OBFは、有用な帯域幅の低周波における信号に影響を及ぼさないように選択される。
【0041】
遮断周波数F
OBFは、所望のモデル20の周波数f
minの10分の1よりも低くとられる。
【0042】
制御デバイス22は、記憶装置の中に、電気機械的パラメータの多項式の表および/または組36、ならびに電気的パラメータの多項式の表および/または組38を含む。
【0043】
これらの表36および表38は、入力として受け取られた基準動的値G
refに基づいて、それぞれ、電気機械的パラメータP
mecaおよび電気的パラメータP
elecを定義することができる。これらのパラメータP
mecaおよびP
elecは、それぞれ
図5に示されるようなラウドスピーカの機械的モデルおよび
図6に示されるようなラウドスピーカの電気的モデルから取得される。
【0044】
これらの図では、ラウドスピーカはベントのない閉じたハウジングに設置されていると仮定されており、ダイヤフラムはハウジングの外部と内部の間の境界に存在する。
【0045】
電気機械的パラメータP
mecaは、ラウドスピーカの磁気回路によって生成されてコイルによって捕捉された磁束Bl、ラウドスピーカの剛性K
mt、ラウドスピーカの粘性機械摩擦R
mt、および全体のラウドスピーカの可動質量M
mtを含む。
【0046】
図5に示されたラウドスピーカの機械部品のモデルは、単一の閉ループ回路に電圧Bl(x, i).iの発生器40を含み、これは、ラウドスピーカコイルの中で循環する電流iによって生成される駆動力に対応するものである。磁束Bl(x, i)は、ダイヤフラムの位置xならびにコイルの中で循環する電流iの強度に依存する。
【0047】
このモデルは、粘性機械摩擦R
mtに対応する抵抗42と、全体の可動質量M
mtに対応するコイル44と、剛性に対応する、1/K
mt(x)に等しい容量C
mt(x)を有するキャパシタ46との直列接続を考慮に入れるものである。したがって、剛性はダイヤフラムの位置xに依存する。
【0048】
最後に、この回路は、磁気回路の磁気抵抗からもたらされる力F
r(x, i)を表す発生器48を備え、力F
r(x, i)は
【0050】
に等しく、L
eはコイルのインダクタンスであってダイヤフラムの位置xに依存するものである。
【0052】
電気的パラメータP
elecは、コイルのインダクタンスL
eと、コイルのパラインダクタンスL
2と、鉄損と等価なR
2とを含む。
【0053】
閉じたエンクロージャのラウドスピーカの電気部品のモデルが、
図6によって示されている。このモデルは閉ループ回路によって形成されている。このモデルは、起電力を生成するための発生器50であって、ラウドスピーカコイルの抵抗R
eを表す抵抗52と直列接続されたものを備える。この抵抗52は、ラウドスピーカコイルのインダクタンスを表すインダクタンスL
e(x, i)と直列に接続されている。このインダクタンスは、コイルの中で循環する電流iの強度およびダイヤフラムの位置xに依存するものである。
【0054】
磁気損失および渦電流の影響によるインダクタンスの変化を説明するために、コイル54の出力において並列回路RLが直列に取り付けられている。ダイヤフラムの位置xおよびコイルの中で循環する電流iの強度に依存する値R
2(x, i)を有する抵抗56は、鉄損の等価物を表すものである。同様に、これもダイヤフラムの位置xおよび回路の中で循環する電流iの強度に依存するインダクタンスL
2(x, i)を有するコイル58は、ラウドスピーカのパラインダクタンスを表すものである。
【0055】
また、このモデルでは、磁石によって生成された磁界の中で動くコイルの逆起電力を表す電圧Bl(x, i).vを生成する電圧発生器60と、電圧g(x, i).vを生成する第2の発生器62であって、
【0057】
が位置によるインダクタンスの動的変化の影響を表す第2の発生器62とが、直列に取り付けられている。
【0058】
一般に、このモデルでは、コイルによって捕捉される磁束Bl、剛性K
mtおよびコイルのインダクタンスL
eはダイヤフラムの位置xに依存し、インダクタンスL
eおよび磁束Blはコイルの中で循環する電流iにも依存することが注目されよう。
【0059】
好ましくは、コイルのインダクタンスL
e、インダクタンスL
2および項gは、ダイヤフラムの動きxに依存することに加えて、電流iの強度にも依存する。
【0060】
図5および
図6に照らして説明されたモデルから、次式が定義される。
【0062】
制御モジュール22は、基準電流i
refおよびその導関数di
ref/dtを計算するためのユニット70をさらに備える。このユニットは、入力として、基準動的値G
ref、機械的パラメータP
mecaを受け取る。基準電流i
refおよびその導関数di
ref/dtのこの計算は、次の2つの式を満たすものであり、
【0067】
したがって、電流i
refおよびその導関数di
ref/dtは、正確な解析計算により、またはG
1(x, i)の複雑さに基づき、必要に応じてデジタル的解明により、入力されたベクトルの値から代数計算によって取得される。
【0068】
したがって、電流の導関数di
ref/dtは、好ましくは、代数計算により、そうでなければ数的な微分によって取得される。
【0069】
ラウドスピーカのダイヤフラムの過度の移動を回避するために、制御モジュールに動きX
maxが課される。これは、基準動的値を計算するための分離ユニット26および構造的適応ユニット25を使用することによって可能になる。
【0070】
動きの制限は、ラウドスピーカのダイヤフラムが、X
maxに関連付けられた特定の限界を超えるのを防止する「仮想壁」デバイスによって行われる。そのために、位置X
refがその限界閾値に近づくとき、位置が仮想壁に近づくのに必要なエネルギーがますます大きくなり(非線形の挙動)、非対称な挙動を課する可能性を伴って、仮想壁において無限大になる。そのために、粘性機械摩擦R
mt 42が、ダイヤフラムの位置x
refに基づいて非線形に増加する。
【0071】
さらに別の実施形態によれば、移動を制限するために、加速度A
refが動的に最小限と最大限の範囲内に保たれ、ダイヤフラムの位置X
refがX
maxを超えないことを保証する。
【0072】
実施形態に依存して、ダイヤフラムの移動X
refがX
ref_satに制限され、ダイヤフラムの加速度A
refがA
ref_satに制限されている場合、値x
0およびv
0は、次のアルゴリズムを使用して、瞬間nにおいて再計算される。
【0074】
v
0 sat(n)=γ
0 sat(n)の有界積分(32に等しい)
x
0 sat(n)=v
0 sat(n)の有界積分(34に等しい)
v
ref sat(n)=A
ref sat(n)の有界積分(32に等しい)
【0075】
したがって、基準電流i
refおよびその導関数di
ref/dtの計算は、次の2つの式を満たすものであり、
【0080】
その上、制御デバイス22は、ラウドスピーカの抵抗R
eを推定するためのユニット80を備える。このユニット80が入力として受け取るのは、基準動的値G
ref、基準電流i
refの強度および基準電流i
refの導関数di
ref/dt、ならびに、検討する実施形態に依存して、ラウドスピーカの磁気回路において測定された温度T
m_measuredまたはコイルを流れる電流の測定された強度I_
measuredである。
【0081】
循環電流の測定がない状況では、評価ユニット80は、
図7に示された形態を有する。評価ユニット80は、入力として、電力およびパラメータを計算するためのモジュール82と、熱モデル84とを備える。
【0082】
熱モデル84は、計算されたパラメータ、求められた電力P
JBおよび測定された温度T
m_measuredから抵抗R
eを計算する。
【0083】
図8は、熱モデルに使用される全般的な図を提供するものである。
【0084】
このモデルでは、基準温度はエンクロージャ内の空気の温度T
eである。
【0085】
検討される温度は、
巻線の温度T
b[℃]、
磁気回路の温度T
m[℃]、
および、一定であると仮定されるか理想的には測定される、エンクロージャ内の温度T
e[℃]である。
【0086】
検討される熱出力は、
ジュール効果によって巻線に寄与する熱出力P
Jb[W]である。
【0087】
この熱モデルは、
図8に示されるように、
巻線の熱容量C
tbb[J/K]、
巻線と磁気回路の間の等価熱抵抗R
thbm[K/W]、および
巻線とエンクロージャの内部温度の間の等価熱抵抗R
thba[K/W]といったパラメータを含む。
【0088】
等価熱抵抗は、伝導および対流による熱放散を考慮に入れるものである。
【0089】
巻線の中で循環する電流が寄与する熱出力P
Jbは、次式で与えられ、
P
Jb(t)=R
e(T
b)i
2(t)
ここで、R
e(T
b)は温度T
bにおける電気抵抗の値であって次式で示され、
R
e(T
b)=R
e(20℃)×(1+4.10
-3(T
b-20℃))
ここで、R
e(20℃)は20℃における電気抵抗の値である。
【0090】
図8によって与えられた熱モデルは次式となる。
【0092】
その解明により、各瞬間における抵抗R
eの値を取得することが可能になる。
【0093】
あるいは、コイルの中で循環する電流iを測定すると、
図9に示されるように、たとえば比例積分タイプの閉ループ推定器によって抵抗R
eが推定される。こうすると、比例積分補正器を使用することによって収束時間の高速化が可能になる。
【0094】
最後に、制御デバイス22は、基準動的値G
refと、基準電流i
refおよびその導関数di
ref/dtと、電気的パラメータP
elecと、ユニット80によって計算された抵抗R
eとから基準出力電圧U
refを計算するためのユニット90を備える。ユニット90は、次の2つの式を実行して基準出力電圧を計算する。
【0096】
あるいは、ベントを通じて開いているハウジングを備えるエンクロージャについては、
図5に示されたラウドスピーカの機械的音響モデルが
図11のモデルで置換され、構造的適応ユニット25は、エンクロージャの特定の構造を説明するために、空気の所望の加速度γ
0からメンブレンの所望の加速度A
refを求めることができる。
【0097】
この実施形態では、
図3に示されるように、制御モジュール22は、所望のモデル20から再生された音声信号S
audio_refを入力として受け取る。増幅器16のピーク電圧と、ユーザによって制御される0と1の間の減衰変数とに依存する単位換算利得を適用するためのユニット24は、基準音声信号S
audio_refの、再生される物理量の表象である信号γ
0への推移を保証する。信号γ
0は、たとえばラウドスピーカの反対側の空気の加速度またはラウドスピーカ14によって動かされる空気の速度である。以下、信号γ
0は、エンクロージャによる運動において設定される空気の加速度であると仮定する。
【0098】
中でラウドスピーカが使用されるエンクロージャの構造に基づいて再生される信号の構造的適応ユニット25は、ここでは信号である対応する値から、中にラウドスピーカが配置されているデバイスによって設定された空気の変位のための、ラウドスピーカのダイヤフラムに対する各瞬間の所望の基準値A
refを供給することができる。
【0099】
したがって、検討された例では、再生される空気の加速度γ
0から計算された基準値A
refは、ラウドスピーカのダイヤフラムにとっての再生すべき加速度であり、その結果、ラウドスピーカの動作が全体の空気に対して加速度γ
0を与える。
【0100】
図10は、構造的適応ユニット25の詳細を示すものである。入力γ
0が有界積分ユニット127に接続されており、有界積分ユニット127の出力が別の有界積分ユニット128に接続されている。
【0101】
したがって、ユニット127の出力において加速度γ
0の1回積分v
0が得られ、ユニット128の出力において加速度γ
0の2回積分x
0が得られる。
【0102】
有界積分ユニットは、1次の低域フィルタによって形成されており、遮断周波数F
OBFによって特徴付けられる。
【0103】
有界積分ユニットを使用すると、制御デバイス22において、有用な帯域幅すなわち遮断周波数F
OBFよりも高い周波数を除いた周波数において、互いの微分または積分ではない値を使用することが可能になる。これによって、当の値の低周波の可動域を制御することが可能になる。
【0104】
通常動作中、遮断周波数F
OBFは、有用な帯域幅の低周波における信号に影響を及ぼさないように選択される。
【0105】
遮断周波数F
OBFは、所望のモデル20の周波数f
minの10分の1よりも低くとられる。
【0106】
ラウドスピーカが取り付けられている開放形エンクロージャの場合、ユニット25が、次式の関係によってダイヤフラムA
refに対する所望の基準加速度を生成し、
【0108】
このとき、
R
m2はエンクロージャの音響漏れ係数であり、
M
m2はベント内の空気の質量と等価なインダクタンスであり、
K
m2はエンクロージャ内の空気の剛性であり、
x
0はダイヤフラムおよびベントによって変位された空気全体の位置であり、
【0110】
はダイヤフラムおよびベントによって変位された空気全体の速度であり、
【0112】
は変位された空気全体の加速度である。
【0113】
この場合、ダイヤフラムに対して望まれる基準加速度A
refは、エンクロージャの構造の動的値x
0、v
0用に補正され、これらの動的値x
0、v
0は、ラウドスピーカのダイヤフラムに関連する動的値とは異なるものである。
【0114】
この基準値A
refは、各瞬間において、基準値の時間に関する導関数の値dA
ref/dt、ならびにその基準値の時間に関する1回積分値V
refおよび2回積分値X
refをもたらすことができる基準動的値を計算するために、ユニット26に導入される。
【0115】
基準動的値の組は、以下でG
refと示される。
【0116】
構造的適応ユニット25は、基準動的値v
0およびx
0を求めるために、計算ユニット26と同一の計算ユニットも備える。
【0117】
計算ユニット26は、
図4に示された前の実施形態のものである。
【0118】
表36および表38は、入力として受け取られた基準動的値G
refに基づいて、それぞれ、電気機械的パラメータP
mecaおよび電気的パラメータP
elecを定義することができる。これらのパラメータP
mecaおよびP
elecは、それぞれ
図11に示されるようなラウドスピーカの機械的モデルから取得され、ラウドスピーカは開放形エンクロージャに設置されており、
図6に示されるようなラウドスピーカの電気的モデルであると仮定される。
【0119】
電気機械的パラメータP
mecaは、ラウドスピーカの磁気回路によって生成されてコイルによって捕捉される磁束Bl、ラウドスピーカの剛性K
mt(x
D)、ラウドスピーカの粘性機械摩擦R
mt、全体のラウドスピーカの可動質量M
mt、エンクロージャ内の空気の剛性K
m2、エンクロージャの音響漏れR
m2、およびベント内の空気の質量M
m2を含む。
【0120】
最後の3つの量は、P
mecaに統合され、
図3には見られない。
【0121】
図11に示された開放形エンクロージャの中に配置されたラウドスピーカの機械的音響部品のモデルは、単一の閉ループ回路に、ラウドスピーカコイルの中で循環する電流iによって生成された駆動力に対応する電圧Bl(x
D, i).iの発生器40を備える。磁束Bl(x
D, i)は、ダイヤフラムの位置x
Dならびにコイルの中で循環する電流iの強度に依存する。
【0122】
このモデルは、ダイヤフラムの粘性機械摩擦R
mtに対応する抵抗142と、ダイヤフラムの全体の可動質量M
mtに対応するコイル144と、ダイヤフラムの剛性に対応する、1/K
mt(x
D)に等しい容量C
mt(x
D)を有するキャパシタ146との直列接続を考慮に入れるものである。したがって、剛性はダイヤフラムの位置x
Dに依存する。
【0123】
ベントを説明するために、次のパラメータR
m2、C
m2およびM
m2が使用された。
R
m2はエンクロージャの音響漏れ係数であり、
M
m2はベント内の空気の質量と等価なインダクタンスであり、
【0125】
はエンクロージャ内の空気のコンプライアンスである。
【0126】
図11のモデルでは、それらは、それぞれ並列に取り付けられた抵抗147、コイル148およびキャパシタ149に対応する。
【0127】
このモデルでは、磁気回路の磁気抵抗から生じる力は無視される。
【0128】
使用される変数は、
ラウドスピーカのダイヤフラムの速度
【0130】
と、
ラウドスピーカのダイヤフラムの加速度
【0132】
と、
空気漏れからの空気の速度v
Lと、
ベント(ポート)を去る空気の速度v
pと、
ダイヤフラムおよびベントによって変位された空気全体の速度
【0137】
1メートルにおける全体の音圧は次式で与えられ、
【0139】
ここで、S
Dはラウドスピーカの断面積であり、n
str=2であり、固体の放射角度である。
【0140】
図11に対応する機械的な音響式は次のようになる。
【0144】
ラウドスピーカの電気部品のモデリングが
図6によって示されており、第1の実施形態のものと同一である。
【0145】
図11および
図6に照らして説明されたモデルから、以下の式が定義される。
【0147】
制御モジュール22は、基準電流i
refおよびその導関数di
ref/dtを計算するためのユニット70をさらに備える。このユニットは、入力として、基準動的値G
ref、機械的パラメータP
meca、ならびに値x
0およびv
0を受け取る。基準電流i
refおよびその導関数di
ref/dtのこの計算は、次の2つの式を満たすものであり、
【0152】
したがって、電流i
refおよびその導関数di
ref/dtは、正確な解析計算により、またはG
1(x, i)の複雑さに基づき、必要に応じてデジタル的解明により、入力されたベクトルの値から代数計算によって取得される。
【0153】
したがって、電流の導関数di
ref/dtは、好ましくは、代数計算により、そうでなければ数的な微分によって取得される。
【0154】
ラウドスピーカのダイヤフラムの過度の移動を回避するために、前の実施形態のように、制御モジュールに動きX
maxが課される。
【0155】
その上、前の実施形態に照らして説明されたように、制御デバイス22は、ラウドスピーカの抵抗R
eを推定するためのユニット80を備える。
【0156】
前述のように増幅器16が電圧増幅器ではなく電流増幅器であると、制御デバイスのユニット38、80および90が省かれて、増幅器を制御する基準出力強度i
refがユニット70の出力において採用される。
【0157】
エンクロージャが、ダイヤフラムによって形成されたパッシブラジエータを備える場合、
図6の機械的モデルが
図12の機械的モデルによって置換され、
図12の機械的モデルでは、
図6のものと同一の要素には同じ参照番号が付けられている。このモジュールは、パッシブラジエータのダイヤフラムの質量M
m2に対応するコイル148と、パッシブラジエータの機械損R
m2に対応する抵抗202と、パッシブラジエータのダイヤフラムの機械的剛性K
m3に対応し、値
【0159】
を有するキャパシタ204とが直列接続されたものを備える。ダイヤフラムの基準加速度A
refは次式で与えられ、
【0161】
x
0Rは、x
0を高域通過フィルタでフィルタリングしたものである。
【0163】
したがって、制御デバイス22には、γ
0からv
0およびx
0を取得し、次いで高域通過のフィルタリングによってx
0からx
0Rを計算するための連続した2つの有界積分器が備わっており、パッシブラジエータのダイヤフラムの機械損の抵抗R
m3および機械的剛性の定数K
m3といったさらなるパラメータも得られる。