特許第6522703号(P6522703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6522703集積されたコイルを有する磁場センサのための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522703
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】集積されたコイルを有する磁場センサのための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20190520BHJP
   G01R 33/07 20060101ALI20190520BHJP
   G01R 33/09 20060101ALI20190520BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   G01R33/02 Q
   G01R33/07
   G01R33/09
   H01L43/08 Z
【請求項の数】25
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-178549(P2017-178549)
(22)【出願日】2017年9月19日
(62)【分割の表示】特願2015-511491(P2015-511491)の分割
【原出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2018-21925(P2018-21925A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2017年9月19日
(31)【優先権主張番号】13/468,478
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ペプカ,ゲーリー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ウィリアム・ピー
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−222524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/00−33/26
H01L 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場センサであって、
ダイと、
磁場を生成する、前記ダイに近接したコイルと、
前記磁場センサの外部の強磁性ターゲットの動きの結果として前記コイルによって生成される磁場の変化を検出する、前記ダイ上のホール磁場感知素子と、
前記ターゲットの動きによって引き起こされる、前記ホール磁場感知素子に対する前記コイルによって生成される磁場の整列の変化が、前記ホール磁場感知素子によって検出されるように、前記コイルに結合された定電流源と
を備え、
第1の位置への前記強磁性ターゲットの動きは、前記コイルによって生成される磁場のベクトルを前記ホール磁場感知素子に対して実質的に垂直に整列させ、前記ホール磁場感知素子によって観察される磁場を増加させ、第2の位置への前記強磁性ターゲットのさらなる動きは、前記ホール磁場感知素子によって観察される磁場を変化させ、
前記コイルに関連して配置されたGMR磁場感知素子を備え、
前記ホール磁場感知素子は第1のエアギャップ距離のために構成され、前記GMR磁場感知素子は前記第1のエアギャップ距離より大きい第2のエアギャップ距離のために構成される、磁場センサ。
【請求項2】
前記コイルは前記ダイと一体化される請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記コイルは実質的に平坦である請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記コイルはソレノイドを含む請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記ホール磁場感知素子の一部のみが前記コイルと重なる請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記ホール磁場感知素子は、前記コイルと前記ダイとの間に少なくとも部分的に配置される請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記コイルは、前記ホール磁場感知素子と前記ダイとの間に少なくとも部分的に配置される請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
前記ホール磁場感知素子の面積の約半分が前記コイルと重なる請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記ホール磁場感知素子の長さの約半分が前記コイルと重なる請求項1に記載のセンサ。
【請求項10】
さらなる磁場感知素子を含む請求項1に記載のセンサ。
【請求項11】
前記ダイは前記ホール磁場センサからの情報を処理する回路を含む請求項1に記載のセンサ。
【請求項12】
前記ホール磁場感知素子は、前記コイルに重なる少なくとも一部を有する請求項1に記載のセンサ。
【請求項13】
磁場センサであって、
ダイと、
磁場を生成するための、前記ダイに近接する第1の手段であって、コイルを含む、第1の手段と、
前記磁場センサの外部の強磁性ターゲットの動きの結果として前記第1の手段によって生成される磁場の変化を検出する第2の手段であって、ホール磁場感知素子を含む、第2の手段と、
前記ターゲットの動きによって引き起こされる、前記ホール磁場感知素子に対する前記コイルによって生成される磁場の整列の変化が、前記ホール磁場感知素子によって検出されるように、前記第1の手段に結合された定電流源と
を備え、
第1の位置への前記強磁性ターゲットの動きは、前記コイルによって生成される磁場のベクトルを前記ホール磁場感知素子に対して実質的に垂直に整列させ、前記ホール磁場感知素子によって観察される磁場を増加させ、第2の位置への前記強磁性ターゲットのさらなる動きは、前記ホール磁場感知素子によって観察される磁場を変化させ、
前記コイルに関連して配置されたGMR磁場感知素子を備え、
前記ホール磁場感知素子は第1のエアギャップ距離のために構成され、前記GMR磁場感知素子は前記第1のエアギャップ距離より大きい第2のエアギャップ距離のために構成される、磁場センサ。
【請求項14】
前記第1の手段は前記ダイと一体化される請求項13に記載のセンサ。
【請求項15】
磁場センサ内にダイを提供するステップと、
磁場を生成する、前記ダイに近接したコイルを提供するステップと、
前記磁場センサの外部の強磁性ターゲットの動きの結果として前記コイルによって生成される磁場の変化を検出する、ホール磁場感知素子を提供するステップと、
前記ターゲットの動きによって引き起こされる、前記ホール磁場感知素子に対する前記コイルによって生成される磁場の整列の変化が、前記ホール磁場感知素子によって検出されるように、前記コイルに定電流源を結合するステップと
を含み、
第1の位置への前記強磁性ターゲットの動きは、前記コイルによって生成される磁場のベクトルを前記ホール磁場感知素子に対して実質的に垂直に整列させ、前記ホール磁場感知素子によって観察される磁場を増加させ、第2の位置への前記強磁性ターゲットのさらなる動きは、前記ホール磁場感知素子によって観察される磁場を変化させ、
前記コイルに関連して配置されたGMR磁場感知素子を提供するステップを含み、
前記ホール磁場感知素子は第1のエアギャップ距離のために構成され、前記GMR磁場感知素子は前記第1のエアギャップ距離より大きい第2のエアギャップ距離のために構成される、方法。
【請求項16】
前記コイルは前記ダイ上に集積される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記GMR磁場感知素子は、前記コイルと前記ダイとの間に少なくとも部分的に配置される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記コイルは、前記GMR磁場感知素子と前記ダイとの間に少なくとも部分的に配置される請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記GMR磁場感知素子は、前記コイルに重なる少なくとも一部を有する請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記GMR磁場感知素子は半導体デバイスを含む請求項1に記載のセンサ。
【請求項21】
磁場センサであって、
ダイと、
磁場を生成する、前記ダイに近接したコイルであって、前記ダイと一体化される、コイルと、
前記磁場センサの外部の強磁性ターゲットの動きの結果として前記コイルによって生成される磁場の変化を検出する、前記ダイ上のGMR磁場感知素子であって、前記ダイは前記GMR磁場感知素子からの情報を処理する回路を含む、GMR磁場感知素子と、
前記ターゲットの動きによって引き起こされる、前記GMR磁場感知素子に対する前記コイルによって生成される磁場の整列の変化が、前記GMR磁場感知素子によって検出されるように、前記コイルに結合された定電流源と
を備え、
前記強磁性ターゲットの動きは、前記コイルによって生成される磁場のベクトルを前記GMR磁場感知素子に対して実質的に平行に整列させ、
前記コイルに関連して配置されたホール磁場感知素子を備え、
前記ホール磁場感知素子は第1のエアギャップ距離のために構成され、前記GMR磁場感知素子は前記第1のエアギャップ距離より大きい第2のエアギャップ距離のために構成される、磁場センサ。
【請求項22】
前記GMR磁場感知素子の一部のみが前記コイルと重なる請求項21に記載のセンサ。
【請求項23】
前記GMR磁場感知素子は、前記コイルと前記ダイとの間に少なくとも部分的に配置される請求項21に記載のセンサ。
【請求項24】
前記コイルは、前記GMR磁場感知素子と前記ダイとの間に少なくとも部分的に配置される請求項21に記載のセンサ。
【請求項25】
磁場センサであって、
ダイと、
磁場を生成する、前記ダイに近接したコイルと、
前記磁場センサの外部の強磁性ターゲットの動きの結果として前記コイルによって生成される磁場の変化を検出する、前記ダイ上のGMR磁場感知素子と、
前記ターゲットの動きによって引き起こされる、前記GMR磁場感知素子に対する前記コイルによって生成される磁場の整列の変化が、前記GMR磁場感知素子によって検出されるように、前記コイルに結合された定電流源と
を備え、
第1の位置への前記強磁性ターゲットの動きは、前記コイルによって生成される磁場のベクトルを前記GMR磁場感知素子に対して実質的に平行に整列させ、前記GMR磁場感知素子によって観察される磁場を増加させ、第2の位置への前記強磁性ターゲットのさらなる動きは、前記GMR磁場感知素子によって観察される磁場を変化させ、
前記コイルに関連して配置されたホール磁場感知素子を備え、
前記ホール磁場感知素子は第1のエアギャップ距離のために構成され、前記GMR磁場感知素子は前記第1のエアギャップ距離より大きい第2のエアギャップ距離のために構成される、磁場センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積されたコイルを有する磁場センサのための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、ホール効果素子、磁気抵抗素子、及び磁気トランジスタ(magnetotransistors)を含むがこれらに限定されない様々な種類の磁場感知素子が存在する。また、知られているように、異なる種類のホール効果素子、例えば、平面ホール素子、垂直ホール素子、及び円形垂直ホール(CVH)素子がある。また、知られているように、異なる種類の磁気抵抗素子、例えば、異方性磁気抵抗(AMR)素子、巨大磁気抵抗(GMR)素子、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、インジウムアンチモン(InSb)素子、及び磁気トンネル接合(MTJ)素子が存在する。
【0003】
ホール効果素子は、磁場に比例した出力電圧を生成する。対照的に、磁気抵抗素子は、磁場に比例して抵抗値を変化させる。回路において、電流は、磁気抵抗素子を介して伝達することができ、それによって、磁場に比例する電圧出力信号を生成する。
【0004】
磁場感知素子を用いた磁場センサは、電流搬送導体によって運ばれる電流によって生成される磁場を感知する電流センサ、強磁性物体又は磁性物体の近接性を感知する磁気スイッチ(近接性検出器とも呼ばれる)、通り過ぎる強磁性物品、例えば歯車の歯を感知する回転検出器、及び磁場又は磁場の磁束密度を感知する磁場センサを含む、さまざまなデバイスに使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
集積されたコイルを有する磁場センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な実施例は、鉄歯車の歯などのターゲットの動きに起因して励起コイルによって生成される磁場の変化を検出する、集積(又は、統合、一体化)されたコイル及び感知素子を有する磁場センサのための方法及び装置を提供する。1つの実施例では、感知素子は、同等のホール素子より磁場の変化に対して大きな感度を有する巨大磁気抵抗(GMR)素子を含む。
【0007】
本発明の一態様では、磁場センサは、ダイ、磁場を生成するためのダイに近接したコイル、及び強磁性ターゲットの存在の結果としてコイルによって生成される磁場の変化を検出するダイ上の磁場感知素子を含む。
【0008】
センサは、さらに、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる:コイルはダイの中又はダイの上に集積される、コイルは実質的に平坦である、磁場感知素子の一部のみがコイルと重なる、磁場感知素子はコイルとダイとの間に少なくとも部分的に配置される、コイルは磁場感知素子とダイとの間に少なくとも部分的に配置される、磁場感知素子は巨大磁気抵抗効果素子を含む、磁場感知素子の面積の約半分がコイルと重なる、磁場感知素子の長さの約半分がコイルと重なる、磁場感知素子はホール素子を含み、さらに磁場感知素子は巨大磁気抵抗素子を含む、ダイは磁場センサからの情報を処理する回路を含む、定電流源がコイルに接続される、及び/又は磁場感知素子はコイルに重なる少なくとも一部を有する。
【0009】
本発明の別の態様では、磁場センサは、ダイ、磁場を生成するためのダイに近接した第1の手段、及び強磁性ターゲットの存在の結果として第1の手段によって生成される磁場の変化を検出するための第2の手段を含む。
【0010】
センサはさらに、ダイの中又はダイ上に集積される第1の手段を含んでもよく、第1の手段は巨大磁気抵抗素子を含み、及び/又は第1の手段はさらにホール素子を含む。
【0011】
本発明のさらなる態様において、本方法は、ダイを提供するステップ、磁場を生成するためのダイに近接するコイルを提供するステップ、及び強磁性ターゲットの存在の結果としてコイルによって生成される磁場の変化を検出する磁場感知素子を提供するステップを含む。
【0012】
本方法は、さらに、次の特徴のうちの1つ又は複数を含む:コイルはダイの中又はダイ上に集積される、磁場感知素子はコイルとダイとの間に少なくとも部分的に配置される、コイルは磁場感知素子とダイとの間に少なくとも部分的に配置される、及び/又は磁場感知素子は巨大磁気抵抗素子及びホール素子を含む。
【0013】
前述の本発明の特徴及び本発明自体は、図面についての以下の詳細な説明からより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の例示的な実施例による、集積されたコイルを有する磁場センサの平面図である。
図1A図1のセンサの切り取り側面図である。
図2】本発明の例示的な実施例による、磁場センサの別の実施例の切り取り側面図である。
図3】本発明の例示的な実施例による、磁場センサのさらなる実施例の切り取り側面図である。
図3A図3の磁場センサの平面図である。
図4】本発明の例示的な実施例による、磁場センサの別の実施例の切り取り側面図である。
図5】本発明の例示的な実施例による、磁場センサのさらなる実施例の切り取り側面図である。
図5A】本発明の例示的な実施例による、磁場センサのさらに別の実施例の切り取り側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明について説明する前に、いくつかの情報が提供される。本明細書で使用されるとき、「磁場感知素子」という用語は、磁場を感知することができるさまざまな種類の電子素子を説明するために使用される。磁場感知素子は、ホール効果素子、磁気抵抗素子、又は磁気トランジスタ(magnetotransistors)とすることができるが、これらに限定されない。知られているように、異なる種類のホール効果素子、例えば、平面ホール素子、垂直ホール素子、及び円形垂直ホール(CVH)素子がある。また、知られているように、異なる種類の磁気抵抗素子、例えば、異方性磁気抵抗(AMR)素子、巨大磁気抵抗(GMR)素子、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、インジウムアンチモン(InSb)素子、及び磁気トンネル接合(MTJ)素子が存在する。
【0016】
上述の磁場感知素子のうちのいくつかは、磁場感知素子を支持する基板に平行な最大感度の軸を有する傾向があり、上述した磁場感知素子の他のものは、磁場感知素子を支持する基板に垂直な最大感度の軸を有する傾向がある。特に、金属ベースの種類の磁気抵抗素
子、垂直ホール素子、及びCVH素子は、基板に平行な最大感度の軸を有する傾向があり、幾つかの種類のホール素子及びいくつかの半導体磁気抵抗センサは、平面基板に対して垂直な感度の軸を有する(すなわち、ダイの厚さを通じて感度を有する)傾向がある。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「磁場センサ」という用語は、磁場感知素子を含む回路を記述するために使用される。磁場センサは、電流搬送導体によって運ばれる電流によって生成される磁場を感知する電流センサ、強磁性物体又は磁性物体の近接性を感知する磁気スイッチ(近接性検出器とも呼ばれる)、通過する強磁性物品、例えば、歯車の歯を感知する回転検出器、及び磁場の磁場密度を感知する磁場センサ(例えば、線形磁場センサ)を含むがこれらに限定されない、さまざまな用途で使用される。本明細書で使用されるとき、「磁場信号」という用語は、磁場感知素子によって経験される磁場から生じる任意の回路信号を記述するために使用される。
【0018】
一般に、本発明の例示的な実施例は、センサ回路及びGMR素子などの磁場感知素子を含むダイと集積(又は、統合、一体化)されたコイルを有する磁場センサを提供する。磁気抵抗センサの実施例のような他の実施例では、他の回路なしに絶縁体とすることができる基板を利用することができる。コイル及びセンサ回路は、例えば、移動する鉄ターゲットから生じる磁場の変化を検出するように協働する。コイルが電流によって励起されると、磁場が生成される。通過する強磁性物体、軟強磁性体又は硬強磁性体、によって引き起こされる磁場に対する外乱は、感知用途のために検出してもよい。例示的な用途は、速度、方向の感知、及び、座席位置又はバックルの存在の位置のセンサ用途を含むがこれらに限定されない位置感知を含む。
【0019】
図1及び1Aは、集積されたコイル102とセンサ回路を含むダイ104とを有する例示的な磁場センサ100を示す。GMR素子などのセンサ素子106は、コイル102に近接して配置される。鉄歯車の歯などの動くターゲット10は、GMR素子106によって検出することができる、コイル102によって生成される磁場の変化を引き起こす。GMR素子106からの出力は、例えば、センサ100のために出力信号を提供するために、ダイ104のデバイス層108中のセンサ回路によって処理されてもよい。より具体的には、GMR106の出力は、鉄ターゲット10の相対的な位置又は外部磁場を決定するのに用いることができる。GMR出力はまた、鉄ターゲット10又は外部磁場がコイルを通過して動いているか否か、並びに、鉄ターゲット又は外部磁場の速度及び方向を決定するために使用することができる。センサ素子からの情報を処理するデバイス層内の回路は当技術分野で周知である。
【0020】
図1及び1Aの図示される実施例では、感知素子106の位置はコイル102の一方の「側(side)」と位置合わせされる。すなわち、感知素子は、長方形のダイの一方の側から反対の側に関して同じ方向に電流が流れているコイル102の一部と位置合わせされる。図示される実施例では、感知素子106の上のコイル中の電流はページから流れ出て(図1A)、感知素子の上ではないコイル中の電流はページ内に流入する。
【0021】
図2は、ダイ104′とGMR素子106′との間に配置されたコイル102′を有する例示的な磁場センサ100′を示す。この構成により、コイルは、標準的なICプロセスで製造することができ、別のプロセスでGMRと集積することができる。例示的な実施例では、1つ又は複数のCMP(化学機械研磨)処理ステップがGMR堆積の前に起こり得る。
【0022】
1つの実施例では、GMRセンサ素子106′が使用される。一般に、GMR素子はホール素子よりも磁場の変化に対してより敏感であることが理解される。GMR素子はホール素子よりもはるかに敏感であるため、ホール実装と比較した場合、所与の用途に必要な
コイルの大きさ及び電流を低減することができる。さまざまな感知素子を特定の用途のニーズを満たすために使用できることが理解される。例示的な感知素子は、ホール素子、AMR、GMR、及びMTJ素子を含む。
【0023】
図3及び図3Aは、コイル204とダイ206との間に感知素子202を有する磁場センサ200の例示的な実施例を示し、磁場感知素子202の約半分がコイル202と重なり、約半分は重ならない。材料及びコイルをショートさせないようなセンサ及び基板材料の選択によって要求されるように、コイルと下部のセンサ材料及び/又は基板との間に絶縁層(理解を容易にするために図示せず)を配置することができることが理解される。歯車の歯などの鉄ターゲット10が接近及び/又は後退、回転などすると、磁場のベクトルは感知素子202に対しておおよそ垂直に整列し、したがって、観察される磁場が増加する。これは、定電流源によってコイル中で生成される場合に、絶対磁場値がシステムのノイズを超えて大きく変化しない場合であっても当てはまってもよい。この構成により、コイル204の磁場は、感知素子/磁場変換器202の感度の軸におおよそ整列する。すなわち、磁束ベクトル及び変換器素子の感度が存在する。感度の軸に対して垂直な場合、理論的には、磁場は非常に大きなものであっても検出することができない。したがって、適切な位置決めをすることによって、磁場ベクトルが移動しており磁場の絶対値が比較的一定であっても感度が増減し得るという事実を用いて、測定された磁場をトランスデューサが利用し、誇張することが可能になる。
【0024】
図4は、感知素子302、コイル304及びダイ306を有する磁場センサ300の別の実施例を示し、感知素子302は、一般に、コイル304の中心に位置する。磁場の変化は、ターゲットの歯10がコイルに関して接近及び後退するときのコイル304に近い磁路のリラクタンスの変化を反映する。
【0025】
図5は、第1及び第2の感知素子402、403及び近接するコイル404及びダイ406を有する磁場センサ400の例示的な実施例を示す。1つの実施例において、第1の感知素子はホール素子403を含み、第2の感知素子はGMR素子402を含む。ホール素子402はクローズエアギャップ測定のために最適化され、GMR素子403はファーエアギャップ(far air-gap)測定のために最適化される。この構成により、ホール素子
402及びGMR素子403からの出力は、一緒に又は独立して処理することができる。
【0026】
図5Aは、第1及び第2の感知素子402、403が、コイルに流れる電流の経路に沿ってコイルと「直列に(in series)」位置合わせして配置される例示的な実施例を示す
【0027】
1つの実施例では、コイルは、所望の磁場を達成するために電流によって選択的に励起することができる。例えば、コイルは、ターゲットがセンサの近傍であり得る時間の間、励起されてもよい。
【0028】
コイルなどのコンポーネントの特定のサイズや形状は、特定の用途のニーズに合わせて変わり得ることが理解される。例示的な実施例では、コイルは、10μmのスペース及びトレースから、50μmから約200μmのID(内径)及び(1ターンについて)約60μmから約500μmのOD(外形)に及んでもよい。用途に応じて、例えば、750μmまでのより大きなODが可能である。コイルは、概して四角形、円形、卵形であってもよいことがさらに理解される。
【0029】
一般に、コイルから感知素子までの間隔は、部分的に電圧絶縁要件の結果として変化し得る。例示的な間隔は、約0.1μmから約10.0μmに及び、より典型的には、0.3μmと3.0μmの間である。コイル電流は、例えば、約1mAから約100mAに及
んでもよいが、より典型的には、約5mAから約50mAであってもよい。例えば、コイル電流が変調される場合、コイル電流のより大きなバースト又はパルスは、感知されるターゲット/鉄の物体がファーエアギャップ状態にあるか否か、例えば、3mmより大きいか否かを判断するために用いることができる。磁場は、典型的には、約0.5mmから約3mmのエアギャップで感知される。
【0030】
ターゲットの位置に基づいてコイル中の電流を調整することによって、デバイスが使用する電力はより少なくなる。より少ない電力はより近いエアギャップに使用され、より多くの電力はより遠いエアギャップに使用される。コイル電流は、時間とともにより少ない電力を使用するようにするために、磁場センサから受け取った信号に基づいてパルス化又は調整することができる。
【0031】
例示的な実施例において、コイルは、当業者にとって周知の従来の堆積及び/又はエッチングプロセスを用いて形成される。平面図で見られるように、コイルは、正方形、長方形、円形、卵形などの任意の実用的な形状を有することができることが理解される。また、システム内の他の電気的な層に対するコイルのショートを防止するために、コイルとセンサ及び/又は基板との間に絶縁層を配置してもよいことが理解される。
【0032】
図面に示すコイルは、一般的に、平面スパイラルタイプの形状及び単一の層で示される。複数の金属層のコイル、及び他の形状の金属、例えばソレノイドタイプのコイルを使用できることが理解される。さらに、代替的な実施例は、磁束集中器(flux concentrator
)を含むことができ、これは、コイルが生成する磁束を改善するために軟磁性材料を含むことができることが理解される。
【0033】
集積コイルを有する磁場センサの例示的な実施例は、多種多様な用途に適用可能であることが理解される。例えば、1つの実施例では、集積されたコイルを備えた磁場センサは、シートベルト検出のために最適化される。別の実施例では、磁場センサは、約0.5mmから約3mmのオーダーのエアギャップでの座席位置検出のために最適化される。
【0034】
本特許の主題であるさまざまな概念、構造及び技術を説明するのに役立つ好ましい実施例について説明したが、これらの概念、構造、及び技術を含む他の実施例を用いることができることは当業者にとって明らかであろう。したがって、本特許の範囲は説明した実施例に限定されるべきものではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲の趣旨及び範囲によってのみ限定されるべきであると考えられる。本明細書で引用される全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図1A
図2
図3
図3A
図4
図5
図5A