特許第6522743号(P6522743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522743
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】車輪付き運搬装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/08 20060101AFI20190520BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20190520BHJP
   B62B 3/04 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   A61G7/08
   B62B3/00 B
   B62B3/00 D
   B62B3/04 B
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-514813(P2017-514813)
(86)(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公表番号】特表2017-535307(P2017-535307A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】EP2014069918
(87)【国際公開番号】WO2016041599
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2017年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】516127293
【氏名又は名称】アイディーイーアソシエーツ・(アイオーエム)・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】フィッチ、プレベン・ボ
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2003/024378(WO,A1)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02408087(CA,A1)
【文献】 国際公開第2013/054660(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/047351(WO,A1)
【文献】 米国特許第05580207(US,A)
【文献】 国際公開第2003/014001(WO,A1)
【文献】 特開2014−008135(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02108564(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G7/08
B62B3/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部分(2)を備えた車輪付き運搬装置(1)であって、
前記ベース部分(2)は、前端(3)、後端(4)、上部(5)、及び下部を備え、
前記下部は、多くの車輪(8,12,22)を備え、前記上部(5)は、人が立つのに適した少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面(6)を備え、
前記車輪付き運搬装置(1)は、ベッド(15)のフレーム部分(14)を係合するように適合された少なくとも1つの可動第1係合部材(13)を備え、
前記可動第1係合部材(1)は、静止係合部材ポジションと作動係合部材ポジションとの間で移動可能であり、
前記可動第1係合部材(1)は、前記作動係合部材ポジションにおいて、前記実質的に水平及び平面の表面(6)の上に伸長し、
前記上部(5)は、前記少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面(6)の上に位置付けられ、前記車輪付き運搬装置(1)の直立部分(11)に設けられた、さらなる係合部材(19)を備え、
前記静止係合部材ポジションは、前記少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面(6)に、又は、前記少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面(6)より下に位置付けられている、車輪付き運搬装置(1)。
【請求項2】
前記可動第1係合部材(13)は、フック部材のペアを備える、請求項1に記載の車輪付き運搬装置(1)。
【請求項3】
前記多くの車輪(8,12,22)は、一致する第1の回転軸に配置された駆動車輪の第1のペア(8)を備え、
前記第1のペア中の各車輪は、個々に制御可能な電気モータによって駆動される、請求項1に記載の車輪付き運搬装置(1)。
【請求項4】
前記多くの車輪(8,12,22)は、前記一致する第1の回転軸に直交する、一致する第2の回転軸に配置された駆動車輪の第2のペア(22)を備え、
前記第2のペア中の各車輪は、個々に制御可能な電気モータによって駆動され、
前記駆動車輪の第2のペア(22)は、格納した静止ポジションと作動ポジションとの間で移動可能である、請求項3に記載の車輪付き運搬装置(1)。
【請求項5】
前記車輪付き運搬装置(1)は、通常、長手方向の垂直平面について対称であり、
前記一致する第2の回転軸は、前記長手方向の垂直平面中に構成される、請求項に記載の車輪付き運搬装置(1)。
【請求項6】
前記さらなる係合部材(19)は、ベッド(15)の患者サポートベース(43)を係合するように適合されている、請求項1に記載の車輪付き運搬装置(1)。
【請求項7】
前記さらなる係合部材(19)は、下向きに開く固定フック部材である、請求項1に記載の車輪付き運搬装置(1)。
【請求項8】
トレーラの牽引棒と係合し、垂直長手方向軸を有する可動の取り付けピン(33)をさらに備え、
前記可動の取り付けピン(33)は、前記垂直長手方向軸に沿って移動可能である、請求項1に記載の車輪付き運搬装置(1)。
【請求項9】
前記車輪付き運搬装置(1)は、内蔵の制御コンピュータと、センサ(16,46,49,50,53)と、モータの制御手段と、通信手段とを備える、請求項1に記載の車輪付き運搬装置(1)。
【請求項10】
前記内蔵の制御コンピュータは、前記センサ(16,46,49,50,53)からの入力に基づく、前記運搬装置の自律制御に適合されたソフトウェアを備える、請求項9に記載の車輪付き運搬装置(1)。
【請求項11】
車輪付き運搬装置の手動制御を可能にするように適合された手動入力装置(9)をさらに備える、請求項1に記載の車輪付き運搬装置(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの可動第1係合部材(13)は、ベッド(15)のフレーム部分(14)中の少なくとも1つの水平ビーム(4)を係合するように適合されている、請求項1に記載の車輪付き運搬装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪運搬装置、好ましくは、病院用の自律車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の病院では、高層ビルよりもむしろ、伸長する広い面積を有する低層ビルに向かう傾向がある。このような病院は、治療、検査、診察、宿泊施設、キッチン、他の支援施設等に対して、より少ない又は単一の階層のみを有することが理想的である。これは、階層間の差を克服するための、エレベータ、ランプ、及び階段の使用する必要性を低減させる。しかしながら、これは、より長い距離の移動を犠牲にすることになる。必ずしも患者によるものではないが、傾向が単一のベッドルームに向かうと、治療、検査、診察及びこれらに類するものの一部分を分散化できるようにし、すなわち、その目的に割り振られた中央の部屋よりむしろ、患者の部屋中で行うようにすることができる。
【0003】
病院ベッドのような、高い慣性を有する重い物を取り扱うときに、このような長い距離は、増加した移動又は運搬時間を伴い、人員への人間工学的及び身体的な負担を増加させる。したがって、これらのより長い距離を移動する際にサポートする、自動推進、自動及び自律運搬装置の必要性がある。この点につき、多数の解決策が提案されてきた。
【0004】
US−A−5580207は、その端から病院ベッドの一端の下に挿入される電気推進運搬装置を提案している。装置は、地面から、ベッドの一端を、特に、その端における車輪を持ち上げることができる、持ち上げ手段を有している。これは、特にベッド上のすべての4つの車輪が旋回車輪である場合に、たとえ、旋回車輪のいくつかがそれらの垂直軸に対してロックされていたとしても、別の方法では難しいかもしれない、運搬の間のベッドのより良い制御を提供する。この運搬装置は、ベッドにのみ適している。さらに、実質的にベッドが患者によって使用されている場合に、ベッドの約半分の重量を支えるために、かなり丈夫でなければならないという欠点を有している。
【0005】
WO−A−03/014001も、電気運搬装置を提案している。この装置も、ベッドの端部を地面から持ち上げるために、その一端から病院のベッドの下に挿入されるように適合されている。これに関して、この装置は、装置の上面上でさまざまな高さに持ち上げることができる持ち上げ手段を有する。持ち上げ手段は、ベッドの横材を係合するように適合されている。この装置は、前方に2つの独立して電力供給された駆動車輪と、後方に2つの旋回車輪とを有する。この装置も、ベッドの重量を持ち上げることを意図しており、したがって、丈夫である必要がある。さらに、自動でも自律的でもない。
【0006】
US−B−8165718は、自律的な運搬装置を提案する。この運搬装置も、その一端から病院ベッドの下に挿入されるように適合されている。この装置は、ベッドの車輪を係合する係合手段を有し、したがって、ベッドを運搬するだけでなく、車椅子のような他の車輪付き装置の運搬も可能にする。この装置は、自動推進であり自律的であるが、依然としてベッドの重量を支える。
【0007】
郵便物、リネン、血液サンプル、食品又は他の品目のような、病院内のベッド以外の品目の運搬に関して、自律運搬装置は、特に、EP−A−3562及びWO2004/020267から知られている。しかしながら、これらの運搬装置は、ベッドの運搬には不適切である。
【発明の概要】
【0008】
この先行技術の背景に関して、病院で、物を、特にベッドを運搬するための、向上した、より汎用性のある運搬装置を提供することが目的である。本発明にしたがうと、この目的は、ベースを備えた車輪付き運搬装置によって達成され、ベースは、前端、後端、上部、及び、下部を備えており、前記下部は、多くの車輪を備え、前記上部は、少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面を備え、前記車輪付き運搬装置は、ベッドのフレーム部分を係合するように適合された少なくとも1つの可動第1係合部材を備え、前記可動第1係合部材は、静止係合部材ポジションと作動係合部材ポジションとの間で移動可能であり、前記可動第1係合部材は、前記作動係合部材ポジションにおいて、前記実質的に水平及び平面の表面の上に伸長し、前記上部は、前記少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面の上に位置付けられているさらなる係合部材を備えている。
【0009】
これらの特徴は、前記多くの車輪のうちのいくつかのみが地面と接触したままである高さに、車輪付き運搬装置を地面から上方に持ち上げる方法で、運搬装置がベッドと係合することを可能にする。これは、地面と接触する車輪上の、及び、一般に車輪付き運搬装置上の荷重を、ベッドを駆動するのに必要な摩擦を確保するのに十分であるが、車輪を含む運搬装置を過度に圧力を加えることはないレベルに低減することができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態にしたがうと、静止係合部材ポジションは、少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面に、又は、少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面より下に位置付けられている。係合部材を、少なくとも1つの実質的に水平な表面の、又は、少なくとも1つの実質的に水平な表面より下の静止位置に配置すること、すなわち、格納することは、実質的に水平な表面に障害物がないようにし、したがって、ベッド以外の他の対象、例えば、人員の運搬装置として便利に機能する。係合部材を作動ポジションに上昇させることは、一方で、運搬装置によって運搬されるパレットのような荷重を持ち上げるように機能してもよい。
【0011】
さらに好ましい実施形態にしたがうと、前記可動第1係合部材は、フック部材のペアを備えている。フックのペア使用することは、ベッドのフレーム部分上の安定した把持を可能にする。
【0012】
別の好ましい実施形態にしたがうと、前記多くの車輪は、一致する第1の回転軸により構成された駆動車輪の第1のペアを備え、前記ペア中の各車輪は、個々に制御可能な電気モータによって駆動される。これは、運搬装置を高い操作性にするとともに、車輪付き運搬装置の単純な操縦を可能にし、特に非常に狭い旋回圏における旋回を可能にする。
【0013】
さらに別の好ましい実施形態にしたがうと、前記多くの車輪は、前記一致する第1の回転軸に直交する、一致する第2の回転軸により構成された駆動車輪の第2のペアを備え、前記ペア中の各車輪は、個々に制御可能な電気モータによって駆動され、前記車輪の第2のペアは、格納した静止ポジションと作動ポジションとの間で移動可能である。駆動車輪の第2のペアを有することは、運搬装置は、その端部よりもむしろ側方からベッドの下に入ることを可能にする。これにより、駆動車輪の第1のペアが地面から持ち上げられたときに、車輪の第2のセットは、ベッドを駆動するために下げられて使用されてもよい。これは、下方の力が、牽引のために十分な摩擦を確立するためだけに必要であり、ベッドの重量をサポートする必要はないことから、駆動車輪の第2のペアへの過度の荷重なく行うことができる。
【0014】
別の好ましい実施形態にしたがうと、車輪付き運搬装置は、通常、長手方向の垂直平面について対称であり、一致する第2の回転軸は、前記長手方向の垂直平面中に構成される。これは、車輪の第2のペアを作動させることによって、側方に移動するだけでなく、スポット上で旋回できるように、すなわち、ほとんどそれ自体の横寸法を超えない、旋回圏を有するように、車輪付き運搬装置が操作性のさらなる自由度を得るという利点を有する。したがって、ほとんどいかなる角にも入ることができ、任意の関心対象に関して車輪付き運搬装置自体を容易に位置付けられることができる。さらに、車輪付き運搬装置自体を、したがって、スポット上のベッドを旋回させることができ、車輪付き運搬装置を操作するために、運搬人は患者がいる重いベッドを旋回させるために力を適用する必要がないので、運搬人への物理的ストレスを実質的に低減させることができる。
【0015】
さらに好ましい実施形態にしたがうと、前記さらなる係合部材は、ベッドの患者サポートベースを係合するように適合されている。これは、ベッドの患者サポートベースに対する内蔵エレベーションメカニズムを、地面から運搬装置を持ち上げるために使用できるようにする。これは、駆動車輪の第2のペアの車輪のそれぞれに同じ下向きの力を確保するように、車輪付き運搬装置が保持されたレベルであってもよいという利点を有する。車輪のそれぞれに同じ下向きの力を有することは、それらが同じ程度の摩耗を受けることを確実にする。牽引のために十分な摩擦を確保にするために、好ましいものとして、車輪が、付勢のみを用いるばね仕掛けである場合、車輪及び床面上の摩耗がさらに低減されるだろう。
【0016】
さらに別の好ましい実施形態にしたがうと、さらなる係合部材は、下向きに開く固定フック部材である。これは、ベッド全体に関して、運搬装置を効率よく安定させ、固定するように、ベッドの患者サポートベースと運搬装置との間の容易な係合を可能にする。
【0017】
別の好ましい実施形態にしたがうと、車輪付き運搬装置は、垂直長手方向軸とともに可動ピンをさらに備え、ピンは、前記垂直長手方向軸に沿って移動可能である。これは、ピンは、トレーラの牽引棒のためのロックピンとしてとともに、持ち上げられたパレットのための追加の持ち上げ及び固定手段として、2つの機能を担当する。
【0018】
さらに好ましい実施形態にしたがうと、車輪付き運搬装置は、内蔵の制御コンピュータと、センサと、モータの制御手段と、通信手段とを備えている。これは、特に、ベッドへの取り付けを交渉することによって、車輪付き運搬が自律的に作用し、相互作用することを可能にする。したがって、さらに好ましい実施形態にしたがうと、コンピュータは、前記センサからの入力に基づく、運搬装置の、ナビゲーションを含む、自律制御に適合されたソフトウェアを備えている。
【0019】
さらに別の好ましい実施形態にしたがうと、車輪付き運搬装置は、車輪付き運搬装置の手動制御を可能にするように適合された手動入力装置を備えている。これは、例えば、ベッド中の患者を運搬するときに、車輪付き運搬装置の、運搬人及びこれに類するもののような、人員による動作を可能にする。
【0020】
別の実施形態にしたがうと、少なくとも1つの可動第1係合部材は、ベッドのフレーム部分中の少なくとも1つの水平ビームを係合するように適合されている。これは、第2係合部材とともに、車輪付き運搬装置をベッドに取り外し可能に取り付けることを可能にする。
非限定的な例示的実施形態に基づいて、及び、概略図を参照して、本発明をこれからより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明にしたがった、車輪付き運搬装置の斜視正面図を示している。
図2図2は、図1の車輪付き運搬装置の後方斜視図を示している。
図3図3は、図1の車輪付き運搬装置の側面図を示している。
図4図4は、ベッドの中央長手方向ビームと係合する図1の車輪付き運搬装置の側面図である。
図5図5は、ベッドの中央長手方向ビームと係合する図1の車輪付き運搬装置の底面図である。
図6図6は、空のベッドを係合している間の、図1の車輪付き運搬装置の斜視図である。
図7図7は、空のベッドを係合する図1の車輪付き運搬装置の斜視図である。
図8図8は、説明目的のためにパーツが取り外されているベッドを係合している間の、図1の運搬装置の異なる斜視図を示している。
図9図9は、ベッドと地面から持ち上げられた車輪のいくつかとを係合する運搬装置の側面図である。
図10図10は、図7の斜視図に対応するが、患者のいるベッドの運搬に手動で適合されている運搬デバイスの斜視図である。
図11図11は、運搬デバイスによってどのように荷が持ち上げられ運搬されるかを示している。
図12図12は、運搬デバイスによってどのように荷が持ち上げられ運搬されるかを示している。
図13図13は、トレーラの牽引棒を運搬デバイスにどのように取り付けることができるかを示している。
図14図14は、トレーラの牽引棒を運搬デバイスにどのように取り付けることができるかを示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、図1では、本発明にしたがう車輪付き運搬装置1の実施形態の斜視正面図が示されている。車輪付き運搬装置1は、ベース部分2を備えている。ベース部分2は、前端3と、後端4と、下部及び上部5とを備えている。ベース部分にセンサ49、53が、少なくとも前後に設けられている。上部5は、実質的に水平及び平面の表面6を有している。実質的に水平及び平面の表面は、人が立つのに適したエリアを有している。実質的に水平及び平面の表面6は、1つより多くの表面に、すなわち、そこに立っている人の各足に対して1つのようなサブ表面に、分割されてもよい。用語、上、下、前、後等に関して、これらは、図3又は4中で最も見られるような地面7として見なされる、水平平面上で静止している車輪付き運搬装置1に対して、通常の意味で理解されるべきである。
【0023】
車輪付き運搬装置は、駆動車輪の第1のペア8を備えている。好ましい実施形態では、駆動車輪8は、ベース部分2の前部3に位置付けられ、好ましくはその角に位置付けられている。駆動車輪8は、車輪付き運搬装置の操縦を可能にするように、共通の固定軸上、すなわち、一致する軸に整列され、車載コンピュータによって、いずれかの方向に個々に制御可能である。車載コンピュータは、車輪付き運搬装置1内の適切に保護された場所に、好ましくは、ベース部分2内に位置付けられている。車輪付き運搬装置1は、好ましくは、バッテリーをエネルギー源とする。好ましくは、2つのバッテリーがあり、少なくとも1つのバッテリー41がベース部分2内の適切な場所に位置付けられている。バッテリーは、通信手段、センサ、26、49、50、車載コンピュータ等とともに、車輪付き運搬装置1の可動部分に対する電気モータを供給する。車載コンピュータは、駆動車輪8の、したがって、運搬装置1の、自律的な操縦を可能にするソフトウェアを実行する。しかしながら、駆動車輪8は、オペレータ制御パネル9又はこれに類するものからの手動入力を介したオペレータによって、好ましくは、手動入力をコンピュータに提供することによって、制御されてもよい。代替的に、コンピュータは、手動制御が望まれるときに、すなわち、コンピュータを無効にするときに、単にバイパスされることが可能である。好ましい実施形態にしたがうと、入力パネル9は、ベース部分2の上部5に取り付けられた、好ましくは上部5の高い部分に取り付けられた、取外し可能なハンドル10の中央に位置付けられ、この高い部分は、ハンドル10が形成されている管の管セクション28の端を収容するために適切なソケットがある直立部分11を有する。ソケット、したがって、ハンドル10が形成されている管の端部は、直立部分11に対して角度を有するように構成されることが好ましい。入力装置が中央の位置にあることで、ハンドルをしっかりと保持しながら、オペレータの親指を使用して、容易な制御を可能にする。入力パネル9から車載コンピュータへの通信は、ワイヤレスであることが好ましい。ワイヤレス通信は、自律的な運搬装置が他の装置との、特に、以下でこれから説明するようなベッドとの通信を必要とするような、いかなる方法でも運搬装置で実現される。代替的に、補足的なコネクタを直立部分のソケットに、及び、ハンドル10が形成される管の端に設けることができるが、後に説明する理由により、これはあまり好ましくない。
【0024】
さらなる車輪12のペアが、ベース部分2の後部に位置付けられている。これらも、車輪付き運搬装置1に対して良好な安定性を提供するように、角に位置付けられていることが好ましい。駆動車輪8とは異なり、車輪12は旋回車輪であり、すなわち、固定された共通軸を有さない車輪である。駆動車輪の第1のペア8中の駆動車輪8が、そのそれぞれの電気モータによって、反対の方向に回転するときに、これは、車輪付き運搬装置1がその場で回転することができるようにし、これにより、車輪付き運搬装置1は、非常に操作しやすくなる。
【0025】
実質的に水平及び平面の表面6には、凹部44のペアが設けられている。これらの凹部44には、2つのフック13の形態の係合部材が収容されている。使用しないときには、特に、これらを損傷から保護し、実質的に水平及び平面の表面6上に立っている人に対して障害物を提供しないように、フック13は、実質的に水平及び平面の表面6に、又は、その下における静止ポジションに格納されている。フック13は、図1、2、3、6、11、13、又は14中で示す静止係合部材ポジションと、フック13が前記実質的に水平及び平面の表面6より上に伸長する、図4、7、8、9、又は12中で示すような作動係合部材間ポジションとの間で移動可能である。
【0026】
フック13は二つの目的を果たす。フック13の主な目的は、図4図6から図10中に見られるように、ベッド15の中央ビーム14を係合することである。このような中央ビーム14を有するベッドは、特に、WO−A−2014/057313から知られており、出願PCT/IB2013/002454の主題でもあり、両方が参照によってここに組み込まれている。これらの参考文献に記載されたベッドも、コンピュータ制御手段と、患者サポートベース等を持ち上げ及び下げるための電気モータとを備えている。これらの電気モータは、患者サポートベース43を持ち上げ、及び下げるために、ベッドの伸縮自在持ち上げ柱42を動作する。中央ビーム14の適切な係合及び固定のために、フック13は、協同して、運搬装置のベース部分2の上部5に設けられ、好ましくは、ベッド15のビームの断面のプロフィールに適合される、ノッチ18及び突起17をクランプする。フックの二次目的は、図11及び12中で示すような、運搬装置によって運搬される、ボックスパレット、簡易パレット、キャビネット、コンテナ等のような荷38を持ち上げるための、持ち上げメカニズムの役割を果たすことである。
【0027】
フック13に加えて、車輪付き運搬装置1は、さらなる係合部材19を有している。さらなる係合部材19は、前記少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面6の上に、より具体的には、直立部分11の後側に位置付けられている。好ましい実施形態において、第1係合部材の可動フック13とは反対に、さらなる係合部材19は固定部材である。さらなる係合部材19は、少なくとも1つの下方に開いたフックの形状であることが好ましい。代替実施形態では、フックに対応する2つの曲がった末端部を接続するまっすぐな水平な棒又は管を有するという意味で、フックは長手方向である。フックを相互接続することは、車輪付き運搬装置1の横方向の機械的安定性をもたらす。
【0028】
車輪付き運搬装置1は、ベッド15を車輪付き運搬装置1自体の横方向に移動させるように適合されていることから、横の安定性は、重要である。このために、車輪付き運搬装置1は、一致する第2の回転軸により構成されている駆動車輪の第2のペア22を有している。駆動車輪の第1のペア8と同様に、駆動車輪の第2のペア22は個々に制御可能であり、制御パネル9からの手動制御を含む、駆動車輪の第1のペア8の制御について言及したすべては、駆動車輪の第2のペア22に等しく適用可能である。安定性をさらに確保するために、ベッド15のビーム14は、図10中に図示するようにベッドを係合するときに、車輪付き運搬装置を横方向に保持する、留め具として機能する突起48を有していてもよい。
【0029】
駆動車輪の第2のペア22の一致する軸は、同様の駆動車輪の第1のペア8の一致する回転軸に直交し、一般的に、車輪付き運搬装置1の中央垂直長手方向対称平面沿って構成されている。駆動車輪の第2のペア22の車輪22は、格納された静止ポジションと作動ポジションとの間で移動可能である。静止ポジションでは、駆動車輪の第2のペア22が地面7と接触しないように、駆動車輪の第2のペア22は、ベース部分2の下部に、又は、少なくともベース部分2の下部に向かって格納される。作動ポジションでは、図4中で最もよく見えるように、地面7と接触するように、駆動車輪の第2のペア22の車輪22は、駆動車輪の第1のペア8よりもベース部分5の下部から遠くに突き出ている。駆動車輪の第2のペアのこの構成は、車輪付き運搬装置がその場で、すなわち、それ自体の水平寸法をほぼ超えない旋回圏で、回転できるようにする。
【0030】
ベッド15の運搬のために、車輪付き運搬装置1は、図6から図10中に図示するように、ベッド15を係合する。図6から開始すると、図6は、どのように車輪付き運搬装置1がベッド15の下に車輪付き運搬装置自体を動かすかを示している。見られるように、これは、その端からよりもむしろ、ベッド15の側から行う。これは、内蔵センサ26、49とベッド15とのワイヤレス通信とに基づいて、自動的に生じてもよい。ベッド15に近づくと、運搬装置1はベッド15と通信し、多くの伸縮自在持ち上げ柱42を動作する内蔵電気モータによって、ベッド15は患者サポートベース43を、すなわち、マットレスが載っている上部を下げる。運搬装置1また、それらの水平及び垂直軸の両方についての回転に対してその旋回車輪52をベッド15はロックすべきであると、ベッド15に通信する。その後、車輪付き運搬装置1は、ベッド15の下の中央に運搬装置1自体を置き、患者サポートベース43の刻み目突起23のような、ベッド15の適切な部分に位置付けられている係合部材19は、付加的な簡易ベッド24又は他の部分を適所に保持するようにも機能し得る。ベッド15の横方向で中央が主であると理解されるべきであり、明らかに、車輪付き運搬装置は、ベッド15の長手方向のベッド15の下の中央に車輪付き運搬装置自体を置くことができるが、これは、このようにそれほど重要ではない。しかしながら、ベッド15を係合するときに、ビーム14に、車輪付き運搬装置1を横方向に固定する留め具として機能する、突起48のペアが設けられていることが好ましい。ベッド15に近づくときに、車輪付き運搬装置1は、ベッド15のそばで停止し、駆動車輪の第2のペア22を下げてもよい。車輪付き運搬装置1は、突起48間の場所に車輪付き運搬装置1自体を整列させるために、駆動車輪の第2のペア22によって横に移動してもよい。駆動車輪の第2のペアが作動し、下げられたポジションにあるときに、車輪付き運搬装置は、車輪付き運搬装置の下部の縁の安定車輪47のペアによってレベルを保持する。
【0031】
車輪付き運搬装置1が、ベッド15のビーム14と、すなわち、突起48と、適切に整列するときに、駆動車輪の第2のペア22を再度上げ、駆動車輪の第1のペア8がベッド15の下の中央位置で駆動できるようにしてもよい。適切な整列は、駆動車輪の第2のペア22と駆動車輪の第1のペア8の両方のいくつかの係合を必要とする状況下であるかもしれないということは、言うまでもない。
【0032】
このポジションで、可動フック13は、ビーム14を係合してもよく、車輪付き運搬装置は、ベッド15の車輪52をアンロックするために、ベッドと通信してもよい。アンロックされた、ベッド15の車輪52により、車輪付き運搬装置1は、ベッド15を、横に引っ張る、例えば、ベッド15の完全な操作性を妨げる、壁又は他の障害物から離す。
【0033】
より長い運搬が進行中であることから、より強固な係合が必要な場合に、車輪付き運搬装置1は、ベッド15と通信し、ベッド15の伸縮自在持ち上げ柱42によって、患者サポートベース43を上げさせ、それにより、係合部材19は、刻み目突起23を係合し、車輪付き運搬装置1は、地面7から、水平ポジションで中央ビーム14に向けて持ち上げられる。ベッド15の患者サポートベース43側の車輪付き運搬装置1とビーム14における患者サポートベース43の中央の下との間に固い係合があり、作動フック13は、それを把持又はクランプすることにより、例えば、それを押圧して、ノッチ18及び突起17と係合させることにより、中央ビーム14を固く係合する。このポジションでは、駆動車輪の第1のペア8と旋回車輪12が地面7から離れているのに対して、駆動車輪の第2のペア22は、地面7に接している。これは、運搬されるベッド15と車輪付き運搬装置1との間にあそびのない、強固で安定した係合を確実にし、運搬の間、ベッド15の動きの正確な制御を可能にする。
【0034】
駆動車輪22は、ベッド15の重さをサポートする必要はないことから、地面7に対して非常に固く付勢される必要はない。車輪付き運搬装置1がベッド15に動くときに、適切で確実な牽引のために、付勢力は、駆動車輪22と地面7との間の必要な摩擦を確保するためにただ十分大きい必要がある。したがって、駆動車輪22は、ばね仕掛けであり、地面に対する駆動車輪22の両方の適切で均一な付勢を確実にし、経時的な駆動車輪22の均一な摩耗を確実にする。安定車輪は任意の牽引を提供する必要がないことから、安定車輪47のばね付勢力は、駆動車輪22の第2のペアのばね付勢よりも低いが、無荷重状態で横に操作されるときに、車輪付き運搬装置1を横方向に水平に保つように機能するにすぎない。
【0035】
当然ながら、係合できなければならないベッド15の実際の構成に依存して、水平バー又は管20及び端21で形成された細長いフックとは異なる多くの他の方法で、係合部材19は構成されてもよいことに着目すべきである。重要な部分は、係合が固く、ベッド15の患者サポートベース43が車輪付き運搬装置1の駆動車輪の第1のペア8を持ち上げて、地面7から離す、すなわち、伸縮自在持ち上げ柱42のような、ベッド15の垂直動作持ち上げメカニズムを使用して垂直にすることができるようにしなければならないことである。同様に、刻み目突起23は、係合手段19が係合する、ベッド15の一部分がどのように構成されるかの単なる例である。
【0036】
ベッド15を係合させると、ベッド15の周囲のエリアに良好なカバレッジを有するために、センサホルダは、センサホルダ25上に据え付けられているセンサ26がベッド15の上の中央に位置付けられている位置にまで伸長される。センサ26は、好ましくは、車載コンピュータ上で適切にプログラムされたソフトウェアとともに、車輪付き運搬装置1の周囲の360度を潜在的にカバーする全方向性センサであり、無関係の方向からの入力を抑えることができる。しかしながら、図示した実施形態において、360度未満をカバーする広角度センサが使用される。したがって、さまざまな図面の比較によりわかるように、運搬方向の視野を有するように、センサ26は、センサホルダ25に対して回転できる方法で据え付けられている。ベッド15上の中央のポイントに到達可能な限り、センサホルダ25がどのように構成されるかの詳細はこのように重要ではない。しかしながら、好ましい実施形態は、一般的に、ハンドル10の管セクション28と平行にU字形の脚27の管セクションにより構成されている、逆U字形管状部材を備えている。U字形の脚27は、好ましくは伸縮自在の管であり、車載コンピュータの制御下の内蔵電気モータを使用して、脚27を自動的に伸長できるようにする。明らかに、例えば、端ボード51から、ベッドの近くのセンサ26に対する死角があるだろう。しかしながら、一般的に、伸長されたポジションは十分に高く、問題を生じさせないようにこれらの死角を小さくする。しかしながら、車輪付き運搬装置1は、ベッド15とのワイヤレス通信のための通信手段を備えていることから、センサ45をベッドフレームのいずれかの端に組み込むことが考えられる。センサ46は、車輪付き運搬装置1のベース部分2にも組み込まれている。このようなセンサは、現在、自動車に広く使用されているように、低コストで容易に入手可能である。
【0037】
伸長したポジション中のセンサ26と、場合によっては、ベッド15又はベース部分2中のセンサとによって、車載コンピュータは、ベッド15を1つの場所から別の場所に自律的に運搬してもよい。このようにするために必要とされるナビゲーションソフトウェア及び他のソフトウェアは、容易に入手可能であり、このように本発明の一部を形成しない。
【0038】
目的地に到着すると、プロセスは逆になり、車輪付き運搬装置1はベッド15から係合を解除する。車輪付き運搬装置1は、必要とされる他の目的地に車輪付き運搬装置1自体を自律的に移動させてもよい。これは、格納されたポジション中のセンサ26、及び、ベース部分2中のセンサ49、53からの入力に基づいて、車載コンピュータの制御下で行われてもよい。ベッド15によって生じる死角がないであろうことから、センサ26の伸長したポジションは必要とされない。
【0039】
通常、空のベッド15のみがこの方法で運搬されるだろう。患者によって占有されるベッド15は、客観的かつ主観的な、安全性及びセキュリティの理由により、すなわち、患者が安全であり、安全を感じるために、通常は人によって伴われるだろう。
【0040】
車輪付き運搬装置1は、図10中に見られるように、この同伴者に対して提供するようにも適合されている。図10では、上記で説明したように、車輪付き運搬装置1が、車輪付き運搬装置1自体をベッド15のフレームのビーム14と係合させていることがわかる。しかしながら、これはまた、オペレータ、すなわち、同伴者によって手動で実行されてもよい。好ましいものとして、車輪付き運搬装置が、オペレータ、すなわち、同伴者によって制御される場合、センサ26は伸長したポジションにある必要はない。同伴者は、車輪付き運搬装置1を、例えば、オペレータ制御パネル9への適切な入力を介して、手動制御モードに切り替えてもよい。明らかに、この手動制御機能は、プロセス中の他のステージで作動してもよい。オペレータ制御が好ましい理由は、特に、自律自動運搬は、同伴者及び患者の両方の受け入れを欠くかもしれないからである。
【0041】
オペレータのために、車輪付き運搬装置1は、ドリー29を備えており、ドリー29は、ドリー29が使用されないときに、取り外し可能ハンドル10の平行な管28間のトレー30に適切に収容されている。トレー30は絶対に必要ではないが、ドリー29を使用しないときに、車輪31によって地面7から、ベッド及び車輪付き運搬装置1上に拾い上げられた汚れ及びこれに類するものを拡散させないために、トレー30は好ましい。このドリー29は、トレー30から取り外され、ベッド15のフレームに取り付けられ、ベッド15の運搬の間、オペレータの全重量を支える、オペレータに対するプラットフォームとして機能してもよい。同様に、ハンドル10は、直立部分11中のソケットから取り外され、代わりに、ベッド15中の適切なソケット中に置かれてもよい。オペレータ制御パネル9は、ドリー29上に立っているオペレータに対して、容易にアクセス可能になり、オペレータが、駆動車輪の第2のペア22とともにおそらくは駆動車輪の第1のペア8も制御する車載コンピュータへの手動入力と、車輪運搬装置1及びベッド15の両方の他の機能性とを提供できるようにするだろう。上述したように、通信がワイヤレスであるときに、オペレータ制御パネル9と車載コンピュータとの間の通信は、非常に容易に確立される。ドリー29上に立つと、オペレータは、患者のいるベッド15を1つ以上の所望の目的地に駆動してもよい。到達するスピードが、オペレータがベッド15を手動で押す場合よりも実質上より速いことから、これは、経済的に有益である。手動で押すことは、おおよそ4km/hのスピードをほとんど超えない一方で、説明したようにベッド15を駆動することは、倍のスピードに容易に達することができる。上限は、車輪付き運搬装置1自体によって設定されるのではなく、むしろ、占有者の安全や、廊下の歩行者や、これらに類するもののような、外部環境に依存する。ドリー29は、ベッド15のすべての動きにしたがうことができなければならないことから、車輪31は、好ましくは旋回車輪であり、特に、ドリーがベッド15にしたがい、その場で回転できるようにすることが好ましい。トリップが終了するときに、ドリー29及びオペレータ制御パネル9を有するハンドル10は、トレー30、及び、直立部分11中のソケット中に再度手動で配置されてもよく、車輪付き運搬装置1は、新たなタスクのために再度自律的な状態になる。このような新しいタスクについての情報も、明らかに、ワイヤレス通信手段を介して受信されてもよい。このようなワイヤレス手段は、センサ26及びオペレータ制御パネル9に対して使用されるものと同じであってもよく、又は、これらはすべて異なっていてもよい。多くの屋内アプリケーションに対して、WiFiのような標準中距離ワイヤレス手段は、タスク及び全体ロケーション情報のような他の外部情報を受信するのに適している一方で、Bluetooth(登録商標)のような短距離ワイヤレス通信手段は、車載コンピュータとセンサ26、ベッド15、オペレータ制御パネル9等との間の通信に適しているだろう。
【0042】
しかしながら、オペレータが、例えば、ベッド15の運搬を終了した後に、運搬を必要としている場合に、車輪付き運搬装置1は、人員運搬装置としても機能してもよい。オペレータは、ドリー29をトレー30に再度置き、直立部分11のソケット中にハンドルを再度置いた後、制御パネル9による自律モードに再従事しない。代わりに、自分の脚を実質的に水平及び平面の表面6の上に置き、オペレータ制御パネル9への入力を使用して、自分の好きなように、車輪付き運搬装置1を操縦、加速、ブレーキ、バック等して、車輪付き運搬装置1で発進する。自身を運搬した後、オペレータは自律モードに再従事でき、又は、既に説明したように、別の患者がいる新しいベッド15のような、周りの他の対象を運搬することができる。これらを別の場所に駆動するために、トレーラの牽引棒32、又は、トレーラの組み立てられたトレーンの第1の牽引棒32も車輪付き運搬装置1の取り付けピン33上に取り付けることができる。手動制御がもはや望まれなくなるまで、このすべてを繰り返すことができ、オペレータが最後に自律モードに再従事する。
【0043】
取り付けピン33は、図1、2、8、11及び13中で示すような格納されたポジションと、図12及び14中で示すような上げられたポジションとの間で上下方向に制御される。図12及び14中に見られるように、取り付けピン33は、好ましくは、より細い円柱状の中間セクション34とともに円柱状である。より細い中間セクション34は、トレーラの牽引棒32に対して一般的にじょうご形の挿入ガイド37と整列した介在ポジションにあってもよく、トレーラの牽引棒32は、取り付けピン33のより細い中間セクション34と一致する開口部35と、取り付けピン33の全体直径に一致するより広い内部36とにより、一般的に開鍵穴形を有する。取り付けピン33が挿入ガイド37とずれて動く、例えば、図14中で図示するように上がるときに、これは、牽引棒32が、介在ポジション中の取り付けピン33の中間セクションの周りをスライドできるようにし、取り付けピン33の全体直径が牽引棒32を係合して保持できるようにする。しかしながら、代わりに他の結合を、例えば、車載コンピュータのソフトウェアによって容易に制御可能な電磁結合を使用することができることを当業者は理解するだろう。
【0044】
取り付けピン33のこの上下方向の制御は、車載コンピュータの制御下であってもよく、したがって、車輪運搬装置1がその内蔵センサ26及び49を使用して、トレーラを自律的に位置付け、トレーラ自体を車輪運搬装置1に自律的に取り付け、トレーラを他のロケーションに自律的に運搬し、車輪運搬装置1自体をトレーラから取り外すことができるようにする。
【0045】
さらに、図11及び12で図示しているように、取り付けピン33は、二つの目的で機能する。図11及び12では、荷38はボックスパレットの形態で概略的に輪郭が描かれている。図示した例ではフランジ39の形態の2つの脚である、下方に伸長する脚又はこれに類するものを有する限り、荷38は、簡易パレット、キャビネット、コンテナ等のような、任意の種類の荷であることができ、図11中で図示したように、車輪付き運搬装置1がその下に入ることができるようにする。
【0046】
これは、車輪付き運搬装置1が、自律的に車輪付き運搬装置1自体を荷38の下に位置付け、フック13をその作動係合部材ポジションに、取り付けピン33を上昇したポジションに移動させることにより、荷38を持ち上げるようにし、これにより、運搬のために、地面7から荷38を持ち上げる。この自律的なポジショニングは、ベッド15との整列に関して上記で説明したように、横移動のための駆動車輪の第2のペア22の作動を伴ってもよい。好ましくは、荷38に、底部の適切な凹部又はこれに類するものが設けられてもよく、スライディングに対して持ち上げた荷38を固定するために、取り付けピン33は係合してもよい。図11中で示す格納されたポジションと図12中で示す作動ポジションとの間で上下に動くときに、フック13は角運動を実行することから、荷38の底部に対する摩擦を低減させるために、フック13の先端には、ローラー40が設けられることが好ましい。荷38が持ち上げられ、動かされることを正しく識別するために、車輪付き運搬装置1は、荷38の識別子を検出する適切な検出手段を有している。検出手段は、バーコード又はQRコード(登録商標)をスキャンするためのカメラ、RFIDタグを検出するための送信機/受信機、又は、他の何らかの一般に使用される識別子手段のための検出器であることができる。目的地に到着すると、車輪付き運搬装置は、取り付けピン33及びフック13のいずれも一般的に水平及び平面の表面6上に突き出ないように、取り付けピン33を格納し、フック13を静止係合部材ポジションに動かしてもよく、これにより、荷38を地面7に置く。このような方法で荷38を届け、車輪付き運搬装置1は、他のタスクを継続してもよい。
【0047】
荷38に類似しているが、車輪が設けられているカートを、車輪付き運搬デバイス1によって持ち上げ、運搬することができるとも考えることができる。これにおいて、車輪付き運搬デバイス1は、荷38に関して上記で説明したのと非常に同じ方法で、カートの下に車輪付き運搬デバイス1自体を置き、カートの低部の下の凹部のような、適切な取り付けポイントにおいて、取り付けピン33を係合するだろう。カートの車輪レイアウト及びその長さに依存して、これは、セミトレーラーを有するロードトラックから知られているような連結式車両として作用することができる。これは、原則的に、単一のカートに対してのみ作用するが、カート自体の車輪が、車輪付き運搬装置1ではなく、荷のうちのいくつかをサポートすることから、荷38よりも大きな重量を可能にする。
【0048】
しかしながら、最終的には、車輪付き運搬装置1は、バッテリーに記憶されたエネルギーの大部分を使用し、もはやその任務を実行することができなくなるだろう。内蔵バッテリーの高速再充電でさえ、不必要なアイドル時間を伴い、したがって、新たなエネルギーのために電池を交換することが好ましい。好ましくは、車輪付き運搬装置1は、少なくとも1つの交換可能なメインバッテリー41と、少なくとも1つの内蔵バックアップバッテリーとを備えている。バックアップバッテリーは、メインバッテリー41の自動交換が別な方法では困難なために、特に、メインバッテリー41の交換の間、エネルギーを提供する。メインバッテリー41は、車輪付き運搬装置1の前端3に位置付けられていることが好ましい。このロケーションは、2つの利点を有している。1つ目は、バッテリー交換が必要とされるときの容易なアクセスである。2つ目は、このロケーションは、一般的に、駆動車輪のペア8の上又は間にあり、したがって、バッテリーの重量は主に車輪8上にあり、これにより、良好な牽引をもたらすことである。
【0049】
メインバッテリー41のエネルギーが減っていると感知するときに、車輪付き運搬装置1は、WiFi及び/又はLANを介して、完全に充電されたバッテリーを有するどの交換局が最も近いかをワイヤレスに問い合わせてもよい。交換局は、病院などの敷地に適切に分散されてもよく、LAN及び/又はWiFiを介して、互いに、及び、他の車輪付き運搬装置1と通信してもよい。全車輪付き運搬装置1が中央で管理されるときに、すなわち、中央コンピュータによりタスクが割り当てられるときに、中央コンピュータは、他のアイドル車輪運搬装置1に、絶対的必要よりも早くバッテリー41を交換するように明らかに命じることができ、又は、2つのタスクの間、あるいは、厳格なスケジュールなしのタスクの間に、車輪付き運搬装置1に、途中でバッテリー41を交換するように命令できる。
【0050】
交換局に到着すると、車輪付き運搬装置1は、バッテリー41のための空きドックを見つける。これは、完全に自律的に起こってもよいが、空ドックの容易なロケーションのために、交換局と車輪付き運搬装置1との間で通信が行われることが好ましい。車輪付き運搬装置1は前端3を先頭にドックに入り、ドックは、バッテリー41をロックし、車輪付き運搬装置1がドックからバックしたときにバッテリー41が抜き取られ、バックアップバッテリーによって電力供給される。車輪運搬装置は、充電されたバッテリーを有するドックを選択し、前端3を先頭に入り、これにより、充電されたバッテリー41は、車輪運搬装置1のベース部分2に挿入される。ドックは、バッテリー41をはずし、車輪付き運搬装置1は、挿入された新たな充電されたバッテリー41によってバックできる。
【0051】
バックアップバッテリーは、交換されず、代わりにメインバッテリー41から充電されることが好ましい。
【0052】
上記からわかるように、本発明は、病院環境における、自立的タスク及び手動に制御されるタスクの両方の広い範囲に有用である、汎用運搬装置1を提供する。しかしながら、本発明は、開示された実施形態に限定されず、特許請求の範囲に表現されているように、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの実施形態及び機能性を当業者は考案することができるだろう。特に、駆動車輪の第1のペア8と駆動車輪の第2のペア22とを組み合わせた使用が、対象物の性質にかかわらず、他の対象物に関する車輪付き運搬装置1の良好なポジショニングを可能にすることが理解されるだろう。これは、特に、車輪付き運搬装置1が、電気掃除機のような清掃装置を運搬することを可能にし、このような清掃装置とともに角に入り込むことができるようにするだろう。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] ベースを備えた車輪付き運搬装置であって、
前記ベースは、前端、後端、上部、及び、下部を備え、
前記下部は、多くの車輪を備え、前記上部は、少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面を備え、
前記車輪付き運搬装置は、ベッドのフレーム部分を係合するように適合された少なくとも1つの可動第1係合部材を備え、
前記可動第1係合部材は、静止係合部材ポジションと作動係合部材ポジションとの間で移動可能であり、
前記可動第1係合部材は、前記作動係合部材ポジションにおいて、前記実質的に水平及び平面の表面の上に伸長し、
前記上部は、前記少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面の上に位置付けられているさらなる係合部材を備える、車輪付き運搬装置。
[2] 前記静止係合部材ポジションは、前記少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面に、又は、前記少なくとも1つの実質的に水平及び平面の表面より下に位置付けられている、[1]に記載の車輪付き運搬装置。
[3] 前記可動第1係合部材は、フック部材のペアを備える、[1]又は[2]に記載の車輪付き運搬装置。
[4] 前記多くの車輪は、一致する第1の回転軸により構成された駆動車輪の第1のペアを備え、
前記ペア中の各車輪は、個々に制御可能な電気モータによって駆動される、[1]〜[3]のうちのいずれか一項に記載の車輪付き運搬装置。
[5] 前記多くの車輪は、前記一致する第1の回転軸に直交する、一致する第2の回転軸により構成された駆動車輪の第2のペアを備え、
前記ペア中の各車輪は、個々に制御可能な電気モータによって駆動され、
前記車輪の第2のペアは、格納した静止ポジションと作動ポジションとの間で移動可能である、[4]に記載の車輪付き運搬装置。
[6] 前記車輪付き運搬装置は、通常、長手方向の垂直平面について対称であり、
前記一致する第2の回転軸は、前記長手方向の垂直平面中に構成される、[4]に記載の車輪付き運搬装置。
[7] 前記さらなる係合部材は、ベッドの患者サポートベースを係合するように適合されている、[1]〜[6]のうちのいずれか一項に記載の車輪付き運搬装置。
[8] 前記さらなる係合部材は、下向きに開く固定フック部材である、[1]〜[7]のうちのいずれか一項に記載の車輪付き運搬装置。
[9] 垂直長手方向軸を有する可動ピンをさらに備え、
前記可動ピンは、前記垂直長手方向軸に沿って移動可能である、[1]〜[8]のうちのいずれか一項に記載の車輪付き運搬装置。
[10] 前記車輪付き運搬装置は、内蔵の制御コンピュータと、センサと、モータの制御手段と、通信手段とを備える、[1]〜[9]のうちのいずれか一項に記載の車輪付き運搬装置。
[11] 前記コンピュータは、前記センサからの入力に基づく、前記運搬装置の自律制御に適合されたソフトウェアを備える、[1]〜[10]のうちのいずれか一項に記載の車輪付き運搬装置。
[12] 車輪付き運搬装置の手動制御を可能にするように適合された手動入力装置を備える、車輪付き運搬装置。
[13] 前記少なくとも1つの可動第1係合部材は、ベッドのフレーム部分中の少なくとも1つの水平ビームを係合するように適合されている、[1]〜[12]のうちのいずれか一項に記載の車輪付き運搬装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14