特許第6522785号(P6522785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522785
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】シリコーン消泡剤組成物
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/04 20060101AFI20190520BHJP
【FI】
   B01D19/04 A
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-555795(P2017-555795)
(86)(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公表番号】特表2018-515329(P2018-515329A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】EP2016070487
(87)【国際公開番号】WO2017055000
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2017年10月25日
(31)【優先権主張番号】14/867,499
(32)【優先日】2015年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】アミターバ、ミトラ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード、ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、リチャーズ
(72)【発明者】
【氏名】マーガレット、ホイットン
【審査官】 小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/104176(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00−19/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)25℃および1013hPaにおいて液体のオルガノポリシロキサンであって、
a)i)第1工程において、
構造[M−O]Siを有するMQシロキサン、構造[M−O]−Si−Ф[式中、Фはフェニル基であり、およびMは式H−Si(R)−(式中、Rは有機基、C1−18のアルキルまたはC若しくはC10のアリール基であり、場合により前記アリール基はC1−18のアルキル基によって置換される)の一価の有機ケイ素基である]を有するMphenylシロキサン、またはMQおよび/またはMphenylシロキサンを含んでなる混合物を、
ヒドロシリル化可能な組成物の全モルに基づいて、少なくとも60molパーセントのα−メチルスチレンを含有するヒドロシリル化可能な組成物でヒドロシリル化して、まだSi−H結合された水素を含有する第1段階反応生成物を生成することと、
a)ii)第2工程において、
2以上のヒドロシリル化可能な基を有する分岐状オルガノポリシロキサンを、前記第1段階反応生成物でヒドロシリル化して、25℃および1013hPaにおいて液体のオルガノポリシロキサンを生成することと、
によって製造されたオルガノポリシロキサンと、
b)少なくとも1つのシリコーン樹脂と、
c)シリカと、
を含んでなる、消泡剤組成物の製造方法
【請求項2】
2以上のヒドロシリル化可能な基を有する前記オルガノポリシロキサンが、ビニル−官能性のオルガノポリシロキサンである、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記第1工程の前記ヒドロシリル化可能な組成物が、α−メチルスチレンからなる、請求項1または2に記載の方法
【請求項4】
前記第1工程の前記ヒドロシリル化可能な組成物が、α−メチルスチレンと、前記ヒドロシリル化可能な組成物中のヒドロシリル化可能な基の全モルに基づいて、40molパーセント以下のC6−18のアルケンとを含んでなる、請求項1または2に記載の方法
【請求項5】
前記第1工程の前記ヒドロシリル化可能な組成物が、MQシロキサンのモル当たり1.8〜3.2モルのヒドロシリル化可能な基、およびMphenylシロキサンのモル当たり0.8〜2.2モルのヒドロシリル化可能な基の量で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
前記MQシロキサンが、テトラキス(ジメチルシロキシ)シランを含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
少なくとも1つのシリカが、30m/g〜400m/gのBET表面積を有するヒュームドシリカである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法
【請求項8】
体オルガノポリシロキサンa)、シリコーン樹脂b)およびシリカc)を混合することを含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記シリコーン樹脂b)を、第1に、シリカc)と混合する前に炭化水素(オキシ)溶媒に溶解する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記炭化水素(オキシ)溶媒が、70℃〜350℃の範囲で沸騰するパラフィン系炭化水素またはパラフィン系炭化水素の混合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
a)、b)およびc)の混合物に塩基を添加することと、前記結果として得られた混合物を加熱することと、をさらに含んでなる、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記塩基が、水溶性若しくはアルコール性の水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム、またはアルコール性のナトリウムアルコキシド若しくはカリウムアルコキシドである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
i)第1工程において、
構造[M−O]Siを有するMQシロキサン、構造[M−O]−Si−Ф[式中、Фはフェニル基であり、およびMは式H−Si(R)−(式中、Rは有機基、C1−18のアルキルまたはC若しくはC10のアリール基であり、場合により前記アリール基はC1−18のアルキル基によって置換される)の一価の有機ケイ素基である]を有するMphenylシロキサン、またはMQおよび/またはMphenylシロキサンを含んでなる混合物を、
ヒドロシリル化可能な組成物の全モルに基づいて、少なくとも60molパーセントのα−メチルスチレンを含有するヒドロシリル化可能な組成物でヒドロシリル化して、まだSi−H結合された水素を含有する第1段階反応生成物を生成することと、
ii)第2工程において、2以上のヒドロシリル化可能な基を有する分岐状オルガノポリシロキサンを、前記第1工程の反応生成物でヒドロシリル化して、25℃および1013hPaにおいて液体のオルガノポリシロキサンを生成することと、
の方法によって製造された、オルガノポリシロキサンの製造方法
【請求項14】
2以上のヒドロシリル化可能な基を有する前記オルガノポリシロキサンが、ビニル−官能性オルガノポリシロキサンである、請求項13に記載の方法
【請求項15】
前記第1工程の前記ヒドロシリル化可能な組成物が、α−メチルスチレンからなる、請求項13または14に記載の方法
【請求項16】
前記第1工程の前記ヒドロシリル化可能な組成物が、α−メチルスチレンと、前記ヒドロシリル化可能な組成物中のヒドロシリル化可能な基の全モルに基づいて、40molパーセント以下のC6−18のアルケンとを含んでなる、請求項13または14に記載の方法
【請求項17】
前記第1工程の前記ヒドロシリル化可能な組成物が、MQシロキサンのモル当たり1.8〜3.2モルのヒドロシリル化可能な基、およびMphenylシロキサンのモル当たり0.8〜2.2モルのヒドロシリル化可能な基の量で存在する、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法
【請求項18】
前記MQシロキサンが、テトラキス(ジメチルシロキシ)シランを含んでなる、請求項13〜17のいずれか一項に記載の方法
【請求項19】
消泡剤組成物を含有する洗剤配合物の製造方法であって、前記消泡剤組成物が、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって製造された消泡剤組成物であることを特徴とする、洗剤配合物の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノポリシロキサン架橋アリールアルキル基含有TおよびQシロキシユニットを含有するシリコーン消泡剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの水溶液系は、撹拌下で過度に泡立ち、その結果として、発生した泡の量を制御するために泡制御剤が必要である。水溶液系は、天然または合成由来であってもよく、特に後者がよい。例としては、油およびガス回収からの界面活性剤を担うエマルジョン、並びにセルロースおよびリグノセルロース系繊維含有材料の紙製品への加工由来の、いわゆる「黒液」を含む。追加の例としては、特に洗濯および食器洗い機に使用する水溶性洗浄組成物を含む。大部分の手洗い食器洗浄組成物は、高い洗浄活性の認知度を得るために高い発泡になるように設計されているが、衣類洗濯機および食器洗浄機における泡の発生は、洗浄能力を妨げることが知られている。さらに、過度な発泡は、そのような装置を駆動する電気モーターに、モーターの熱破壊の点ではるかに大きな負荷をかけ得る。加えて、泡はオーバーフロー、さらにこの結果として周辺地域への水害の可能性を与える。
【0003】
これらの望ましくない効果を軽減するために、洗濯機および食器洗い機で、並びに他の分野で使用される界面活性剤には、しばしば、低発泡性タイプがある。洗浄効率はそれらの使用では残念ながら妥協することが多い。加えて、入手可能な低発泡性代替物が無いので、洗剤配合物中に他の構成要素も泡を生成し得る。
【0004】
この結果として、高い洗浄効果および/または低い泡の発生が必要な分野では、発生した泡の量を減らし、および/または泡の急速な破壊を達成するために消泡剤が添加される。この目的に関して、種々の材料が、10年間にもわたって消泡剤として提案されてきた。初期には、鉱油、高沸点石油留分、並びにトールオイル酸およびオキソアルコールなどの長鎖アルキル工業製品などの製品が使用されてきた。シリコーン流体、特にポリジメチルシロキサンも使用されてきた。これらの材料のほとんどは、今日でも引き続き使用されている。しかしながら、多くの場合、それらの消泡活性が低すぎるか、または好ましくない臭気のような他の問題がそれらの使用を妨げる。
【0005】
さらに、いくつかの消泡剤は、消泡用途次第では許容できることがあるが、他の消泡剤では許容できないものがある。例えば、黒液は、消泡剤が分解してその有効性を失わせる原因となり得る苛酷な環境を示す一方で、洗濯洗剤組成物は、しばしば、非常に高いレベルの界面活性剤および高いアルカリ性物質を含有し、多くの消泡剤を無効にする。
【0006】
国際公開公報第03/089108号は、1〜30重量部のシリコーン泡止剤、45〜99部の粒子担持体、2〜50部の蛍光増白剤および1〜40部のバインダーを含有する微粒子泡制御剤を開示している。シリコーン泡止剤は、欧州公報第578424号に開示されるように、トリメチルシリル基によって末端処理された従来の直鎖状または分岐状シリコーンである。他のシリコーン泡止剤は、英国公報第639673号、欧州公報第31532号、欧州公報第217501号、欧州公報第273,448号、独国特許公開公報第3805661号、英国公報第2,257,709号および欧州公報第1,075,864号に開示されているような態様である。
【0007】
米国特許登録公報第6,521,587B1号は、長い間求められていた重質洗剤配合物中の効率的な消泡剤の必要性を証明し、鎖ペンダントアルキルフェニル置換ポリ(エチル、メチル)シロキサン;鉱油、植物油、または不溶性の炭化水素のアルコール、カルボン酸若しくはエーテルなどの不水溶性ヒドロカーボンオキシ油;有機ケイ素樹脂、および泡制御剤がポリジメチルシロキサンを含まないか、またはアルキルフェニル置換オルガノポリシロキサンの重量に基づいて、20重量%未満のポリジメチルシロキサンを含有する疎水性充填剤を含有する消泡剤の使用を提案している。
【0008】
米国特許登録公報第8,536,109B2号は、長い間求められていた洗濯のための液体洗剤配合物中の効率的な消泡剤の必要性を論じており、米国特許登録公報第6,521,587B1号と同じタイプの鎖ペンダントアルカリル置換オルガノポリシロキサンと共に、シリコーン消泡剤、疎水性充填剤、および更なるポリエーテル基含有TおよびQユニットの両方を含有するシリコーン樹脂としてのシリコーン「樹脂」(非慣例的に直鎖状シリコーン流体も含む)の混合物を提案する。
【0009】
国際公開公報第2013/167430A1号は、効率的な消泡剤の継続的な必要性を開示し、界面活性剤を大量に投入された洗剤配合物中のアルキレン結合オルガノポリシロキサン、充填剤、オルガノポリシロキサン樹脂、および場合により環状オルガノポリシロキサンの使用を提案する。消泡剤の製造は、ビニル−およびヒドリド−官能性シランの共加水分解から開始し、かなりの量の副生成物が発生する。
【0010】
米国特許登録公報第6,521,586B1号は、米国特許登録公報第6,521,587B1号に類似し、類似の構成要素を開示しているが、不水溶性のケイ素非含有有機流体を必要としない。
【0011】
米国特許登録公報第8,084,566B2号は、Si−H官能性オルガノポリシロキサンとアリールエーテル末端オルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化によって生成され、ウレタン結合の複合ポリマー/シリコーン化合物を生成するためにジイソシアネートとの反応によって生じ、かつシリコーン樹脂を含有する長持ちする消泡剤を開示している。
【0012】
米国特許登録公報第8,222,303B2号は、オルガノポリシロキサン消泡剤、親水性シリカ、およびポリエーテルシリコーンを含有する消泡剤組成物を開示している。この消泡剤は、黒液を消泡することに有用である。
【0013】
米国特許登録公報第8,461,221号は、尿素、メラミン、または尿素とメラミンとの混合物の多孔性共重合体に吸収されたシリコーン泡止剤を含んでなる泡止剤粒子を開示している。消泡剤は、洗濯洗剤配合物において特に有用であると言われている。
【0014】
1以上の主要な消泡剤が容易に合成され、高い消泡活性を提供し、かつ所望の特別な最終使用のための構造を調整することができる消泡剤組成物を供給することが、長年にわたり絶え間なく必要とされてきた。
【発明の概要】
【0015】
驚くべきことに、かつ意外にも、シリコーン樹脂成分、シリカ成分、および直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサンとSi−C結合によって結合されたアリールアルキル置換MQユニットおよび/またはアリールアルキル置換MTphenylユニットを含有するシリコーン消泡剤から、効率的かつ仕上げ可能な消泡剤組成物を製造できることを新たに発見した。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】発明のシリコーン消泡剤成分を生成するための合成経路の1の実施形態を概略形態で示す図である。
図2】発明のシリコーン消泡剤成分を生成するための合成経路の第2の実施形態を概略形態で示す図である。
図3】発明のシリコーン消泡剤成分を生成するための合成経路の第3の実施形態を概略形態で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
シリコーン消泡剤は、MQオルガノポリシロキサンまたはMphenylオルガノポリシロキサンと、第1段階においてα−メチルスチレンを含んでなるヒドロシリル化可能な炭化水素との、そして第2段階においてジ−またはポリアルキル官能性オルガノポリシロキサンとの2段階ヒドロシリル化生成物である。
【0018】
Qオルガノポリシロキサンは、QがSiO4/2である構造[M−O]Si[式中、Mは式H−Si(R)−(式中、Rは有機基、好ましくはC1−18のアルキルまたはC若しくはC10のアリール基であり、場合によりアリール基は1以上のC1−18のアルキル基、好ましくはメチル基によって置換される)の一価の有機ケイ素基である]を有する。Rは、好ましくはC1−18のアルキル、より好ましくはメチルである。また、1つのメチルと1つの長鎖のアルキル基とを有するM基も好ましい。最も好ましいMQ化合物は、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン「TDSS」である。
【0019】
phenyl出発材料は、フェニル置換SiO3/2基に着けられた上記で定義されたようなM基を有し、この結果として、構造[M−O]−Si−Ф(式中、Фはフェニル基である)を有する。MQおよびMphenylの出発材料の混合物を使用してもよい。
【0020】
本反応の第1段階において、MQまたはMphenylの出発材料を、ヒドロシリル化触媒の存在下においてα−メチルスチレンを含んでなるヒドロシリル化可能な炭化水素と反応させる。M基は、α−メチルスチレンおよび場合により更なるヒドロシリル化可能な高級アルケンをヒドロシリル化して、Mシロキシ基のケイ素原子をSi−C結合の「α−メチルフェニルエチル」基とも呼ばれ得る1−(2−メチル−2−フェニル)エチル基に置換する。MQ中に少なくとも2つのM基および/またはMphenyl中に少なくとも1つのM基の出発材料が、α−メチルスチレンをシリル化することが好ましい。
【0021】
ヒドロシリル化触媒およびヒドロシリル化反応の条件は、よく知られている。本反応は、典型的には、水を除去した乾燥窒素雰囲気などの不活性ガス雰囲気下において行われる。しかしながら、当業者に知られている任意の適切なヒドロシリル化条件を使用してもよい。本反応は、無溶媒、またはトルエン、キシレン、その他芳香族炭化水素、パラフィン系炭化水素、ケトン、エチルアセテートなどのエステル、その他などの1以上の有機溶媒存在下で行ってもよい。無溶媒反応が好ましい。高級アルケン、例えば、C〜C20アルケン、好ましくはα−アルケンが存在する場合、それはヒドロシリル化可能な全ての化合物のごく一部、<50mol%未満、好ましくは<20mol%存在する。高級アルケンが存在しないことが好ましい。
【0022】
適切なヒドロシリル化触媒は、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびイリジウム、好ましくは白金およびロジウムを含む。金属は、場合により、細かく分割された活性炭素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、または酸化ケイ素などの担持材に固定してもよい。白金および白金化合物を使用することが好ましい。ポリオルガノシロキサンに溶解性であるこれらの白金化合物であることが特に好ましい。使用することができる溶解性白金化合物は、例えば、式(PtCl・olefin)およびH(PtCl・olefin)の白金−オレフィン(olefin)錯体を含有し、この事象においては、エチレン、プロピレン、ブテンおよびオクテンの異性体、またはシクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロへプテンなどの5〜7個の炭素原子を有するシクロアルカンの使用が好ましい。他の溶解性白金触媒は、式(PtCl・Cの白金−シクロプロパン錯体、ヘキサクロロ白金酸とアルコール、エーテル、およびアルデヒド、若しくはそれらの混合物との反応生成物、またはエタノール溶液中の重炭酸ナトリウムの存在下におけるヘキサクロロ白金酸とメチルビニルシクロテトラシロキサンとの反応生成物である。リン、硫黄およびアミン配位子を有する白金触媒は、例えば(PhP)PtClが同様に使用することができる。sym−ジビニルテトラメチルジシロキサンなどのビニルシロキサンを有する白金の錯体、および白金酸の溶液であることが特に好ましい。
【0023】
使用されるヒドロキリル化触媒(E)の量は、所望の反応速度および経済的観点よって左右する。典型的には、100重量部のオルガノポリシロキサン当たり、1×10−5〜5×10−2重量部、好ましくは1×10−4〜1×10−2重量部、さらに特に5×10−4〜5×10−3重量部の白金金属として算出された白金触媒を使用する。白金触媒は、反応中の一部において、特に第2段階の始まりにおいて添加してもよい。
【0024】
α−メチルスチレン(および場合により高級アルケン)のMQシロキサンに対するモル比は、一般的に、少なくとも1.8:1、より好ましくは少なくとも2:1、かつ、好ましくは3.2以下:1、より好ましくは3以下:1である。>3:1の比が使用される場合、生成混合物は、全4つのM基が、α−メチルフェニルエチル基によって置換されたMQユニットをいくつか含有し、この結果としてこれらの化合物は、第2段階のヒドロシリル化において反応しない。α−メチルスチレン(および場合により高級アルケン)のMphenylに対するモル比は、一般的に、少なくとも0.8:1、より好ましくは少なくとも1:1、かつ、好ましくは2.2以下:1、より好ましくは2以下:1である。>2:1の比が使用される場合、生成混合物は、全3つのM基が、α−メチルフェニルエチル基によって置換されたMQユニットをいくつか含有し、この結果としてこれらの化合物は、第2段階のヒドロシリル化において反応しない。そのような分子の存在は許容することができるが、それらの存在は好ましくない。
【0025】
Qの場合で2未満:1、およびMphenylの場合で1未満:1のモル比において、十分な効果の消泡剤を生成するために、不十分なα−メチルフェニルエチル基が存在してもよい。さらに、残存する未反応のケイ素に結合した水素基の数が多いほど、最終生成物の粘度、分子量および架橋の程度のいずれかまたは全てが増加し得る。例えば、残存するSi−H基の平均数が1であり、かつ、第2段階において使用されるヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンが2官能価を有する場合、比較的低い分子量のA−B−A構造が得られる。同じ状況下において、残存するSi−H基の平均数が1であり、かつ、ヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンの官能価が3である場合、さらにまた、A−B(A)−A構造の比較的低い分子量の分岐状ポリマーが得られる。
【0026】
しかしながら、第1段階の生成物とヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンとの両方が、2に近い官能価を有する場合、直鎖状であるが、より高い分子量のA−(B−A)−A構造が得られる。鎖長さnが大きすぎる場合、生成物は、もはや流動性でなくなる。官能価の平均が2よりも著しく高い場合、本発明の範囲内にはない架橋固体エラストマーが形成され得る。この結果として、平均してα−メチルフェニルエチル基の数は、好ましくはMQの場合で2〜3およびMphenylの場合で1〜2であり、そしてこの結果として、残存する好ましいSi−Hの官能価は1〜2である。
【0027】
反応の第2段階において、第1段階の反応生成物を、ヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンをヒドロシリル化するために使用する。そしてまた、ヒドロシリル化触媒および反応条件は従来型である。
【0028】
ヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンは、ヒドロシリル化のために改質可能な脂肪族で不飽和の基を有する直鎖状または分岐状オルガノポリシロキサンである。そのような基は、よく知られており、例えば、アルケニル基、好ましくはω−アルケニル基を含む。限定されない例としては、ビニル、アリル、2−プロペニル、イソプロペニル、5−ヘキセニル、ノルボルナデニル、シクロヘキセニル、エチニルおよび3−ブチニルを含む。ビニル基は、好ましいヒドロシリル化可能な基である。
【0029】
ヒドロシリル化可能な基は、末端基若しくは鎖ペンダント基、または両方であってもよい。少なくとも2つのヒドロシリル化可能な基は平均して存在し、好ましくは平均して10未満存在し、そのような基は、より好ましくは7未満存在する。
【0030】
ヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンの有機基(ヒドロシリル化可能な基以外)は、従来のオルガノポリシロキサンにおける有用なヒドロシリル化可能ではない全ての有機基である。そのような基の例は、C1−18のアルキル基、好ましくはC1−4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基などのアルキル基;フェニルおよびナフチルなどのアリール基、およびC1−18のアルキル置換フェニル基およびクロロフェニル基などの置換アリール基;並びにフェニルエチルおよびα−メチルフェニルエチルなどのアラルキル基である。メチル基およびフェニル基が好ましく、メチルとフェニル基との混合も好ましい。
【0031】
この結果として、好ましいヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンは、α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン、全てのヒドロシリル化可能な基が鎖ペンダントである更なる鎖ペンダントヒドロシリル化可能な基を有するα,ω−ジビニルポリメチルシロキサン;およびポリ(ジメチル)(メチルビニル)シロキサンである。2以上のタイプおよび/または官能価のヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンを使用することができる。また、単官能基のヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンは、2またはより高い官能価を有するこれらに加えて存在してもよいが、これは好ましくない。存在するとすれば、これらは全てのヒドロシリル化可能な基の40molパーセント未満含有し、そして、30mol%未満、20mol%未満、15mol%未満、10mol%未満、および5mol%未満の順序に従って好ましい。
【0032】
一般的に、ヒドロシリル化反応は、示されるように2つの工程で行わなければならない。α−メチルフェニルエチル基の大部分が、ランダムに分散するのではなく、MQおよび/またはMphenylの残存物に結合すること確実にすることにおいて2つの分かれたヒドロシリル化は重要である。さらに、α−メチルスチレンと、少なくとも2つのヒドロシリル化可能な基を含有するヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンとを含んでなるヒドロシリル化可能な化合物の組み合わせの存在は、ヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンを有するMQおよび/またはMphenyl基の広範な架橋を引き起し得ることを高める。そのような生成物は、高度に架橋した固体である可能性が高い。どちらの場合においても、求めた生成物ではないだろう。しかしながら、本発明の意図から逸脱することなく、特にα−メチルスチレンを単独で若しくは実質的にモルパーセントでヒドロシリル化可能な組成物として使用がされ、液体生成物が得られる場合に限り、第1段階における全てのヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンの30molパーセント以下、好ましくは20molパーセント以下、さらに最も好ましくは10molパーセント以下を含む。同様に、α−メチルスチレンおよび/または長鎖アルケンの全量に対して<30mol%、<20mol%、および<10molパーセントのα−メチルスチレンおよび/または同様の割合の長鎖アルケンが、第2工程において使用され得る。本目的は、鎖末端および/または鎖ペンダントMQおよびMphenyl基を有する生成物を生成することであり、M基は、平均して少なくとも2つのα−メチルフェニルエチル基、好ましくはMQ基の場合において3つのα−メチルフェニルエチル基および好ましくはMT基の場合において少なくとも2つのα−メチルフェニルエチル基を含むことが好ましい。
【0033】
第2段階のヒドロシリル化の後に、反応混合物は、揮発性物質若しくは未反応低分子量出発材料、または副生成物を除去するために、好ましくは真空下で脱揮発され、および場合により乾燥窒素などのストリッピングガスを活用して揮散する。
【0034】
適切なシリコーン消泡剤分子の製造例は、図1〜3に提示される。
【0035】
図1において、MQオルガノポリシロキサンは、3当量のα−メチルスチレンと反応させ、そしてその次に、α,ω−ジビニルポリジメチルスチレンをヒドロシリル化するために使用される。その結果、単純なA−B−A構造になる。
【0036】
さらにまた、図2において、3当量のα−メチルスチレンが使用されるが、使用されるヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンは、官能価>2を有し、この結果として分岐状構造が生じる。
【0037】
図3において、2より多い官能価を有するヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンと併せて、3当量未満のα−メチルスチレンを使用すると、三次元の多分岐および場合により架橋しているのもかかわらず、まだ液体生成物が得られる。図2および3の生成物の三次元性は、現実的に二次元的には伝えることができないため、「楕円」は、ヒドロシリル化によって更なるMQまたはMphenyl基が結合したヒドロシリル化可能なオルガノポリシロキサンの残留物を表す。
【0038】
また、本発明の消泡剤組成物は、シリコーン樹脂を含有する。シリコーン樹脂は、MQ樹脂、MT樹脂、MQT樹脂またはT樹脂であってもよい。また、樹脂は、全てのシロキシ基の20molパーセント未満の量のD基を含んでもよい。よく知られているように、シリコーン樹脂は、高度に架橋した三次元網目状ポリマーである。シリコーン樹脂は、室温において固体である。M、D、TおよびQユニットの意味は、シリコーン樹脂化学においてよく知られており、M、DおよびTユニットの場合、それぞれ1個、2個および3個のシロキシ結合を有するオルガノ置換シロキシ基、この結果として、それぞれ3個、2個および1個の有機基を有する。Q基は4価のSiO4/2基である。好ましい樹脂は、MQ樹脂である。これらの樹脂は、多数の供給元から市販されている。好ましいMQ樹脂は、ポリスチレン標準に対して、約7900g/molの重量平均分子量を有し、約40mol%の(CHSiO1/2(M)ユニット、50mol%のSiO4/2(Q)ユニット、8mol%のCSiO3/2(T)ユニット、および約2mol%の非縮合CSiO3/2(T)ユニットの含有量を有するWacker Chemieの製品であるMQ 803である。好ましくは、シリコーン樹脂は、Si−CまたはSi−O−C結合ポリオキシシロキサン基を含有しない。
【0039】
シリコーン樹脂の有機基は、異なるものであってもよいが、一般的には、低級C1−4のアルキルまたはフェニル、好ましくはメチルである。いくつかの長鎖C5−18のアルキル基も存在し得る。より低級C1−4のアルキル基は、大抵は少量存在し、Si−OH基(シラノールの官能価)は、大抵は同様に少量存在する。分子量Mは、500〜100,000Da、より好ましくは1000〜40,000Da、そして最も好ましくは2000〜20,000Daの範囲であってもよい。2以上のタイプのシリコーン樹脂を使用してもよい。
【0040】
本発明の消泡剤組成物の第3構成物質はシリカである。シリカはコロイド状シリカまたは(発熱性の)ヒュームドシリカ、好ましくはヒュームドシリカであってもよく、例えば、30m/g〜400m/g、好ましくは50m/g〜400m/g、そしてより好ましくは100m/g〜350m/gのBET表面積を有してもよい。シリカは、少なくとも部分的に疎水化されていてもよく、または非処理でもよい。非処理の親水性シリカが好ましい。部分的に表面修飾(部分的に疎水化された)および非処理(親水性)の両方をされたそのようなシリカは、広範囲のBET表面積の多数の供給元から市販されている。特に好ましいシリカは、Wacker Chemie AG,Munich,Germanyから入手可能な約300m/gのBET表面積を有する親水性ヒュームドシリカあるHDK(商標登録)T30である。
【0041】
また、主題発明の消泡組成物は、場合により他の構成要素を含有してもよい。特に好ましい追加の構成要素は、パラフィンオイル、低分子量ポリオレフィンワックス分散物、長鎖アルコールまたはそれらのエステル;脂肪酸;トリメチルシリル末端流体およびジメチルシラノール末端流体の両者を含むシリコーン流体;および更なるシリコーン樹脂、特に低分子量液体シリコーン樹脂などの他の消泡剤を含有する。この記載は例示であって、限定するものではない。
【0042】
消泡組成物は、単純ではあるが成分の緊密な混合またはブレンドによって製造してもよい。混合は、従来の撹拌機またはかき混ぜ機、例えば、パドルスターラー、ベーンスターラー、回転子/固定子混合機、衝突混合機、溶解機、およびそのようものを使用して行ってもよい。好ましくは、固体シリコーン樹脂は、生成物中に残存し得るか、またはその後に除去され得る適切な溶媒に溶解され、混合装置に供給される。適切な溶媒は、例えば、トルエンおよびキシレンを含有する芳香族溶媒および芳香族溶媒ブレンド、パラフィン炭化水素、ケトン、エチルアセテートおよびt−ブチルアセテート等のエステル溶媒、長鎖アルコール、およびトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサン流体を含む。また、好ましい溶媒は、例えば、70℃〜350℃、より好ましくは100℃〜300℃、さらに最もこのましくは200〜300℃の範囲の沸点を有する留分などのいくつかの消泡活性を発揮し得る高い分子量の脂肪族炭化水素である。
【0043】
本発明の消泡組成物は、好ましくは、液体または固体の洗濯および食器洗い機洗剤配合物中で使用され、この結果として、本発明は、本発明の消泡剤を含むそのような配合物に関する。そのような配合物は、例えば、アニオン性、カチオン性、両性、双性または非イオン性であり得る少なくとも1つの界面活性剤を含有する。また、配合物は、バインダー、金属イオン封鎖剤、再付着防止剤、アルカリ化剤、増量剤、充填剤、香料、およびそのようなものを含んでもよい。そのような配合物は、当業者によく知られている。
【実施例】
【0044】
シリコーン樹脂の合成
一般的な合成手順:
メカニカルスターラー、熱電対、滴下ロート、水凝縮器、窒素ガスの供給口および排出口、並びにゴムセプタムを取り付けるために、様々なネックアダプターおよびストップコックを備えたバイパスアダプターを備えた四ツ口丸底フラスコをヒドロシリル化に使用した。加熱マントルをフラスコの加熱に使用した。フラスコおよび内容物の加熱を制御するために、電子サーモスタットと併せて使用した。本製造は、穏やかな乾燥窒素ガス流下で行った。反応が完了すると、水凝縮器を避けるか、または除去し、任意の揮発性成分を真空下で除去した。生成物を40℃以下に冷却し、空気または窒素圧下で、プレフィルター有りまたは無しで0.45〜10μmのナイロンまたはポリエステルメンブランフィルターを使用して濾過した。本反応は、高い発熱性であり、温度および/または試薬添加速度を調整することによって制御しなければならない。生成物の粘度は、25℃および1013hPaで測定される。
【0045】
流体Iの合成:
反応フラスコをテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、TDSS[130.0g、1.20%w/wのH含有量]で満たした。フラスコを80℃に加熱し、アルファ−メチルスチレン(AMS、136.1g)で滴下ロートを満たし、AMSの約6分の1をフラスコに添加した。フラスコの内容物の温度をおおよそ100℃に上昇させ、シクロヘキサノール中に塩化白金酸の溶液(アルコール中の1.02%Ptw/w、93μL)を、シリンジを介してフラスコ内の撹拌(200〜255rpm)混合物に素早く添加した。急速な発熱が続いた。ロートからAMSの添加を続けて、反応の熱から温度を140〜160℃の範囲に維持した。AMSの添加が完了したら、混合物を145℃で60分間加熱した。おおよそ、式MViVi(390.7g、2.66%w/wのビニル含有量)のビニルシリコーンを、滴下ロートからゆっくりと添加した。シリコーンの添加の直後に、更なるPt触媒溶液のアリコート(93μL)を添加した。ビニルシリコーンの添加が完了した後、増加した混合速度(おおよそ425rpm)で、混合物を155℃で60分間加熱した。その次に反応混合物を約155℃で30分間真空下(5〜15mmHg)において揮散して、任意の残留揮発性物質を除去した。冷却後、生成物を濾過して、ほとんど無色透明の液体を得た。H NMR分析は、予想された生成物を示した。粘度は、154mPasである。
【0046】
流体IIの合成:
反応フラスコをテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、TDSS[8.0g、1.20%w/wのH含有量]で満たした。フラスコを80℃に加熱し、アルファ−メチルスチレン(AMS、7.0g)で滴下ロートを満たし、AMSの約6分の1をフラスコに添加した。フラスコの内容物の温度をおおよそ100℃に上昇させ、シクロヘキサノール中に塩化白金酸の溶液(アルコール中の1.02%Ptw/w、6μL)を、シリンジを介してフラスコ内の撹拌(200〜255rpm)混合物に素早く添加した。急速な発熱が続いた。ロートからAMSの添加を続けて、反応の熱から温度を140〜160℃の範囲に維持した。AMSの添加が完了したら、混合物を145℃で30分間加熱した。
【0047】
おおよそ、式MViVi(310.9g、0.309%w/wのビニル含有量)のビニルシリコーンを、滴下ロートからゆっくりと添加した。シリコーンの添加の直後に、更なるPt触媒溶液のアリコート(6μL)を添加した。ビニルシリコーンの添加が完了した後、Pt触媒溶液の他のアリコート(6μL)を添加して、増加した混合速度(おおよそ450rpm)で混合物を、145℃で60分間加熱した。その次に反応混合物をおおよそ155℃で30分間真空下(5〜15mmHg)において揮散して、任意の残留揮発性物質を除去した。冷却後、濃度の高い液体を濾過して、ほとんど無色透明の濃度の高い液体を得た。H NMR分析は、予想された生成物を示した。粘度は、93,844mPasである。
【0048】
流体IIIの合成:
反応フラスコをテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、TDSS[75.0g、1.20%w/wのH含有量]で満たした。フラスコを80℃に加熱し、アルファ−メチルスチレン(AMS、78.5g)で滴下ロートを満たし、AMSの約6分の1をフラスコに添加した。フラスコの内容物の温度を約100℃に上昇させ、シクロヘキサノール中に塩化白金酸の溶液(アルコール中の1%Ptw/w、54μL)を、シリンジを介してフラスコ内の撹拌(200〜255rpm)混合物に素早く添加した。急速な発熱が続いた。
ロートからAMSの添加を続けて、反応の熱から温度を140〜165℃の範囲に維持した。81μLの他の触媒を添加した。AMSの添加が完了したら、混合物を145℃で45分間加熱した。おおよそ、M、DおよびTユニットがメチル置換された式MPhVi(M0・190・130・14PH0・36Vi0・18)(122.5g、4.901%w/wのビニル含有量)のシリコーン樹脂を、滴下ロートからゆっくりと添加した。樹脂の添加の直後に、Pt触媒のアリコート(54μL)を添加した。樹脂の添加が完了した後、Pt触媒の他のアリコート(54μL)を添加し、混合物を145℃で60分間加熱した。その次に反応混合物を約155℃で30分間真空下(5〜15mmHg)において揮散して、任意の残留揮発性物質を除去した。冷却後、茶色がかった生成物を濾過して、暗い琥珀色の透明な液体を得た。H NMR分析は、予想された生成物を示した。粘度は、1569mPasである。
【0049】
流体IVの合成:
反応フラスコをテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、TDSS[75.0g、1.20%w/wのH含有量]で満たした。フラスコを80℃に加熱し、アルファ−メチルスチレン(AMS、73.3g)で滴下ロートを満たし、AMSの約6分の1をフラスコに添加した。フラスコの内容物の温度をおおよそ100℃に上昇させ、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル中に塩化白金酸の溶液(エーテル中の0.52%Ptw/w、109μL)を、シリンジを介してフラスコ内の撹拌(200〜255rpm)混合物に素早く添加した。急速な発熱が続いた。ロートからAMSの添加を続けて、反応の熱から温度を140〜165℃の範囲に維持した。AMSの添加が完了したら、混合物を145℃で30分間加熱した。おおよそ、式MPhVi(147.0g、4.901%のw/wビニル含有量)のシリコーン樹脂を、滴下ロートからゆっくりと添加した。樹脂の添加の直後に、Pt触媒溶液のアリコート(109μL)を添加した。樹脂の添加が完了した後、Pt触媒溶液の他のアリコート(54μL)を添加し、増加した混合速度(おおよそ300rpm)で、混合物を155℃で60分間加熱した。その次に反応混合物を約155℃で30分間真空下(5〜15mmHg)において揮散して、任意の残留揮発性物質を除去した。冷却後、暗い琥珀色の生成物を濾過して、暗い琥珀色の透明な液体を得た。H NMR分析は、予想された生成物を示した。粘度は、8300mPasである。
【0050】
流体Vの合成:
反応フラスコをテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、TDSS[75.0g、1.20%w/wのH含有量]で満たした。フラスコを80℃に加熱し、アルファ−メチルスチレン(AMS、72.0g)で滴下ロートを満たし、AMSの約6分の1をフラスコに添加した。フラスコの内容物の温度をおおよそ100℃に上昇させ、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル中に塩化白金酸の溶液(エーテル中の0.52%Ptw/w、109μL)を、シリンジを介してフラスコ内の撹拌(200〜255rpm)混合物に素早く添加した。急速な発熱が続いた。ロートからAMSの添加を続けて、反応の熱から温度を140〜165℃の範囲に維持した。AMSの添加が完了したら、混合物を145℃で30分間加熱した。おおよそ、式MPhVi(153.2g、4.901%のw/wビニル含有量)のシリコーン樹脂を、滴下ロートからゆっくりと添加した。樹脂の添加の直後に、Pt触媒溶液のアリコート(109μL)を添加した。樹脂の添加が完了した後、増加した混合速度(おおよそ425rpm)で、混合物を150℃で60分間加熱した。その次に反応混合物を約150℃で30分間真空下(5〜25mmHg)において揮散して、任意の残留揮発性物質を除去した。冷却後、暗い琥珀色の生成物を濾過して、暗い琥珀色の透明な液体を得た。H NMR分析は、予想された生成物を示した。粘度は、16,111mPasである。
【0051】
流体VIの合成:
反応フラスコをテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、TDSS[75.0g、1.20%w/wのH含有量]で満たした。フラスコを80℃に加熱し、アルファ−メチルスチレン(AMS、77.2g)で滴下ロートを満たし、AMSの約6分の1をフラスコに添加した。フラスコの内容物の温度をおおよそ100℃に上昇させ、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル中に塩化白金酸の溶液(エーテル中の0.52%Ptw/w、109μL)を、シリンジを介してフラスコ内の撹拌(200〜255rpm)混合物に素早く添加した。急速な発熱が続いた。ロートからAMSの添加を続けて、反応の熱から温度を140〜160℃の範囲に維持した。AMSの添加が完了したら、混合物を145℃で30分間加熱した。おおよそ、式MPhVi(128.6g、4.901%のw/wビニル含有量)のシリコーン樹脂を、滴下ロートからゆっくりと添加した。樹脂の添加の直後に、Pt触媒溶液のアリコート(109μL)を添加した。樹脂の添加が完了した後、増加した混合速度(おおよそ400rpm)で、混合物を150℃で60分間加熱した。その次に反応混合物を約155℃で30分間真空下(5〜25mmHg)において揮散して、任意の残留揮発性物質を除去した。冷却後、暗い琥珀色の生成物を濾過して、暗い琥珀色の透明な液体を得た。H NMR分析は、予想された生成物を示した。粘度は、2085mPasである。
【0052】
流体VIIの合成:
反応フラスコをテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、TDSS[75.0g、1.20%w/wのH含有量]で満たした。フラスコを80℃に加熱し、アルファ−メチルスチレン(AMS、75.9g)で滴下ロートを満たし、AMSの約6分の1をフラスコに添加した。フラスコの内容物の温度をおおよそ100℃に上昇させ、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル中に塩化白金酸の溶液(エーテル中の0.52%Ptw/w、109μL)を、シリンジを介してフラスコ内の撹拌(200〜255rpm)混合物に素早く添加した。急速な発熱が続いた。ロートからAMSの添加を続けて、反応の熱から温度を140〜160℃の範囲に維持した。AMSの添加が完了したら、混合物を145℃で30分間加熱した。おおよそ、式MPhVi(134.8g、4.901%のw/wビニル含有量)のシリコーン樹脂を、滴下ロートからゆっくりと添加した。樹脂の添加の直後に、Pt触媒溶液のアリコート(109μL)を添加した。樹脂の添加が完了した後、増加した混合速度(おおよそ400rpm)で、混合物を150℃で60分間加熱した。その次に反応混合物を約155℃で30分間真空下(5〜25mmHg)において揮散して、任意の残留揮発性物質を除去した。冷却後、暗い琥珀色の生成物を濾過して、暗い琥珀色の透明な液体を得た。H NMR分析は、予想された生成物を示した。粘度は、2909mPasである。
【0053】
流体VIIIの合成:
反応フラスコをテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、TDSS[75.0g、1.20%w/wのH含有量]で満たした。フラスコを80℃に加熱し、アルファ−メチルスチレン(AMS、74.6g)で滴下ロートを満たし、AMSの約6分の1をフラスコに添加した。フラスコの内容物の温度をおおよそ100℃に上昇させ、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル中に塩化白金酸の溶液(エーテル中の0.52%Ptw/w、109μL)を、シリンジを介してフラスコ内の撹拌(200〜255rpm)混合物に素早く添加した。急速な発熱が続いた。ロートからAMSの添加を続けて、反応の熱から温度を140〜160℃の範囲に維持した。AMSの添加が完了したら、混合物を145℃で30分間加熱した。おおよそ、式MPhVi(140.9g、4.901%のw/wビニル含有量)のシリコーン樹脂を、滴下ロートからゆっくりと添加した。樹脂の添加の直後に、Pt触媒溶液のアリコート(109μL)を添加した。樹脂の添加が完了した後、増加した混合速度(おおよそ325rpm)で、混合物を150℃で60分間加熱した。その次に反応混合物を約155℃で30分間真空下(5〜25mmHg)において揮散して、任意の残留揮発性物質を除去した。冷却後、暗い琥珀色の生成物を濾過して、暗い琥珀色の透明な液体を得た。H NMR分析は、予想された生成物を示した。粘度は、3587mPasである。
【0054】
消泡剤化合物の製造:
材料:
シリコーンオイル:AK 8000:トリメチルシロキサン基によって末端処理されたポリジメチルシロキサンであり、0.008m/S(25℃)の粘度を有する。
【0055】
流体I〜VIII:上記手順に従って合成したものである。
【0056】
消泡剤オイル:シリコーン樹脂MQ 803とExxsol D 100 ULAとのブレンドである。Exxsol D 100 ULAは、ExxonMobilから得られる210〜280℃の沸騰範囲を有する炭化水素混合物である。シリコーン樹脂MQ 803は、室温において固体であり、かつ、7900g/molの重量平均モル質量(ポリスチレン標準を基準とする)を有し、(29Si NMRおよびIR分析によって)40mol%の(CHSiO1/2、8mol%のCOSiO3/2、および2mol%のHOSiO3/2ユニットからなる。
【0057】
メタノール性水酸化カリウム(20%溶液)。
【0058】
充填剤:HDK T 30:Wacker Chemie AG Munichから入手可能な300m/gの表面積を有する親水性ヒュームドシリカである。
【0059】
方法:
シリコーン流体(比較例C1のシリコーンオイルAK 8000または下記表1の例1〜8の流体I〜VIIIのいずれか)、消泡剤およびメタノール性水酸化カリウム溶液を、250mLビーカーでまとめて秤量し、スパチュラを用いて手短に混合する。充填剤HDKを添加して、均一な混合物を形成するために、全てのHDKをブレンドして、再度混合した。混合物をすぐに溶解機を用いて800rpmで10分間混合した。その後、混合物を乾燥オーブン中で150℃において4時間加熱し、室温に冷却し、溶解機を用いて800rpmでさらに2分間混合した。消泡剤化合物の粘度は、25℃および1013hPaで測定される。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
消泡剤効果の試験:
1.泡止指数 AFI
独国特許公開公報第2551260号による装置には、調査中の10mgの消泡剤を含有する200mlのアルキルスルホン酸ナトリウム(MersolatTM)の4重量%濃度の水溶液(10倍量のメチルエチルケトンの溶液)を、2つの逆回転スターラーを用いて1分間泡立たせる。その後、泡の破壊を記録する。泡高さ対時間のプロットの面積を使用して、泡止指数を算出する。
【0063】
【表3】
【0064】
2.粉末洗剤を使用する洗濯機試験
泡止粉末は、以下の組成に従って泡止化合物(比較例C1および本発明の例1〜8に従って製造した)を混合することによって製造した。
【0065】
【表4】
【0066】
結果として得られた混合物は、自由流動性粉末であった。
【0067】
上記のようにして製造した消泡剤粉末の評価のために、消泡剤を含まない130gの洗浄粉末(wfk−Testgewebe Gmbh、GermanyのTWM ECE−2)に異なる重量パーセントレベル(表3参照)の粉末を添加した。その次に洗浄粉末を3500gのきれいな綿の洗濯物と共にドラムタイプの洗濯機(ファジィロジックのMiele Novotronic W918)に導入した。その後に、洗浄プログラムを開始し(温度:40℃、水硬度:3°dH)、ContiWashCam泡測定システムを用いて泡プロファイルを55分間にわたって分析した。このシステムは、毎分洗濯機窓の中央の泡レベルの写真を撮る。全ての写真を参照写真と比較する。自動化されたプログラムは、泡レベルを検出し、それを泡高さのパーセントで算出する。洗浄サイクルは、3回のセグメントに分割され、平均泡高さを3回の洗浄サイクルの平均として算出して報告する。平均パーセントが低いほど、全体として消泡剤がより効果的である。
【0068】
粉末消泡剤の試験結果を以下の表3にまとめる。
【0069】
【表5】
【0070】
試験結果によれば、例3、4および5は、比較例C1と比較して洗濯機中の粉末洗剤におけて、(洗浄サイクル中の泡高さ%によって証明されるように)より優れた泡止性能を示した。例4および5は、比較に比べてはるかに低い投入量レベルでさえ、この改善された性能を示した。
【0071】
3.液体洗剤を使用する洗濯機試験:
消泡剤化合物を60gの消泡剤を含まない液体洗剤LD886に異なる重量パーセントレベルで添加した(表4参照)。液体洗剤LD886は以下の組成を有する。
【0072】
【表6】
【0073】
消泡剤を含有する液体洗剤を、3500gのきれいな綿の洗濯物と共にドラム型洗濯機(ファジィロジックなしのMiele Novotronic W918)に導入した。その後に、洗浄プログラムを開始し(温度:40℃、水硬度:3°dH)、ContiWashCam泡測定システムを用いて泡プロファイルを55分間にわたって分析した。このシステムは、毎分洗濯機窓の中央の泡レベルの写真を撮る。全ての写真を参照写真と比較する。自動化されたプログラムは、泡レベルを検出し、それを泡高さのパーセントで算出する。洗浄サイクルは、3回セグメントに分割され、平均泡高さを3回の洗浄サイクルの平均として算出して報告する。平均パーセンテージが低いほど、全体として消泡剤がより効果的である。
【0074】
【表7】
【0075】
試験結果によれば、例3,6,7および8は、比較例C1と比較して洗濯機中の液体洗剤配合物において、(洗浄サイクル中の泡高さ%によって証明されるように)同様またはより優れた泡止性能を示した。
【0076】
いくつかの発明の消泡剤組成物は、比較例よりも悪かったが、性能は消泡された液体に性質、例えば、界面活性剤および他の成分、その他のものの含有量およびタイプに非常に依存し、かつ、他の配合物中、または上記で言及した他の用途において、比較例よりも著しく良好であり得ることに注意すべきである。
【0077】
例示的な実施形態を上記で定義したが、これらの実施形態は、本発明の全ての可能な形態を説明することを意図しない。むしろ、本明細書で使用される用語は、限定ではなく説明のための用語であり、本発明の意図および領域から逸脱することなく、様々な変更を行うことができると理解される。さらに、本発明の更なる実施形態を形成するために、様々な実施形態の特徴を組み合わせてもよい。
図1
図2
図3