特許第6522832号(P6522832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6522832
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】鉛蓄電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/28 20060101AFI20190520BHJP
   H01M 4/14 20060101ALI20190520BHJP
   H01M 10/12 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   H01M2/28
   H01M4/14 Q
   H01M10/12 Z
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-104826(P2018-104826)
(22)【出願日】2018年5月31日
【審査請求日】2018年11月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113033
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 精孝
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英明
【審査官】 前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−323881(JP,A)
【文献】 特開2007−59171(JP,A)
【文献】 特開2016−181339(JP,A)
【文献】 特開2001−43863(JP,A)
【文献】 特開2014−164993(JP,A)
【文献】 特開2003−317711(JP,A)
【文献】 特開2003−288951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/28
H01M 4/14
H01M 10/06−10/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板とを隔離板を介して交互に積層した極板群、上記極板群の同極性同士の極板の耳部を連結したストラップ、及び、上記ストラップと極柱とを接続した極柱の座、を備える鉛蓄電池において、正極側の極柱の座と正極ストラップとの接合部分の二つのエッジ部から、夫々のエッジ部の同側に存在する、上記正極ストラップの長さ方向の端部までの距離(a−1,a−1’)が、0〜20mmであり、上記正極ストラップの幅(b−1)が、10〜25mmであり、かつ、上記正極ストラップの厚さ(c−1)が、5〜15mmであり、加えて、耳部と足部とを除く正極板の高さ(d−1)が180mm以上であることを特徴とする鉛蓄電池。
【請求項2】
上記の正極側の極柱の座と正極極柱との接合部分の長さ(e−1)が、該正極極柱の長手方向に垂直な断面において、該正極極柱の断面の周の長さの30〜60%である、請求項1記載の鉛蓄電池。
【請求項3】
定格容量が100Ah〜2,000Ahであり、運用時の最大電流が、0.6C10アンペア(A)以下である、請求項1又は2記載の鉛蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛蓄電池に関し、更に詳しくは、中容量以上でありながら比較的小さな電流しか流さない鉛蓄電池における、正極ストラップの寸法、及び、上記正極ストラップと、該正極ストラップと正極極柱とを接続する正極側の極柱の座(以下、「正極極柱の座」と言うことがある。)との接合位置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉛又は鉛合金を主成分とする基板に正極活物質ペーストを充填して成る複数の正極板と、鉛又は鉛合金を主成分とする基板に負極活物質ペーストを充填して成る複数の負極板とを、ガラス繊維を主体とする隔離板を介して交互に積層して形成された極板群を、電槽内に収容し、上記極板群中の同極性同士の極板の耳部をストラップにより連結し、該ストラップに接続された極柱の座に極柱を設けた鉛蓄電池が広く知られている。また、近年、このような鉛蓄電池に対する長寿命化の要求がますます高まってきており、産業用鉛蓄電池においては、15年以上、例えば、20年の寿命が必要とされる品種もある。
【0003】
鉛蓄電池の長寿命化を図るために、例えば、複数の極板の各耳部を鉛あるいは鉛合金からなるストラップで接続した極板群を有する鉛蓄電池において、前記各耳部の板面方向と平行方向の前記ストラップの断面積が、極柱がある部分から離れるにつれて次第に小さくなっていることを特徴とする鉛蓄電池が知られている(特許文献1)。該発明は、大容量であってかつ大電流を流す鉛蓄電池に関するものであり、大電流で放電した際に生ずる温度上昇によるストラップの溶断を防止し、かつ、無駄な鉛又は鉛合金を極力少なくし得るストラップの形状を提案するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−173579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、中容量以上でありながら比較的小さな電流しか流さない鉛蓄電池において、長期間に亘る運用において発生する正極板の伸びに起因する正極ストラップの破断を、効果的に防止し得る構造を有する鉛蓄電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記特許文献1記載の発明は、大容量であってかつ大電流を流す鉛蓄電池に関するものであり、大電流を流した際に発生する熱による、ストラップの溶断を回避する構造を提供するものである。例えば、実施例では、2V−1,000Ahの鉛蓄電池において、3C10A(3,000A)の大電流で放電した際のストラップ温度を測定し、ストラップの溶断の有無を観察して評価している。しかし、容量の大きい中容量以上の鉛蓄電池であっても、用途によっては、0.6C10A以下の小さな電流しか流さないような鉛蓄電池においては、そもそも、放電電流により温度上昇が生じて、ストラップが溶断することなど起こり得ない。
【0007】
しかし、このような小さな電流しか流さない鉛蓄電池であっても、使用期間が15〜20年という長期に及ぶようになると、ストラップが折れて破断してしまうという現象が報告されるようになってきた。本発明者は、この原因が何によるものかを追及したところ、使用期間が長期に及ぶと、その間の浮動充電又は充放電サイクル運用によって、正極板に腐食が生じて正極板自体が伸び、そして、正極ストラップが下から押し上げられて湾曲し、それにより、とりわけ、正極極柱の座と正極ストラップとの接合部分のエッジ部に、応力が集中してクラックが発生し、そして、クラックが発生した部分において腐食が加速されるためであることを見つけ出した。とりわけ、正極板の高さが大きいもの、例えば、耳部と足部とを除く正極板の高さが180mm以上、更には200mm以上であると、正極ストラップが破断する危険性が極めて大きくなることを見出した。
【0008】
上記の正極ストラップの破断を防止するためには、正極ストラップをより頑丈なものにすればよい。しかし、それでは鉛蓄電池の使用材料量及び全体重量の増加等により、製造コストが著しく増大してしまう。また、正極ストラップを多少頑丈にした程度では、腐食による極板の伸びの力は強靭なため、ストラップの湾曲、また、それに伴う破断は抑制できない。そこで、本発明者は、如何にすれば、このようなコストの増大を伴わずに正極ストラップの破断を防止し得るかについて、種々検討を重ねた。その結果、正極極柱の座と正極ストラップとの接合部分の二つのエッジ部から、夫々のエッジ部の同側に存在する、正極ストラップの長さ方向の端部までの距離(a−1,a−1’)、正極ストラップの幅(b−1)及び正極ストラップの厚さ(c−1)を、下記所定の寸法にすれば、上記課題を効果的に解決し得ることを見出した。そして、これらに加えて、好ましくは、正極極柱の座と上記正極極柱との接合部分の長さ(e−1)を、著しく短くすることができることをも見出したのである。
【0009】
即ち、本発明は、
(1)正極板と負極板とを隔離板を介して交互に積層した極板群、上記極板群の同極性同士の極板の耳部を連結したストラップ、及び、上記ストラップと極柱とを接続した極柱の座、を備える鉛蓄電池において、正極側の極柱の座と正極ストラップとの接合部分の二つのエッジ部から、夫々のエッジ部の同側に存在する、上記正極ストラップの長さ方向の端部までの距離(a−1,a−1’)が、0〜20mmであり、上記正極ストラップの幅(b−1)が、10〜25mmであり、かつ、上記正極ストラップの厚さ(c−1)が、5〜15mmであり、加えて、耳部と足部とを除く正極板の高さ(d−1)が180mm以上であることを特徴とする鉛蓄電池である。
【0010】
好ましい態様として、
(2)上記の正極側の極柱の座と正極極柱との接合部分の長さ(e−1)が、該正極極柱の長手方向に垂直な断面において、該正極極柱の断面の周の長さの60%以下である、上記(1)記載の鉛蓄電池、
(3)上記の正極側の極柱の座と正極極柱との接合部分の長さ(e−1)が、該正極極柱の長手方向に垂直な断面において、該正極極柱の断面の周の長さの30〜60%である、上記(1)記載の鉛蓄電池、
(4)上記の正極側の極柱の座と正極ストラップとの接合部分の二つのエッジ部から、夫々のエッジ部の同側に存在する、上記正極ストラップの長さ方向の端部までの距離(a−1,a−1’)が、10〜20mmである、上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の鉛蓄電池、
(5)上記正極ストラップの幅(b−1)が、10〜20mmである、上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の鉛蓄電池、
(6)上記正極ストラップの厚さ(c−1)が、5〜10mmである、上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の鉛蓄電池、
(7)耳部と足部とを除く上記正極板の高さ(d−1)が、200mm以上である、上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の鉛蓄電池、
(8)運用時の最大電流が、0.6C10アンペア(A)以下である、上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の鉛蓄電池、
(9)運用時の最大電流が、0.1〜0.3C10アンペア(A)である、上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の鉛蓄電池、
(10)上記正極ストラップの長さ(全長)が、250〜300mmである、上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の鉛蓄電池、
(11)上記正極ストラップの長さ(全長)が、260〜290mmである、上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の鉛蓄電池
を挙げることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鉛蓄電池によれば、中容量以上でありながら比較的小さな電流しか流さない鉛蓄電池の長期間に亘る運用において発生する、正極板の腐食に伴う伸びによる正極ストラップの破断を、効果的に防止し得るばかりではなく、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の鉛蓄電池の一実施態様を示す外観図である。
図2】本発明の鉛蓄電池に収容される極板群の一実施態様を示す正面図である。
図3】本発明の鉛蓄電池の蓋を取り外した状態における平面図である。
図4】本発明の鉛蓄電池の正極ストラップ、正極極柱の座及び正極極柱を示す概略図である。
図5】極板の高さ(d)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の鉛蓄電池は、正極板、例えば、鉛又は鉛合金を主成分とする基板に正極活物質ペーストを充填して成る正極板と、負極板、例えば、鉛又は鉛合金を主成分とする基板に負極活物質ペーストを充填して成る負極板とを、隔離板、例えば、ガラス繊維を主体とするリテーナマットを介して交互に積層した極板群;上記極板群の同極性同士の極板の耳部を連結したストラップ;及び、上記ストラップと極柱とを接続した極柱の座を備える。ここで、上記ストラップ及び極柱の座は、好ましくは、鉛又は鉛合金を主成分とするものである。該鉛蓄電池は、従来公知の方法で製造することができる。
【0014】
以下、本発明の鉛蓄電池について図面を参照して説明する。図1は、本発明の鉛蓄電池(A)の一実施態様を示す外観図であり、上図が平面図であり、下図が正面図である。図2は、図1に示した本発明の鉛蓄電池に収容される極板群(10)の一実施態様を示す正面図である。左図が正極側(10−1)を示し、右図が負極側(10−2)を示す。図3は、図1に示した本発明の鉛蓄電池(A)の蓋(2)を取り外した状態における平面図である。鉛蓄電池(A)は、上面に開口部を有する、中空の略直方体である電槽(1)と、該電槽(1)の開口部の周縁部(1−1)に熱融着等により接合された蓋(2)とを備える。ここで、電槽(1)及び蓋(2)は、合成樹脂、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂等により形成されている。蓋(2)には、極柱(4)、即ち、正極極柱(4−1)及び負極極柱(4−2)が挿通される端子挿通孔が備えられており、これらの端子挿通孔に鉛合金製のブッシングを蓋(2)の合成樹脂材料内にインサートして成形されている。また、正極極柱(4−1)及び負極極柱(4−2)は、ブッシングと一体的に溶接されると共に、これらの先端部は蓋(2)の上部に突出して、夫々、正極端子及び負極端子を形成している。また、ブッシングと、該ブッシングと該極柱の溶接箇所の上面にエポキシ樹脂が注入され、それを硬化させて端子封口部(5)が形成される。電槽(1)内には、蓋(2)の上面に設けられた注液口より、所定濃度の希硫酸から成る電解液が注入される。該注液口には、ゴム弁が被せられ、その上から排気栓(3)が装着されて、鉛蓄電池(A)が密閉される。
【0015】
電槽(1)内には、例えば、図2に示されているような極板群(10)が収容される。極板群(10)は、複数の正極板(11−1)と複数の負極板(11−2)とを備え、これら正極板(11−1)と負極板(11−2)とを隔離板(図示せず)、例えば、微細ガラス繊維を主体としたマット状セパレータを介して交互に積層されて形成されている。正極板(11−1)は、その上方に突出する正極耳部(12−1)を備え、これらは、極板群(10−1)の積層方向に延びる正極ストラップ(16−1)により一体的に連結されている。同様に、負極板(11−2)も、その上方に突出する負極耳部(12−2)を備え、これらは、極板群(10−2)の積層方向に延びる負極ストラップ(16−2)により一体的に連結されている。 図3に示されているように、正極ストラップ(16−1)及び負極ストラップ(16−2)は、いずれも、極柱の座(15)[正極側(15−1)、負極側(15−2)]を介して、夫々、正極端子となる正極極柱(4−1)及び負極端子となる負極極柱(4−2)に接続されている。
【0016】
図3に示されているように、極板集電部(13)は、極柱の座(15)とストラップ(16)とから構成されている。ここで、ストラップ(16)は、極板群(10)の積層方向に向かって平面略長方形に形成されている。また、極柱の座(15)は、平面略三角形状に形成されている。極柱の座(15)は、黄銅と鉛又は鉛合金を主成分とする極柱(4)と一体化されて形成されている。極板集電部(13)は、極柱(4)に一体的に設けられた極柱の座(15)とストラップ(16)とを溶接することにより一体的に構成される。
【0017】
図4は、上記本発明の鉛蓄電池(A)の正極ストラップ(16−1)、正極極柱の座(15−1)及び正極極柱(4−1)のみを取り出して示した概略図であり、上図が平面図であり、下図が正面図である。本発明においては、正極極柱の座(15−1)と正極ストラップ(16−1)との接合部分の二つのエッジ部(20−1a,20−1a’)から、夫々のエッジ部(20−1a,20−1a’)の同側に存在する、上記正極ストラップ(16−1)の長さ方向の端部(16−1a,16−1a’)までの距離(a−1,a−1’)が、0〜20mmであり、好ましくは10〜20mmである。ここで、該距離(a−1,a−1’)は同一であっても異なっていてもよい。正極ストラップ(16−1)の幅(b−1)は、10〜25mmであり、好ましくは10〜20mmである。また、正極ストラップ(16−1)の厚さ(c−1)は、5〜15mmであり、好ましくは5〜10mmである。エッジ部(20−1a,20−1a’)から正極ストラップ端部(16−1a,16−1a’)までの距離(a−1,a−1’)、正極ストラップ(16−1)の幅(b−1)及び正極ストラップ(16−1)の厚さ(c−1)を上記の範囲にすることにより、正極板(11−1)の腐食による伸びに起因する正極ストラップ(16−1)の破断を長期間に亘って効果的に防止することができる。また、正極ストラップ(16−1)の幅(b−1)及び厚さ(c−1)が上記上限を超えても、破断防止効果に著しい改善は認められず、余計な材料の使用によりコスト高を招くばかりではなく、電池自体の質量が増加してしまう。また、本発明の鉛蓄電池においては、極板(11)の高さ(d)、とりわけ、正極板(11−1)の高さ(d−1)は180mm以上、好ましくは200mm以上であることが必要であり、最大約500mmである。上記下限未満では、そもそも、正極板の腐食による正極板の伸び自体が小さく、正極ストラップ(16−1)が破断するほどの応力が正極ストラップ(16−1)にかかることがない。ここで、極板(11)の高さ(d)とは、図5に示されているように、耳部(12)及び足部(17)を除いた極板の高さを言う。加えて、本発明の鉛蓄電池(A)においては、正極極柱の座(15−1)と正極極柱(4−1)との接合部分の長さ(e−1)は、正極極柱(4−1)の長手方向に垂直な断面における正極極柱(4−1)の断面の周の長さの60%以下であることが好ましく、正極極柱(4−1)の断面の周の長さの30〜60%であることがより好ましい。ここで、正極極柱の座(15−1)は、通常、ほぼ一定の厚さを有する平板であり、その厚さは、好ましくは5〜15mm、より好ましくは8〜10mmである。また、正極ストラップ(16−1)の長さ(全長)は、特に制限はないが、好ましくは250〜300mmであり、より好ましくは260〜290mmである。ここで、ストラップ(16)は、鉛又は鉛合金を主成分とするものであり、その硬度は低く比較的柔らかいものであることから、上記の距離(a−1,a−1’)は、正極ストラップ(16−1)の長さにほぼ無関係であり、上記範囲であれば本発明の効果を達成することができる。一方、負極側においては腐食による負極板(11−2)の伸びが発生することがない故に、負極側の極柱の座(以下、「負極極柱の座」と言うことがある。)(15−2)と負極ストラップ(16−2)との接合部分の二つのエッジ部(20−2a,20−2a’)から、夫々のエッジ部(20−2a,20−2a’)の同側に存在する、上記負極ストラップ(16−2)の長さ方向の端部(16−2a,16−2a’)までの距離(a−2,a−2’)、負極ストラップ(16−2)の幅(b−2)及び厚さ(c−2)、並びに、負極極柱の座(15−2)と負極極柱(4−2)との接合部分の長さ(e−2)は、いずれも任意である。但し、上記寸法を余りに小さくすると、たとえ、小さな電流しか流さなくても、鉛蓄電池の運用中に負極板集電部(13−2)が局部的に発熱して溶断するなどの問題が発生するおそれがある。従って、通常、負極ストラップ(16−2)の幅(b−2)及び厚さ(c−2)を夫々10mm以上及び5mm以上、並びに、負極極柱の座(15−2)と負極極柱(4−2)との接合部分の長さ(e−2)を、負極極柱の長手方向に垂直な断面において、該負極極柱の断面の周の長さの30%以上にしておけばよく、また、負極極柱の座(15−2)の厚さは、5mm以上にしておけばよい。負極板(11−2)の寸法は、正極板とほぼ同一であり、例えば、負極板(11−2)の高さ(d−2)は、通常、正極板の高さ(d−1)と同一である。
【0018】
本発明は、中容量以上でありながら比較的小さな電流しか流さない鉛蓄電池に適用され、運用時の最大電流が、好ましくは0.6C10アンペア(A)以下であり、より好ましくは0.1〜0.3C10アンペア(A)である鉛蓄電池に適用される。なお、0.6C10アンペア(A)を超える電流で充放電を繰り返すと、電池の内部温度の上昇による影響が顕著となる。該温度上昇によって腐食が加速され、それに伴う極板の伸びが著しく、ストラップが早期に破断し、短寿命となるおそれがある。ここで、中容量以上の鉛蓄電池とは、通常、定格容量が100Ah〜2,000Ah程度、好ましくは100Ah〜1,000Ah程度、より好ましくは500Ah〜1,000Ah程度の鉛蓄電池を意味する。
【0019】
以下の実施例において、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0020】
(鉛蓄電池の製造)
実施例1〜8及び11〜15、並びに比較例1〜18において使用した鉛蓄電池は、下記の通りに製造した。公知の方法で製造した未化成の正極板(11−1)22枚と負極板(11−2)23枚とを、微細ガラス繊維を主体としたマット状セパレータを介して交互に積層して組み合わせた後、同極性同士の極板の耳部(12−1,12−2)と、予め極柱に接合されている極柱の座(15−1,15−2)とを、足し鉛を溶解させながら溶接してストラップ(16−1,16−2)を形成した。この際、正極側については、極柱の座(15−1)とストラップ(16−1)との接合部分の二つのエッジ部(20−1a,20−1a’ )から、夫々のエッジ部の同側に存在する、ストラップ(16−1)の長さ方向の端部(16−1a,16−1a’)までの距離(a−1,a−1’)、ストラップの幅(b−1)及びストラップの厚さ(c−1)、並びに、ストラップの長さ(L−1)及び極柱の座(15−1)と極柱(4−1)との接合部分の長さ(e−1)を、夫々、表1に示した所定の寸法に調節した。負極側については極柱の座(15−2)とストラップ(16−2)との接合部分の二つのエッジ部(20−2a,20−2a’)から、夫々のエッジ部の同側に存在する、ストラップ(16−2)の長さ方向の端部(16−2a,16−2a’)までの距離(a−2,a−2’)を30mm、ストラップの幅(b−2)を20mm、ストラップの厚さ(c−2)を10mm、ストラップの長さ(L−2)を正極ストラップ長さ(L−1)に10mm加算した長さとし、かつ、極柱の座(15−2)と極柱(4−2)との接合部分の長さ(e−2)を、極柱(4−2)の長手方向に垂直な断面において、極柱(4−2)の断面の周の長さの55%とした。ここで、極柱の座(15−1,15−2)はいずれも平板であり、その厚さはいずれも10mmであった。極柱の座(15−1,15−2)と、足し鉛を溶解させながら溶接してストラップ(16−1,16−2)を形成する際、ストラップの厚みが極柱の座の厚みよりも厚い電池の場合は、溶解させた足し鉛が極柱の座の上部に流れ込まないように治具で遮蔽して溶接した。また、正極極柱(4−1)及び負極極柱(4−2)の長さ方向に垂直な断面の形状はいずれも略円形であり、その直径はいずれも40mmであった。また、極板(正極板及び負極板共)の高さ(d−1,d−2)は400mmとした。このようにして一体化された極板群(10)をポリプロピレン製の電槽(1)に挿入し、ヒートシールによって蓋(2)をして、未化成の鉛蓄電池を製造した。これに比重1.23の電解液を、極板群の理論空間体積の100%となるように調整し注液した。次いで、定格容量の約10倍の電気量で72時間通電して電槽化成を実施した。電槽化成終了後、電解液の補液作業を実施し、次いで、補充電を実施して2V−1,000Ahの鉛蓄電池を製造した。また、実施例9、10及び比較例19〜22においては、極板(正極板及び負極板共)の高さ(d−1,d−2)を180mmとした以外は、上記と同様の操作にて2V−450Ahの鉛蓄電池を製造した。なお、参考例1においては、極板(正極板及び負極板共)の高さ(d−1,d−2)を150mmとした以外は、上記と同様の操作にて2V−375Ahの鉛蓄電池を製造した。また、実施例11及び13は、夫々、実施例1及び5に対して、ストラップの長さ(L−1)を300mmにしたものであり、一方、実施例12及び14は、夫々、実施例1及び5に対して、ストラップの長さ(L−1)を250mmにしたものである。前者においては、セパレータの厚みを厚くして極板の間隔を大きくすることによりストラップの長さを長くし、一方、後者においては、セパレータの厚みを薄くして極板の間隔を小さくすることによりストラップの長さを短くした。同一寸法の電槽に、長さが異なる正極ストラップを備える極板群を挿入すると、極板群と電槽の間に余分な空間が生じたり、極板群が挿入できない等の問題が発生する。従って、本実施例、本比較例及び参考例1においては、最大長さである300mm長の正極ストラップを備える極板群を挿入するのに最適な寸法の電槽を全てに使用し、ストラップの長さが300mm未満の極板群については極板群の両側に適宜、厚みの違うスペーサを挿入して余分空間が生じないように調整した。ここで、上記の各実施例、各比較例及び参考例1において、電池容量当たりの耳部と足部とを除く正極板の格子の鉛量は、いずれもほぼ同一であった。
【0021】
(高温加速浮動充電試験及び容量試験)
実施例及び比較例において高温加速浮動充電試験及び容量試験を、下記の要領にて実施した。上記のようにして製造した鉛蓄電池を、温度60℃の恒温槽中に設置し、浮動充電電圧2.23V/セルにおいて高温加速浮動充電試験に供した。浮動充電試験を開始した後、25℃換算年数で1年(60℃では32日)経過後に、60℃の恒温槽から鉛蓄電池を取り出し、25℃の環境において容量試験を実施した。ここで、容量試験条件は放電電流0.1C10及び放電終止電圧1.8V/セルとした。この操作を繰り返し、鉛蓄電池が、その定格容量の80%を下回った時点を寿命とした。この試験においては、25℃換算年数20年に満たない期間において、定格容量の80%を下回った電池は全てストラップの破断が生じたことによるものであった。25℃換算年数20年に到達した時点で高温加速浮動充電試験及び容量試験を終了し、解体調査を実施して、正極ストラップ(16−1)の破断の有無調査を行った。
【0022】
(実施例1〜15、比較例1〜22及び参考例1)
上記のようにして製造した夫々の鉛蓄電池について、上記の高温加速浮動充電試験及び容量試験を実施して、正極ストラップ(16−1)の破断の有無を調査した。結果を表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例1〜4は、正極極柱の座(15−1)と正極ストラップ(16−1)との接合部分の二つのエッジ部(20−1a,20−1a’)から、夫々のエッジ部の同側に存在する、上記正極ストラップの長さ方向の端部(16−1a,16−1a’)までの距離(a−1,a−1’)を0mmとしたものである。即ち、正極極柱の座(15−1)の幅を最大にしたものである。ここで、実施例1は、正極ストラップの幅(b−1)及び厚さ(c−1)をいずれも本発明の範囲で最少にしたものである。正極ストラップ(16−1)の破断は生じなかった。実施例2〜4は、実施例1に対して、正極ストラップの幅(b−1)及び厚さ(c−1)を本発明の範囲内で変化させたものである。いずれも正極ストラップ(16−1)の破断は認められず、かつ、コスト的にも見合うものであった。
【0025】
一方、比較例1〜8は、実施例1〜4と同様に、距離(a−1,a−1’)を0mmとしたものである。ここで、比較例1及び2は、いずれも、実施例2に対して、正極ストラップの幅(b−1)を本発明の範囲未満にしたものである。いずれの正極ストラップ(16−1)にも破断が生じた。このように、正極極柱の座(15−1)の幅及び正極ストラップの厚さ(c−1)を、本発明の範囲で最大にしても、正極ストラップの幅(b−1)を本発明の範囲未満、即ち、10mm未満にすると正極ストラップ(16−1)に破断が生じることが分かった。比較例3及び4は、夫々、実施例1及び2に対して、正極ストラップの厚さ(c−1)を、本発明の範囲未満及び本発明の範囲を超えるものとしたものである。正極ストラップの厚さ(c−1)を本発明の範囲未満、即ち、4mmにした比較例3では、正極ストラップ(16−1)に破断が生じた。その一方、正極ストラップの厚さ(c−1)を本発明の範囲を超えるものとした比較例4では、正極ストラップ(16−1)に破断が生じなかったが、厚さ(c−1)が過大となり、コスト的に見合うものとは言えなかった。比較例5及び6は、夫々、実施例3及び4に対して、正極ストラップの厚さ(c−1)を、本発明の範囲未満及び本発明の範囲を超えるものとしたものである。比較例5では、正極極柱の座(15−1)の幅及び正極ストラップの厚さ(b−1)を、本発明の範囲で最大にしたものではあるが、正極ストラップの厚さ(c−1)が本発明の範囲未満、即ち、4mmであっては正極ストラップ(16−1)に破断が生じることが分かった。また、比較例6では、正極ストラップ(16−1)の破断は生じなかったが、上記と同様にコスト的に見合うものでなかった。比較例7及び8は、正極ストラップの幅(b−1)を本発明の範囲を超えるものとし、かつ、正極ストラップの厚さ(c−1)を、夫々、本発明の範囲未満及び本発明の範囲を超えるものとしたものである。比較例7から明らかなように、正極極柱の座(15−1)の幅を最大にし、かつ、正極ストラップの幅(b−1)を本発明の範囲を超えるほど過大にしても、正極ストラップの厚さが本発明の範囲未満、即ち、4mmであっては正極ストラップ(16−1)に破断が生じた。比較例8では、正極ストラップ(16−1)の破断は生じなかったが、全くコスト的に見合うものでなかった。
【0026】
実施例5〜8は、距離(a−1,a−1’)を20mmとした以外は、夫々、実施例1〜4と同一の正極ストラップの幅(b−1)及び厚さ(c−1)を有するものである。即ち、正極極柱の座(15−1)の幅を、本発明の範囲内で最小にしたものである。いずれも正極ストラップ(16−1)の破断は認められず、かつ、コスト的にもより一層見合うものであった。また、実施例1〜4と比較して、よりコスト的に良好であった。
【0027】
一方、比較例9〜16は、実施例5〜8と同様に、距離(a−1,a−1’)を20mmとしたものである。ここで、比較例9及び10は、いずれも、実施例6に対して、正極ストラップの幅(b−1)を本発明の範囲未満にしたものである。いずれの正極ストラップ(16−1)にも破断が生じた。比較例11及び12は、夫々、実施例5及び6に対して、正極ストラップの厚さ(c−1)を、本発明の範囲未満及び本発明の範囲を超えるものとしたものである。正極ストラップの厚さ(c−1)を本発明の範囲未満、即ち、4mmにした比較例11では、正極ストラップ(16−1)に破断が生じた。その一方、正極ストラップの厚さ(c−1)を本発明の範囲を超えるものとした比較例12では、正極ストラップ(16−1)に破断が生じなかったが、コスト的に見合うものとは言えなかった。比較例13及び14は、夫々、実施例7及び8に対して、正極ストラップの厚さ(c−1)を、本発明の範囲未満及び本発明の範囲を超えるものとしたものである。比較例13では、正極ストラップ(16−1)に破断が生じた。一方、比較例14では、正極ストラップ(16−1)の破断は生じなかったが、コスト的に見合うものでなかった。比較例15及び16は、正極ストラップの幅(b−1)を本発明の範囲を超えるものとし、かつ、正極ストラップの厚さ(c−1)を、夫々、本発明の範囲未満及び本発明の範囲を超えるものとしたものである。比較例15から分かるように、正極ストラップの幅(b−1)を本発明の範囲を超えるものとしても、正極ストラップの厚さ(c−1)を本発明の範囲未満にすると、正極ストラップ(16−1)に破断が生じた。比較例16では、正極ストラップ(16−1)の破断は生じなかったが、全くコスト的に見合うものでなかった。また、比較例17及び18は、距離(a−1,a−1’)を本発明の範囲を超えるものにしたものである。比較例17から明らかなように、距離(a−1,a−1’)が本発明の範囲を僅かにでも超えると、正極ストラップ(16−1)に破断が生じた。また、比較例18のように、正極ストラップの幅(b−1)及び厚さ(c−1)を本発明の範囲を超えて相当大きくしても、距離(a−1,a−1’)が本発明の範囲を超えると、ストラップ(16−1)に破断が生じた。
【0028】
実施例9は、実施例1において、即ち、距離(a−1,a−1’)が0mm、正極ストラップの幅(b−1)が10mm及び正極ストラップの厚さ(c−1)が5mmである場合に、正極板の高さ(d−1)を180mmとしたものである。また、実施例10は、実施例5において、即ち、距離(a−1,a−1’)が20mm、正極ストラップの幅(b−1)が10mm及び正極ストラップの厚さ(c−1)が5mmである場合に、正極板の高さ(d−1)を180mmとしたものである。いずれも、正極ストラップ(16−1)の破断は生じなかった。一方、比較例19及び20は、実施例9と同じく、距離(a−1,a−1’)が0mmである場合に、正極板の高さ(d−1)を180mmとしたものであって、正極ストラップの幅(b−1)及び厚さ(c−1)を本発明の範囲外にしたものである。また、比較例21及び22は、実施例10と同じく、距離(a−1,a−1’)が20mmである場合に、正極板の高さ(d−1)を180mmとしたものであって、正極ストラップの幅(b−1)及び厚さ(c−1)を本発明の範囲外にしたものである。比較例19〜22のいずれにおいても、正極ストラップ(16−1)に破断が見られた。以上のことから、正極板の高さ(d−1)が180mmの場合においても、正極板の高さ(d−1)が400mmの場合と同様に、距離(a−1,a−1’)、正極ストラップの幅(b−1)及び厚さ(c−1)を、本発明の範囲にすることにより、正極ストラップ(16−1)の破断を防止し得ることが分かった。なお、参考例1は、正極板の高さ(d−1)を150mmとした以外は、比較例1及び20と同一の条件で正極ストラップ(16−1)の破断の有無を調査したものである。比較例1及び20、即ち、正極板の高さ(d−1)が夫々400mm及び180mmの場合においては、正極ストラップ(16−1)の破断が認められたが、正極板の高さ(d−1)を150mmとした参考例1では、正極ストラップ(16−1)の破断は認められなかった。これは、正極板の高さ(d−1)が小さいことから極板自体の腐食による伸びが小さく、従って、そもそも、正極ストラップ(16−1)の破断が生ずるような応力が発生していないためと考えられる。また、比較例4、6、8、12、14、16及び18においては、正極ストラップの厚さ(c−1)は、いずれも18mmである。このように、正極ストラップの厚さ(c−1)が15mmを超えると、正極極柱の座の厚みとの差があまりに大きいため、正極ストラップ(16−1)の形成の際に、足し鉛の溶解と溶解した足し鉛の流し込みの繰り返し作業が増加することからコストアップにつながり好ましくない。
【0029】
実施例11〜14は、いずれも、正極ストラップの長さ(L−1)を変えたものである。いずれの場合にも、正極ストラップ(16−1)の破断は認められなかった。また、実施例15は、正極極柱の座(15−1)と正極極柱(4−1)との接合部分の長さ(e−1)が、正極極柱(4−1)の長手方向に垂直な断面における該極柱(4−1)の断面の周の長さの30%であるものである。同様に、正極ストラップ(16−1)の破断は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の鉛蓄電池は、中容量以上でありながら比較的小さな電流しか流さない鉛蓄電池であって、かつ、長期間に亘って、ストラップの破断を効果的に防止し得るばかりではなく、製造コスト等が比較的低いことから、長寿命を要求される産業用鉛蓄電池として、今後、大いに利用されることが期待される。
【符号の説明】
【0031】
A 鉛蓄電池
1 電槽
1−1 電槽の開口部の周縁部
2 蓋
3 排気栓
4 極柱
4−1 正極極柱
4−2 負極極柱
5 端子封口部
10 極板群
10−1 正極板群
10−2 負極板群
11 極板
11−1 正極板
11−2 負極板
12 耳部
12−1 正極耳部
12−2 負極耳部
13 極板集電部
13−1 正極板集電部
13−2 負極板集電部
15 極柱の座
15−1 正極側の極柱の座
15−2 負極側の極柱の座
16 ストラップ
16−1 正極ストラップ
16−2 負極ストラップ
17 足部
16a,16a’ ストラップの長さ方向の両端部
16a−1,16a−1’ 正極ストラップの長さ方向の両端部
16a−2,16a−2’ 負極ストラップの長さ方向の両端部
20a,20a’ 極柱の座とストラップとの接合部分の二つのエッジ部
20−1a,20−1a’ 正極極柱の座と正極ストラップとの接合部分の二つのエッジ部
20−2a,20−2a’ 負極極柱の座と負極ストラップとの接合部分の二つのエッジ部
a,a’ 極柱の座とストラップとの接合部分の二つのエッジ部から、夫々のエッジ部の同側に存在する、ストラップの長さ方向の端部までの距離
a−1,a−1’ 正極極柱の座と正極ストラップとの接合部分の二つのエッジ部から、夫々のエッジ部の同側に存在する、正極ストラップの長さ方向の端部までの距離
a−2,a−2’ 負極極柱の座と負極ストラップとの接合部分の二つのエッジ部から、夫々のエッジ部の同側に存在する、負極ストラップの長さ方向の端部までの距離
b ストラップの幅
b−1 正極ストラップの幅
b−2 負極ストラップの幅
c ストラップの厚さ
c−1 正極ストラップの厚さ
c−2 負極ストラップの厚さ
d 極板の高さ
d−1 正極板の高さ
d−2 負極板の高さ
e 極柱の座と極柱との接合部分の長さ
e−1 正極極柱の座と正極極柱との接合部分の長さ
e−2 負極極柱の座と負極極柱との接合部分の長さ
L ストラップの長さ
L−1 正極ストラップの長さ
L−2 負極ストラップの長さ
【要約】
【課題】本発明は、中容量以上でありながら比較的小さな電流しか流さない鉛蓄電池の長期間に亘る運用において発生する正極板の伸びに起因する正極ストラップの破断を、効果的に防止し得る構造を有する鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】本発明は、正極板と負極板とを隔離板を介して交互に積層した極板群、上記極板群の同極性同士の極板の耳部を連結したストラップ、及び、上記ストラップと極柱とを接続した極柱の座、を備える鉛蓄電池において、正極側の極柱の座と正極ストラップとの接合部分の二つのエッジ部から、夫々のエッジ部の同側に存在する、上記正極ストラップの長さ方向の端部までの距離が、0〜20mmであり、上記正極ストラップの幅が、10〜25mmであり、かつ、上記正極ストラップの厚さが、5〜15mmであり、加えて、耳部と足部とを除く正極板の高さが180mm以上であることを特徴とする鉛蓄電池である。
【選択図】なし
図1
図2
図3
図4
図5