(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、説明を簡易化するために、適宜1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る表示装置を概略的に示している。この表示装置100は、表示媒体10と、表示媒体10を駆動する駆動装置20と、を備えている。駆動装置20は、表示媒体10に電圧を印加する電圧印加部30と、表示媒体10に表示させる画像の画像情報に応じて電圧印加部30を制御する制御部40と、を含んで構成されている。
【0019】
表示媒体10は、画像表示面とされる、透光性を有する表示基板50と、非表示面とされる背面基板52と、が間隙を持って対向して配置されている。表示基板50には、透光性を有する共通電極としての表示側電極54が形成され、背面基板52には、画素電極としての背面側電極56が複数形成されている。なお、
図1では、背面基板52に2つの背面側電極56A、56Bが形成された場合を示したが、実際の表示媒体10においては、背面側電極56は背面基板52上に多数形成される。以下では、背面側電極56A、56Bを区別しない場合には単に背面側電極56と称する場合がある。また、表示側電極54及び背面側電極56は、表示基板50及び背面基板52に設けず、外部電極としてもよい。
【0020】
また、表示媒体10には、表示基板50と背面基板52との基板間を定められた間隔に保持すると共に、当該基板間を複数のセルに区画する間隙部材58が設けられている。
【0021】
上記セルとは、表示側電極54が設けられた表示基板50と、複数の背面側電極56が設けられた背面基板52と、間隙部材58と、によって囲まれた領域を示している。なお、それぞれの電極表面には、保護膜や絶縁材料などからなる表面層55、57が各々設けられている。なお、
図1では、1つのセル中に2つの背面側電極56A、56Bが含まれている場合を示したが、1つのセル中に含まれる背面側電極56の数は2つに限られるものではない。
【0022】
セル中には、例えば絶縁性液体で構成された分散媒60と、分散媒60中に分散された着色粒子群62及び白色粒子群66が封入されている。
【0023】
着色粒子群62は、表示側電極54と背面側電極56との間に予め定めた閾値電界以上の電界を発生させる閾値電圧を印加することにより、着色粒子群62がそれぞれ単独で泳動する特性を有している。一方、白色粒子群66は、一例として着色粒子群62と逆極性の負に帯電しているが、帯電量は着色粒子群62よりも少なく、着色粒子群62が何れか一方の基板側まで移動する電界を発生させる電圧が電極間に印加されても、何れの電極側まで移動しない浮遊粒子群である。
【0024】
なお、白色粒子群66を用いるのではなく、分散媒60に着色剤を混合することで、白色を表示させてもよい。
【0025】
本実施形態では、着色粒子群62は、赤の色彩を有する正帯電の電気泳動粒子(赤粒子R)である場合について説明するが、これに限定されない。また、以下の説明で印加する電圧の電圧値も一例であって、これに限定されず、各粒子の帯電極性、帯電量、粒径、応答性、電極間の距離等に応じて適宜設定すればよい。以下では、赤色の粒子を赤粒子R、白色の粒子を白粒子Wと記す。
【0026】
駆動装置20(電圧印加部30及び制御部40)は、表示媒体10の基板間に、表示させる色に応じた電圧を印加することにより、着色粒子群62を泳動させ、それぞれの帯電極性に応じて表示基板50、背面基板52の何れか一方に引き付ける。
【0027】
電圧印加部30は、表示側電極54及び背面側電極56にそれぞれ電気的に接続されている。また、電圧印加部30は、制御部40に信号授受されるように接続されている。
【0028】
制御部40は、
図2に示すように、例えばコンピュータ40として構成される。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)40A、ROM(Read Only Memory)40B、RAM(Random Access Memory)40C、不揮発性メモリ40D、及び入出力インターフェース(I/O)40Eがバス40Fを介して各々接続された構成であり、I/O40Eには電圧印加部30及び通信回線I/F(Interface)32が接続されている。この場合、後述する画像の表示に必要な電圧の印加を電圧印加部30に指示する処理をコンピュータ40に実行させるプログラムを、例えば不揮発性メモリ40Dに書き込んでおき、これをCPU40Aが読み込んで実行させる。なお、プログラムは、CD−ROM等の記録媒体により提供するようにしてもよい。
【0029】
電圧印加部30は、表示側電極54及び背面側電極56に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部40の制御に応じた電圧を表示側電極54及び背面側電極56に印加する。
【0030】
本実施形態では、一例として表示側電極54を表示基板50の全面に形成された共通電極とし、複数の背面側電極56の各々を画素電極とした所謂アクティブマトリクス駆動に対応した電極構成としている。従って、本実施形態では、共通電極としての表示側電極54を接地し、複数の背面側電極56に画像に応じた電圧を印加する場合について説明する。
【0031】
また、本実施形態では、1つの画素電極に1つの表示部が対応する。すなわち、表示媒体は画素電極に数に対応した複数の表示部を有する。さらに、本実施形態では、1つの画素に1つの画素電極(表示部)が対応した場合について説明し、背面側電極56Aに対応する画素を画素A、背面側電極56Bに対応する画素を画素Bと称する。なお、1つの画素に複数の画素電極(表示部)が対応してもよい。
【0032】
通信回線I/F32は、図示しない通信回線に接続され、当該通信回線に接続された図示しないサーバやパーソナルコンピュータ等の端末装置と相互にデータを通信する。この図示しない通信回線は有線回線及び無線回線の何れであってもよく、例えば、図示しないサーバやパーソナルコンピュータから表示媒体10に表示させる画像の画像情報を取得するようにしてもよい。
【0033】
図3には、本実施形態に係る表示装置100において、正に帯電された赤粒子Rを表示基板50側、背面基板52側に移動させるために必要な印加電圧の特性を示した。
図3では、赤粒子Rの印加電圧特性を特性50Rで表わしている。また、
図3は、表示側電極54をグランド(0V)として背面側電極56に印加された電圧と、赤粒子Rによる表示濃度との関係を示したものである。
【0034】
図3に示すように、背面基板52側の赤粒子Rが表示基板50側へ移動開始する電界を発生させるための移動開始電圧(閾値電圧)は+V1aであり、表示基板50側の赤粒子Rが背面基板52側へ移動開始する電界を発生させるための移動開始電圧は−V1aである。ここで、移動開始電圧とは、背面基板52又は表示基板50側に存在する粒子群が、対向する基板に向かって移動を開始する電界を発生させるための電圧のことをいう。従って、+V1a以上の電圧を印加することで背面基板52側の赤粒子Rが表示基板50側へ移動し、−V1a以下の電圧を印加することで表示基板50側の赤粒子Rが背面基板52側へ移動する。また、背面基板52側の赤粒子Rが全て表示基板50側へ移動する電界を発生させるための電圧は+V1であり、表示基板50側の赤粒子Rが全て背面基板52側へ移動する電界を発生させるための電圧は−V1である。
【0035】
そして、背面基板52側から表示基板50側へ移動させる赤粒子Rの粒子量は、例えば印加する電圧のパルス幅(電圧印加時間)を同じにした場合には、印加する電圧の電圧値を変えることで制御される(電圧値変調)。例えば、背面基板52側から表示基板50側へ移動させる赤粒子Rの粒子量を制御する場合、印加する電圧のパルス幅を同じにして、電圧値を+V1a以上の任意の電圧値Vxとすることにより、その電圧値に応じた粒子量の赤粒子Rを表示基板50側へ移動させられる。これにより、赤粒子Rの階調表示が制御される。表示基板50側の赤粒子Rを背面基板52側へ移動させる場合の粒子量についても同様である。
【0036】
粒子の閾値電圧は、例えば、粒子材料や粒子の表面被覆材料、添加剤、粒子径、粒子の表面形状、表面積などを変えて、粒子の帯電量を制御することで、基板表面への付着力や、電界から受ける静電力を制御することで調整される。あるいは、粒子表面材料や、基板表面材料の帯電により生ずる静電引力や、ファンデルワールス力などを利用して調整される。
【0037】
なお、印加する電圧の電圧値を同じにして、パルス幅、すなわち電圧印加時間を変えることで、移動する粒子の粒子量を制御し、階調表示を制御するようにしてもよい(パルス幅変調)。例えば、背面基板52側から表示基板50側へ移動させる赤粒子Rの粒子量を制御する場合において、印加する電圧の電圧値を+V1a以上の予め定めた電圧値Vxとした場合、そのパルス幅が長くなるに従って表示基板50側へ移動する赤粒子Rの粒子量が多くなる。従って、電圧値を固定にして、パルス幅を階調に応じた長さのパルス幅とすることにより、赤粒子Rの階調表示が制御される。本実施形態では、パルス幅変調により、移動する粒子の粒子量を制御する場合について説明する。なお、以下では、例えば表示濃度x(%)に対応する電圧印加時間をt
dxで表す。また、表示濃度xは一方の基板から他方の基板へ移動させる粒子量に相当するが、赤色の表示濃度が100%の場合も0%の場合も、全ての赤粒子Rを一方の基板から他方の基板へ移動させる点では同じである。従って、表示基板50と背面基板52とで粒子の付着力が同じ場合は、赤色の表示濃度が100%の場合も0%の場合も、両者の電圧印加時間は同じとなる。なお、表示基板50と背面基板52とで粒子の付着力が同じでない場合や、複数種類の粒子を用いた表示媒体で粒子の積層状態が異なる場合、すなわち1種類の粒子が単独で基板に付着する場合や複数種類の粒子が積層した状態で基板に付着する場合には、両者の電圧印加時間は必ずしも同じとはならない。
【0038】
次に、本実施形態の作用として、制御部40のCPU40Aで実行される制御について
図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0039】
まず、ステップS10では、表示媒体10に表示させるべき画像の画像情報を例えば通信回線I/F32を介して図示しない外部装置から取得する。
【0040】
ステップ12では、リセット電圧を印加するように電圧印加部30に指示する。ここでは、リセット電圧は、一例として全ての赤粒子Rを表示基板50側へ移動させるための電圧である。すなわち、リセット電圧は、電圧印加時間が、赤の表示濃度100%に対応した電圧印加時間t
d100、電圧値が+V1a以上の予め定めた電圧値Vxの正電圧である。このため、
図5の状態5Aで示すように、正電圧であるリセット電圧が背面側電極56A、56Bに電圧印加時間t
d100で印加されると、表示基板50側へ全ての赤粒子Rが移動して付着する。これにより、表示基板50側からは、背面側電極56Aに対応する画素A及び背面側電極56Bに対応する画素Bの両方に赤粒子Rによる赤色が表示される。
【0041】
ステップS14では、取得した画像情報に基づいて、背面側電極56に印加すべき表示駆動電圧を決定し、電圧印加部30に指示する。電圧印加部30は、制御部40から指示された表示駆動電圧を背面側電極56に印加する。
【0042】
この表示駆動電圧は、取得した画像情報に応じた画像を表示媒体100に表示させるための電圧である。すなわち、赤色を表示すべき画素には、表示すべき赤色の階調(表示濃度)に応じた電圧印加時間の電圧が印加される。
【0043】
例えば画素Aに表示濃度50%の赤色を表示し、画素Bに表示濃度0%(第1の表示濃度)の赤色、すなわち白色を表示する場合、画素Aには、電圧印加時間が、表示基板50側の赤粒子Rの半分を背面基板52側へ移動させるための電圧印加時間t
d50、電圧値が、−V1a未満の予め定めた電圧値−Vxの負電圧が印加される。一方、画素Bには、電圧印加時間が、表示基板50側の赤粒子Rの全部を背面基板52側へ移動させるための電圧印加時間t
d0(>t
d50)、電圧値が−Vxの負電圧(第1の電圧)が印加される。
【0044】
これにより、
図5の状態5Bに示すように、画素A、Bに電圧が印加されると赤粒子Rが背面基板52側へ移動し始め、
図5の状態5Cに示すように、画素Aの表示基板50側の赤粒子Rの半分が背面基板52側に移動すると画素Aへの電圧の印加が停止される。一方、画素Bについては、画素Aについて電圧の印加が停止された後も、表示基板50側の赤粒子Rが全て背面基板52側へ移動するまで電圧の印加が継続される。このため、
図5の状態5Cに示すように、表示基板50側に付着していた画素Aの赤粒子Rのうち、画素Bに近い赤粒子Rの一部が画素B側に移動してしまう。ここで、再び画素A、Bに表示濃度100%の赤色を表示させるために、
図5の状態5Dに示すように、状態5Aと同じ正電圧(第2の電圧)を画素A、Bに印加すると、
図5の状態5Eに示すように、背面側電極56A、56B側の赤粒子Rは全て表示基板50側に移動する。このとき、画素Bの方に赤粒子Rが偏っているため、画素A、B間で濃度差が発生してしまう。
【0045】
そこで、本実施形態では、画素Aから画素Bに移動した赤粒子Rが、第2の電圧を印加した際に画素Aに戻るように、画素Aと画素Bとで電圧印加タイミングを異ならせて第2の電圧を印加する。具体的には、画素Bに対して第2の電圧の印加を開始してから、第1の表示濃度に応じた時間が経過した後に、画素Aに対して第2の電圧の印加を開始する。
【0046】
図6には、画素Aと画素Bとで電圧印加タイミングを異ならせて第2の電圧を印加する場合における駆動の流れを示した。また、
図7には、画素A、Bの電圧印加のタイミングチャートを示した。
図6の状態6A〜6Cは
図5の状態5A〜5Cと同じである。
【0047】
図7に示すように、t1〜t2の期間(電圧印加時間t
d100)で画素A、Bにリセット電圧を印加する(
図6の状態6A)。次に、t2〜t3の期間(電圧印加時間t
d50)で画素Aに負電圧を印加し(
図6の状態6B)、t2〜t4の期間(電圧印加時間t
d0)で画素Bに負電圧を印加する(
図6の状態6B、6C)。次に、t4〜t6の期間(電圧印加時間t
d100)で画素Bに正電圧を印加し(
図6の状態6D、6E)、t5〜t7の期間(電圧印加時間t
d100)で画素Aに正電圧を印加する(
図6の状態6E)。
【0048】
本実施形態では、
図5の状態5Dに示すように、第2の電圧を同時に画素A、Bに印加するのではなく、
図6の状態6Dに示すように、画素Bだけに第2の電圧の印加を開始し(
図7のt4の時点)、第1の表示濃度に応じた時間が経過した後に、
図6の状態6Eに示すように、画素Aに対しても第2の電圧の印加を開始する(
図7のt5の時点)。ここで、第1の表示濃度に応じた時間(
図7のtx=t5−t4)とは、
図6の状態6Cに示すように、画素Bの表示基板50側から背面基板52側へ移動させる赤粒子Rの粒子量に応じた時間であり、
図6の例では、画素Bの全ての赤粒子Rの粒子量に応じた時間である。従って、例えば移動させる赤粒子Rの粒子量が半分の粒子量(表示濃度50%)であれば、第1の表示濃度に対応した時間、すなわち画素Bに第2の電圧の印加を開始してから画素Aに第2の電圧の印加を開始するまでの時間は、移動させる赤粒子Rの粒子量が全ての粒子量(表示濃度0%)の場合と比較して、半分の時間となる。
【0049】
このように、本実施形態では、画素Aから画素Bに移動した赤粒子Rが、第2の電圧を印加した際に画素Aに戻るように、画素Bに対して第2の電圧の印加を開始してから、第1の表示濃度に応じた時間が経過した後に、画素Aに対して第2の電圧の印加を開始するので、画素Aと画素Bとで濃度差が発生するのが抑制される。
【0051】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、着色粒子が2種類の場合について説明する。
【0052】
また、赤色の粒子を赤粒子R、赤と補色の関係にあるシアン色の粒子をシアン粒子C、白色の粒子を白粒子Wと記し、各粒子とその粒子群は同じ記号(符号)によって示す。
【0053】
図8は、本実施形態に係る表示装置を概略的に示している。この表示装置100Aが
図1の表示装置100と異なるのは、表示媒体10Aに着色粒子群63が設けられている点であり、その他は表示装置100と同じなので詳細な説明は省略する。
【0054】
本実施形態では、着色粒子群63は、シアンの色彩を有する正帯電の電気泳動粒子(シアン粒子C)である場合について説明する。
【0055】
図9には、本実施形態に係る表示装置100Aにおいて、正に帯電されたシアン粒子C、正に帯電された赤粒子Rを表示基板50側、背面基板52側に移動させるために印加する電圧に対する表示濃度の特性(電圧−表示濃度特性)を示した。
図9では、シアン粒子Cの電圧−表示濃度特性を特性50C、赤粒子Rの電圧−表示濃度特性を特性50Rで表わしている。
図3の表示濃度の特性と異なるのは特性50Cが追加されている点であり、その他は
図3と同じなので説明は省略する。
【0056】
図9に示すように、背面基板52側のシアン粒子Cが表示基板50側へ移動開始する電界を発生させるための閾値電圧は+V2aであり、表示基板50側のシアン粒子Cが背面基板52側へ移動開始する電界を発生させるための閾値電圧は−V2aである。従って、+V2a以上の電圧を印加することで背面基板52側のシアン粒子Cが表示基板50側へ移動し、−V2a以下の電圧を印加することで表示基板50側のシアン粒子Cが背面基板52側へ移動する。また、背面基板52側のシアン粒子Cが全て表示基板50側へ移動する電界を発生させるための電圧は+V2であり、表示基板50側のシアン粒子Cが全て背面基板52側へ移動する電界を発生させるための電圧は−V2である。
【0057】
そして、背面基板52側から表示基板50側へ移動させるシアン粒子Cの粒子量は、例えば印加する電圧のパルス幅(電圧印加時間)を同じにした場合には、印加する電圧の電圧値を変えることで制御される(電圧値変調)。例えば、背面基板52側から表示基板50側へ移動させるシアン粒子Cの粒子量を制御する場合、印加する電圧のパルス幅は同じで、電圧値を+V2a以上の任意の電圧値Vyとすることにより、その電圧値に応じた粒子量のシアン粒子Cを表示基板50側へ移動させられる。これにより、シアン粒子Cの階調表示が制御される。表示基板50側のシアン粒子Cを背面基板52側へ移動させる場合の粒子量についても同様である。
【0058】
なお、印加する電圧の電圧値を同じにして、パルス幅、すなわち電圧印加時間を変えることで、移動する粒子の粒子量を制御し、階調表示を制御するようにしてもよい(パルス幅変調)。例えば、背面基板52側から表示基板50側へ移動させるシアン粒子Cの粒子量を制御する場合において、印加する電圧の電圧値を+V2a以上の予め定めた電圧値Vyとした場合、そのパルス幅が長くなるに従って表示基板50側へ移動するシアン粒子Cの粒子量が多くなる。従って、電圧値を固定にして、パルス幅を階調に応じた長さのパルス幅とすることにより、赤粒子Rの階調表示が制御される。本実施形態では、第1実施形態と同様に、パルス幅変調により、移動する粒子の粒子量を制御する場合について説明する。
【0059】
このような表示媒体10に画像を表示させる場合、閾値電圧の高い方の粒子から順に駆動して画像を表示させる。すなわち、シアン粒子Cを駆動してシアン色を所望の階調値とした後、赤粒子Rを駆動して赤色を所望の階調値とすることにより画像を表示する。
【0060】
制御部40のCPU40Aで実行される制御については、第1実施形態と同様である。すなわち、
図4に示すフローチャートに従った制御が行われる。
【0061】
まず、ステップS10では、表示媒体10に表示させるべき画像の画像情報を例えば通信回線I/F32を介して図示しない外部装置から取得する。
【0062】
ステップ12では、リセット電圧を印加するように電圧印加部30に指示する。ここでは、リセット電圧は、一例として全てのシアン粒子C及び赤粒子Rを表示基板50側へ移動させるための電圧である。すなわち、リセット電圧は、電圧印加時間が、シアン及び赤の表示濃度100%に対応した電圧印加時間t
d100、電圧値が+V2a以上の予め定めた電圧値Vyの正電圧である。このため、
図10の状態10aで示すように、正電圧であるリセット電圧が背面側電極56A、56Bに電圧印加時間t
d100で印加されると、表示基板50側へ全てのシアン粒子C及び赤粒子Rが移動して付着する。これにより、表示基板50側からは、背面側電極56Aに対応する画素A及び背面側電極56Bに対応する画素Bの両方にシアン粒子C及び赤粒子Rによる黒色が表示される。
【0063】
ステップS14では、取得した画像情報に基づいて、背面側電極56に印加すべき表示駆動電圧を決定し、電圧印加部30に指示する。電圧印加部30は、制御部40から指示された表示駆動電圧を背面側電極56に印加する。
【0064】
例えば画素Aに表示濃度100%(第1の表示濃度)のシアン色及び赤色50%の混色を表示し、画素Bに表示濃度50%の赤色を表示する場合、まず、画素A、Bに、電圧印加時間が、表示基板50側の赤粒子Rの全てを背面基板52側へ移動させるための電圧印加時間t
d0、電圧値が、−V1a未満で且つ−V2aより大きい予め定めた電圧値−Vy2の負電圧が印加される。これにより、
図10の状態10bに示すように、画素A、Bに電圧が印加されると赤粒子Rが全て背面基板52側へ移動する。
【0065】
次に、
図10の状態10cに示すように、電圧印加時間が、表示基板50側のシアン粒子Cの全てを背面基板52側へ移動させるための電圧印加時間t
d0、電圧値が、−V2a未満の予め定めた電圧値−Vyの負電圧(第1の電圧)が印加される。これにより、
図10の状態10cに示すように、画素Bのシアン粒子Cが全て背面基板52側へ移動するが、背面側電極56A、56B間で電位差が発生しているため、背面側電極56A上の一部の赤粒子Rが背面側電極56B側へ移動してしまう。ここで、画素A、Bの表示基板50側に表示濃度50%に相当する粒子量の赤粒子Rを移動させるために、
図10の状態10dに示すように、電圧印加時間が、背面基板52側の赤粒子Rの半分を表示基板50側へ移動させるための電圧印加時間t
d50、電圧値が、+V1a以上で且つ+V2a未満の予め定めた電圧値+Vy2の正電圧(第2の電圧)を画素A、Bに印加すると、
図10の状態10e、10fに示すように、背面側電極56A、56B側の赤粒子Rの半分が表示基板50側に移動する。このとき、画素Bの方に赤粒子Rが偏っているため、画素A、B間で濃度差が発生してしまう。
【0066】
そこで、本実施形態では、シアン粒子Cの表示駆動の際に画素Aから画素Bに移動した赤粒子Rが、第2の電圧を印加した際に画素Bに戻るように、画素Aと画素Bとで電圧印加タイミングを異ならせて第2の電圧を印加する。具体的には、画素Bに対して第2の電圧の印加を開始してから、第1の表示濃度に応じた時間が経過した後に、画素Aに対して第2の電圧の印加を開始する。
【0067】
図11には、画素Aと画素Bとで電圧印加タイミングを異ならせて第2の電圧を印加する場合における駆動の流れを示した。また、
図12には、画素A、Bの電圧印加のタイミングチャートを示した。
図11の状態11a〜11cは
図10の状態10a〜10cと同じである。
【0068】
図12に示すように、t1〜t2の期間(電圧印加時間t
d100)で画素A、Bにリセット電圧を印加する(
図11の状態11a)。次に、t2〜t3の期間(電圧印加時間t
d0)で画素A、Bに負電圧を印加し(
図11の状態11b)、t3〜t4の期間(電圧印加時間t
d0)で画素Bに負電圧を印加する(
図11の状態11c)。次に、t4〜t6の期間(電圧印加時間t
d50)で画素Bに正電圧を印加し(
図11の状態11d〜11f)、t5〜t7の期間(電圧印加時間t
d50)で画素Aに正電圧を印加する(
図11の状態11e、11f)。
【0069】
本実施形態では、
図11の状態11dに示すように、第2の電圧を同時に画素A、Bに印加するのではなく、画素Bだけに第2の電圧の印加を開始し(
図12のt4の時点)、第1の表示濃度に応じた時間が経過した後に、
図11の状態11eに示すように、画素Aに対しても第2の電圧の印加を開始する(
図12のt5の時点)。ここで、第1の表示濃度に応じた時間(
図12のtx=t5−t4)とは、
図11の状態11cに示すように、画素Bの表示基板50側から背面基板52側へ移動させるシアン粒子Cの粒子量に応じた時間であり、
図11の例では、画素Bの全てのシアン粒子Cの粒子量に応じた時間である。従って、例えば移動させるシアン粒子Cの粒子量が半分の粒子量(表示濃度50%)であれば、第1の表示濃度に対応した時間、すなわち画素Bに第2の電圧の印加を開始してから画素Aに第2の電圧の印加を開始するまでの時間は、移動させるシアン粒子Cの粒子量が全ての粒子量(表示濃度0%)の場合と比較して、半分の時間となる。
【0070】
このように、本実施形態では、シアン粒子Cの表示駆動によって画素Aから画素Bに移動した赤粒子Rが、第2の電圧を印加した際に画素Aに戻るように、画素Bに対して第2の電圧の印加を開始してから、第1の表示濃度に応じた時間が経過した後に、画素Aに対して第2の電圧の印加を開始する。これにより、画素Aと画素Bとで濃度差が発生するのが抑制される。
【0071】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。