(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る電気掃除機の実施形態について
図1から
図10を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示す斜視図である。
【0013】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、自律して被掃除面上を移動して被掃除面上の塵埃を捕集する自律型掃除ユニット2と、自律型掃除ユニット2の充電電極3を有するステーションユニット5と、を備えている。電気掃除機1は、自律型掃除ユニット2を居室内の被掃除面の全域に渡って自律で移動させて塵埃を捕集し、この後、自律型掃除ユニット2をステーションユニット5へ帰巣させて自律型掃除ユニット2が捕集した塵埃をステーションユニット5側へ引き取り、収集する。
【0014】
なお、自律型掃除ユニット2がステーションユニット5の充電電極3に電気的に接続される位置とは、ステーションユニット5へ帰巣する自律型掃除ユニット2の帰巣位置であって、自律型掃除ユニット2は、充電が必要な状態や、居室の掃除を終えた場合には、この帰巣位置へ帰巣する。なお、自律型掃除ユニット2がステーションユニット5の充電電極3に電気的に接続される位置は、自律移動する自律型掃除ユニット2と任意の場所に設置可能なステーションユニット5との間の相対的な位置関係である。
【0015】
また、
図1中の矢印Aは自律型掃除ユニット2の前進方向、矢印Bは自律型掃除ユニット2の後退方向である。自律型掃除ユニット2の幅方向は、矢印Aおよび矢印Bに対して直交する方向である。
【0016】
自律型掃除ユニット2は、前進してステーションユニット5から離脱し、居室内を自律で走行する一方、ステーションユニット5へ帰巣する際には後退してステーションユニット5に連結する。
【0017】
自律型掃除ユニット2は、いわゆるロボットクリーナである。自律型掃除ユニット2は、中空円盤形状の本体ケース11と、本体ケース11の後部に着脱自在に設けられる一次塵埃容器12と、本体ケース11内に収容されて一次塵埃容器12に接続される一次電動送風機13と、被掃除面上の自律型掃除ユニット2を移動させる移動部15と、移動部15を駆動させる駆動部16と、駆動部16を制御して被掃除面上の本体ケース11を自律的に移動させるロボット制御部17と、電源としての二次電池18と、を備えている。
【0018】
ステーションユニット5は、被掃除面上に設置されている。ステーションユニット5は、自律型掃除ユニット2が乗り上がる台座21と、台座21に一体化される塵埃回収部22と、充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう自律型掃除ユニット2を誘導するローラ対23と、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置関係において、自律型掃除ユニット2の一次塵埃容器12に気密に連結される塵埃移送管25と、塵埃移送管25内から突出するレバー26と、商用交流電源から電力を導く電源コード29と、を備えている。
【0019】
次に、本発明の実施形態に係る自律型掃除ユニット2について詳細に説明する。
【0020】
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の自律型掃除ユニットの底面を示す斜視図である。
【0021】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る電気掃除機1の自律型掃除ユニット2は、本体ケース11の底面11aに設けられる吸込口用清掃体31と、吸込口用清掃体31を駆動させる吸込口用駆動部32と、本体ケース11の底面11aに設けられる左右一対の底面側部清掃体33と、底面側部清掃体33のそれぞれを駆動させる左右一対の底面側部駆動部35と、を備えている。
【0022】
円盤形状の本体ケース11は、例えば合成樹脂製であり、被掃除面上を容易に旋回できる。底面11aの後半部の幅方向中央部には、横長の吸込口36が開口されている。
【0023】
吸込口36は、本体ケース11の幅寸法、つまり直径寸法の3分の2程度の幅寸法を有している。吸込口36は、一次塵埃容器12を経て一次電動送風機13に流体的に接続されている。
【0024】
また、本体ケース11は、底面11aに塵埃容器口37を有している。塵埃容器口37は、一次塵埃容器12を覆う部分に配置されている。塵埃容器口37は、角丸矩形状に開口されて、本体ケース11に装着された一次塵埃容器12を部分的に露出させている。
【0025】
一次塵埃容器12は、一次電動送風機13が発生させる吸込負圧によって吸込口36から吸い込まれる塵埃を蓄積する。塵埃を濾過捕集するフィルタ、遠心分離(サイクロン分離)や直進分離などの慣性分離によって塵埃を蓄積する分離装置などが一次塵埃容器12に適用される。一次塵埃容器12は、本体ケース11の後部に配置されている。一次塵埃容器12は、本体ケース11に着脱自在に設けられて自律型掃除ユニット2が捕集する塵埃を蓄積する容器本体38と、本体ケース11に取り付けられた状態において塵埃容器口37から露出する連結部39と、連結部39に設けられて容器本体38内の塵埃を廃棄する廃棄口41と、廃棄口41を開閉する廃棄蓋42と、を備えている。
【0026】
移動部15は、本体ケース11の底面11aに配置される左右一対の駆動輪45と、本体ケース11の底面11aに配置される旋回輪46と、を備えている。
【0027】
一対の駆動輪45は、本体ケース11の底面11aから突出しており、自律型掃除ユニット2を被掃除面上に置いた状態で被掃除面に接地する。また、一対の駆動輪45は、本体ケース11の前後方向において略中央部に配置され、かつ吸込口36の前方を避けて本体ケース11の左右それぞれの側部寄りに配置されている。一対の駆動輪45の回動軸は、本体ケース11の幅方向に沿って延びる直線上に配置されている。自律型掃除ユニット2は、左右それぞれの駆動輪45を互いに同一方向に回転させることによって前進または後退し、左右それぞれの駆動輪45を互いに反対方向に回転させることによって右回りまたは左回りに旋回する。
【0028】
旋回輪46は、被掃除面を旋回自在な従動輪である。本体ケース11の幅方向の略中央部、かつ、前部に配置されている。
【0029】
駆動部16は、一対の駆動輪45のそれぞれに接続される一対の電動機である。駆動部16は、左右の駆動輪45をそれぞれ独立に駆動させる。
【0030】
ロボット制御部17は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備えている。ロボット制御部17は、一次電動送風機13、吸込口用駆動部32、駆動部16、および底面側部駆動部35に電気的に接続されている。
【0031】
二次電池18は、一次電動送風機13、吸込口用駆動部32、駆動部16、底面側部駆動部35、およびロボット制御部17の電源である。二次電池18は、例えば旋回輪46の後方に配置されている。二次電池18は、本体ケース11の底面11aに配置される一対の充電端子47に電気的に接続されている。二次電池18は、ステーションユニット5の充電電極3に充電端子47が接続されることによって充電される。
【0032】
吸込口用清掃体31は、吸込口36に設けられている。吸込口用清掃体31は、本体ケース11の幅方向に延びる回転中心線回りに回転可能な軸状のブラシである。吸込口用清掃体31は、例えば長尺な軸部と、軸部の径方向に延び、かつ軸部の長手方向へ螺旋状に並ぶ複数条のブラシと、を備えている。吸込口用清掃体31は、吸込口36から本体ケース11の底面11aよりも下方へと突出しており、自律型掃除ユニット2を被掃除面上に置いた状態でブラシを被掃除面に接触させる。
【0033】
吸込口用駆動部32は、本体ケース11内に収容されている。
【0034】
一対の底面側部清掃体33は、吸込口用清掃体31の前進方向に対する左右の両側方に配置されて、吸込口用清掃体31が届かない壁際の被掃除面上の塵埃を掻き集めて吸込口36へ導く補助的な清掃体である。それぞれの底面側部清掃体33は、被掃除面の垂線に対してやや前傾する回転中心となるブラシ基部48と、ブラシ基部48の径方向に向けて放射状に突出する例えば3つの線状清掃体49と、を備えている。
【0035】
それぞれのブラシ基部48は、吸込口36および左右の駆動輪45よりも前方、かつ旋回輪46よりも後方であって、吸込口36よりも左右の側方寄りに配置されている。また、それぞれのブラシ基部48の回転中心線は、被掃除面の垂線に対してやや前傾されている。このため、線状清掃体49は、被掃除面に対して前傾した面に沿って旋回している。つまり、ブラシ基部48に対して前側に旋回してくる線状清掃体49は先端側ほど被掃除面に対して押し付けられ、ブラシ基部48に対して後ろ側に旋回してくる線状清掃体49は先端側ほど被掃除面から離れることになる。
【0036】
線状清掃体49は、ブラシ基部48から例えば三方向へ等間隔に配置されている。なお、線状清掃体49は、ブラシ基部48ごとに4つ以上設けられていてもよい。それぞれの線状清掃体49は、先端側に清掃部材としての複数のブラシ毛を備えている。さらに、ブラシ毛は、本体ケース11の外周縁よりも外側へ拡がる軌跡を描いてブラシ基部48を中心に旋回している。
【0037】
それぞれの底面側部駆動部35は、下方に突出して底面側部清掃体33のブラシ基部48に接続される回転軸を備えている。それぞれの底面側部駆動部35は、被掃除面上の塵埃を吸込口36へと掻き集めるように底面側部清掃体33を回転させる。
【0038】
次に、本発明の実施形態に係るステーションユニット5について詳細に説明する。
【0039】
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除機のステーションユニットを示す斜視図である。
【0040】
図3に示すように、本実施形態に係るステーションユニット5の台座21は、ステーションユニット5の前側へ張り出して矩形状に拡がっている。台座21は、塵埃回収部22の底部に連接する高床部61と、高床部61から張り出す低床部62と、を備えている。低床部62および高床部61は、ステーションユニット5の幅方向へ帯状に延びている。低床部62には、ローラ対23が配置されている。高床部61には、充電電極3および塵埃移送管25の入口が配置されている。
【0041】
自律型掃除ユニット2は、一対の駆動輪45を低床部62に乗り上げ、一次塵埃容器12を高床部61の上方に配置する姿勢でステーションユニット5の帰巣位置へ到達する。
【0042】
ローラ対23は、台座21の低床部62の左右それぞれの端部、かつ前端部に配置されている。
【0043】
ローラ対23は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向に交差する方向、つまり自律型掃除ユニット2を幅方向へ誘導する一対の交差方向ローラ63と、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ到達すると一対の駆動輪45のそれぞれを空転させる一対の停止用ローラ65と、を備えている。ローラ対23、つまり一対の交差方向ローラ63および一対の停止用ローラ65は、一対の駆動輪45の接地面としての台座21よりも突出している。
【0044】
一対の交差方向ローラ63は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かって離間距離の狭まる非平行な回転中心C1を有している。つまり、一対の交差方向ローラ63は、台座21側から塵埃回収部22に近づくにつれて相互に近づく回転中心C1を有している。
【0045】
一対の停止用ローラ65は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向に交差する回転中心C2を有している。一対の停止用ローラ65は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ到達すると一対の駆動輪45のそれぞれを空転させて自律型掃除ユニット2の進行(後退)を阻止する。なお、一対の停止用ローラ65の回転中心C2は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向に対して直交することが望ましい。
【0046】
台座21は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう際に一対の駆動輪45のそれぞれの接地面積を減じる凹凸状の走行面66を備えている。走行面66は、ローラ対23、つまり一対の交差方向ローラ63および一対の停止用ローラ65に囲まれる部分に配置されている。走行面66は、台座21の一部に設けられる複数の線状凹凸、格子状凹凸、または複数の半球状凹凸である。
【0047】
塵埃回収部22は、塵埃移送管25を通じて一次塵埃容器12から廃棄される塵埃を蓄積する二次塵埃容器68と、塵埃回収部22内に収容されて二次塵埃容器68に接続される二次電動送風機69と、商用交流電源から二次電動送風機69および充電電極3へ電力を導く電源コード29と、を備えている。
【0048】
塵埃回収部22は、ステーションユニット5の後部に配置されて台座21よりも上方へ角丸矩形状に延びている。塵埃回収部22の正面壁は、自律型掃除ユニット2の後端部に対応する円弧状の凹没部71を備えている。塵埃移送管25の入口は、台座21の高床部61から凹没部71に渡っている。また、凹没部71には、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ到達したか否かを検知する帰巣確認検知部72が設けられている。帰巣確認検知部72は、可視光や赤外線を利用して自律型掃除ユニット2との相対距離を検知する所謂、対物センサである。帰巣確認検知部72は、塵埃回収部22の正面方向において自律型掃除ユニット2との相対距離を検知する第一センサ部73と、塵埃回収部22の高さ方向において自律型掃除ユニット2との相対距離を検知する第二センサ部75と、を備えている。
【0049】
また、塵埃回収部22は、本体81内に収容される二次塵埃容器68を覆い隠す蓋体82を備えている。蓋体82は、塵埃回収部22の天井の一部、具体的には右半分を開閉する。蓋体82の下方には、二次塵埃容器68が配置されている。
【0050】
充電電極3は、塵埃移送管25の入口を挟んで一対に設けられている。また、充電電極3のそれぞれは、凹没部71の左右の縁の正面に配置されている。
【0051】
図4は、本発明の実施形態に係る電気掃除機のステーションユニットを示す縦断面である。
【0052】
図5は、本発明の実施形態に係る電気掃除機のステーションユニットを示す横断面である。
【0053】
図4および
図5に示すように、本発明の実施形態に係るステーションユニット5の塵埃回収部22は、塵埃を案内する風路としての塵埃移送管25を有する本体81と、本体81内に取り出し自在に収納されて塵埃移送管25に着脱自在に連結される二次塵埃容器68と、二次塵埃容器68を介して塵埃移送管25に吸い込み負圧を生じさせる二次電動送風機69と、本体81内に収容される二次塵埃容器68を覆い隠す蓋体82と、蓋体82に設けられて、二次塵埃容器68が本体81内から取り出されている場合には、二次電動送風機69の吸込側の風路を塞ぐ誤吸込阻止部83と、二次塵埃容器68と二次電動送風機69とを流体的に接続する最下流管85と、を備えている。
【0054】
また、塵埃回収部22は、誤吸込阻止部83に設けられて、蓋体82が閉じる過程で二次塵埃容器68に接触する際、誤吸込阻止部83の揺動角度を規制して二次電動送風機69の吸込側の風路を塞ぐシール面86を二次塵埃容器68へ向ける爪87を備えている。
【0055】
さらに、塵埃回収部22は、二次電動送風機69の吸込負圧を検知する圧力検知部91と、二次塵埃容器68に蓄積される塵埃が予め定める規定量に達したことを報知する報知部92と、圧力検知部91の検知結果が予め定める吸込負圧より低圧になった場合には報知部92を作動させる制御部93と、を備えている。
【0056】
本体81は、奥行き方向(自律型掃除ユニット2が帰巣する際に進行する方向)に短く、幅方向に長い。本体81は、幅方向における一方の半部、具体的には右側半部に二次塵埃容器68を収容する塵埃容器室95を区画し、幅方向における他方の半部、具体的には左側半部に二次電動送風機69を収容する送風機室96を区画している。
【0057】
塵埃移送管25は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置関係において、一次塵埃容器12の連結部39に接して廃棄口41に気密に連結される。塵埃移送管25の開口縁には環状のシール部材25aが設けられている。シール部材25aは、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置関係において、連結部39に密着する。塵埃移送管25は、台座21の高床部61に配置される入口から後方へ延びて塵埃回収部22内へ至り、塵埃回収部22内で屈曲しつつ塵埃容器室95と送風機室96との間を上方へ延びて二次塵埃容器68の側方へ至る。塵埃移送管25は、ステーションユニット5の上方へ向かって開口する入口と、二次塵埃容器68へ向かって側方へ開口する出口と、を有している。
【0058】
塵埃移送管25の入口に配置されるレバー26は、塵埃回収部22の正面方向、かつ上向きに延びるフック97を備えている。
【0059】
二次塵埃容器68は、天面が開放され、側面に吸込口101を有する塵埃容器102と、塵埃容器102の天井を閉じるとともに吐出口103を有する蓋体105と、吐出口103に設けられるネットフィルタ106と、蓋体105から塵埃容器102の底面に向かい垂れ下がって塵埃容器102内を吸込口101に直接的に繋がる上流側空間107と、吐出口103に繋がる下流側空間108とに仕切り、塵埃容器102内の底部で上流側空間107と下流側空間108とを繋げる仕切板109と、吐出口103に繋がって蓋体105の上方に覆い被さる二次フィルタ110と、二次フィルタ110の下流側風路を仕切るカバー管111と、を備えている。
【0060】
塵埃容器102は、下流側空間108の下方に上流側空間107の底部よりも下方へ膨出した膨出部112を備えている。
【0061】
二次フィルタ110は、最下流管85に連結されている。
【0062】
また、二次塵埃容器68は、蓋体105、仕切板113、および二次フィルタ110を一体で開閉する第一ヒンジ機構115と、蓋体105および仕切板113を一体で揺動させて二次フィルタ110の濾過面側の空間を開閉する第二ヒンジ機構116と、を備えている。
【0063】
カバー管111は、二次フィルタ110の下流風路を最下流管85に接続する風路を兼ねている。カバー管111は、蓋体105とともに第一ヒンジ機構115によって揺動自在に支持されている。
【0064】
第一ヒンジ機構115は、吸込口101の上方に配置されている。
【0065】
第二ヒンジ機構116は、第一ヒンジ機構115からみて蓋体105の反対端に配置されている。
【0066】
二次電動送風機69は、吸込口を上方へ向けて本体81の送風機室96に収容されている。
【0067】
最下流管85は、二次電動送風機69の吸込側の風路であって、塵埃移送管25の上方に配置されて塵埃回収部22の本体81内を幅方向へ延びている。最下流管85の入口は、塵埃容器室95に開口している。最下流管85の出口は、二次電動送風機69の吸込口に接続されている。最下流管85は、二次塵埃容器68が塵埃容器室95に納められると二次塵埃容器68の二次フィルタ110の下流側に連結される。
【0068】
蓋体82は、本体81に揺動自在に設けられている。蓋体82は、二次塵埃容器68を納める塵埃容器室95の天井開口を開閉する。
【0069】
誤吸込阻止部83は、蓋体82に揺動自在に設けられている。
【0070】
誤吸込阻止部83は、二次電動送風機69の吸込側の風路の完全閉塞を回避する通気孔121を有している。
【0071】
自律型掃除ユニット2がステーションユニット5の帰巣位置へ戻ると、自律型掃除ユニット2の充電端子47がステーションユニット5の充電電極3に電気的に接続される。このとき、ステーションユニット5の塵埃移送管25は、一次塵埃容器12の連結部39に接続される。この後、ステーションユニット5は、二次電動送風機69を駆動させて、
図4および
図5中の実線矢印の方向へ空気を吸い込んで、一次塵埃容器12から二次塵埃容器68へ塵埃を移動させる。二次塵埃容器68は、目の粗い粗塵をネットフィルタ106で補足して下流側空間108に蓄積する。ネットフィルタ106に補足される塵埃は、下流側空間108上側から下側へ向かって蓄積される。また、ネットフィルタ106に補足される塵埃は、空気の流れによってネットフィルタ106へ押し付けられるようにして圧縮される。圧縮された粗塵は、目の細かいフィルタのような役割をして空気の含まれる目の細かい細塵を補足する。圧縮された粗塵に補足される細塵は、粗塵に纏わり付くものがある一方で、粗塵から脱落して下流側空間108の下方へ至るものもある。下流側空間108下方には膨出部112があり、粗塵から脱落する細塵は、膨出部112に降り積もる。膨出部112では、二次塵埃容器68内を上流側空間107から下流側空間108へとU字状に流れる空気が淀みやすい。このため、膨出部112に降り積もる細塵は、二次塵埃容器68内の空気流に舞い上げられることなく、膨出部112に溜まりやすい。
【0072】
ネットフィルタ106を通過する目の細かい細塵や、圧縮された粗塵を通過する細塵は、二次フィルタ110によって補足される。
【0073】
図6および
図7は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の自律型掃除ユニットおよびステーションユニットの連結部分を示す縦断面図である。
【0074】
図6および
図7は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置、つまり帰巣位置へ近づく様子を示している。また、自律型掃除ユニット2がステーションユニット5から離れる場合には
図7から
図6へと逆順の様相となる。
【0075】
図6および
図7に示すように、本実施形態に係る自律型掃除ユニット2の一次塵埃容器12は、本体ケース11に着脱自在に設けられて自律型掃除ユニット2が捕集する塵埃を蓄積する容器本体38と、本体ケース11に取り付けられた状態において塵埃容器口37から露出する連結部39と、連結部39に設けられて容器本体38内の塵埃を廃棄する廃棄口41と、廃棄口41を開閉する廃棄蓋42と、を備えている。
【0076】
連結部39は、容器本体38に一体成形されている。連結部39は、塵埃容器口37に対応して角丸矩形状に突出している。連結部39は、一次塵埃容器12が本体ケース11に取り付けられた状態において、塵埃容器口37に嵌合している。連結部39は、本体ケース11の外表面に面一な外周縁部を有する一方、廃棄口41の周縁部に凹没部を有している。この凹没部の中央には、廃棄口41が配置されている。また凹没部には、廃棄蓋42が配置されている。
【0077】
なお、連結部39は、本体ケース11に取り付けられた状態において塵埃容器口37を臨むものであっても良い。この場合、連結部39は、本体ケース11の内側であって塵埃容器口37から見通すことができる場所に配置される。塵埃移送管25は、塵埃容器口37を通じて連結部39に到達可能な突出長さを有することが好ましい。
【0078】
廃棄口41は、一次塵埃容器12が本体ケース11に取り付けられた状態において、自律型掃除ユニット2の下方へ向かって開口されている。
【0079】
廃棄口41は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置関係において、自律型掃除ユニット2の中央よりもステーションユニット5に近い側に配置されている。つまり、廃棄口41は、自律型掃除ユニット2が後退してステーションユニット5へ近づき、一対の駆動輪45をステーションユニット5の台座21に乗り上げると、ステーションユニット5の塵埃回収部22に近づく。
【0080】
廃棄蓋42は、自律型掃除ユニット2の外観に露出しており、本体ケース11の外表面に面一である。廃棄蓋42には、ステーションユニット5のレバー26を引っ掛けるレバー受123が設けられている。なお、廃棄蓋42も、連結部39と同様に本体ケース11に取り付けられた状態において塵埃容器口37を臨むものであっても良い。この場合、廃棄蓋42は、本体ケース11の内側であって塵埃容器口37から見通すことができる場所に配置される。
【0081】
他方、本実施形態に係るステーションユニット5のレバー26は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう途中で自律型掃除ユニット2の廃棄蓋42に引っ掛かり、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ到達すると廃棄蓋42を開いて廃棄口41と塵埃移送管25とを流体的に接続させる(
図7)。
【0082】
自律型掃除ユニット2の廃棄蓋42およびステーションユニット5のレバー26は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向に交差する回転中心線C3のまわりに回転する。なお、廃棄蓋42の回転中心線C4およびレバー26の回転中心線C3は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向に対して直交することが望ましい。
【0083】
レバー26の回転中心線C3は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向において塵埃移送管25の開口縁部のうち自律型掃除ユニット2が最初に到達する縁部に配置されている。
【0084】
また、レバー26の回転中心線C3は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向に移動自在に支持されている。つまり、レバー26の回転中心線C3は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向に移動することによって、自律型掃除ユニット2の帰巣制御における位置精度のばらつきに影響されることなく、レバー受123にフック97を引っ掛けることができる。
【0085】
さらに、レバー26の回転中心線C3は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向において塵埃移送管25の開口縁部のうち自律型掃除ユニット2が最初に到達する縁部に設けられる軸カバー125によって覆われている。
【0086】
廃棄蓋42の回転中心線C4は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向において廃棄蓋42の遠方側に配置されている。また、廃棄蓋42の回転中心線C4は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向においてレバー受123よりも遠方側に配置されている。さらに、廃棄蓋42の回転中心線C4は、自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう方向において廃棄蓋42のうち、廃棄口41に接したり離れたりする蓋本体126よりも遠方側に配置されている。
【0087】
これらレバー26の回転中心線C3および廃棄蓋42の回転中心線C4の配置によって、廃棄蓋42は、レバー26によって開かれると自律型掃除ユニット2の容器本体38から塵埃移送管25へ塵埃を案内する傾斜面となる(
図7)。
【0088】
なお、廃棄蓋42は、コイルバネ127によって、閉じる方向へバネ力を受けている。廃棄蓋42は、コイルバネ127のバネ力に自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう推進力が勝ることによって開かれる。コイルバネ127は、レバー26によって廃棄蓋42が開かれると、押し潰されてエネルギーを蓄える一方、自律型掃除ユニット2がステーションユニット5から離脱してレバー受123からレバー26が抜け出すと、エネルギーを解放して廃棄蓋42を閉じる。
【0089】
また、レバー26は、コイルバネ(図示省略)によって、起立する(
図6)方向へバネ力を受けている。レバー26は、コイルバネのバネ力に自律型掃除ユニット2が充電電極3に電気的に接続される位置へ向かう推進力が勝ることによって倒し込まれる。コイルバネは、レバー26によって廃棄蓋42が開かれると、押し潰されてエネルギーを蓄える一方、自律型掃除ユニット2がステーションユニット5から離脱してレバー受123からレバー26が抜け出すと、エネルギーを解放してレバー26を起立させる。
【0090】
図8は、
図6のVIII−VIII線において、本発明の実施形態に係る電気掃除機の一次塵埃容器を示す横断面図である。
【0091】
図9は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の容器本体を示す平面図である。
【0092】
図10は、
図8のX−X線において、本発明の実施形態に係る電気掃除機の容器本体を示す断面図である。
【0093】
図8から
図10に示すように、本実施形態に係る本実施形態に係る自律型掃除ユニット2の一次塵埃容器12は、略矩形の容器本体38を備えている。
【0094】
容器本体38は、平面状の4つの側壁131と、底壁132とを有している。容器本体38の天壁に相当する箇所には、本体ケース11の吸込口36から容器本体38内へ吸い込まれる塵埃Dと空気とを分離する濾過フィルタ(図示省略)や、サイクロン分離装置(図示省略)などが配置される。
【0095】
容器本体38の底壁132は、中央部に廃棄口41を有している。廃棄口41は、容器本体38に対して揺動自在に支持される廃棄蓋42によって開閉自在に閉じられている。
【0096】
容器本体38の底壁132の内面132aは、廃棄口41へ向かって漏斗状に下り傾斜αしている(水平線h)。容器本体38の底壁132の内面132aには、二次電動送風機69が生じさせる負圧によって容器本体38内の塵埃Dの下方に空気を流通させる凹凸形状の通風路133が設けられている。
【0097】
通風路133は、廃棄口41の周囲を囲む凹部135に繋がる溝状の窪みであり、通風角部が丸められた角丸状の溝である。凹部135は、容器本体38の底壁132の外面に設けられる連結部39の裏側にあって、連結部39よりも小さい範囲に拡がっている。
【0098】
通風路133は、廃棄口41の方へ向かって空気を流通させる。通風路133は、容器本体38の底壁132の内面132aに沿う方向における幅寸法wよりも底壁132の厚み方向における深さ寸法dの方が短く底が浅い。また、通風路133は、容器本体38の底壁132の厚み方向における深さ寸法dが略一定である。
【0099】
通風路133は、容器本体38の底壁132の内面に少なくとも1つ設けられており、複数設けられていても良い。通風路133が複数ある場合、複数の通風路133は、略等間隔に並んでいることが好ましい。
【0100】
なお、通風路133は、格子状に突起(図示省略)を並べたものであっても良い。また、通風路133は、廃棄口41へ向かって延びる溝ではなく、廃棄口41の周囲を巡って直線状または曲線状に延びる溝であっても良い。廃棄口41の周囲を巡って直線状、曲線状、および蛇行して延びるいずれの溝であっても容器本体38内に生じる空気流Fを流通させて、容器本体38の底壁132に溜まった塵埃を舞い上げる分流fを生じさせるものであれば良い。
【0101】
自律型掃除ユニット2がステーションユニット5の充電電極3に電気的に接続される位置において、廃棄蓋42が開放され、廃棄口41が塵埃移送管25に接続されると(
図7)、容器本体38の内側の空間は、塵埃移送管25および二次塵埃容器68を介して二次電動送風機69に流体的に接続される。この状態で二次電動送風機69を運転させると、容器本体38の内部には本体ケース11の吸込口36から空気が流れ込む。容器本体38内に流れ込んだ空気流Fは、容器本体38内の塵埃のうち繊維ゴミや塵のように比較的に密度の低い塵埃を伴って、廃棄口41から塵埃移送管25へ流出する。
【0102】
そして、本実施形態に係る電気掃除機1は、居室内に放置されているクリップのように、繊維ゴミや塵に比べて密度の高い塵埃DHが、容器本体38の底壁132の内面132aに沿うように蓄積されていても、容器本体38内の空気流Fの分流fが密度の高い塵埃DHの下方で通風路133を流通することによって、容器本体38内のほぼ全ての塵埃を廃棄口41から塵埃移送管25へ流出させる。
【0103】
流れ場において、壁面から離れた場所に比べて壁面近傍では流速が十分に得られない。つまり、従来の電気掃除機のように底壁の内面が平滑面の場合、繊維ゴミや塵に比べて密度の高い塵埃DHが底壁の内面に沿うように蓄積されてしまうと、本実施形態に係る電気掃除機1における分流fを生じさせることができず、密度の高い塵埃DHの周囲の流速が得られず、密度の高い塵埃DHを廃棄口へと流出させことが難しい。
【0104】
他方、本実施形態に係る電気掃除機1は、通風路133によって容器本体38の底壁132の内面132aに沿うように蓄積された密度の高い塵埃DHの周囲に空気の流れ(分流f)を生じさせて、廃棄口41へと流出させるに足りる流速が得られる。
【0105】
ところで、従来の電気掃除機であっても、大出力の二次電動送風機を使用して容器本体内の空気流の流量や流速を高めれば、密度の高い塵埃DHを容器本体内から流出させることはできる。しかしながら、本実施形態に係る電気掃除機1であれば、通風路133の分流fを生じさせるために、比較的に低出力の二次電動送風機69であっても、密度の高い塵埃DHを含む全ての塵埃Dを、容器本体38内から流出させることができる。
【0106】
しかも、凹凸形状の通風路133は、密度の高い塵埃DHと容器本体38の内面132aとの接触面積を少なくして、密度の高い塵埃DHを廃棄口41へ流出させやすくしてもいる。そして、通風路133は、密度の高い塵埃DHを一度舞い上がらせることができれば、容器本体38内の空気流Fによっても密度の高い塵埃DHを廃棄口41へ流出させられる。よって、通風路133は、必ずしも廃棄口41へ向かって延びる溝状の形態のみならず、空気流Fの分流fを生じさせる限りにおいて如何なる方向へ向いていても良いし、格子状に並ぶ突起の間に空気流を生じるものであっても良い。
【0107】
本実施形態に係る電気掃除機1は、一次塵埃容器12の底壁132の内面132aに、二次電動送風機69が生じさせる負圧によって容器本体38内の塵埃Dの下方に空気を流通させる通風路133を少なくとも1つ備えているため、容器本体38の塵埃Dを円滑に廃棄できる。
【0108】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、廃棄口41の方へ向かって空気を流通させる通風路133を備えることによって、通風路133に流れる分流fで舞い上げた塵埃Dを容器本体38内の空気流Fに乗せて円滑に廃棄口41へと導くことができる。
【0109】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、角部が丸められた角丸状の通風路133を備えるため、塵埃Dが通風路133の角部に引っ掛かることを回避して、より円滑に廃棄口41へ導くことができる。
【0110】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、一次塵埃容器12の底壁132の内面132aに沿う方向における幅寸法wよりも底壁132の厚み方向における深さ寸法dの方が短く底が浅い通風路133を備えているため、通風路133の流路断面積を極力抑えつつ、塵埃Dの底面により流速の高い分流fをより広範囲に作用させて、塵埃Dを容易に舞い上がらせることができる。
【0111】
さらにまた、本実施形態に係る電気掃除機1は、一次塵埃容器12の底壁132の厚み方向における深さ寸法dが略一定の通風路133を備えているため、塵埃Dが一次塵埃容器12の底部の何れの箇所に偏っていたとしても、適宜の分流fを発生させて塵埃Dを廃棄口41へ導くことができる。
【0112】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、通風路133が一次塵埃容器12の底壁132の内面132aに複数設けられているため、塵埃Dが一次塵埃容器12の底部の何れの箇所に偏っていたとしても、適宜の分流fを発生させて塵埃Dを廃棄口41へ導くことができる。
【0113】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、略等間隔に並ぶ複数の通風路133を備えることによって、一次塵埃容器12の底壁132の広い範囲に略一様な分流fを生じさせて、塵埃Dが一次塵埃容器12の底部の何れの箇所に偏っていたとしても、塵埃Dを廃棄口41へ導くことができる。
【0114】
さらにまた、本実施形態に係る電気掃除機1は、容器本体38の底壁132の内面132aが廃棄口41へ向かって下り傾斜しているため、塵埃Dを廃棄口41へ導きやすい。
【0115】
したがって、本実施形態に係る電気掃除機1によれば、自律型掃除ユニット2の一次塵埃容器12からステーションユニット5へ塵埃Dを容易に廃棄することができる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。