(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
(構成の説明)
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置100を概略的に示す構成図である。
図1には、カラーの画像形成装置100を示したが、モノクロであってもよい。
画像形成装置100は、トナーカートリッジ101K、101Y、101M、101C(以下、特に各々を区別する必要がない場合には、トナーカートリッジ101という)と、LEDヘッド102K、102Y、102M、102C(以下、特に各々を区別する必要がない場合には、LEDヘッド102という)と、現像ユニット110K、110Y、110M、110C(以下、特に各々を区別する必要がない場合には、現像ユニット110という)と、転写ローラ103K、103Y、103M、103C(以下、特に各々を区別する必要がない場合には、転写ローラ103という)と、用紙カセット104と、ホッピングローラ105と、レジストローラ106A、106B(以下、特に各々を区別する必要がない場合には、レジストローラ106という)と、用紙検出センサ107と、転写ベルト108と、駆動ローラ120と、従動ローラ121と、転写ベルトクリーニングブレード122と、クリーナー容器123と、定着器130と、用紙ガイド124と、排紙トレー125とを備える。
なお、
図1の括弧内の符号は、実施の形態2における構成を示す。
【0010】
現像ユニット110は、現像剤像としてのトナー像を形成する画像形成ユニットである。
現像ユニット110の各々は、感光体ドラム111と、帯電ローラ112と、供給ローラ113と、現像ローラ114と、現像ブレード115と、クリーニングブレード116とを備える。
感光体ドラム111は、帯電ローラ112によって一様に帯電される。
帯電された感光体ドラム111は、LEDヘッド102の発光によって潜像を形成される。
現像ユニット110に着脱自在にされているトナーカートリッジ101には、現像剤としてのトナーが収容されている。トナーカートリッジ101に収容されているトナーは、供給ローラ113によって現像ローラ114に供給される。現像ローラ114に供給されたトナーは、現像ブレード115により一様のトナー層に形成される。現像ローラ114のトナーは、感光体ドラム111に形成された潜像に付着され、感光体ドラム111の表面には、トナー像が形成される。
クリーニングブレード116は、感光体ドラム111に残ったトナーをクリーニングする。
【0011】
用紙カセット104は、媒体としての用紙PAを収容する。
ホッピングローラ105は、用紙PAを用紙カセット104から搬送する。
レジストローラ106は、転写ベルト108に用紙PAを適切なタイミングで搬送する。
用紙検出センサ107は、接触又は非接触で用紙の通過を検知する。
【0012】
転写ベルト108は、駆動ローラ120及び従動ローラ121に架け渡されている。
駆動ローラ120は、モータの駆動によって転写ベルト108を動かして、転写ベルト108上の用紙PAを搬送する。
転写ローラ103は、転写ベルト108の裏側から転写ニップにバイアスを印加することで、感光体ドラム111に形成されているトナー像を用紙PAに転写する。
転写ベルトクリーニングブレード122は、転写ベルト108上のトナーを掻き落とせるようになっていて、クリーナー容器123には掻き落とされたトナーが収容される。
定着器130は、用紙PAに転写されたトナー像を、熱と加圧によって定着する。
用紙ガイド124は、用紙PAを排紙トレー125にフェースダウンで排出する。
【0013】
図2は、画像形成装置100における制御系の構成を示すブロック図である。
画像形成装置100の制御系は、ホストインタフェース部140と、コマンド画像処理部141と、LEDヘッドインタフェース部142と、主制御部としてのプリンタエンジン制御部143とを備える。なお、括弧内の符号は、実施の形態2における構成を示す。
ホストインタフェース部140は、コマンド画像処理部141にデータを送受信する。
コマンド画像処理部141は、LEDヘッドインタフェース部142に画像データを出力する。
【0014】
LEDヘッドインタフェース部142は、プリンタエンジン制御部143によってヘッド駆動パルス等を制御され、LEDヘッド102を発光させる。
プリンタエンジン制御部143は、高圧発生部150に信号を送り、高圧を発生させ、現像ユニット110及び転写ローラ103にバイアスを印加する。用紙検出センサ107は、転写バイアスの発生タイミングを調整するために用いられる。
プリンタエンジン制御部143は、ホッピングモータ151、レジストモータ152、ベルトモータ153、定着器ヒータモータ154及びドラムモータ155を所定のタイミングで駆動する。また、LCD表示部156は、プリンタエンジン制御部143により制御される表示部である。
定着器130は、電源装置としての低圧電源160から電力の供給を受ける。また、定着器130の温度は、サーミスタ131の検出値に応じて、プリンタエンジン制御部143によって制御される。
【0015】
図3は、定着器130及び低圧電源160の構成を概略的に示すブロック図である。
定着器130は、サーミスタ131と、ヒータ132と、過昇温防止部133と、データ保持部134とを備える。
本実施の形態では、ヒータ132として、ハロゲンヒータが使用されるが、例えば、セラミックヒータ等の他のヒータであってもよい。
ここで、ハロゲンヒータは、定格電圧印加時の消費電力にプラスマイナスの誤差を有しているため、装置を設計する場合にプラス誤差があっても消費電力が制限値に収まるように設計しなければならない。このような場合、マイナスの誤差を有するハロゲンヒータが組み合わされた場合に温度上昇が遅くなってしまうという問題がある。また、そのような問題は、電源電圧変動にも依存してしまう。
【0016】
サーミスタ131は、ヒータ132の温度を検出する。
過昇温防止部133は、ヒータ132の温度を調節するための温度調節部である。過昇温防止部133は、ヒータ132の温度予め定められた閾値を超えた場合に、機械的にヒータ132への通電を遮断する。例えば、過昇温防止部133は、サーモスタットにより実現することができる。
データ保持部134は、ヒータ132の抵抗値のバラツキを示す属性値を記憶する記憶部である。この属性値は、ヒータ132の抵抗値が大きいほど、大きな値となる。具体的には、属性値は、ヒータ132の抵抗値を予め定められた基準値で除算した値に比例する。この基準値は、ヒータ132に定格電圧を印加した際に、予め定められた消費電力となる抵抗値である。例えば、データ保持部134は、RFID(Radio Frequency IDentifier)等の無線通信タグ又は不揮発性メモリ等の記憶装置で実現することができる。
【0017】
低圧電源160は、外部から商用電源CPによりAC(Alternating Current)を入力される。商用電源CPは、ワールドワイドの電源電圧の誤差範囲も含め、例えば、80〜260Vを出力する。
低圧電源160は、力率改善回路161と、DC−ACインバータ162と、DC−DCコンバータ166とを備える。
【0018】
力率改善回路161は、商用の交流電圧を直流電圧に変換して出力する。本実施の形態では、力率改善回路161は、商用電源CPから電力の供給を受けて、+390VのDC(Direct Current)を出力する。390Vという電圧値は、PFC(Power Factor Correction)回路としてよく利用されている電圧であり、他の電圧値であってもよい。
【0019】
DC−ACインバータ162は、直流電圧を交流電圧に変換するインバータである。ここでは、DC−ACインバータ162は、力率改善回路161からのDC390Vを最大実効電圧AC220V〜AC0Vの範囲で出力を可変することができる。
DC−ACインバータ162は、スイッチング部163と、インバータ制御部164とを備える。DC−ACインバータ162で変換された所望の交流電圧がヒータ132に印加される。
本実施の形態におけるDC−ACインバータ162は、ヒータ132の抵抗値に応じて、生成する交流電圧を補正することで、ヒータ132の消費電力を一定にする。
【0020】
DC−DCコンバータ166は、直流電圧を降圧して異なる直流電圧を生成する。ここでは、DC−DCコンバータ166は、力率改善回路161からのDC390Vを、トランス等により変圧して、DC24V及びDC5Vの出力を得る。
ここで、低圧電源160、プリンタエンジン制御部143及びヒータ132によりヒータ制御装置が構成される。
【0021】
図4は、力率改善回路161の回路図である。
符号501は、ヒューズを示す。符号502は、コモンモードチョークコイルを示す。符号503及び符号504は、ダイオードを示す。符号505、符号506、符号507及び符号508は、抵抗を示す。符号509は、コンデンサを示す。符号510は、ブリッジダイオードを示す。符号511は、PFC制御IC(Integrated Circuit)を示す。符号512は、DC15Vの電源入力部を示す。符号513は、DC390Vの電源出力部を示す。符号514及び符号515は、抵抗を示す。符号516は、NPNトランジスタを示す。符号517は、PNPトランジスタを示す。符号518及び符号519は、抵抗を示す。符号520は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を示す。符号521は、ダイオードを示す。ダイオード521は、IGBT520に内蔵されてもよい。符号522は、電流検出抵抗を示す。符号523は、インダクタを示す。符号524は、ダイオードを示す。符号525及び符号526は、抵抗を示す。符号527は、NPNトランジスタを示す。符号528は、PNPトランジスタを示す。符号529及び符号530は、抵抗を示す。符号531は、IGBTを示す。符号532は、電流検出抵抗を示す。符号533は、ダイオードを示す。ダイオード533は、IGBT531に内蔵されてもよい。符号534は、インダクタを示す。符号535は、ダイオードを示す。符号536は、電解コンデンサを示す。符号537、符号538、符号539及び符号540は、抵抗を示す。符号541及び符号542は、抵抗及びトランジスタで構成されるゲートドライブ回路ブロックを示す。
【0022】
図5は、
図4に示されているDC15Vの電源入力部512の回路図である。
この電源入力部512は、トランスで1次と2次との間が絶縁されているDC−DCコンバータである。電源入力部512は、DC−DCコンバータ166の出力であるDC24Vを、絶縁されたDC15Vに変換する。DC−ACインバータ162にも同構成の電源入力部が使用される。
符号601は、抵抗を示す。符号602は、NPNトランジスタを示す。符号603は、抵抗を示す。符号604は、コンデンサを示す。符号605及び符号606は、ダイオードを示す。符号607は、電解コンデンサを示す。符号608は、ダイオードを示す。符号609は、トランスを示す。符号610は、フォトカプラを示す。符号611は、ダイオードを示す。符号612は、電解コンデンサを示す。符号613は、抵抗を示す。符号614は、シャントレギュレータを示す。符号615は、コンデンサを示す。符号616及び符号617は、抵抗を示す。符号618は、DC15Vの出力部を示す。符号619は、DC24Vの入力部を示す。
【0023】
図6は、DC−ACインバータ162のスイッチング部163の回路図である。
DC−ACインバータ162は、後述するインバータ制御部164から出力されるPWM(Pulse Width Modulation)信号によってスイッチングタイミングが制御される。
【0024】
符号701、符号711及び符号721は、DC15Vの電源入力部を示す。符号702、符号712、符号722及び符号732は、抵抗を示す。符号703、符号713、符号723及び符号733は、NチャンネルFET(Field Effect Transistor)を示す。符号704、符号714、符号724及び符号734は、ゲート駆動用フォトカプラを示す。符号705、符号706、符号715、符号716、符号725、符号726、符号735及び符号736は、抵抗を示す。符号707、符号717、符号727及び符号737は、IGBTを示す。符号708、符号718、符号728及び符号738は、ダイオードを示す。このダイオード708、718、728、738は、IGBT707、717、727、737に内蔵されていてもよい。符号740は、DC390Vの電源入力部を示す。符号741及び符号742は、DC5Vの電源入力部を示し、DC−DCコンバータ166から入力される。符号751は、カレントトランスを示す。符号752は、抵抗を示す。符号753は、ダイオードを示す。符号754及び符号755は、抵抗を示す。符号756は、コンデンサを示す。符号761は、インダクタを示す。符号762は、コンデンサを示す。
カレントトランス751、抵抗752、754、755、ダイオード753及びコンデンサ756は、スイッチング部163の電流を検出するための電流検出部を構成する。
そして、DC−ACインバータ162の先には、過昇温防止部133及びヒータ132が接続されている。
【0025】
図7は、DC−ACインバータ162のインバータ制御部164の回路図である。
インバータ制御部164は、マイコン、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)等の集積回路IC801により構成される。
符号802は、プリンタエンジン制御部143との通信インタフェースを示す。
符号803、符号804、符号805及び符号806は、PWM出力端子を示す。
符号807は、ADC_A入力端子を示す。
【0026】
(動作の説明)
図1に示されている画像形成装置100は、不図示の外部機器から、
図2に示されているホストインタフェース部140を介して、PDL(Page Description Language)等で記述された印刷データの入力を受ける。入力された印刷データは、コマンド画像処理部141によってビットマップデータに変換される。
画像形成装置100は、サーミスタ131の検知値に応じて、ヒータ132を制御することで、定着器130の不図示の熱定着ローラを予め定められた温度にした後、印字動作を開始する。
ホッピングローラ105は、用紙カセット104にセットされた用紙PAを給紙する。以降説明する画像形成動作に同期したタイミングで、レジストローラ106は、用紙PAを転写ベルト108上に搬送する。現像ユニット110は、電子写真プロセスにより感光体ドラム111にトナー像を形成する。この時、ビットマップデータに応じてLEDヘッド102が点灯される。現像ユニット110によって現像されたトナー像は転写ベルト108上を搬送される用紙PAに、転写ローラ103に印加されたバイアスによって転写される。用紙PAは、4色のトナー像が転写された後、定着器130によって定着され排紙される。
現像ユニット110に着脱可能にされているトナーカートリッジ101は、内部のトナーを現像ユニット110に供給する。
【0027】
図2に示されているプリンタエンジン制御部143は、高圧発生部150で高電圧を発生させる。高圧発生部150で発生された高電圧は、帯電ローラ112、現像ローラ114及び転写ローラ103のそれぞれに印加させる。
プリンタエンジン制御部143は、低圧電源160を制御することで、定着器130に送る電力を制御する。
【0028】
次に
図3を用いて説明する。
低圧電源160は、商用電源CPから電力の供給を受け、力率改善回路161により半波整流された交流電圧をスイッチングして昇圧する。昇圧された電圧は、DC390Vの出力で、次段のDC−ACインバータ162及びDC−DCコンバータ166に供給される。本実施の形態では、公知であるので詳述しないが、DC−DCコンバータ166は、DC390Vの直流電圧をスイッチングし、1次―2次間が絶縁されたトランスを用いて降圧されたDC24VとDC5Vを出力する。
【0029】
出力されたDC電圧は、プリンタエンジン制御部143等のロジック系には5Vが供給され、ホッピングモータ151等の駆動系には24Vが供給される。さらに、5VのDC電圧は、必要に応じて、夫々の基板にて必要な3.3V等の電圧に変換される。また、DC24V及びDC5Vは、DC−ACインバータ162に供給される。さらに、力率改善回路161のPFC制御IC511にも、DC24Vが供給される。
【0030】
DC−ACインバータ162は、ヒータ132に交流電圧を出力する。DC−ACインバータ162は、力率改善回路161から出力されるDC390Vをスイッチングし、その出力をLCフィルタにより平滑することにより、出力実効値を可変した交流電圧を出力する。交流電圧の実効値及びインバータ出力のオンオフは、プリンタエンジン制御部143からの信号に応じて制御される。プリンタエンジン制御部143は、サーミスタ131により検出される温度及び画像形成装置100の動作状態に応じてヒータ132へ印加するインバータ出力のオン及びオフを制御する。
【0031】
図4は、力率改善回路161の回路図である。
PFC制御IC511は、各種入力に応じて、IGBT520、531をスイッチングして出力を制御する。商用電源CPから入力されたAC電圧は、コモンモードチョークコイル502を通り、ブリッジダイオード510により半波整流される。ダイオード503、504は、ブリッジダイオード510の半分と組み合わせて、同様に半波整流を行う。ダイオード503、504により半波整流された電圧は、抵抗507及び抵抗508により分圧され、さらにコンデンサ509により整流に平滑化され、PFC制御IC511の開始電圧入力端子に入力される。この分圧値は、PFC制御IC511の回路内部で基準電圧と比較される。分圧値が基準電圧を超えると、PFC制御IC511は、制御を開始する。ここで、力率改善回路161は、ユニバーサル入力に対応するため、開始電力入力端子は、充分に低い電圧に対応しているものとする。抵抗505及び抵抗506で分圧された電圧は、AC入力電圧端子に入力され、PFC制御IC511のスイッチングを制御するための信号となる。PFC制御IC511及びゲートドライブ回路541、542へ供給する電源は、15Vの電源入力部512から入力される。15Vの電源入力部512についての詳細は後述するが、0Vの入力側がFG(Frame Ground)と分離された絶縁電源である。PFC制御IC511は、GD1端子及びGD2端子からゲートドライブ信号を出力する。ゲートドライブ回路541、542は、力率が1に近くなるように制御される。PFC制御IC511は、多くの半導体メーカーより供給され、公知であるので詳細は割愛する。
【0032】
ゲートドライブ信号は、ゲートドライブ回路541、542で、NPNトランジスタ516、527と、PNPトランジスタ517、528との対によりドライブ電流を増幅され、IGBT520、531をスイッチングする。ブーストコイル523、534で昇圧された電圧が、ダイオード524、535と、電解コンデンサ536とにより平滑され、DC+390Vの出力が得られるように、PFC制御IC511はスイッチングデューティ比を制御する。出力された電圧は、上述の制御のために、抵抗537、539及び抵抗538、540により分圧される。抵抗539及び抵抗540で分圧された電圧が、フィードバック電圧としてPFC制御IC511に入力される。また、抵抗537及び抵抗538により分圧された電圧が、過電圧検出用の電圧としてPFC制御IC511に入力される。後述するインバータ負荷の変化に応じて、PFC制御IC511は、スイッチングデューティ比を変化させて出力電圧が+390Vの定電圧となるように制御を行う。また、電流検出抵抗522、532に流れる電流により生じる電圧は、PFC制御IC511に入力される。そして、過電流によってIGBT520、531が破壊されないように、検出電圧が所定閾値を超えた場合に、PFC制御IC511は、スイッチングを停止する等の処理を行う。
【0033】
図5は、トランスにより1次―2次間が絶縁された、24V入力及び15V出力のDC−DCコンバータの回路図である。これは、一般的な自励式フライバックコンバータである。シャントレギュレータ614のリファレンス端子に抵抗616及び抵抗617により分圧された電圧が入力され、出力電圧が15Vを超えた場合にシャントレギュレータ614のカソードからアノードに電流が流れることにより、フォトカプラ610の2次側発光ダイオードに電流が流れる。そして、フォトカプラ610の1次側に流れる電流によりNPNトランジスタ602のベース電流が減じられ定電圧制御となる。この回路も公知であるので詳細な説明は、割愛する。
【0034】
図6は、本実施の形態におけるDC−ACインバータ162のスイッチング部163の回路図である。
スイッチング部163は、インバータ制御部164から信号を入力され各IGBT707、717、727、737をスイッチングすることにより、DC390Vをスイッチングして交流の出力を得る。
IGBT707、717、727、737は、Si FET(Silicon FET)、SiC FET(Silicon Carbide FET)、GaN FET(Gallium nitride FET)等のデバイスも使用可能である。
スイッチングにおいては、IGBT707及びIGBT717、並びに、IGBT727及びIGBT737のハイサイドとローサイドの対で両方同時オンによる貫通電流が流れないように、各上下対では略反転した信号が入力される。さらに、純粋な反転信号である場合に、オフ時間の遅延により同時オンとなる時間が生じてしまうことを防止するため、上下対両方オフする時間としてのデッドタイムが設けられる。
【0035】
IGBT727及びIGBT737の上下対は、IGBT707及びIGBT717の上下対との組み合わせで、インバータ出力を得る。出力オフ時には、IGBT707及びIGBT717の上下対に対しては、IGBT727及びIGBT737の上下対と同じ信号が入力される。IGBT727及びIGBT737の上下対は、本実施の形態では、+390Vと0Vを、IGBT727のエミッタとIGBT737のコレクタの接続点にスイッチする。スイッチングされた電圧は、インダクタ761とコンデンサ762で構成されるLCフィルタによりスイッチング周波数成分の高周波成分を除去され、ヒータ132へ供給される。
【0036】
フォトカプラ704、714、724、734は、東芝製のTLP251に代表されるようなフォトカプラにより絶縁されたゲートドライバICである。フォトカプラ704、714、724、734は、15Vの電源入力部701、711、721により電力を供給される。これらの電源は、
図5で示されるものを3ケ並置される。15V電源入力部711に関しては、
図5に示されている15Vの電源入力部512と共通化可能である。残りの2カ所の電源入力部701、721は、ハイサイドドライブ回路の絶縁電源であるので夫々絶縁が必要である。ゲートドライブ回路の絶縁電源は各種あり、本実施の形態の方式に限るものではない。フォトカプラ704、714、724、734では、1次側をインバータ制御部164から出力されるPWM信号により、NチャンネルFET703、713、723、733がスイッチングされ、フォトカプラ704、714、724、734の1次側発光ダイオードに電流が流れ、2次側のゲートドライブ回路が駆動される。
【0037】
カレントトランス751は、インバータ回路に接続された1次側に流れる電流を2次側に電圧変換して出力する。例えば、1次側が1ターンに対して2次側が100〜200ターン程度となる。2次側の出力を抵抗752で電圧に変換し、ダイオード753で整流し、抵抗754、755とコンデンサ756で平滑化し、DC電圧として出力する。出力された電圧ADC_Aは、インバータ制御部164へ出力される。
【0038】
図7は、PWM信号を出力するインバータ制御部164のブロック図である。
プリンタエンジン制御部143から送信される信号に従って、PWM出力端子803は、PWM_A信号を出力し、PWM出力端子804は、PWM_B信号を出力し、PWM出力端子805は、PWM_C信号を出力し、PWM出力端子806は、PWM_D信号を出力する。本実施の形態では、プリンタエンジン制御部143からは、ヒータ132への電圧の印加をオン又はオフする指示を示す信号が出力される。インバータ制御部164は、プリンタエンジン制御部143から送信される信号に従って、PWM_A信号、PWM_B信号、PWM_C信号又はPWM_D信号の波形を特定して、対応するPWM出力端子から出力する。本実施の形態では、インバータ側にインバータ制御部164を設けたがプリンタエンジン制御部143の大規模集積回路から直接PWM信号が出力される等の構成であってもよい。
【0039】
PWM_A信号、PWM_B信号、PWM_C信号及びPWM_D信号は、DC−ACインバータ162の出力電圧を決定する信号である。本実施の形態においては、インバータ制御部164は、ヒータ132の抵抗値のバラツキを示す属性値をデータ保持部134から取得し、この属性値に基づいて、DC−ACインバータ162からの出力電圧を補正して、ヒータ132の消費電力を一定にする。また、インバータ制御部164は、入力されるゼロクロス信号のエッジで出力するPWM信号をリセットし、出力正弦波電圧の立ち上がりをゼロクロス信号に同期させる。さらに、インバータ制御部164は、ADC_A入力端子807に入力される電圧ADC_Aで示される、インバータ電流を電圧に変換したレベルに応じてPWM信号のデューティ比を制限する。
【0040】
図8(A)及び(B)は、実施の形態1におけるインバータ出力波形の模式図である。
インバータ制御部164は、データ保持部134からヒータ132の抵抗値のバラツキを示す属性値を、電源投入時、カバー開閉時等の予め定められた時に読み出す。
属性値は、例えば、ヒータ132の抵抗値のバラツキが±10%であれば、それを示す値であり、例えば、0.9〜1.1等の値となる。即ち、ここでは、ヒータ132の抵抗値をヒータ132の抵抗値の基準値で除算した値が、属性値となる。従って、属性値は、ヒータ132の抵抗値が大きいほど大きな値となる。実施の形態1では、インバータ制御部164は、その属性値をインバータ出力のPWMデューティ比に直接乗算するか、予め実験により求めた係数をさらに乗算する等して補正する。従って、属性値が大きいほど、DC−ACインバータ162から出力される電圧は高くなる。
【0041】
属性値が1.0で補正なしの場合は、
図8(A)の実線で示されているAC200Vの波形が出力される。属性値が0.9である場合には、
図8(A)の一点鎖線で示されているAC180Vの波形が出力される。属性値が1.1である場合には、
図8(A)の破線で示されているAC220Vの波形が出力される。これにより定格AC200Vのヒータ132に対して±10%の電圧印加が可能となる。それによりヒータ132の抵抗値にバラツキがあっても、同じ出力を保つことが可能となる。
【0042】
図8(B)は、電流制限時のインバータ出力の波形の模式図である。ヒータ通電初期等ヒータ132の抵抗値が低い場合には、電圧ADC_Aで示される電流値が予め定められた閾値を超えた場合に、インバータ制御部164は、PWMデューティ比を制限する。それによりAC電圧のピークが抑えられ、ヒータ132の温度が上昇して抵抗値が上がるまでは制限された波形が出力される。
【0043】
図9(A)〜(D)は、PWM信号の出力波形の模式図である。
図9(A)又は(B)に示されているように、IGBTフルブリッジの片側2カ所のブリッジに対しては、PWM_C信号又はPWM_D信号のように、出力正弦波周期のPWM波形が、上下対に対して反転した波形が入力される。
図9(C)又は(D)に示されているように、もう片方に対しては、正弦波が出力されるようにデューティ比を出力正弦波位相に応じて変化させる波形が入力される。
インバータ制御部164は、三角関数をリアルタイムで演算することで、PWMデューティ比を算出してもよく、予め決められたデューティ比を格納したテーブルを図示しないメモリ等に保持してもよい。インバータ波形出力に関しては公知であるので詳細は割愛する。
【0044】
図10(A)〜(D)は、電流制限時の第1の波形を説明するための模式図である。
図10(A)〜(D)に示された波形は、
図9(A)〜(D)の左半分に対応する。
図10(A)及び(B)は、PWM_A信号の波形と、そのような波形が出力された場合におけるDC−ACインバータ162の出力正弦波の波形を示してある。PWM_B信号は、PWM_A信号の波形の反転波形にデッドタイムを加えたものとなる。
そして、カレントトランス751に流れた電流に応じてADC_A入力端子807の入力電圧が変化し、ADC_A入力端子807の入力電圧が、予め定められた閾値を超えた場合に、インバータ制御部164は、
図10(D)に示すように、PWM_A信号のパルス幅に制限を掛ける。即ち、PWM_A信号のパルス幅がそれ以上大きくならないようにする。それにより、
図10(C)に示すように、DC−ACインバータ162からの出力波形は、ピークがフラットとなった台形状となる。
【0045】
図11は、DC−ACインバータ162からの出力電圧を制限する際の第1の処理を示すフローチャートである。
図11は、
図10で示された場合のフローチャートである。
まず、インバータ制御部164は、PWM信号のデューティ比のリミット値「L1」に初期値を設定する(S10)。実施の形態1では、力率改善回路161から出力される電圧はDC390Vであるため、デューティ比が「1」になってしまうと、DC−ACインバータ162から出力される電圧も定格である200Vを越えてしまう。このため、インバータ制御部164は、定格の電圧を出力する場合の最大デューティ比を初期値として設定する。
【0046】
インバータ制御部164は、次にスイッチング部163に出力するPWM_A信号のデューティ比「Va」を取得する(S11)。例えば、定格であるAC200Vを出力するためのデューティ比が予めテーブルに格納されていてもよく、また、三角関数を用いてデューティ比が算出されてもよい。
そして、インバータ制御部164は、取得されたデューティ比「Va」がリミット値「L1」よりも大きいか否かを判断する(S12)。取得されたデューティ比「Va」がリミット値「L1」よりも大きい場合には、処理はステップS13に進み、取得されたデューティ比「Va」がリミット値以下の場合には、取得されたデューティ比を現設定のデューティ比として、処理はステップS14に進む。
【0047】
ステップS13では、インバータ制御部164は、取得されたデューティ比「Va」をリミット値で置き換えることで、現設定のデューティ比とする。そして、処理はステップS14に進む。
ステップS14では、インバータ制御部164は、現設定のデューティ比に基づいて、PWM信号を出力する。この場合、現設定のデューティ比は、ヒータ132の属性値に基づいて補正される。
【0048】
次に、インバータ制御部164は、ADC_A入力端子807の入力電圧を検出する(S15)。
そして、インバータ制御部164は、ADC_A入力端子807の入力電圧が予め定められた閾値よりも大きいか否かを判断する(S16)。ADC_A入力端子807の入力電圧が予め定められた閾値よりも大きい場合(S16でYes)には、処理はステップS17に進み、ADC_A入力端子807の入力電圧が予め定められた閾値以下の場合(S16でNo)には、処理はステップS11に戻る。
【0049】
ステップS17では、インバータ制御部164は、現設定のデューティ比をリミット値「L1」として設定し、処理をステップS11に戻す。
【0050】
図12(A)〜(D)は、電流制限時の第2の波形を説明するための模式図である。
図12(A)〜(D)に示された波形は、
図9(A)〜(D)の右半分に対応する。
図12(A)及び(B)は、PWM_A信号の波形と、そのような波形が出力された場合におけるDC−ACインバータ162の出力正弦波の波形を示してある。PWM_B信号は、PWM_A信号の波形の反転波形にデッドタイムを加えたものとなる。
そして、カレントトランス751に流れた電流に応じてADC_A入力端子807の入力電圧が変化し、ADC_A入力端子807の入力電圧が、予め定められた閾値を超えた場合に、インバータ制御部164は、
図12(D)に示すように、PWM_A信号のパルス幅に制限を掛ける。それにより、
図12(C)に示すように、DC−ACインバータ162からの出力波形は、ピークがフラットとなった台形状となる。
【0051】
図13は、DC−ACインバータ162からの出力電圧を制限する際の第2の処理を示すフローチャートである。
図13は、
図12で示された場合のフローチャートである。
まず、インバータ制御部164は、PWM信号のデューティ比のリミット値「L2」に初期値を設定する(S20)。実施の形態1では、力率改善回路161から出力される電圧はDC390Vであるため、デューティ比が「1」になってしまうと、DC−ACインバータ162から出力される電圧も定格である200Vを越えてしまう。このため、インバータ制御部164は、定格の電圧を出力する場合の最小デューティ比を初期値として設定する。
【0052】
インバータ制御部164は、次にスイッチング部163に出力するPWM_A信号のデューティ比「Vb」を取得する(S21)。
そして、インバータ制御部164は、取得されたデューティ比「Vb」がリミット値「L2」よりも小さいか否かを判断する(S22)。取得されたデューティ比「Vb」がリミット値「L2」よりも小さい場合には、処理はステップS23に進み、取得されたデューティ比「Vb」がリミット値以上の場合には、取得されたデューティ比を現設定のデューティ比として、処理はステップS24に進む。
【0053】
ステップS23では、インバータ制御部164は、取得されたデューティ比「Vb」をリミット値「L2」で置き換えることで、現設定のデューティ比とする。そして、処理はステップS24に進む。
ステップS24では、インバータ制御部164は、現設定のデューティ比に基づいて、PWM信号を出力する。この場合、現設定のデューティ比は、ヒータ132の属性値に基づいて補正される。
【0054】
次に、インバータ制御部164は、ADC_A入力端子807の入力電圧を検出する(S25)。
そして、インバータ制御部164は、ADC_A入力端子807の入力電圧が予め定められた閾値よりも大きいか否かを判断する(S26)。ADC_A入力端子807の入力電圧が予め定められた閾値よりも大きい場合(S26でYes)には、処理はステップS27に進み、ADC_A入力端子807の入力電圧が予め定められた閾値以下の場合(S26でNo)には、処理はステップS21に戻る。
【0055】
ステップS27では、インバータ制御部164は、現設定のデューティ比をリミット値「L2」として設定し、処理をステップS21に戻す。
【0056】
図9の左側ではPWM_D信号とPWM_A信号との論理積(AND)を取った範囲が、ヒータ132へ通電される期間となる。
図9の右側では、PWM_C信号とPWM_B信号との論理積を取った範囲が、ヒータ132へ通電される期間となる。それにより、
図9に示されている1サイクルにおいて、その前半で
図6に示されているX方向に電流が流れ、その後半でY方向に電流が流れる。
【0057】
インバータ制御部164をマイコン又はロジック回路で実装する場合には、PWM_A信号の側を制御し、PWM_B信号の側は反転出力にデッドタイムを設ける設定となるので、
図11及び
図13に示されているフローで説明したが、このような例に限定されるものではない。また、負荷がヒータ132であるので電流制限時にはピークを抑えるだけで十分である。なお、波形歪については、ヒータ132は抵抗性負荷であるので、特性に対して影響を与えることはない。
【0058】
実施の形態1では、電流制限に関して予め定められた閾値を超えたらデューティ比をクランプしている。ヒータ132が負荷である場合は、通電と共に温度上昇により抵抗値が上昇するのでこのような構成が採用されている。従来のトライアックによる位相制御では、トライアックという素子がゼロクロス点(電圧0V)にならないとオフしないために、電流制限しようとしても初回オン時では予測制御しかできなかった。これに対して、実施の形態1のように、スイッチングで電流制限を行えば、過電流を検知した場合に即座に電流に制限を掛けることが可能となる。さらに、出力スイッチングは、正弦波出力とするために、出力ゼロクロス点からPWMデューティ比が徐々に増加させている。このため、ヒータ132への通電開始時の電流が低いため、設定された閾値を大幅に超える過電流が流れることはない。
【0059】
従来は、ヒータ132が温まるまで過電流が流れないように所定期間位相制御にて制限し、その後にヒータ132に連続通電を行い、かつ、その制御をプリンタエンジン制御部143のファームウェアで行っていた。これに対して、実施の形態1では、電源側で電流にリミットを掛けることにより、常に電流をモニタしながら流せる最大の電流値をとることができる。このため、ヒータ132のコールドスタート時の立ち上がり時間も早くなった。スイッチング時の最大電流の閾値は、スイッチングデバイスであるIGBT等の安全動作領域を元に、電流、スイッチング周波数及び動作温度等により決定すればよい。
【0060】
以上説明したように商用電源CPの入力電圧によらず、DC−ACインバータ162によりヒータ132に供給する電力を制御し、DC−ACインバータ162の電流をモニタしながら過電流検知時に電流を制限することにより、短時間での突入電流を抑えて、ヒータ132の立ち上げを行うことができるようになった。それに伴い伝導ノイズも解消でき、フリッカ等の影響も皆無となった。
【0061】
また、ヒータ132の抵抗値のバラツキを補正してDC−ACインバータ162から出力を行うことができるため、商用電源CPの電圧変動、又は、ヒータ132の抵抗値のバラツキ等による温度上昇時間及び消費電力のバラツキをなくすことが可能となった。
さらに、ヒータ132は、AC200Vのみで入力商用電源AC80〜260Vに対応可能となり、仕様に応じて異なるヒータ132を用意する必要がなくなった。
【0062】
実施の形態2.
(構成の説明)
図1に示すように、実施の形態2に係る画像形成装置200は、トナーカートリッジ101と、LEDヘッド102と、現像ユニット110と、転写ローラ103と、用紙カセット104と、ホッピングローラ105と、レジストローラ106と、用紙検出センサ107と、転写ベルト108と、駆動ローラ120と、従動ローラ121と、転写ベルトクリーニングブレード122と、クリーナー容器123と、定着器230と、用紙ガイド124と、排紙トレー125とを備える。実施の形態2に係る画像形成装置200は、定着器230以外は、実施の形態1に係る画像形成装置100と同様である。
【0063】
図2に示されているように、実施の形態2に係る画像形成装置200における制御系は、ホストインタフェース部140と、コマンド画像処理部141と、LEDヘッドインタフェース部142と、プリンタエンジン制御部143とを備える。実施の形態2に係る画像形成装置200における制御系は、プリンタエンジン制御部143が定着器230及び低圧電源260を制御する点を除いて、実施の形態1における画像形成装置100における制御系と同様に構成されている。
【0064】
図14は、定着器230及び低圧電源260の構成を概略的に示すブロック図である。
定着器230は、サーミスタ131と、ヒータ132と、過昇温防止部133とを備える。実施の形態2における定着器230は、データ保持部134を備えていない点を除いて、実施の形態1における定着器130と同様に構成されている。
【0065】
低圧電源260は、力率改善回路161と、DC−ACインバータ262と、DC−DCコンバータ166とを備える。実施の形態2における低圧電源260は、DC−ACインバータ262を除いて、実施の形態1における低圧電源160と同様に構成されている。
【0066】
DC−ACインバータ262は、スイッチング部263と、インバータ制御部264とを備える。DC−ACインバータ262で変換された所望の交流電圧がヒータ132に印加される。
本実施の形態におけるDC−ACインバータ262は、スイッチング部263に流れる電流の値に基づいて、生成する交流電圧を補正することで、ヒータ132の消費電力を一定にする。
【0067】
図15は、実施の形態2におけるDC−ACインバータ262のスイッチング部263の回路図である。
実施の形態2におけるスイッチング部263は、抵抗757及びコンデンサ758をさらに備えており、電圧ADC_Bをインバータ制御部264に出力する点を除いて、実施の形態1におけるスイッチング部163と同様に構成されている。
ここで、カレントトランス751、抵抗752、754、755、757、ダイオード753及びコンデンサ756、758は、スイッチング部163の電流を検出するための第1の電流検出部を構成する。また、カレントトランス751、抵抗752、754、755、ダイオード753及びコンデンサ756は、スイッチング部163の電流を検出するための第2の電流検出部を構成する。
【0068】
図16は、実施の形態2におけるDC−ACインバータ262のインバータ制御部264の回路図である。
実施の形態2におけるインバータ制御部264は、ADC_B入力端子808がさらに設けられている点を除いて、実施の形態1におけるインバータ制御部164と同様に構成されている。
【0069】
(動作の説明)
以下、実施の形態2における動作を説明するが、実施の形態1と同様の部分については、説明を省略する。
図15に示されているスイッチング部263では、カレントトランス751には、ADC_A入力端子807及びADC_B入力端子808の2系統への出力が接続されている。
実施の形態1でも用いられているADC_A入力端子807への出力は、インバータスイッチング周波数のうちPWM_A信号及びPWM_B信号のスイッチング周波数での電流変化を検出することのできる遮断周波数のRCフィルタが接続されている。実施の形態2では、それに加えてインバータ出力周波数であるPWM_C信号及びPWM_D信号のスイッチング周波数での電流変化を検知することのできる低い遮断周波数のRCフィルタが実装される。
【0070】
図16に示されているインバータ制御部264は、ADC_B入力端子808で出力電圧をサンプリングし、平均電流値を演算して、PWM信号のデューティ比を補正するための補正値を算出する。そして、インバータ制御部264は、このようにして算出された補正値を、PWM信号のデューティ比に乗算することで、インバータ出力を補正する。
【0071】
図17は、PWM信号のデューティ比の補正値を算出する処理を示すフローチャートである。
ここでは、ヒータ132の消費電力が1000Wであるものとする。
まず、インバータ制御部264は、PWM信号のデューティ比の補正値を初期値に設定する(S30)。例えば、ここでの初期値は、DC−ACインバータ262からAC180Vを出力させるため、「0.9」とする。
【0072】
次に、インバータ制御部264は、PWM信号のデューティ比に補正値を演算して出力する(S31)。ここでは、インバータ制御部264は、PWM信号のデューティ比に補正値を乗算する。
そして、インバータ制御部264は、ADC_B入力端子808から入力される電圧から、インバータ出力の電流の検出値を演算し(S32)、その平均値を算出することで、インバータ出力の電流平均値を演算する(S33)。
【0073】
インバータ制御部264は、ステップS33で算出された電流平均値を用いて、下記の(1)式により、演算値を算出する。
電流平均値×200÷出力実行電圧値 (1)
ここで、出力実効電圧値は、ステップS30で180Vにされている。
従って、(1)式により算出される演算値は、定格AC200Vでの電流値を示すことになる。
【0074】
次に、インバータ制御部264は、DC−ACインバータ262の電流の基準値である5Aを、ステップS35で算出された演算値で除算した値を補正値として設定する。
そして、インバータ制御部264は、設定された補正値が1.1よりも大きいか否かを判断する(S36)。設定された補正値が1.1よりも大きい場合(S36でYes)には、処理はステップS37に進み、設定された補正値が1.1以下である場合(S36でNo)には、処理はステップS38に進む。
ステップS37では、インバータ制御部264は、補正値を1.1に変更する。そして、処理はステップS38に進む。
【0075】
ステップS38では、インバータ制御部264は、設定された補正値が0.9よりも小さいか否かを判断する。設定された補正値が0.9よりも小さい場合(S38でYes)には、処理はステップS39に進み、設定された補正値が0.9以上である場合(S38でNo)には、処理はステップS31に戻る。ここで、以降では、出力実効電圧値を200Vとしてもよい。
ステップS39では、インバータ制御部264は、補正値を0.9に変更する。そして、処理はステップS31に戻る。ここで、以降では、出力実効電圧値を200Vとしてもよい。
【0076】
以上のようにして算出された補正値を用いて、インバータ制御部264は、
図9に示されている左の周期ではPWM_A信号のデューティ比を補正し、右の周期ではPWM_B信号のデューティ比を補正する。実装においては、インバータ制御部264は、PWM_A信号のデューティ比に対して、PWM_D信号がHighの期間はPWM_A信号のデューティ比に補正値を乗算し、PWM_D信号がLowの期間はPWM_A信号のデューティ比に対して補正値の逆数を乗算する。ここでは、補正値は、0.9〜1.1の範囲に制限されているため、インバータ制御部264は、0.91(≒1/1.1)〜1.11(≒1/0.9)を乗算する。これにより、検出された電流値が大きいほど、DC−ACインバータ162から出力される電圧は低くなるため、ヒータ132の消費電力は、一定となる。
【0077】
以上により、初期状態ではAC180Vで最大出力電圧が制限された状態から、ヒータ132の抵抗値のバラツキに応じてAC180〜AC220Vの範囲で電圧が補正され出力される。実施の形態2では、出力電力をリアルタイムに電流を検知しながら補正することにより、例えば1000W/AC200Vのヒータであれば実効電力値が最大で1000Wとなるように制御される。
【0078】
以上説明したように、実施の形態2によれば、電流値をモニタしながらインバータ出力電圧を制御することにより、ヒータ132の抵抗のバラツキによらず、一定の電力をヒータ132へ供給できるようになる。また、電源電圧が変動してもヒータ132に供給する電力の変動をなくすことが可能となった。ヒータ132への電力供給は、安定化電源となり、さらにヒータ132の抵抗のバラツキによる供給電力のバラツキも補正することが可能となった。
【0079】
実施の形態1及び2では、カラーの画像形成装置100、200で使用されるヒータ132に本発明を適用した例を説明したが、モノクロの画像形成装置にも適用可能である。
【0080】
画像形成装置100、200は、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写機又は複合機に適用することができる。