(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
炉心槽の内壁に固定されたリング状の固定部材に対して下部炉心板が外縁を取り付けられると共に前記炉心槽の下端に下部炉心支持板が固定され、前記下部炉心板と前記下部炉心支持板との間に前記下部炉心板を支持する下部炉心支持柱が複数設けられる炉内構造物の組立調整装置において、
前記下部炉心支持板の中央に取り付けられて前記固定部材の鉛直軸を中心に回転可能に設けられる旋回台と、
前記旋回台に基端が取り付けられ前記固定部材に先端がローラを介して支持されて水平を保って掛け渡されて前記旋回台の回転に伴って回転移動する梁材と、
前記下部炉心支持板に立設される前記下部炉心支持柱の上端面と前記梁材の下面との寸法を計測する計測器と、
を備えることを特徴とする炉内構造物の組立調整装置。
炉心槽の内壁に固定されたリング状の固定部材に対して下部炉心板が外縁を取り付けられると共に前記炉心槽の下端に下部炉心支持板が固定され、前記下部炉心板と前記下部炉心支持板との間に前記下部炉心板を支持する下部炉心支持柱が複数設けられる炉内構造物の組立方法において、
前記下部炉心支持板の中央に取り付けられて前記固定部材の鉛直軸を中心に回転可能に設けられる旋回台と、
前記旋回台に基端が取り付けられ前記固定部材に先端がローラを介して支持されて水平を保って掛け渡されて前記旋回台の回転に伴って回転移動する梁材と、
前記下部炉心支持板に立設される前記下部炉心支持柱の上端面と前記梁材の下面との寸法を計測する計測器と、
を備える組立調整装置を用い、
前記炉心槽の下端に前記下部炉心支持板を取り付け、かつ前記下部炉心支持板に各前記下部炉心支持柱を取り付けて、前記固定部材の水平度を保った状態で、前記旋回台を介して前記梁材を回転移動させ、前記梁材の下方にある前記下部炉心支持柱の上端面と前記梁材の下面との寸法を前記計測器により計測して、前記固定部材の上面と前記梁材の下面との寸法に合わせるように前記下部炉心支持板への前記下部炉心支持柱の取り付け高さを調整し、高さが調整された全ての前記下部炉心支持柱に前記下部炉心板を取り付けることを特徴とする炉内構造物の組立方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した加圧水型原子炉は、十分な安全性や信頼性を確保するために各種の構造物などを定期的に検査し、必要に応じて必要箇所を補修したり、炉内構造物を取り替えたりする。炉内構造物を取り替える場合、新たな下部炉心板は、燃料集合体を支持するものであり、炉心槽に対して水平度を精度良く保った状態で取り付ける必要がある。この下部炉心板は、下部炉心支持板との間に立設された複数の下部炉心支持柱を介して支持される。従って、下部炉心板を炉心槽に取り付ける場合、下部炉心支持板が水平となるように調整する必要がある。
【0005】
一般に、下部炉心支持柱の高さを調整する場合、下部炉心板の外周縁を取り付けるために炉心槽の内壁に固定されている扇形板とよばれる固定部材に対し、ストレッチと呼ばれる剛構造の梁材を掛け渡し、このストレッチの上面に水準器を載置して、ストレッチを水平にするべく、ストレッチに載置した水準器が水平をあらわすように各下部炉心支持柱の上端をストレッチの下面に当接させて各下部炉心支持柱の高さを調整する。
【0006】
しかし、このような下部炉心支持柱の高さ調整において、水準器を最終的な水平度の計測に用いているが、水準器は気泡の安定に時間がかかるため必要以上に作業時間がかかることになる。しかも、ストレッチを水平にするには、ストレッチの下側にある多数の下部炉心支持柱のうちの複数を併せて調整するため作業性が悪い。しかも、ストレッチは、その下側にある各下部炉心支持柱を調整した後に、他の下部炉心支持柱に対応して移動させるため作業工数が多く、かつストレッチが剛構造であるためクレーンによりハンドリングしなければないためストレッチを炉心槽の内壁に衝突させないように注意を払わなければならず作業時間がかかる。しかも、ストレッチは、各下部炉心支持柱の上端が当接した状態で水平とされており固定部材の上面から離れるようになるため、各下部炉心支持柱の上端と固定部材の上面との高さを揃えることが難しい。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、下部炉心支持柱の高さ調整を容易かつ正確に行うことのできる炉内構造物の組立調整装置および組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の炉内構造物の組立調整装置は、炉心槽の内壁に固定されたリング状の固定部材に対して下部炉心板が外縁を取り付けられると共に前記炉心槽の下端に下部炉心支持板が固定され、前記下部炉心板と前記下部炉心支持板との間に前記下部炉心板を支持する下部炉心支持柱が複数設けられる炉内構造物の組立調整装置において、前記下部炉心支持板の中央に取り付けられて鉛直軸を中心に回転可能に設けられる旋回台と、前記旋回台に基端が取り付けられ前記固定部材に先端がローラを介して支持されて水平を保って掛け渡されて前記旋回台の回転に伴って回転移動する梁材と、前記下部炉心支持板に立設される前記下部炉心支持柱の上端面と前記梁材の下面との寸法を計測する計測器と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明の炉内構造物の組立方法は、炉心槽の内壁に固定されたリング状の固定部材に対して下部炉心板が外縁を取り付けられると共に前記炉心槽の下端に下部炉心支持板が固定され、前記下部炉心板と前記下部炉心支持板との間に前記下部炉心板を支持する下部炉心支持柱が複数設けられる炉内構造物の組立方法において、前記下部炉心支持板の中央に取り付けられて鉛直軸を中心に回転可能に設けられる旋回台と、前記旋回台に基端が取り付けられ前記固定部材に先端がローラを介して支持されて水平を保って掛け渡されて前記旋回台の回転に伴って回転移動する梁材と、前記下部炉心支持板に立設される前記下部炉心支持柱の上端面と前記梁材の下面との寸法を計測する計測器と、を備える組立調整装置を用い、前記炉心槽の下端に前記下部炉心支持板を取り付け、かつ前記下部炉心支持板に各前記下部炉心支持柱を取り付けて、前記固定部材の水平度を保った状態で、前記旋回台を介して前記梁材を回転移動させ、前記梁材の下方にある前記下部炉心支持柱の上端面と前記梁材の下面との寸法を前記計測器により計測して、前記固定部材の上面と前記梁材の下面との寸法に合わせるように前記下部炉心支持板への前記下部炉心支持柱の取り付け高さを調整し、高さが調整された全ての前記下部炉心支持柱に前記下部炉心板を取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、下部炉心支持柱の高さ確認は、下部炉心支持柱の上端面と梁材の下面との寸法を計測する計測器を用い、水準器を用いないため、確認作業時間を短縮することができる。しかも、下部炉心支持柱ごとに高さ確認および調整を行うため作業性が良く正確である。しかも、高さ確認に用いる梁材を回転移動させるため、クレーンを用いることなく作業工数を低減することができる。しかも、梁材の先端がローラを介して固定部材の上面に載置されているため、固定部材の上面と梁材の下面との寸法を基準として下部炉心支持柱の上端面と梁材の下面との寸法を合わせることで、各下部炉心支持柱の上端と固定部材の上面との高さを容易に揃えることができ、作業性を向上できる。従って、本発明によれば、下部炉心支持柱の高さ調整を容易かつ正確に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
原子力発電プラントは、図示しないが、原子炉格納容器内に配置される原子炉および蒸気発生器と、蒸気タービン発電設備とを有している。本実施形態の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
【0014】
原子炉は、燃料の核分裂により一次冷却水を加熱し、蒸気発生器は、この高温高圧の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換し、高圧の蒸気を生成する。蒸気タービン発電設備は、この蒸気により蒸気タービンを駆動することで発電を行う。一方、蒸気タービンを駆動した蒸気は、復水器で冷却されて復水となり、蒸気発生器に戻される。
【0015】
図1は、加圧水型原子炉の縦断面図である。上述した原子力発電プラントの加圧水型原子炉において、
図1に示すように、原子炉容器101は、圧力容器であって、その内部に燃料集合体120を含む炉内構造物が収容できるように、原子炉容器本体101aに対して原子炉容器蓋101bが複数のスタッドボルト121およびナット122により固定されている。原子炉容器本体101aは、原子炉容器蓋101bを取り外すことで上部が開口可能であり、下部が半球形状をなす下鏡101eにより閉塞された円筒形状をなす。
【0016】
炉内構造物について、原子炉容器本体101aの入口側管台101cおよび出口側管台101dより上方に上部炉心支持板123が配置され、下方の下鏡101eの近傍に下部炉心支持板124が配置される。上部炉心支持板123および下部炉心支持板124は、円板形状で図示しない多数の連通孔が形成されている。そして、上部炉心支持板123は、複数の炉心支持ロッド125を介して下方に上部炉心板126が連結されている。上部炉心板126は、図示しない多数の連通孔が形成されている。なお、上部炉心支持板123、および上部炉心支持板123に対して炉心支持ロッド125を介して上部炉心板126が連結された構造物を上部炉心構造物という。
【0017】
また、炉内構造物について、原子炉容器本体101aの内部に、その内壁面と所定の隙間をおいて円筒形状の炉心槽127が配置される。炉心槽127は、下端に下部炉心支持板124が固定される。また、炉心槽127は、その内部下方に下部炉心板128が設けられる。下部炉心板128は、円板形状で図示しない多数の連通孔が形成されており、複数の下部炉心支持柱129を介して下部炉心支持板124に支持される。なお、炉心槽127、および炉心槽127に対して設けられる下部炉心板128、並びに下部炉心支持板124を下部炉心構造物という。そして、この下部炉心構造物の炉心槽127は、上方から上部炉心構造物が挿入され、上端に上部炉心板126が連結される。下部炉心構造物の下部炉心支持板124は、原子炉容器本体101aに固定される。即ち、下部炉心構造物および上部炉心構造物は、下部炉心支持板124を介して原子炉容器本体101aに支持されることとなる。
【0018】
また、炉内構造物について、上部炉心板126と炉心槽127と下部炉心板128とにより炉心130が形成される。炉心130は、多数の燃料集合体120が炉心槽127の内部に配置され、かつ下部炉心板128上に装荷される。また、炉心130は、内部に多数の制御棒135が配置される。この多数の制御棒135は、上端部がまとめられて制御棒クラスタ136となり、燃料集合体120内に挿入可能に設けられる。上部炉心支持板123は、多数の制御棒クラスタ案内管137が貫通して固定される。
【0019】
原子炉容器101を構成する原子炉容器蓋101bには、磁気式ジャッキの制御棒駆動装置138が設けられる。制御棒駆動装置138は、原子炉容器蓋101bと一体をなすハウジング139内に収容される。そして、制御棒駆動装置138から下方に延出された制御棒クラスタ駆動軸140が、制御棒クラスタ案内管137内を通って燃料集合体120まで延出され、制御棒クラスタ136を把持可能に設けられる。
【0020】
また、原子炉容器101は、上述した構成により、炉心130に対して、炉心槽127の内部であって、上部炉心板126の上方域に出口側管台101dに連通する上部プレナム142が形成される一方、炉心槽127の外部であって、下部炉心支持板124の下方域に下部プレナム143が形成される。そして、原子炉容器101の内壁と炉心槽127との間に入口側管台101cおよび下部プレナム143に連通するダウンカマー部144が形成される。
【0021】
なお、原子炉容器本体101aは、下鏡101eを貫通する多数の計装管台145が設けられる。各計装管台145は、炉内側の上端部に炉内計装案内管146が連結される一方、炉外側の下端部にコンジットチューブ147が連結される。各炉内計装案内管146は、上端部が下部炉心支持板124に連結される。そして、中性子束を計測可能な中性子束検出器(図示せず)が装着されたシンブルチューブ148が、コンジットチューブ147から計装管台145および炉内計装案内管146を通り、下部炉心板128を貫通して燃料集合体120まで挿入可能となる。また、各炉内計装案内管146は、振動を抑制するための上下の連接板150,151が取り付けられる。連接板150,151は、支持柱152を介して下部炉心支持板124に連結される。また、連接板150,151は、ショックアブソーバ153により支持される。ショックアブソーバ153は、下鏡101eの最も底に固定される底板154と下側の連接板151との間に配置される。
【0022】
図2および
図3は、本発明の実施形態に係る炉内構造物の組立方法の工程図である。
【0023】
上述した炉内構造物において、下部炉内構造物は、
図2に示すように、円筒形状の炉心槽127の下端に下部炉心支持板124が取り付けられ、この下部炉心支持板124に多数の下部炉心支持柱129が立設して取り付けられる。また、炉心槽127の内壁にリング状の固定部材(扇形板ともいう)141が固定され、この固定部材141に対して下部炉心板128の外縁がボルト(図示せず)により取り付けられる。さらに、下部炉心板128は、各下部炉心支持柱129の上端面にボルト(図示せず)により取り付けられる。
【0024】
下部炉心板128は、燃料集合体120を支持するものであり、炉心槽127に対して水平度を精度良く保った状態で取り付ける必要がある。このため、各下部炉心支持柱129の高さが揃っていないと下部炉心板128の水平度が損なわれることになる。従って、下部炉心板128を炉心槽127に取り付ける場合、各下部炉心支持柱129の高さを調整する必要がある。ここで、下部炉心支持柱129は、下部炉心支持板124において上下方向(下部炉心支持板124を水平に配置した場合の鉛直方向)に貫通する雌ネジ孔124aにねじ込まれて取り付けられ、雌ネジ孔124aから支柱本体129aが突出される。下部炉心支持柱129は、支柱本体129aの下側であって、雌ネジ孔124aにねじ込まれる下端部に雄ネジ部129bが形成されている。また、下部炉心支持柱129は、下部炉心支持板124の下面側から雄ネジ部129bにナット129cが螺合され、このナット129cが雌ネジ孔124aの下端の段部に締め付けられることで下部炉心支持板124に固定される。また、下部炉心支持柱129は、ナット129cを緩め、雌ネジ孔124aにねじ込まれる雄ネジ部129bの位置を変えることで支柱本体129aの突出高さが変わる。このようにして、下部炉心支持柱129の高さが調整できる。
【0025】
本実施形態では、下部炉心支持柱129の高さを調整するにあたり、
図3に示す組立調整装置180が用いられる。組立調整装置180は、旋回台181と、梁材(ストレッチともいう)182と、計測器183と、を備える。
【0026】
組立調整装置180の旋回台181は、嵩上台181A、ベアリング受181B、ベアリング181Cを有する。
【0027】
嵩上台181Aは、下部炉心支持板124の中央の上面に取り付けられるものである。嵩上台181Aは、その下端から棒状の固定幹181Aaが延在している。固定幹181Aaは、その延在端に保持部材181Abが取り付けられる。そして、嵩上台181Aは、下部炉心支持板124の中央の上面に載置され、固定幹181Aaが下部炉心支持板124の中央に形成されたマンホール124bを介して下部炉心支持板124の下面に突出し、この突出部分に保持部材181Abが取り付けられて、嵩上台181Aと保持部材181Abとで下部炉心支持板124を挟むようにして取り付けられる。
【0028】
ベアリング受181Bは、嵩上台181Aの上面に載置され、ベアリング181Cを支持するものである。ベアリング受181Bは、その下面にフランジ181Baが一体に設けられている。フランジ181Baは、ナットが固定され、このナットに螺合するように上からボルトが貫通して設けられている。ナットおよびボルトは、フランジ181Baの周方向に多数(少なくとも3箇)設けられており、ボルトは、先端が嵩上台181Aの上面に接触してベアリング受181Bの脚181Bbとなる。そして、ボルトをナットに対して回転させることで脚181Bbの長さが変化し、嵩上台181Aの上面に対するベアリング受181Bの上下位置が調整できる。
【0029】
ベアリング181Cは、ベアリング受181Bの上面に載置され、鉛直軸Sの廻りに回転するものである。ベアリング181Cは、その回転子に旋回支持部181Caが設けられている。旋回支持部181Caは、梁材182を支持する。
【0030】
組立調整装置180の梁材182は、例えば、H鋼材などで構成された剛構造の長尺部材である。この梁材182は、基端が旋回台181におけるベアリング181Cの旋回支持部181Caに支持される。即ち、梁材182は、旋回台181に支持された状態で、ベアリング181Cを介して鉛直軸Sの廻りに回転移動する。また、梁材182は、その先端にローラ182Aが設けられている。ローラ182Aは、梁材182の先端に固定されるローラ支持部182Aaに支持されている。このローラ182Aは、下部炉心板128の外縁が取り付けられる固定部材141の上面に接触するように設けられる。即ち、梁材182は、ベアリング181Cの鉛直軸Sを固定部材141のリング状の中心に一致させることで、ローラ182Aが固定部材141の上面に沿って輪転しながら回転移動する。なお、梁材182は、ローラ182Aが固定部材141の上面に接触した状態で、旋回台181におけるベアリング受181Bの脚181Bbの長さを調整することで、水平に配置することができる。梁材182の水平度は、梁材182の上面に置いた水準器184で確認することができる。
【0031】
組立調整装置180の計測器183は、下部炉心支持柱129の上端面と梁材182の下面との寸法を計測するものである。本実施形態の計測器183は、ダイアルゲージからなり、下部炉心支持柱129の上端面に設置されたダイアルゲージの測定子が梁材182の下面に接触することで上記寸法を計測する。また、図には明示しないが、計測器183は、下部炉心支持柱129の上端面と梁材182の下面との間にレーザや赤外線を照射させる光学式のセンサを用いるものであってもよい。
【0032】
このような組立調整装置180を用いた炉内構造物の組立方法について説明する。
(1)後の下部炉心支持柱129に対するボルトのトルク締めに際して、下部炉心支持柱129の軸力データを採取する。
(2)下部炉心板128における下部炉心支持柱129の取り付け位置における板厚と、固定部材141の板厚を計測する。
(3)下部炉心板128における下部炉心支持柱129の取り付け位置において、最も板厚が厚い値を「0」として差引計算する。なお、下部炉心支持柱129の高さ調整時の計測器183のオフセット量を±分考慮する。すなわち、(2)の計測値より下部炉心板128の上面レベルが水平となるように板厚を考慮して下部炉心支持柱129の高さを算出しておく。ここでは、固定部材141の接続部における板厚も加味する。なお、最も板厚が厚い値を「0」として差引計算するのは、下部炉心支持柱129の高さが最も低い箇所となるためである。
(4)下部炉心支持柱129を下部炉心支持板124にねじ込む。
(5)炉心槽127のレベル調整を行い固定部材141の水平度を確保する。
(6)下部炉心支持板124に嵩上台181A、ベアリング受181B、ベアリング181Cを設置する。
(7)ベアリング181Cの上面のレベル出しを行いベアリング181Cの回転中心を鉛直軸Sに合わせる。
(8)梁材182に対してベアリング181Cの旋回支持部181Caを取り付け、梁材182をベアリング181Cに設置すると共にローラ182Aを固定部材141の上面に載置する。
(9)水準器により確認しながら脚181Bbにより梁材182の水平出しを行う。そして、梁材182を回転移動させて全周において調整を行う。
(10)ベアリング受181Bとベアリング181Cとの間にシムを入れて微小(0.1mm単位)に中心の高さを高く設定する。なお、下部炉心板128および下部炉心支持柱129は、下部炉心支持板124に取り付けられ、燃料集合体120を全数装荷したとき、荷重により下部炉心支持板124がたわむため(例えば、0.1mm)、それを考慮し中心の高さをたわみ分高く設定する。また、中心の高さを高く設定すると、燃料集合体120を装荷する際に外側へ傾くこととなるので、挿入時や取り出し時における接触を回避することができる。例えば、燃料集合体120が内側に倒れていた場合、中心側の燃料集合体120を挿入する際の隙間がなくなり挿入や取り出しができなくなる。
(11)計測器183において、固定部材141の上面から梁材182の下面までの高さHを基準とする。計測器183がダイアルゲージの場合高さHで目盛を「0」に設定する。
(12)任意の下部炉心支持柱129の上に梁材182を回転移動させ、計測器183による目標値である高さH(下部炉心板128の板厚を考慮)になるように下部炉心支持柱129の高さを調整する。
(13)下部炉心支持柱129のナット129cをトルク締めする。
(14)下部炉心支持柱129の沈み込み量を記録し、ナット129cを緩めて沈み込み量を足して高さ調整を実施し、再度ナット129cをトルク締めする。
(15)全ての下部炉心支持柱129の調整が終わったら、組立調整装置180を取り外し、炉心槽127内に下部炉心板128を吊り込み、下部炉心板128を固定部材141および下部炉心支持柱129に対してボルトをトルク締めする。
(16)下部炉心板128の上面レベルを計測する(水準器)。記録にて微調整箇所があればナット129cを緩め下部炉心支持柱129のねじ込み量を微調整する。調整後は再度ナット129cをトルク締めする。そして、再度下部炉心板128の上面レベルを計測して確認する。
【0033】
このように、本実施形態の炉内構造物の組立調整装置は、炉心槽127の内壁に固定されたリング状の固定部材141に対して下部炉心板128が外縁を取り付けられると共に炉心槽127の下端に下部炉心支持板124が固定され、下部炉心板128と下部炉心支持板124との間に下部炉心板128を支持する下部炉心支持柱129が複数設けられる炉内構造物の組立調整装置において、下部炉心支持板124の中央に取り付けられて鉛直軸を中心に回転可能に設けられる旋回台181と、旋回台181に基端が取り付けられ固定部材141に先端がローラ182Aを介して支持されて水平を保って掛け渡されて旋回台181の回転に伴って回転移動する梁材182と、下部炉心支持板124に立設される下部炉心支持柱129の上端面と梁材182の下面との寸法を計測する計測器183と、を備える。
【0034】
また、本実施形態の炉内構造物の組立方法は、炉心槽127の内壁に固定されたリング状の固定部材141に対して下部炉心板128が外縁を取り付けられると共に炉心槽127の下端に下部炉心支持板124が固定され、下部炉心板128と下部炉心支持板124との間に下部炉心板128を支持する下部炉心支持柱129が複数設けられる炉内構造物の組立方法において、下部炉心支持板124の中央に取り付けられて鉛直軸を中心に回転可能に設けられる旋回台181と、旋回台181に基端が取り付けられ固定部材141に先端がローラ182Aを介して支持されて水平を保って掛け渡されて旋回台181の回転に伴って回転移動する梁材182と、下部炉心支持板124に立設される下部炉心支持柱129の上端面と梁材182の下面との寸法を計測する計測器183と、を備える組立調整装置180を用い、炉心槽127の下端に下部炉心支持板124を取り付け、かつ下部炉心支持板124に各下部炉心支持柱129を取り付けて、固定部材141の水平度を保った状態で、旋回台181を介して梁材182を回転移動させ、梁材182の下方にある下部炉心支持柱129の上端面と梁材182の下面との寸法を計測器183により計測して、固定部材141の上面と梁材182の下面との寸法に合わせるように下部炉心支持板124への下部炉心支持柱129の取り付け高さを調整し、高さが調整された全ての下部炉心支持柱129に下部炉心板128を取り付ける。
【0035】
この炉内構造物の組立調整装置および組立方法によれば、下部炉心支持柱129の高さ確認は、下部炉心支持柱129の上端面と梁材182の下面との寸法を計測する計測器183を用い、水準器を用いないため、確認作業時間を短縮することができる。しかも、下部炉心支持柱129ごとに高さ確認および調整を行うため作業性が良く正確である。しかも、高さ確認に用いる梁材182を回転移動させるため、クレーンを用いることなく作業工数を低減することができる。しかも、梁材182の先端がローラ182Aを介して固定部材141の上面に載置されているため、固定部材141の上面と梁材182の下面との寸法を基準として下部炉心支持柱129の上端面と梁材182の下面との寸法を合わせることで、各下部炉心支持柱129の上端と固定部材141の上面との高さを容易に揃えることができ、作業性を向上できる。従って、この炉内構造物の組立調整装置および組立方法によれば、下部炉心支持柱129の高さ調整を容易かつ正確に行うことができる。