特許第6523008号(P6523008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523008
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】容器用口栓
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/36 20060101AFI20190520BHJP
【FI】
   B65D47/36 210
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-65513(P2015-65513)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-182990(P2016-182990A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2018年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 学
(72)【発明者】
【氏名】佐原 亨
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−153428(JP,A)
【文献】 特開2000−327005(JP,A)
【文献】 特開2009−286423(JP,A)
【文献】 特開2013−177202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
破断可能ラインによって区画された切取領域を有した壁部と、前記切取領域の上面から突出して延びる支柱と、前記支柱に連結部を介して支持されるプルリングとを備え、前記プルリングに指を掛けて引っ張ることで前記破断可能ラインが破断され、前記壁部に注出口が形成される容器用口栓において、
前記プルリングは、その上端縁から突出する保護片を有し、
前記保護片は、前記プルリングの周方向において、前記連結部および前記連結部の両側方に亘って形成され
前記保護片は、少なくとも前記連結部の上方位置において、前記プルリングの上端縁から径方向外側に向けて凸状に湾曲する湾曲内周面を有し、
前記保護片の少なくとも上端側は、上端に向けて薄くなるように形成されていることを特徴とする容器用口栓。
【請求項2】
前記保護片は、前記周方向において30°以上の角度範囲に亘って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器用口栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に装着される容器用口栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体調味料等を収容した容器に装着される容器用口栓として、破断可能ラインによって区画された切取領域を有した壁部と、切取領域の上面から突出して延びる支柱と、支柱に連結部を介して支持されるプルリングとを備える容器用口栓が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような容器用口栓では、開封時に、使用者がプルリングに指を掛けて引っ張り、破断可能ラインを破断して切取領域を除去することで、壁部に注出口を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−230608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるような容器用口栓では、プルリングに指を掛けて引き上げる際に、プルリングの連結部の内周面に指の背側を対向させるように、プルリング内に指を挿入した後、連結部の内周面に接触させた指の背側を支点として、挿入した指を引き起こし、指の腹でプルリングを引っ張り上げることが一般に行われる。
【0006】
ところが、プルリングの径が小さい場合等には、プルリング内に指を挿入する際や、連結部の内周面に接触させた指の背側を支点として指を引き起こす際に、プルリングの上端縁、特に、連結部の上端縁や支柱の上端縁に、使用者の指の背側が局所的に当接して食い込み、使用者の指に痛みを感じさせることがあるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、プルリングの径を小さく設計した場合等であっても、使用者の指に痛みを感じさせることなく、開封を円滑に行うことが可能な容器用口栓を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、破断可能ラインによって区画された切取領域を有した壁部と、前記切取領域の上面から突出して延びる支柱と、前記支柱に連結部を介して支持されるプルリングとを備え、前記プルリングに指を掛けて引っ張ることで前記破断可能ラインが破断され、前記壁部に注出口が形成される容器用口栓において、前記プルリングは、その上端縁から突出する保護片を有し、前記保護片は、前記プルリングの周方向において、前記連結部および前記連結部の両側方に亘って形成され、前記保護片は、少なくとも前記連結部の上方位置において、前記プルリングの上端縁から径方向外側に向けて凸状に湾曲する湾曲内周面を有し、前記保護片の少なくとも上端側は、上端に向けて薄くなるように形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本請求項1に係る発明によれば、プルリングの上端縁から突出する保護片が、プルリングの周方向において、プルリングの連結部および連結部の両側方に亘って形成されていることにより、プルリングの径を小さく設計した場合等であっても、プルリング内に指を挿入する際や、プルリングに接触させた指の背側を支点として指を引き起こす際に、使用者の指の背側を保護片によって面で受け止め、使用者の指の背側がプルリングの上端縁、特に、プルリングの連結部の上端縁や支柱の上端縁に当接して食い込むことを回避することが可能であるため、使用者が指に痛みを感じることなく、容器用口栓の開封を円滑に行うことができる。
【0010】
本請求項に係る発明によれば、保護片は、少なくとも連結部の上方位置において、プルリングの上端縁から径方向外側に向けて凸状に湾曲する湾曲内周面を有していることにより、使用者の指の背側を保護片によって確実に面で受け止めることができるばかりでなく、プルリング内に指を挿入し、プルリングに接触させた指の背側を支点として指を引き起こす際に、湾曲内周面によって、指の腹側がプルリングに適切に触れる姿勢に使用者の指を誘導することが可能であるため、プルリングを確実かつ円滑に引き起こすことができる。
本請求項に係る発明によれば、保護片の少なくとも上端側が、上端に向けて薄くなるように形成されていることにより、保護片の少なくとも上端側の柔軟性を向上させることが可能であるため、使用者の指の安全性を更に向上させることができる。
本請求項に係る発明によれば、保護片が、周方向において30°以上の角度範囲に亘って形成されていることにより、プルリング内に指を挿入する際や、プルリングに接触させた指の背側を支点として指を引き起こす際に、使用者の指の背側を保護片によって面で確実に受け止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態である容器用口栓を示す断面図。
図2】容器用口栓を上方から見て示す平面図。
図3】プルリングを中心として示す説明図。
図4】容器用口栓の使用態様の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態に係る容器用口栓10について、図面に基づいて説明する。
【0013】
容器用口栓10は、容器(図示しない)の容器口筒部に装着される合成樹脂製のヒンジ付きキャップとして構成され、図1図2に示すように、口栓本体30と、口栓本体30に開閉可能に連結される上蓋40と、口栓本体30および上蓋40を連結するヒンジ結合部20と、口栓本体30に連設されたプルリング50とを一体に有している。
【0014】
口栓本体30は、図1図2に示すように、容器口筒部の開口部を塞ぐように配置される略円板状の壁部31を有している。また、壁部31は、図1図2に示すように、破断可能ライン32aによって区画された切取領域32と、切取領域32の周囲に形成された環状平板状の外周部33とを有している。
【0015】
口栓本体30は、更に、図1図2に示すように、外周部33の周縁から垂下する円筒状のスカート壁34と、外周部33から上方に向けて延びる注出筒部36と、外周部33の下面から突出する環状部37とを有している。なお、ヒンジ結合部20側の注出筒部36は、背が低く形成され、上蓋40を閉じるときに上蓋40の旋回を妨害しないように構成されている。
【0016】
外周部33の上面には、本体側係止部34aが形成されており、この本体側係止部34aに後述する上蓋側係止部44をスナップ嵌合させることで、上蓋40の閉状態を維持する。また、スカート壁34の下部内周には、容器用係合部34bが形成されており、この容器用係合部34bに容器口筒部外周の容器側係合部を係合させることで、容器に対して容器用口栓10を取り付ける。また、環状部37は、容器口筒部の内周にその外周が密着するように、容器口筒部内に挿入される。
【0017】
上蓋40は、図1図2に示すように、円板状の天面壁41と、天面壁41の周縁から垂下する円筒状の側壁42とを有している。天面壁41の下面には、環状の封止壁部43が下方に向けて突出形成されており、口栓本体30に対して上蓋40を閉じた状態で、封止壁部43の外周を口栓本体30の注出筒部36の内周側に密着させることで、切取領域32が壁部31から除去された後においても、閉状態における密封性を維持することができる。側壁42の内周の下端には、上蓋側係止部44が形成されている。
【0018】
プルリング50は、図1図3に示すように、切取領域の上面から上方側に向けて突出して延びる支柱60によって、その周方向の一部分が連結部51に連結されている。容器用口栓10の開封時には、図4に示すように、プルリング50に指を掛けて引っ張ることにより、破断可能ライン32aが破断されると共に切取領域32が壁部31から除去され、壁部31に注出口が形成される。
なお、上述した支柱60は、図2に示すように、口栓本体30を上方から平面視した場合に、ヒンジ結合部20の中央部を通ってヒンジ結合部20の回動軸Xに直交して延びる仮想線Lに、交わる位置に形成されている。
【0019】
プルリング50の上端縁には、図1図3に示すように、上方側に向けて突出する保護片52が形成されている。保護片52は、図3(b)に示すように、プルリング50の周方向において、連結部51、および、連結部51の両側方に亘って形成されており、具体的には、プルリング50の周方向において、30°以上の角度範囲θに亘って形成されており、指の保護を考慮すると角度範囲θは30〜180°あれば十分である。
また、保護片52は、前述した仮想線Lを基準として線対称に形成され、換言すると、仮想線Lの両側(図3(b)における仮想線Lの上側および下側)において、同じ角度範囲で形成されている。
【0020】
保護片52は、図1図3(a)に示すように、その上端側に向けて外周側に反り返った形状を有している。保護片52は、プルリング50の上端縁から径方向外側に向けて凸状に湾曲する湾曲内周面52aを有している。なお、本実施形態では、保護片52の周方向全域に亘って、湾曲内周面52aが形成されているが、少なくとも連結部51の上方位置において、湾曲内周面52aが形成されていればよい。また、保護片52の少なくとも上端側は、上端に向けて薄くなるように形成されている。
【0021】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0022】
例えば、上述した実施形態では、容器の内容物が液体状のものであるものとして説明したが、内容物の具体的態様は、粉末状のもの等であってもよい。
また、上述した実施形態では、容器用口栓が、ボトルの口部に装着される所謂キャップであるものとして説明したが、容器用口栓の具体的態様は、容器に装着されるものであれば如何なるものでもよく、例えば、パウチ等の容器に装着される所謂スパウトであってもよい。
また、上述した実施形態では、キャップ部が、キャップ本体と上蓋とをヒンジ結合した所謂ヒンジ付きキャップとして構成されているが、キャップ部の具体的態様は、容器口筒部に装着可能なものであれば如何なるものでもよく、例えば、キャップ本体と上蓋とが別体で相互にネジ係合する態様、いわゆるプルキャップと呼ばれる態様でもよい。
また、上述した実施形態では、保護片が、プルリングの周方向において、連結部および連結部の両側方に亘って形成されているものとして説明したが、保護片を形成する範囲についてはこれに限定されず、例えば、保護片をプルリング全周に亘って形成してもよい。
また、上述した実施形態では、1つの保護片がプルリングの上端縁に形成されているものとして説明したが、複数の保護片をプルリングの上端縁に形成してもよい。
【符号の説明】
【0023】
10 ・・・ 容器用口栓
20 ・・・ ヒンジ結合部
30 ・・・ 口栓本体
31 ・・・ 壁部
32 ・・・ 切取領域
32a ・・・ 破断可能ライン
33 ・・・ 外周部
34 ・・・ スカート壁
34a ・・・ 本体側係止部
34b ・・・ 容器用係合部
36 ・・・ 注出筒部
37 ・・・ 環状部
40 ・・・ 上蓋
41 ・・・ 天面壁
42 ・・・ 側壁
43 ・・・ 封止壁部
44 ・・・ 上蓋側係止部
50 ・・・ プルリング
51 ・・・ 連結部
52 ・・・ 保護片
52a ・・・ 湾曲内周面
60 ・・・ 支柱
図1
図2
図3
図4