(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バーナ本体と、当該バーナ本体に上方から着脱自在に載置されたバーナヘッドとを有し、前記バーナヘッドの平面視での環状周部から環径方向で外側へ向けて放射状に火炎を形成する放射状噴孔を有する環状バーナが備えられ、
加熱対象の被加熱物から放射された赤外線の赤外線強度を検出する赤外線強度検出手段が、前記環状バーナの前記放射状噴孔より下方に備えられ、
前記赤外線強度検出手段により検出された前記赤外線強度に基づいて前記被加熱物の温度を導出する温度導出手段が備えられたコンロ用バーナであって、
平面視において、前記バーナヘッドの前記環状周部の環中心を通る直線で分けた一方側の領域である一方側領域に、前記赤外線強度検出手段が備えられる共に、他方側の領域である他方側領域に、前記被加熱物から放射された赤外線を前記赤外線強度検出手段へ向けて前記バーナヘッドを通過させる赤外線通過孔が備えられるコンロ用バーナ。
前記赤外線強度検出手段と前記赤外線通過孔とが、平面視において、前記バーナヘッドの前記環中心を挟んで対向する状態で備えられている請求項1に記載のコンロ用バーナ。
前記赤外線通過孔は、平面視において、前記バーナヘッドの前記環状周部と前記環中心との間で前記環状周部に近い領域に設けられている請求項2又は3に記載のコンロ用バーナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の
図4に示される実施形態にあっては、コンロ用バーナのどの部位に対し、どのように赤外線通過孔が設けられているか示されておらず、また、非接触式温度検出装置が、コンロ用バーナ及び赤外線通過孔に対し、どのように設けられているかについて、具体的な開示がなかった。
このため、上記特許文献1の
図4に示される実施形態にあっては、赤外線通過孔及び非接触式温度検出装置の配置の仕方によっては、赤外線通過孔を通過した被加熱物からの吹きこぼれが、非接触式温度検出装置へ到達して付着し、適切な温度検出ができなくなる虞があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加熱物の吹きこぼれが赤外線強度検出手段に付着することを抑制し、赤外線強度検出手段にて適切に赤外線強度を検出して、温度導出を良好に実行できるコンロ用バーナ、及びそれを備えたコンロを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためのコンロ用バーナは、
バーナ本体と、当該バーナ本体に上方から着脱自在に載置されたバーナヘッドとを有し、前記バーナヘッドの平面視での環状周部から環径方向で外側へ向けて放射状に火炎を形成する放射状噴孔を有する環状バーナが備えられ、
加熱対象の被加熱物から放射された赤外線の赤外線強度を検出する赤外線強度検出手段が、前記環状バーナの前記放射状噴孔より下方に備えられ、
前記赤外線強度検出手段により検出された前記赤外線強度に基づいて前記被加熱物の温度を導出する温度導出手段が備えられたコンロ用バーナであって、その特徴構成は、
平面視において、前記バーナヘッドの前記環状周部の環中心を通る直線で分けた一方側の領域である一方側領域に、前記赤外線強度検出手段が備えられる共に、他方側の領域である他方側領域に、前記被加熱物から放射された赤外線を前記赤外線強度検出手段へ向けて前記バーナヘッドを通過させる赤外線通過孔が備えられる点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、バーナとしては、バーナヘッドを有する環状バーナを採用しており、当該バーナヘッドには赤外線通過孔が設けられているのみであるから、環状バーナの内部への吹きこぼれの進入経路は、赤外線通過孔からのみとなり、吹きこぼれの環状バーナ内部への進入を十分に抑制できる。
更に、上記環状バーナにあっては、平面視において、バーナヘッドの環状周部の環中心を通る直線で分けた一方側の領域である一方側領域に、赤外線強度検出手段が備えられる共に、他方側の領域である他方側領域に、被加熱物から放射された赤外線を赤外線強度検出手段へ向けてバーナヘッドを通過させる赤外線通過孔が備えられる構成を採用しているから、赤外線通過孔と赤外線強度検出手段とを鉛直方向に沿わせるように設ける構成に比べて、赤外線通過孔から環状バーナの内部に流入した吹きこぼれが、赤外線強度検出手段へ導かれることを抑制できる。
更に、例えば、バーナヘッドとして、その天面部が環中心を頂部として上方へ膨出した膨出形状を有するものを採用することで、赤外線通過孔から吹きこぼれが環状バーナの内部に進入することがあったとしても、当該吹きこぼれは、バーナヘッドの上方への膨出形状とされた天面部の内面を伝って移動するから、吹きこぼれのほとんどが、赤外線通過孔が設けられる他方側領域を伝って下方へ移動することとなり、一方側領域に設けられる赤外線強度検出手段へ伝わることを良好に防止できる。これにより、吹きこぼれにより赤外線強度検出手段が汚れることを防止でき、当該赤外線強度検出手段による赤外線の強度の良好な検出を維持できる。
【0008】
コンロ用バーナの更なる特徴構成は、
前記赤外線強度検出手段と前記赤外線通過孔とが、平面視において、前記バーナヘッドの前記環中心を挟んで対向する状態で備えられている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、赤外線強度検出手段と赤外線通過孔とが、平面視において、バーナヘッドの環中心を挟んで対向する状態で備えられているから、例えば、バーナヘッドとして、その天面部が環中心を頂部として上方へ膨出した膨出形状を有するものを採用することで、赤外線通過孔から吹きこぼれが環状バーナの内部に進入することがあったとしても、当該吹きこぼれは、バーナヘッドの上方への膨出形状とされた天面部の内面を伝って移動するから、吹きこぼれのほとんどが、赤外線通過孔が設けられる他方側領域を伝って下方へ移動することとなり、一方側領域に設けられる赤外線強度検出手段へ伝わることを良好に防止できる。これにより、吹きこぼれにより赤外線強度検出手段が汚れることを防止でき、当該赤外線強度検出手段による赤外線の強度の良好な検出を維持できる。
【0010】
コンロ用バーナの更なる特徴構成は、
前記環状バーナが、燃料ガスと燃焼用空気とを混合する混合管を備えたブンゼンバーナであり、
前記赤外線強度検出手段と前記赤外線通過孔とが、平面視において、前記赤外線通過孔を通過して前記赤外線強度検出手段へ向けて放射される赤外線の通過領域が前記混合管の管軸心に重なる状態で、且つ前記赤外線強度検出手段と前記混合管とが前記バーナヘッドの前記環中心を挟んで対向する状態で備えられている点にある。
【0011】
通常、ブンゼンバーナにあっては、混合管が設けられている領域にあっては、他の構成部品を設置するスペースを十分に確保できないため、当該領域に他の構成部品を設置する設計の自由度が下がるという問題がある。
上記特徴構成によれば、赤外線強度検出手段と赤外線通過孔とを、平面視において、赤外線通過孔を通過して赤外線強度検出手段へ向けて放射される赤外線の通過領域が混合管の管軸心に重なる状態で、且つ赤外線強度検出手段と混合管とがバーナヘッドの環中心を挟んで対向する状態で備えるから、赤外線強度検出手段を混合管から十分に離間した位置に設置することができ、例えば、当該赤外線強度検出手段の受光部位の設置方向等に関する設計の自由度を上げることができる。
また、上記特徴構成によれば、赤外線通過孔を通過した赤外線の通過領域が混合管に被ることを好適に防止でき、赤外線強度検出手段へ到達する赤外線量を十分に確保できる。
【0012】
コンロ用バーナの更なる特徴構成は、
前記赤外線通過孔は、平面視において、前記バーナヘッドの前記環状周部と前記環中心との間で前記環状周部に近い領域に設けられている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、平面視において、赤外線通過孔がバーナヘッドの環状周部と環中心との間で環状周部に近い領域に設けられている構成で、バーナヘッドの環状周部と環中心との間で環状周部に近い領域に設けているから、赤外線強度検出手段と赤外線通過孔とをより一層離間させることができ、赤外線通過孔からバーナ内部へ進入した吹きこぼれが赤外線強度検出手段の側へ伝わることをより一層良好に防止できる。
【0014】
コンロ用バーナの更なる特徴構成は、
前記バーナヘッドは、前記環状周部の前記環中心が上方へ膨出する膨出形状の膨出頂部を有しており、
前記赤外線通過孔は、前記バーナヘッドの前記膨出頂部から偏心した位置に設けられている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、バーナヘッドとして、環状周部の環中心が上方へ膨出する膨出形状の膨出頂部を有するものを採用すると共に、赤外線通過孔を、バーナヘッドの膨出頂部から偏心した位置に設けるから、例え、赤外線通過孔から吹きこぼれが流入したとしても、当該吹きこぼれは、膨出頂部と環状周部とを結ぶ直線のうち、赤外線通過孔を通る直線に沿って伝わるから、吹きこぼれを他方側領域内に留めることができ、更には、一方側領域に設けられる赤外線強度検出手段から離間する方向へ導くことができる。これにより、赤外線強度検出手段への吹きこぼれの付着をより一層良好に防止できる。
【0016】
コンロ用バーナの更なる特徴構成は、
前記環状バーナは、燃料ガス及び燃焼用空気の混合気を前記放射状噴孔へ導く平面視で環状の環状混合気流路を有し、
前記バーナヘッドは、天面部を有すると共に、当該天面部から下方へ延びる円筒形状の円筒脚部を有するキャップ部を含み、
前記バーナヘッドが前記バーナ本体に載置された状態で、前記キャップ部の前記円筒脚部が、前記環状混合気流路と前記環状バーナの中央に形成される中央空洞とを隔離する隔離壁として配置され、
前記赤外線通過孔は、前記中央空洞と前記環状バーナの外部とを連通する状態で前記キャップ部の前記天面部に設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、赤外線通過孔から流入することがある吹きこぼれは、中央空洞を形成する隔離壁を伝わる状態で下方へ流下するように構成できる。
【0018】
これまで説明してきたコンロ用バーナを備えたコンロは、これまで説明してきた作用効果を好適に奏するコンロとして、良好に機能する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係るコンロ用バーナ、及び当該コンロ用バーナを備えたコンロ200について、図面に基づいて説明する。尚、当該実施形態においては、矢印Zの矢示方向を上方側とし、矢印Zの矢示方向と逆方向を下方側とする。
図7、8に示すコンロ200は、平面状の上面を有すると共に加熱口を有する天板50と、加熱口の上方に離間させた状態で被加熱物Hを載置可能な五徳51と、燃料ガスGと一次燃焼用空気Aとの混合気Mを燃焼させ加熱口から上方へ混合気Mを噴出して被加熱物Hを加熱するコンロ用バーナとを備えている。
尚、被加熱物Hとしては、ガラス、鉄、アルマイト、及びステンレス等の一般的な材質の鍋等が好適に用いられる。
【0021】
コンロ用バーナは、
図1〜7に示すように、ブンゼン燃焼式の外炎式バーナであり、バーナ本体70と、当該バーナ本体70に上方から着脱自在に載置されたバーナヘッド80とを有し、当該バーナヘッド80の平面視での環状周部80aから環径方向で外側へ向けて放射状に主火炎K1を形成する主火炎用噴孔81(放射状噴孔の一例)と、主火炎K1を保炎する袖火K2を形成する袖火用噴孔82(放射状噴孔の一例)とを有する環状バーナ100を備えて構成されている。
当該環状バーナ100のバーナ本体70は、
図2、3、4に示すように、内部に燃料ガスGと一次燃焼用空気Aとを混合する混合管65を形成するように構成されている。当該混合管65には、燃料ガスGを噴出させるガスノズル64が設けられており、ガスノズル64から噴出する燃料ガスGと共に一次燃焼用空気Aが流入して、混合管65の内部にて混合気Mが形成される。
【0022】
コンロ用バーナは、
図7に示すように、被加熱物Hの底面から放射され、環状バーナ100の内部を通過した赤外線の強度を検出する赤外線強度検出手段60を備えると共に、当該赤外線強度検出手段60にて検出された赤外線の強度に基づいて、被加熱物Hの温度を導出する温度導出手段61とを備えている。制御装置62は、温度導出手段61にて導出された温度に基づいて、ガスノズル64に接続されるガス流路に設けられる燃料ガスGの流量調整弁63の開度を調整し、被加熱物Hの自動温度制御や、過昇温時の緊急停止制御等を実行する。因みに、赤外線強度検出手段60は、
図7に示すように、天板50、及び環状バーナ100の鉛直方向で下方に設けられる。尚、環状バーナ100の下方とは、平面視で、環状バーナ100に重畳しない領域も含むものである。
尚、赤外線強度検出手段60は、被加熱物Hの底面から放射される赤外線の、互いに異なる2つの波長域における夫々の赤外線強度を各別に検出するものであり、さらに、温度導出手段61は、赤外線強度検出手段60により検出された2つの波長域における赤外線強度の比に基づいて、被加熱物Hの温度を導出するものである。このように構成することで、被加熱物Hの輻射率に依存することなく、正確に被加熱物Hの底面の温度を検出することができる。尚、赤外線強度検出手段60の具体的構成については、公知であるので、ここではその詳細な説明は割愛する。
【0023】
このように、環状バーナ100は、その内部を、被加熱物Hの底面から放射された赤外線を通過するように構成しているのであるが、その具体的構成につき、以下に説明する。
環状バーナ100は、
図2、3、4に示すように、バーナ本体70を構成するバーナ本体基部40と、バーナ本体70を構成するバーナ本体上部30と、バーナヘッド80を構成する環状切欠部材20と、バーナヘッド80を構成するキャップ部10とを、記載の順に下方から積載する形態で、設けられている。
バーナ本体基部40は、混合管65の管軸心P1(
図2で水平方向Xに沿う軸)に沿う状態で、混合管65の下方側を成す第1樋形状部位44を備えると共に、混合管65の管軸心P1に直交する直線P2(
図2で鉛直方向Zに沿う直線)に沿う軸心を有すると共に内部に中央空洞S1を有する円筒部位41を備えている。
当該円筒部位41の筒側面には、平面視で混合管65の管軸心P1に沿う方向で第1樋形状部位44とは逆方向に向かって延びると共に側面視(
図3、4に示す方向視)で斜め下方に向けて延びる庇部位42が設けられている。更に、円筒部位41の筒側面には、当該庇部位42の下方空間と円筒部位41の中央空洞S1とを連通する開孔42aが設けられている。
因みに、円筒部位41の中央空洞S1側の内面には、中央空洞S1側へ突出する突起部43aが設けられており、詳細については後述するが、当該突起部43aにより、バーナヘッド80がバーナ本体70に対して環周方向において位置決めされる。
尚、バーナ本体基部40の円筒部位41の近傍で中央空洞S1の外側には、
図2に示すように、バーナ本体基部40を上下方向に貫通する開口部45が設けられており、当該開口部45を挿通する形態で点火プラグ(図示せず)が配設されている。
【0024】
バーナ本体上部30は、混合管65の管軸心P1に沿う状態で、混合管65の上方側を成す第2樋形状部位34を備えると共に、バーナ本体70へのバーナヘッド80の載置状態(
図4に示す状態)において、バーナ本体基部40の円筒部位41の筒外周を所定の間隔を隔てて外囲すると共にバーナ本体基部40の庇部位42の上面に当接する当接部35を有する環状外囲部位31を備えている。
更に、バーナ本体上部30には、バーナ本体上部30とバーナ本体基部40との締結状態(
図4に示す状態)で、環状外囲部位31の上部の環内側を削り取って形成された空間である受入部位32が設けられている。
説明を追加すると、当該受入部位32は、
図2に示すように、環状外囲部位31の上方内側を環状に切り欠いて形成されており、環状の底部を有する環状受入部位32bと、当該環状受入部位32bの上方に連続する形状で且つ上方へ向けて擂鉢形状に広がる擂鉢状受入部位32cとから成る。尚、環状受入部位32bには、環周方向の一部に環径方向の外方へ切り欠く切欠部位32aが形成されている。
そして、当該受入部位32にバーナヘッド80が受け入れられて、バーナ本体70に対してバーナヘッド80が載置されることになる。
また、バーナ本体上部30に形成される開口部33には、熱電対(図示せず)が挿通されて設けられており、制御装置62は、当該熱電対の検出結果に基づいて、環状バーナ100での失火の有無を判定する。
【0025】
バーナヘッド80は、
図1〜5に示すように、平面視で円盤形状のキャップ部10と、平面視で環形状を有すると共にその上部において環中央から外側へ放射状に延びる直線に沿う複数の第1切欠溝21を有する環状切欠部材20とから構成されている。
説明を追加すると、キャップ部10は、平面視で円盤中心O(バーナヘッド80の環状周部80aの環中心に相当)が上方へ膨出する膨出形状の膨出頂部を有すると共に当該膨出頂部から偏心した位置に赤外線通過孔12を有する天面部14と、当該天面部14から下方へ延びる円筒形状の円筒脚部13を備えている。説明を追加すると、天面部14は、側面視で、その上面が円弧形状に構成されている。
キャップ部10は、バーナヘッド80がバーナ本体70へ載置された載置状態(
図4に示す状態)において、円筒脚部13の筒外面がバーナ本体基部40の円筒部位41の筒内面に摺動案内される形態で、円筒部位41の軸心P2と円盤中心Oが一致するように位置決めされる。
更に、キャップ部10の円筒脚部13は、バーナ本体70側の端部から天面部14側へ向けて、円筒壁の一部を切り欠く切欠部位13bを備えている。当該切欠部位13bは、バーナヘッド80がバーナ本体70へ載置された載置状態(
図4に示す状態)において、円筒部位41の内面に設けられる突起部43aと係合する形態で、キャップ部10をバーナ本体基部40に対して軸心P2回りで位置決めする。
また、キャップ部10の円筒脚部13は、バーナヘッド80がバーナ本体70へ載置された載置状態(
図4に示す状態)において、バーナ本体基部40の円筒部位41に形成される開孔42aに対向する部位に、開孔13aを有している。
【0026】
環状切欠部材20は、上述したように、平面視で環形状を有すると共にその上部において環中央から外側へ放射状に延びる直線に沿う複数の第1切欠溝21を有しており、当該複数の第1切欠溝21は、環周方向で略等間隔に形成されている。ただし、環状バーナ100がコンロ200に設置されている設置状態(
図7、8に示す状態)において、五徳51と対向する部位においては、隣接する第1切欠溝21の間隔を広くとるように構成している。
環状切欠部材20の下部には、バーナ本体基部40の受入部位32の環状受入部位32bの環状の底部に当接支持される底面を有すると共に、当該底面において平面視で環中央から外側へ放射状に延びる直線に沿う複数の第2切欠溝22を有している。当該複数の第2切欠溝22は、環周方向で略等間隔に形成されている。当該実施形態においては、第1切欠溝21に対し、環周方向で略同一位置に設けられている。
尚、環状切欠部材20は、下方側面に側方へ突出する突起24を有しており、当該突起24が、バーナ本体上部30の環状受入部位32bに形成される切欠部位32aに嵌入する形態で、バーナ本体上部30に対する環周方向での位置決めされる。
更に、当該環状切欠部材20は、受入部位32への受入状態(
図4に示す状態)において、その下方側面と、受入部位32の環状受入部位32b及び擂鉢状受入部位32cとの間に、間隙を有する状態となる。
当該構成により、
図4に示すように、バーナヘッド80がバーナ本体70へ載置された載置状態(
図4に示す状態)において、キャップ部10の下方側面と環状切欠部材20の上方側面の第1切欠溝21とで外囲される領域にて主火炎用流路R2が形成されると共に、バーナ本体70の上方側面(受入部位32の環状受入部位32b及び擂鉢状受入部位32cにて形成される面)と環状切欠部材20の下方側面(底面以外で第2切欠溝22にて形成される面、及び受入部位32の環状受入部位32bと擂鉢状受入部位32cとに対向する面)とに外囲される隙間にて袖火用流路R3が形成される。
袖火用流路R3に関し、説明を追加すると、
図4に示す断面図において、まずもって、環状受入部位32bは、水平方向に沿う底面部位32bbと、当該底面部位32bbから略垂直に立ち上がる側面部位32bsを有すると共に、擂鉢状受入部位32cは、傾斜面を構成する傾斜面部位32csを有する。そして、袖火用流路R3は、当該其処面部位32bbと側面部位32bsと傾斜面部位32csと、それらに対向する環状切欠部材20の下方側面との間に形成される。
【0027】
以上の構成を採用することにより、
図4に示すように、バーナヘッド80がバーナ本体70へ載置された載置状態(
図4に示す状態)において、バーナ本体基部40の円筒部位41の外周面と、バーナ本体基部40の庇部位42の上方側面と、バーナ本体上部30の環状外囲部位31と、環状切欠部材20とで外囲される空間に形成される平面視で環状の環状混合気流路R1が形成される。尚、
図4の断面図では示されていないが、バーナヘッド80がバーナ本体70へ載置された載置状態(
図4に示す状態)において、バーナ本体上部30の環状外囲部位31は、バーナ本体基部40の外囲壁46(
図2に図示)と気密に連結されており、当該外囲壁46も、環状混合気流路R1を形成する部位となる。また、当該構成において、円筒脚部13は、バーナヘッド80がバーナ本体70に載置された載置状態(
図4に示す状態)で、環状混合気流路R1とバーナ本体基部40の円筒部位41の内側に形成される中央空洞S1とを隔離する隔離壁として働く。
更に、以上の構成を採用することにより、
図4に示すように、当該環状混合気流路R1と主火炎用噴孔81とを連通接続する主火炎用流路R2と、環状混合気流路R1と袖火用噴孔82とを連通接続する袖火用流路R3とが、独立して環状混合気流路R1に接続して設けられる。
また、袖火用流路R3は、環状切欠部材20とバーナ本体上部30との受入部位32との間に形成される間隙にて構成しているから、その流路長を十分に長くできる。結果、袖火用流路R3の環状混合気流路R1の側の端部R3aから袖火用噴孔82までの流路長である袖火用流路R3の流路長が、主火炎用流路R2の環状混合気流路R1の側の端部R2aから主火炎用噴孔81までの流路長である主火炎用流路R2の流路長よりも長く構成されている。
更に、環状混合気流路R1の管周方向の特定位置での、袖火用流路R3の環状混合気流路R1の側の端部R3aと、主火炎用流路R2の環状混合気流路R1の側の端部R2aとの位置関係に関し、袖火用流路R3の環状混合気流路R1の側の端部R3aは、主火炎用流路R2の環状混合気流路R1の側の端部R2aよりも、環状混合気流路R1の上流側に設けられている。
主火炎用流路R2に関し、説明を追加すると、
図4に示す断面図において、まずもって、環状切欠部材20は、その環内周側において上下方向(矢印Zに沿う方向)に延びる環内周垂直壁部20aと、その環内周側において環内周垂直壁部20aに連続して設けられると共に環径方向で外側で斜め上方に延びる環内周傾斜壁20bが備えられている。そして、主火炎用流路R2は、当該環内周壁部20a及び環内周傾斜壁20bと、バーナヘッド80の下方側面と、バーナ本体70の円筒部位41の外面とに外囲される隙間にて主火炎用流路R2が形成される。
また、当該実施形態に係る環状バーナ100にあっては、袖火用流路R3を通流する混合気Mの圧力損失が、主火炎用流路R2を通流する混合気Mの圧力損失よりも小さくなるように、袖火用流路R3と主火炎用流路R2とが構成されている。
以上の構成により、火力を大きくして一次空気量が多くなった場合でも、袖火用噴孔82にて形成される袖火K2が、主火炎用噴孔81にて形成される主火炎K1の燃焼状態の変化の影響を受けることをより一層抑制できる。
尚、当該実施形態にあっては、環状バーナ100の環状周部80aに形成される主火炎用噴孔81と袖火用噴孔82とは、
図4に示すように、環状切欠部材20の上方側の環状端部壁83にて互いに分離した状態で設けられている。
図4の断面図において、当該環状端部壁83の上端部は、キャップ部10の天面部14の下端部と、バーナ本体上部30の擂鉢状受入部位32cの上端部とを結ぶ直線の近傍まで延設されている。
これにより、主火炎用噴孔81と袖火用噴孔82とを通流する混合気Mの流れは、より一層互いに独立した状態を維持でき、袖火K2が、主火炎用噴孔81にて形成される主火炎K1の燃焼状態の変化の影響を受けることを抑制できる。
【0028】
次に、赤外線の通過領域Rについて説明を加える。
以上の構成を採用することにより、バーナヘッド80がバーナ本体70へ載置された載置状態(
図4に示す状態)において、
図4に示すように、環状混合気流路R1にその一部を凹欠する被凹欠流路部位(流路断面積が小さくなる部位で、
図4で符号R1aで示される部位)が、環状混合気流路R1の環周方向で一部に設けられる。当該構成により、赤外線通過孔12を通過して赤外線強度検出手段60(
図5、
図7に図示)へ向けて放射される赤外線の通過領域Rが、被凹欠流路部位R1aが凹欠されることにより形成される空間S2(庇部位42の下方側の領域:環状混合気流路R1が凹欠されることにより流路の外部に広がった空間)に形成されることとなる。
即ち、被加熱物Hの底面から放射された赤外線のうち、キャップ部10の天面部14に設けられる赤外線通過孔12を通過した赤外線は、
図4に示すように、中央空洞S1を通過し、キャップ部10の円筒脚部13の開孔13aを通過し、バーナ本体基部40の円筒部位41の開孔42aを通過し、庇部位42の下方側の領域である空間S2を通過した後、赤外線強度検出手段60へ到達する。
換言すると、赤外線通過孔12を通過した赤外線が、
図4に示すように、中央空洞S1を通過し、キャップ部10の円筒脚部13の開孔13aを通過し、バーナ本体基部40の円筒部位41の開孔42aを通過し、庇部位42の下方側の領域である空間S2を通過した後、赤外線強度検出手段60へ到達するように、赤外線通過孔12及び赤外線強度検出手段60が設けられる。因みに、赤外線強度検出手段60から赤外線通過孔12を臨む場合、
図6に示されるように、環状バーナ100は、その下方部位が大きくえぐれた形状となる。
当該構成を採用することにより、
図7に示すように、被加熱物Hから放射され赤外線通過孔12を通過して赤外線強度検出手段60へ到達する赤外線と、被加熱物Hの底面との成す角度αを、例えば、角度の比較的小さい鋭角に設定することができ、赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12との距離を十分に大きくした場合であっても、コンロ200の鉛直方向(矢印Zに沿う方向)での高さを十分に小さくしてコンパクト化を図ることができる。これにより、コンロ200の高さ方向でのコンパクト化を図りつつ、赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12との距離を十分に大きくして、赤外線通過孔12から環状バーナ100の内部に進入する虞のある吹きこぼれが、赤外線強度検出手段60まで伝わることを良好に防止できる。
【0029】
尚、上述の如く、環状混合気流路R1に被凹欠流路部位R1aを設ける場合、当該被凹欠流路部位R1aの流路断面積は小さくなり、当該流路断面積は小さいほど、被凹欠流路部位R1aの近傍に設けられる主火炎用噴孔81及び袖火用噴孔82へ導かれる混合気Mの流量が、被凹欠流路部位R1aから離れて設けられる主火炎用噴孔81及び袖火用噴孔82へ導かれる混合気Mの流量と異なることとなる。主火炎用噴孔81及び袖火用噴孔82にて形成される火炎が、環状バーナ100の環周方向で、略均等な燃焼状態を維持する観点からは、被凹欠流路部位R1aの流路断面積は、被凹欠流路部位R1a以外の環状混合気流路R1の流路断面積と大きく異ならないことが好ましい。このため、当該実施形態では、赤外線通過孔12は、
図5に示すように、平面視において、バーナヘッド80の環状周部80aと環中心(キャップ部10の円盤中心O)との間で環状周部80aに近い領域に設けられている。
これにより、平面視で赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12とを同一距離に設ける条件で、且つ被加熱物Hから放射され赤外線通過孔12を通過して赤外線強度検出手段60へ到達する赤外線と被加熱物Hの底面との成す角度を同一角度に設定する条件において、赤外線通過孔12を平面視においてバーナヘッド80の環状周部80aと環中心(キャップ部10の円盤中心O)との間で環中心に近い領域に設ける場合に比べ、赤外線通過孔12から環状混合気流路R1までの距離を大きくすることができるから、環状混合気流路R1の被凹欠流路部位R1aの凹欠量を小さくでき、当該被凹欠流路部位R1aでの混合気Mの流れの乱れを抑制できる。
【0030】
赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12との位置関係について、説明を追加すると、
図5に示すように、平面視において、バーナヘッド80の環状周部80aの環中心(キャップ部10の円盤中心O)を通る直線Lで分けた一方側の領域である一方側領域S3に、赤外線強度検出手段60が備えられると共に、他方側の領域である他方側領域S4に、被加熱物Hから放射された赤外線を赤外線強度検出手段60へ向けて通過させる赤外線通過孔12が備えられる。
当該実施形態に係るキャップ部10は、その天面部14の円盤中心Oが上方へ膨出する膨出形状を有し、天面部14の内面は外面と略同形状に構成されているため、上述の配置を採用することで、赤外線通過孔12から進入する吹きこぼれは、膨出形状を有する天面部14の内面に沿って伝わるから、赤外線強度検出手段60の側へ伝わることを良好に抑制できる。
更に、赤外線通過孔12から進入する吹きこぼれが赤外線強度検出手段60へ伝わることを更に抑制する観点から、
図4に示すように、平面視において、赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12とが、バーナヘッド80の環状周部80aの環中心(キャップ部10の円盤中心O)を挟んで対向する状態で設けられている。
【0031】
更に、上述した環状混合気流路R1の被凹欠流路部位R1aは、赤外線通過孔12を通過して赤外線強度検出手段60へ向けて放射される赤外線の通過領域Rのうち、赤外線強度検出手段60とバーナヘッド80の環状周部80aの環中心(キャップ部10の円盤中心O)との間の領域と環状混合気流路R1とが重なる部位に形成されている。これにより、平面視で赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12とを同一距離に設ける条件で、且つ被加熱物Hから放射され赤外線通過孔12を通過して赤外線強度検出手段60へ到達する赤外線と、被加熱物Hの底面との成す角度を同一角度に設定する条件において、赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12とが、バーナヘッド80の環状周部80aの環中心(キャップ部10の円盤中心O)を挟まずに設けられる場合に比べ、赤外線通過孔12から環状混合気流路R1までの距離を大きくすることができるから、環状混合気流路R1の被凹欠流路部位R1aの凹欠量を小さくでき、当該被凹欠流路部位R1aでの混合気Mの流れの乱れを抑制できる。
【0032】
通常、ブンゼンバーナとしての環状バーナ100にあっては、混合管65が設けられている領域にあっては、他の構成部品を設置するスペースを十分に確保できないため、当該領域に他の構成部品を設置する設計の自由度が下がるという問題がある。
そこで、当該実施形態にあっては、赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12とが、平面視において、赤外線通過孔12を通過して赤外線強度検出手段60へ向けて放射される赤外線の通過領域が混合管65の管軸心P1に重なる状態で、且つ赤外線強度検出手段60と混合管65とがバーナヘッド80の環状周部80aの環中心(キャップ部10の円盤中心O)を挟んで対向する状態で備えられている。これにより、例えば、赤外線強度検出手段60の受光部位の設置方向等に関する設計の自由度を上げることができる。
【0033】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態にあっては、平面視において、赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12とが、バーナヘッド80の環状周部80aの環中心(キャップ部10の円盤中心O)を挟んで対向する状態で設けられている構成例を示した。
しかしながら、平面視において、赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12とが、必ずしも、バーナヘッド80の環状周部80aの環中心(キャップ部10の円盤中心O)を挟んで対向する状態で設けられていなくても構わない。
【0034】
(2)上記実施形態にあっては、赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12とが、平面視において、赤外線通過孔12を通過して赤外線強度検出手段60へ向けて放射される赤外線の通過領域が混合管65の管軸心P1に重なる状態で、且つ赤外線強度検出手段60と混合管65とがバーナヘッド80の環状周部80aの環中心(キャップ部10の円盤中心O)を挟んで対向する状態で備えられている構成例を示した。
しかしながら、本発明は当該実施形態に限定されるものではなく、平面視において、赤外線強度検出手段60と赤外線通過孔12とを結ぶ直線が、混合管65の管軸心P1と所定の角度を有する構成であっても良い。
【0035】
(3)上記実施形態にあっては、バーナヘッド80は、清掃性向上の観点から、別体のキャップ部10と環状切欠部材20とから構成する例を示したが、キャップ部10と環状切欠部材20とを一体に構成しても構わない。
【0036】
(4)上記実施形態において、キャップ部10の天面部14は、平面視で円盤中心O(バーナヘッド80の環状周部80aの環中心に相当)が上方へ膨出する膨出形状の膨出頂部を有すると共に当該膨出頂部から偏心した位置に赤外線通過孔12を有する構成例を示した。しかしながら、キャップ部10の天面部14は、上方へ膨出していなくても良く、上面が平面の平板形状であっても良い。
【0037】
(5)上記実施形態にあっては、袖火用流路R3の環状混合気流路R1の側の端部R3aから袖火用噴孔82までの流路長である袖火用流路R3の流路長が、主火炎用流路R2の環状混合気流路R1の側の端部R2aから主火炎用噴孔81までの流路長である主火炎用流路R2の流路長よりも長く構成されている例を示した。
しかしながら、本発明は、当該構成に限定されるものではなく、袖火用流路R3の環状混合気流路R1の側の端部R3aから袖火用噴孔82までの流路長である袖火用流路R3の流路長が、主火炎用流路R2の環状混合気流路R1の側の端部R2aから主火炎用噴孔81までの流路長である主火炎用流路R2の流路長よりも短い構成や、同一の長さの構成であっても良い。
【0038】
(6)上記実施形態に係る環状バーナ100にあっては、袖火用流路R3を通流する混合気Mの圧力損失が、主火炎用流路R2を通流する混合気Mの圧力損失よりも小さくなるように、袖火用流路R3と主火炎用流路R2とが構成されている例を示した。
しかしながら、袖火用流路R3を通流する混合気Mの圧力損失が、主火炎用流路R2を通流する混合気Mの圧力損失以上となるように、袖火用流路R3と主火炎用流路R2とが構成されていても構わない。
【0039】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。