【文献】
Barrier Repair Cream N,(ID#):866993,Mintel GNPD,2008年 2月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
例えば、ビタミンB化合物などの有効成分の皮膚への浸透性を高めるとともに、皮膚内、詳細には表皮及び真皮内における有効成分の滞留時間を延ばす美容組成物の様々な実施形態について以下に述べる。米国特許出願第US 13/803,692号からは、グリセリンをヘキシルデカノールなどの浸透促進剤と組み合わせることで、ナイアシンアミドなどのビタミンB化合物の皮膚への浸透を促進することが知られる。グリセリルエステル又はグリセリルエーテルをグリセリン及び浸透促進剤と組み合わせることによって、ビタミンBが皮膚内に滞留する時間を延ばすことが可能であることが期せずして発見された。
【0014】
本明細書で使用するところのビタミンB化合物には、B1化合物、B2化合物、B3化合物、パンテノール(「プロB5」)、パントテン酸、パントテニルなどのB5化合物、ピロキシジン(pyroxidine)、ピリドキサル、ピリドキサミン、カルニチン、チアミン、及びリボフラビンなどのB6化合物が含まれる。特定の実施形態では、ビタミンB化合物は、以下の式:
【0015】
【化1】
[式中、Rは、−CONH
2(すなわちナイアシンアミド)、−COOH(すなわちニコチン酸)、又は−CH2OH(すなわちニコチニルアルコールである]を有するB3化合物、それらの誘導体、及び上記のいずれかの塩である。いくつかの例では、美容組成物は、美容組成物の約0.0005重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%,又は5重量%〜6重量%、8重量%、10重量%又は11重量%のビタミンB化合物の濃度を有する。
【0016】
浸透促進剤は、角質層の物理的又は化学的な性質を変化させることによって特定の物質がこの層に浸透して皮膚の下側の層に達することを可能とすることが知られている。本明細書で使用するところの「浸透促進剤」なる用語の例としては、脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸、イソステアリン酸)、ウンデシレノイル−L−フェニルアラニン、ヘキシルデカノール(例えば、2−ヘキシル−1−デカノール)、サリチル酸オクチル、ラウロイルサルコシンイソプロピルが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用するところの脂質二重層構造化剤(lipid bilayer structurant)とは、それ自体が皮膚の脂質二重層内に包埋されることで二重層の秩序化を促進し、その結果、バリア機能を高め、皮膚の水和性を高める分子のことである。
【0018】
I.ビタミンB化合物及びグリセリンに関するインビトロの観察
水及びグリセリンの双方に可溶なナイアシンアミドの局所塗布は、様々な美容スキンケア効果を伴い得る。これらの効果としては、i)年齢に伴う皮膚中のニコチンアミド補酵素の欠乏の正常化、ii)表皮バリア効果を伴う表皮のセラミド合成の上昇、iii)紫外線を浴びることによって生じるダメージに対する保護、iv)メラニン細胞から角化細胞へのメラノソームの移動の阻害(これにより潜在的な皮膚のトーン効果が得られる)、及び皮脂腺の脂質生成の低下が挙げられる。これらの活性は、加齢/光によるダメージを受けた皮膚の外観を改善し得るものである。
【0019】
グリセリンは、室温で液体であり、水と混和する小さな極性分子である。内因性のグリセリンは皮膚の水和の重要な要素と考えられており、グリセリンを含んだ美容製品の局所塗布は、バリア機能の改善、角化細胞の増殖及び創傷の治癒に伴うバイオマーカーの誘導、メラニン強度の低下、表皮の厚さの増大、及び一般的な皮膚の外観の改善を伴い得る。
【0020】
グリセリン及びビタミンB化合物によりもたされると考えられる美容効果を考慮すると、両者を美容組成物中で組み合わせることが多くの場合望ましい。しかしながら、かかる美容組成物中のグリセリンの存在は、ナイアシンアミドの皮膚への浸透を遅らせ得ることが観察されている。実施例1を参照すると、グリセリン濃度を増大させることで、各種の美容組成物からのナイアシンアミドの皮膚浸透量が低下し得ることが観察された。実施例1では、一連のインビトロでの皮膚浸透実験を6時間にわたって行って、油水エマルション、シリコーン中水滴型エマルション、及び水性ゲルを含む複数の美容組成物からの放射性標識ナイアシンアミドの浸透性に対するグリセリンの影響の評価を行った。美容組成物をヒト死体の分層皮膚に局所的に塗布した。フランツ型拡散セルシステムを用いて、放射性標識ナイアシンアミドの死体皮膚への浸透量を測定した。インビトロでの放射性標識ナイアシンアミドの皮膚浸透の動態を、一定のグリセリン濃度で観察し、6時間にわたる放射性標識ナイアシンアミド及びグリセリンの浸透性に対するグリセリン及びナイアシンアミドの濃度の影響を観察した。さらに、ナイアシンアミドの浸透量をグリセリン濃度の関数として測定した。
【0021】
図1を参照すると、実施例1で試験した4種類の美容組成物について、全ナイアシンアミド浸透量がグリセリン/ナイアシンアミドの比の関数としてプロットされている。これらのデータは、グリセリンの添加によって各種の美容組成物からのナイアシンアミドの浸透量が低下することを示している。さらに、これらのデータは、グリセリン濃度を増大させることで、各種の美容組成物からのナイアシンアミドの皮膚浸透量が徐々に低下することを示している。
【0022】
II.ビタミンB化合物及びグリセリンに関するインシリコの観察
図2を参照すると、表皮及び真皮皮膚層の概略図が示されている。表皮10の最外層は角質層12である。角質層の下には、透明層14、顆粒層16、有棘層18、及び基底層20の各層がある(まとめて参照符合22)。
図3を参照すると、角質層は脂質二重層30及び水通路32を有している。脂質二重層30は、主としてセラミド、コレステロール、並びに
図3で頭部基32及び尾部基34により示される、高度にマトリクス化した頭部/尾部の形態で配列された遊離脂肪酸(FFA)の混合物からなる。
【0023】
図4及び5を参照すると、脂質二重層の原子論的インシリコモデリングは、上記に述べたインビトロでのグリセリンの作用、すなわち、グリセリンが美容組成物中に存在する場合にナイアシンアミドの皮膚への浸透を低下させる作用の可能な説明を示している。
図4及び5は、角質層の脂質二重層領域のインシリコモデルを示したものであり、脂質の頭部基32及び尾部基34が充填された配列で示されている。対向する頭部基の間には水通路36がある。インシリコモデルは、ナイアシンアミド分子38が、水通路の水分子と相互作用するだけの場合に、脂質二重層の頭部基の表面上に位置するものと、水通路の水に溶解するものとにそれ自体が分配されることを示唆している。これに対して、
図6及び7は、水通路36内のナイアシンアミド38に対するグリセリンの作用を示している。グリセリンは、効果的な水素結合及び網状構造の形成により脂質二重層の親水性頭部基及びそれ自身と選択的に結合し、これにより水通路を実質的に「ゲル化」し、ナイアシンアミド分子を水通路内に閉じ込めることで水通路を通じたナイアシンアミドの浸透を遅らせるものと考えられる。
【0024】
III.ビタミンB化合物、グリセリン、及び浸透促進剤
インビトロ及びインシリコの両方でグリセリンが時としてナイアシンアミドの皮膚への浸透の障害となり得ることが観察されたが、不飽和脂肪酸、例えばウンデシレノイル−L−フェニルアラニン、ヘキシルデカノール(例えば、2−ヘキシル−1−デカノール)、サリチル酸オクチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、オレイン酸、イソステアリン酸などの、まとめて浸透促進剤として知られる特定の成分はこの作用を打ち消し、場合によっては、グリセリンに角質層内への、さらに角質層を通じたナイアシンアミドの浸透を遅らせるのではなく、むしろ浸透を相乗的に促進させることが可能であることが発見されている。
【0025】
図2を参照し、放射性標識ナイアシンアミドの皮膚への浸透性(実施例2A及び2Bでは死体皮膚を使用し、実施例2C及び2Dではブタの皮膚を使用した)を、皮膚試料への化合物の浸透を測定するための当該技術分野では周知の装置であるフランツ型拡散セルシステムを使用し、24時間にわたって評価した。下記表1に、実施例2A、2B、2C、及び2Dに示される美容組成物の塗布後の表皮、真皮、及びフランツセルのレセプターの組み合わせから回収されたナイアシンアミドの全用量パーセンテージ(試験時間の間に皮膚を通過した全ナイアシンアミド浸透率を表す)をまとめる。それぞれの美容組成物について6重に反復して試験を行った。実施例2Aの美容組成物は、5%のナイアシンアミド(表中、「N」として示される)及び7%のグリセリン(表中、「G」として示される)を含むものとした。実施例2Bの美容組成物は、5%のナイアシンアミド、7%のグリセリン、及び5%のヘキシルデカノール(表中、「HD」として示される)を含むものとした。実施例2Cの美容組成物は5%のナイアシンアミド及び5%のグリセリンを含むものとし、実施例2Dの美容組成物は5%のナイアシンアミド、5%のグリセリン、及び1%のサリチル酸オクチル(表中、「OS」として示される)を含むものとした。
【0027】
図8A及び8Bは、美容組成物の塗布後の表皮、真皮、及びフランツセルのレセプターの組み合わせから回収されたナイアシンアミドの全用量パーセンテージ(試験時間の間に皮膚を通過した全ナイアシンアミド浸透率を表す)をグラフの形で示す。実施例2Aと実施例2Bとを比較すると(
図8a)、5%ナイアシンアミド及び7%グリセリンのコントロール組成物に、5%のヘキシルデカノールを添加することで全ナイアシンアミド浸透率が31%から73%に増大したことが分かる。実施例2Cと実施例2Dとを比較すると(
図7B)、5%のナイアシンアミド及び5%のグリセリンのコントロール組成物に、1%のサリチル酸オクチルを添加することで全体の皮膚浸透量が83%から93%に増大したことが分かる。
【0028】
このデータは、上記に述べた提案、すなわち、ナイアシンアミドの浸透性に対してグリセリンが有し得る悪影響を、ヘキシルデカノール又はサリチル酸オクチルなどの浸透促進剤の添加によって低減又は緩和することができるという提案を支持しているものと考えられる。
【0029】
ヘキシルデカノールは以下の構造を有する。
【0031】
サリチル酸オクチルは以下の構造を有する。
【0033】
ヘキシルデカノール及びサリチル酸オクチルは、使用可能な浸透促進剤の2つの例である。これに代えるかかつ/又はこれに加えて、以下の浸透促進剤を使用することができる。
【0040】
IV.ビタミンB化合物、グリセリン、浸透促進剤、及びグリセリルエステル及び/又はグリセリルエーテル
表皮の主な機能は、身体の保護バリアとして機能し、生命維持に必要な水を保持し、病原体の侵入を防ぐことである。表皮自体は複数の層で構成され、その1つが角質層である。角質層の内部には、皮膚のバリア特性を維持するうえで重要な役割を果す層状の脂質二重層がある。脂質二重層が乱され、組織化が弱まると、バリアとして機能するその能力が悪影響を受ける。
【0041】
本明細書では脂質二重層構造化剤として知られる、そのバリア機能を高め、より良好な皮膚の水和につながる材料が存在することが見出されている。これらの脂質二重層構造化剤のサブクラスには、グリセリル頭部基を有するものがある。
【0042】
グリセリル頭部基を有する脂質二重層構造化剤の例としては、これらに限定されるものではないが以下のものが挙げられる。すなわち、
【0044】
グリセリル頭部基を有する脂質二重層構造化剤を、グリセリン、ナイアシンアミド、及び浸透促進剤を含む組成物中に含有させることにより、脂質二重層構造化剤と浸透促進剤及びグリセリンの両方との相乗的な相互作用の結果として、スキンケア有効成分の皮膚を通じた動きを遅らせることが期せずして見出されている。その結果、スキンケア有効成分の皮膚への全体的な浸透性が高まり(浸透促進剤を含まない場合に対して)、皮膚の層内の皮膚有効成分の滞留時間が延びる(脂質二重層構造化剤を用いずに浸透促進剤を使用した場合に対して)。
【0045】
図9は、インシリコモデリングを用いた脂質二重層構造化剤(この場合、バチルアルコール)のグリセリン頭部基とグリセリンとの相互作用を示している。バチルアルコールの頭部基が脂質二重層の頭部基の間に埋め込まれることで、グリセリンを角質層の脂質二重層に効果的に固定していることが分かる。バチルアルコール分子の主鎖は、脂質二重層の疎水性尾部の内部に入り込んでいる。バチルアルコールの主鎖がこのように配置されることで脂質二重層の全体的な一体性が高められる一方で、並んだ頭部基が周囲の水通路の粘性を高め、これにより、皮膚を通過するスキンケア有効成分の進行を遅らせる。
【0046】
図10は、バチルアルコール及びグリセリンを加えた場合の脂質二重層内の水の拡散率に対する効果を示している。いずれの有効成分、浸透促進剤、又は脂質二重層構造化剤も含まない脂質二重層中の水の拡散率を「1」に正規化している。水の拡散率は、ナイアシンアミドを加えた場合に増大し、ナイアシンアミドとバチルアルコールとの両方を加えた場合に概ね「1」に再び近づき、ナイアシンアミド及びグリセリンを加えた場合にさらに低下している。グリセリンとバチルアルコールとの両方をナイアシンアミドとともに加えた場合には、水の拡散率はより一層低下し、グリセリンをバチルアルコールなどの脂質二重層構造化剤と組み合わせて含むことで脂質二重層内の水の粘性を高め、これにより皮膚を通過するナイアシンアミドの進行を遅らせるという相乗効果が得られる。
【0047】
実施例3を参照し、放射性標識ナイアシンアミドの死体皮膚への浸透を、実施例2について上記に述べたものと同じフランツ型拡散セルシステムを使用して評価した。下記表2に、実施例3A、3B、3C、3D、3E、及び3Fに示される美容組成物の塗布後の表皮、真皮、及びフランツセルのレセプターの組み合わせから回収されたナイアシンアミドの全用量パーセンテージをまとめる。表3に、実施例3A、3B、3C、3D、3E、及び3Fに示される美容組成物の塗布後の皮膚内に見られたナイアシンアミドの全用量パーセンテージを示す。表2及び表3の結果を
図11A及び11Bにグラフで示す。実施例3Aの美容組成物は、5%のナイアシンアミド及び5%のグリセリンを含むものとした。実施例3Bは、5%のナイアシンアミド、5%のグリセリン、及び1%のサリチル酸オクチル(浸透促進剤)を含むものとした。実施例3Cは、5%のナイアシンアミド、5%のグリセリン、及び1%のバチルアルコールを含むものとした。実施例3Dは、5%のナイアシンアミド、5%のグリセリン、及び1%のモノオレイン酸グリセリルを含むものとした。実施例3Eは、5%のナイアシンアミド、5%のグリセリン、1%のサリチル酸オクチル、及び1%のバチルアルコールを含むものとした。実施例3Fは、5%のナイアシンアミド、5%のグリセリン、1%のサリチル酸オクチル、及び1%のモノオレイン酸グリセリルを含むものとした。
【0050】
実施例3Aと3Bとを比較すると、実施例3Bの美容組成物は、実施例3Aに対してナイアシンアミドの増大した全皮膚透過率を示しており、浸透促進剤を組成物中に導入することで、スキンケア有効成分と組み合わせたグリセリンの使用に伴う歴史的な問題が緩和されることを実証するものである。しかしながら、実施例3Bの皮膚内ナイアシンアミドは、実施例3Aに対して有意に低下している。これに関して、浸透促進剤(サリチル酸オクチル)は脂質二重層を乱すことでスキンケア有効成分の皮膚への浸透を可能とすることが知られている。しかしながら、このような脂質二重層の乱れにより、スキンケア有効成分の相当な割合が皮膚を直接透過することになる。実施例3C及び3Dを3Aと比較すると、実施例3C及び3Dの美容組成物は、実施例Aに対して低下した全皮膚透過率を示し、実施例3Aに対しては同じ又は増大した皮膚透過率を示している。実施例3E及び3Fを実施例3Aと比較すると、実施例3E及び3Fの美容組成物は、ナイアシンアミドの全皮膚透過率のわずかな低下を示しているが、皮膚内透過率は有意な増加を示している。したがって、皮膚に入るナイアシンアミドの全量の平均で44%(実施例3E)及び47%(実施例3F)が試験の期間中、皮膚の層内に留まっていることが分かる。
【0051】
予期せざることに、このデータは、グリセリン、浸透促進剤、及びグリセリル頭部を有する脂質二重層構造化剤の存在下では、グリセリン及びナイアシンアミドを浸透促進剤又はグリセリル頭部を有する脂質二重層構造化剤のいずれかのみと組み合わせた場合と比較して、ナイアシンアミドの皮膚へのより高い全浸透パーセンテージを実現することが可能であることを示唆している。
【0052】
特定の例では、本明細書に述べられる美容組成物は、約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、又は5重量%〜10重量%、15重量%、20重量%、15%、又は30%のグリセリンの濃度パーセンテージを有し得る。
【0053】
特定の例では、本明細書に述べられる美容組成物は、約0.01重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%、又は1%〜4重量%、5重量%、6.5重量%、8重量%、又は10重量%の浸透促進剤の濃度パーセンテージを有し得る。
【0054】
特定の例では、本明細書に述べられる美容組成物は、約0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、又は0.6重量%〜1重量%、1.25重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、又は3重量%の脂質二重層構造化剤の濃度パーセンテージを有し得る。
【0055】
特定の例では、グリセリル頭部基を有する脂質二重層構造化剤は、炭素14個、炭素15個、又は炭素16個よりも大きな尾部の長さを有する。好ましい実施形態では、グリセリル頭部基を有する脂質二重層構造化剤は、炭素20個、炭素19個、又は炭素18個よりも小さい尾部の長さを有する。これに関し、脂質二重層の尾部は、典型的には、炭素約16個〜炭素18個の長さを有するため、これに相当する尾部の長さを有する脂質二重層構造化剤を有することで二重層の一体性が強化される。
【0056】
V.他の成分
上記に述べた成分以外に、本明細書に述べられる美容組成物は、1種類以上の任意成分を含んでもよい。例えば、美容組成物は、約1重量%〜約95重量%の水を含んでもよい。美容組成物は、約1重量%〜約95重量%の1種類以上の油を含んでもよい。美容組成物は、約0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、又は90%〜約90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、又は3%の1種類以上の油を含み得る。油は、水又は水溶性溶媒に適さない物質を可溶化、分散、又は担持するために使用することができる。適当な油としては、シリコーン、炭化水素、エステル、アミド、エーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。油は室温で流体であってよい。油は、揮発性又は不揮発性であってよい。「不揮発性」とは、1気圧、25℃での蒸気圧が約0.2水銀柱mm以下である物質、及び/又は1気圧での沸点が少なくとも約300℃である物質を意味する。「揮発性」とは、20℃での蒸気圧が少なくとも約0.2水銀柱mmである物質を意味する。揮発性油は、重く、べとついたフィルムが望ましくない場合により軽い感触を与えるために使用することができる。美容組成物がエマルションの形態である場合には、油は、典型的には、油相を伴う担体である。美容組成物は、油中水滴型エマルション、水中油滴型エマルション、又はシリコーン中水滴型エマルションの形態であってよい。
【0057】
適当な油には、揮発性油が含まれる。特定の実施形態では、揮発性油は、25℃の粘度が約0.5〜5mm
2/秒(約0.5〜5センチストークス)であってよい。揮発性油は、美容組成物が皮膚に塗布された後のより速やかな乾燥を促すために使用することができる。不揮発性油も美容組成物における使用に適している。不揮発性油は、エモリエント性及び保護特性を目的としてしばしば使用される。
【0058】
適当なシリコーン油としてはポリシロキサンが挙げられる。ポリシロキサンは、25℃で約0.5〜約1,000,000mm
2/s(約0.5〜約1,000,000センチストークス)の粘度を有し得る。かかるポリシロキサンは、下記一般化学式により表すことができる。すなわち、
R
3SiO[R
2SiO]
xSiR
3
[式中、Rは、水素、又はC
1〜30の直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和のアルキル、フェニル若しくはアリール、トリアルキルシロキシから独立して選択され、xは、所望の分子量を得るために選択される、0〜約10,000の整数である。]所定の実施形態では、Rは水素、メチル、又はエチルである。市販のポリシロキサンとしては、ジメチコンとしても知られるポリジメチルシロキサンが挙げられ、その例としては、信越化学工業株式会社製のDM−Fluidシリーズ、Momentive Performance Materials Inc.より販売されるVicasil(登録商標)シリーズ、及びDow Corning Corporationより販売されるDow Corning(登録商標)200シリーズが挙げられる。適当なポリジメチルシロキサンの具体例としては、0.65、1.5、50、100、350、10,000、12,500、100,000、及び300,000mm
2/s(0.65、1.5、50、100、350、10,000、12,500、100,000、及び300,000センチストークス)の粘度を有するDow Corning(登録商標)200 fluids(Xiameter(登録商標)PMX−200シリコーン流体としても販売)が挙げられる。
【0059】
適当なジメチコンとしては、下記化学式で表されるものが挙げられる。すなわち、
R
3SiO[R
2SiO]
x[RR‘SiO]
ySiR
3
[式中、R及びR'は、それぞれ独立して、水素、又はC
1〜30の直鎖若しくは分枝鎖の、飽和若しくは不飽和のアルキル、アリール、若しくはトリアルキルシロキシであり、x及びyはそれぞれ、所望の分子量が得られるように選択される1〜1,000,000の整数である。]適当なシリコーンとしては、フェニルジメチコン(Botanigenics,Inc.製のBotansil(商標)PD−151)、ジフェニルジメチコン(信越化学工業株式会社製のKF−53及びKF−54)、フェニルトリメチコン(Dow Corning製の556化粧品等級の流体)、又はトリメチルシロキシフェニルジメチコン(Wacker−Belsil製のPDM−20、PDM−200、又はPDM−1000)が挙げられる。他の例としては、少なくともR'が脂肪族アルキル(例えば、C
12〜22)であるアルキルジメチコンが挙げられる。適当なアルキルジメチコンは、R'がC16の直鎖であり、Rがメチルである、セチルジメチコンである。セチルジメチコンは、2502コスメチックFluidとしてDow Corningから、あるいはAbil Wax 9801又は9814としてEvonik Goldschmidt GmbHから入手可能である。
【0060】
環状シリコーンは美容組成物に使用可能なシリコーンオイルの一種である。かかるシリコーンは、一般式:
【0061】
【化7】
[式中、Rは、水素、又はC
1〜30の直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和のアルキル、フェニル若しくはアリール、トリアルキルシロキシから独立して選択され、n=3〜8である]及びそれらの混合物を有する。一般的には、nが4、5及び/又は6であるようなシクロメチコンの混合物が使用される。市販の適当なシクロメチコンとしては、Dow Corning UP−1001 Ultra Pure Fluid(すなわち、n=4)、Dow Corning XIAMETER(登録商標)PMX−0245(すなわち、n=5)、Dow Corning XIAMETER(登録商標)PMX−0245(すなわち、n=6)、Dow Corning 245流体(すなわち、n=4及び5)、及びDow Corning 345流体(すなわち、n=4、5、及び6)が挙げられる。
【0062】
適当な炭化水素油としては、直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルカン及びアルケンが挙げられる。鎖長は、揮発性等の所望の機能特性に基づき選択してよい。適当な揮発性炭化水素は、5〜20個の炭素原子、あるいは、8〜16個の炭素原子を有してもよい。
【0063】
他の適当な油としては、エステルが挙げられる。適当なエステルは、典型的には、少なくとも10個の炭素原子を含有する。これらのエステルとしては、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖とのエステル(例えば、モノエステル、多価アルコールエステル、及びジ及びトリカルボン酸エステル)が挙げられる。これらのエステルのヒドロカルビルラジカルは、アミド及びアルコキシ部分(例えば、エトキシ又はエーテル結合など)のような他の適合性のある官能基を含むか、又はこうした官能基に共有結合により結合してもよい。エステルの例としては、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジヘキシルデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、酢酸ラウリル、プロピオン酸セチル、C12〜15安息香酸アルキル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル、及びアジピン酸オレイルが挙げられるが、これらに限定されない。他の適当なエステルは、さらに米国パーソナルケア製品評議会(Personal Care Product Council)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook第13版、2010年の「エステル」の機能分類に記載されている。美容組成物への使用に適当な他のエステルとしては、多価アルコールエステル及びグリセリドとして既知のものが挙げられる。
【0064】
他の適当な油としては、アミドが挙げられる。アミドとしては、25℃で液体であり、水に不溶性である、アミド官能基を有する化合物が挙げられる。適当なアミドとしては、N−アセチル−N−ブチルアミノプロピオネート、イソプロピルN−ラウロイルサルコシナート、及びN,N,−ジエチルトルアミドが挙げられる。他の適当なアミドは、米国特許第6,872,401号に開示される。
【0065】
他の適当な油としては、エーテルが挙げられる。適当なエーテルとしては、多価アルコールの飽和及び不飽和脂肪族エーテル、並びにこれらのアルコキシル化誘導体が挙げられる。例示的なエーテルとしては、ポリプロピレングリコールのC
4〜20アルキルエーテル、及びジ−C
8〜30アルキルエーテルが挙げられる。これらの物質の適当な例としては、PPG−14ブチルエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、ジオクチルエーテル、ドデシルオクチルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
美容組成物は乳化剤を含んでもよい。乳化剤は、美容組成物がエマルションの形態である場合、又は不混和性物質を混合する場合に特に適している。美容組成物は、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.5%、又は1%〜約20%、10%、5%、3%、2%、又は1%の乳化剤を含んでもよい。乳化剤は、非イオン性であっても、アニオン性であっても、カチオン性であってもよい。乳化剤の非限定的な例としては、米国特許第3,755,560号、米国特許第4,421,769号、及びM.C.Publishing Co.から発行されているMcCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents,2010 Annual Ed.に開示されている。他の適当な安定化剤はさらに、Personal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Thirteenth Edition,2006の「Surfactants−Emulsifying Agents」の機能分類下に記載されている。
【0067】
適当な乳化剤としては、以下の部類のエーテル及びエステルが挙げられる:ポリグリコールと脂肪族アルコールのエーテル、ポリグリコールと脂肪酸のエステル、ポリグリコールと脂肪族アルコールのグリコシル化エーテル、ポリグリコールと脂肪酸のグリコシル化エステル、C
12〜30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールのエーテル、C
12〜30脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールのエステル、オキシアルキレン修飾C
12〜30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールのエーテル、C
12〜30脂肪族アルコールとショ糖又はグルコースのエーテル、ショ糖とC
12〜30脂肪酸のエステル、ペンタエリスリトールとC
12〜30脂肪酸のエステル、ソルビトール及び/又はソルビタンとC
12〜30脂肪酸のエステル、ソルビトール及び/又はソルビタンとアルコキシ化ソルビタンのエーテル、ポリグリコールとコレステロールのエーテル、C
12〜30脂肪酸とソルビトール及び/又はソルビタンのアルコキシ化エーテルのエステル、並びにこれらの組み合わせ。
【0068】
直鎖又は分枝鎖型のシリコーン乳化剤を使用することもできる。特に有用なポリエーテル修飾シリコーンとしては、信越化学工業株式会社より販売されるKF−6011、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6015、KF−6017、KF−6043、KF−6028、及びKF−6038が挙げられる。また、特に有用なものとして、信越化学工業株式会社より販売されるKF−6100、KF−6104、及びKF−6105を含むポリグリセロール化直鎖又は分枝鎖シロキサン乳化剤もある。
【0069】
乳化剤としては、乳化シリコーンエラストマーも挙げられる。適当な乳化性シリコーンエラストマーとしては、少なくとも1つのポリアルキルエーテル又はポリグリセロール化単位を挙げることができる。使用することのできるポリオキシアルキレン化乳化シリコーンエラストマーとしては、信越シリコーンより商品名KSG−21、KSG−20、KSG−30、KSG−31、KSG−32、KSG−33;KSG−210(ジメチコンに分散したジメチコン/PEG−10/15架橋ポリマー);KSG−310(PEG−15ラウリルジメチコン架橋ポリマー);KSG−320(イソドデカンに分散したPEG−15ラウリルジメチコン架橋ポリマー);KSG−330(トリエチルヘキサノインに分散したPEG−15ラウリルジメチコン架橋ポリマー)、KSG−340(PEG−10ラウリルジメチコン架橋ポリマー及びPEG−15ラウリルジメチコン架橋ポリマー)で市販のものが挙げられる。PEG−12ジメチコンクロスポリマー(DC 9010及び9011)を含む他のシリコーン製乳化エラストマーが、Dow Corning(商標)によって供給されている。Dow Corningによって販売されている他の適当なシリコーン乳化剤としては、DC9010及びDC9011が挙げられる。国際公開第WO 2004/024798号には、ポリグリセロール化乳化シリコーンエラストマーが開示されている。かかるエラストマーとしては、信越化学工業株式会社のKSG−710(ジメチコン中に分散されたジメチコン/ポリグリセリン−3のクロスポリマー)などのKSGシリーズ;又は信越化学工業株式会社よりKSG−810、KSG−820、KSG−830、又はKSG−840として販売される、イソドデカン、ジメチコン、トリエチルヘキサノインなどの各種溶媒中に分散されたラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3のクロスポリマーが挙げられる。
【0070】
構造化剤を使用することで、美容組成物の粘度を高めるか、美容組成物を増粘、固化するか、又は美容組成物に固体若しくは結晶構造を与えることができる。構造化剤は、典型的には、溶解性、分散性、又は相適合性に基づき分類される。水性又は水構造化剤の例としては、高分子剤、天然又は合成ゴム、多糖類等が挙げられる。例えば、美容組成物は、美容組成物の約0.0001重量%、0.001重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、2重量%、3重量%、5重量%〜約25重量%、20重量%、10重量%、7重量%、5重量%、4重量%、又は2重量%の1つ以上の構造剤を含んでもよい。
【0071】
多糖類及びゴムは、適当な水相増粘剤であってよい。ポリマー構造化剤の適当なクラスとしては、カルボン酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、スルホン酸化ポリマー、高分子量ポリアルキルグリコール又はポリグリセリン、これらのコポリマー、これらの疎水的に修飾された誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0072】
油性構造化剤の例としては、シリコーン及び有機系材料が挙げられる。油性構造化剤の適当な範囲は、約0.01%、0.05%、0.1% 0.5%、1%、2.5%、5%、又は10%〜約30%、25%、20%、15%、10%、又は5%である。適当な油相構造化剤は、シリコーン系、例えば、シリコーンエラストマー、シリコーンガム、シリコーンワックス、油相の粘度をシリコーンが高めることができるような重合度のある直鎖シリコーンであり得る。シリコーン構造化剤の例としては、シリコーンエラストマー、シリコーンガム、及びシリコーンワックスが挙げられるがこれらに限定されない。
【0073】
適当なシリコーンエラストマーは、粉末形態であってもよく、又は揮発性若しくは不揮発性シリコーン等の溶媒、又はパラフィン系炭化水素若しくはエステル等のシリコーン相容性媒質中に分散又は可溶化されてもよい。シリコーンエラストマー粉末の例としては、信越化学工業株式会社から入手可能な、KSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−103、KSP−104、KSP−105等の、ビニルジメチコーン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、信越化学工業株式会社から入手可能な、KSP−200等の、フルオロアルキル基を含有するハイブリッド型シリコーン粉末(この粉末はフルオロ−シリコーンエラストマーである)、並びに信越化学工業株式会社から入手可能な、KSP−300等の、フェニル基を含有するハイブリッド型シリコーン粉末(この粉末は、フェニル置換されたシリコーンエラストマーである);並びにDow Corningから入手可能な、DC 9506が挙げられる。
【0074】
シリコーンエラストマー分散液の例としては、Dow Corning Corporationから商品名DC9040又はDC9041で市販のもの、Momentiveから商品名SFE 839で市販のもの、又は信越シリコーンから商品名KSG−15、16、18で市販のもの等、各種供給元から供給されるジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーが挙げられる。KSG−15は、INCI名シクロペンタシロキサン(及び)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを有する。KSG−18は、INCI名ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(及び)ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマーを有する。シリコーンエラストマーは、Grant Industriesから、Gransil(商標)として購入することもできる。信越化学工業株式会社から商品名KSG−41、KSG−42、KSG−43、及びKSG−44で供給されるラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー等、長鎖アルキル置換を有するその他のシリコーンエラストマーが適当である場合もあり、この場合、エラストマーはそれぞれ、鉱油、イソドカン、トリエチルヘキサノイン、又はスクアレン等の溶媒に分散している。信越シリコーンから商品名KSG−810、KSG−820、KSG−830、及びKSG−840で供給される、ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3クロスポリマー等、ポリグリセリン置換を有するその他のシリコーンエラストマーが適当である場合もあり、この場合、エラストマーはそれぞれ、鉱油、イソドカン、トリエチルヘキサノイン、又はスクアレン等の溶媒に分散している。信越化学工業株式会社から、商品名KSG−310、KSG−320、KSG−330、及びKSG−340で市販のPEG−15/ラウリルジメチコン架橋ポリマー等、ポリグリコール置換を有するその他のシリコーンエラストマーが適当である場合もあり、この場合、エラストマーはそれぞれ、鉱油、イソドカン、トリエチルヘキサノイン、又はスクアレン等の溶媒に分散している。ポリグリコール置換を有する他の適当なシリコーンエラストマーとしては、信越化学工業株式会社のKSG−210、すなわちジメチコン/PEG−10/15クロスポリマーのジメチコン溶液が挙げられる。
【0075】
シリコーンガムは、別の油相構造化剤である。シリコーンガムは、典型的には、25℃で約500,000〜100×10
6m
2/s(約500,000〜100×10
6cst)、600,000〜20×10
6m2/s、約600,000〜12×10
6m2/s(約600,000〜20×10
6cst、約600,000〜12×10
6cst)の範囲の粘度を有する。適当なシリコーンゴムとしては、Wacker−Belsilから商品名CM3092、Wacker−Belsil 1000、又はWacker−Belsil DM 3096で市販のものが挙げられる。商品名1〜1254 Fluid、2〜9023 Fluid、及び2〜9026 FluidでDow Corning Corporationから入手可能なジメチコノールは、特に適当なシリコーンゴムである。ジメチコノールは、多くの場合、Dow Corning1401 Fluid、1403 Fluid、及び1501 Fluidなどのように、揮発性又は不揮発性シリコーンとの混合物として市販される。
【0076】
別の種類の油相構造化剤としては、シリコーンワックスが挙げられる。シリコーンワックスは、アルキルシリコーンワックスと呼ぶこともでき、それらは、室温で半固体又は固体のものであってよい。用語「アルキルシリコーンワックス」は、シロキサンに半固体又は固体特性を付与する置換長鎖アルキル(C16〜30など)を有する、ポリジメチルシロキサンを意味する。このようなシリコーンワックスの例としては、Evonik Goldschmidt GmbHから商品名Abil Wax 9800で購入可能な、あるいはDow Corningから商品名2503で購入可能なステアリルジメチコンが挙げられる。他の例としては、ビス−ステアリルジメチコン(Gransil Industriesから商品名Gransil A−18で購入可能)、ベヘニルジメチコン、又はベヘノキシジメチコンである。
【0077】
他の適当な増粘剤としては、ポリアミド及びポリシリコーン−ポリアミドコポリマーが挙げられる。適当なポリシリコーン−ポリアミドコポリマーは、米国特許出願公開第2004/0170586号に開示されている。
【0078】
他の油相構造化剤は、動物性、植物性、又はミネラルワックス等、1種以上の天然又は合成ワックスであってもよい。適当なシリコーンワックスは、米国特許第5,413,781号、及び同第5,725,845号に開示されており、さらには、アルキルメチルポリシロキサン、C10〜C60アルキルジメチコン、及びこれらの混合物も包含される。
【0079】
他の構造化剤としては、天然又は合成モンモリロナイト鉱物、シリカ、ケイ酸塩、シリカケイ酸塩、及びアルカリ金属、又はこれらのアルカリ土類金属誘導体が挙げられる。
【0080】
美容組成物は、任意に紫外線有効成分を含有することができる。本明細書で使用するところの「紫外線有効成分」とは、サンスクリーン剤と物理的日焼け防止剤との両方を含む。適当な紫外線有効成分は、有機又は無機であってよい。適当な紫外線有効成分は、米国パーソナルケア製品評議会(Personal Care Product Council)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第13版、2010年の中の「サンスクリーン剤」の機能カテゴリに列挙されている。適当な紫外線有効成分としては、米国(例えば、21 CFR part 352、米国官報68 41386、米国官報70 72449又は米国官報71 42405)、欧州(欧州議会規則第1223/2009号;Annex VI)、日本、中国、オーストラリア、ニュージーランド、又はカナダにおける規制当局により定義又は提案されている紫外線有効成分を含んでもよい。例えば、美容組成物は、化粧品組成物の約0.01重量%〜約20重量%の紫外線有効成分を含んでもよい。また、美容組成物は、少なくとも約15、30、45、又は50の紫外線防御指数(Sun Protection Factor(SPF))を得るのに充分な量の紫外線有効成分を含むことができる。SPF試験は、当該技術分野で一般的であり、かつ十分に理解されている。21 C.F.R.352のサブパートDに記載のSPF試験が適当である。
【0081】
適当な紫外線有効成分としては、ジベンゾイルメタン誘導体、例えば、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4'−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン(すなわち、ブチルメトキシジベンゾイルメタン又はアボベンゾン)(PARSOL(登録商標)1789としてDSMから市販)、2−メチル−5−イソプロピル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、及び2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。他の適当な紫外線有効成分としては、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート(PARSOL(登録商標)MCXとしてDSMから市販)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン(benzonphenone)−3(すなわち、オキシベンゾン(oxybeznone))、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−(ビス(ヒドロキシ−プロピル))アミノ安息香酸、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−サリチラート、グリセリル−p−アミノ安息香酸、3,3,5−トリ−メチルシクロヘキシルサリチル酸エステル、アントラニル酸メチル、p−ジメチル−アミノ安息香酸又はアミノ安息香酸、2−エチルヘキシル−p−ジメチル−アミノ−ベンゾエート、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−スルホンベンゾオキサゾイン酸、オクトクリレン、酸化亜鉛、二酸化チタン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0082】
特に適当な紫外線有効成分としては、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾ−フェノン、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、オクトクリレン、酸化亜鉛、二酸化チタン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0083】
他の適当な紫外線有効成分としては、4−メチルベンジリデンカンファー(PARSOL(登録商標)5000としてDSMから又はEusolex 6300としてMerckから市販)、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(すなわち、ビスオクトリゾール(bisoctrizole)、Tinosorb(登録商標)MとしてBASFから市販)、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン(すなわち、ベモトリジノール(bemotrizinol)、Tinosorb(登録商標)SとしてBASFから市販)、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸ジナトリウム(すなわち、ビスジスリゾール二ナトリウム(Bisdisulizole disodium)、Neo Heliopan(登録商標)APとしてSymriseから市販)、エチルヘキシルトリアゾン(Ethylhexyl triazone)(Uvinul(登録商標)T 150としてBASFから市販)、ドロメトリゾール−トリシロキサン(Drometrizole trisiloxane)(Mexoryl XLとしてL’Orealより販売)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム(すなわち、ベンゾフェノン−9、Uvinul(登録商標)DS 49としてBASFから市販)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(Diethylamino Hydroxybenzoyl Hexyl Benzoate)(Uvinul(登録商標)A PlusとしてBASFから市販)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(すなわち、イスコトリジノール(Iscotrizinol)、Uvasorb(登録商標)HEBとして3V Sigmaから市販)、ポリシリコーン−15(すなわち、DSMから市販のPARSOL(登録商標)SLX)、及びイソアミルp−メトキシシンナメート(すなわち、アミロキサート(amiloxate)、Neo Heliopan(登録商標)E 1000としてSymriseから市販)が挙げられる。
【0084】
美容組成物は、美容組成物を製造する技術分野において周知であるような従来の方法によって一般的に調製することができる。かかる方法は、典型的には、加熱、冷却、真空の適用等を用いて、又はそれらを用いずに、1つ又はそれ以上の工程で、成分を比較的均一な状態になるまで混合する工程を伴う。典型的に、エマルションは、最初に水相物質を脂肪相物質とは別個に混合し、その後2相を適宜組み合わせて、所望の連続相を得ることにより調製される。美容組成物は、好ましくは、安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性等)及び/又は活性物質の送達を最適化するように調製される。美容組成物は、処置期間の間、充分な量の美容組成物が保存されるサイズのパッケージに入れて提供することができる。パッケージの寸法、形状、及びデザインは様々に変更することができる。特定のパッケージの例は、米国特許出願公開第D 570,707号、同第D391,162号、同第D516,436号、同第D535,191号、同第D542,660号、同第D547,193号、同第D547,661号、同第D558,591号、同第D563,221号、同第2009/0017080号、同第2007/0205226、及び同第2007/0040306号に記載されている。
【0085】
VI.使用方法
本明細書に開示される美容組成物は、使用者の日課の1つとして1以上の皮膚表面に塗布することができる。これに加えるか又はこれに代えて、本明細書の化粧品組成物は、「必要に応じて」使用することもできる。例えば、美容組成物は、美容組成物による処置を必要とする顔のスキンケア表面に塗布することができる。かかる顔の皮膚表面としては、顔の頬、額、及び眼窩周囲領域の1つ以上が含まれる。特定の例では、これらの皮膚表面の1つ以上を、処置を要するものとして特定するか、これらの皮膚表面の1つ以上を美容組成物で処置することができる。例えば、美容組成物は、少なくとも1日1回、1日2回、又は1日3回、7、14、21、又は28日間以上の期間にわたって顔の皮膚表面に塗布することもできる。別の例では、美容組成物は異なる皮膚表面に塗布するか、又は顔の皮膚及び1つ以上の異なる皮膚表面に塗布することができる。
【実施例】
【0086】
本発明には多くの変形が可能であるため、以下の実施例はあくまで説明のみを目的として与えられるものであり、本発明を限定とするものとして解釈されるべきではない。
【0087】
実施例1ナイアシンアミド/グリセリンの測定
複数の美容組成物中の放射性標識ナイアシンアミドのインビトロでの皮膚浸透性に対するグリセリンの影響を明らかにするためにインビトロの皮膚浸透実験を行った。インビトロでの放射性標識ナイアシンアミドの皮膚浸透の動態を、一定のグリセリン濃度で測定し、6時間にわたる放射性標識ナイアシンアミド及びグリセリンの皮膚浸透性に対するグリセリン及びナイアシンアミド製品の濃度の影響を評価した。表5は、試験した4種類の美容組成物の一般的な説明を与えるものである。
【0088】
【表5】
【0089】
ヒト死体の分層皮膚を、AlloSource(Englewood,CO)より入手した。トリチウム化水をPerkinElmer(Boston,MA)より入手し、
14CナイアシンアミドをAmerican Radiochemicals(St.Louis,MO)より入手した。すべての実験について、ヒト死体分層皮膚を周囲条件で解凍するまで−70℃に維持し、蒸留水で洗い流し、適当なサイズの切片に切断し、皮膚表面温度を約34℃に維持するようにサーモスタットで調温した加熱/攪拌ブロック内に置かれた標準的なフランツ型拡散セル(0.79cm
2)に取り付けた。レセプター(約5mL)を、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Sigma−Aldrich,Inc.(St.Louis,MO))に1%ポリソルベート20(VWR International(West Chester,PA))を加えた溶液で満たし、マグネチックスターラーバーで攪拌し、皮膚を少なくとも2時間にわたって平衡化させた。
【0090】
所定の実験で、取り付けられた皮膚を通過する
3H
2Oの流束に基づいて6個のセルを各処理にランダム化した。150μLの
3H
2Oを、取り付けられた死体皮膚に5分間にわたって適用した後、吸収されなかった液体をすべて綿棒で拭い去った。平衡状態が得られるまで最小で1時間置いた後、レセプターの内容物を回収した。液体シンチレーションカクテル(LCS)(14mL)を各レセプターの内容物に加え、
3H
2Oの3倍の150μLのアリコートにも加えた。これらのLSC溶液及び適当なブランクを、予め設定したクエンチ曲線を用いて、1分間、液体シンチレーションカウントにより全放射性標識についてアッセイした。各レセプターのブランク補正したDPM(1分当たりの壊変率)を、
3H
2Oの150μLのアリコートのブランク補正したDMPの平均を用いてμL(
3H
2O)に変換し、各セルの水流束をレセプター中で検出された
3H
2Oと使用可能な皮膚表面領域との商として計算した。この後、新しいレセプター流体をフランスセルのレセプター部分に加え、各セルを一晩、さらに平衡化させた。
【0091】
一晩の平衡化時間の後、レセプターのコンパートメントを新しい媒質で満たした。下記に述べる点を除き、放射性トレーサーを加えた約5μLの製品を、ポジティブディスプレイスメント式ピペットを使用して個々のセルに加えた。レセプター溶液を2時間及び4時間後に回収して交換し、6時間後に最終濃度で回収した。試験時間の終了時に、それぞれの皮膚試料を、1%ポリソルベート20を含有するPBSを含浸したWhatman濾紙で2回、70%/30%エタノール/蒸留水を含浸した濾紙で1回拭い、吸収されなかった(残渣)製品を拭い取った。表皮(角質層を含む)を残りの真皮から切開により分離した。
【0092】
各セルの異なる構成要素(すべてのレセプター回収物、濾紙拭き取り物、表皮、及び真皮)について得られた1分当たりの壊変率(DPM)をブランク補正し、合計して、所定のセルについて全体の回収された放射性標識の値を得た。次いで、この値を、製品の特定の放射性標識の比活性(DPM/理論的用量)と比較することで理論上の用量の回収パーセントを推定した。
【0093】
次いで、各コンパートメントのブランク補正したDPMを、全体の回収された放射性標識の値に対して正規化することで各コンパートメントについて「放射性標識回収率(%)」を得た。これは、その粘性に起因する製品の用量の変動を補償し、実験精度を高めるものである。
【0094】
累積のレセプター量を、所定の時点までの異なるレセプター回収物の合計として計算した。皮膚全体の値を表皮及び真皮の画分の合計として計算し、全体の透過量の値を皮膚全体及び全体の累積レセプター値の合計として計算した。
【0095】
調べようとする透過物質(例えば、ナイアシンアミド)の異なる濃度を有する組み込まれた試験製品を用いた実験において、次いで、回収パーセントの値を、100で割ることによって「放射性標識回収比率」に変換し、次いで、目標用量(5mg)及び試験製品の透過率を掛けることにより透過量(μg・当量(μg・eq))に変換した。
【0096】
図1にまとめたこの一連の実験からのデータは、グリセリンの添加がナイアシンアミドの皮膚浸透量を減少させ、グリセリン濃度をさらに増大させると、様々な美容組成物からのナイアシンアミドの皮膚浸透量をさらに減少させることを示唆するものである。
【0097】
実施例2ナイアシンアミド/グリセリン/ヘキシルデカノール、ナイアシンアミド/グリセリン/サリチル酸オクチルの測定
表5に示される美容組成物を調製した。
【0098】
【表6】
【0099】
次に、皮膚試料(死体又はブタの皮膚)を、約37℃に維持した標準的なフランツ型拡散セル(表面積0.79cm
2)に取り付けた。各組成物の実験について6重の反復試験を調製した。レセプターコンパートメントに、1%ポリソルベート−20及び0.02%アジ化ナトリウムを添加した5mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS,pH7.4)を満たし、皮膚を2時間平衡化させた。取り付けた皮膚を通過する
3H
2Oの流束に基づいてセルを処理群に対してランダム化した(150μLの
3H
20を5分間適用してから除去し、60分後にレセプター流体を回収した)。水の流束に基づいて各セルを等級付けし、セルを各処理群に分配することにより拡散セルをランダム化することで、それぞれの群が、観察した水の流束の範囲にわたったセルを含むようにした。各処理群は、典型的に6重の反復試験を行った。
【0100】
表4に示される試験製品/配合物のアリコートを、製品アリコート300mg当たり約111kBq(3μCi)の
14Cナイアシンアミドでスパイクして混合し、Ultima Gold液体シンチレーションカクテル(LSC)(Perkin−Elmerより販売される)及び液体シンチレーションカウンター(Tri−Carb 2500 TR Liquid Scintillation Analyzer(Perkin−Elmer(Boston,MA))を使用して全放射活性について3回アッセイした。皮膚試料に、ポジティブディスプレイスメント式ピペットを使用して5μLの放射性標識ナイアシンアミド組成物を局所的に塗布した。ピペットチップを使用して、美容組成物を皮膚試料の表面(0.79cm
2)にやさしく塗り広げた。レセプター溶液を塗布の6時間後に回収して交換し、24時間後に最終濃度で回収した。レセプターの最後の回収後、それぞれの皮膚試料を、PBS/Tween 20を含浸したWhatman濾紙で2回、70%/30%エタノール/水を含浸した濾紙で1回拭い、吸収されなかった(残渣)製品を拭い取った。表皮を残りの真皮から切開により分離した。皮膚切片を60℃で一晩、0.50〜1.25mLのSoluene−350(Perkin−Elmer(Boston,MA))に溶解し、すべてのレセプター回収物、濾紙拭き取り物、並びに可溶化された組織切片を液体シンチレーションカウンターでカウントした。各セルの各コンパートメントについて1分当たりの壊変率(DPM)をブランク補正し、合計して、所定のセルについて全体の回収された放射性標識の値を得た。次いで、各コンパートメントのDPMを、全体の回収された放射性標識の値に対して正規化することで各コンパートメント(物質収支のため、個々のレセプター回収物、表皮、真皮、及び拭き取り物)について「放射性標識回収パーセント」パラメータを得た。全レセプター値をすべての個々の回収物の合計として、各回収時点までの累積のレセプター値を、その時点までの個々の回収物の合計として計算した。全体の回収パーセンテージの値は、表皮(角質層を含む)及び真皮の値の合計とし、全体の透過量の値は、皮膚全体及び累積レセプター値の合計とした。表1に、回収された放射性標識ナイアシンアミドの全パーセンテージの値をまとめる。
【0101】
実施例3ナイアシンアミド/グリセリン/グリセリルエーテル/エステル/サリチル酸オクチルの測定
表6に示される美容組成物を、実施例2について上記に述べたのと同じ要領で調製した。
【0102】
【表7】
【0103】
実施例2に示されるものと概ね同じ試験手順を用いて、各セルの各コンパートメントについてDPMをブランク補正し、合計して、所定のセルについて全体の回収された放射性標識の値を得た。次いで、各コンパートメントのDPMを、全体の回収された放射性標識の値に対して正規化することで各コンパートメント(物質収支のため、個々のレセプター回収物、表皮、真皮、及び拭き取り物)について「放射性標識回収パーセント」パラメータを得た。全レセプター値のすべての個々の回収物の合計と共に、各回収時点までの累積のレセプター値を、その時点までの個々の回収物の合計として計算した。全体の回収パーセンテージの値は、表皮(角質層を含む)及び真皮の値の合計とし、全体の透過量の値は、皮膚全体及び累積レセプター値の合計とした。表2及び3に、実施例3A〜3Fについて回収された放射性標識ナイアシンアミドの全体及び皮膚内のパーセンテージの値をまとめる。
【0104】
本明細書で開示される寸法及び値は、記載される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、かかる寸法はそれぞれ、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等な範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0105】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは特許出願を含む、本明細書に引用される文献はすべて、明白に除外又は限定されている場合を除いて、本明細書中にその全容を援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の任意の参照文献との任意の組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。さらには、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する場合には、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先するものとする。
【0106】
以上、本発明の特定の実施形態を図示及び説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行い得る点は当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような変更及び改変はすべて、添付の特許請求の範囲において網羅するものとする。