【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者によって認識される1つの解決策は、滑り止めをペダルに係合し、およびペダルから解放することに影響を与える滑り止めとペダルアセンブリの接触面用に、異なる硬度の材料を採用することである。好適な実施形態では、接触面の両方ではないが、少なくとも1つが、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する、材料、好適には非金属材料またはセラミックから作製される。カーバイドが、特に好適な材料の選択肢である。カーバイドは、摩擦および腐食に対して極めて耐久性および抵抗力があるだけでなく、様々な状況下で低い摩擦係数を維持し、他の金属表面またはカーバイド表面に固着や冷間圧接することがない。
【0008】
1つの好適な実施形態では、ペダルおよび滑り止めアセンブリが説明される。ペダルまたは滑り止めアセンブリの一方が、ペダルまたは滑り止めアセンブリの他方に結合するために、係合位置に付勢されるように構成されている第1のリテーナおよび第2のリテーナを備える。ペダルまたは滑り止めアセンブリの他方は、第1のリテーナおよび第2のリテーナによって係合位置に解放可能に固定されるように構成されている第1の部分および第2の部分を備える。第2の部分は、第1の付勢面および第2の付勢面を有する。第1の付勢面の一方が第1の付勢面の他方および第2のリテーナの外面上に第1の力を加える、または接触すると、第1のリテーナおよび第2のリテーナのいずれか一方または両方が、第1の部分および第2の部分を第1のリテーナおよび第2のリテーナによって固定されることを可能にする降伏位置に付勢される。第2の付勢面の一方が第2の付勢面の他方および第2のリテーナの側面上に第2の力を加える、または接触すると、第1のリテーナおよび第2のリテーナのいずれか一方または両方が、固定された第2の部分を第2のリテーナから解放されることを可能にする降伏位置に付勢されるように構成されている。第2の付勢面および第2のリテーナの側面の少なくとも1つが、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0009】
第1の態様によれば、材料は、カーバイドを含み、好適には、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0010】
第2の態様によれば、第2の付勢面および第2のリテーナの側面の一方が、カーバイドを含む材料から作製され、第2の付勢面および側面の他方が、金属を含む材料から作製される。好適には、金属は焼入れ鋼である。
【0011】
第3の態様によれば、第2の付勢面および第2のリテーナの側面の両方が、カーバイドから作製される。
【0012】
第4の態様によれば、側面は、アール形状、傾斜状、または曲線状であり、第2の付勢面は、側面を補完する面を有する。
【0013】
第5の態様によれば、第1のリテーナおよび第2のリテーナは、ペダルアセンブリ上に設けられ、第1の部分および第2の部分は、滑り止めアセンブリ上に設けられる。
【0014】
第6の態様によれば、第1のリテーナおよび第2のリテーナは、係合位置に付勢される。
【0015】
第2の好適な実施形態では、別のタイプのペダルおよび滑り止めアセンブリが説明される。ペダルまたは滑り止めアセンブリの一方が、ペダルまたは滑り止めアセンブリの他方上に配置される係合部分を解放可能に固定する係合位置に付勢されるように構成されているリテーナ部分を備える。係合部分は、第1の付勢面および第2の付勢面を備える。第1の付勢面の一方が第1の付勢面の他方およびリテーナ部分の外面上に第1の力を加える、または接触すると、係合部分が、リテーナ部分によって固定されることを可能にする降伏位置に付勢されるように、リテーナ部分は構成されている。第2の付勢面の一方が第2の付勢面の他方およびリテーナ部分の外面上に第2の力を加える、または接触すると、係合部分が、リテーナ部分から解放されることを可能にする降伏位置に付勢されるように、リテーナ部分は構成されている。第2の付勢面およびリテーナ部分の側面の少なくとも1つが、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0016】
第1の態様によれば、材料は、カーバイドを含み、好適には、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0017】
第2の態様によれば、第2の付勢面およびリテーナ部分の側面の一方が、カーバイドを含む材料から作製され、第2の付勢面およびリテーナ部分の側面の他方が、金属を含む材料から作製される。好適には、金属は焼入れ鋼である。
【0018】
第3の態様によれば、第2の付勢面およびリテーナ部分の側面の両方が、カーバイドから作製される。
【0019】
第4の態様によれば、リテーナ部分が、係合部分に弾性的に付勢される。
【0020】
第3の好適な実施形態では、さらに別のタイプのペダルおよび滑り止めアセンブリが説明される。ペダルまたは滑り止めアセンブリの一方が、ペダルまたは滑り止めアセンブリの他方を着脱可能に結合するためのリテーナを備え、リテーナは第1の面を備える。ペダルまたは滑り止めアセンブリの他方が、リテーナに着脱可能に結合されるように構成されている係合部分を備え、係合部分は、第2の面を備える。ペダルおよび滑り止めアセンブリが互いに結合される場合、第1の面および第2の面は、互いに接触する。第1の面および第2の面の少なくとも1つが、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0021】
第1の態様によれば、材料は、カーバイドを含み、好適には、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0022】
第2の態様によれば、第1の面および第2の面の一方が、カーバイドを含む材料から作製され、第1の面および第2の面の他方が、金属を含む材料から作製される。好適には、金属は焼入れ鋼である。
【0023】
第3の態様によれば、第1の面および第2の面の両方が、カーバイドから作製される。
【0024】
第4の態様によれば、リテーナは、滑り止めアセンブリに可動的に結合されるばねであり、係合部分は、ペダルアセンブリの内部に配置されているカム挿入部を備え、ばねは弾性金属から作製され、カム挿入部はカーバイドから作製される。
【0025】
第4の好適な実施形態で、滑り止めアセンブリが説明される。滑り止めアセンブリが、少なくとも1つの結合領域と、少なくとも1つの結合領域内に維持される、または少なくとも1つの結合領域上に配置されるように構成される少なくとも1つの要素とを備える。少なくとも1つの結合領域が、滑り止め本体の前方端または後方端に配置されて、その結果、少なくとも1つの要素が、自転車ペダルの部分に対してカム面として機能することができる。少なくとも1つの要素は、少なくとも1つの結合領域内部に維持される、または少なくとも1つの結合領域上に配置される時、回転または関節接合して、滑り止めアセンブリを自転車ペダルから解放することを促進するように構成されている。
【0026】
第1の態様によれば、少なくとも1つの結合領域は、その上に形成される少なくとも1つの凹所であり、少なくとも1つの要素は、少なくとも1つの凹所の中に受容されるように成形されている。
【0027】
第2の態様によれば、少なくとも1つの凹所は、少なくとも2つの凹所を備え、少なくとも1つの要素は、少なくとも2つの要素を備える。
【0028】
第3の態様によれば、少なくとも1つの要素は、略円筒形状を有する。
【0029】
第4の態様によれば、略円筒形状は、丸みを帯びた頂部縁を有する。
【0030】
第5の態様によれば、滑り止めアセンブリが自転車ペダルから解放される時、少なくとも1つの要素の回転または関節接合が、滑り止めアセンブリと自転車ペダルとの間の摩擦を低減する。
【0031】
第6の態様によれば、滑り止めアセンブリが自転車ペダルから解放される時、少なくとも1つの要素の回転または関節接合が、滑り止め本体を自転車ペダルに対して枢動させることを促進する。
【0032】
第7の態様によれば、少なくとも1つの要素は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0033】
第8の態様によれば、材料は、カーバイドを含む。
【0034】
第9の態様によれば、カーバイドは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0035】
第5の好適な実施形態では、さらに別のタイプのペダルおよび滑り止めアセンブリが説明される。ペダルアセンブリは、第1の端部および第2の端部を含むペダル本体と、ペダル本体の第1の端部近傍に取り付けられている第1のリテーナと、ペダル本体の第2の端部近傍に取り付けられている第2のリテーナとを備える。滑り止めアセンブリは、ペダルアセンブリに解放可能に結合されるように構成されている。滑り止めアセンブリは、少なくとも1つの結合領域と、少なくとも1つの結合領域内に維持される、または少なくとも1つの結合領域上に配置されるように成形された少なくとも1つの要素とを備える。少なくとも1つの結合領域は、滑り止め本体の前方端または後方端に配置されて、その結果、少なくとも1つの要素が、第1のリテーナまたは第2のリテーナに対してカム面として機能することができる。少なくとも1つの要素は、少なくとも1つの凹所内部に維持される、または少なくとも1つの凹所上に配置される場合、回転または関節接合して、滑り止めアセンブリをペダルアセンブリから解放することを促進するように構成されている。
【0036】
第1の態様によれば、少なくとも1つの結合領域は、滑り止め本体の中に形成される少なくとも1つの凹所である。
【0037】
第2の態様によれば、少なくとも1つの凹所は、少なくとも2つの凹所を備え、少なくとも1つの要素は、少なくとも2つの要素を備える。
【0038】
第3の態様によれば、少なくとも1つの要素は、略円筒形状を含む。略円筒形状は、丸みを帯びた頂部縁を含む。滑り止めアセンブリがペダルアセンブリから解放される時、少なくとも1つの要素の関節接合または回転が、滑り止めアセンブリとペダルアセンブリとの間の摩擦を低減する。このことは、滑り止めアセンブリがペダルアセンブリから解放される時、滑り止め本体をペダル本体に対して枢動させることを促進する。
【0039】
第4の態様によれば、少なくとも1つの要素は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0040】
第5の態様によれば、材料は、カーバイドを含む。カーバイドは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0041】
第6の好適な実施形態によれば、自転車ペダルに靴を結合係合するために靴の裏面に取り付けるように構成されている滑り止めアセンブリが提供される。滑り止めアセンブリは、ペダル面に対向するように構成されている1つまたは複数のペダル接触領域を画定する滑り止めを備える。1つまたは複数のペダル接触領域は、それぞれ焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される少なくとも滑り止め部分を備える。
【0042】
第1の態様によれば、1つまたは複数のペダル接触領域は、略平面である。
【0043】
第2の態様によれば、1つまたは複数のペダル接触領域は、それぞれ成形された凹所を備え、滑り止め部分が、成形された凹所内に、およびペダル接触領域と略同一平面に配置可能である要素である。
【0044】
第3の態様によれば、ペダル接触領域は、スピンドルの軸線に沿ってペダル面に接触するように滑り止め上に配置される。
【0045】
第4の態様によれば、ペダル接触領域は、滑り止めアセンブリの対向する側面上に配置されて、スピンドルの軸線に沿って内側位置および外側位置の両方で自転車ペダル上の面に接触する。
【0046】
第5の態様によれば、ペダル接触領域が、滑り止めアセンブリの前方縁および後方縁の一方または両方の近傍に配置されている。
【0047】
第6の態様によれば、材料は、カーバイドを含む。
【0048】
第7の態様によれば、カーバイドは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0049】
第7の好適な実施形態では、ペダルアセンブリを靴に結合係合するために、靴の裏面上に配置される滑り止めアセンブリを取り付けるように構成されているペダルアセンブリが提供される。ペダルアセンブリは、1つまたは複数の略平坦な表面を有するペダル本体を備える。平面の表面は、滑り止めに対向するように構成されている滑り止め接触領域を備える。滑り止め接触領域は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される少なくともペダル部分を備える。
【0050】
第1の態様によれば、1つまたは複数の滑り止め接触領域は、成形された凹所を備え、ペダル部分が、成形された凹所内に、および滑り止め接触領域と略同一平面に配置可能である要素である。
【0051】
第2の態様によれば、滑り止め接触領域は、ペダルアセンブリのスピンドルの軸線に沿って配置される。
【0052】
第3の態様によれば、滑り止め接触領域は、スピンドルの軸線に沿って内側位置および外側位置上に配置される。
【0053】
第4の態様によれば、材料は、カーバイドを含む。
【0054】
第5の態様によれば、カーバイドは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0055】
第8の好適な実施形態では、ペダルおよび滑り止めアセンブリが説明される。ペダルおよび滑り止めアセンブリは、滑り止め接触領域を有するペダル本体、およびペダル本体に結合係合するように構成されている滑り止め本体を備える。滑り止め本体は、滑り止め接触領域に対向するペダル接触領域を有する。滑り止め本体がペダル本体に結合係合することによって、滑り止め接触領域およびペダル接触領域の各部分が、直接物理的に接触する。滑り止め接触領域またはペダル接触領域の各部分のいずれか一方または両方は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0056】
第1の態様によれば、滑り止めアセンブリの部分は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0057】
第2の態様によれば、ペダルアセンブリの部分は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0058】
第3の態様によれば、ペダルおよび滑り止めアセンブリの部分の両方は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0059】
第4の態様によれば、部分は、ペダルアセンブリのスピンドルの軸線に沿って配置される。
【0060】
第5の態様によれば、材料は、カーバイドを含む。
【0061】
第6の態様によれば、カーバイドは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0062】
説明される好適な実施形態の他の目的、特徴および利点が、以下の詳細な説明から当業者にとって明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好適な実施形態を示しているが、説明のために与えられるものであり、限定するものではない。本発明の範囲内の多くの変形形態および修正形態が、本発明の趣旨から逸脱せずに作製可能であり、本発明は、そのような修正形態をすべて包含するものである。
【0063】
本発明の好適な、限定されない実施形態が、添付の図面を参照することによって、より容易に理解され得る。