特許第6523295号(P6523295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6523295改良されたペダルおよび滑り止めアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523295
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】改良されたペダルおよび滑り止めアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B62M 3/08 20060101AFI20190520BHJP
【FI】
   B62M3/08 B
【請求項の数】22
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-542024(P2016-542024)
(86)(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公表番号】特表2016-530162(P2016-530162A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】US2014054333
(87)【国際公開番号】WO2015038434
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年8月24日
(31)【優先権主張番号】14/028,345
(32)【優先日】2013年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507338574
【氏名又は名称】スピードプレイ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライン,リチャード,エム.
【審査官】 中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−095175(JP,A)
【文献】 特表2008−536762(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02899869(FR,A1)
【文献】 米国特許第04864887(US,A)
【文献】 米国特許第05442976(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0047697(US,A1)
【文献】 米国特許第05860330(US,A)
【文献】 米国特許第05852955(US,A)
【文献】 特開平03−045488(JP,A)
【文献】 米国特許第06494117(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 3/08 − 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの結合領域を有する滑り止め本体と、
前記少なくとも1つの結合領域内部に維持され、または前記少なくとも1つの結合領域上に配置されるように構成されている少なくとも1つの要素と
を含む滑り止めアセンブリであって、
前記少なくとも1つの結合領域が、前記滑り止め本体の前方端または後方端に配置されて、その結果、前記少なくとも1つの要素が、自転車ペダルの部分に対してカム面として機能することができ、
前記少なくとも1つの要素が、360°回転するように構成されている、滑り止めアセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの結合領域が、その上に形成される少なくとも1つの凹所を有し、前記少なくとも1つの要素が、前記少なくとも1つの凹所の中に受容されるように成形されている、請求項1に記載の滑り止めアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの要素が、略円筒形状を含む、請求項1に記載の滑り止めアセンブリ。
【請求項4】
前記略円筒形状が、丸みを帯びた頂部縁を含む、請求項に記載の滑り止めアセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの要素が、カーバイドを含む非金属の材料から作製される、請求項1に記載の滑り止めアセンブリ。
【請求項6】
前記カーバイドが、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される、請求項に記載の滑り止めアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの要素が略円形である、請求項1記載の滑り止めアセンブリ。
【請求項8】
第1の端部および第2の端部を含むペダル本体と、
前記ペダル本体の前記第1の端部近傍に取り付けられている第1のリテーナと、
前記ペダル本体の前記第2の端部近傍に取り付けられている第2のリテーナと
を備えるペダルアセンブリと、
前記ペダルアセンブリに解放可能に結合されるように構成されている滑り止めアセンブリであって、
少なくとも1つの結合領域を有する滑り止め本体と、
前記少なくとも1つの結合領域内に維持され、または前記少なくとも1つの結合領域上に配置されるように成形された少なくとも1つの要素と
を備える滑り止めアセンブリと
を備えるペダルおよび滑り止めアセンブリであって、
前記少なくとも1つの結合領域が、前記滑り止め本体の前方端または後方端に配置されて、その結果、前記少なくとも1つの要素が、前記第1のリテーナまたは前記第2のリテーナに対してカム面として機能することができ、
前記少なくとも1つの要素が、360°回転するように構成されている、ペダルおよび滑り止めアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの結合領域が、前記滑り止め本体上に形成される少なくとも1つの凹所である、請求項に記載のペダルおよび滑り止めアセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの要素が、略円筒形状を有する、請求項に記載のペダルおよび滑り止めアセンブリ。
【請求項11】
前記略円筒形状が、丸みを帯びた頂部縁を有する、請求項10に記載のペダルおよび滑り止めアセンブリ。
【請求項12】
前記丸みを帯びた頂部縁が、前記カム面である、請求項11に記載のペダルおよび滑り止めアセンブリ。
【請求項13】
前記滑り止めアセンブリが前記ペダルアセンブリから解放される時、前記少なくとも1つの要素の前記回転が、前記滑り止めアセンブリと前記ペダルアセンブリとの間の摩擦を低減する、請求項に記載のペダルおよび滑り止めアセンブリ。
【請求項14】
前記滑り止めアセンブリが前記ペダルアセンブリから解放される時、前記少なくとも1つの要素の前記回転が、前記滑り止め本体を前記ペダル本体に対して枢動させることを促進する、請求項に記載のペダルおよび滑り止めアセンブリ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの要素が、カーバイドを含む非金属の材料から作製される、請求項に記載のペダルおよび滑り止めアセンブリ。
【請求項16】
前記カーバイドが、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される、請求項15に記載のペダルおよび滑り止めアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの要素が略円形である、請求項8記載の滑り止めアセンブリ。
【請求項18】
少なくとも1つの結合領域を有する滑り止め本体と、
前記少なくとも1つの結合領域内部に維持され、または前記少なくとも1つの結合領域上に配置されるように構成されている少なくとも1つの要素と、
を含む滑り止めアセンブリであって、
前記少なくとも1つの結合領域が、前記滑り止め本体の前方端または後方端に配置されて、その結果、前記少なくとも1つの要素が、自転車のペダルの部分に対してカム面として機能することができ、
前記少なくとも1つの要素が360°回転するように構成されており、
前記少なくとも1つの要素が略円筒形状を有している、滑り止めアセンブリ。
【請求項19】
前記略円筒形状が、丸みを帯びた頂部縁を有する、請求項18記載の滑り止めアセンブリ。
【請求項20】
第1の端部および第2の端部を有するペダル本体と、
前記ペダル本体の前記第1の端部近傍に取り付けられている第1のリテーナと、
前記ペダル本体の前記第2の端部近傍に取り付けられている第2のリテーナと、
を含んだペダルアセンブリと、
前記ペダルアセンブリに解放可能に結合されるように構成されている滑り止めアセンブリであって、
少なくとも1つの結合領域を有する滑り止め本体と、
前記少なくとも1つの結合領域内部に維持され、または前記少なくとも1つの結合領域上に配置されるように形状化されている少なくとも1つの要素と、
を含む滑り止めアセンブリと、
を含んでおり、
前記少なくとも1つの結合領域が、前記滑り止め本体の前方端または後方端に配置されて、その結果、前記少なくとも1つの要素が、前記第1のリテーナまたは前記第2のリテーナに対してカム面として機能することができ、
前記少なくとも1つの要素が360°回転するように構成されており、
前記少なくとも1つの要素が略円筒形状を有している、
ペダルおよび滑り止めアセンブリ。
【請求項21】
前記略円筒形状が、丸みを帯びた頂部縁を有する、請求項20記載のべダルおよび滑り止めアセンブリ。
【請求項22】
前記丸みを帯びた頂部縁が前記カム面である、請求項21記載のべダルおよび滑り止めアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、改良されたペダルおよび滑り止めアセンブリに関し、より詳細には、様々な環境条件下で、ペダルおよび滑り止めの容易な係合および解放を可能にする特徴を組み込むペダルおよび滑り止めアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
クリップレスペダル(「クリップイン」ペダルまたは「ステップイン」ペダルとしても公知である)は、乗り手の靴の底に嵌合される滑り止めを必要とし、滑り止めはペダルに係止し、それによって靴をペダルにしっかりと保持する。クリップレスペダルは、様々な形態を取り、典型的には、ロードサイクリングおよびオフロードバイクまたはマウンテンバイクなど、特定のタイプのサイクリングの要求のために適合されている。
【0003】
クリップレスペダルに所望される多くの特徴の中で特に、滑り止めをペダルに容易に係合させ、次いで滑り止めをペダルから解放することができることは、サイクリングの効率および安全性の両面にとって重要である。滑り止めをペダルから容易に解放することができることは、乗り手がバイクを操縦するため、または転倒を回避するために地面に一方、または両方の足を置くことを可能にするので、おそらく乗り手の安全性を保証するためにより重要な要素である。自転車および特定のオフロードバイクまたはマウンテンバイクがさらされる通常の環境条件は、要求に応じて滑り止めをペダルから解放する能力に支障をきたすことが多い。
【0004】
したがって、様々な環境条件下で、ペダルおよび滑り止めの容易な係合および解放を可能にする改良された滑り止めおよびペダルアセンブリが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
滑り止めおよびペダルアセンブリの信頼性のある、容易な係合および解放を提供する滑り止めおよびペダルアセンブリの様々な実施形態が、本明細書において説明される。クリップレスペダル、特にオフロード使用向けに作製されるクリップレスペダルは、典型的には靴底の中に組み込まれた小さい窪んだ空洞の中に取り付けられる相対的に小さい滑り止め部品を用いて設計されることが多い。滑り止めが相対的に小さいので、滑り止めアセンブリとペダルアセンブリの接触面が、使用中、ならびに係合および解放中に、高い圧力、高い荷重および高い摩擦の影響下にある。これらの相対的に小さい部品に加えられる要求および力が高いとすれば、滑り止めとペダルとの間の接触領域が、摩擦および断裂に耐え、かつ固着にも耐える材料から作製されることが重要である。したがって、オフロード用クリップレスペダルが、機械的応力に耐えるだけ十分に強いばかりでなく、更に、様々な環境条件下(例えば、濡れ、または汚れなど)で信頼できる係合および解放機能を可能にする材料から作製されることが望ましい。焼入れ鋼、真鍮などの金属、ならびにより少ない程度にアルミニウムおよびプラスチックが滑り止めアセンブリとペダルアセンブリの接触面に採用され、様々なレベルの効果があった。
【0006】
金属、特に焼入れ鋼は、これらの接触面に使用するために好適な材料であることが証明されてきた。しかしながら、滑り止めアセンブリとペダルアセンブリの金属の接触面が、「固着する」または「冷間圧接する」可能性があって、金属接触面間に不所望の接着を生成し、それによって、滑り止めをペダルから解放することを可能にする、2つの面の要求される相対的な摺動を妨げることを発明者は認識している。言い換えれば、接触面間の摩擦係数(特に水および汚れに曝される場合)が、滑り止めとペダルの接触面間の「接着摩擦」が存在する点まで増加する。次いで、これは、乗り手がペダルから脱係合する能力に干渉し、それによって乗り手にとって危険な状況を生み出す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者によって認識される1つの解決策は、滑り止めをペダルに係合し、およびペダルから解放することに影響を与える滑り止めとペダルアセンブリの接触面用に、異なる硬度の材料を採用することである。好適な実施形態では、接触面の両方ではないが、少なくとも1つが、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する、材料、好適には非金属材料またはセラミックから作製される。カーバイドが、特に好適な材料の選択肢である。カーバイドは、摩擦および腐食に対して極めて耐久性および抵抗力があるだけでなく、様々な状況下で低い摩擦係数を維持し、他の金属表面またはカーバイド表面に固着や冷間圧接することがない。
【0008】
1つの好適な実施形態では、ペダルおよび滑り止めアセンブリが説明される。ペダルまたは滑り止めアセンブリの一方が、ペダルまたは滑り止めアセンブリの他方に結合するために、係合位置に付勢されるように構成されている第1のリテーナおよび第2のリテーナを備える。ペダルまたは滑り止めアセンブリの他方は、第1のリテーナおよび第2のリテーナによって係合位置に解放可能に固定されるように構成されている第1の部分および第2の部分を備える。第2の部分は、第1の付勢面および第2の付勢面を有する。第1の付勢面の一方が第1の付勢面の他方および第2のリテーナの外面上に第1の力を加える、または接触すると、第1のリテーナおよび第2のリテーナのいずれか一方または両方が、第1の部分および第2の部分を第1のリテーナおよび第2のリテーナによって固定されることを可能にする降伏位置に付勢される。第2の付勢面の一方が第2の付勢面の他方および第2のリテーナの側面上に第2の力を加える、または接触すると、第1のリテーナおよび第2のリテーナのいずれか一方または両方が、固定された第2の部分を第2のリテーナから解放されることを可能にする降伏位置に付勢されるように構成されている。第2の付勢面および第2のリテーナの側面の少なくとも1つが、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0009】
第1の態様によれば、材料は、カーバイドを含み、好適には、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0010】
第2の態様によれば、第2の付勢面および第2のリテーナの側面の一方が、カーバイドを含む材料から作製され、第2の付勢面および側面の他方が、金属を含む材料から作製される。好適には、金属は焼入れ鋼である。
【0011】
第3の態様によれば、第2の付勢面および第2のリテーナの側面の両方が、カーバイドから作製される。
【0012】
第4の態様によれば、側面は、アール形状、傾斜状、または曲線状であり、第2の付勢面は、側面を補完する面を有する。
【0013】
第5の態様によれば、第1のリテーナおよび第2のリテーナは、ペダルアセンブリ上に設けられ、第1の部分および第2の部分は、滑り止めアセンブリ上に設けられる。
【0014】
第6の態様によれば、第1のリテーナおよび第2のリテーナは、係合位置に付勢される。
【0015】
第2の好適な実施形態では、別のタイプのペダルおよび滑り止めアセンブリが説明される。ペダルまたは滑り止めアセンブリの一方が、ペダルまたは滑り止めアセンブリの他方上に配置される係合部分を解放可能に固定する係合位置に付勢されるように構成されているリテーナ部分を備える。係合部分は、第1の付勢面および第2の付勢面を備える。第1の付勢面の一方が第1の付勢面の他方およびリテーナ部分の外面上に第1の力を加える、または接触すると、係合部分が、リテーナ部分によって固定されることを可能にする降伏位置に付勢されるように、リテーナ部分は構成されている。第2の付勢面の一方が第2の付勢面の他方およびリテーナ部分の外面上に第2の力を加える、または接触すると、係合部分が、リテーナ部分から解放されることを可能にする降伏位置に付勢されるように、リテーナ部分は構成されている。第2の付勢面およびリテーナ部分の側面の少なくとも1つが、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0016】
第1の態様によれば、材料は、カーバイドを含み、好適には、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0017】
第2の態様によれば、第2の付勢面およびリテーナ部分の側面の一方が、カーバイドを含む材料から作製され、第2の付勢面およびリテーナ部分の側面の他方が、金属を含む材料から作製される。好適には、金属は焼入れ鋼である。
【0018】
第3の態様によれば、第2の付勢面およびリテーナ部分の側面の両方が、カーバイドから作製される。
【0019】
第4の態様によれば、リテーナ部分が、係合部分に弾性的に付勢される。
【0020】
第3の好適な実施形態では、さらに別のタイプのペダルおよび滑り止めアセンブリが説明される。ペダルまたは滑り止めアセンブリの一方が、ペダルまたは滑り止めアセンブリの他方を着脱可能に結合するためのリテーナを備え、リテーナは第1の面を備える。ペダルまたは滑り止めアセンブリの他方が、リテーナに着脱可能に結合されるように構成されている係合部分を備え、係合部分は、第2の面を備える。ペダルおよび滑り止めアセンブリが互いに結合される場合、第1の面および第2の面は、互いに接触する。第1の面および第2の面の少なくとも1つが、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0021】
第1の態様によれば、材料は、カーバイドを含み、好適には、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0022】
第2の態様によれば、第1の面および第2の面の一方が、カーバイドを含む材料から作製され、第1の面および第2の面の他方が、金属を含む材料から作製される。好適には、金属は焼入れ鋼である。
【0023】
第3の態様によれば、第1の面および第2の面の両方が、カーバイドから作製される。
【0024】
第4の態様によれば、リテーナは、滑り止めアセンブリに可動的に結合されるばねであり、係合部分は、ペダルアセンブリの内部に配置されているカム挿入部を備え、ばねは弾性金属から作製され、カム挿入部はカーバイドから作製される。
【0025】
第4の好適な実施形態で、滑り止めアセンブリが説明される。滑り止めアセンブリが、少なくとも1つの結合領域と、少なくとも1つの結合領域内に維持される、または少なくとも1つの結合領域上に配置されるように構成される少なくとも1つの要素とを備える。少なくとも1つの結合領域が、滑り止め本体の前方端または後方端に配置されて、その結果、少なくとも1つの要素が、自転車ペダルの部分に対してカム面として機能することができる。少なくとも1つの要素は、少なくとも1つの結合領域内部に維持される、または少なくとも1つの結合領域上に配置される時、回転または関節接合して、滑り止めアセンブリを自転車ペダルから解放することを促進するように構成されている。
【0026】
第1の態様によれば、少なくとも1つの結合領域は、その上に形成される少なくとも1つの凹所であり、少なくとも1つの要素は、少なくとも1つの凹所の中に受容されるように成形されている。
【0027】
第2の態様によれば、少なくとも1つの凹所は、少なくとも2つの凹所を備え、少なくとも1つの要素は、少なくとも2つの要素を備える。
【0028】
第3の態様によれば、少なくとも1つの要素は、略円筒形状を有する。
【0029】
第4の態様によれば、略円筒形状は、丸みを帯びた頂部縁を有する。
【0030】
第5の態様によれば、滑り止めアセンブリが自転車ペダルから解放される時、少なくとも1つの要素の回転または関節接合が、滑り止めアセンブリと自転車ペダルとの間の摩擦を低減する。
【0031】
第6の態様によれば、滑り止めアセンブリが自転車ペダルから解放される時、少なくとも1つの要素の回転または関節接合が、滑り止め本体を自転車ペダルに対して枢動させることを促進する。
【0032】
第7の態様によれば、少なくとも1つの要素は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0033】
第8の態様によれば、材料は、カーバイドを含む。
【0034】
第9の態様によれば、カーバイドは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0035】
第5の好適な実施形態では、さらに別のタイプのペダルおよび滑り止めアセンブリが説明される。ペダルアセンブリは、第1の端部および第2の端部を含むペダル本体と、ペダル本体の第1の端部近傍に取り付けられている第1のリテーナと、ペダル本体の第2の端部近傍に取り付けられている第2のリテーナとを備える。滑り止めアセンブリは、ペダルアセンブリに解放可能に結合されるように構成されている。滑り止めアセンブリは、少なくとも1つの結合領域と、少なくとも1つの結合領域内に維持される、または少なくとも1つの結合領域上に配置されるように成形された少なくとも1つの要素とを備える。少なくとも1つの結合領域は、滑り止め本体の前方端または後方端に配置されて、その結果、少なくとも1つの要素が、第1のリテーナまたは第2のリテーナに対してカム面として機能することができる。少なくとも1つの要素は、少なくとも1つの凹所内部に維持される、または少なくとも1つの凹所上に配置される場合、回転または関節接合して、滑り止めアセンブリをペダルアセンブリから解放することを促進するように構成されている。
【0036】
第1の態様によれば、少なくとも1つの結合領域は、滑り止め本体の中に形成される少なくとも1つの凹所である。
【0037】
第2の態様によれば、少なくとも1つの凹所は、少なくとも2つの凹所を備え、少なくとも1つの要素は、少なくとも2つの要素を備える。
【0038】
第3の態様によれば、少なくとも1つの要素は、略円筒形状を含む。略円筒形状は、丸みを帯びた頂部縁を含む。滑り止めアセンブリがペダルアセンブリから解放される時、少なくとも1つの要素の関節接合または回転が、滑り止めアセンブリとペダルアセンブリとの間の摩擦を低減する。このことは、滑り止めアセンブリがペダルアセンブリから解放される時、滑り止め本体をペダル本体に対して枢動させることを促進する。
【0039】
第4の態様によれば、少なくとも1つの要素は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0040】
第5の態様によれば、材料は、カーバイドを含む。カーバイドは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0041】
第6の好適な実施形態によれば、自転車ペダルに靴を結合係合するために靴の裏面に取り付けるように構成されている滑り止めアセンブリが提供される。滑り止めアセンブリは、ペダル面に対向するように構成されている1つまたは複数のペダル接触領域を画定する滑り止めを備える。1つまたは複数のペダル接触領域は、それぞれ焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される少なくとも滑り止め部分を備える。
【0042】
第1の態様によれば、1つまたは複数のペダル接触領域は、略平面である。
【0043】
第2の態様によれば、1つまたは複数のペダル接触領域は、それぞれ成形された凹所を備え、滑り止め部分が、成形された凹所内に、およびペダル接触領域と略同一平面に配置可能である要素である。
【0044】
第3の態様によれば、ペダル接触領域は、スピンドルの軸線に沿ってペダル面に接触するように滑り止め上に配置される。
【0045】
第4の態様によれば、ペダル接触領域は、滑り止めアセンブリの対向する側面上に配置されて、スピンドルの軸線に沿って内側位置および外側位置の両方で自転車ペダル上の面に接触する。
【0046】
第5の態様によれば、ペダル接触領域が、滑り止めアセンブリの前方縁および後方縁の一方または両方の近傍に配置されている。
【0047】
第6の態様によれば、材料は、カーバイドを含む。
【0048】
第7の態様によれば、カーバイドは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0049】
第7の好適な実施形態では、ペダルアセンブリを靴に結合係合するために、靴の裏面上に配置される滑り止めアセンブリを取り付けるように構成されているペダルアセンブリが提供される。ペダルアセンブリは、1つまたは複数の略平坦な表面を有するペダル本体を備える。平面の表面は、滑り止めに対向するように構成されている滑り止め接触領域を備える。滑り止め接触領域は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される少なくともペダル部分を備える。
【0050】
第1の態様によれば、1つまたは複数の滑り止め接触領域は、成形された凹所を備え、ペダル部分が、成形された凹所内に、および滑り止め接触領域と略同一平面に配置可能である要素である。
【0051】
第2の態様によれば、滑り止め接触領域は、ペダルアセンブリのスピンドルの軸線に沿って配置される。
【0052】
第3の態様によれば、滑り止め接触領域は、スピンドルの軸線に沿って内側位置および外側位置上に配置される。
【0053】
第4の態様によれば、材料は、カーバイドを含む。
【0054】
第5の態様によれば、カーバイドは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0055】
第8の好適な実施形態では、ペダルおよび滑り止めアセンブリが説明される。ペダルおよび滑り止めアセンブリは、滑り止め接触領域を有するペダル本体、およびペダル本体に結合係合するように構成されている滑り止め本体を備える。滑り止め本体は、滑り止め接触領域に対向するペダル接触領域を有する。滑り止め本体がペダル本体に結合係合することによって、滑り止め接触領域およびペダル接触領域の各部分が、直接物理的に接触する。滑り止め接触領域またはペダル接触領域の各部分のいずれか一方または両方は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0056】
第1の態様によれば、滑り止めアセンブリの部分は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0057】
第2の態様によれば、ペダルアセンブリの部分は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0058】
第3の態様によれば、ペダルおよび滑り止めアセンブリの部分の両方は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0059】
第4の態様によれば、部分は、ペダルアセンブリのスピンドルの軸線に沿って配置される。
【0060】
第5の態様によれば、材料は、カーバイドを含む。
【0061】
第6の態様によれば、カーバイドは、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される。
【0062】
説明される好適な実施形態の他の目的、特徴および利点が、以下の詳細な説明から当業者にとって明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好適な実施形態を示しているが、説明のために与えられるものであり、限定するものではない。本発明の範囲内の多くの変形形態および修正形態が、本発明の趣旨から逸脱せずに作製可能であり、本発明は、そのような修正形態をすべて包含するものである。
【0063】
本発明の好適な、限定されない実施形態が、添付の図面を参照することによって、より容易に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】ペダルおよび滑り止めアセンブリの別の実施形態の分解斜視図である。
図2図1の滑り止めアセンブリの斜視図である。
図3】固定係合して一体に結合されている図1のペダルおよび滑り止めアセンブリの斜視図である。
図4A】結合されたペダルおよび滑り止めアセンブリを示す図である。
図4B】ペダルアセンブリから滑り止めアセンブリの解放を示す図である。
図5A】滑り止めアセンブリのさらに別の実施形態の上面斜視図である。
図5B】滑り止めアセンブリのさらに別の実施形態の上面斜視図である。
図6A図5Aおよび図5Bの滑り止めアセンブリの上面図である。
図6B図5Aおよび図5Bの滑り止めアセンブリの底面図である。
図7】ペダルおよび滑り止めアセンブリの別の実施形態の分解斜視図である。
図8A図7の組み立てられたペダルおよび滑り止めアセンブリの2つの側の斜視図である。
図8B図7の組み立てられたペダルおよび滑り止めアセンブリの2つの側の斜視図である。
図8C図8Bの組み立てられたペダルおよび滑り止めアセンブリの上面図である。
図9A図7の滑り止めアセンブリの2つの側の分解斜視図である。
図9B図7の滑り止めアセンブリの2つの側の分解斜視図である。
図10図7のペダルアセンブリの分解斜視図である。
図11】滑り止めアセンブリのばねとペダルアセンブリの中に配置されたカム部材との係合を示す平面図である。
図12A】2つの成形された要素が滑り止め本体上に形成されている対応して成形された凹所の中に受容されていることを示す、滑り止めアセンブリのさらなる実施形態の上面斜視図である。
図12B】滑り止め本体上に形成されている成形された凹所を示すために、2つの成形された要素が省かれている、図12Aの滑り止めアセンブリの上面斜視図である。
図12C図12Aの滑り止めアセンブリの底面図である。
図12D図12Aの滑り止めアセンブリの左側立面図である。
図12E図12Aの滑り止めアセンブリの上面図である。
図13A】リング状の滑り止め本体の実施形態の上面斜視図である。
図13B図13Aの滑り止め本体の底面斜視図である。
図13C図13Aの滑り止め本体の上面図である。
図13D図13Aの線13D−13Dに沿って取られた、図13Aの滑り止め本体の断面図である。
図13E図13Aの滑り止め本体の別の上面斜視図である。
図13F図13Eの線13F−13Fに沿って取られた、図13Aの滑り止め本体の断面図である。
図13G図13Aの滑り止め本体の底面図である。
図14A】滑り止めアセンブリ用の円筒形要素の実施形態の斜視図である。
図14B図14Aの円筒形要素の側面図である。
図14C図14Aの円筒形要素の上面図であり、底面図が上面図と同じである。
図15A】ペダルアセンブリおよび滑り止め接触要素の実施形態の分解斜視図である。
図15B】滑り止め接触要素が上に固定されている、図15Aのペダルアセンブリの斜視図である。
図15C】滑り止めアセンブリおよびペダル接触要素の実施形態の分解斜視図であり、滑り止めアセンブリは図15A−15Bのペダルアセンブリに対応する。
図15D】ペダル接触要素が上に固定されている、図15Aの滑り止めアセンブリの斜視図である。
図16A】ペダルアセンブリおよび滑り止め接触要素の実施形態の分解斜視図である。
図16B】滑り止め接触要素が上に固定されている、図16Aのペダルアセンブリの斜視図である。
図16C】滑り止めアセンブリおよびペダル接触要素の実施形態の分解斜視図であり、滑り止めアセンブリは図16A−16Bのペダルアセンブリに対応する。
図16D】ペダル接触要素が上に固定されている、図16Aの滑り止めアセンブリの斜視図である。
【0065】
図面の中の複数の図を通して、同じ符号は同じ部品を指す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
次いで、特定の、限定しない本発明の実施形態が、図面を参照して説明される。そのような実施形態は、例示目的のみであり、本発明の範囲内の少数の実施形態を説明するに過ぎないことを理解すべきである。本発明に関係する当業者にとって明らかである様々な変形形態および修正形態は、添付の特許請求の範囲の中で更に定義される本発明の趣旨、範囲および考察の範囲内にあるとみなされる。
【0067】
次いで例示的な図面を参照して、自転車ペダルおよび滑り止めアセンブリの様々な実施形態が、説明され、示される。本明細書に説明する滑り止めアセンブリは、乗り手の靴(図示せず)の底の裏面に固定されるように設計され、両面または多面ペダルアセンブリに取り付け可能であるように構成されている。ペダルアセンブリが対向する側のどちら側からもアクセス可能であるので(例えば、両面または多面)、滑り止めアセンブリは、ペダルアセンブリの2つの面のどちらか一方に解放可能に固定されることができ、それによって、滑り止めアセンブリをそれに取り付ける前に、ペダルを「正しい位置に戻す」必要性をなくす。本明細書に考察される様々な実施形態において、右側または左側のペダルアセンブリおよび滑り止めアセンブリが説明され、図面に図示されているが、ペダルアセンブリは互いの単なる鏡像に過ぎないことを理解されたい。好適な実施形態は、両面ペダルアセンブリを包含するが、本明細書に説明し、図示するペダルアセンブリは、滑り止めアセンブリに解放可能に固定するように構成されている単一面だけ、または多面(例えば、4面)を含むペダルアセンブリにおいても具現化され得ることを理解されたい。
【0068】
図1図4は、ペダルおよび滑り止めアセンブリの実施形態を図示する。滑り止めアセンブリ200の基本的構成要素およびアセンブリは、「Pedal−Cleat Assembly(ペダルおよび滑り止めアセンブリ)」として、2010年11月1日に出願された、同時係属の米国特許第12/917,322号に記載される滑り止めに類似しており、本明細書に完全に記載されるように、その全体的内容を参照として本明細書に組み込むものとする。滑り止めアセンブリ200は、概して、前方滑り止め突出部212aおよび後方滑り止め突出部212bを画定する略リング状の滑り止め本体210を備える。前方滑り止め突出部212aおよび後方滑り止め突出部212bは、ペダルアセンブリ250の前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bによってそれぞれ係合され、保持されるように寸法形成され、構成されている。図1図4に示す実施形態では、前方滑り止めリテーナ280aが、前方突出部212aおよび、より詳細には前方の成形された挿入部220aに対応するように輪郭成形され得る。ねじ230が、滑り止めアセンブリ200の様々な構成要素である、滑り止め本体210、スペーサ240、円盤状本体(図示せず)および基部プレート232などを一体に結合するように機能し、ねじ230が、これらの滑り止めアセンブリ200の構成要素を乗り手の靴底の裏面(図示せず)に固定して直接取り付けるようにする。
【0069】
ペダルアセンブリ250から滑り止めアセンブリ200を脱係合せずに、主滑り止め本体210、ならびにその前方突出部212aおよび後方突出部212bが、靴底に対して略垂直である滑り止め回転軸を中心として乗り手の靴に対して選択され、限定された量だけ回転することを可能にする追加の構造を滑り止めアセンブリ200は含む。これはフロート角を提供し、フロート角の正確な機構は、「Pedal−Cleat Assembly(ペダルおよび滑り止めアセンブリ)として2012年4月3日に米国特許第2012−0103131号として公開された、米国特許第12/917,322号に記載されており、その全体的内容が、全体として参照によって本明細書に組み込まれる。
【0070】
ペダルアセンブリ250が、細長いスピンドル270を備えるように図示されている。細長いスピンドル270の一方の端部が、自転車のクランク(図示せず)に結合し、自転車のクランクから横方向に突出するように構成されている。細長いスピンドル270の他方の端部は、同一の上方滑り止め支持基部および下方滑り止め支持基部を有するペダル本体260に結合される。上方滑り止め支持基部が、図1および図3に図示され、前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bを備えて、前方滑り止め突出部212a、および後方滑り止め突出部212bを受容し、保持するための取付け台を形成するように図示されている。
【0071】
前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bのいずれか一方または両方は、ペダル本体に枢動自在に取り付けてもよい。図1および図3に示す実施形態では、後方滑り止めリテーナ280bが、滑り止め本体に対して固定され、前方滑り止めリテーナ280aが、後方滑り止めリテーナ280bに枢動自在に取り付けられ、後方滑り止めリテーナ280bに向かってばねで付勢される。前方滑り止めリテーナ280aに加えられるばね付勢量を制御して調節することが、調節ねじ290によって可能にされる。調節ねじ290を制御可能に回転することによって、効果的にばね張力を締め、または緩めて、ばね張力の制御された調節を提供する。
【0072】
図1および図3に示すものとは反対の配置が提供されてもよく、その配置では、前方滑り止めリテーナ280aが、滑り止め本体に対して固定され、後方滑り止めリテーナ280bが、前方滑り止めリテーナ280aに枢動自在に取り付けられ、前方滑り止めリテーナ280aに向かってばねで付勢されることを理解されたい。別法として、前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bの両方が、ばねに枢動自在に取り付けられ、互いに向かってばねで付勢されてもよい。
【0073】
図1図4に示す実施形態に戻って参照すると、好適な実施形態では、前方滑り止めリテーナ280aおよび前方突出部212a(および/または前方の成形された挿入部220a)の一方が、焼入れ鋼から形成され、前方滑り止めリテーナ280aおよび前方突出部212a(および/または前方の成形された挿入部220a)の他方が、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。別法として、または追加的に、後方滑り止め突出部212b(および/または後方の成形された挿入部220b)および後方滑り止めリテーナ280bの一方が、焼入れ鋼から形成され、後方滑り止め突出部212b(および/または後方成形された挿入部220b)および後方滑り止めリテーナ280bの他方が、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から形成される。
【0074】
焼入れ鋼に対する材料の相対的硬度を決定するために、モース硬度、ビッカース硬度、ブリネル硬度など、複数の硬度尺度の任意の1つを使用することができる。測定の方法に関わらず、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有することを特徴とする任意の材料が、接触面の組のいずれか1つまたは両方で使用するために適切な材料になり得る。例えば、焼入れ鋼は、一般的に約7.0のモース硬度を有することを特徴とする。したがって、7.0よりも大きいモース硬度を有する任意の材料が、接触面の組のいずれかまたは両方で使用するために適切である。
【0075】
非金属、例えばセラミック、より好適にはカーバイドは、そのような適切な材料の1つの種類を代表する。カーバイドは、一般に、9以上のモース硬度を有することを特徴とし、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンを含む。カーバイドは、極めて硬く、非脆性、耐食性および摩擦の存在下で他の面に耐付着性であることを特徴とするので、好適である。
【0076】
したがって、好適な実施形態では、材料が7.0よりも大きいモース硬度を有し、非金属またはカーバイド、好適には炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択されるカーバイドから作製される。
【0077】
本明細書の一般的原則は、滑り止めおよびペダルアセンブリの係合または解放のいずれかに関係する2つの摩擦接触面の少なくとも1つ(両方というわけではない)が、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度(例えば、7.0より大きいモース硬度)を有する材料から作製され、好適には非金属またはカーバイド、好適には炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される材料から作製されることである。
【0078】
滑り止めおよびペダルアセンブリの係合に関係する2つの摩擦接触面は、(1)前方滑り止め突出部212a(底面または第1の付勢面)と、前方滑り止めリテーナ280aの対向する外面との対、および(2)後方滑り止め突出部212b(底面214または第1の付勢面)と、後方滑り止めリテーナ280bの対向する外面との対のいずれか、または両方を備える。
【0079】
滑り止めおよびペダルアセンブリの解放に関係する摩擦接触面は、(1)前方滑り止め突出部212aの側面および/またはその成形された挿入部220a(第2の付勢面)と、前方滑り止めリテーナ280aの側面との対、および(2)後方滑り止め突出部212bの側面および/またはその成形された挿入部220b(第2の付勢面)と、後方滑り止めリテーナ280bの側面282との対のいずれか、または両方を備える。
【0080】
この一般的原則の1つの適用は、両方の接触面が同じ金属材料を含むことを回避して、その結果、2つの金属間の固着、冷間圧接または付着面の生成という問題を回避することである。加えて、接触面は、摩耗および断裂に耐える十分な強度および耐性を有する必要がある。
【0081】
滑り止めアセンブリ200の後方滑り止め突出部212bが、傾斜した第1の付勢面214を備えるように図示され、第1の付勢面214が後方リテーナ280bの外面に接触して下方へ力を加える、または接触する(軸線Aに垂直な方向に)時、第1の付勢面214が後方突出部212bの係合を促進するように成形されている。これは、第1の付勢面214による後方リテーナ280bの外面上への第1の力または接触に相当して、前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bのいずれか一方または両方を降伏位置に付勢して、前方突出部212aおよび後方突出部212bが、前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bによって固定されることを可能にする。
【0082】
図1図4に図示するペダルアセンブリ250において、前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bを降伏位置に設けるために、前方滑り止めリテーナ280aだけが可動である。後方滑り止め突出部212bおよび後方滑り止めリテーナ280bの当接面の少なくとも1つは、適切に傾斜し、またはアール形成されて、(Aに垂直な方向における)下方への圧力が、保持部分の撓む付勢に対抗して前方に前方滑り止めリテーナ280aを押す。一旦後方滑り止め突出部212bが解除され、後方滑り止めリテーナ280bの下方の位置の中にぱちんと嵌ると、前方滑り止めリテーナ280aのばねが付勢し、係合状態に戻る。
【0083】
再び、第1の付勢面214および/または後方滑り止めリテーナ280bの外面の両方ではないが、少なくとも一方は、焼入れ鋼よりも硬い材料から作製され、より好適には、カーバイド材料から作製される。
【0084】
図2に更に示すように、後方突出部212bは、傾斜した第1の付勢面214の対向する側上に形成され、後方突出部212bの縁部および滑り止めアセンブリ200が結合される乗り手の靴(図示せず)の底の裏側によって形成される空洞内部に含まれる、対応して成形された凹所224bに結合する1対の成形された挿入部220bを備える。成形された挿入部220bは、ペダルアセンブリ250を駆動するためのカム面として機能し、より詳細には、前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bを係合位置から降伏位置に駆動するためのカム面として機能する。成形された挿入部220bは、好適には、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製され、より好適にはカーバイド材料から作製される。これは、後方リテーナ280bの部分が、カーバイドまたは他の適切な材料から作製されることを許容する。
【0085】
図4Aおよび図4Bは、結合された滑り止めおよびペダルアセンブリ(図4A)から後方突出部212b(図4B)を解放する順番を図示する。図4Aで理解され得るように、滑り止めアセンブリ200が時計回りまたは反時計回りの方向Bに沿って回転すると、前方の成形された挿入部220aおよび後方の成形された挿入部220bがカム面として機能して、前方リテーナおよび後方リテーナのいずれか一方または両方を互いから離れるように強制的に付勢することによって、固定または係合された滑り止めアセンブリをペダルアセンブリから脱係合することを可能にする。前方リテーナ280aおよび後方リテーナ280bのいずれか一方または両方が、後方の成形された挿入部220bによって代表される第2の付勢面および後方リテーナ280bの側面の一方が他方の上に、方向Bに第2の力を加える、または接触すると、固定されている前方突出部212aおよび後方突出部212bを解放することができる降伏位置に付勢されるように構成されている。
【0086】
後方リテーナ280bは、成形された挿入部220bの接触する縁に対応する成形された縁部282bを有する。成形された挿入部220bは、方向Bのいずれか一方に加えられる枢動力または動きによって、滑り止めアセンブリの前方滑り止め突出部220aおよび後方滑り止め突出部220b上のカム面が、それぞれ前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bを強制的に降伏位置に付勢し、Aで示される方向に互いから離れ、反対方向のばねの撓み付勢に対抗する。結局は、2つの滑り止めリテーナ280aおよび280bが、2つの突出部212aおよび212bのそれらの保持を解放するために十分離隔配置されることになる。これによって、滑り止めアセンブリ200をペダルアセンブリ250から解放する。
【0087】
この解放工程の中で、滑り止めアセンブリ200のペダルアセンブリ250に対する回転運動Bを収容するために、前方の成形された挿入部220aは曲線、または半円であり得る。好適な実施形態では、前方の成形された挿入部220aおよび前方滑り止めリテーナ282aの少なくとも接触面の1つまたは両方は、カーバイドから作製される。好適な実施形態では、成形された挿入部220aおよび220bの接触面と、それぞれ前方リテーナ282aおよび後方リテーナ282bの接触面との間に非常に精密な公差が設けられる。図1図4に図示する実施形態では、前方の成形された挿入部220aは、前方滑り止めリテーナ280aの対応する面282aに接触するアール形成された面を有する。後方の成形された挿入部220bは、後方滑り止めリテーナ280bの対応する傾斜面282bに接触する傾斜面を有する。
【0088】
図5および図6は、滑り止めアセンブリ300のさらに別の実施形態を図示する。図3図6に関して図示し、説明する滑り止めアセンブリ200についてと同様に、図5および図6の滑り止めアセンブリ300は、滑り止め本体310、スペーサ340、円盤状の本体(図示せず)、および1対のねじ330によって靴底(図示せず)の裏面に一体に固定されている基部プレート332を備える。後方突出部312bもまた、傾斜した第1の付勢面314を備える。滑り止めアセンブリ300は、図1図4に図示するペダルアセンブリ250と結合する滑り止めアセンブリ200と同様の様式で使用され得る。したがって、滑り止めアセンブリ300は、図1図4に図示するペダルアセンブリ250に関して滑り止めアセンブリ200と互いに交換可能であり得る。
【0089】
しかし、図5および図6に図示する滑り止めアセンブリ300は、前方突出部312aおよび後方突出部312bの構成に関して滑り止めアセンブリ200とは異なる。第1に、前方突出部312aは、成型された挿入部を備えず、第2に、後方突出部312bは、後方突出部312bによって画定される空洞322bの3つの側面を覆う単一の成形された挿入部320を備える。成形された挿入部320および後方突出部312bの当接面が、空洞322a内部の対応する形状の部分内に成形された挿入部320を確実に固定するように成形されている(図5Bの323、325参照)。滑り止めアセンブリ300に係合し、結合する後方リテーナ280は、後方突出部312b内に嵌合されている成形された挿入部320によって画定される空洞322bの中に嵌合するように成形されていることを理解されたい。好適な実施形態では、後方リテーナ280bは、挿入部320の当接面321と精密な公差を形成するように成形される。
【0090】
したがって、図1図4に図示する実施形態では、ペダルアセンブリ250は、前方リテーナ280aおよび後方リテーナ280bを備えると説明され、滑り止めアセンブリ200は、前方突出部212aおよび後方突出部212bを備えると説明される。しかし、ペダルアセンブリ250が、前方突出部212aおよび後方突出部212bを備え、滑り止めアセンブリ200が、前方リテーナ280aおよび後方リテーナ280bを備えるように各機構が交換される可能性があることを理解されたい。
【0091】
図5および図6に示す実施形態では、滑り止めアセンブリの第1の付勢面314およびペダルアセンブリの後方滑り止めリテーナ280bが、互いに強制的に接触して、滑り止めアセンブリおよびペダルアセンブリの係合を実行する。係合された滑り止めアセンブリ200は、滑り止めアセンブリ200をペダルアセンブリ250に対して方向Bに回転させることによってペダルアセンブリ250から解放されることが可能であって、滑り止めアセンブリおよびペダルアセンブリの解放を実行するためにBに沿って回転運動すると、滑り止めアセンブリの成形された挿入部320の側面321と後方滑り止めリテーナ280bの縁部面282bとの間に強制的接触面が形成される。
【0092】
滑り止めアセンブリのペダルアセンブリに対する係合および解放の機構が重大な破損を起こさずに円滑に発生することを保証するために、第1の接触面が第1の付勢面314および外面280bを備え、第2の接触面が滑り止めアセンブリの成形された挿入部320および後方滑り止めリテーナ280bの縁部面282bを備える、2組の接触面の少なくとも1組が、好適には、繰り返し加わる力に耐える十分な強度、および接触面の円滑な相対的摺動を可能にするために十分低い摩擦係数を有する材料から作製される。重大なことに、材料は、例えば湿っている、または汚れている場合などの様々な条件下で、これらの特性を保持しなければならない。
【0093】
好適な実施形態では、滑り止め接触面のいずれか一方または両方が、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。焼入れ鋼に対する材料の相対的硬度を決定するために、モース硬度、ビッカース硬度、ブリネル硬度など、複数の硬度尺度の任意の1つを使用することができる。測定方法に関わらず、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有することを特徴とする任意の材料が、接触面の組のいずれか一方または両方で使用するために適切な材料であり得る。例えば、焼入れ鋼は、一般に約7.0のモース硬度を有することを特徴とする。したがって、7.0よりも大きいモース硬度を有する任意の材料が、接触面の組のいずれかまたは両方で使用するために適切である。
【0094】
非金属、例えばセラミック、より好適にはカーバイドが、そのような適切な材料の1つの種類を代表する。カーバイドは、一般に9以上のモース硬度を有することを特徴とし、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンを含む。カーバイドは、極めて硬く、非脆性、耐食性および摩擦の存在下で他の面に耐付着性であることを特徴とするので、好適である。
【0095】
次いで、図5および図6に図示する特定の実施形態を参照すると、成形された挿入部320は、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から、好適にはカーバイド材料から作製されることが好ましく、後方突出部312bの残りの部分は、金属、好適には焼入れ鋼から作製される。
【0096】
概して、成形された挿入部320および/または第2の滑り止めリテーナ280bのどちらか一方または両方は、焼入れ鋼よりも大きい硬度を有する材料から作製される。2つの接触面の一方だけがカーバイドから作製される実施形態では、その一方が成形された挿入部320であることが好ましい。2つの接触面の他方は、適切な金属、またはプラスチック、好適には焼入れ鋼から作製され得る。
【0097】
図7図11は、滑り止めアセンブリ400およびペダルアセンブリ450の追加の実施形態を図示する。滑り止めアセンブリ400は、好適にはプラスチックなどの軽量の材料から作製され、3つの細長い開口を通って延在するねじ440によって靴底(図示せず)に固定されるように構成されている基部プレート410を含む。滑り止めアセンブリ400は、好適にはプラスチックから作製されるばね筐体420、および好適にはアルミニウムまたは鋼などの金属から作製される底部プレート430を更に含み、それらは、4つのねじ422によって基部プレート410に一体に固定されている。ばね筐体420および底部プレート430は、ペダルアセンブリ450の部分を受容するように寸法形成され、成形されている円形の中央開口(図9Aおよび図9B参照)を一体に画定する。ばねまたはリテーナ部分490は、滑り止めアセンブリ400がペダルアセンブリ450の上方に配置される場合、ペダルアセンブリ450に解放可能に係合するために、ばね筐体420と底部プレート430との間に取り付けられる。
【0098】
ペダルアセンブリ450は、全体的に円盤状であり、上方側(滑り止め400に係合される)および同一の下方側(滑り止め400に係合せず、’で表示されている)を画定する2等分面に沿って対称的である。この構成は、滑り止めがペダルのどちら側にも解放可能に取り付けられることを可能にする。ペダル450は、スピンドル470を経てペダルクランク(図示せず)に取り付けるために円盤状のペダル本体472を含む。平面のボウタイ状挿入部460が、ペダル本体の外側平面内に形成される同一形状の浅い凹所の中に配置され、ねじ462によってペダル本体472に固定される。挿入部460は、外面全体を横切って直径方向に延在し、挿入部の上面はペダル本体の外面と同一平面である。
【0099】
凹所の形態の係合縁部484a、484bは、平坦な挿入部460の対向する端部482a、482bの下でペダル本体472の中に画定される。係合縁部484a、484bは、滑り止めアセンブリ400の部分によって係合されるように構成され、寸法形成されて、ペダルアセンブリ450に解放可能に滑り止め400を固定する。カム挿入部480aおよび480bが、各対向する端部482a、482bの下に配置され、同様に成形された凹所481a、481bの内部に固定される。カム挿入部480aおよび480bは、上を覆う平坦な挿入部460を固定することによって、これらの類似形状の凹所の内部に閉じ込められ、滑り止めアセンブリ400のばね490と協働して、滑り止めアセンブリ400をペダルアセンブリ450から便利に解放することを促進する。
【0100】
図11は、滑り止めアセンブリ400がペダルアセンブリ450に結合される場合の、ばね490とカム挿入部480a、480bとの間の関係を図示する。蹄鉄状のばね490は、ここでは係合している位置で図示され、係合位置に対して、ばね490が弾性的に付勢されており、対向する端部482a、482bの下でペダルアセンブリ450に係合するように構成されている前方脚492a、後方脚492bを備える。特に、前方脚492aの内側突出部494aおよび後方脚492bの内側突出部494bは、それぞれカム挿入部480a、480bの対応する成形された凹所の中に受容される。ばね490が、ペダルアセンブリ450のカム挿入部480a、480bに係合した後、滑り止めアセンブリ400は、時計回り方向および反時計回り方向の両方に制限された程度までペダルに対して回転自在である。この制限された回転中に、ばね490は、ペダルアセンブリ450に係止された状態であり、滑り止めアセンブリ400の残りの部分は、ばね490に対して回転する。ばねの中間点から外側に突出するフィンガ498が、2つの調節可能なねじの組424a、424bの一方に到達する時、回転量が制限され得る。ねじを調節することによって、フロート角が増加または減少する。
【0101】
滑り止めアセンブリ400がペダルアセンブリ450に固定される前に、ばねの内側突出部494a、494bの裏面が、ペダルアセンブリ450のそれぞれ対向する端部482a、482bに接触する第1のばね付勢面を画定する。好適な実施形態では、第1のばね付勢面とペダルアセンブリの対向する端部482a、482bの接触面が、対向する端部482a、482bを横切るばね490の摺動運動を促進するように、かつ前方脚492a、および後方脚492bをばね降伏位置まで別々に付勢するように成形されている。そのために、接触面は、補完的アール形状の、または傾斜した面を有することができる。一旦前方脚492aおよび後方脚492bが対向する端部482a、482bをそれぞれ解除すると、ばね490は、係合位置にぱちんと嵌って、それによって滑り止めアセンブリ400をペダルアセンブリ450に固定する。
【0102】
ばねの内側突出部494a、494bは、側面に沿って画定される第2のばね付勢面496を更に備える。第2のばね付勢面496は、カム挿入部480a、480bによって画定される溝の内部に受容されるように構成され、成形されて、滑り止めアセンブリ400をペダルアセンブリ450に更に固定する。どちらの回転方向でも、滑り止めアセンブリ400のペダルアセンブリ450に対する回転によって、第2のばね付勢面496が、カム挿入部480a、480bに接触し、前方脚492aおよび後方脚492bを別々にばね降伏位置に付勢する。そのために、第2のばね付勢面496およびカム挿入部480a、480bの接触面が、内側突出部494a、494bがカム挿入部480a、480bによって画定される溝の外へ移動して、前方脚492aおよび後方脚492bを別々にばね降伏位置に付勢して、それによって、ばね490の解放、およびしたがって滑り止めアセンブリ400をペダルアセンブリ450から解放することが可能になる。
【0103】
好適な実施形態では、ばね490は、耐久性のある弾性材料から作製される。好適な実施形態では、ばね490は、焼入れ鋼から作製され、カム挿入部480a、480bは、焼入れ鋼よりも大きい硬度(例えば、7.0より大きいモース硬度)の尺度を有する材料、好適には前述のようにカーバイド材料から作製される。
【0104】
焼入れ鋼に対する材料の相対的硬度を決定するために、モース硬度、ビッカース硬度、ブリネル硬度など、複数の硬度尺度の任意の1つを使用することができる。測定方法に関わらず、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有することを特徴とする任意の材料は、接触面の組のいずれか一方または両方で使用するために適切な材料であり得る。例えば、焼入れ鋼は、一般的に約7.0のモース硬度を有することを特徴とする。したがって、7.0よりも大きいモース硬度を有する任意の材料が、接触面の組のいずれかまたは両方で使用するために適切である。
【0105】
非金属、例えばセラミック、より好適にはカーバイドが、そのような適切な材料の1つの種類を代表する。カーバイドは、一般に9以上のモース硬度を有することを特徴とし、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンを含む。カーバイドは、極めて硬く、非脆性、耐食性および摩擦の存在下で他の面に耐付着性であることを特徴とするので、好適である。
【0106】
図12A図12Eは、乗り手の左の靴に取り付けるための滑り止めアセンブリ500、および滑り止めアセンブリ500の鏡像である乗り手の右の靴に取り付けるための滑り止めアセンブリの実施形態を図示する。滑り止めアセンブリ500は、前方滑り止め突出部512aおよび後方滑り止め突出部512bを画定する略リング状の滑り止め本体510を備える。前方滑り止め突出部512aおよび後方滑り止め突出部512bは、ペダルアセンブリ250(図1)の前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bのそれぞれによって係合し、保持されるように寸法形成され、構成されている。前方滑り止めリテーナ280aが、前方突出部512aおよび、より詳細には、前方滑り止め突出部512a上の前方の成形された挿入部520aに対応するように輪郭成形され得る。ねじ530は、滑り止め本体510、スペーサ540、円盤状の本体542および基部プレート532などの滑り止めアセンブリ500の様々な構成要素を一体に結合する。ねじ530は、これらの滑り止めアセンブリ500の構成要素を乗り手の靴底(図示せず)の裏側に確実に直接取り付ける。
【0107】
好適な実施形態では、前方滑り止めリテーナ280aおよび前方滑り止め突出部512a(および/または前方の成形された挿入部520a)の一方が、焼入れ鋼から形成され、前方滑り止めリテーナ280aおよび前方滑り止め突出部512a(および/または前方の成形された挿入部520a)の他方が、焼入れ鋼の硬度よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。別法として、または追加的に、後方滑り止め突出部512b(および/または後方成形された挿入部520b、521b)および後方滑り止めリテーナ280bの一方が、焼入れ鋼から形成され、後方滑り止め突出部512b(および/または後方成形された挿入部520b、521b)および後方滑り止めリテーナ280bの他方が、焼入れ鋼の硬度よりも大きい硬度の尺度を有する材料から形成される。
【0108】
滑り止めアセンブリおよびペダルアセンブリの係合に関係する摩擦接触面は、(1)前方滑り止め突出部512a(底面または第1の付勢面)と、前方滑り止めリテーナ280aの対向する外面との対、および(2)後方滑り止め突出部512b(底面514または第1の付勢面)と、後方滑り止めリテーナ280bの対向する外面との対のいずれか、または両方を備える。
【0109】
滑り止めアセンブリおよびペダルアセンブリの解放に関係する摩擦接触面は、(1)前方滑り止め突出部512aの側面および/またはその成形された要素520a(第2の付勢面)と、前方滑り止めリテーナ280aの側面との対、および(2)後方滑り止め突出部512bの側面および/またはその成形された要素520b、521b(第2の付勢面)と、後方滑り止めリテーナ280bの側面282との対のいずれか、または両方を備える。
【0110】
滑り止めアセンブリ500の後方滑り止め突出部512bが、傾斜した第1の付勢面214を備え、第1の付勢面514が後方滑り止めリテーナ280bの外面に下方へ力を加える、または外面上に接触する時、後方滑り止め突出部512bの係合を促進するように成形されている。これは、第1の付勢面514による後方滑り止めリテーナ280bの外面上への第1の力または接触に相当して、前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bのいずれか一方または両方を降伏位置に付勢して、前方突出部512aおよび後方突出部512bが、前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bによって固定されることを可能にする。
【0111】
後方滑り止め突出部512bは、傾斜した第1の付勢面514の対向する側上に形成され、後方突出部512bの縁部および滑り止めアセンブリ500が結合される乗り手の靴(図示せず)の底の裏側によって形成される空洞内に含まれる、対応して成形された凹所524b、525bの中に受容される1対の成形された要素520b、521bを備える。成形された要素520b、521bは、ペダルアセンブリ250を駆動するためのカム面として機能し、より詳細には、前方滑り止めリテーナ280aおよび後方滑り止めリテーナ280bを係合位置から降伏位置に駆動するためのカム面として機能する。成形された要素520b、521bは、好適には、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製され、より好適にはカーバイド材料から作製される。これは、後方滑り止めリテーナ280bの部分が、カーバイドまたは他の適切な材料から作製されることを可能にする。
【0112】
図12Aは、滑り止めアセンブリ500の上面斜視図であり、対応して成形された凹所524b、525bに受容される2つの成形された要素520b、521bを示す。図12Bは、滑り止めアセンブリ500の上面斜視図であり、成形された凹所524b、525bを示すために2つの成形された要素520b、521bが省略されている。図12Aおよび図12Bに示すように、滑り止めアセンブリ500の内側解放側上(図12Aおよび図12Bの左側)の成形された要素520bおよび成形された凹所524bは、図2に示す成形された挿入部220bおよび成形された凹所224bに類似する略三角形状を有する。対照的に、滑り止めアセンブリ500の外側解放側上(図12Aおよび図12Bの右側)の成形された要素521bおよび成形された凹所525bは、略円形または円筒形状を有する。
【0113】
一実施形態では、成形された要素521bが、丸みを帯びた縁部を含む略円筒形状を有する。成形された凹所525bに受容される場合、円筒形要素521bは、軸線を中心として回転または関節接合して、滑り止めアセンブリ500を自転車のペダルから解放することを促進するように構成されている。回転および関節接合は、滑り止めアセンブリが自転車ペダルから解放される時、成形された要素と後方滑り止めリテーナ280bの側面282との間の摺動摩擦を低減する、またはなくす。摺動摩擦は回転抵抗に置き換えられ、それによって、滑り止めアセンブリ500をペダルから解放するために、乗り手が滑り止めアセンブリ500を自転車ペダルに対して枢動させることをより容易にする。
【0114】
一実施形態では、滑り止めアセンブリ500は、両方のタイプの成形された要素520bおよび521bを有する。他の実施形態では、滑り止めアセンブリ500は、2つの三角形の要素520bおよび2つの対応する成形された凹所524b(図1図4と同様)を有し、または2つの円筒形要素521bおよび2つの対応する成形された凹所525bを有する。
【0115】
一実施形態では、小さい真鍮のシムが、円筒形要素521bを取り囲んで、回転または関節接合中によりよい潤滑を提供する。
【0116】
図13A図13Gは、滑り止めアセンブリ500の右の靴の版で使用されるリング状滑り止め本体610の実施形態を図示する。成形された凹所624b、625bは、図12A図12Eの成形された凹所524b、525bに相当する。
【0117】
図14A図14Cは、滑り止めアセンブリ500用の円筒形要素521bの実施形態を図示する。円筒形要素は、中央部分592、頂部丸みを帯びた縁部594および底部丸みを帯びた縁596を備える。成形された凹所525b(図12B)に受容される場合、頂部丸みを帯びた縁594は、後方滑り止めリテーナ280bの側面282に係合する。
【0118】
図15A図15Dは、ペダルアセンブリおよび滑り止めアセンブリを図示し、その中でペダルアセンブリ450が、スピンドルの軸線A−Aに沿って配置されている滑り止め接触要素478を有するペダル本体472を備える。スピンドルの軸線A−Aに相当するペダル本体上の領域474は、滑り止め400がペダル本体470に結合される場合、滑り止め400によって加えられる最も大きい量の力を通常は経験する。この力は、ペダル本体472に下方ストロークが加えられる場合、通常最も大きい。したがって、滑り止め接触要素478Aおよび対応するペダル接触要素478Bが提供されて、接触するペダル面と滑り止め面によって経験される摩耗を低減する。好適な実施形態では、滑り止め接触要素478Aは、スピンドルの軸線A−Aに沿って、ペダル本体472の表面上に配置される凹所476の内部に結合され、ペダル接触要素478Bは、滑り止めアセンブリ400の基部プレート410の凹所412の内部に結合される。滑り止めアセンブリ400が、ペダルアセンブリ450に結合される場合、滑り止め接触要素478Aおよびペダル接触要素478Bは、直接接触し、ペダルアセンブリ450および滑り止めアセンブリ400の残りの面を摩耗から保護する。
【0119】
図16A図16Dは、ペダルアセンブリおよび滑り止めアセンブリの別の実施形態を図示し、その中で、ペダルアセンブリ650(図16C図16D)は、前方滑り止めリテーナ680aおよび後方滑り止めリテーナ680bを備えて、それぞれ前方滑り止め突出部620および後方滑り止め阻止部622(図16Aおよび図16B)に結合係合を提供する。滑り止めアセンブリ600は、滑り止めアセンブリ600の中に形成されている内側側方突出部632および外側側方突出部634を更に備えて、それぞれ内側支持パッド652および外側指示パッド654の頂上に着座する。支持パッド652、654は、スピンドルの軸線A−Aに沿って配置される。側方突出部632、634は、ペダル接触要素678Bを収容する凹所677を備える。同様に、内側支持パッド652、外側支持パッド654は、滑り止め接触要素678Aを収容するために同様に凹所を備える。したがって、滑り止めアセンブリ600がペダルアセンブリ650に結合係合する場合、滑り止め接触要素678Aは、ペダル接触要素678Bに直接対向し、物理的に接触する。
【0120】
特に好適な実施形態では、滑り止め接触要素およびペダル接触要素のいずれか一方または両方が、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有する材料から作製される。
【0121】
焼入れ鋼に対する材料の相対的硬度を決定するために、モース硬度、ビッカース硬度、ブリネル硬度など、複数の硬度尺度の任意の1つを使用することができる。測定方法に関わらず、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度を有することを特徴とする任意の材料は、接触面の組のいずれか一方または両方で使用するために適切な材料である可能性がある。例えば、焼入れ鋼は、一般に約7.0のモース硬度を有することを特徴とする。したがって、7.0よりも大きいモース硬度を有する任意の材料が、接触面の組のいずれかまたは両方で使用するために適切である。
【0122】
非金属、例えばセラミック、より好適にはカーバイドが、そのような適切な材料の1つの種類を代表する。カーバイドは、一般に9以上のモース硬度を有することを特徴とし、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンを含む。カーバイドは、極めて硬く、非脆性、耐食性および摩擦の存在下で他の面に耐付着性であることを特徴とするので、好適である。
【0123】
したがって、好適な実施形態では、材料が7.0よりも大きいモース硬度を有し、非金属またはカーバイド、好適には炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択されるカーバイドから作製される。
【0124】
本明細書の一般的原則は、ペダルアセンブリと滑り止めアセンブリとの間の接触点を代表する2つのペダル接触面および滑り止め接触面の少なくとも1つ(両方というわけではない)が、焼入れ鋼よりも大きい硬度の尺度(例えば、7.0より大きいモース硬度)を有する材料から作製され、好適には非金属またはカーバイド、好適には炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンおよび炭化チタンから成る群から選択される材料から作製されることである。
【0125】
本明細書に説明し、特許請求する本発明は、本明細書に開示する特定の好適な実施形態によって範囲を制限されず、これらの実施形態は、本発明の複数の態様の説明として意図される。実際に、本明細書に図示し、説明する修正形態に加えて、本発明の様々な修正形態が、前述の説明から当業者にとって明らかになるであろう。そのような修正形態も、添付の特許請求の範囲内にあると意図するものである。
【0126】
以下の特許公報が、その全体を参照によって本明細書に組み込まれ、それらは、2011年2月1日発行の米国特許第7,877,904号、2009年1月6日発行の米国特許第7,472,498号、2002年12月17日発行の米国特許第6,494,117号、2012年5月3日公開の米国特許第2012/0103131号である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16D