【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の反応器システムおよび請求項16の反応器システムを用いて達成される。
【0012】
本発明の反応器システムは、複数の反応器アセンブリ(reactor assemblies)を有する。それぞれの反応器アセンブリは、フロー・スルー反応器(flow-through reactor)を有し、該フロー・スルー反応器は、反応器入口および反応器出口を有する。
【0013】
それぞれの反応器アセンブリはさらに、反応器搬送ラインを有し、該反応器搬送ラインは、第一端部および第二端部を有する。第二端部は、同一の反応器アセンブリのフロー・スルー反応器の反応器入口に接続されている。反応器搬送ラインは、そのフロー・スルー反応器に流体を供給するように適合されている。
【0014】
それぞれの反応器アセンブリはさらに、反応器排液ライン(reactor effluent line)を有し、該反応器排液ラインは、第一端部を有する。反応器排液ラインの第一端部は、同一の反応器アセンブリのフロー・スルー反応器の反応器出口に接続している。反応器排液ラインは、そのフロー・スルー反応器から反応器排液を排出するように適合されている。
【0015】
本発明の反応器システムはさらに、流体源を有し、該流体源は、反応器システムのフロー・スルー反応器に加圧された流体を供給するように適合されている。流体源は、加圧された流体を、反応器システムにおける反応器の全てに同時にまたは連続して供給してもよく、反応器システムにおける反応器のいくつかのみに供給してもよい。加圧された流体は、例えば、反応流体(reactor fluid)、パージ流体(purge fluid)、希釈流体(dilution fluid)である。加圧された流体は、気体であっても、液体であっても、気体と液体の組み合わせであってもよい。
【0016】
必要に応じて、本発明の反応器システムは、複数の流体源を有していてもよい。必要に応じて、これらの複数の流体源は、別のグループの反応器アセンブリに流体を供給してもよい。必要に応じて、少なくとも一つの反応器アセンブリは、少なくとも二つの異なる流体を受け取ってもよい。
【0017】
本発明の一形態では、反応器システムはフロー・スプリッターを有し、該フロー・スプリッターは、前記加圧された流体を流体源から反応器アセンブリに移動させるように適合されており、前記加圧された流体がフロー・スルー反応器中の反応で使用され得るようになっている。フロー・スプリッターは、流体源の下流かつ反応器アセンブリの上流に配置される。
【0018】
フロー・スプリッターは、平坦なマイクロ流体チップを有し、該マイクロ流体チップは、一つのチップ入口チャネルおよび複数のチップ出口チャネルを有する。チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルはそれぞれ、長さを有する。チップ入口チャネルの長さおよびチップ出口チャネルの長さは、同じであっても互いに異なっていてもよい。
【0019】
マイクロ流体チップはさらに、複数の流量制限器チャネルを有する。それぞれの流量制限器チャネルは、前記チップ入口チャネルから関連したチップ出口チャネルまで延びる。流量制限器チャネルは、全般的には、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルの軸方向に対して斜めに−多くの場合、垂直に−延びる。
【0020】
チップ入口チャネルは、流体源に流体連通しており、流体源から加圧された流体を受け取るように適合されている。それぞれのチップ出口チャネルは、関連する反応器アセンブリの反応器搬送ラインの第一端部に流体連通しており、流体源から関連する反応器アセンブリに加圧された流体を供給するように適合されており、そのことにより、前記加圧された流体をフロー・スルー反応器中の反応に利用可能にする。
【0021】
全般的には、「関連する反応器アセンブリ」は、それぞれのチップ出口チャネルについて異なる反応器アセンブリである。全般的には、それぞれの流量制限器チャネルは、異なるチップ出口チャネルに流体連通しており、同様に、それぞれのチップ出口チャネルは、異なる反応器アセンブリに流体連通している。
【0022】
本発明によれば、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルはそれぞれ、直径を有し、該直径は、前記チャネルの長さと同じかそれより小さい。したがって、これらのチャネルのそれぞれ−チップ入口チャネルであってもチップ出口チャネルであっても−は、直径を有し、その直径はその同一のチャネルの長さと同じかそれより小さい。
【0023】
チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルの直径は、同じであっても異なっていてもよい。
【0024】
チップ入口チャネルの直径がチップ入口チャネルの長さと同じかそれより小さい(the same of smaller)ことは、かなり狭いチップ入口チャネルをもたらす。そのような狭いチップ入口チャネルが存在する場合、加圧された流体がマイクロ流体チップを通った時、特にチップ入口チャネルの領域において、マイクロ流体チップの亀裂および層分離が極めて起こりにくいことが観察された。このことは、マイクロ流体チップを高圧アプリケーションに使用することを可能にする。
【0025】
同様に、それぞれのチップ出口チャネルの直径が同一のチップ出口チャネルの長さと同じかそれより小さいことは、かなり狭いチップ出口チャネルをもたらす。そのような狭いチップ出口チャネルが存在する場合、加圧された流体がマイクロ流体チップを通った時、特にチップ出口チャネルの領域において、マイクロ流体チップの亀裂および層分離が極めて起こりにくいことが観察された。このこともまた、マイクロ流体チップを高圧アプリケーションに使用することを可能にする。
【0026】
考え得る態様では、マイクロ流体チップは、第一本体プレートおよび第二本体プレートを有し、これらは互いに接続されている。これらの本体プレートは、例えばガラス、シリコンまたは石英からなり、マイクロ流体チップの「層(layers;複数の層)」を形成する。第一本体プレートおよび前記第二本体プレートはそれぞれ、厚さを有する。これらの厚さは、同じであっても異なっていてもよい。必要に応じて、マイクロ流体チップは、二以上の本体プレート、例えば、第一、第二および第三本体プレート、を有していてもよい。
【0027】
この態様では、チップ入口チャネルは、第一本体プレートに存在し、前記第一本体プレートの厚さを通して延びる。チップ出口チャネルは、第一本体プレートおよび/または第二本体プレートおよび/またはさらなる本体プレートに存在し、前記第一本体プレートおよび/または前記第二本体プレートおよび/またはさらなる本体プレートの厚さを通して延びる。したがって、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルは、第一もしくは第二本体プレートまたはさらなる本体プレートを通る貫通孔により形成される。
【0028】
全般的には、チップ入口チャネルとチップ出口チャネルの一つとの間を延びる流量制限器チャネルは、第一および/もしくは第二本体プレートならびに/またはさらなる本体プレートのいずれかの平坦な表面内に形成される。流量制限器チャネルは、それをもって、多くの場合、マイクロ流体チップの同一の本体プレート中に存在するチップ入口チャネルおよび/またはチップ出口チャネルに対して垂直に延びる。
【0029】
本体プレートは、例えば、1.0 mm、0.7 mmまたは0.5 mmの厚さを有する。本体プレートが1.0 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.3 mmと1.0 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.5 mmと0.75 mmとの間の直径を有していてもよい。本体プレートが0.7 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.2 mmと0.7 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.3 mmと0.4 mmとの間の直径を有していてもよい。本体プレートが0.5 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.1 mmと0.5 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.2 mmと0.3 mmとの間の直径を有していてもよい。
【0030】
考え得る態様では、チップ入口チャネルおよび/またはチップ出口チャネルは、サンド・ブラスト(sand blasting)により形成される。
【0031】
チップ入口チャネルおよび/またはチップ出口チャネルの作成にサンド・ブラストが用いられるとき、これらのチャネルは、全般的には、その長さとともに変化する直径を有するであろう。具体的には、それらは円錐形状を有するであろう。この場合、本発明に関連して言及される「直径」は、平均直径であると理解されるべきである。考え得る態様では、変化する直径を有するチップ入口チャネルまたはチップ出口チャネルの最大直径は、その同一のチャネルの長さと同じかそれより小さい。
【0032】
考え得る態様では、複数のフロー・スプリッターが、一つのマイクロ流体チップ上に存在する。そのような態様では、例えば、一つのフロー・スプリッターが反応器アセンブリに気体を供給するために用いられ得、他のフロー・スプリッターが反応器アセンブリに液体を供給するために用いられ得る。一つのフロー・スプリッターが必要に応じて第一流体源に接続されていてもよく、他のフロー・スプリッターが第二流体源に接続されていてもよい。マイクロ流体チップ上の制限器チャネルの配置は、必要に応じて、第一流体源からの流体フローが第一フロー・スプリッターにより分流され、第二流体源からの流体フローが第二フロー・スプリッターにより分流された後、第二フロー・スプリッターから来る流体が第一フロー・スプリッターから来る流体に、例えば第一フロー・スプリッターの制限器チャネルと第二フロー・スプリッターの制限器チャネルとの間に流体連通を提供することにより、加えられるようになっていてもよい。
【0033】
考え得る態様では、マイクロ流体チップは、チップ保持容器中に配置される。チップ保持容器は、容器本体を有する。
【0034】
前記容器本体中には、チップ・チャンバー(chip chamber;チップ室)が存在する。チップ・チャンバーは、その中にマイクロ流体チップを収容する。チップ・チャンバーは、二つの概して平坦な壁および周方向チャンバー壁(circumferential chamber wall)により区切られている。これらの平坦な壁は、チップ・チャンバーの相対する側に配置される。反応器は、チップ・チャンバーの外側に配置される。
【0035】
容器本体はさらに、流体供給チャネル(fluid supply channel)を有し、該流体供給チャネルは、流体供給チャネル入口および流体供給チャネル出口を有する。流体供給チャネルは、流体源から流体を受け取り、前記流体をマイクロ流体チップのチップ入口チャネルに供給するよう適合されている。流体供給チャネル入口は、流体源に流体連通しており、流体供給チャネル出口は、チップ入口チャネルに流体連通している。
【0036】
チップ保持容器はさらに、流体供給チャネル出口の周囲に拡がる流体供給チャネル・シールを有し、マイクロ流体チップに係合する。流体供給チャネル・シールは、例えば、Oリングのような環状のシールである。
【0037】
容器本体はさらに、複数の流体排出チャネル(fluid discharge channels)を有する。それぞれの流体排出チャネルは、流体排出チャネル入口および流体排出チャネル出口を有する。流体排出チャネルは、関連するチップ出口チャネルから流体を受け取り、関連する反応器アセンブリに前記流体を供給するように適合されている。それぞれの流体排出チャネル入口は、前記関連するチップ出口チャネルに流体連通しており、それぞれの流体排出チャネル出口は、前記関連する反応器アセンブリに流体連通している。
【0038】
チップ保持容器はさらに、複数の流体排出チャネル・シールを有する。それぞれの流体排出チャネル・シールは、流体排出チャネル入口の周囲に拡がり、それぞれの流体排出チャネル・シールは、マイクロ流体チップに係合する。
【0039】
チップ保持容器は、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シール用のシート(seats;座部)を有し、該シートはそれぞれ、周壁、底面および開口した頂部を有し、該周壁は、前記シート中に配置されるシール(流体供給チャネル・シールまたは流体排出チャネル・シールのいずれか)を支持する。
【0040】
シートの周壁は、シール(流体供給チャネル・シールまたは流体排出チャネル・シールのいずれか)に対してさらなる支持を提供し、シールがシステム中で加圧された流体、例えば、反応流体、パージ流体または希釈流体、によりその上にかけられる圧力をよりよく持ちこたえることを助ける。シートの周壁はまた、この圧力によりシールが変形し過ぎることを防ぎ、このことは密閉作用を改善する。
【0041】
シートは例えば、チップ・チャンバーの平坦な壁中に、または、チップ・チャンバーの平坦な壁上に形成されたカラー(collar)の側に、くぼみとして形成される。
【0042】
考え得る態様では、シートの頂部は、マイクロ流体チップからある距離を置いており、該距離は、200 μm以下であるが、0 μmよりは長い。好ましくは10 μmと150 μmとの間であり、必要に応じて30 μmと70 μmとの間であってもよい。例えば、前記距離は200 μmと50 μmとの間である。
【0043】
流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シール用のシートの頂部がマイクロ流体チップと接触すれば、シートの頂部とマイクロ流体チップとの接触点またはその近辺における局所的な応力集中(local stress concentrations)により、マイクロ流体チップの破損の危険性が高まる。また、多くのタイプのシールは、適切な密閉作用を獲得するために、軸方向に締め付けられる必要がある。そのような適切な締め付け(クランプ)は、シートが十分にきつく締め付けられる前にシートの頂部がマイクロ流体チップに接触する場合には、保障されるとは言えないかもしれない。
【0044】
一方、シールのシートの頂部間の距離がマイクロ流体チップからそれほど離れていなければ有利である。この距離が大きすぎれば、シール(流体供給チャネル・シールまたは流体排出チャネル・シールのいずれか)が、シートの頂部とマイクロ流体チップとの間の領域内でシートの周壁により支持されないため、その領域内でシステム中の加圧された流体の影響を受けて膨張し得る。結果的に、シールはそのシートから滑り落ち得、このことは漏れを引き起こす。実際、シートの頂部とマイクロ流体チップとの距離が約200 μmであるとき、シールはシートから滑り落ちないことが明らかである。
【0045】
考え得る態様では、
チップ入
口チャネルおよび/または少なくとも一つの
チップ出
口チャネルの直径は、0.7 mm以下である。好ましくは、この直径は0.5 mm以下であり、必要に応じて、0.2 mmと0.4 mmとの間であってもよい。
【0046】
考え得る態様では、チップ入口チャネルおよび/または少なくとも一つのチップ出口チャネルの直径は、前記チャネルの長さと共に変化し、前記チャネルの平均直径が前記チャネルの長さと同じかそれより小さいとき、前記チャネルは必要に応じて円錐形を有していてもよい。そのような態様では、前記チャネルの平均直径が「直径」と解釈されるべきである。必要に応じて、チップ入口チャネルおよび/または少なくとも一つのチップ出口チャネルの直径が前記チャネルの長さと共に変化する態様では、前記チャネルの最大直径が前記チャネルの長さと同じかそれより小さくてもよい。
【0047】
必要に応じて、チップ保持容器は、金属製、例えばステンレス鋼製、であってもよい。
【0048】
考え得る態様では、チップ保持容器の容器本体は:
− ベース(該ベースはチップ・チャンバーの平坦な壁の一方を有し、かつ、該ベースはさらに第一シール面を有する)、および
− カバー(該カバーはチップ・チャンバーの平坦な壁のもう一方を有し、かつ、該カバーはさらに第二シール面を有する)
を有する、
【0049】
ベースおよびカバーは、第一および第二シール面が互いに接触しているとき、共にチップ・チャンバーを囲う。チップ保持容器はさらに、周方向シール(circumferential seal)を有し、該周方向シールは、第一シール面および第二シール面に接触しており、かつ、チップ・チャンバーの外周の周囲に拡がる。周方向シールは、チップ保持容器のチップ・チャンバーの適切な密閉を提供することを助け、このことは、信頼性のある漏れの検出を可能にするため、チップ・チャンバーが作動中に周囲気圧(雰囲気圧)下にあるように意図されている態様にとってさえ有利である。
【0050】
チップ・チャンバーの周方向チャンバー壁は、ベースもしくはカバー、またはベースおよびカバーの両方によって形成され得る。
【0051】
必要に応じて、ベースおよび/またはカバーは、金属製、例えばステンレス鋼製、であってもよい。必要に応じて、カバーおよび/またはベースは、モノリシック(単一構造)であってもよい。
【0052】
好ましくは、チップ保持容器は、マイクロ流体チップを完全に囲む。
【0053】
必要に応じて、カバーおよびベースは、一つ以上の締め具、例えばねじ、ボルト、ボルトおよびナット、または一つ以上のクランプ、を用いて互いに接続可能であってもよい。
【0054】
ほとんどの態様では、本発明によるチップ保持容器は、チップ・チャンバーを能動的におよび/または意図的に加圧するためのいかなる設備も必要としない。
【0055】
必要に応じて、チップ保持容器またはその一部(例えば、チップ・チャンバー)は、温度制御され、加熱され、および/または冷却されてもよい。例えば、チップ保持容器中のマイクロ流体チップを通って流れるガス状流体の凝縮を防ぐために、チップ保持容器または少なくともチップ・チャンバーを加熱することは有利であり得る。例えば、チップ保持容器または少なくともチップ・チャンバーは、200 ℃−300 ℃まで加熱され得る。必要に応じて、本発明の反応器システムは、チップ保持容器またはその一部の温度制御、加熱および/または冷却のための熱的(サーマル)デバイスを有していてもよい。そのような熱的デバイスは、チップ・チャンバーの内側または外側に配置され得る。適切な熱的デバイスは、例えば、ペルチェ素子、電熱器を含む。
【0056】
好ましくは、加熱または冷却によりマイクロ流体チップ中に熱応力が生じ得るため、この態様では漏れ検出が提供される。例えば、この態様は、本願に記載されるように、漏れ検出の変形の一つ以上と組み合わされる。
【0057】
全般的には、マイクロ流体チップがチップ保持容器のチップ・チャンバー中に、マイクロ流体チップが特に反応器システムの作動中に曲げにさらされないような方法で配置されれば有利である。マイクロ流体チップは通常、特にシリコン、ガラスまたは石英のような脆性材料からなるときは、曲げに対する耐性が低い。
【0058】
マイクロ流体チップ上の曲げ荷重(bending loads)は、マイクロ流体チップ用の一つ以上の支持体表面を提供することによって妨げられ得る。これらの一つ以上の支持体表面の配置は、好ましくは、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールがマイクロ流体チップに係合する位置を考慮する。これらのシールは、マイクロ流体チップの外表面に係合する。支持体表面もまた、マイクロ流体チップの外表面に、好ましくは、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールがマイクロ流体チップに係合する位置のちょうど反対側の位置に係合する。
【0059】
考え得る態様では、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールが全てマイクロ流体チップを片面に係合し、チップ保持容器は、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールがマイクロ流体チップに係合する面と反対側の面で、外表面全体に亘ってマイクロ流体チップに係合する支持体表面を有する。
【0060】
考え得る態様では、容器本体は開口部を有し、前記開口部は、チップ・チャンバーを周囲気圧量に接続させ、−反応器システムの作動中−チップ・チャンバー中の圧力が概して周囲気圧となるようにする。周囲気圧量は、例えば、大気、排気装置の内部容積もしくは廃棄物容器または概して周囲気圧下にある他のタイプの容器であり得る。
【0061】
この態様は、マイクロ流体チップ中またはマイクロ流体チップとの流体接続中で発生する漏れの検出を可能にする。漏れの場合、漏れる物質は、開口部を通ってチップ・チャンバーから漏れ出るであろう。これは、例えばフロー検出器により検出され得る。あるいは、チップ保持容器中の開口部は、検出導管(detection conduit)に接続されていてもよく、該導管は、チップ保持容器中の開口部に接続される端部の反対側に開口端を有する。この検出導管の開口端は、流体に浸される。ガス状物質がマイクロ流体チップまたはマイクロ流体チップとの流体接続から漏れ出るとき、このガス性物質は開口部および検出導管を介してチップ保持容器から出るであろう。ガス性物質が開口端を介して検出導管から出るとき、泡が生じるであろう。これらの泡は、その結果、例えば視覚的に検出され得る。
【0062】
液状物質がマイクロ流体チップまたはマイクロ流体チップとの流体接続から漏れ出るとき、この物質は、液滴または流れの形状で、開口部を介してチップ保持容器から出るであろう。液滴または流れは、その結果、例えば視覚的に検出され得る。
【0063】
考え得る態様では、チップ・チャンバーは、開口部を介して大気に流体連通している。
【0064】
考え得る態様では、反応器システムはさらに、廃棄物容器を有し、該廃棄物容器は、開口部を介してチップ・チャンバーに流体連通している。
【0065】
考え得る態様では、反応器システムはさらに、フロー検出器を有し、該フロー検出器は、開口部を通してチップ・チャンバーからの流体フローの存在を検出するように適合されている。
【0066】
考え得る態様では、チップ保持容器は外表面を有し、開口部は圧力チップ・チャンバーからチャンバー外表面まで延びる。
【0067】
必要に応じて、この態様では、圧力チップ・チャンバーは開口部を介して大気に流体連通していてもよい(したがって、大気が周囲気圧量である)。このことは、チップ・チャンバー中の圧力がまさに実質的に周囲のものとなることを確実にする。この態様の変形はもちろん、非毒性もしくはそうでなければ無害の流体がマイクロ流体チップを通って流れるとき、および/または少量の流体のみが使用されるときにのみ適している。なぜなら、マイクロ流体チップまたはそのチップ保持容器の流体供給チャネルおよび/または流体排出チャネルへの接続部中の漏れの場合、マイクロ流体チップに搬送される流体もまた、チップ保持容器中の開口部を介して漏れ出るからである。
【0068】
この態様の別の変形では、必要に応じて、反応器システムはさらに、廃棄物容器、例えば周囲気圧廃棄物容器、を有していてもよく、該廃棄物容器は、開口部を介して圧力チップ・チャンバーに流体連通している。この変形は、毒性もしくはそうでなければ有害の流体がマイクロ流体チップを通って流れるときに適している。なぜなら、マイクロ流体チップまたはそのチップ保持容器の流体供給チャネルおよび/または流体排出チャネルへの接続部中の漏れの場合、マイクロ流体チップに搬送される流体は、廃棄物容器中で捕捉されるからである。廃棄物容器は、好ましくは、漏洩流体の流入が廃棄物容器中の(必要に応じて、周囲)気圧にそれほど大きな影響を与えないように、漏洩流体の予想量よりはるかに大きい、例えば少なくとも十倍大きい、容積を有する。廃棄物容器は、例えば、安全フロー・ライン(safety flow line)によりチップ保持容器中の開口部に接続され得る。
【0069】
必要に応じて、反応器システムはさらに、フロー検出器を有していてもよく、該フロー検出器は、開口部を通してチップ・チャンバーからの流体フローの存在を検出するように適合している。そのような流体フローは、大概、漏れの存在を指し示し、したがって、フロー検出器は漏れ検出器として用いられ得る。必要に応じて、フロー検出器は熱伝導度検出器であってもよい。
【0070】
フロー検出器は、フローを検出するために開口部中に直接配置され得るが、その代わりに、安全フロー・ラインを介してチップ保持容器中の開口部に接続する廃棄物容器が存在するとき、フロー検出器は、チップ保持容器と廃棄物容器との間のこの安全フロー・ラインにフローを検出するために配置され得る。
【0071】
考え得る態様では、システムは、チップ・チャンバー内の圧力の圧力変化を検出するためのチップ・チャンバー圧力検出器を有する。そのような圧力変化は、大概、漏れの存在を指し示し、したがって、フロー検出器は漏れ検出器として用いられ得る。この態様は特に、開口部が小口径を有し、それにより全漏洩流体が即座にチップ・チャンバーから流れ出るのを妨げる流体フローへの抵抗を有する態様、または、開口部が全く存在しない態様に適している。
【0072】
ほとんどの態様では、システム中の反応器に供給される加圧された流体は、チップ・チャンバーには入らない:それは、流体供給チャネルを通って、チップ入口チャネル、流量制限器チャネル、チップ出口チャネルおよび流体排出チャネルへ流れる。流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールは、加圧された流体がチップ・チャンバーに入るのを妨げる。
【0073】
好ましくは、この態様では、チップ・チャンバーは、反応器システムの通常作動中、周囲気圧下にある。しかしながら、(例えば、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールの一つにおける)マイクロ流体チップまたはマイクロ流体チップとの流体接続中の漏れの場合、圧力は、特にチップ・チャンバーが気密および/または液密であるとき、チップ・チャンバー中で増大し得る。必要に応じて、反応器システムは、漏れの指標であるチップ・チャンバー中の圧力変化(例えば、圧力の増大)を検出するためのチップ・チャンバー圧力検出器(例えば、圧力センサーまたは圧力計)を有していてもよい。
【0074】
反応器システムの作動中にチップ・チャンバーを周囲圧力下に保つことは、反応器システムを公知の反応器システムより安全にする。なぜなら、この方法で本発明の反応器システムを作動させることは、高圧下で比較的大容量を伴わないからである。
【0075】
考え得る態様では、流体供給チャネル・シールおよび/または少なくとも一つの流体排出チャネル・シールは、中心孔のある円環形を有する。この態様では、チップ保持容器はさらに、少なくとも一つのチューブ状要素を有し、該チューブ状要素は前記シールの中心孔を通って延びる。このチューブ状要素は、環状シールが、中心孔が閉じられるような方法で変形することを妨げる。
【0076】
全般的には、チップ保持容器は、流体マイクロチップのみを収容し、必要に応じて、チップ・チャンバー内にいくつかのシールまたは接続部を収容していてもよい。反応器、バルブ等は、チップ保持容器の外側に配置される。このことは、マイクロ流体チップ中またはマイクロ流体チップへの、もしくはマイクロ流体チップからの接続部中の漏れの適切な検出を可能にする。
【0077】
必要に応じて、チップ保持容器は、マイクロ流体チップを完全に囲んでいてもよい。公知のチップ保持容器はしばしば、隙間または窓を有し、したがって、流量制限器チャネルを通る流体フローが、例えば顕微鏡で、観察され、または監視され得る。全般的には、このことは、本発明のシステムにおけるマイクロ流体チップの適用には必要ないであろう。
【0078】
好ましくは、マイクロ流体チップは、反応器システム中に解放可能なように配置される。したがって、例えば、マイクロ流体チップは、好ましくは、容器本体に接着されていない、および/または、例えばフロー・ラインの接着接合部を有しない。
【0079】
この態様では、マイクロ流体チップは、例えば、マイクロ流体チップが損傷を受ける場合、一つ以上の流量制限器チャネルが塞がれるとき、または別の特徴を有するマイクロ流体チップが新たな実験のために必要とされるとき、他のマイクロ流体チップと容易に交換され得る。
【0080】
請求項1に記載される本発明の反応系では、マイクロ流体チップは、フロー・スプリッターの機能を果たす。しかしながら、代替的または追加的に、本発明の反応器システムでは、マイクロ流体チップは、反応器を収容するためには用いられないものの、流量制限器チャネルを有するマイクロ流体チップが、本発明のシステム中の他の場所で用いられてもよい。
【0081】
本発明の代替形態では、反応器システムは、高スループット・アプリケーションのための反応器システムであって、該反応器システムは:
− 複数の反応器アセンブリを有し、それぞれの反応器アセンブリは:
− フロー・スルー反応器を有し、前記フロー・スルー反応器は、反応器入口および反応器出口を有し、該フロー・スルー反応器は、化学反応を収容するように適合されており、
− 反応器搬送ラインを有し、該反応器搬送ラインは、第一および第二端部を有し、前記第二端部は、フロー・スルー反応器の反応器入口に接続されており、
前記反応器搬送ラインは、フロー・スルー反応器へ流体を供給するように適合されており、
− 反応器排液ラインを有し、該反応器排液ラインは、第一端部を有し、該第一端部は、フロー・スルー反応器の反応器出口に接続されており、
前記反応器排液ラインは、フロー・スルー反応器から反応器排液を排出するように適合されており、
該反応器システムは、
− 流体源を有し、該流体源は、フロー・スルー反応器に加圧された流体を提供するように適合されており、
− 流体源から反応器アセンブリへ前記加圧された流体を移動させるように適合されている流路制御器(flow path controller)を有し、前記加圧された流体がフロー・スルー反応器内の反応中で用いられ得るようになっており、
該流路制御器は、流体源の下流かつ反応器アセンブリの上流に配置されており、
該流路制御器は、流路制御器入口を有し、該流路制御器入口は、流体源に流体連通しており、流体源から加圧された流体を受け取るように適合されており、
該流路制御器はさらに、複数の流路制御器出口を有し、それぞれの流路制御器出口は、関連する反応器アセンブリの反応器搬送ラインの第一端部に流体連通しており、流体源から関連する反応器アセンブリへ加圧された流体を提供するよう適合されており、
ここで、少なくとも一つの反応器搬送ラインおよび/または反応器排液ライン中に流量制限器チャネルが存在し、該流量制限器チャネルは、平坦なマイクロ流体チップ中に配置され、該マイクロ流体チップはさらに、流量制限器チャネルに流体連通しているチップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルを有し、チップ入口チャネルは流量制限器チャネルの上流にあり、チップ出口チャネルは流量制限器チャネルの下流にあり、前記チップ入口チャネルおよび前記チップ出口チャネルは両方とも長さおよび直径を有し、ここで直径は前記チャネルの長さと同じかそれより小さい。
【0082】
本発明のこの代替的な反応器システムは、請求項1の反応器システムに類似するが、マイクロ流体チップはシステム中の異なる位置に存在する。本発明のこの代替的な反応器システムでは、マイクロ流体チップは、反応器搬送ライン中および/または反応器排液ライン中に存在する。
【0083】
本発明によれば、代替的な反応器システムは、一つ以上の流量制限器チャネルを有する。少なくとも一つの反応器アセンブリの反応器搬送ラインおよび/または反応器排液ライン中に流量制限器チャネルが存在し、該流量制限器チャネルは、平坦なマイクロ流体チップ中に配置される。このマイクロ流体チップはさらに、流量制限器チャネルに流体連通しているチップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルを有する。チップ入口チャネルは流量制限器チャネルの上流にあり、チップ出口チャネルは流量制限器チャネルの下流にある。チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルは両方とも長さおよび直径を有する。本発明によれば、これらのチップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルの直径は、前記チャネルの長さと同じかそれより小さい。
【0084】
本発明のこの代替的な反応器システムでは、例えば、それぞれの反応器搬送ライン中に一つのマイクロ流体チップ、またはそれぞれの反応器排液ライン中に一つのマイクロ流体チップ、またはそれぞれの反応器搬送ライン中に一つのマイクロ流体チップかつそれぞれの反応器排液ライン中に一つのマイクロ流体チップ、というように、複数の流体チップが存在することが可能である。
【0085】
本発明の代替的な反応器システムは、流路制御器、例えば切替バルブ(selection valve)、フロー・スプリッター、またはマニホールド(manifold;多岐管)を有する。流路制御器は、流体源の下流かつ反応器アセンブリの上流に配置される。流路制御器は、流体源から流体を受け取り、反応器アセンブリへこの受け取られた流体を向かわせる。必要に応じて、流路制御器は、受け取られた流体を、同時に全ての反応器アセンブリへ向かわせてもよく、同時にいくつかの反応器アセンブリへ向かわせてもよい。あるいは、流路制御器は、受け取られた流体を、一度に一つの反応器アセンブリへ向かわせ、連続的に全ての反応器アセンブリへ向かわせる。
【0086】
必要に応じて、請求項1の反応器システムと本発明の代替的な反応器システムは組み合わされてもよく、該組み合わされたシステムでは、流路制御器は、請求項1のマイクロ流体チップであるフロー・スプリッターである。
【0087】
流路制御器は、流体源に流体連通している流路制御器入口を有する。流路制御器入口は、流体源から加圧された流体を受け取るように適合されている。流路制御器入口は、流体源に流体連通している。
【0088】
流路制御器はさらに、複数の流路制御器出口を有する。それぞれの流路制御器出口は、関連する反応器アセンブリ、特にその関連する反応器アセンブリの反応器搬送ラインの第一端部、に流体連通している。それぞれの流路制御器出口は、流体源から関連する反応器アセンブリへ加圧された流体を提供するように適合されている。
【0089】
考え得る態様では、本発明の代替的なシステムにおいて、少なくとも一つのマイクロ流体チップがチップ保持容器中に配置されており、該チップ保持容器は:
− 容器本体を有し、
− 前記容器本体中にチップ・チャンバーを有し、前記チップ・チャンバーはその中にマイクロ流体チップを収容しており、該チップ・チャンバーは、二つの概して平坦な壁および周方向チャンバー壁で区切られており、該平坦な壁は、チップ・チャンバーの両側に配置されており、
− 前記容器本体中に流体供給チャネルを有し、該流体供給チャネルは、流体供給チャネル入口および流体供給チャネル出口を有しており、
該流体供給チャネルは、その中に流量制限器チャネルが配置される反応器搬送ラインまたは反応器排液ラインから流体を受け取り、マイクロ流体チップのチップ入口チャネルへ前記流体を供給するように適合されており、
ここで、流体供給チャネル入口は、その中に流量制限器チャネルが配置される反応器搬送ラインまたは反応器排液ラインに流体連通しており、流体供給チャネル出口は、チップ入口チャネルに流体連通しており、かつ
該チップ保持容器は、
− 流体供給チャネル出口の周囲に拡がり、マイクロ流体チップに係合する流体供給チャネル・シールを有し、かつ
− 前記容器本体中に流体排出チャネルを有し、該流体排出チャネルは、流体排出チャネル入口および流体排出チャネル出口を有しており、
該流体排出チャネルは、マイクロ流体チップのチップ出口チャネルから流体を受け取り、その中に流量制限器チャネルが配置される反応器搬送ラインまたは反応器排液ラインへ前記流体を供給するように適合されており、
ここで、流体排出チャネル入口は、チップ出口チャネルに流体連通しており、流体排出チャネル出口は、その中に流量制限器チャネルが配置される反応器搬送ラインまたは反応器排液ラインに流体連通しており、かつ
− 流体排出チャネル入口の周囲に拡がる流体排出チャネル・シールを有し、ここで、前記流体排出チャネル・シールはマイクロ流体チップに係合し、かつ
ここで、チップ保持容器は、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シール用のシートを有し、該シートはそれぞれ、周壁、底面および開口した頂部を有し、該周壁は、前記シート中に配置されるシールを支持する。
【0090】
請求項1の反応器システムのマイクロ流体チップ、チップ保持容器およびその他の要素の任意の特徴は、代替的な反応器システムでも同様に任意の特徴である。
【0091】
例えば、代替的な反応器の考え得る態様では、少なくとも一つのマイクロ流体チップの
チップ入
口チャネルおよび/または
チップ出
口チャネルの直径は、0.7 mm以下である。好ましくは、この直径は0.5 mm以下であり、必要に応じて、0.2 mmと0.4 mmとの間であってもよい。
【0092】
さらなる例として、代替的な反応器の考え得る態様では、マイクロ流体チップのチップ入口チャネルおよび/またはチップ出口チャネルの直径は、前記チャネルの長さと共に変化し、前記チャネルの平均直径が前記チャネルの長さと同じかそれより小さいとき、前記チャネルは必要に応じて円錐形を有していてもよい。そのような態様では、前記チャネルの平均直径が「直径」と解釈されるべきである。必要に応じて、チップ入口チャネルおよび/または少なくとも一つのチップ出口チャネルの直径が前記チャネルの長さと共に変化する態様では、前記チャネルの最大直径が前記チャネルの長さと同じかそれより小さくてもよい。
【0093】
さらなる例として、代替的な反応器の考え得る態様では、マイクロ流体チップは、第一本体プレートおよび第二本体プレートを有し、これらは互いに接続している。これらの本体プレートは、例えばガラス、シリコンまたは石英からなり、マイクロ流体チップの「層(複数)」を形成する。第一本体プレートおよび前記第二本体プレートはそれぞれ、厚さを有する。これらの厚さは、同じであっても異なっていてもよい。必要に応じて、マイクロ流体チップは、二つ以上の本体プレート、例えば、第一、第二および第三本体プレート、を有していてもよい。
【0094】
この態様では、チップ入口チャネルは、第一本体プレートに存在し、前記第一本体プレートの厚さを通して延びる。チップ出口チャネルは、第一本体プレートおよび/または第二本体プレートおよび/またはさらなる本体プレートに存在し、前記第一本体プレートおよび/または前記第二本体プレートおよび/またはさらなる本体プレートの厚さを通して延びる。したがって、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルは、第一もしくは第二本体プレートまたはさらなる本体プレートを通る貫通孔により形成される。
【0095】
全般的には、チップ入口チャネルとチップ出口チャネルの一つとの間を延びる流量制限器チャネルは、第一および/もしくは第二本体プレートならびに/またはさらなる本体プレートのいずれかの平坦な表面内に形成される。流量制限器チャネルは、それをもって、多くの場合、マイクロ流体チップの同一の本体プレートに存在するチップ入口チャネルおよび/またはチップ出口チャネルに対して垂直に延びる。
【0096】
本体プレートは、例えば、1.0 mm、0.7 mmまたは0.5 mmの厚さを有する。本体プレートが1.0 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.3 mmと1.0 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.5 mmと0.75 mmとの間の直径で有していてもよい。本体プレートが0.7 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.2 mmと0.7 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.3 mmと0.4 mmとの間の直径で有していてもよい。本体プレートが0.5 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.1 mmと0.5 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.2 mmと0.3 mmとの間の直径で有していてもよい。
【0097】
さらなる例として、少なくとも一つのマイクロ流体チップがチップ保持容器中に配置される代替的な反応器の態様では、シートの頂部は、マイクロ流体チップからある距離を置いており、該距離は、200 μm以下であるが、0 μmよりは長い。好ましくは10 μmと150 μmとの間であり、必要に応じて30 μmと70 μmとの間であってもよい。例えば、前記距離は200 μmと50 μmとの間である。
【0098】
必要に応じて、本発明の代替的な反応器システムはさらに、バルブ・システム(valve system)を有していてもよく、該バルブ・システムは、漏れが検出されたマイクロ流体チップへの流体フローを妨げることを可能にする。
【0099】
本発明の代替的な反応器システムの考え得る態様では、チップ保持容器は一つのチップ・チャンバーを有し、かつ該チップ・チャンバーは一つのマイクロ流体チップを収容するように適合されている。
【0100】
本発明の代替的な反応器システムの考え得る態様では、チップ保持容器は、一つのチップ・チャンバーを有し、かつ該チップ・チャンバーは、複数のマイクロ流体チップを収容するように適合されている。この態様では、チップ保持容器は、複数の流体供給チャネルおよび複数の流体排出チャネルを有し、ここで、それぞれの流体供給チャネルおよびそれぞれの流体排出チャネルは、マイクロ流体チップの流量制限器チャネルに結合している。
【0101】
本発明の代替的な反応器システムの考え得る態様では、チップ保持容器は、複数のチップ・チャンバーを有し、かつそれぞれのチップ・チャンバーは、一つのマイクロ流体チップを収容するように適合されている。この態様では、チップ保持容器は、複数の流体供給チャネルおよび複数の流体排出チャネルを有し、ここで、それぞれの流体供給チャネルおよびそれぞれの流体排出チャネルは、マイクロ流体チップの流量制限器チャネルに結合している。
【0102】
本発明は、図面を参照して以下に詳細に記載され、該図面では、本発明の限定的でない例示的な態様が示されるであろう。
【0103】
図面は、示す。