特許第6523318号(P6523318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6523318高スループット・アプリケーションのための反応器システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523318
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】高スループット・アプリケーションのための反応器システム
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20190520BHJP
【FI】
   B01J19/00 321
【請求項の数】12
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2016-556240(P2016-556240)
(86)(22)【出願日】2014年11月20日
(65)【公表番号】特表2016-539804(P2016-539804A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】NL2014050793
(87)【国際公開番号】WO2015080572
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年11月6日
(31)【優先権主張番号】2011856
(32)【優先日】2013年11月28日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】516157865
【氏名又は名称】アヴァンティウム テクノロジーズ ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】モーネン、ルーランドゥス、ヘンドリクス、ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】ハルトフ、ベンノ
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01297889(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0006065(US,A1)
【文献】 米国特許第06749814(US,B1)
【文献】 国際公開第2009/145614(WO,A1)
【文献】 特開2007−260569(JP,A)
【文献】 特表2008−535654(JP,A)
【文献】 特表2007−515646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00
B81B 1/00
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高スループット・アプリケーションのための反応器システムであって、該反応器システムは:
− 複数の反応器アセンブリを有し、それぞれの反応器アセンブリは:
− フロー・スルー反応器を有し、前記フロー・スルー反応器は、反応器入口および反応器出口を有し、該フロー・スルー反応器は、化学反応を収容するように適合されており、
− 反応器搬送ラインを有し、該反応器搬送ラインは、第一端部および第二端部を有し、前記第二端部は、前記フロー・スルー反応器の前記反応器入口に接続されており、前記反応器搬送ラインは、前記フロー・スルー反応器へ流体を供給するように適合されており、
− 反応器排液ラインを有し、該反応器排液ラインは、第一端部を有し、該第一端部は、前記フロー・スルー反応器の前記反応器出口に接続されており、
前記反応器排液ラインは、前記フロー・スルー反応器から反応器排液を排出するように適合されており、
前記反応器システムは、
− 流体源を有し、該流体源は、前記フロー・スルー反応器へ加圧された流体を提供するように適合されており、
− 前記流体源から前記反応器アセンブリへ前記加圧された流体を移動させるように適合されているフロー・スプリッターを有し、前記加圧された流体が前記フロー・スルー反応器内の反応中で用いられ得るようになっており、
該フロー・スプリッターは、前記流体源の下流かつ前記反応器アセンブリの上流に配置されており、
該フロー・スプリッターは、平坦なマイクロ流体チップを有し、
該マイクロ流体チップは、チップ入口チャネルおよび複数のチップ出口チャネルを有し、
ここで、前記チップ入口チャネルおよび前記チップ出口チャネルはそれぞれ、長さを有し、
該マイクロ流体チップはさらに、複数の流量制限器チャネルを有し、ここで、それぞれの流量制限器チャネルは、前記チップ入口チャネルから関連するチップ出口チャネルへと延びており、
ここで、前記チップ入口チャネルは、前記流体源に流体連通しており、前記流体源から前記加圧された流体を受け取るように適合されており、
かつ、ここで、それぞれのチップ出口チャネルは、関連する反応器アセンブリの反応器搬送ラインの前記第一端部に流体連通しており、前記流体源から前記関連する反応器アセンブリへ加圧された流体を提供するように適合されており、これにより、前記加圧された液体を前記フロー・スルー反応器中の前記反応に利用可能とし、
ここで、前記チップ入口チャネルおよび前記チップ出口チャネルはそれぞれ、直径を有し、
ここで、前記チップ入口の前記直径は、前記チップ入口の前記長さと同じかそれより小さく、かつ、ここで、それぞれのチップ出口チャネルの前記直径は、前記チップ出口チャネルの前記長さと同じかそれより小さく、
ここで、前記マイクロ流体チップは、第一本体プレートおよび第二本体プレートを有し、該第一本体プレートおよび該第二本体プレートは、互いに接続されており、ここで、前記第一本体プレートおよび前記第二本体プレートはそれぞれ、厚さを有し、
ここで、前記チップ入口チャネルは、前記第一本体プレート中に存在し、前記第一本体プレートの前記厚さを通して延びており、かつ
ここで、前記チップ出口チャネルは、前記第一本体プレートおよび/または前記第二本体プレート中に存在し、前記第一本体プレートおよび/または前記第二本体プレートの前記厚さを通して延びており、
ここで、前記フロー・スプリッターの前記マイクロ流体チップは、チップ保持容器中に配置されており、該チップ保持容器は:
− 容器本体を有し、
− 前記容器本体中にチップ・チャンバーを有し、前記チップ・チャンバーはその中に前記マイクロ流体チップを収容しており、該チップ・チャンバーは、二つの概して平坦な壁および周方向チャンバー壁で区切られており、該平坦な壁は、前記チップ・チャンバーの相対する側に配置されており、
− 前記容器本体中に流体供給チャネルを有し、前記流体供給チャネルは、流体供給チャネル入口および流体供給チャネル出口を有しており、
該流体供給チャネルは、前記流体源から流体を受け取り、前記チップ入口チャネルへ前記流体を供給するように適合されており、
ここで、前記流体供給チャネル入口は、前記流体源に流体連通しており、前記流体チャネル出口は、前記チップ入口チャネルに流体連通しており、かつ
前記チップ保持容器は、
− 前記流体供給チャネル出口の周囲に拡がり、前記マイクロ流体チップに係合する流体供給チャネル・シールを有し、かつ
− 前記容器本体中に複数の流体排出チャネルを有し、それぞれの流体排出チャネルは、流体排出チャネル入口および流体排出チャネル出口を有しており、
ここで、それぞれの流体排出チャネルは、関連するチップ出口チャネルから流体を受け取り、関連する反応器アセンブリへ前記流体を供給するように適合されており、
ここで、それぞれの流体排出チャネル入口は、前記関連するチップ出口チャネルに流体連通しており、それぞれの流体排出チャネル出口は、前記関連する反応器アセンブリに流体連通しており、かつ
前記チップ保持容器は、
− 複数の流体排出チャネル・シールを有し、それぞれの流体排出チャネル・シールは流体排出チャネル入口の周囲に拡がっており、ここで、それぞれの流体排出チャネル・シールは前記マイクロ流体チップに係合し、
ここで、前記チップ保持容器は、前記流体供給チャネル・シールおよび前記流体排出チャ
ネル・シール用のシートを有し、該シートはそれぞれ、周壁、底面および開口した頂部を有し、該周壁は、前記シート中に配置される前記シールを支持しており、
ここで、前記流体供給チャネル・シールおよび/または少なくとも一つの前記流体排出チャネル・シールは、中心孔のある円環形を有し、
かつ、ここで、前記チップ保持容器はさらに、少なくとも一つのチューブ状要素を有し、該チューブ状要素は、前記シールの前記中心孔を通って延びている、
前記反応器システム。
【請求項2】
前記シートの前記頂部は、前記マイクロ流体チップからある距離を置いており、該距離は、200 μm以下であるが、0 μmよりは長い
請求項1に記載の反応器システム。
【請求項3】
前記チップ口チャネルおよび/または少なくとも一つの前記チップ口チャネルの前記直径は、0.7 mm以下である、
求項1または2に記載の反応器システム。
【請求項4】
前記チップ入口チャネルおよび/または少なくとも一つの前記チップ出口チャネルの前記直径は、前記チャネルの前記長さと共に変化し、かつ、ここで、前記チャネルの平均直径は、前記チャネルの前記長さと同じかそれより小さい、
求項1−3のいずれか一項に記載の反応器システム。
【請求項5】
前記容器本体は、開口部を有しており、前記開口部は、前記チップ・チャンバーを周囲気圧量に接続しており、−前記反応器の作動中−前記チップ・チャンバー中の気圧は、概して周囲気圧となるようになっている、
請求項1または2に記載の反応器システム。
【請求項6】
前記チップ保持容器の前記容器本体は、
− ベースを有し、該ベースは、前記チップ・チャンバーの前記平坦な壁の一方を有し、かつ、該ベースはさらに、第一シール面を有し、
− カバーを有し、該カバーは、前記チップ・チャンバーの前記平坦な壁のもう一方を有し、かつ、該カバーはさらに、第二シール面を有し、
前記ベースおよび前記カバーは、前記第一および第二シール面が互いに接触しているとき、共に前記チップ・チャンバーを囲い、
ここで、前記チップ保持容器はさらに:
− 周方向シールを有し、該周方向シールは、前記第一シール面および前記第二シール面に接触しており、かつ、前記チップ・チャンバーの外周の周囲に拡がっている、
請求項1、2および5のいずれか一項に記載の反応器システム。
【請求項7】
前記チップ・チャンバーは、前記開口部を介して大気に流体連通している、
請求項5に記載の反応器システム。
【請求項8】
該反応器システムはさらに、廃棄物容器を有し、該廃棄物容器は、前記開口部を介してチップ・チャンバーに流体連通している、
請求項1または7に記載の反応器システム。
【請求項9】
前記反応器システムはさらに、前記開口部を通して前記チップ・チャンバーからの流体フローの存在を検出するように適合されているフロー検出器を有する、
請求項5、7および8のいずれか一項に記載の反応器システム。
【請求項10】
前記システムはさらに、前記チップ・チャンバー中の圧力の圧力変化を検出するためのチップ・チャンバー圧力センサーを有する、
請求項1、2および5−9のいずれか一項に記載の反応器システム。
【請求項11】
空間が、前記流体チップの外表面の一部と前記チップ・チャンバーの平坦な壁または前記周壁との間に存在し、かつ、ここで、熱的デバイスが、前記空間に配置される、
請求項1、2および5−10のいずれか一項に記載の反応器システム。
【請求項12】
前記チップ保持容器は、前記マイクロ流体チップを完全に囲む、
請求項1、2および5−11のいずれか一項に記載の反応器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多連並列マイクロ反応器(multiple parallel microreactors)において並列の化学実験または化学物質の合成を行うような、高スループット・アプリケーションのための反応器システム(reactor system for high throughput applications)に関連する。
【背景技術】
【0002】
並行又は連続して操作される多連並列反応器(multiple parallel reactors)を有する反応器システムは、広く知られている。そのようなシステムでは、反応器への流体の均等な分配が重要である。過去においては、流体を一つの共通の流体源から反応器(複数)へ運ぶ反応器搬送ライン(reactor feed lines)に、キャピラリ(capillaries;細管)のような流量制限器(flow restrictors)を配置することを含む解決策が提案されてきた。キャピラリが全て、システム内で流体フロー(fluid flow)に対して実質的に同じ抵抗力を有し、かつ、流体フローに対して最も高い抵抗力を有すれば、流体は、反応器全体に亘って均等に分配されるであろう。このことは、例えばWO99/64160に記載されている。
【0003】
近年、キャピラリの代わりに、マイクロ流体チップ(microfluidic chips)を流量制限器として使用することが提案されてきている。マイクロ流体チップは、キャピラリより扱いが容易であり、長い流量制限器チャネルが必要であるとき、スペースがより少なくて済む。マイクロ流体チップはまた、マイクロ流体チップが典型的に適用されるフロー・スプリッター(flow splitters;分流器)において使用され、該フロー・スプリッターは、一つの共通の入口部および複数の出口部を有し、共通の入口部と出口部の一つとの間に延びる流量制限器チャネルを持つ。
【0004】
本発明の関連するタイプの反応器システムにおいて使用されるマイクロ流体チップは、「ラボ・オン・チップ」(lab-on-chip)目的のマイクロ流体チップにおいては、通常、チップ内のチャネルの一つ以上が反応器として機能するよう適合されているという点において、「ラボ・オン・チップ」目的で使用されるマイクロ流体チップとは異なる。本発明に関連するタイプの反応器システム中のマイクロ流体チップでは、マイクロ流体チップ中のチャネルは、流体フローのための導管としてのみ機能し、反応器としては機能しない;当該システムは、一つ以上の別々の反応器を有し、該反応器内で反応が起こる。
【0005】
マイクロ流体チップは、高圧の反応器システム(例えば、マイクロ流体チップ内の圧力が30バールを超えるシステム)内で適用されるとき、いくつかの問題を有する。高スループット・アプリケーションの多くは、30バールを超える操作圧力(時には100バールを超え、例えば300バールまで)を必要とする。
【0006】
マイクロ流体チップは、通常、平坦な形状を有し、一般的には、ガラス、シリコンまたは石英の二つ以上の層からなり、これらの層は、一つ以上の層にフロー・チャネル(flow channel;流路)がエッチングされた後で結合される。これらの材料は、その中に正確にチャネルを作ることを可能にする。チャネル内に高圧の流体フローが存在するとき、マイクロ流体チップ中の前記層(複数)は、層分離(層間剥離)するかもしれない。また、シリコン、ガラスまたは石英に亀裂が形成される危険性もある。これらの種類の不具合は、マイクロ流体チップの漏れをもたらし得、かつ、さらにマイクロ流体チップの破損も起こり得る。例えば金属製のマイクロ流体チップとは異なり、ガラス、シリコンまたは石英のマイクロ流体チップはもろく、裸眼では見えない微細な亀裂により何の警告もなく壊れ得る。そのような亀裂は、マイクロ流体チップ上に、先の負荷圧力サイクル(load pressure cycles)の間に形成された可能性がある。例えば、あるマイクロ流体チップが、例えば150バールでまず試験され、その試験の後、該マイクロ流体チップが問題なく見えても、それは、後に100バールが適用されただけで、150バールの試験の間に形成された微細な亀裂のために壊れ得る。
【0007】
高圧下でマイクロ流体チップを使用することに伴う別の問題は、マイクロ流体チップ内のチャネルに流体を送り、またはマイクロ流体チップ内のチャネルから流体を受け取るフロー・ライン(flow lines)とマイクロ流体チップとの接続部は、流体を密閉することが困難であるということである。これらの接続部の漏れを防ぐために、これらの接続部はしばしば接着されるが、このことは、システム内のマイクロ流体チップを別のマイクロ流体チップに交換することをより困難にする。例えば、流体フローに対する異なる抵抗が望まれる場合、マイクロ流体チップ内のチャネルが詰まった場合、または、マイクロ流体チップが漏れるか、そうでなければ機能しなくなった場合、システム内のマイクロ流体チップを別のマイクロ流体チップに交換することが望まれ得る。
【0008】
US2010/0144539は、並列反応器(parallel reactors)を有するシステムを開示し、該システムは、フロー・スプリッターとして使用されるマイクロ流体チップを有する。高圧下でこのシステムを操作することができるように、この既知のシステム中にハウジングが提供される。反応器容器、弁、連結器、付属品およびフロー・スプリッターのようなシステムの感圧性の部品は、このハウジング内に配置される。ハウジングは、補助ガス、例えば窒素ガス(N2)、により高圧に加圧され、これにより、感圧性の部品は単に小さな圧力差に曝される。
【0009】
この既知のシステムはかなり複雑であり、高圧に供されるハウジング内のかなりの大容量による安全上のリスクをもたらし、かつ、ハウジング内に配置される部品および接続部におけるあらゆる漏れの場所の検出が困難である。さらに、ハウジングが完全に加圧されるまで実験を開始することができず、それにはしばらくかかるであろう。このことは、実験を実行することに関連する時間を増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記の問題の一つ以上を少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の反応器システムおよび請求項16の反応器システムを用いて達成される。
【0012】
本発明の反応器システムは、複数の反応器アセンブリ(reactor assemblies)を有する。それぞれの反応器アセンブリは、フロー・スルー反応器(flow-through reactor)を有し、該フロー・スルー反応器は、反応器入口および反応器出口を有する。
【0013】
それぞれの反応器アセンブリはさらに、反応器搬送ラインを有し、該反応器搬送ラインは、第一端部および第二端部を有する。第二端部は、同一の反応器アセンブリのフロー・スルー反応器の反応器入口に接続されている。反応器搬送ラインは、そのフロー・スルー反応器に流体を供給するように適合されている。
【0014】
それぞれの反応器アセンブリはさらに、反応器排液ライン(reactor effluent line)を有し、該反応器排液ラインは、第一端部を有する。反応器排液ラインの第一端部は、同一の反応器アセンブリのフロー・スルー反応器の反応器出口に接続している。反応器排液ラインは、そのフロー・スルー反応器から反応器排液を排出するように適合されている。
【0015】
本発明の反応器システムはさらに、流体源を有し、該流体源は、反応器システムのフロー・スルー反応器に加圧された流体を供給するように適合されている。流体源は、加圧された流体を、反応器システムにおける反応器の全てに同時にまたは連続して供給してもよく、反応器システムにおける反応器のいくつかのみに供給してもよい。加圧された流体は、例えば、反応流体(reactor fluid)、パージ流体(purge fluid)、希釈流体(dilution fluid)である。加圧された流体は、気体であっても、液体であっても、気体と液体の組み合わせであってもよい。
【0016】
必要に応じて、本発明の反応器システムは、複数の流体源を有していてもよい。必要に応じて、これらの複数の流体源は、別のグループの反応器アセンブリに流体を供給してもよい。必要に応じて、少なくとも一つの反応器アセンブリは、少なくとも二つの異なる流体を受け取ってもよい。
【0017】
本発明の一形態では、反応器システムはフロー・スプリッターを有し、該フロー・スプリッターは、前記加圧された流体を流体源から反応器アセンブリに移動させるように適合されており、前記加圧された流体がフロー・スルー反応器中の反応で使用され得るようになっている。フロー・スプリッターは、流体源の下流かつ反応器アセンブリの上流に配置される。
【0018】
フロー・スプリッターは、平坦なマイクロ流体チップを有し、該マイクロ流体チップは、一つのチップ入口チャネルおよび複数のチップ出口チャネルを有する。チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルはそれぞれ、長さを有する。チップ入口チャネルの長さおよびチップ出口チャネルの長さは、同じであっても互いに異なっていてもよい。
【0019】
マイクロ流体チップはさらに、複数の流量制限器チャネルを有する。それぞれの流量制限器チャネルは、前記チップ入口チャネルから関連したチップ出口チャネルまで延びる。流量制限器チャネルは、全般的には、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルの軸方向に対して斜めに−多くの場合、垂直に−延びる。
【0020】
チップ入口チャネルは、流体源に流体連通しており、流体源から加圧された流体を受け取るように適合されている。それぞれのチップ出口チャネルは、関連する反応器アセンブリの反応器搬送ラインの第一端部に流体連通しており、流体源から関連する反応器アセンブリに加圧された流体を供給するように適合されており、そのことにより、前記加圧された流体をフロー・スルー反応器中の反応に利用可能にする。
【0021】
全般的には、「関連する反応器アセンブリ」は、それぞれのチップ出口チャネルについて異なる反応器アセンブリである。全般的には、それぞれの流量制限器チャネルは、異なるチップ出口チャネルに流体連通しており、同様に、それぞれのチップ出口チャネルは、異なる反応器アセンブリに流体連通している。
【0022】
本発明によれば、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルはそれぞれ、直径を有し、該直径は、前記チャネルの長さと同じかそれより小さい。したがって、これらのチャネルのそれぞれ−チップ入口チャネルであってもチップ出口チャネルであっても−は、直径を有し、その直径はその同一のチャネルの長さと同じかそれより小さい。
【0023】
チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルの直径は、同じであっても異なっていてもよい。
【0024】
チップ入口チャネルの直径がチップ入口チャネルの長さと同じかそれより小さい(the same of smaller)ことは、かなり狭いチップ入口チャネルをもたらす。そのような狭いチップ入口チャネルが存在する場合、加圧された流体がマイクロ流体チップを通った時、特にチップ入口チャネルの領域において、マイクロ流体チップの亀裂および層分離が極めて起こりにくいことが観察された。このことは、マイクロ流体チップを高圧アプリケーションに使用することを可能にする。
【0025】
同様に、それぞれのチップ出口チャネルの直径が同一のチップ出口チャネルの長さと同じかそれより小さいことは、かなり狭いチップ出口チャネルをもたらす。そのような狭いチップ出口チャネルが存在する場合、加圧された流体がマイクロ流体チップを通った時、特にチップ出口チャネルの領域において、マイクロ流体チップの亀裂および層分離が極めて起こりにくいことが観察された。このこともまた、マイクロ流体チップを高圧アプリケーションに使用することを可能にする。
【0026】
考え得る態様では、マイクロ流体チップは、第一本体プレートおよび第二本体プレートを有し、これらは互いに接続されている。これらの本体プレートは、例えばガラス、シリコンまたは石英からなり、マイクロ流体チップの「層(layers;複数の層)」を形成する。第一本体プレートおよび前記第二本体プレートはそれぞれ、厚さを有する。これらの厚さは、同じであっても異なっていてもよい。必要に応じて、マイクロ流体チップは、二以上の本体プレート、例えば、第一、第二および第三本体プレート、を有していてもよい。
【0027】
この態様では、チップ入口チャネルは、第一本体プレートに存在し、前記第一本体プレートの厚さを通して延びる。チップ出口チャネルは、第一本体プレートおよび/または第二本体プレートおよび/またはさらなる本体プレートに存在し、前記第一本体プレートおよび/または前記第二本体プレートおよび/またはさらなる本体プレートの厚さを通して延びる。したがって、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルは、第一もしくは第二本体プレートまたはさらなる本体プレートを通る貫通孔により形成される。
【0028】
全般的には、チップ入口チャネルとチップ出口チャネルの一つとの間を延びる流量制限器チャネルは、第一および/もしくは第二本体プレートならびに/またはさらなる本体プレートのいずれかの平坦な表面内に形成される。流量制限器チャネルは、それをもって、多くの場合、マイクロ流体チップの同一の本体プレート中に存在するチップ入口チャネルおよび/またはチップ出口チャネルに対して垂直に延びる。
【0029】
本体プレートは、例えば、1.0 mm、0.7 mmまたは0.5 mmの厚さを有する。本体プレートが1.0 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.3 mmと1.0 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.5 mmと0.75 mmとの間の直径を有していてもよい。本体プレートが0.7 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.2 mmと0.7 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.3 mmと0.4 mmとの間の直径を有していてもよい。本体プレートが0.5 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.1 mmと0.5 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.2 mmと0.3 mmとの間の直径を有していてもよい。
【0030】
考え得る態様では、チップ入口チャネルおよび/またはチップ出口チャネルは、サンド・ブラスト(sand blasting)により形成される。
【0031】
チップ入口チャネルおよび/またはチップ出口チャネルの作成にサンド・ブラストが用いられるとき、これらのチャネルは、全般的には、その長さとともに変化する直径を有するであろう。具体的には、それらは円錐形状を有するであろう。この場合、本発明に関連して言及される「直径」は、平均直径であると理解されるべきである。考え得る態様では、変化する直径を有するチップ入口チャネルまたはチップ出口チャネルの最大直径は、その同一のチャネルの長さと同じかそれより小さい。
【0032】
考え得る態様では、複数のフロー・スプリッターが、一つのマイクロ流体チップ上に存在する。そのような態様では、例えば、一つのフロー・スプリッターが反応器アセンブリに気体を供給するために用いられ得、他のフロー・スプリッターが反応器アセンブリに液体を供給するために用いられ得る。一つのフロー・スプリッターが必要に応じて第一流体源に接続されていてもよく、他のフロー・スプリッターが第二流体源に接続されていてもよい。マイクロ流体チップ上の制限器チャネルの配置は、必要に応じて、第一流体源からの流体フローが第一フロー・スプリッターにより分流され、第二流体源からの流体フローが第二フロー・スプリッターにより分流された後、第二フロー・スプリッターから来る流体が第一フロー・スプリッターから来る流体に、例えば第一フロー・スプリッターの制限器チャネルと第二フロー・スプリッターの制限器チャネルとの間に流体連通を提供することにより、加えられるようになっていてもよい。
【0033】
考え得る態様では、マイクロ流体チップは、チップ保持容器中に配置される。チップ保持容器は、容器本体を有する。
【0034】
前記容器本体中には、チップ・チャンバー(chip chamber;チップ室)が存在する。チップ・チャンバーは、その中にマイクロ流体チップを収容する。チップ・チャンバーは、二つの概して平坦な壁および周方向チャンバー壁(circumferential chamber wall)により区切られている。これらの平坦な壁は、チップ・チャンバーの相対する側に配置される。反応器は、チップ・チャンバーの外側に配置される。
【0035】
容器本体はさらに、流体供給チャネル(fluid supply channel)を有し、該流体供給チャネルは、流体供給チャネル入口および流体供給チャネル出口を有する。流体供給チャネルは、流体源から流体を受け取り、前記流体をマイクロ流体チップのチップ入口チャネルに供給するよう適合されている。流体供給チャネル入口は、流体源に流体連通しており、流体供給チャネル出口は、チップ入口チャネルに流体連通している。
【0036】
チップ保持容器はさらに、流体供給チャネル出口の周囲に拡がる流体供給チャネル・シールを有し、マイクロ流体チップに係合する。流体供給チャネル・シールは、例えば、Oリングのような環状のシールである。
【0037】
容器本体はさらに、複数の流体排出チャネル(fluid discharge channels)を有する。それぞれの流体排出チャネルは、流体排出チャネル入口および流体排出チャネル出口を有する。流体排出チャネルは、関連するチップ出口チャネルから流体を受け取り、関連する反応器アセンブリに前記流体を供給するように適合されている。それぞれの流体排出チャネル入口は、前記関連するチップ出口チャネルに流体連通しており、それぞれの流体排出チャネル出口は、前記関連する反応器アセンブリに流体連通している。
【0038】
チップ保持容器はさらに、複数の流体排出チャネル・シールを有する。それぞれの流体排出チャネル・シールは、流体排出チャネル入口の周囲に拡がり、それぞれの流体排出チャネル・シールは、マイクロ流体チップに係合する。
【0039】
チップ保持容器は、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シール用のシート(seats;座部)を有し、該シートはそれぞれ、周壁、底面および開口した頂部を有し、該周壁は、前記シート中に配置されるシール(流体供給チャネル・シールまたは流体排出チャネル・シールのいずれか)を支持する。
【0040】
シートの周壁は、シール(流体供給チャネル・シールまたは流体排出チャネル・シールのいずれか)に対してさらなる支持を提供し、シールがシステム中で加圧された流体、例えば、反応流体、パージ流体または希釈流体、によりその上にかけられる圧力をよりよく持ちこたえることを助ける。シートの周壁はまた、この圧力によりシールが変形し過ぎることを防ぎ、このことは密閉作用を改善する。
【0041】
シートは例えば、チップ・チャンバーの平坦な壁中に、または、チップ・チャンバーの平坦な壁上に形成されたカラー(collar)の側に、くぼみとして形成される。
【0042】
考え得る態様では、シートの頂部は、マイクロ流体チップからある距離を置いており、該距離は、200 μm以下であるが、0 μmよりは長い。好ましくは10 μmと150 μmとの間であり、必要に応じて30 μmと70 μmとの間であってもよい。例えば、前記距離は200 μmと50 μmとの間である。
【0043】
流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シール用のシートの頂部がマイクロ流体チップと接触すれば、シートの頂部とマイクロ流体チップとの接触点またはその近辺における局所的な応力集中(local stress concentrations)により、マイクロ流体チップの破損の危険性が高まる。また、多くのタイプのシールは、適切な密閉作用を獲得するために、軸方向に締め付けられる必要がある。そのような適切な締め付け(クランプ)は、シートが十分にきつく締め付けられる前にシートの頂部がマイクロ流体チップに接触する場合には、保障されるとは言えないかもしれない。
【0044】
一方、シールのシートの頂部間の距離がマイクロ流体チップからそれほど離れていなければ有利である。この距離が大きすぎれば、シール(流体供給チャネル・シールまたは流体排出チャネル・シールのいずれか)が、シートの頂部とマイクロ流体チップとの間の領域内でシートの周壁により支持されないため、その領域内でシステム中の加圧された流体の影響を受けて膨張し得る。結果的に、シールはそのシートから滑り落ち得、このことは漏れを引き起こす。実際、シートの頂部とマイクロ流体チップとの距離が約200 μmであるとき、シールはシートから滑り落ちないことが明らかである。
【0045】
考え得る態様では、チップ口チャネルおよび/または少なくとも一つのチップ口チャネルの直径は、0.7 mm以下である。好ましくは、この直径は0.5 mm以下であり、必要に応じて、0.2 mmと0.4 mmとの間であってもよい。
【0046】
考え得る態様では、チップ入口チャネルおよび/または少なくとも一つのチップ出口チャネルの直径は、前記チャネルの長さと共に変化し、前記チャネルの平均直径が前記チャネルの長さと同じかそれより小さいとき、前記チャネルは必要に応じて円錐形を有していてもよい。そのような態様では、前記チャネルの平均直径が「直径」と解釈されるべきである。必要に応じて、チップ入口チャネルおよび/または少なくとも一つのチップ出口チャネルの直径が前記チャネルの長さと共に変化する態様では、前記チャネルの最大直径が前記チャネルの長さと同じかそれより小さくてもよい。
【0047】
必要に応じて、チップ保持容器は、金属製、例えばステンレス鋼製、であってもよい。
【0048】
考え得る態様では、チップ保持容器の容器本体は:
− ベース(該ベースはチップ・チャンバーの平坦な壁の一方を有し、かつ、該ベースはさらに第一シール面を有する)、および
− カバー(該カバーはチップ・チャンバーの平坦な壁のもう一方を有し、かつ、該カバーはさらに第二シール面を有する)
を有する、
【0049】
ベースおよびカバーは、第一および第二シール面が互いに接触しているとき、共にチップ・チャンバーを囲う。チップ保持容器はさらに、周方向シール(circumferential seal)を有し、該周方向シールは、第一シール面および第二シール面に接触しており、かつ、チップ・チャンバーの外周の周囲に拡がる。周方向シールは、チップ保持容器のチップ・チャンバーの適切な密閉を提供することを助け、このことは、信頼性のある漏れの検出を可能にするため、チップ・チャンバーが作動中に周囲気圧(雰囲気圧)下にあるように意図されている態様にとってさえ有利である。
【0050】
チップ・チャンバーの周方向チャンバー壁は、ベースもしくはカバー、またはベースおよびカバーの両方によって形成され得る。
【0051】
必要に応じて、ベースおよび/またはカバーは、金属製、例えばステンレス鋼製、であってもよい。必要に応じて、カバーおよび/またはベースは、モノリシック(単一構造)であってもよい。
【0052】
好ましくは、チップ保持容器は、マイクロ流体チップを完全に囲む。
【0053】
必要に応じて、カバーおよびベースは、一つ以上の締め具、例えばねじ、ボルト、ボルトおよびナット、または一つ以上のクランプ、を用いて互いに接続可能であってもよい。
【0054】
ほとんどの態様では、本発明によるチップ保持容器は、チップ・チャンバーを能動的におよび/または意図的に加圧するためのいかなる設備も必要としない。
【0055】
必要に応じて、チップ保持容器またはその一部(例えば、チップ・チャンバー)は、温度制御され、加熱され、および/または冷却されてもよい。例えば、チップ保持容器中のマイクロ流体チップを通って流れるガス状流体の凝縮を防ぐために、チップ保持容器または少なくともチップ・チャンバーを加熱することは有利であり得る。例えば、チップ保持容器または少なくともチップ・チャンバーは、200 ℃−300 ℃まで加熱され得る。必要に応じて、本発明の反応器システムは、チップ保持容器またはその一部の温度制御、加熱および/または冷却のための熱的(サーマル)デバイスを有していてもよい。そのような熱的デバイスは、チップ・チャンバーの内側または外側に配置され得る。適切な熱的デバイスは、例えば、ペルチェ素子、電熱器を含む。
【0056】
好ましくは、加熱または冷却によりマイクロ流体チップ中に熱応力が生じ得るため、この態様では漏れ検出が提供される。例えば、この態様は、本願に記載されるように、漏れ検出の変形の一つ以上と組み合わされる。
【0057】
全般的には、マイクロ流体チップがチップ保持容器のチップ・チャンバー中に、マイクロ流体チップが特に反応器システムの作動中に曲げにさらされないような方法で配置されれば有利である。マイクロ流体チップは通常、特にシリコン、ガラスまたは石英のような脆性材料からなるときは、曲げに対する耐性が低い。
【0058】
マイクロ流体チップ上の曲げ荷重(bending loads)は、マイクロ流体チップ用の一つ以上の支持体表面を提供することによって妨げられ得る。これらの一つ以上の支持体表面の配置は、好ましくは、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールがマイクロ流体チップに係合する位置を考慮する。これらのシールは、マイクロ流体チップの外表面に係合する。支持体表面もまた、マイクロ流体チップの外表面に、好ましくは、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールがマイクロ流体チップに係合する位置のちょうど反対側の位置に係合する。
【0059】
考え得る態様では、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールが全てマイクロ流体チップを片面に係合し、チップ保持容器は、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールがマイクロ流体チップに係合する面と反対側の面で、外表面全体に亘ってマイクロ流体チップに係合する支持体表面を有する。
【0060】
考え得る態様では、容器本体は開口部を有し、前記開口部は、チップ・チャンバーを周囲気圧量に接続させ、−反応器システムの作動中−チップ・チャンバー中の圧力が概して周囲気圧となるようにする。周囲気圧量は、例えば、大気、排気装置の内部容積もしくは廃棄物容器または概して周囲気圧下にある他のタイプの容器であり得る。
【0061】
この態様は、マイクロ流体チップ中またはマイクロ流体チップとの流体接続中で発生する漏れの検出を可能にする。漏れの場合、漏れる物質は、開口部を通ってチップ・チャンバーから漏れ出るであろう。これは、例えばフロー検出器により検出され得る。あるいは、チップ保持容器中の開口部は、検出導管(detection conduit)に接続されていてもよく、該導管は、チップ保持容器中の開口部に接続される端部の反対側に開口端を有する。この検出導管の開口端は、流体に浸される。ガス状物質がマイクロ流体チップまたはマイクロ流体チップとの流体接続から漏れ出るとき、このガス性物質は開口部および検出導管を介してチップ保持容器から出るであろう。ガス性物質が開口端を介して検出導管から出るとき、泡が生じるであろう。これらの泡は、その結果、例えば視覚的に検出され得る。
【0062】
液状物質がマイクロ流体チップまたはマイクロ流体チップとの流体接続から漏れ出るとき、この物質は、液滴または流れの形状で、開口部を介してチップ保持容器から出るであろう。液滴または流れは、その結果、例えば視覚的に検出され得る。
【0063】
考え得る態様では、チップ・チャンバーは、開口部を介して大気に流体連通している。
【0064】
考え得る態様では、反応器システムはさらに、廃棄物容器を有し、該廃棄物容器は、開口部を介してチップ・チャンバーに流体連通している。
【0065】
考え得る態様では、反応器システムはさらに、フロー検出器を有し、該フロー検出器は、開口部を通してチップ・チャンバーからの流体フローの存在を検出するように適合されている。
【0066】
考え得る態様では、チップ保持容器は外表面を有し、開口部は圧力チップ・チャンバーからチャンバー外表面まで延びる。
【0067】
必要に応じて、この態様では、圧力チップ・チャンバーは開口部を介して大気に流体連通していてもよい(したがって、大気が周囲気圧量である)。このことは、チップ・チャンバー中の圧力がまさに実質的に周囲のものとなることを確実にする。この態様の変形はもちろん、非毒性もしくはそうでなければ無害の流体がマイクロ流体チップを通って流れるとき、および/または少量の流体のみが使用されるときにのみ適している。なぜなら、マイクロ流体チップまたはそのチップ保持容器の流体供給チャネルおよび/または流体排出チャネルへの接続部中の漏れの場合、マイクロ流体チップに搬送される流体もまた、チップ保持容器中の開口部を介して漏れ出るからである。
【0068】
この態様の別の変形では、必要に応じて、反応器システムはさらに、廃棄物容器、例えば周囲気圧廃棄物容器、を有していてもよく、該廃棄物容器は、開口部を介して圧力チップ・チャンバーに流体連通している。この変形は、毒性もしくはそうでなければ有害の流体がマイクロ流体チップを通って流れるときに適している。なぜなら、マイクロ流体チップまたはそのチップ保持容器の流体供給チャネルおよび/または流体排出チャネルへの接続部中の漏れの場合、マイクロ流体チップに搬送される流体は、廃棄物容器中で捕捉されるからである。廃棄物容器は、好ましくは、漏洩流体の流入が廃棄物容器中の(必要に応じて、周囲)気圧にそれほど大きな影響を与えないように、漏洩流体の予想量よりはるかに大きい、例えば少なくとも十倍大きい、容積を有する。廃棄物容器は、例えば、安全フロー・ライン(safety flow line)によりチップ保持容器中の開口部に接続され得る。
【0069】
必要に応じて、反応器システムはさらに、フロー検出器を有していてもよく、該フロー検出器は、開口部を通してチップ・チャンバーからの流体フローの存在を検出するように適合している。そのような流体フローは、大概、漏れの存在を指し示し、したがって、フロー検出器は漏れ検出器として用いられ得る。必要に応じて、フロー検出器は熱伝導度検出器であってもよい。
【0070】
フロー検出器は、フローを検出するために開口部中に直接配置され得るが、その代わりに、安全フロー・ラインを介してチップ保持容器中の開口部に接続する廃棄物容器が存在するとき、フロー検出器は、チップ保持容器と廃棄物容器との間のこの安全フロー・ラインにフローを検出するために配置され得る。
【0071】
考え得る態様では、システムは、チップ・チャンバー内の圧力の圧力変化を検出するためのチップ・チャンバー圧力検出器を有する。そのような圧力変化は、大概、漏れの存在を指し示し、したがって、フロー検出器は漏れ検出器として用いられ得る。この態様は特に、開口部が小口径を有し、それにより全漏洩流体が即座にチップ・チャンバーから流れ出るのを妨げる流体フローへの抵抗を有する態様、または、開口部が全く存在しない態様に適している。
【0072】
ほとんどの態様では、システム中の反応器に供給される加圧された流体は、チップ・チャンバーには入らない:それは、流体供給チャネルを通って、チップ入口チャネル、流量制限器チャネル、チップ出口チャネルおよび流体排出チャネルへ流れる。流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールは、加圧された流体がチップ・チャンバーに入るのを妨げる。
【0073】
好ましくは、この態様では、チップ・チャンバーは、反応器システムの通常作動中、周囲気圧下にある。しかしながら、(例えば、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シールの一つにおける)マイクロ流体チップまたはマイクロ流体チップとの流体接続中の漏れの場合、圧力は、特にチップ・チャンバーが気密および/または液密であるとき、チップ・チャンバー中で増大し得る。必要に応じて、反応器システムは、漏れの指標であるチップ・チャンバー中の圧力変化(例えば、圧力の増大)を検出するためのチップ・チャンバー圧力検出器(例えば、圧力センサーまたは圧力計)を有していてもよい。
【0074】
反応器システムの作動中にチップ・チャンバーを周囲圧力下に保つことは、反応器システムを公知の反応器システムより安全にする。なぜなら、この方法で本発明の反応器システムを作動させることは、高圧下で比較的大容量を伴わないからである。
【0075】
考え得る態様では、流体供給チャネル・シールおよび/または少なくとも一つの流体排出チャネル・シールは、中心孔のある円環形を有する。この態様では、チップ保持容器はさらに、少なくとも一つのチューブ状要素を有し、該チューブ状要素は前記シールの中心孔を通って延びる。このチューブ状要素は、環状シールが、中心孔が閉じられるような方法で変形することを妨げる。
【0076】
全般的には、チップ保持容器は、流体マイクロチップのみを収容し、必要に応じて、チップ・チャンバー内にいくつかのシールまたは接続部を収容していてもよい。反応器、バルブ等は、チップ保持容器の外側に配置される。このことは、マイクロ流体チップ中またはマイクロ流体チップへの、もしくはマイクロ流体チップからの接続部中の漏れの適切な検出を可能にする。
【0077】
必要に応じて、チップ保持容器は、マイクロ流体チップを完全に囲んでいてもよい。公知のチップ保持容器はしばしば、隙間または窓を有し、したがって、流量制限器チャネルを通る流体フローが、例えば顕微鏡で、観察され、または監視され得る。全般的には、このことは、本発明のシステムにおけるマイクロ流体チップの適用には必要ないであろう。
【0078】
好ましくは、マイクロ流体チップは、反応器システム中に解放可能なように配置される。したがって、例えば、マイクロ流体チップは、好ましくは、容器本体に接着されていない、および/または、例えばフロー・ラインの接着接合部を有しない。
【0079】
この態様では、マイクロ流体チップは、例えば、マイクロ流体チップが損傷を受ける場合、一つ以上の流量制限器チャネルが塞がれるとき、または別の特徴を有するマイクロ流体チップが新たな実験のために必要とされるとき、他のマイクロ流体チップと容易に交換され得る。
【0080】
請求項1に記載される本発明の反応系では、マイクロ流体チップは、フロー・スプリッターの機能を果たす。しかしながら、代替的または追加的に、本発明の反応器システムでは、マイクロ流体チップは、反応器を収容するためには用いられないものの、流量制限器チャネルを有するマイクロ流体チップが、本発明のシステム中の他の場所で用いられてもよい。
【0081】
本発明の代替形態では、反応器システムは、高スループット・アプリケーションのための反応器システムであって、該反応器システムは:
− 複数の反応器アセンブリを有し、それぞれの反応器アセンブリは:
− フロー・スルー反応器を有し、前記フロー・スルー反応器は、反応器入口および反応器出口を有し、該フロー・スルー反応器は、化学反応を収容するように適合されており、
− 反応器搬送ラインを有し、該反応器搬送ラインは、第一および第二端部を有し、前記第二端部は、フロー・スルー反応器の反応器入口に接続されており、
前記反応器搬送ラインは、フロー・スルー反応器へ流体を供給するように適合されており、
− 反応器排液ラインを有し、該反応器排液ラインは、第一端部を有し、該第一端部は、フロー・スルー反応器の反応器出口に接続されており、
前記反応器排液ラインは、フロー・スルー反応器から反応器排液を排出するように適合されており、
該反応器システムは、
− 流体源を有し、該流体源は、フロー・スルー反応器に加圧された流体を提供するように適合されており、
− 流体源から反応器アセンブリへ前記加圧された流体を移動させるように適合されている流路制御器(flow path controller)を有し、前記加圧された流体がフロー・スルー反応器内の反応中で用いられ得るようになっており、
該流路制御器は、流体源の下流かつ反応器アセンブリの上流に配置されており、
該流路制御器は、流路制御器入口を有し、該流路制御器入口は、流体源に流体連通しており、流体源から加圧された流体を受け取るように適合されており、
該流路制御器はさらに、複数の流路制御器出口を有し、それぞれの流路制御器出口は、関連する反応器アセンブリの反応器搬送ラインの第一端部に流体連通しており、流体源から関連する反応器アセンブリへ加圧された流体を提供するよう適合されており、
ここで、少なくとも一つの反応器搬送ラインおよび/または反応器排液ライン中に流量制限器チャネルが存在し、該流量制限器チャネルは、平坦なマイクロ流体チップ中に配置され、該マイクロ流体チップはさらに、流量制限器チャネルに流体連通しているチップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルを有し、チップ入口チャネルは流量制限器チャネルの上流にあり、チップ出口チャネルは流量制限器チャネルの下流にあり、前記チップ入口チャネルおよび前記チップ出口チャネルは両方とも長さおよび直径を有し、ここで直径は前記チャネルの長さと同じかそれより小さい。
【0082】
本発明のこの代替的な反応器システムは、請求項1の反応器システムに類似するが、マイクロ流体チップはシステム中の異なる位置に存在する。本発明のこの代替的な反応器システムでは、マイクロ流体チップは、反応器搬送ライン中および/または反応器排液ライン中に存在する。
【0083】
本発明によれば、代替的な反応器システムは、一つ以上の流量制限器チャネルを有する。少なくとも一つの反応器アセンブリの反応器搬送ラインおよび/または反応器排液ライン中に流量制限器チャネルが存在し、該流量制限器チャネルは、平坦なマイクロ流体チップ中に配置される。このマイクロ流体チップはさらに、流量制限器チャネルに流体連通しているチップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルを有する。チップ入口チャネルは流量制限器チャネルの上流にあり、チップ出口チャネルは流量制限器チャネルの下流にある。チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルは両方とも長さおよび直径を有する。本発明によれば、これらのチップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルの直径は、前記チャネルの長さと同じかそれより小さい。
【0084】
本発明のこの代替的な反応器システムでは、例えば、それぞれの反応器搬送ライン中に一つのマイクロ流体チップ、またはそれぞれの反応器排液ライン中に一つのマイクロ流体チップ、またはそれぞれの反応器搬送ライン中に一つのマイクロ流体チップかつそれぞれの反応器排液ライン中に一つのマイクロ流体チップ、というように、複数の流体チップが存在することが可能である。
【0085】
本発明の代替的な反応器システムは、流路制御器、例えば切替バルブ(selection valve)、フロー・スプリッター、またはマニホールド(manifold;多岐管)を有する。流路制御器は、流体源の下流かつ反応器アセンブリの上流に配置される。流路制御器は、流体源から流体を受け取り、反応器アセンブリへこの受け取られた流体を向かわせる。必要に応じて、流路制御器は、受け取られた流体を、同時に全ての反応器アセンブリへ向かわせてもよく、同時にいくつかの反応器アセンブリへ向かわせてもよい。あるいは、流路制御器は、受け取られた流体を、一度に一つの反応器アセンブリへ向かわせ、連続的に全ての反応器アセンブリへ向かわせる。
【0086】
必要に応じて、請求項1の反応器システムと本発明の代替的な反応器システムは組み合わされてもよく、該組み合わされたシステムでは、流路制御器は、請求項1のマイクロ流体チップであるフロー・スプリッターである。
【0087】
流路制御器は、流体源に流体連通している流路制御器入口を有する。流路制御器入口は、流体源から加圧された流体を受け取るように適合されている。流路制御器入口は、流体源に流体連通している。
【0088】
流路制御器はさらに、複数の流路制御器出口を有する。それぞれの流路制御器出口は、関連する反応器アセンブリ、特にその関連する反応器アセンブリの反応器搬送ラインの第一端部、に流体連通している。それぞれの流路制御器出口は、流体源から関連する反応器アセンブリへ加圧された流体を提供するように適合されている。
【0089】
考え得る態様では、本発明の代替的なシステムにおいて、少なくとも一つのマイクロ流体チップがチップ保持容器中に配置されており、該チップ保持容器は:
− 容器本体を有し、
− 前記容器本体中にチップ・チャンバーを有し、前記チップ・チャンバーはその中にマイクロ流体チップを収容しており、該チップ・チャンバーは、二つの概して平坦な壁および周方向チャンバー壁で区切られており、該平坦な壁は、チップ・チャンバーの両側に配置されており、
− 前記容器本体中に流体供給チャネルを有し、該流体供給チャネルは、流体供給チャネル入口および流体供給チャネル出口を有しており、
該流体供給チャネルは、その中に流量制限器チャネルが配置される反応器搬送ラインまたは反応器排液ラインから流体を受け取り、マイクロ流体チップのチップ入口チャネルへ前記流体を供給するように適合されており、
ここで、流体供給チャネル入口は、その中に流量制限器チャネルが配置される反応器搬送ラインまたは反応器排液ラインに流体連通しており、流体供給チャネル出口は、チップ入口チャネルに流体連通しており、かつ
該チップ保持容器は、
− 流体供給チャネル出口の周囲に拡がり、マイクロ流体チップに係合する流体供給チャネル・シールを有し、かつ
− 前記容器本体中に流体排出チャネルを有し、該流体排出チャネルは、流体排出チャネル入口および流体排出チャネル出口を有しており、
該流体排出チャネルは、マイクロ流体チップのチップ出口チャネルから流体を受け取り、その中に流量制限器チャネルが配置される反応器搬送ラインまたは反応器排液ラインへ前記流体を供給するように適合されており、
ここで、流体排出チャネル入口は、チップ出口チャネルに流体連通しており、流体排出チャネル出口は、その中に流量制限器チャネルが配置される反応器搬送ラインまたは反応器排液ラインに流体連通しており、かつ
− 流体排出チャネル入口の周囲に拡がる流体排出チャネル・シールを有し、ここで、前記流体排出チャネル・シールはマイクロ流体チップに係合し、かつ
ここで、チップ保持容器は、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シール用のシートを有し、該シートはそれぞれ、周壁、底面および開口した頂部を有し、該周壁は、前記シート中に配置されるシールを支持する。
【0090】
請求項1の反応器システムのマイクロ流体チップ、チップ保持容器およびその他の要素の任意の特徴は、代替的な反応器システムでも同様に任意の特徴である。
【0091】
例えば、代替的な反応器の考え得る態様では、少なくとも一つのマイクロ流体チップのチップ口チャネルおよび/またはチップ口チャネルの直径は、0.7 mm以下である。好ましくは、この直径は0.5 mm以下であり、必要に応じて、0.2 mmと0.4 mmとの間であってもよい。
【0092】
さらなる例として、代替的な反応器の考え得る態様では、マイクロ流体チップのチップ入口チャネルおよび/またはチップ出口チャネルの直径は、前記チャネルの長さと共に変化し、前記チャネルの平均直径が前記チャネルの長さと同じかそれより小さいとき、前記チャネルは必要に応じて円錐形を有していてもよい。そのような態様では、前記チャネルの平均直径が「直径」と解釈されるべきである。必要に応じて、チップ入口チャネルおよび/または少なくとも一つのチップ出口チャネルの直径が前記チャネルの長さと共に変化する態様では、前記チャネルの最大直径が前記チャネルの長さと同じかそれより小さくてもよい。
【0093】
さらなる例として、代替的な反応器の考え得る態様では、マイクロ流体チップは、第一本体プレートおよび第二本体プレートを有し、これらは互いに接続している。これらの本体プレートは、例えばガラス、シリコンまたは石英からなり、マイクロ流体チップの「層(複数)」を形成する。第一本体プレートおよび前記第二本体プレートはそれぞれ、厚さを有する。これらの厚さは、同じであっても異なっていてもよい。必要に応じて、マイクロ流体チップは、二つ以上の本体プレート、例えば、第一、第二および第三本体プレート、を有していてもよい。
【0094】
この態様では、チップ入口チャネルは、第一本体プレートに存在し、前記第一本体プレートの厚さを通して延びる。チップ出口チャネルは、第一本体プレートおよび/または第二本体プレートおよび/またはさらなる本体プレートに存在し、前記第一本体プレートおよび/または前記第二本体プレートおよび/またはさらなる本体プレートの厚さを通して延びる。したがって、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルは、第一もしくは第二本体プレートまたはさらなる本体プレートを通る貫通孔により形成される。
【0095】
全般的には、チップ入口チャネルとチップ出口チャネルの一つとの間を延びる流量制限器チャネルは、第一および/もしくは第二本体プレートならびに/またはさらなる本体プレートのいずれかの平坦な表面内に形成される。流量制限器チャネルは、それをもって、多くの場合、マイクロ流体チップの同一の本体プレートに存在するチップ入口チャネルおよび/またはチップ出口チャネルに対して垂直に延びる。
【0096】
本体プレートは、例えば、1.0 mm、0.7 mmまたは0.5 mmの厚さを有する。本体プレートが1.0 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.3 mmと1.0 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.5 mmと0.75 mmとの間の直径で有していてもよい。本体プレートが0.7 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.2 mmと0.7 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.3 mmと0.4 mmとの間の直径で有していてもよい。本体プレートが0.5 mmの厚さを有する場合、チップ入口チャネル(存在する場合)の直径および前記本体プレートの厚さを通して延びるあらゆるチップ出口チャネルは、例えば0.1 mmと0.5 mmとの間の直径を有し、必要に応じて0.2 mmと0.3 mmとの間の直径で有していてもよい。
【0097】
さらなる例として、少なくとも一つのマイクロ流体チップがチップ保持容器中に配置される代替的な反応器の態様では、シートの頂部は、マイクロ流体チップからある距離を置いており、該距離は、200 μm以下であるが、0 μmよりは長い。好ましくは10 μmと150 μmとの間であり、必要に応じて30 μmと70 μmとの間であってもよい。例えば、前記距離は200 μmと50 μmとの間である。
【0098】
必要に応じて、本発明の代替的な反応器システムはさらに、バルブ・システム(valve system)を有していてもよく、該バルブ・システムは、漏れが検出されたマイクロ流体チップへの流体フローを妨げることを可能にする。
【0099】
本発明の代替的な反応器システムの考え得る態様では、チップ保持容器は一つのチップ・チャンバーを有し、かつ該チップ・チャンバーは一つのマイクロ流体チップを収容するように適合されている。
【0100】
本発明の代替的な反応器システムの考え得る態様では、チップ保持容器は、一つのチップ・チャンバーを有し、かつ該チップ・チャンバーは、複数のマイクロ流体チップを収容するように適合されている。この態様では、チップ保持容器は、複数の流体供給チャネルおよび複数の流体排出チャネルを有し、ここで、それぞれの流体供給チャネルおよびそれぞれの流体排出チャネルは、マイクロ流体チップの流量制限器チャネルに結合している。
【0101】
本発明の代替的な反応器システムの考え得る態様では、チップ保持容器は、複数のチップ・チャンバーを有し、かつそれぞれのチップ・チャンバーは、一つのマイクロ流体チップを収容するように適合されている。この態様では、チップ保持容器は、複数の流体供給チャネルおよび複数の流体排出チャネルを有し、ここで、それぞれの流体供給チャネルおよびそれぞれの流体排出チャネルは、マイクロ流体チップの流量制限器チャネルに結合している。
【0102】
本発明は、図面を参照して以下に詳細に記載され、該図面では、本発明の限定的でない例示的な態様が示されるであろう。
【0103】
図面は、示す。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1】本発明の反応器システムの第一態様の図式的概観。
図2】断面で示した本発明のチップ保持容器中のマイクロ流体チップの例。図2Aは詳細を示す。
図2A】断面で示した本発明のチップ保持容器中のマイクロ流体チップの例。図2Aは詳細を示す。
図3】本発明のチップ保持容器のさらなる考え得る態様におけるマイクロ流体チップの例の詳細。
図4】本発明のチップ保持容器のさらなる考え得る態様におけるマイクロ流体チップの例。
図5】本発明の代替的な反応器システムの第一態様の図式的概観。
図6】本発明の代替的な反応器システムのさらなる態様。
図7】本発明の代替的な反応器システムのさらなる態様。
図5】本発明の代替的な反応器システムのさらなる態様。
図6】本発明の代替的な反応器システムのさらなる態様。
図9】本発明の代替的な反応器システムのさらなる態様。
図10】その中にマイクロ流体チップが配置されるチップ・チャンバーを有するチップ保持容器の態様。
図11】その中にマイクロ流体チップが配置されるチップ・チャンバーを有するチップ保持容器のさらなる態様。
【発明を実施するための形態】
【0105】
図1は、本発明の反応器システムの第一態様の図式的概観を示す。
【0106】
図1の反応器システムは、四つの反応器アセンブリ1を有する。しかしながら、本発明の反応器システムは、全般的には一つより多い反応器アセンブリがあるであろうが、あらゆる他の数の反応器を有することが可能である。
【0107】
それぞれの反応器アセンブリ1は、フロー・スルー反応器2、反応器搬送ライン5および反応器排液ライン8を有する。フロー・スルー反応器2は全て、反応器入口3および反応器出口4を有する。反応器搬送ライン5は全て、第一端部6および第二端部7を有する。反応器排液ライン8は全て、第一端部9を有する。それぞれの反応器アセンブリ1において、反応器搬送ライン5の第二端部7は、反応器入口3に接続されており、反応器排液ライン8の第一端部9は、反応器出口4に接続されている。
【0108】
図1の反応器システムはさらに、流体源12を有し、該流体源は、フロー・スルー反応器2に加圧された流体を提供するように適合されている。本発明の反応器システムは、高流体圧下、例えば、約20バール以上、約30バール以上、約30バールから100バール、または約30バールから300バールの反応器圧力、での操作に適している。これらの高圧下での操作に適した反応器システムは、例えば、システム中で加圧された流体と接触する構造要素の壁の厚さが、これらの高圧下でシステムの構造的完全性を維持するために十分であることを意味する。さらに、例えば、用いられるシールおよび/またはバルブもまた、高圧操作に適している。
【0109】
図1の反応器システムはさらに、フロー・スプリッター15を有する。図1に見られるように、フロー・スプリッター15は、流体源12の下流かつ反応器アセンブリの上流に配置される。フロー・スプリッターは、平坦なマイクロ流体チップ21を有し、該マイクロ流体チップは、チップ保持容器30のチップ・チャンバー36中に配置される。チップ保持容器30は例えば、図2に示されるタイプのチップ保持容器30である。
【0110】
この態様においてフロー・スプリッター中で用いられるマイクロ流体チップ21は、複数の流量制限器チャネル22に流体連通しているチップ入口チャネル23を有する。流量制限器22もまた、この態様ではマイクロ流体チップ21中に配置される。それぞれの流量制限器チャネル22は、チップ出口チャネル24に流体連通している。
【0111】
チップ入口チャネル23は、流体源12に流体連通しており、流体源から加圧された流体を受け取るように適合されている。加圧された流体は例えば、反応流体、パージ流体または希釈流体である。
【0112】
それぞれのチップ出口チャネル24は、関連する反応器アセンブリ1の反応器搬送ライン5の第一端部6に流体連通しており、流体源から関連する反応器アセンブリへ加圧された流体を供給するように適合されており、前記加圧された流体がフロー・スルー反応器2中の反応で使用され得るようになっている。
【0113】
チップ入口チャネル23およびチップ出口チャネル24はそれぞれ、直径を有し、該直径は、前記チャネル23、24の長さと同じかそれより小さい。
【0114】
この態様におけるチップ保持容器30は、流体供給チャネル37および複数の流体排出チャネル38を有する。流体供給チャネル37は、チップ入口チャネル23に流体連通している。流体排出チャネル38は、関連するチップ出口チャネル24に流体連通している。
【0115】
流体供給チャネル37の入口は、流体源12に流体連通しており、この流体源12から加圧された流体を受け取る。それぞれの流体排出チャネル38の出口は、関連する反応器アセンブリ1の反応器搬送ライン5の第一端部6に流体連通している。関連する反応器アセンブリ1は、関連する流体排出チャネル38の出口を通して加圧された流体を受け取る。
【0116】
図1の態様では、反応器排液は、排液ライン8により反応器2から排出される。例えば、排液ラインは、切替バルブ70に接続されており、該切替バルブは、反応器2の一つの排液フロー(effluent flow)を分析器71に向かわせ、他のフローを廃棄物72に向かわせる。連続的に、一つ一つ全ての排液フローが分析器71に向かわされ、したがって全ての排液フローが個別に連続的に分析され得る。
【0117】
図1の態様では、チップ保持容器30は、開口部39を備えている。この開口部39は、チップ・チャンバー36と例えば外気との間の流体連通を提供し得る。
【0118】
代替的には、必要に応じて、反応器システムはさらに、廃棄物容器50を有していてもよく、該廃棄物容器50は、開口部39および安全ライン(safety line)51を介して関連するチップ・チャンバー36に流体連通している。これらの任意の特徴は、図1に示されている。
【0119】
必要に応じて、安全フロー・ライン51は、フロー検出器52、例えば熱伝導度検出器、を備えていてもよく、該検出器は、チップ・チャンバー36から周囲気圧廃棄物容器50へ安全ライン51を通る流体フローを検出するように適合されている。そのようなフローは、マイクロ流体チップ中またはそのチップ保持容器の流体搬送チャネルおよび流体排出チャネルへの接続部中の漏れの存在を示す。
【0120】
必要に応じて、廃棄物容器50は、周囲気圧廃棄物容器50であってもよい。周囲気圧廃棄物容器は、本発明の反応器システムの作動中、周囲気圧下または概して周囲気圧下で作動する。マイクロ流体チップ中またはそのチップ保持容器の流体搬送チャネルおよび流体排出チャネルへの接続部中の漏れの場合、漏洩流体は、安全フロー・ライン51を介して周囲気圧廃棄物容器へ安全に排出される。
【0121】
好ましくは、周囲気圧廃棄物容器は、あらゆる漏洩流体をも受け取るように大容量であり、いかなる漏洩流体の流入も周囲気圧廃棄物容器内の気圧を周囲気圧より顕著に上昇させないようになっている。実際、このことは、例えば、実験中に用いられる流体の容積の少なくとも10倍の容積を有する周囲気圧廃棄物容器を用いて実現され得る。
【0122】
図2は、断面で示した、本発明のチップ保持容器30の第一の考え得る態様におけるマイクロ流体チップ21の例を示す。
【0123】
マイクロ流体チップ21は、この例では、流体抵抗材料、例えば、ガラス、石英、シリコンまたは金属、の第一本体プレート27および第二本体プレート28から作り出される。流量制限器チャネル22は、本体プレート27、28の接合部分に、例えば一方または両方の本体プレート内にチャネルをエッチングすることにより形成した。第一本体プレート27および第二本体プレート28は、接合されてマイクロ流体チップ21を形成する。第一および第二本体プレート27、28の材料は、例えば、ガラス、石英、シリコンまたは金属である。
【0124】
マイクロ流体チップ21はさらに、チップ入口チャネル23および複数のチップ入口チャネル24(そのうちの一つがファントム画法で示される)を有する。マイクロ流体チップ21はさらに、第一の平坦な壁26および第二の平坦な壁25を有する。
【0125】
図2の例では、チップ入口チャネル23およびチップ出口チャネル24は全て、流量制限器チャネル22と第一の平坦な表面26との間を延びる。あるいは、チップ入口チャネル23およびチップ出口チャネル24の両方が、流量制限器チャネル22と第二の平坦な表面25との間を延びることや、チップ入口チャネル23およびチップ出口チャネル24の一つ以上が、流量制限器チャネル22と第一の平坦な表面26との間を延び、かつ、その他のチップ入口チャネル23およびチップ出口チャネル24が、流量制限器チャネル22と第二の平坦な表面25との間を延びることも可能である。
【0126】
チップ保持容器は、外表面45を持つ本体47を有する。チップ保持容器30は、本体47中にチップ・チャンバー36を有し、該チップ・チャンバー36中には、マイクロ流体チップ21が配置される。チップ・チャンバー36は、反応器システムの作動中、好ましくは加圧されておらず、したがって、チップ・チャンバー36は、反応器システムの作動中、高圧下ではなく周囲気圧下にある。
【0127】
チップ・チャンバー30は、第一の平坦なチャンバー壁42、第二の平坦なチャンバー壁43および周方向チャンバー壁44により区切られる。
【0128】
チップ保持容器30の本体47はさらに、流体供給チャネル37および複数の流体排出チャネル38(そのうちの一つが図2に示される)を有する。流体供給チャネル37は、流体供給チャネル入口37aおよび流体供給チャネル出口37bを有する。それぞれの流体排出チャネル38は、流体排出チャネル入口38aおよび流体排出チャネル出口38bを有する。
【0129】
流体供給チャネル37は、流体源12から流体を受け取り、マイクロ流体チップ21の流量制限器チャネル22へ前記流体を供給するように適合されている。流体供給チャネル入口37aは、流体源12に流体連通しており、流体供給チャネル出口37bは、チップ入口チャネル23に流体連通している。
【0130】
それぞれの流体排出チャネル38は、マイクロ流体チップ21の流量制限器チャネル22から流体を受け取り、関連する反応器アセンブリ1へ前記流体を供給するように適合されている。全般的には、「関連する反応器アセンブリ」は、それぞれの流体排出チャネル38について異なる反応器アセンブリである。全般的には、それぞれのチップ出口チャネル24は、異なる流体排出チャネル38に流体連通しており、同様に、それぞれの流体排出チャネル38は、異なる反応器アセンブリ1に流体連通している。
【0131】
流体排出チャネル入口38aは、チップ出口チャネル24に流体連通しており、流体排出チャネル出口38bは、関連する反応器アセンブリ1に流体連通している。
【0132】
図2の態様で説明されるように、チップ保持容器30はさらに、流体供給チャネル・シール40を有する。この流体供給チャネル40は、流体供給チャネル出口とチップ入口チャネル23との間に配置される。流体供給チャネル・シール40は、流体供給チャネル出口の周囲に拡がり、マイクロ流体チップ21に係合する。例えば、流体供給チャネル・シール40は、Oリングのような、環状であり必要に応じて圧縮性であってもよいシールである。
【0133】
その上、チップ保持容器30はさらに、流体排出チャネル・シール41を有する。流体排出チャネル41は、チップ出口チャネル24と流体排出チャネル入口との間に配置される。流体排出チャネル・シール41は、流体排出チャネル入口の周囲に拡がり、マイクロ流体チップ21に係合する。例えば、流体排出チャネル・シール41は、Oリングのような、環状であり必要に応じて圧縮性であってもよいシールである。
【0134】
チップ保持容器30は、流体供給チャネル・シールおよび流体排出チャネル・シール用のシート(座部)48を有し、該シートはそれぞれ、周壁48b、底面48cおよび開口した頂部48 aを有し、該周壁48bは、前記シート48中に配置されるシール40、41を支持する。図2Aは、このことをより詳細に示す。
【0135】
好ましくは、シート48の頂部48aは、図2AにおいてDで示されるように、マイクロ流体チップ21からある距離を置いている。有利には、この距離Dは、200 μm以下であるが、0 μmよりは長い。好ましくは、距離Dは、10 μmと150 μmとの間であり、必要に応じて30 μmと70 μmとの間であってもよい。
【0136】
図2Aは、流体供給チャネル37、流体供給チャネル・シール40およびチップ入口チャネル23の状況を示す。状況は、それぞれの流体排出チャネル38、流体排出チャネル・シール41およびチップ出口チャネル24と同じか、少なくとも類似している。
【0137】
図3は、チップ入口チャネル23がその長さと共に変化する直径を有する変形を示す。本発明によれば、チップ入口チャネル23の平均直径は、チップ入口チャネルの長さより小さい。図3の変形では、チップ入口チャネルの最大直径でさえ、チップ入口チャネル23の長さより小さい。あるいは、またはさらに、チップ出口チャネル24の一つ以上が、同様にそのような形状を有し得る。さらなる変形では、チップ出口チャネル24の一つ以上のみが、そのような形状を有する。
【0138】
その上、図3の変形では、流体供給チャネル入口シール40は、中心孔を有する環状のOリングである。シール40の中心孔を通って延びるチューブ状要素57が存在する。チューブ状要素は、シール40において中心孔が開いたままになることを確実にする。チューブ状要素57は、流体供給チャネル・シール40と組み合わせて、および/または、流体排出チャネル・シール41と組み合わせて、示される態様のいずれにも存在し得る。
【0139】
図3の態様の特徴、特にチューブ状要素57ならびに変化する直径を有するチップ入口チャネルおよび/またはチップ出口チャネルは、チップ保持容器の異なった態様、例えば図2および図4の態様、において適用され得る。
【0140】
図2の態様において、チップ保持容器30の本体はさらに、チップ保持容器30の本体の外表面45とチップ・チャンバー36との間を延びる開口部39を有する。開口部39は例えば、大気またはチップ保持容器30のチップ・チャンバー36を廃棄物容器50に接続する安全フロー・ライン51に流体連通している。ある態様では、フロー検出器52が、開口部36、例えば図1に示されるフロー・ライン51、を介してのチャンバー36からのあらゆるフローを監視するために提供される。
【0141】
ここで説明されるように、チップ保持容器30の本体は、閉ざされたチャンバー36を形成する。必要に応じて、それは、本体中の開口部39を介して周囲気圧量に接続されていてもよい。
【0142】
図2に示されるように、必要に応じて、チップ保持容器30は、チップ・チャンバー圧力センサー46を備えていてもよい。
【0143】
図2の態様では、チップ保持容器30は、ベース31およびカバー32を有する。ベース31は、第一シール面33を有する。カバー32は、第二シール面34を有する。第一シール面33および第二シール面34は、チップ保持容器30が使用され、マイクロ流体チップ21を囲むとき、互いに接触している。周方向シール35、例えばOリングのような圧縮性のシール、を、マイクロ流体チップまたはそのチップ保持容器の流体搬送チャネルおよび流体排出チャネルへの接続部中の漏れの場合、全ての漏洩流体がチップ・チャンバー36中に留まるか、または開口部39を介してチップ・チャンバー36から出るかのいずれかを確実にするために提供した。このことは、システムの安全な操作の獲得の助けとなり、ここで説明されるように、迅速で信頼し得る漏れ検知を可能にし得る。
【0144】
ベース31は、チップ・チャンバー36の第一の平坦な壁42を有し、該壁42は、流体供給チャネル・シール40および流体排出チャネル・シール41用のシート48を備えている。カバーは、チップ・チャンバー36の第二の平坦な壁43を有し、該壁43は、マイクロ流体チップ21がもたれかかる平坦な表面領域を有する。カバーおよびベースは、ここで、それぞれ周方向チャンバー壁の一部も形成するが、この壁は、ベースおよびカバーのうちの一つのみで形成されていてもよく、チップ保持容器の本体のさらに別の部分として具現化されてもよい。
【0145】
好ましくは、ベース31およびカバー32はともに、金属製、例えば鋼製またはステンレス鋼製、である。好ましくは、ベース31およびカバー32はともに、チップ保持容器の本体中の継ぎ目の存在を低減するため、モノリシックな本体部分として作られる。
【0146】
ベース31およびカバー32は、例えばねじ、ボルトおよび/または一以上のクランプを用いて互いに接続され得る。
【0147】
図4は、断面で示した、本発明のチップ保持容器30の第二の考え得る態様におけるマイクロ流体チップ21の例を示す。
【0148】
図4の態様は、図2の態様に類似しているが、容器本体の第一の平坦な壁42および第二の平坦な壁43が、異なって成形される。
【0149】
第一の平坦な壁42においては、流体供給チャネル・シール40および流体排出チャネル・シール41用のシート48は、図4の態様のようにくぼみとして成形されない。むしろ、平坦な壁42は、カラー62を備えており、該カラーはシート48を形成し、軸方向かつ半径方向にシール40、41を支持する。
【0150】
図4の態様では、第二の平坦な壁43は、流体供給チャネル・シール40および流体排出チャネル・シール41がマイクロ流体チップ21に係合する場所の反対側でマイクロ流体チップ21を支持する支持体表面63を有する。これは、マイクロ流体チップ21の曲げを妨げ、それによりマイクロ流体チップ21の潜在的欠陥の重要な原因を取り除く。
【0151】
図4の態様では、第二の平坦な壁43はさらに、くぼみ55を備えており、例えば加熱器または冷却器のような熱デバイス56が配置され得る空間が形成されるようになっている。チップ保持容器は、通常小容量であろうから、その温度は、極めて容易かつ急激に変化し得る。
【0152】
図5は、本発明の代替的な反応器システムの第一態様の図式的概観を示す。本発明のこの代替的な反応器システムでは、マイクロ流体チップ21は、一つ以上の反応器搬送ラインまたは反応器排液ライン中に存在する。
【0153】
図5の反応器システムは四つの反応器アセンブリ1を有する。しかしながら、本発明の反応器システムは、全般的には一つより多い反応器アセンブリがあるであろうが、あらゆる他の数の反応器を有することが可能である。
【0154】
それぞれの反応器アセンブリ1は、フロー・スルー反応器2、反応器搬送ライン5および反応器排液ライン8を有する。フロー・スルー反応器2は全て、反応器入口3および反応器出口4を有する。反応器搬送ライン5は全て、第一端部6および第二端部7を有する。反応器排液ライン8は全て、第一端部9を有する。それぞれの反応器アセンブリ1において、反応器搬送ライン5の第二端部7は、反応器入口3に接続されており、反応器排液ライン8の第一端部9は、反応器出口4に接続されている。
【0155】
図5の反応器システムはさらに、流体源12を有し、該流体源は、フロー・スルー反応器2に加圧された流体を提供するように適合されている。本発明の反応器システムは、高流体圧下、例えば、約20バール以上、約30バール以上、約30バールから100バール、または約30バールから300バールの反応器圧力、での操作に適している。これらの高圧下での操作に適した反応器システムは、例えば、システム中で加圧された流体と接触する構造要素の壁の厚さが、これらの高圧下でシステムの構造的完全性を維持するために十分であることを意味する。さらに、例えば、用いられるシールおよび/またはバルブもまた、高圧操作に適している。
【0156】
図5の反応器システムはさらに、流路制御器15を有する。図5の態様では、流路制御器15は、流体源12から反応器アセンブリ1全体に加圧された流体を分配するマニホールドである。この態様では、流体源12からの加圧された流体は、同時に全ての反応器アセンブリ1に提供される。
【0157】
流路制御器15は、流路制御器入口16および複数の流路制御器出口17を有する。それぞれの流路制御器出口17は、関連する反応器アセンブリ1の反応器搬送ライン5の第一端部6に流体連通している。関連する反応器アセンブリ1は、流路制御器出口17を通して加圧された流体を受け取る。
【0158】
図5の反応器システムはさらに、それぞれの反応器搬送ライン5中に流量制限器チャネル22を有する。流量制限器チャネル22は、平坦なマイクロ流体チップ21中に提供され、それは、図5中に概略的に示される。図5の態様では、複数のマイクロ流体チップ21が存在し、それぞれの流体マイクロチップは、流量制限器チャネル22、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルを有する。流量制限器チャネルは、流量制限器チャネル平面に延びる。チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルは、流量制限器平面に対して実質的に垂直に延びる。チップ入口チャネルの直径は、チップ入口チャネルの長さと同じかそれより小さい。チップ出口チャネルの直径は、チップ出口チャネルの長さと同じかそれより小さい。マイクロ流体チップはさらに、第一の平坦な表面および第二の平坦な表面を有し、該第一の平坦な表面および第二の平坦な表面は、マイクロ流体チップの両側に位置し、流量制限器チャネル平面に対して実質的に平行に延びる。
【0159】
図5の態様では、それぞれの流体マイクロチップ21は、関連するチップ保持容器30中に配置され、それは、図5中に概略的に示される。図2、3および4は、チップ保持容器の考え得る態様をより詳細に示す。図2、3または4に示されるようなチップ保持容器が用いられるとき、チップ保持容器中の流体供給チャネルの数は、チップ保持容器中に存在するマイクロ流体チップ(単数)またはマイクロ流体チップ(複数)のチップ入口チャネルの数と合致し、チップ保持容器中の流体排出チャネルの数は、チップ保持容器中に存在するマイクロ流体チップ(単数)またはマイクロ流体チップ(複数)のチップ出口チャネルの数と合致するであろう。チップ保持容器30は全て、その中にマイクロ流体チップの配置されるチップ・チャンバーを有する。
【0160】
図5の態様では、必要に応じて、それぞれのチップ保持容器30のチップ・チャンバーは、安全フロー・ライン51を介して廃棄物容器50に流体連通していてもよい。廃棄物容器50は好ましくは、本発明の反応器システムの作動中、周囲気圧下または概して周囲気圧下にある。マイクロ流体チップまたはそのチップ保持容器の流体搬送チャネルおよび流体排出チャネルへの接続部中の漏れの場合、漏洩流体は、フロー・ライン51を介して廃棄物容器50へ安全に排出される。
【0161】
好ましくは、廃棄物容器50は、いかなる漏洩流体も受け取るために大容量であり、いかなる漏洩流体の流入も廃棄物容器50中の気圧を周囲気圧より顕著に上昇させないようになっている。実際、このことは、例えば実験中に用いられる流体の容積の少なくとも10倍の容積を有する周囲気圧廃棄物容器を用いて実現され得る。
【0162】
図5の態様では、必要に応じて、安全フロー・ライン51は、チップ・チャンバー36から廃棄物容器50へ安全フロー・ライン51を通る流体フローを検出するように適合されているフロー検出器52、例えば熱伝導度検出器、を備えていてもよい。そのようなフローは、マイクロ流体チップまたはそのチップ保持容器の流体搬送チャネルおよび流体排出チャネルへの接続部中の漏れの存在を示す。
【0163】
必要に応じて、図5に示されるように、一つ以上のマイクロ流体チップの漏れの効果を低減するために、バルブ・システムが提供されてもよい。そのようなバルブ・システムは例えば、それぞれの反応器搬送ライン5中に遮断バルブ53を有し、該バルブは、同一の反応器搬送ライン5中のチップ保持容器30に結合されたフロー検出器52により漏れが検出されたとき、その中にバルブ53が配置される反応器搬送ライン5を閉じることができる。例えば、これらの遮断バルブ53は、フロー検出器52からの信号に基づいて電子的に制御されており、フロー検出器52によりフローが検出されたとき、自動的に搬送ライン5を閉じるようになっている。
【0164】
図5の態様では、反応器排液は、排液ライン8により反応器2から排出される。例えば、排液ラインは、切替バルブ70に接続されており、該切替バルブは、反応器2の一つの排液フローを分析器71に向かわせ、他のフローを廃棄物72に向かわせる。連続的に、一つ一つ全ての排液フローが分析器71に向かわされ、したがって全ての排液フローが個別に連続的に分析され得る。
【0165】
図6は、本発明の代替的な反応器システムのさらなる態様を示す。
【0166】
図6の態様は、図5の態様に類似しているが、図6の態様では、複数の流量制限器チャネル22を有するマイクロ流体チップ21が存在する。図6の態様は、反応器システムの全ての反応器搬送ライン5中に全ての流量制限器チャネル22を有する一つのマイクロ流体チップを有し得る。あるいは、複数のマイクロ流体チップ21が存在し、そのうちの少なくとも一つが、複数の流量制限器チャネル22を有する。
【0167】
図6に示される態様では、流量制限器チャネル22は、反応器搬送ライン5中に配置される。あるいは、またはさらに、流量制限器チャネル22は、反応器排液ライン8中に存在していてもよい。
【0168】
図6の反応器システムは四つの反応器アセンブリ1を有する。しかしながら、本発明の反応器システムは、全般的には一つより多い反応器アセンブリがあるであろうが、あらゆる他の数の反応器を有することが可能である。
【0169】
それぞれの反応器アセンブリ1は、フロー・スルー反応器2、反応器搬送ライン5および反応器排液ライン8を有する。フロー・スルー反応器2は全て、反応器入口3および反応器出口4を有する。反応器搬送ライン5は全て、第一端部6および第二端部7を有する。反応器排液ライン8は全て、第一端部9を有する。それぞれの反応器アセンブリ1において、反応器搬送ライン5の第二端部7は、反応器入口3に接続されており、反応器排液ライン8の第一端部9は、反応器出口4に接続されている。
【0170】
図6の反応器システムはさらに、流体源12を有し、該流体源は、フロー・スルー反応器2に加圧された流体を提供するように適合されている。本発明の反応器システムは、高流体圧下、例えば、約20バール以上、約30バール以上、約30バールから100バール、または約30バールから300バールの反応器圧力、での操作に適している。これらの高圧下での操作に適した反応器システムは、例えば、システム中で加圧された流体と接触する構造要素の壁の厚さが、これらの高圧下でシステムの構造的完全性を維持するために十分であることを意味する。さらに、例えば、用いられるシールおよび/またはバルブもまた、高圧操作に適している。
【0171】
図6の反応器システムはさらに、流路制御器15を有する。図6の態様では、流路制御器15は、流体源12から反応器アセンブリ1全体に加圧された流体を分配するマニホールドである。この態様では、流体源12からの加圧された流体は、同時に全ての反応器アセンブリ1に提供される。
【0172】
流路制御器15は、流路制御器入口16および複数の流路制御器出口17を有する。それぞれの流路制御器出口17は、関連する反応器アセンブリ1の反応器搬送ライン5の第一端部6に流体連通している。関連する反応器アセンブリ1は、流路制御器出口17を通して加圧された流体を受け取る。
【0173】
図6の反応器システムはさらに、それぞれの反応器搬送ライン5中に流量制限器チャネル22を有する。マイクロ流体チップは、流量制限器チャネル22、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルを有する。流量制限器チャネルは、流量制限器チャネル平面に延びる。チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルは、流量制限器平面に対して実質的に垂直に延びる。チップ入口チャネルの直径は、チップ入口チャネルの長さと同じかそれより小さい。チップ出口チャネルの直径は、チップ出口チャネルの長さと同じかそれより小さい。流量制限器チャネル22は、チップ保持容器30中に配置されるマイクロ流体チップ21中に提供され、それは、図6中に概略的に示される。図2、3および4は、チップ保持容器の考え得る態様をより詳細に示す。図2、3または4に示されるようなチップ保持容器が用いられるとき、チップ保持容器中の流体供給チャネルの数は、チップ保持容器中に存在するマイクロ流体チップ(単数)またはマイクロ流体チップ(複数)のチップ入口チャネルの数と合致し、チップ保持容器中の流体排出チャネルの数は、チップ保持容器中に存在するマイクロ流体チップ(単数)またはマイクロ流体チップ(複数)のチップ出口チャネルの数と合致するであろう。チップ保持容器30は、その中にマイクロ流体チップの配置されるチップ・チャンバー36を有する。
【0174】
図6の態様では、それぞれのチップ保持容器30のチップ・チャンバー36は、開口部39を備えている。必要に応じて、チップ・チャンバー36は、開口部39を介して大気に流体連通していてもよい。あるいは、反応器システムはさらに、周囲気圧廃棄物容器を有し、該周囲気圧廃棄物容器は、図5に示されるように、開口部39および安全ラインを介して、チップ・チャンバーに流体連通している。
【0175】
漏れ検出が採用される場合、例えば先に記載されたような流量センサーまたは圧力センサーを用いて、マイクロ流体チップ中またはマイクロ流体チップへの一つ以上の接続部中の漏れが検知され得る。概しては、この態様では、チップ・チャンバー36中のどの流量制限器チャネルまたはどのマイクロ流体チップ21への接続部が漏れているのかを判断することは不可能であろう。
【0176】
図6の態様では、反応器排液は、排液ライン8により反応器2から排出される。例えば、排液ラインは、切替バルブ70に接続されており、該切替バルブは、反応器2の一つの排液フローを分析器71に向かわせ、他のフローを廃棄物72に向かわせる。連続的に、一つ一つ全ての排液フローが分析器71に向かわされ、したがって全ての排液フローが個別に連続的に分析され得る。
【0177】
図7は、本発明の代替的な反応器システムのさらなる態様を示す。
【0178】
図7の態様は、図5および図6の態様に類似しているが、図7の態様では、複数のマイクロ流体チップ21(それぞれ少なくとも一つの流量制限器チャネル22を有する)が、チップ保持容器30の一つのチップ・チャンバー36中に配置される。
【0179】
図7に示される態様では、マイクロ流体チップ21の流量制限器チャネル22は、反応器搬送ライン5中に配置される。あるいは、またはさらに、流量制限器チャネルは、反応器排液ライン8中に存在していてもよい。
【0180】
図7の反応器システムは四つの反応器アセンブリ1を有する。しかしながら、本発明の反応器システムは、全般的には一つより多い反応器アセンブリがあるであろうが、あらゆる他の数の反応器を有することが可能である。
【0181】
それぞれの反応器アセンブリ1は、フロー・スルー反応器2、反応器搬送ライン5および反応器排液ライン8を有する。フロー・スルー反応器2は全て、反応器入口3および反応器出口4を有する。反応器搬送ライン5は全て、第一端部6および第二端部7を有する。反応器排液ライン8は全て、第一端部9を有する。それぞれの反応器アセンブリ1において、反応器搬送ライン5の第二端部7は、反応器入口3に接続されており、反応器排液ライン8の第一端部9は、反応器出口4に接続されている。
【0182】
図7の反応器システムはさらに、流体源12を有し、該流体源は、フロー・スルー反応器2に加圧された流体を提供するように適合されている。本発明の反応器システムは、高流体圧下、例えば、約20バール以上、約30バール以上、約30バールから100バール、または約30バールから300バールの反応器圧力、での操作に適している。これらの高圧下での操作に適した反応器システムは、例えば、システム中で加圧された流体と接触する構造要素の壁の厚さが、これらの高圧下でシステムの構造的完全性を維持するために十分であることを意味する。さらに、例えば、用いられるシールおよび/またはバルブもまた、高圧操作に適している。
【0183】
図7の反応器システムはさらに、流路制御器15を有する。図7の態様では、流路制御器15は、流体源12から反応器アセンブリ1全体に加圧された流体を分配するマニホールドである。この態様では、流体源12からの加圧された流体は、同時に全ての反応器アセンブリ1に提供される。
【0184】
流路制御器15は、流路制御器入口16および複数の流路制御器出口17を有する。それぞれの流路制御器出口17は、関連する反応器アセンブリ1の反応器搬送ライン5の第一端部6に流体連通している。関連する反応器アセンブリ1は、流路制御器出口17を通して加圧された流体を受け取る。
【0185】
図7の反応器システムはさらに、それぞれの反応器搬送ライン5中に流量制限器チャネル22を有する。流量制限器チャネル22を有するマイクロ流体チップ21は、一つのチップ保持容器30中に配置され、それは、図7中に概略的に示される。それぞれのマイクロ流体チップは、流量制限器チャネル22、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルを有する。流量制限器チャネルは、流量制限器チャネル平面に延びる。チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルは、流量制限器平面に対して実質的に垂直に延びる。チップ入口チャネルの直径は、チップ入口チャネルの長さと同じかそれより小さい。チップ出口チャネルの直径は、チップ出口チャネルの長さと同じかそれより小さい。
【0186】
図2、3および4は、チップ保持容器の考え得る態様をより詳細に示す。図2、3または4に示されるようなチップ保持容器が用いられるとき、チップ保持容器中の流体供給チャネルの数は、チップ保持容器中に存在するマイクロ流体チップ(単数)またはマイクロ流体チップ(複数)のチップ入口チャネルの数と合致し、チップ保持容器中の流体排出チャネルの数は、チップ保持容器中に存在するマイクロ流体チップ(単数)またはマイクロ流体チップ(複数)のチップ出口チャネルの数と合致するであろう。
【0187】
チップ保持容器は、その中にマイクロ流体チップの配置されるチップ・チャンバー36を有する。図7の態様では、それぞれのチップ保持容器30のチップ・チャンバー36は、開口部39を備えている。必要に応じて、チップ・チャンバー36は、開口部39を介して大気に流体連通していてもよい。あるいは、反応器システムはさらに、周囲気圧廃棄物容器を有し、該周囲気圧廃棄物容器は、図5に示されるように、開口部39および安全ラインを介して、チップ・チャンバーに流体連通している。
【0188】
漏れ検出が採用される場合、例えば先に記載されたような流量センサーまたは圧力センサーを用いて、マイクロ流体チップ中またはマイクロ流体チップへの一つ以上の接続部中の漏れが検知され得る。概しては、この態様では、チップ・チャンバー36中のどのマイクロ流体チップ21またはどのマイクロ流体チップ21へのどの接続部が漏れているのかを判断することは不可能であろう。
【0189】
図7の態様では、反応器排液は、排液ライン8により反応器2から排出される。例えば、排液ラインは、切替バルブ70に接続されており、該切替バルブは、反応器2の一つの排液フローを分析器71に向かわせ、他のフローを廃棄物72に向かわせる。連続的に、一つ一つ全ての排液フローが分析器71に向かわされ、したがって全ての排液フローが個別に連続的に分析され得る。
【0190】
図8は、本発明の代替的な反応器システムのさらなる態様を示す。
【0191】
図8の態様は、図5図6および図7の態様に類似しているが、図8の態様では、チップ保持容器30は、複数のチップ・チャンバー36を有し、そのそれぞれが、マイクロ流体チップ21を収容する。必要に応じて、少なくとも一つのチップ・チャンバー36が、複数のマイクロ流体チップ21を収容していてもよい。
【0192】
図8に示される態様では、マイクロ流体チップ21中の流量制限器チャネル22は、反応器搬送ライン5中に配置される。あるいは、またはさらに、流量制限器チャネル22は、反応器排液ライン8中に存在していてもよい。
【0193】
図8の反応器システムは四つの反応器アセンブリ1を有する。しかしながら、本発明の反応器システムは、全般的には一つより多い反応器アセンブリがあるであろうが、あらゆる他の数の反応器を有することが可能である。
【0194】
それぞれの反応器アセンブリ1は、フロー・スルー反応器2、反応器搬送ライン5および反応器排液ライン8を有する。フロー・スルー反応器2は全て、反応器入口3および反応器出口4を有する。反応器搬送ライン5は全て、第一端部6および第二端部7を有する。反応器排液ライン8は全て、第一端部9を有する。それぞれの反応器アセンブリ1において、反応器搬送ライン5の第二端部7は、反応器入口3に接続されており、反応器排液ライン8の第一端部9は、反応器出口4に接続されている。
【0195】
図8の反応器システムはさらに、流体源12を有し、該流体源は、フロー・スルー反応器2に加圧された流体を提供するように適合されている。本発明の反応器システムは、高流体圧下、例えば、約20バール以上、約30バール以上、約30バールから100バール、または約30バールから300バールの反応器圧力、での操作に適している。これらの高圧下での操作に適した反応器システムは、例えば、システム中で加圧された流体と接触する構造要素の壁の厚さが、これらの高圧下でシステムの構造的完全性を維持するために十分であることを意味する。さらに、例えば、用いられるシールおよび/またはバルブもまた、高圧操作に適している。
【0196】
図8の反応器システムはさらに、流路制御器15を有する。図8の態様では、流路制御器15は、流体源12から反応器アセンブリ1全体に加圧された流体を分配するマニホールドである。この態様では、流体源12からの加圧された流体は、同時に全ての反応器アセンブリ1に提供される。
【0197】
流路制御器15は、流路制御器入口16および複数の流路制御器出口17を有する。それぞれの流路制御器出口17は、関連する反応器アセンブリ1の反応器搬送ライン5の第一端部6に流体連通している。関連する反応器アセンブリ1は、流路制御器出口17を通して加圧された流体を受け取る。
【0198】
図8の反応器システムはさらに、それぞれの反応器搬送ライン5中に流量制限器チャネル22を有する。その中にこれらの流量制限器チャネル22が存在するマイクロ流体チップ21は、チップ保持容器30中に配置され、それは、図8中に概略的に示される。それぞれのマイクロ流体チップは、流量制限器チャネル22、チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルを有する。流量制限器チャネルは、流量制限器チャネル平面に延びる。チップ入口チャネルおよびチップ出口チャネルは、流量制限器平面に対して実質的に垂直に延びる。チップ入口チャネルの直径は、チップ入口チャネルの長さと同じかそれより小さい。チップ出口チャネルの直径は、チップ出口チャネルの長さと同じかそれより小さい。
【0199】
図2、3および4は、チップ保持容器の考え得る態様をより詳細に示す。図2、3または4に示されるようなチップ保持容器が用いられるとき、チップ保持容器中の流体供給チャネルの数は、チップ保持容器中に存在するマイクロ流体チップ(単数)またはマイクロ流体チップ(複数)のチップ入口チャネルの数と合致し、チップ保持容器中の流体排出チャネルの数は、チップ保持容器中に存在するマイクロ流体チップ(単数)またはマイクロ流体チップ(複数)のチップ出口チャネルの数と合致するであろう。
【0200】
チップ保持容器は、その中にマイクロ流体チップ21の配置される複数のチップ・チャンバー36を有する。図8の態様では、それぞれのチップ保持容器30のそれぞれのチップ・チャンバー36は、開口部39を備えている。必要に応じて、このチップ・チャンバー36は、開口部39を介して大気に流体連通していてもよい。あるいは、反応器システムはさらに、周囲気圧廃棄物容器を有し、該周囲気圧廃棄物容器は、図8に示されるように、開口部39および安全ラインを介して、関連するチップ・チャンバー36に流体連通している。
【0201】
漏れ検出が採用される場合、例えば先に記載されたような流量センサーまたは圧力センサーを用いて、マイクロ流体チップ中またはマイクロ流体チップへの一つ以上の接続部中の漏れが検知され得る。図8の態様では、どの流体マイクロチップ21が漏れているのかを判断することができるような方法で、漏れ検知を設計することが可能である。これは例えば、圧力センサーを有するそれぞれのチップ・チャンバー26もしくは流量センサーを有するそれぞれの開口部39を提供することにより、または安全ライン(該安全ラインはそれぞれ流量センサーを備えている)を介してそれぞれの開口部39を周囲気圧廃棄物容器(共通の周囲気圧廃棄物容器または個別の周囲気圧廃棄物容器のいずれか)に接続することにより達成され得る。
【0202】
図8の態様では、反応器排液は、排液ライン8により反応器2から排出される。例えば、排液ラインは、切替バルブ70に接続されており、該切替バルブは、反応器2の一つの排液フローを分析器71に向かわせ、他のフローを廃棄物72に向かわせる。連続的に、一つ一つ全ての排液フローが分析器71に向かわされ、したがって全ての排液フローが個別に連続的に分析され得る。
【0203】
図9は、本発明の代替的な反応器システムのさらなる態様を示す。
【0204】
図9の態様は、図5の態様に酷似している。唯一の相違点は、図5の態様では、流路制限器がマニホールドであるところ、図9の態様では、流路制御器が切替バルブ85である点である。
【0205】
図9に示される例では、反応器搬送ライン5には、流体源12から加圧された流体が連続的に供給される。必要に応じて、反応器搬送ライン5が流体源12から加圧された流体を受け取らないとき、異なる流体、例えば不活性流体、がそれらに提供されてもよい。
【0206】
図10は、その中にマイクロ流体チップ21が配置されるチップ・チャンバー36を有するチップ保持容器30の態様を示す。
【0207】
図10の態様では、チップ保持容器30の本体47は、ベース31およびカバー32を有する。ベース31は、第一シール面33を有する。カバー32は、第二シール面34を有する。第一シール面33および第二シール面34は、チップ保持容器30が使用されるとき、互いに接触している。周方向シール35、例えばOリングのような圧縮性のシール、を、マイクロ流体チップまたはそのチップ保持容器の流体搬送チャネルおよび流体排出チャネルへの接続部中の漏れの場合、全ての漏洩流体がチップ・チャンバー36中に留まるか、または開口部39を介してチップ・チャンバー36から出るかのいずれかを確実にするために提供した。このことは、信頼し得る漏れ検知の獲得の助けとなる。開口部39は、チップ・チャンバー36と大気との間を延びるが、あるいは、例えば図5の態様との組み合わせ中に記載されたような廃棄物容器に接続され得る。
【0208】
図10の態様では、ベース31およびカバー32は、ねじ86により互いに接続され得る。
【0209】
図10の態様では、マイクロ流体チップは、複数の流量制限器チャネル22を有する。それぞれの流量制限器チャネル22は、チップ入口チャネル23およびチップ出口チャネル24に流体連通している。それぞれのチップ入口チャネル23は、チップ保持容器30のベース31を通して延びる流体供給チャネル37に流体連通している。あるいは、流体供給チャネル37は、チップ保持容器30のカバー32を通して延び得る。
【0210】
それぞれのチップ出口チャネル24は、チップ保持容器30のベース31を通して延びる流体排出チャネルに流体連通している(図10には示されていない)。あるいは、流体排出チャネルは、チップ保持容器30のカバー32を通して延び得る。
【0211】
図10の態様では、必要に応じて、チップ保持容器30はさらに、それぞれの流体供給チャネル用の流体供給チャネル・シール40を有していてもよい。この流体供給チャネル・シール40は、流体供給チャネル出口とその関連するチップ入口チャネル23との間に配置される。流量制限器チャネル入口シール40は、流体供給チャネル出口の周囲に拡がり、マイクロ流体チップに係合する。例えば、流体供給チャネル・シール40は、Oリングのような圧縮性のシールである。
【0212】
必要に応じて、チップ保持容器30はさらに、それぞれの流体排出チャネル用の流体排出チャネル・シール41を有していてもよい。この流体排出チャネル41は、チップ出口チャネル24とその関連する流体排出チャネル入口との間に配置される。流体排出チャネル・シール41は、流体排出チャネル入口の周囲に拡がり、マイクロ流体チップに係合する。例えば、流量制限器チャネル出口シール41は、Oリングのような圧縮性のシールである。
【0213】
図11は、その中にマイクロ流体チップ21が配置されるチップ・チャンバー36を有するチップ保持容器30の態様を示す。
【0214】
図11の態様では、チップ保持容器30は、ベース31およびカバー32を有する。ベース31は、第一シール面33を有する。カバー32は、第二シール面34を有する。第一シール面33および第二シール面34は、チップ保持容器30が使用されるとき、互いに接触している。周方向シール35、例えばOリングのような圧縮性のシール、を、マイクロ流体チップまたはそのチップ保持容器の流体搬送チャネルおよび流体排出チャネルへの接続部中の漏れの場合、全ての漏洩流体がチップ・チャンバー36中に留まるか、または開口部39を介してチップ・チャンバー36から出るかのいずれかを確実にするために提供した。このことは、信頼し得る漏れ検知の獲得の助けとなる。開口部39は、チップ・チャンバー36と大気との間を延びるが、あるいは、例えば図5の態様との組み合わせ中に記載されたような廃棄物容器に接続され得る。
【0215】
図11の態様では、ベース31およびカバー32は、ねじ86により互いに接続され得る。
【0216】
図11の態様では、マイクロ流体チップは、複数の流量制限器チャネル22を有する。それぞれの流量制限器チャネル22は、関連するチップ出口チャネル24に流体連通しているが、全ての流量制限器チャネルは、一つかつ同じチップ入口チャネル23に流体連通している。共通のチップ入口チャネル23は、チップ保持容器30のベース31を通して延びる流体供給チャネル(図示せず)に流体連通している。あるいは、流体供給チャネル37は、チップ保持容器30のカバー32を通して延び得る。
【0217】
それぞれのチップ出口チャネル24は、チップ保持容器30のベース31を通して延びる流体排出チャネルに流体連通している。あるいは、流体排出チャネルは、チップ保持容器30のカバー32を通して延び得る。
【0218】
図11の態様では、必要に応じて、チップ保持容器30はさらに、流体供給チャネル入口シール40を有していてもよい。この流体供給チャネル・シール40は、流体供給チャネル出口とチップ入口チャネル23との間に配置される。流体供給チャネル・シール40は、流体供給チャネル出口の周囲に拡がり、マイクロ流体チップに係合する。例えば、流体供給チャネル・シール40は、Oリングのような圧縮性のシールである。
【0219】
必要に応じて、チップ保持容器30はさらに、それぞれの流量制限器チャネル22のための流体排出チャネル・シール41を有していてもよい。この流体排出チャネル41は、チップ出口チャネル24とその関連する流体排出チャネル入口との間に配置される。流体排出チャネル・シール41は、流体排出チャネル入口の周囲に拡がり、マイクロ流体チップに係合する。例えば、流量制限器チャネル出口シール41は、Oリングのような圧縮性のシールである。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11