【文献】
REGISTRY(STN)[online],2010年2月22日(検索日:2018年11月8日)、CAS登録番号1206998-11-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記疾患が、大腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、肺癌、白血病、膀胱癌、胃癌、子宮頸癌、精巣癌、皮膚癌、直腸癌、甲状腺癌、腎臓癌、子宮癌、食道癌、肝臓癌、聴神経腫、希突起膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫または網膜芽細胞腫である、請求項21に記載の薬剤。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ベンゼンスルホンアミド及び関連化合物、医薬組成物、RORγ活性を促進し、及び/または対象におけるIL−17の量を増加させる方法、並びにベンゼンスルホンアミド及び関連化合物の治療的使用を提供する。本発明の実施は、特に指定のない限り、有機化学、薬理学、分子生物学(組み換え技術を含む)、細胞生物学、生化学及び免疫学の従来技術を使用する。このような技術については、“Comprehensive Organic Synthesis”(B.M.Trost&I.Fleming編、1991−1992);“Handbook of experimental immunology”(D.M.Weir&C.C.Blackwell編);“Current protocols in molecular biology”(F.M.Ausubelら編、1987、定期更新);及び“Current protocols in immunology”(J.E.Coliganら編、1991)などの文献にて説明されている。これらの各文献の全体を参照により本明細書に援用する。
【0012】
本発明の各種態様について以下の段落にて説明するが、1つの特定の段落に記載する本発明の態様は、任意の特定の段落に限定されるものではない。更に、定義を伴わない変数については、その変数に関する先の定義が適用される。
【0013】
定義
本明細書中に用いられる用語は、通常の意味を有し、こうした用語の意味は、その各々の使用において独立している。しかしながら、別途記載がある場合を除き、以下の定義が本明細書及び特許請求の範囲を通して適用される。化学名、一般名及び化学構造は、同じ構造を説明するために、区別なく使用され得る。ある化合物が化学構造と化学名の両方を用いて言及され、その構造と名称の間に曖昧な点が存在する場合は、構造が優先する。これらの定義は、特に指定のない限り、用語が単独でまたは他の用語との組み合わせで使用されているか否かにかかわらず、適用される。したがって、「アルキル」の定義は、「アルキル」だけでなく、「−O−アルキル」などの「アルキル」部分にも適用される。
【0014】
「アルキル」という用語は、飽和の直鎖または分岐鎖の炭化水素、例えば、1〜12、1〜10または1〜6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖基を指し、それぞれC
1〜C
12アルキル、C
1〜C
10アルキル及びC
1〜C
6アルキルという。例示的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−3−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「アルキレン」という用語は、アルキル基の二価基を指す。例示的なアルキレン基には、−CH
2−、−CH
2CH
2−及び−CH
2C(H)(CH
3)CH
2−が挙げられる。
【0016】
「シクロアルキル」という用語は、炭素が3〜12、3〜8、4〜8または4〜6個の一価の飽和環式、二環式または架橋環式(例えば、アダマンチル)炭化水素基を指し、例えば、本明細書にて、「C
3〜C
6シクロアルキル」といい、シクロアルカンに由来する。例示的なシクロアルキル基には、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル及びシクロプロピルが挙げられる。
【0017】
「シクロアルキレン」という用語は、シクロアルキル基の二価基を指す。例示的なシクロアルキレン基には、
【化3】
が挙げられる。
【0018】
「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1つのハロゲンで置換されているアルキル基を指す。例示的なハロアルキル基には、−CH
2F、−CHF
2、−CF
3、−CH
2CF
3、−CF
2CF
3などが挙げられる。
【0019】
「アラルキル」という用語は、アリール基で置換されたアルキル基を指す。例示的なアラルキル基には、
【化4】
が挙げられる。
【0020】
「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0021】
「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、当該技術分野で認識されており、上記アルキルに長さ及び置換の可能性において類似するが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含有する、不飽和脂肪族基を指す。
【0022】
「アリール」という用語は、当該技術分野で認識されており、炭素環式芳香族基を指す。代表的なアリール基には、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどが挙げられる。特に指示がない限り、芳香環は、1つまたは複数の環の位置にて、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、カルボン酸、−C(O)アルキル、−CO
2アルキル、カルボニル、カルボキシル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド(sulfonamido)、スルホンアミド(sulfonamide)、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール部分、−CF
3、−CNなどで置換されていてもよい。「アリール」という用語はまた、2つ以上の炭素環を有する多環式芳香環系を包含し、ここで、2つ以上の炭素は、2つの隣接する環に共通であり(環は「縮合環」である)、例えば、ナフチル基の場合、縮合環の全てが芳香環である。
【0023】
「フェニレン」という用語は、ベンゼンの多価基(例えば、二価または三価の基)を指す。例示として、ベンゼンの二価の基は、式
【化5】
にて表される。
【0024】
「部分的に不飽和の二環式カルボシクリル」という用語は、二環式炭素環基を指し、環炭素原子間に少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、二環式炭素環基中の少なくとも1つの環が芳香族でないものである。部分的に不飽和の二環式カルボシクリルの代表的な例には、例えば、次のものが挙げられる。
【化6】
【0025】
「ヘテロアリール」という用語は、当該技術分野で認識されており、少なくとも1つの環ヘテロ原子を含む芳香族基である。ある特定の場合において、ヘテロアリール基は、1、2、3または4個の環ヘテロ原子(例えば、O、N及びS)を含有する。ヘテロアリール基の代表的な例には、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル及びピリミジニルなどが挙げられる。特に指示がない限り、ヘテロアリール環は、1つまたは複数の環の位置にて、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、カルボン酸、−C(O)アルキル、−CO
2アルキル、カルボニル、カルボキシル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド(sulfonamido)、スルホンアミド(sulfonamide)、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール部分、−CF
3、−CNなどで置換されていてもよい。「ヘテロアリール」という用語はまた、2つ以上の環を有する多環式芳香環系を包含し、ここで、2つ以上の環原子は、2つの隣接する環に共通であり(環は「縮合環」である)、例えば、ナフチリジニル基の場合、縮合環の全てが複素環式芳香族である。ある特定の実施形態において、ヘテロアリールは、5〜6員単環式環または9〜10員二環式環である。
【0026】
「ヘテロアリーレン」という用語は、少なくとも1つの環ヘテロ原子を含む、多価(例えば、二価または三価)の芳香族基を指す。例示的な「ヘテロアリーレン」は、ピリジンの多価基であるピリジニレンである。例えば、ピリジンの二価基は、式
【化7】
によって表される。ある特定の実施形態において、「ヘテロアリーレン」は、1、2または3つの環ヘテロ原子(例えば、O、NまたはS)を含有する、二価の5〜6員複素環式芳香族基である。
【0027】
オルト、メタ及びパラという用語は、当該技術分野で認識されており、それぞれ1,2−、1,3−及び1,4−二置換ベンゼンを指す。例えば、1,2−ジメチルベンゼン及びオルト−ジメチルベンゼンという名称は同義である。
【0028】
本明細書で使用するとき、「複素環式」及び「ヘテロシクリル」という用語は、例えば、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する芳香族または非芳香族環(例えば、単環式または二環式環)を表す。ヘテロ原子は、同一であっても、互いに異なっていてもよい。ヘテロ原子の例には、窒素、酸素及び硫黄が挙げられるが、これらに限定されない。芳香族及び非芳香族複素環は、当該技術分野においてよく知られている。芳香族複素環のいくつかの非限定的な例には、ピリジン、ピリミジン、インドール、プリン、キノリン及びイソキノリンが挙げられるが、これらに限定されない。非芳香族複素環式化合物の非限定的な例には、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン及びピラゾリジンが挙げられるが、これらに限定されない。酸素含有複素環の例には、フラン、オキシラン、2H−ピラン、4H−ピラン、2H−クロメン、ベンゾフラン及び2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシンが挙げられるが、これらに限定されない。硫黄含有複素環の例には、チオフェン、ベンゾチオフェン及びパラチアジンが挙げられるが、これらに限定されない。窒素含有環の例には、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピリジン、ピペリジン、ピラジン、ピペラジン、ピリミジン、インドール、プリン、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、トリアゾール及びトリアジンが挙げられるが、これらに限定されない。2つの異なるヘテロ原子を含有する複素環の例には、フェノチアジン、モルホリン、パラチアジン、オキサジン、オキサゾール、チアジン及びチアゾールが挙げられるが、これらに限定されない。複素環は、任意に、1つまたは複数の環の位置にて、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、カルボン酸、−C(O)アルキル、−CO
2アルキル、カルボニル、カルボキシル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド(sulfonamido)、スルホンアミド(sulfonamide)、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール部分、−CF
3、−CNなどで更に置換されていてもよい。ある特定の実施形態において、ヘテロシクリル基は、特に指示がない限り、置換または非置換の3〜7員環である。
【0029】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、例えば、3〜7環原子(例えば、O、NまたはS)を有する飽和ヘテロシクリル基を指す。
【0030】
「ヘテロシクロアルキレン」という用語は、例えば、3〜7環原子を有する多価(例えば、二価または三価)飽和ヘテロシクリル基を指す。例示的な「ヘテロシクロアルキレン」は、ピペリジンの多価基であるピペリジニレンである。ある特定の実施形態において、「ヘテロシクロアルキレン」は、1または2個の環ヘテロ原子(例えば、O、NまたはS)を含有する二価の5〜6員飽和ヘテロシクリルである。
【0031】
「部分的に不飽和の二環式ヘテロシクリル」という用語は、二環式複素環基を指し、環原子間に少なくとも1つの二重結合を含み、二環式複素環基中の少なくとも1つの環が芳香族でないものである。部分的に不飽和の二環式ヘテロシクリルの代表的な例には、例えば、次のものが挙げられる。
【化8】
【0032】
「部分的に不飽和の二環式オキソヘテロシクリル」という用語は、二環式複素環基を指し、環原子間に少なくとも1つの二重結合と1つのオキソ置換基を含み、二環式複素環基中の少なくとも1つの環が芳香族でないものである。部分的に不飽和の二環式オキソヘテロシクリルの代表的な例には、例えば、次のものが挙げられる。
【化9】
【0033】
「アミン」及び「アミノ」という用語は、当該技術分野で認識されており、無置換及び置換のアミンの両方、例えば、次の一般式によって表され得る部分を指す。
【化10】
式中、R
50、R
51、R
52及びR
53はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、−(CH
2)
m−R
61を表すか、またはR
50とR
51はそれらが結合しているN原子とともに環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成させ、R
61は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環または多環を表し、mはゼロまたは1〜8の範囲の整数である。ある特定の実施形態において、R
50またはR
51のうちの1つのみがカルボニルであってよく、例えば、R
50、R
51及び窒素は一緒になってイミドを形成しない。他の実施形態において、R
50及びR
51(及び任意にR
52)はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニルまたは−(CH
2)
m−R
61を表す。
【0034】
「アルコキシル」または「アルコキシ」という用語は、当該技術分野で認識されており、酸素基が結合した、上記のアルキル基を指す。代表的なアルコキシル基には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。「エーテル」は、酸素によって共有結合された2つの炭化水素である。したがって、アルキルをエーテルにするアルキルの置換基は、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル及び−O−(CH
2)
m−R
61(式中、m及びR
61については、上述した通り)のうちの1つによって表すことができる、アルコキシであるか、または類似のものである。
【0035】
「オキソ」という用語は、当該技術分野で認識されており、「=O」置換基を指す。例えば、オキソ基で置換されたシクロペンタンは、シクロペンタノンである。
【0036】
【化11】
という記号は、結合点を示す。
【0037】
「置換された」という用語は、指定された基の原子上の1つまたは複数の水素が、示された基から選択されるもので置換されることを意味するが、存在する環境下における、その原子の通常の原子価を超えることはなく、その置換が安定した化合物をもたらすことを条件とする。置換基及び/または変数の組み合わせは、かかる組み合わせが安定した化合物をもたらす場合にのみ許容される。「安定した化合物」または「安定した構造」という用語は、反応混合物から有用な純度まで単離し、有効な治療薬に製剤化されるまで十分に耐え抜く強固な化合物を指す。
【0038】
任意の置換基または変数がいずれかの構成成分または本発明の化合物において1回を超えて生じる場合、各々のその定義は、特に指定のない限り、他の全ての場合においてその定義から独立しているものである。
【0039】
本明細書中の本文、スキーム、実施例及び表において、原子価を満足していない炭素及びヘテロ原子は、その原子価を満足するに十分な数の水素原子を有するとみなされることも留意されたい。
【0040】
1つまたは複数の本発明の化合物は、非溶媒和形態だけでなく、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒との溶媒和形態で存在してもよく、本発明は、溶媒和と非溶媒和の両方の形態を包含することが意図される。「溶媒和物」は、本発明の化合物と1つまたは複数の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を含む、様々な度合いのイオン結合及び共有結合を含む。特定の場合には、溶媒和物は、例えば、1種以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子内に組み込まれた場合に、単離することができる。「溶媒和物」は、液相の溶媒和物及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。好適な溶媒和物の非限定例としては、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がH
2Oである溶媒和物である。
【0041】
本発明の組成物中に含まれる特定の化合物は、特定の幾何学的形態または立体異性体で存在し得る。更に、本明細書に記載の特定の化合物は、光学的に活性であり得る。本発明は、シス及びトランス異性体、R−及びS−エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、それらのラセミ混合物並びにそれらの他の混合物を含む、こうした全ての化合物が本発明の範囲内であることを企図する。化合物は、1つまたは複数の立体中心を含み得る。例えば、不斉炭素原子がアルキル基などの置換基に存在してもよい。全てのこうした異性体及びそれらの混合物、例えば、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーなどは、本発明に包含されることが意図される。分子上の種々の置換基の性質に応じて、更なる不斉中心が存在してもよい。こうした不斉中心のそれぞれは、独立して2つの光学異性体を生成し、可能な光学異性体、混合物中のジアステレオマー及び純粋または部分的に純粋な化合物の全てが本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0042】
ジアステレオマー混合物は、その物理化学的差異に基づき、当業者に知られている方法、例えば、クロマトグラフィー及び/または分別結晶によって、個々のジアステレオマーに分離することができる。エナンチオマーは、光学的に活性である適切な化合物(例えば、キラルアルコールまたはモッシャー酸塩化物などのキラル補助基)との反応によりエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換する(例えば、加水分解する)ことによって、分離することができる。あるいは、不斉合成によって、本発明の化合物の特定のエナンチオマーを調製してもよい。また更に、分子が塩基性官能基(アミノなど)または酸性官能基(カルボン酸など)を含む場合、光学的に活性である適切な酸または塩基とジアステレオマー塩を形成させた後、こうして形成されたジアステレオマーを当該技術分野において知られている分別結晶またはクロマトグラフィー手段によって分割し、続けて、純粋なエナンチオマーを回収する。
【0043】
本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まなくてもよいし、例えば、ラセミ化合物としてまたは他の全ての若しくは他の選択した立体異性体と混合されていてもよい。本発明におけるキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって定義されているSまたはR立体配置を有し得る。更に、本明細書に記載の化合物がアトロプ異性体(例えば、置換されたビアリール)として存在し得る限り、このようなアトロプ異性体の全ての形態は、本発明の一部とみなされる。
【0044】
本明細書で使用するとき、「対象」及び「患者」という用語は、同様の意味で使用され、本発明の方法によって治療される生物を指す。このような生物には、好ましくは、限定するものではないが、哺乳類(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)が挙げられ、最も好ましくはヒトが挙げられる。
【0045】
「EC
50」という用語は、当該技術分野で認識されており、標的の最大可能活性化の50%を達成するのに必要な化合物の濃度を指す。
【0046】
本明細書で使用するとき、「有効量」という用語は、有益なまたは所望の結果(例えば、治療的、改善的、阻害的または予防的結果)をもたらすのに十分な化合物の量を指す。有効量は、1回または複数回の投与、適用または用量で投与することができ、特定の処方または投与経路に限定されるものではない。本明細書で使用するとき、「治療すること」という用語は、あらゆる効果、例えば、状態、疾患、障害などの改善をもたらす、低下、減少、調節、改善若しくは排除、またはその症状の改善を含む。
【0047】
本明細書で使用するとき、「医薬組成物」という用語は、活性物質と不活性または活性である担体との組み合わせを指し、これにより、インビボまたはエクスビボでの診断または治療使用に特に好適な組成物とする。
【0048】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン(例えば、油/水または水/油エマルジョンなど)及び各種湿潤剤などの標準的な薬学的担体のいずれかを指す。組成物はまた安定剤及び保存剤を含み得る。担体、安定剤及び補助剤の例については、例えば、Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences、第15版、Mack Publ.Co.,Easton,PA[1975]を参照されたい。
【0049】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の任意の薬剤として許容される塩(例えば、酸または塩基)を指し、対象へ投与すると、本発明の化合物またはその活性である代謝産物若しくは残留物を提供することができるものである。当業者に知られているように、本発明の化合物の「塩」は、無機酸または有機酸及び塩基から誘導することができる。酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。それ自体は薬学的に許容されないシュウ酸などの他の酸は、本発明の化合物及びその薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用である塩の調製に用いることができる。
【0050】
塩基の例には、アルカリ金属(例えば、水酸化ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、水酸化マグネシウム)、アンモニア及び式NW
4+の化合物(式中、WはC
1〜4アルキル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フルコヘプタンサン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩(トルエンスルホン酸塩としても知られる)、ウンデカン酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない。塩の他の例には、Na
+、NH
4+及びNW
4+(式中、WはC
1〜4アルキル基)などの好適なカチオンと合わせた本発明の化合物のアニオンが挙げられる。塩の更なる例には、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、硝酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩及び硫酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。更に、塩基性医薬化合物からの薬学的に有用な塩の形成に適すると一般にみなされる酸については、例えば、P. Stahlら、Camille G.(編)Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use.(2002)Zurich:Wiley−VCH;S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1),1−19;P. Gould,International J. of Pharmaceutics(1986)33,201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;及びThe Orange Book(Food&Drug Administration,Washington,D.C.、ウェブ上)に記載されている。これらの開示は、参照により本明細書に援用する。
【0052】
更なる例示的な塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミンなどの有機塩基(例えば、有機アミン)との塩、並びにアルギニン、リシンなどのアミノ酸との塩などが挙げられるが、これらに限定されない。塩基性窒素含有基は、ハロゲン化低級アルキル(例えば、塩化、臭化及びヨウ化メチル、エチル及びブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル及び硫酸ジブチル)、長鎖ハライド(例えば、塩化、臭化及びヨウ化デシル、ラウリル及びステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジル及び臭化フェネチル)などの剤で四級化してもよい。
【0053】
治療的使用に関して、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されることが企図される。しかしながら、薬学的に許容されない酸及び塩基の塩もまた、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製における用途を見出すことができる。
【0054】
加えて、本発明の化合物が塩基性部分(限定するものではないが、ピリジンまたはイミダゾールなど)及び酸性部分(限定するものではないが、カルボン酸など)の両方を含有する場合、双性イオン(「分子内塩」)が形成され得る。本発明の範囲内で使用されるこのような酸性塩及び塩基性塩は、薬学的に許容される(すなわち、非毒性の生理学的に許容される)塩である。このような本発明の化合物の塩は、例えば、塩が沈降するものなどの媒体または水性媒体中で本発明の化合物をある量(例えば等量)の酸または塩基と反応させ、続いて凍結乾燥することによって、形成することができる。
【0055】
本発明には、全てのその単離形態(その任意の溶媒和物、水和物、立体異性体及び互変異性体など)での本発明の化合物が含まれる。更に、本発明は、原子の1つまたは複数が、同一の原子番号を有するが、天然で主に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する特定の同位体で人工的に高められてよい化合物を包含する。本発明は、本発明の化合物の全ての好適な同位体変形形態を包含することが意図される。例えば、水素(H)の種々の同位体形態には、プロチウム(
1H)及び重水素(
2H)が挙げられる。プロチウムは、天然で見出される主な水素同位体である。重水素の富化は、インビボ半減期の延長若しくは必要用量の減少などのいくつかの治療上の利点をもたらすことができ、または生物学的試料の特性評価のための標準として有用な化合物を提供し得る。同位体を濃縮した化合物は、当業者に知られている従来技術によって、または本明細書中のスキーム及び実施例に記載されるものと類似のプロセスによって、適切な同位体を濃縮した試薬及び/または中間体を用いて、過度な実験を行うことなく、調製することができる。
【0056】
明細書全体を通して、組成物が特定の構成成分を有し、包含し、若しくは含むものと記載されている場合、またはプロセス及び方法が特定の工程を有し、包含し、若しくは含むものと記載されている場合、更に、列挙した構成成分から本質的になるか、またはそれらからなる本発明の組成物があり、列挙したプロセス工程から本質的になるか、またはそれらからなる本発明に従ったプロセス及び方法があることが企図される。
【0057】
本明細書で使用する「a」及び「an」という用語は、「1つまたは複数」を意味し、文脈が適切でない場合を除き、複数を包含する。
【0058】
略語「THF」は、当該技術分野で認識されており、テトラヒドロフランを指す。略語「DCM」は、当該技術分野で認識されており、ジクロロメタンを指す。略語「DMF」は、当該技術分野で認識されており、ジメチルホルムアミドを指す。略語「DMA」は、当該技術分野で認識されており、ジメチルアセトアミドを指す。略語「EDTA」は、当該技術分野で認識されており、エチレンジアミン四酢酸を指す。略語「TFA」は、当該技術分野で認識されており、トリフルオロ酢酸を指す。
【0059】
全般的に、百分率を明示する組成物は、別段の指定がない限り、重量による。
【0060】
I.ベンゼンスルホンアミド及び関連化合物
本発明は、ベンゼンスルホンアミド化合物及びベンジルスルホン化合物(「ベンゼンスルホンアミド及び関連化合物」と総称する)を提供する。例示的な化合物について、化合物を作製するための例示的な手順とともに、以下の段落に記載する。更なる例示的な化合物及び合成手順は、実施例に記載する。
【0061】
パートI:ベンゼンスルホンアミド化合物
本発明の一態様は、式Iによって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化12】
(I)
[式中、
Aは、フェニレン、5〜6員ヘテロアリーレンまたはC
3〜6ヘテロシクロアルキレンであり、
R
1は、独立して、それぞれの場合について、ハロゲン、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロアルキルまたはC
3〜6シクロアルキルを表し、
R
2は、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキルまたはC
3〜6ヘテロシクリルであり、その各々は、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、シアノ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)C(O)R
5、−SO
2R
6及び−C(O)N(R
4)(R
5)からなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換され、
R
3は、独立して、それぞれの場合について、水素、C
1〜6ハロアルキル、ハロゲン、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシまたはヒドロキシルを表すか、2つのR
3が隣接する場合、間にある原子とともに4〜6員環を形成し、
R
4及びR
5はそれぞれ、独立して、それぞれの場合について、水素、C
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルを表すか、R
4及びR
5が同じ窒素原子に結合している場合、それらが結合している窒素原子とともに3〜7員複素環を形成し、
R
6は、独立して、それぞれの場合について、C
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルを表し、
Xは、次のうちの1つであり、
(i)−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、
(ii)−(C
2〜6アルケニレン)−フェニル、−(C
2〜6アルケニレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−フェニル、−(C
1〜6アルキレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式ヘテロシクリル)、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式オキソヘテロシクリル)、−(5〜6員ヘテロシクロアルキレン)−フェニルまたは−(C
3〜6シクロアルキレン)−フェニル(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、または
(iii)−(C
1〜6アルキレン)−Z
1または−(C
2〜6アルケニレン)−Z
1[式中、Z
1は、−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)または−N(R
4)−(C
3〜6シクロアルキルである](その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)
mは、0、1または2であり、
nは1、2または3である。]
【0062】
ある特定の実施形態において、Aは、フェニレンまたは5〜6員ヘテロアリーレンである。
【0063】
ある特定の実施形態において、R
1は、独立して、それぞれの場合について、ハロゲンまたはC
1〜6アルキルを表す。
【0064】
ある特定の実施形態において、Xは、8〜10員の部分的に飽和の二環式カルボシクリルから更に選択され、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、−S−(C
1〜6アルキル)、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。
【0065】
上式I中の変数の定義は、複数の化学基を包含する。本出願は、例えば、i)変数の定義が、上記の化学基から選択される1つの化学基である場合、ii)変数の定義が、上記の化学基から選択される2つ以上の化学基の集まりである場合、iii)化合物が、(i)または(ii)によって定義される変数の組み合わせによって定義される場合、例えば、Aはフェニレンであり、R
3はC
1〜6ハロアルキル、ハロゲン及びC
1〜6アルキルからなる群から選択される場合などの実施形態を企図する。
【0066】
本発明の別の態様は、式I−Aによって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化13】
(I−A)
[式中、
Aは、フェニレンまたは5〜6員ヘテロアリーレンであり、
R
1は、独立して、それぞれの場合について、ハロゲン、C
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルを表し、
R
2は、C
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルであり、その各々は、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、シアノ、−N(R
4)(R
5)及び−N(R
4)C(O)R
5からなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換され、
R
3は、独立して、それぞれの場合について、水素、C
1〜6ハロアルキル、ハロゲン、C
1〜6アルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシまたはヒドロキシルを表すか、2つのR
3が隣接する場合、間にある原子とともに4〜6員環を形成し、
R
4及びR
5はそれぞれ、独立して、それぞれの場合について、水素、C
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルを表すか、R
4及びR
5が同じ窒素原子に結合している場合、それらが結合している窒素原子とともに3〜7員複素環を形成し、
Xは、次のうちの1つであり、
(i)−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、
(ii)−(C
2〜6アルケニレン)−フェニル、−(C
2〜6アルケニレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−フェニル、−(C
1〜6アルキレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式ヘテロシクリル)、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式オキソヘテロシクリル)または−(5〜6員ヘテロシクロアルキレン)−フェニル(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、または
(iii)−(C
1〜6アルキレン)−Z
1または−(C
2〜6アルケニレン)−Z
1[式中、Z
1は、−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)である](その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)
mは、0、1または2であり、
nは1、2または3である。]
【0067】
ある特定の実施形態において、Aは、フェニレンである。ある特定の他の実施形態において、Aは、5〜6員ヘテロアリーレンである。更に他の実施形態において、−A−(R
3)
nは、次式のうちの1つである。
【化14】
【0068】
ある特定の実施形態において、R
1は、独立して、それぞれの場合について、ハロゲンまたはメチルを表す。
【0069】
ある特定の実施形態において、R
2は、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル及びC
1〜6アルコキシ及び−N(R
4)C(O)R
5からなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されるC
1〜6アルキルである。ある特定の他の実施形態において、R
2は、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル及びC
1〜6アルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されるC
1〜6アルキルである。ある特定の他の実施形態において、R
2は、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル及びC
1〜6アルコキシからなる群から選択される1個の置換基で任意に置換されるC
1〜6アルキルである。ある特定の他の実施形態において、R
2は、−CO
2R
4で置換されたC
1〜6アルキルである。ある特定の他の実施形態において、R
2は、エチルまたはプロピルである。
【0070】
ある特定の実施形態において、nは、1である。ある特定の他の実施形態において、nは、1または2である。
【0071】
ある特定の実施形態において、R
3は、C
1〜6ハロアルキルである。ある特定の他の実施形態において、R
3は、トリフルオロメチルである。更に他の実施形態において、R
3は、独立して、それぞれの場合について、C
1〜6ハロアルキル、ハロゲン、C
1〜6アルキルまたはC
1〜6アルコキシを表す。
【0072】
ある特定の実施形態において、Xは、−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)であり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−O−アラルキル、−O−フェニル、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)であり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−O−アラルキル、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)であり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−O−アラルキルまたは−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)であり、その各々は、ハロゲン及びC
1〜6ハロアルキルからなる群から独立して選択される1または2個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、クロロ、ブロモ及びフルオロからなる群から独立して選択される1または2個の置換基で置換された−O−ベンジルである。
【0073】
ある特定の実施形態において、Xは、−O−(C
1〜6アルキレン)−フェニルまたは−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−フェニルであり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で置換され、少なくとも1個の置換基は、変数Xのフェニル基のオルト位に存在する。
【0074】
ある特定の実施形態において、Xは、−(C
2〜6アルケニレン)−フェニル、−(C
2〜6アルケニレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−フェニル、−(C
1〜6アルキレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式ヘテロシクリル)、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式オキソヘテロシクリル)または−(5〜6員ヘテロシクロアルキレン)−フェニルであり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−(C
2〜6アルケニレン)−フェニルまたは−(C
1〜6アルキレン)−フェニルであり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−(C
1〜6アルキレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式ヘテロシクリル)、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式オキソヘテロシクリル)または−(5〜6員ヘテロシクロアルキレン)−フェニルであり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。
【0075】
ある特定の実施形態において、Xは、−(C
1〜6アルキレン)−Z
1または−(C
2〜6アルケニレン)−Z
1であり、式中、Z
1は、−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)であり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−(C
1〜6アルキレン)−Z
1であり、式中、Z
1は、−O−アラルキル、−O−フェニル、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)であり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−(C
1〜6アルキレン)−Z
1であり、式中、Z
1は、−O−アラルキル、−N(R
4)−アラルキルまたは−N(R
4)−フェニルであり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル及びC
1〜6アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。
【0076】
ある特定の実施形態において、Xは、スルホンアミド−フェニル基のメタ位またはパラ位に結合している。
【0077】
ある特定の実施形態において、Xは、8〜10員の部分的に飽和の二環式カルボシクリルから更に選択され、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、−S−(C
1〜6アルキル)、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。
【0078】
ある特定の実施形態において、mは、0である。ある特定の実施形態において、mは、1である。
【0079】
上式I−A中の変数の定義は、複数の化学基を包含する。本出願は、例えば、i)変数の定義が、上記の化学基から選択される1つの化学基である場合、ii)変数の定義が、上記の化学基から選択される2つ以上の化学基の集まりである場合、iii)化合物が、(i)または(ii)によって定義される変数の組み合わせによって定義される場合、例えば、Aはフェニレンであり、R
2は−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ及び−N(R
4)(R
5)からなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されるC
1〜6アルキルであり、R
3はC
1〜6ハロアルキルである場合などの実施形態を企図する。
【0080】
本発明の別の態様は、式I−Bによって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化15】
(I−B)
[式中、
Aは、フェニレンであり、
R
1は、独立して、それぞれの場合について、ハロゲン、メチル、エチルまたはシクロプロピルを表し、
R
2は、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1〜6アルコキシ及び−N(R
4)C(O)(C
1〜6アルキル)からなる群から独立して選択される1または2個の置換基で任意に置換されるC
1〜6アルキルであり、
R
3は、独立して、それぞれの場合について、C
1〜3ハロアルキル、ハロゲン及びC
1〜3アルキルを表し、
R
4は、独立して、それぞれの場合について、水素またはメチルを表し、
Xは、スルホンアミド−フェニル基のメタ位またはパラ位に結合しており、Xは、次のうちの1つであり、
(i)−O−(C
1〜6アルキレン)−フェニル、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル及びC
1〜6アルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、
(ii)−(C
2〜6アルケニレン)−フェニルまたは−(C
1〜6アルキレン)−フェニル(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、または
(iii)−(C
1〜6アルキレン)−Z
1[式中、Z
1は、−O−アラルキル、−O−フェニル、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)である](その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル及びC
1〜6アルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)
mは、0、1または2であり、
nは、1または2である。]
【0081】
ある特定の実施形態において、Xは、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル及びC
1〜6アルキルからなる群から独立して選択される1または2個の置換基で任意に置換される−O−(C
1〜6アルキレン)−フェニルである。
【0082】
上式I−B中の変数の定義は、複数の化学基を包含する。本出願は、例えば、i)変数の定義が、上記の化学基から選択される1つの化学基である場合、ii)変数の定義が、上記の化学基から選択される2つ以上の化学基の集まりである場合、iii)化合物が、(i)または(ii)によって定義される変数の組み合わせによって定義される場合の実施形態を企図する。
【0083】
ある特定の他の実施形態において、化合物は、変数X及びZが表1に定義された次式のうちの1つによって定義される化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【化16】
表1
【表1】
【0084】
本明細書に記載する化合物の調製方法を以下の合成スキームに示す。スキームは、本発明を例示する目的で記載するものであり、本発明の範囲または主旨を限定するものではない。スキームに示す出発材料は、一般の供給元から入手してもよいし、文献に記載された手順に従って調製してもよい。
【0085】
スキーム1は、置換されたN−アルキル−N−フェニル(アリールまたはヘテロアリール)スルホンアミドCを生成する一般的方法を示す。置換アニリンAのN−アルキル−アニリンBへの変換は、例えば、3つの異なる方法で達成することができる。(1)アルデヒドとの還元的アミノ化(E.E.Borosら、J.Org.Chem.74:3587−3590,2009;及びC.A.Maryanoffら、J.Org.Chem.61:3849−3860,1996)、(2)アシル化に続く、ボラン若しくは水素化リチウムアルミニウムのいずれかでの還元、または(3)アルキルハライドでのアルキル化。N−アルキル−アニリンBを好適な塩基の存在下にてハロゲン化スルホニルで処理すると、N−アルキル−N−フェニル(アリールまたはヘテロアリール)スルホンアミドCが得られる。ベンゼンスルホンアミド化合物を調製するための更なる手順については、実施例に記載する。類似の手順を使用して、R’’がシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである、スルホンアミドを調製することができる。
スキーム1
【化17】
【0086】
パートII:ベンジルスルホン化合物
本発明の別の態様は、式IIによって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化18】
(II)
[式中、
Aは、フェニレン、5〜6員ヘテロアリーレンまたはC
3〜6ヘテロシクロアルキレンであり、
R
1は、独立して、それぞれの場合について、ハロゲン、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロアルキルまたはC
3〜6シクロアルキルを表し、
R
2Aは、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキルまたはC
3〜6ヘテロシクリルであり、その各々は、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、シアノ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)C(O)R
5、−SO
2R
6及び−C(O)N(R
4)(R
5)からなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換され、
R
2Bは、水素またはC
1〜6アルキルであり、あるいはR
2A及びR
2Bは、それらが結合している炭素原子とともに3〜6員シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基を形成し、これらの基は、−CO
2R
4、−C(O)R
4、−SO
2R
6、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロアルキル、シアノ及び−N(R
4)(R
5)からなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換され、
R
3は、独立して、それぞれの場合について、水素、C
1〜6ハロアルキル、ハロゲン、C
1〜6アルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシまたはヒドロキシルを表すか、2つのR
3が隣接する場合、間にある原子とともに4〜6員環を形成し、
R
4及びR
5はそれぞれ、独立して、それぞれの場合について、水素、C
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルを表すか、R
4及びR
5が同じ窒素原子に結合している場合、それらが結合している窒素原子とともに3〜7員複素環を形成し、
R
6は、独立して、それぞれの場合について、C
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルを表し、
Xは、次のうちの1つであり、
(i)−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、
(ii)−(C
2〜6アルケニレン)−フェニル、−(C
2〜6アルケニレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−フェニル、−(C
1〜6アルキレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式ヘテロシクリル)、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式オキソヘテロシクリル)、−(5〜6員ヘテロシクロアルキレン)−フェニルまたは−(C
3〜6シクロアルキレン)−フェニル(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、または
(iii)−(C
1〜6アルキレン)−Z
1または−(C
2〜6アルケニレン)−Z
1[式中、Z
1は、−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)または−N(R
4)−(C
3〜6シクロアルキルである](その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)
mは、0、1または2であり、
nは1、2または3である。]
【0087】
ある特定の実施形態において、Aは、フェニレンまたは5〜6員ヘテロアリーレンである。
【0088】
ある特定の実施形態において、R
1は、独立して、それぞれの場合について、ハロゲンまたはC
1〜6アルキルを表す。
【0089】
ある特定の実施形態において、Xは、8〜10員の部分的に飽和の二環式カルボシクリルから更に選択され、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、−S−(C
1〜6アルキル)、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。
【0090】
上式II中の変数の定義は、複数の化学基を包含する。本出願は、例えば、i)変数の定義が、上記の化学基から選択される1つの化学基である場合、ii)変数の定義が、上記の化学基から選択される2つ以上の化学基の集まりである場合、iii)化合物が、(i)または(ii)によって定義される変数の組み合わせによって定義される場合、例えば、Aはフェニレンであり、R
2AはC
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルであり、R
2Bは水素であり、R
3は水素、C
1〜6ハロアルキルまたはハロゲンである場合などの実施形態を企図する。
【0091】
本発明の別の態様は、式II−Aによって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化19】
(II−A)
[式中、
Aは、フェニレンまたは5〜6員ヘテロアリーレンであり、
R
1は、独立して、それぞれの場合について、ハロゲン、C
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルを表し、
R
2Aは、C
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルであり、その各々は、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、シアノ、−N(R
4)(R
5)及び−N(R
4)C(O)R
5からなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換され、
R
2Bは、水素またはC
1〜6アルキルであり、
R
3は、独立して、それぞれの場合について、水素、C
1〜6ハロアルキル、ハロゲン、C
1〜6アルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシまたはヒドロキシルを表すか、2つのR
3が隣接する場合、間にある原子とともに4〜6員環を形成し、
R
4及びR
5はそれぞれ、独立して、それぞれの場合について、水素、C
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルを表すか、R
4及びR
5が同じ窒素原子に結合している場合、それらが結合している窒素原子とともに3〜7員複素環を形成し、
Xは、次のうちの1つであり、
(i)−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、
(ii)−(C
2〜6アルケニレン)−フェニル、−(C
2〜6アルケニレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−フェニル、−(C
1〜6アルキレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式ヘテロシクリル)、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式オキソヘテロシクリル)または−(5〜6員ヘテロシクロアルキレン)−フェニル(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、または
(iii)−(C
1〜6アルキレン)−Z
1または−(C
2〜6アルケニレン)−Z
1[式中、Z
1は、−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)である](その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)
mは、0、1または2であり、
nは1、2または3である。]
【0092】
ある特定の実施形態において、Aは、フェニレンである。ある特定の他の実施形態において、Aは、5〜6員ヘテロアリーレンである。更に他の実施形態において、−A−(R
3)
nは、次式のうちの1つである。
【化20】
【0093】
ある特定の実施形態において、R
1は、独立して、それぞれの場合について、ハロゲンまたはメチルを表す。
【0094】
ある特定の実施形態において、R
2は、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1〜6アルコキシ及び−N(R
4)C(O)R
5からなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されるC
1〜6アルキルである。ある特定の他の実施形態において、R
2は、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル及びC
1〜6アルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されるC
1〜6アルキルである。ある特定の他の実施形態において、R
2は、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル及びC
1〜6アルコキシからなる群から選択される1個の置換基で任意に置換されるC
1〜6アルキルである。ある特定の他の実施形態において、R
2は、−CO
2R
4で任意に置換されるC
1〜6アルキルである。ある特定の他の実施形態において、R
2は、エチルまたはプロピルである。
【0095】
ある特定の実施形態において、nは、1である。ある特定の他の実施形態において、nは、1または2である。
【0096】
ある特定の実施形態において、R
3は、C
1〜6ハロアルキルである。ある特定の他の実施形態において、R
3は、トリフルオロメチルである。更に他の実施形態において、R
3は、独立して、それぞれの場合について、C
1〜6ハロアルキル、ハロゲン、C
1〜6アルキルまたはC
1〜6アルコキシを表す。
【0097】
ある特定の実施形態において、Xは、−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)であり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−O−アラルキル、−O−フェニル、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)であり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−O−アラルキル、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)であり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−O−アラルキルまたは−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)であり、その各々は、ハロゲン及びC
1〜6ハロアルキルからなる群から独立して選択される1または2個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、クロロ、ブロモ及びフルオロからなる群から独立して選択される1または2個の置換基で置換された−O−ベンジルである。
【0098】
ある特定の実施形態において、Xは、−O−(C
1〜6アルキレン)−フェニルまたは−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−フェニルであり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で置換され、少なくとも1個の置換基は、変数Xのフェニル基のオルト位に存在する。
【0099】
ある特定の実施形態において、Xは、−(C
2〜6アルケニレン)−フェニル、−(C
2〜6アルケニレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−フェニル、−(C
1〜6アルキレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式ヘテロシクリル)、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式オキソヘテロシクリル)または−(5〜6員ヘテロシクロアルキレン)−フェニルであり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−(C
2〜6アルケニレン)−フェニルまたは−(C
1〜6アルキレン)−フェニルであり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−(C
1〜6アルキレン)−ヘテロアリール、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式ヘテロシクリル)、−(C
1〜6アルキレン)−(部分的に不飽和の二環式オキソヘテロシクリル)または−(5〜6員ヘテロシクロアルキレン)−フェニルであり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。
【0100】
ある特定の実施形態において、Xは、−(C
1〜6アルキレン)−Z
1または−(C
2〜6アルケニレン)−Z
1であり、式中、Z
1は、−O−アラルキル、−O−ヘテロアラルキル、−O−フェニル、−O−ヘテロアリール、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)であり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の他の実施形態において、Xは、−(C
1〜6アルキレン)−Z
1であり、式中、Z
1は、−O−アラルキル、−O−フェニル、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)であり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。ある特定の実施形態において、Xは、−(C
1〜6アルキレン)−Z
1であり、式中、Z
1は、−O−アラルキル、−N(R
4)−アラルキルまたは−N(R
4)−フェニルであり、その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル及びC
1〜6アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。
【0101】
ある特定の実施形態において、Xは、メチレン−スルホニル置換基のメタ位またはパラ位に結合している。
【0102】
ある特定の実施形態において、Xは、8〜10員の部分的に飽和の二環式カルボシクリルから更に選択され、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、−S−(C
1〜6アルキル)、ヒドロキシル及びシアノからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される。
【0103】
ある特定の実施形態において、mは、0である。ある特定の実施形態において、mは、1である。
【0104】
上式II−A中の変数の定義は、複数の化学基を包含する。本出願は、例えば、i)変数の定義が、上記の化学基から選択される1つの化学基である場合、ii)変数の定義が、上記の化学基から選択される2つ以上の化学基の集まりである場合、iii)化合物が、(i)または(ii)によって定義される変数の組み合わせによって定義される場合、例えば、Aはフェニレンであり、R
2AはC
1〜6アルキルまたはC
3〜6シクロアルキルであり、R
2Bは水素であり、R
3は水素、C
1〜6ハロアルキルまたはハロゲンである場合などの実施形態を企図する。
【0105】
本発明の別の態様は、式II−Bによって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化21】
(II−B)
[式中、
Aは、フェニレンであり、
R
1は、独立して、それぞれの場合について、ハロゲン、メチル、エチルまたはシクロプロピルを表し、
R
2Aは、−CO
2R
4、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1〜6アルコキシ及び−N(R
4)C(O)(C
1〜6アルキル)からなる群から独立して選択される1または2個の置換基で任意に置換されるC
1〜6アルキルであり、
R
2Bは、水素またはメチルであり、
R
3は、独立して、それぞれの場合について、C
1〜3ハロアルキル、ハロゲン及びC
1〜3アルキルを表し、
R
4は、独立して、それぞれの場合について、水素またはメチルを表し、
Xは、メチレン−スルホニル置換基のメタ位またはパラ位に結合しており、Xは、次のうちの1つであり、
(i)−O−(C
1〜6アルキレン)−フェニル、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル及びC
1〜6アルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、
(ii)−(C
2〜6アルケニレン)−フェニルまたは−(C
1〜6アルキレン)−フェニル(その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
1〜6アルコキシ及びC
1〜6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)、または
(iii)−(C
1〜6アルキレン)−Z
1[式中、Z
1は、−O−アラルキル、−O−フェニル、−O−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)、−O−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)、−O−(C
3〜6シクロアルキル)、−N(R
4)−アラルキル、−N(R
4)−フェニル、−N(R
4)−(部分的に不飽和の二環式カルボシクリル)または−N(R
4)−(C
1〜6アルキレン)−(C
3〜6シクロアルキル)である](その各々は、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜6アルキル及びC
1〜6アルコキシからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基で任意に置換される)
mは、0、1または2であり、
nは、1または2である。]
【0106】
ある特定の実施形態において、Xは、ハロゲン、C
1〜6ハロアルキル及びC
1〜6アルキルからなる群から独立して選択される1または2個の置換基で任意に置換される−O−(C
1〜6アルキレン)−フェニルである。
【0107】
上式II−B中の変数の定義は、複数の化学基を包含する。本出願は、例えば、i)変数の定義が、上記の化学基から選択される1つの化学基である場合、ii)変数の定義が、上記の化学基から選択される2つ以上の化学基の集まりである場合、iii)化合物が、(i)または(ii)によって定義される変数の組み合わせによって定義される場合の実施形態を企図する。
【0108】
ある特定の他の実施形態において、化合物は、変数X及びZが表2に定義された次式のうちの1つによって定義される化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【化22】
表2
【表2】
【0109】
本明細書に記載する化合物の調製方法を以下の合成スキームに示す。スキームは、本発明を例示する目的で記載するものであり、本発明の範囲または主旨を限定するものではない。スキームに示す出発材料は、一般の供給元から入手してもよいし、文献に記載された手順に従って調製してもよい。
【0110】
スキーム2は、置換された(ベンジルまたはヘテロアリールアルキルスルホニル)ベンゼンDを生成する一般的方法を示す。ハロゲン化ベンジルA(式中、X
1はハロゲンである)をメルカプタンで処理してチオエーテルBを得る。メタクロロ過安息香酸または別の酸化剤で酸化してスルホンCを得て、1〜2つのハロゲン化アルキルで段階的にアルキル化すると、スルホンDが生成される。ジハロゲン化物でアルキル化した場合、R’とR’’は、環を形成し得る。類似の手順を使用して、R’’がシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである、スルホンを調製することができる。ベンジルスルホン化合物を調製するための更なる手順については、実施例に記載する。
スキーム2
【化23】
【0111】
スキーム3は、置換された1−ベンジルスルホンアミドDを生成する方法を示す。ここで、R及びR’’は、それらが結合している窒素原子とともにヘテロシクロアルキル基を形成する。ハロゲン化ベンジルA(式中、X
1はハロゲンである)を亜硫酸ナトリウムで処理した後、塩化チオニルで処理して、ハロゲン化スルホニルBを得る。アザ−ヘテロシクロアルキルHN(R)(R’’)で処理してスルホンアミドCを得て、1〜2つのハロゲン化アルキル(R’’’−X
2及び/またはR’’’’−X
2)で段階的にアルキル化すると、スルホンアミドDが生成される。ジハロゲン化物でアルキル化した場合、R’’’とR’’’’は、環を形成し得る。
スキーム3
【化24】
【0112】
II.ベンゼンスルホンアミド及び関連化合物の治療用途
セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物などの本明細書に記載するベンゼンスルホンアミド及び関連化合物は、癌、細菌感染症、真菌感染症または免疫不全症を罹患している対象に治療効果をもたらすと考えられる。したがって、本発明の一態様は、癌、細菌感染症、真菌感染症及び免疫不全症からなる群から選択される疾患を治療する方法を提供する。この方法は、当該疾患の症状を改善するために、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物などの本明細書に記載するベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物の治療上有効な量を、それを必要とする対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、式I、I−A、I−B、II、II−AまたはII−Bの具体的な化合物は、上記実施形態のうちの1つによって定義される化合物である。
【0113】
ある特定の実施形態において、疾患は癌である。ある特定の実施形態において、癌は、固形腫瘍または白血病である。ある特定の他の実施形態において、癌は、大腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、肺癌、白血病、膀胱癌、胃癌、子宮頸癌、精巣癌、皮膚癌、直腸癌、甲状腺癌、腎臓癌、子宮癌、食道癌、肝臓癌、聴神経腫、希突起膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫または網膜芽細胞腫である。ある特定の他の実施形態において、癌は、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、中枢神経系組織癌、脳癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。ある特定の他の実施形態において、癌は、乳癌、大腸癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、腎臓癌、卵巣癌、白血病、黒色腫または中枢神経系組織癌である。ある特定の他の実施形態において、癌は、大腸癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、腎臓癌、卵巣癌、腎臓癌または黒色腫である。
【0114】
更なる例示的な癌には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫及び血管芽細胞腫が挙げられる。
【0115】
ある特定の実施形態において、癌は、神経芽細胞腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形性膠芽腫、膠芽腫、脳幹神経膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、退形成性星細胞腫、退形成性乏突起膠腫、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC&D大腸癌、切除不可能な大腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、転移性黒色腫、限局性黒色腫、悪性中皮腫、悪性胸水中皮腫症候群、腹膜癌、乳頭状漿液癌、婦人科系肉腫,軟部組織肉腫,強皮症,皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球症、平滑筋肉腫、進行性骨化性線維異形成症、ホルモン難治性前立腺癌、切除高リスク軟部組織肉腫、切除不能な肝細胞癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無症候性骨髄腫、卵管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性ステージIV非転移性前立腺癌、ホルモン非感受性前立腺癌、化学療法非感受性前立腺癌、甲状腺乳頭状癌、甲状腺濾胞癌、甲状腺髄様癌または平滑筋腫である。
【0116】
ある特定の実施形態において、疾患は、細菌感染症である。細菌感染症は、当該技術分野において知られた分類に従って特徴付けることができる。例えば、ある特定の実施形態において、細菌感染症は、グラム陽性球菌感染症またはグラム陽性桿菌感染症などのグラム陽性菌感染症である。他の実施形態において、細菌感染症は、グラム陰性球菌感染症またはグラム陰性桿菌感染症などのグラム陰性菌感染症である。細菌感染症はまた、嫌気性菌に起因するか、または好気性菌に起因するかによって特徴付けることができる。したがって、ある特定の実施形態において、細菌感染症は、嫌気性菌感染症である。ある特定の他の実施形態において、細菌感染症は、好気性菌感染症である。
【0117】
種々の細菌は、ベンゼンスルホンアミド化合物に対して感受性があることが企図される。代表的な細菌には、ブドウ球菌属(Staphylococci)菌種、例えば、黄色ブドウ球菌(S.aureus);腸球菌属(Enterococci)菌種、例えば、大腸レンサ球菌(E.faecalis)及びエンテロコッカス・フェシウム(E.faecium);レンサ球菌属(Streptococci)菌種、例えば、化膿レンサ球菌(S.pyogenes)及び肺炎レンサ球菌(S.pneumoniae);エシェリキア属(Escherichia)菌種、例えば、毒素原性、腸病原性、腸管組織侵入性、腸管出血性及び腸管凝集付着性大腸菌株を含む大腸菌(E.coli);ヘモフィルス属(Haemophilus)菌種、例えば、インフルエンザ菌(H.influenza);並びにモラクセラ属(Moraxella)菌種、例えば、モラクセラ・カタラーリス(M.catarrhalis)が挙げられる。他の例には、マイコバクテリウム属(Mycobacteria)菌種、例えば、ヒト型結核菌(M.tuberculosis)、マイコバクテリウム・アビアン・イントラセルラーエ(M.avian−intracellulare)、マイコバクテリウム・カンサシ(M.kansasii)、ウシ型結核菌(M.bovis)、マイコバクテリウム・アフリカヌム(M.africanum)、マイコバクテリウム・ゲナベンス(M.genavense)、ライ菌(M.leprae)、マイコバクテリウム・ゼノピ(M.xenopi)、マイコバクテリウム・シミエ(M.simiae)、マイコバクテリウム・スクロフラセウム(M.scrofulaceum)、マイコバクテリウム・マルモエンセ(M.malmoense)、マイコバクテリウム・セラトゥム(M.celatum)、マイコバクテリウム・アブセサス(M.abscessus)、マイコバクテリウム・ケローネ(M.chelonae)、マイコバクテリウム・シュルガイ(M.szulgai)、マイコバクテリウム・ゴルドネ(M.gordonae)、マイコバクテリウム・ヘモフィルム(M.haemophilum)、マイコバクテリウム・フォルトゥーニ(M.fortuni)及びマイコバクテリウム・マリナム(M.marinum);コリネバクテリウム属(Corynebacteria)菌種、例えば、ジフテリア菌(C.diphtheriae);ビブリオ属(Vibrio)菌種、例えば、コレラ菌(V.cholerae);カンピロバクター属(Campylobacter)菌種、例えば、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni);ヘリコバクター属(Helicobacter)菌種、例えば、ピロリ菌(H.pylori);シュードモナス属(Pseudomonas)菌種、例えば、緑膿菌(P.aeruginosa);レジオネラ属(Legionella)菌種、例えば、レジオネラ・ニューモフィラ(L.pneumophila);トレポネーマ属(Treponema)菌種、例えば、梅毒トレポネーマ(T.pallidum);ボレリア属(Borrelia)菌種、例えば、ボレリア・ブルグドルフェリ(B.burgdorferi);リステリア属(Listeria)菌種、例えば、リステリア・モノサイトゲネス(L monocytogenes);バシラス属(Bacillus)菌種、例えば、セレウス菌(B.cereus);ボルデテラ属(Bordatella)菌種、例えば、百日咳(B.pertussis);クロストリジウム属(Clostridium)菌種、例えば、ウェルシュ菌(C.perfringens)、破傷風菌(C.tetani)、ディフィシル菌(C.difficile)及びボツリヌス菌(C.botulinum);ナイセリア属(Neisseria)菌種、例えば、髄膜炎菌(N.meningitidis)及び淋菌(N.gonorrhoeae);クラミジア属(Chlamydia)菌種、例えば、オウム病クラミジア(C.psittaci)、肺炎クラミジア(C.pneumoniae)及びクラミジア・トラコマチス(C.trachomatis);リケッチア属(Rickettsia)菌種、例えば、リケッチア・リケッチイ(R.rickettsii)及びリケッチア・プロワツェキイ(R.prowazekii);シゲラ属(Shigella)菌種、例えば、ソンネ菌(S.sonnei);サルモネラ属(Salmonella)菌種、例えば、ネズミチフス菌(S.typhimurium);エルシニア属(Yersinia)菌種、例えば、エルシニア・エンテロコリチカ(Y.enterocolitica)及び仮性結核(Y.pseudotuberculosis);クレブシェラ属(Klebsiella)菌種、例えば、肺炎桿菌(K.pneumoniae);マイコプラズマ属(Mycoplasma)菌種、例えば、マイコプラズマ・ニューモニア(M.pneumoniae);並びにブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)が挙げられる。ある特定の実施形態において、本明細書に記載の化合物は、黄色ブドウ球菌、大腸レンサ球菌、エンテロコッカス・フェシウム、化膿レンサ球菌、肺炎レンサ球菌及び緑膿菌からなる群から選択される細菌感染症に罹患している対象を治療するために使用される。
【0118】
本明細書に記載の化合物の抗菌活性は、微量液体希釈法による最小発育阻止濃度(MIC)アッセイなどの当該技術分野において知られているアッセイを用いて評価することができる。MICについては、National Committee for Clinical Laboratory Standards.Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing;Fourteenth Informational Supplement.NCCLS document M100−S14{ISBN 1−56238−516−X}に詳述されている。このアッセイを使用して、溶液中での目に見える細菌成長を阻止するのに必要な化合物の最小濃度を判定することができる。一般に、被験薬物をウェルに連続希釈し、細菌培養液のアリコートを加える。この混合物を適切な条件下で培養し、次いで、細菌の成長について試験する。抗菌活性が低いかまたはない(高MIC)化合物では、化合物が高濃度でも成長が可能であるのに対し、抗菌活性が高い化合物では、細菌はより低い濃度(低MIC)でしか増殖できない。
【0119】
このアッセイでは、選択した細菌株に適した細菌培養保存条件を使用する。永久的な保存培養株コレクションの保存培養物を−70℃で凍結懸濁液として保存することができる。培養物は、10%脱脂乳(BD)中に懸濁してからドライアイス/エタノールで急速凍結し、次いで、−70℃のフリーザに入れてもよい。培養物は、5%ヒツジ血液を含むTryptic Soy Agarで室温(20℃)にて維持することができ、各培養物を凍結形態から解凍し、MIC試験前に更に継代してもよい。試験の前日に新しいプレートに接種し、一晩培養し、純度及び同一性の確認を行う。
【0120】
保存培養株から回収した培養物の同一性及び純度を確認すれば、コンタミネーションの可能性を排除することができる。株の同一性については、標準的な微生物学的方法(例えば、Murrayら、Manual of Clinical Microbiology、第8版 ASM Press{ISBN 1−55581−255−4}を参照)によって確認することができる。一般に、純度、予想されるコロニーの形状及び溶血パターンを可視化するために、培養物を適切な寒天プレート上に画線培養する。また、グラム染色を利用してもよい。同一性は、MicroScan WalkAway 40 SI Instrument(Dade Behring,WestSacramento,California)を用いて確認する。この装置は、自動インキュベータ、リーダ及びコンピュータを利用して、同定のために、各生物が行う生化学反応を評価する。MicroScan WalkAwayは、予備的MICの判定にも用いることができ、下記の方法を用いて確認することができる。
【0121】
凍結保存培養株は、微量液体希釈法による最小発育阻止濃度(MIC)試験を行うための最初の生物源として使用してもよい。保存培養株は、使用する前にその標準的な成長培地で少なくとも1成長サイクル(18〜24時間)培養する。大部分の細菌は、適切なブロス培地のアリコート10mL中で寒天プレートから直接調製することができる。細菌培養物は、0.5マクファーランド標準濃度(波長600nmに設定したPerkin−Elmer Lambda EZ150分光光度計(Wellesley,Massachusetts)にて光学密度値0.28〜0.33)に調整する。次いで調整した培養物を成長培地で400倍希釈(0.25mLの接種材料+100mLのブロス)して、約5×105コロニー形成単位(CFU)/mLの出発懸濁液を作製する。大部分の菌株は、カチオン調整Mueller Hintonブロス(CAMHB)で試験することができる。
【0122】
試験化合物(「薬物」)は、アッセイに適した溶媒(DMSOなど)中に可溶化する。薬物原液は、試験の当日に調製してもよい。微量液体希釈保存プレートは、64〜0.06μg薬剤/mL及び0.25〜0.00025μg薬剤/mLの2つの希釈系列で調製すればよい。高濃度系列では、200μLの原液(2mg/mL)を96ウェルマイクロタイタープレートに2列ずつ加える。これを希釈系列の第1のウェルとして使用する。残りの11ウェルのうちの10ウェルで、BioMek FXロボット(Beckman Coulter Inc.,Fullerton,CA)を用いて、2倍連続希釈系列を作製し、各々に100μLの適切な溶媒/希釈液を加える。列12には、溶媒/希釈液のみを加えて対照とする。低濃度系列の第1のウェルでは、8μg/mLの保存液200μLを96ウェルプレートに2列ずつ加える。2倍希釈系列を上記のように作製する。
【0123】
BioMek FXロボットを用いて、上述の保存プレートから娘96ウェルプレートにスポット(3.2μL/ウェル)し、これを直ちに使用してもよいし、使用まで−70℃で凍結してよい。BioMek FXロボットを用いて、解凍したプレートに好気性生物を接種(100μL量)する。接種したプレートを重ねて置き、空のプレートで蓋をする。次いで、CLSIガイドライン(National Committee for Clinical Laboratory Standards,Methods for Dilution,Antimicrobial Tests for Bacteria that Grow Aerobically;Approved Standard、第6版 NCCLS document M7−A6{ISBN 1−56238−486−4})に従って、これらのプレートを周囲雰囲気で16〜24時間培養する。
【0124】
接種及び培養後、Test Reading Mirror(Dynex Technologies 220 16)を使用して、暗室で微量液体トレーの上から単一光を直接通すと、細菌成長の程度を視覚的に推定することができる。MICは、本試験の条件下、肉眼で見える成長を阻止する薬物の最低濃度である。
【0125】
ある特定の実施形態において、疾患は、真菌感染症である。治療することができる例示的な真菌には、例えば、アクレモニウム属(Acremonium)、ユミケカビ属(Absidia)(例えば、アブシディア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera))、アルテルナリア属(Alternaria)、アスペルギルス属(Aspergillus)(例えば、アスペルギルス・クラバタス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルス・フラーブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、黒麹菌(Aspergillus niger)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)及びアスペルギルス・ベルシカラー(Aspergillus versicolor))、アウレオバシジウム属(Aureobasidium)、バジジオボルス属(Basidiobolus)、ブラストミセス属(Blastomyces)(例えば、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis))、カンジダ属(Candida)(例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・ギリエルモンディ(Candida guilliermondii)、カンジダ・ケフィール(Candida kefyr)、カンジダ・クルーセイ(Candida krusei)、カンジダ・ルシタニアエ(Candida lusitaniae)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・プソイドトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・ユチリス(Candida utilis)、カンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)、カンジダ・ファマータ(Candida famata)及びカンジダ・ルゴサ(Candida rugosa))、セファロスポリウム属(Cephalosporium)、ケトミウム属(Chaetomium)、クリソスポリウム属(Chrysosporium)、クラドスポリウム属(Cladosporium)(例えば、クラドスポリウム・カリオニイ(Cladosporium carrionii)及びクラドスポリウム・トリコイデス(Cladosporium trichloides))、コクシディオイデス属(Coccidioides)(例えば、コクシディオイデス・イミティス(Coccidioides immitis))、コニディオボラス属(Conidiobolus)、ヒトヨタケ属(Coprinus)、コリネスポラ属(Corynespora)、クリプトコックス属(Cryptococcus)(例えば、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans))、カーブラリア属(Curvularia)、クスダマカビ属(Cunninghamella)(例えば、クニンガメラ・エレガンス(Cunninghamella elegans))、エキソフィアラ属(Exophiala)(例えば、エキソフィアラ・デルマチチディス(Exophiala dermatitidis)及びエキソフィアラ・スピニフィラ(Exophiala spinifera))、エピデルモフィトン属(Epidermophyton)(例えば、鼠径表皮菌(Epidermophyton floccosum))、フォンセケア属(Fonsecaea)(例えば、フォンセケア・ペドロソイ(Fonsecaea pedrosoi))、フサリウム属(Fusarium)(例えば、フサリウム・ソラニ(Fusarium solani))、ゲオトリクム属(Geotrichum)(例えば、ゲオトリクムキャンディダム(Geotrichum candiddum)及びゲオトリクム・クラバタム(Geotrichum clavatum))、ヘンデルソーヌラ属(Hendersonula)、ヒストプラスマ属(Histoplasma)、レプトスファエリア属(Leptosphaeria)、ロボア属(Loboa)、マヅレラ属(Madurella)、マラセジア属(Malassezia)(例えば、癜風菌(Malassezia furfur))、ミクロスポルム属(Microsporum)(例えば、イヌ小胞子菌(Microsporum canis)及び石膏状小胞子菌(Microsporum gypseum))、ミコケントロスポラ属(Mycocentrospora)、ケカビ属(Mucor)、ネオテスツジナ属(Neotestudina)、ペシロマイセス属(Paecilomyces)、パラコクシジオイデス属(Paracoccidioides)(例えば、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis))、ペニシリウム属(Penicillium)(例えば、ペニシリウム・マルネッフェイ(Penicillium marneffei))、フィアロフォラ属(Phialophora)、ニューモシスチス属(Pneumocystis)(例えば、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii))、シュードアレシェリア属(Pseudallescheria)(例えば、シュードアレシェリア・ボイジイ(Pseudallescheria boydii))、リノスポリジウム属(Rhinosporidium)、リゾムコール属(Rhizomucor)、クモノスカビ属(Rhizopus)(例えば、リゾプス・ミクロスポラス・バリアント・リゾポジフォリミス(Rhizopus microsporus var.rhizopodiformis)及びリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae))、サッカロミセス属(Saccharomyces)(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、スコプラリオプシス属(Scopulariopsis)、スポロトリックス属(Sporothrix)(例えば、スポロトリックス・シェンキイ(Sporothrix schenckii))、トリコフィトン属(Trichophyton)(例えば、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)及びトリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum))、トリコスポロン属(Trichosporon)(例えば、トリコスポロン・アサヒ(Trichosporon asahii)、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)及びトリコスポロン・クタネウム(Trichosporon cutaneum))、及びワンギエラ属(Wangiella)が挙げられる。
【0126】
ある特定の実施形態において、疾患は、免疫不全症である。例示的な免疫不全症には、例えば、ヒト免疫不全ウイルス感染症、化学療法に起因する免疫系不全を有する患者または外科手術からの回復にあり、免疫系不全を有する患者が含まれる。
【0127】
ある特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0128】
本発明の別の態様は、薬剤製造における本明細書に記載の化合物(セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物など)の使用を提供する。ある特定の実施形態において、薬剤は、癌などの本明細書に記載する疾患を治療するためのものである。
【0129】
本発明の別の態様は、医学的疾患、例えば、本明細書に記載の医学的疾患(例えば、癌)を治療するための本明細書に記載の化合物(セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物など)の使用を提供する。
【0130】
更に、本明細書に記載するベンゼンスルホンアミド及び関連化合物、例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物は、RORγの活性を促進することができると考えられる。したがって、本発明の別の態様は、RORγの活性を促進する方法を提供する。この方法は、RORγ活性を促進するために、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物などの本明細書に記載するベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物の有効量にRORγを曝すことを含む。ある特定の実施形態において、式I、I−A、I−B、II、II−AまたはII−Bの具体的な化合物は、上記実施形態のうちの1つによって定義される化合物である。RORγの活性を促進することは、RORγの活性を増加させることを意味する。ある特定の実施形態において、本明細書に記載するベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物(セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物など)の有効量にRORγを曝すことにより、実質的に同様の条件であるが、ベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物が存在しない場合のRORγの活性と比較して、RORγ活性が少なくとも5%、10%、20%または50%増加する。
【0131】
更に、本明細書に記載するベンゼンスルホンアミド及び関連化合物、例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物は、対象におけるインターロイキン−17(IL−17)の量を増やすことができると考えられる。IL−17は、多数の生物学的機能に影響を及ぼすサイトカインである。したがって、本発明の別の態様は、対象におけるIL−17の量を増加させる方法を提供する。この方法は、対象におけるIL−17の量を増加させるために、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物などの本明細書に記載するベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物の有効量を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、式I、I−A、I−B、II、II−AまたはII−Bの具体的な化合物は、上記実施形態のうちの1つによって定義される化合物である。
【0132】
ある特定の実施形態において、対象はヒトである。ある特定の実施形態において、化合物を投与することにより、対象において、Th−17細胞によって産生されるIL−17の量が増加する。例えば、Th−17細胞によって産生されるIL−17の量の変化は、文献に記載の手法、例えば、ELISAアッセイまたは細胞内染色アッセイなどを用いて測定することができる。
【0133】
更に、本明細書に記載するベンゼンスルホンアミド及び関連化合物、例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物は、対象におけるIL−17の合成を増やすことができると考えられる。したがって、本発明の別の態様は、対象におけるIL−17の合成を増やす方法を提供する。この方法は、対象におけるIL−17の合成を増加させるために、本明細書に記載する化合物、例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物の有効量を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、式I、I−A、I−B、II、II−AまたはII−Bの具体的な化合物は、上記実施形態のうちの1つによって定義される化合物である。
【0134】
養子細胞療法
本明細書に記載のRORγアゴニスト化合物は、癌、細菌感染症、真菌感染症及び免疫疾患などの様々な医学的疾患を治療するための養子細胞療法に用いることもできる。細胞、例えば、リンパ球細胞または樹状細胞を本明細書のRORγアゴニスト化合物に生体外曝露した後、処理した細胞を患者に投与する。養子細胞移入では、細胞を供給源(通常は治療を必要とする患者)から採取し、その細胞を作用物質とともに生体外培養し、次いで、得られた細胞を治療を必要とする患者に投与する。培養は、通常、細胞の数が増加し(すなわち、増殖)、かつ/または治療効果の改善をもたらす特長を獲得する条件に細胞を置くことである。養子細胞療法及び組成物の全般的特徴については、リンパ球細胞、樹状細胞のより具体的な実施形態及び細胞を単離し、培養する手順とあわせて、以下に記載する。
【0135】
したがって、本発明の一態様は、リンパ球細胞及び樹状細胞からなる群から選択される、RORγアゴニスト処理細胞を患者に送達する方法を提供する。この方法は、本明細書に記載するRORγのアゴニスト、例えば、式I、I−A、I−B、II、II−AまたはII−Bの化合物に生体外曝露した細胞を含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む。方法は、培養工程を更に含み得る。このような実施形態において、方法は、RORγのアゴニストに生体外曝露した細胞を得るために、細胞(すなわち、リンパ球細胞または樹状細胞)をRORγのアゴニストとともに培養することを更に含む。培養には、細胞をサイトカイン(例えば、IL−1β、IL−2、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、IL−18、IL−21、IL−23またはトランスフォーミング増殖因子ベータ)に曝すことが含まれ得る。培養工程の間、医学的疾患に関連する抗原に細胞を曝してもよい。理論に束縛されるものではないが、医学的疾患に関連する抗原に特異的な受容体を有する細胞のほうが、かかる受容体を持たない細胞よりも高い治療効果をもたらし得る。したがって、ある特定の実施形態において、培養工程は、医学的疾患に関連する抗原に細胞を曝すことを含む。抗原は、抗原提示細胞であってよい。あるいは、抗原は、癌組織を含み得る。更に、後述するように、細胞を遺伝子的に改変して、医学的疾患に関連する抗原に特異的な受容体を発現するようにしてもよい。
【0136】
細胞は、自己由来であっても、同種異系であってもよい。自己細胞は、RORγのアゴニストに生体外曝露した細胞を投与する患者から採取した細胞である。したがって、ある特定の実施形態において、方法は、培養工程にて使用するために、当該患者から細胞を採取することを更に含み得る。あるいは、細胞は、同種異系であってもよく、すなわち、患者の細胞と同種異系である細胞を生成する対象から採取してもよい。このような実施形態において、方法は、培養工程にて使用するために、患者のリンパ球細胞と同種異系である細胞を生成する対象から細胞を採取することを更に含み得る。
【0137】
ある特定の実施形態において、細胞は、リンパ球細胞である。リンパ球細胞は、文献に記載の手法に従って、ヒトまたは動物の組織から得ることができる。ある特定の実施形態において、リンパ球細胞は、血液、癌組織、骨髄、脾臓、リンパ節または胸腺から採取される。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、ヒト末梢血単核細胞などの末梢血単核細胞集団から採取される。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、腫瘍または感染部位に近接するリンパ節から採取される。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、癌組織から採取される。更に他の実施形態において、リンパ球細胞は、腫瘍浸潤リンパ球細胞である。
【0138】
細胞は、医学的疾患に特異的な抗原の受容体の存在によって特徴付けることができる。ある特定の実施形態において、細胞は、医学的疾患に特異的な抗原の受容体を発現する。上述したように、かかる細胞は、治療対象の疾患に特有の組織を標的にする可能性が高いことから、当該疾患の治療により有効な治療効果をもたらし得る。ある特定の実施形態において、医学的疾患は、癌、細菌感染症、真菌感染症または免疫疾患である。更に他の実施形態において、細胞は、医学的疾患に特異的ではないが、当該疾患の治療において細胞有効性を高めるのに有用である受容体を発現していてよい。
【0139】
養子細胞移入にて使用するためのリンパ球細胞については、様々な種類のものが文献に記載されている。ある特定の実施形態において、リンパ球細胞は、T細胞である。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞またはT
H17細胞である。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞またはこれらの組み合わせである。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、ナチュラルキラー細胞である。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、Tc17細胞、ナチュラルキラーT細胞またはγδT細胞である。更に他の実施形態において、リンパ球細胞は、遺伝子改変されたリンパ球細胞である。
【0140】
細胞は、文献に記載の手法に従って、患者に投与することができる。ある特定の実施形態において、投与は、医薬組成物を患者に注入することを含む。注入は、静脈内注射でもよいし、腫瘍などの疾患組織への直接注入でもよい。更に他の実施形態において、注入は、患者への皮下注射であってよい。
【0141】
治療法は、(i)RORγのアゴニストに曝露した細胞の有効性を高める作用物質及び/または(ii)対象医学的疾患を治療するのに独立した有効性を有する作用物質を投与することなどの併用療法を包含する。
【0142】
本発明の別の態様は、本明細書に記載するRORγのアゴニストに生体外曝露した細胞の集団を作製する方法を提供し、ここで、細胞は、リンパ球細胞及び/または樹状細胞である。方法は、リンパ球細胞及び樹状細胞からなる群から選択される細胞の集団を、本明細書に記載するRORγのアゴニストに生体外曝露することを含み、これにより、RORγのアゴニストに生体外曝露した細胞の集団を得る。細胞集団は、本明細書に記載する治療法に使用することができる。曝露工程は、集団中の細胞数を増加させるのに十分な時間、細胞集団をRORγのアゴニストとともに培養することを含み得る。培養には、細胞をサイトカイン(例えば、IL−1β、IL−2、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、IL−18、IL−21、IL−23またはトランスフォーミング増殖因子ベータ)に曝すことが含まれ得る。更に、培養工程の間、医学的疾患に関連する抗原に細胞を任意に曝してもよい。したがって、ある特定の実施形態において、培養工程は、医学的疾患に関連する抗原に細胞を曝すことを含む。抗原は、抗原提示細胞であってよい。あるいは、抗原は、癌組織を含み得る。細胞は、自己由来であっても、同種異系であってもよい。自己細胞は、RORγのアゴニストに生体外曝露した細胞を投与する患者から採取した細胞である。したがって、ある特定の実施形態において、方法は、培養工程にて使用するために、当該患者から細胞(すなわち、リンパ球または樹状細胞)を採取することを更に含み得る。あるいは、細胞は、同種異系であってもよく、すなわち、患者の細胞と同種異系である細胞を生成する対象から採取してもよい。このような実施形態において、方法は、培養工程にて使用するために、患者の細胞と同種異系である細胞を生成する対象から細胞を採取することを更に含み得る。ある特定の実施形態において、細胞は、リンパ球細胞である。リンパ球細胞は、文献に記載の手法に従って、ヒトまたは動物の組織から採取することができる。ある特定の実施形態において、リンパ球細胞は、血液、癌組織、骨髄、脾臓、リンパ節または胸腺から採取される。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、ヒト末梢血単核細胞などの末梢血単核細胞集団から採取される。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、腫瘍または感染部位に近接するリンパ節から採取される。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、癌組織から採取される。更に他の実施形態において、リンパ球細胞は、腫瘍浸潤リンパ球細胞である。
【0143】
細胞は、医学的疾患に特異的な抗原の受容体の存在によって特徴付けることができる。ある特定の実施形態において、細胞は、医学的疾患に特異的な抗原の受容体を発現する。上述したように、かかる細胞は、治療対象の疾患に特有の組織を標的にする可能性が高いので、当該疾患の治療により有効な治療効果をもたらし得る。ある特定の実施形態において、医学的疾患は、癌、細菌感染症、真菌感染症または免疫疾患である。更に他の実施形態において、細胞は、医学的疾患に特異的ではないが、当該疾患の治療において細胞有効性を高めるのに有用である受容体を発現していてよい。
【0144】
上述した通り、養子細胞移入にて使用するためのリンパ球細胞については、様々な種類のものが文献に記載されている。ある特定の実施形態において、リンパ球細胞は、T細胞である。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞またはT
H17細胞である。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞またはこれらの組み合わせである。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、ナチュラルキラー細胞である。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞は、Tc17、ナチュラルキラーT細胞またはγδT細胞である。更に他の実施形態において、リンパ球細胞は、遺伝子改変されたリンパ球細胞である。
【0145】
本発明の別の態様は、医学的疾患を治療する方法を提供する。この方法は、医学的疾患を治療するために、本明細書に記載するRORγのアゴニストに生体外曝露した細胞を、それを必要とする患者に投与することを含み、ここで、細胞は、リンパ球細胞または樹状細胞である。医学的疾患は、例えば、癌、細菌感染症、真菌感染症または免疫疾患であり得る。更なる例示的な医学的疾患については、上述した通りであり、ある特定の実施形態において、医学的疾患は、固形腫瘍、リンパ腫及び白血病からなる群から選択される癌である。ある特定の他の実施形態において、医学的疾患は、卵巣癌、黒色腫、大腸癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、腎細胞癌、白血病、B細胞リンパ腫及び非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される癌である。
【0146】
本発明の別の態様は、本明細書に記載するRORγのアゴニストに生体外曝露したリンパ球細胞集団を提供する。この集団は、集団中の特定の種類の細胞の存在及び/または量によって特徴付けることができる。例えば、ある特定の実施形態において、集団は、T細胞及びナチュラルキラー細胞のうちの1つまたは複数を含む。ある特定の他の実施形態において、集団中のリンパ球細胞の大部分は、T細胞である。ある特定の他の実施形態において、集団中のリンパ球細胞の大部分は、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞、T
H17細胞またはこれらの組み合わせである。更に他の実施形態において、集団中のリンパ球細胞の大部分は、ナチュラルキラー細胞である。更に他の実施形態において、単一の種類のリンパ球細胞(例えば、T細胞、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞、T
H17細胞、Tc17細胞、ナチュラルキラーT細胞またはγδT細胞)が集団中の細胞の少なくとも60%、70%、80%、90%または95%を占める。更に他の実施形態において、集団は、(i)集団中のリンパ球細胞の大部分がT細胞であること、(ii)集団中のリンパ球細胞の大部分がCD8
+T細胞、CD4
+T細胞、T
H17細胞若しくはこれらの組み合わせであること、(iii)集団中のリンパ球細胞の大部分がTc17細胞であること、(iv)集団中のリンパ球細胞の大部分がナチュラルキラー細胞であること、または(v)集団中のリンパ球細胞の大部分がナチュラルキラーT細胞、γδT細胞若しくはこれらの組み合わせであることを特徴とする。更に他の実施形態において、集団中のリンパ球細胞の大部分は、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞またはこれらの組み合わせである。更に他の実施形態において、集団は、集団中のリンパ球細胞の大部分がTc17細胞、CD4+Th0Tリンパ球細胞、Th17分極CD4+Tリンパ球細胞、CD8+Tc17Tリンパ球細胞またはこれらの組み合わせであることを特徴とする。
【0147】
上記の態様及び実施形態のそれぞれにおいて、リンパ球細胞は、腫瘍浸潤リンパ球、ナイーブTリンパ球、メモリーTリンパ球、エフェクターTリンパ球、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞、CD4
+/CD8
+ダブルポジティブTリンパ球、CD28
+CD8
+T細胞またはT
H17細胞であるかどうかに従って、特徴付けられ得る。CD8
+T細胞は、細胞の種類ごとに特徴的な細胞表面抗原に従って、ナイーブCD8
+T細胞、メモリーCD8
+T細胞及びエフェクターCD8
+T細胞に分けることができる。細胞または細胞集団が特定の細胞表面マーカーについて陽性であるかどうかは、その表面マーカーに特異的な抗体による染色及び対応するアイソタイプ適合コントロール抗体を用いたフローサイトメトリーによって特定することができる。あるマーカーについて細胞集団が陰性であることは、アイソタイプコントロールを上回る特異的抗体による細胞集団の有意な染色がないことを指し、陽性であることは、アイソタイプコントロールを上回る細胞集団の一定の染色を指す。例えば、CD4
+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することによって、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞及びエフェクター細胞に選別することができる。ある特定の実施形態において、セントラルメモリーCD4
+T細胞は、CD62L陽性及びCD45RO陽性である。ある特定の実施形態において、エフェクターCD4
+T細胞は、CD62L及びCD45RO陰性である。更に他の実施形態において、リンパ球細胞は、Th1細胞、Tc1細胞、Th0細胞またはTc0細胞である。ある特定の実施形態において、リンパ球細胞は、CD8
+T細胞であり、CD8
+T細胞がナイーブCD8
+T細胞、メモリーCD8
+T細胞またはエフェクターCD8
+T細胞であるかどうかに従って、更に任意に特徴付けられる。ある特定の実施形態において、リンパ球細胞は、メモリーCD8
+T細胞であり、細胞がCD62L陽性またはCD45RO陽性であるかどうかに従って、更に特徴付けられ得る。ある特定の他の実施形態において、リンパ球細胞はエフェクターCD8
+T細胞であり、細胞がCD62L陰性またはCD45RO陰性であるかどうかに従って、更に特徴付けられ得る。更に他の実施形態において、リンパ球細胞は、CD4+Th0Tリンパ球、Th17分極CD4+Tリンパ球またはCD8+Tc17Tリンパ球である。更に他の実施形態において、リンパ球細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+またはCD62L−サブセットに含まれるメモリーT細胞である。ある特定の実施形態において、セントラルメモリーT細胞は、CD45RO+、CD62L+、CD8+T細胞であり得る。ある特定の実施形態において、エフェクターT細胞は、CD62L、CCR7、CD28及びCD127が陰性であり、グランザイムB及びパーフォリンが陽性である。
【0148】
T細胞は、T細胞の表面に位置するT細胞受容体の特定に従って、特徴付けることができる。T細胞受容体は、ジスルフィド結合された膜結合型ヘテロ二量体であり、通常、不可変なCD3鎖分子との複合体の一部として発現される、極めて可変なアルファ(α)鎖及びベータ(β)鎖からなる。この受容体を発現しているT細胞は、α:β(またはαβ)T細胞と呼ばれる。少数のT細胞は、可変ガンマ(γ)鎖及びデルタ(δ)鎖によって形成される他の受容体を発現しており、このようなT細胞は、γδT細胞と呼ばれる。T細胞の1つのサブタイプは、ナチュラルキラーT(NKT)細胞である。NKT細胞は、T細胞とナチュラルキラー(NK)細胞の両方の性質を有するT細胞の異種群である。多くのNKT細胞は、自己及び他家由来の脂質及び糖脂質に結合する抗原提示分子である非多型性CD1d分子を認識する。T細胞の他のサブタイプには、例えば、CD8
+T細胞、CD4
+T細胞、Tc17細胞、ナチュラルキラーT細胞及びγδT細胞が挙げられる。T細胞の更に他のサブタイプには、例えば、CD4
−CD8
−T細胞及びCD28
+CD8
+T細胞が挙げられる。
【0149】
好ましくは、リンパ球細胞は、医学的状態の抗原に特異的な受容体を含む。この受容体は、内因性リンパ球細胞受容体、すなわち、内因性(すなわち、リンパ球由来)である抗原特異的リンパ球細胞受容体であり得る。このような場合、内因性リンパ球細胞受容体を含むリンパ球は、特定の医学的状態に特異的な抗原を発現することが知られている患者から単離されたリンパ球細胞であってよい。あるいは、内因性リンパ球細胞受容体を含むリンパ球は、同種異系リンパ球細胞を生成する対象から単離されたリンパ球細胞(すなわち、リンパ球細胞を投与する患者と組織適合性であるリンパ球細胞)であってよい。ある特定の実施形態において、患者に投与されるリンパ球細胞が治療対象の医学的疾患に対する特異性を有するように、リンパ球細胞の採取前に、リンパ球細胞を採取する対象を免疫化してもよい。
【0150】
内因性リンパ球細胞受容体によって認識される疾患の抗原は、当該疾患の特徴を示すいかなる抗原であってもよい。例えば、抗原は、gp100、MART−1、TRP−1、TRP−2、チロシナーゼ、NY−ESO−1、MAGE−1またはMAGE−3などの腫瘍抗原であってよい。
【0151】
リンパ球細胞は、腫瘍反応性を活性化する表現型マーカーの存在、例えば、4−1BBLの存在に従って、特徴付けることもできる。このような表現型マーカーに富むリンパ球細胞の集団は、治療上の利点をもたらし得る。リンパ球細胞はまた、RORγの発現レベルに従って特徴付けることもできる。ある特定の実施形態において、リンパ球細胞は、RORγを発現するように誘導するか、RORγを発現するように操作して、RORγの量を増加させてもよい。
【0152】
リンパ球細胞は、遺伝子改変されたリンパ球細胞であってもよく、例えば、国際特許出願公開番号WO2012/129514(参照により本明細書に援用する)に記載されている遺伝子改変されたリンパ球細胞などであってもよい。リンパ球を遺伝子改変することにより、移入リンパ球細胞の生存率及び/若しくは機能が向上することで治療効果が改善し、インビボ生存若しくは遊走性の選択及び/若しくは評価を可能にする遺伝子マーカーが得られ、または免疫療法の安全性を改善する機能を、例えば、細胞をインビボでのネガティブ選択にかかりやすいようにすることによって、組み込むことができる。リンパ球を遺伝子的に改変して、リンパ球細胞が特定のタンパク質、例えば、生存サイトカイン(例えば、顆粒球・マクロファージコロニー刺激分子)及び/または抗原(例えば、腫瘍抗原)の受容体を発現するようにしてもよい。
【0153】
したがって、実施形態において、リンパ球細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を用いて改変される。CARは、T細胞活性化及び細胞傷害作用を媒介するTCR CD3
+鎖に連結した、モノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)に由来する一本鎖抗体断片(scFv)を含み得る。また、CD3
+鎖にCD28または4−1BBの共刺激ドメインを組み込むことによって、CARを介して共刺激シグナルをもたらすこともできる。CARは、HLAに関係なく細胞表面分子に特異的であることから、これにより、HLA拘束性及び腫瘍細胞上のHLA発現レベルが低いことを含めた、TCR認識の限界が克服される。
【0154】
上記の説明は、本明細書中で使用する変数についての定義を与える複数の実施形態について記載するものである。本出願は、特に、このような変数の全ての組み合わせ、例えば、変数A及びXに関して記載した定義の具体的な組み合わせを企図している。
【0155】
III.併用療法
本発明の別の態様は、併用療法を提供する。ベンゼンスルホンアミド及び関連化合物(例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物)またはそれらの薬学的に許容される塩は、癌、細菌感染症、真菌感染症及び免疫不全症などの医学的疾患を治療するための追加の治療薬と組み合わせて使用することもできる。
【0156】
癌を治療する際の併用療法の一部として使用され得る例示的な治療薬には、例えば、マイトマイシン、トレチノイン、リボムスチン、ゲムシタビン、ビンクリスチン、エトポシド、クラドリビン、ミトブロニトール、メトトレキサート、ドキソルビシン、カルボコン、ペントスタチン、ニトラクリン、ジノスタチン、セトロレリクス、レトロゾール、ラルチトレキセド、ダウノルビシン、ファドロゾール、ホテムスチン、サイマルファシン、ソブゾキサン、ネダプラチン、シタラビン、ビカルタミド、ビノレルビン、ベスナリノン、アミノグルテチミド、アムサクリン、プログルミド、酢酸エリプチニウム、ケタンセリン、ドキシフルリジン、エトレチナート、イソトレチノイン、ストレプトゾシン、ニムスチン、ビンデシン、フルタミド、ドロゲニル、ブトシン、カルモフール、ラゾキサン、シゾフィラン、カルボプラチン、ミトラクトール、テガフール、イホスファミド、プレドニムスチン、ピシバニール、レバミゾール、テニポシド、インプロスルファン、エノシタビン、リスリド、オキシメトロン、タモキシフェン、プロゲステロン、メピチオスタン、エピチオスタノール、ホルメスタン、インターフェロン−α、インターフェロン−2α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、コロニー刺激因子1、コロニー刺激因子2、デニロイキンディフチトクス、インターロイキン−2及び黄体形成ホルモン放出因子が挙げられる。
【0157】
癌を治療する際の併用療法の一部として使用され得る薬剤の更なる種類は、免疫チェックポイント阻害薬(免疫チェックポイント遮断薬ともいう)である。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫チェックポイントを遮断する効果を有する治療薬の種類である。例えば、Pardoll in Nature Reviews Cancer(2012)第12巻、252−264頁を参照されたい。例示的な免疫チェックポイント阻害薬には、(i)細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)、(ii)プログラム細胞死タンパク質1(PD1)、(iii)PDL1、(iv)LAB3、(v)B7−H3、(vi)B7−H4及び(vii)TIM3のうちの1つまたは複数を阻害する薬剤が挙げられる。CTLA4阻害薬であるIpilumumabは、黒色腫の治療に対し、米国食品医薬品局により承認されている。
【0158】
癌を治療する際の併用療法の一部として使用され得る更なる他の薬剤は、非チェックポイント標的を標的にするモノクローナル抗体薬剤(例えば、ハーセプチン)及び非傷害性薬剤(例えば、チロシンキナーゼ阻害薬)である。
【0159】
細菌感染症を治療する際の併用療法の一部として使用され得る例示的な治療薬には、例えば、アモキシシリン、アジスロマイシン、セファゾリン、セフトリアキソン、セフロキシム、セファレキシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、レボフロキサシン、リネゾリド、メトロニダゾール、モキシフロキサシン及びペニシリンが挙げられる。
【0160】
真菌感染症を治療する際の併用療法の一部として使用され得る例示的な治療薬には、例えば、2−フェニルフェノール、8−硫酸ヒドロキシキノリン、アシベンゾラル−S−メチル、アルジモルフ、アミドフルメト、アンプロピルホス、アンプロピルホス−カリウム、アンドプリム、アニラジン、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノダニル、ベノミル、ベンチアバリカルブイソプロピル、ベンザマクリル、ベンザマクリルイソブチル、ビラナホス、ビナパクリル、ビフェニル、ビテルタノール、ブラストサイジンS、ブロムコナゾール、ブチルアミン、多硫化カルシウム、カプシマイシン、カプタホール、キャプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、カルボン、キノメチオネート、クロベンチアゾン、クロルフェナゾール、クロロネブ、クロロタロニル、クロゾリネート、クロジラコン、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、シプロフラム、Dagger G、デバカルブ、ジクロフルアニド、ジクロン、ジクロロフェン、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジニコナゾールM、ジノカップ、ジフェニルアミン、ジピリチオン、ジタリムホス、ジチアノン、ドダイン、ドラゾキソロン、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナパニル、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェニトロパン、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェルバム、フルアジナム、フルベンゾイミン、フルジオキソニル、フルメトベル、フルモルフ、フルオロイミド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルルプリミドール、フルシラゾール、フルスルファミド、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン三酢酸塩、イミノクタジントリス(アルベシル)、ヨードカルブ、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イルママイシン、イソプロチオラン、イソバレジオン、カスガマイシン、クレソキシムメチル、オキシフェンチイン、パクロブトラゾール、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ホスジフェン、フタリド、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリオキシン、ポリオキソリム、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロパノシン−ナトリウム、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、ピロキシフル、ピロールニトリン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チシオフェン、チフルザミド、チオファネートメチル、チラム、チオキシミド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、バリダマイシンA、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム及びゾキサミドが挙げられる。
【0161】
ベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物(例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bの化合物または他の化合物)及び追加の治療薬の量、並びに投与の相対的タイミングは、所望の合わせた治療効果を達成するように選択され得る。例えば、かかる投与を必要とする患者に併用療法を施す場合、組み合わせの治療薬または治療薬を含む医薬組成物若しくは複数の医薬組成物は、例えば、順次に、並行して、一緒に、同時になどの任意の順序で投与することができる。更に、例えば、ベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物(例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bのいずれか1つの化合物または他の化合物)は、追加の治療薬がその予防的または治療的効果を発揮する時間の間に投与することができ、また逆も可能である。
【0162】
併用療法で使用する活性成分の用量及び投与計画は、主治医によって決定され得る。ある特定の実施形態において、ベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物(例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bのいずれか1つの化合物または他の化合物)及び追加の治療薬は、かかる薬剤が疾患の治療のために単独療法で用いられる場合に一般に採用される用量で投与される。他の実施形態において、ベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物(例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bのいずれか1つの化合物または他の化合物)及び追加の治療薬は、かかる薬剤が疾患の治療のために単独療法で用いられる場合に一般に採用される用量よりも低い用量で投与される。ある特定の実施形態において、ベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物(例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bのいずれか1つの化合物または他の化合物)及び追加の治療薬は、経口投与に適した同一の組成物中に存在する。
【0163】
ある特定の実施形態において、ベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物(例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bのいずれか1つの化合物または他の化合物)及び追加の治療薬は、相加的または相乗的に作用し得る。相乗的な組み合わせは、併用療法の1つ若しくは複数の薬剤のより低い用量及び/または1つ若しくは複数の薬剤のより少ない投与回数の使用を可能にし得る。1つまたは複数の薬剤のより低い用量またはより少ない投与回数は、療法の有効性を落とすことなく、療法の毒性を低下させ得る。
【0164】
本発明の別の態様は、治療上有効な量のベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物(例えば、セクションI中の式I、I−A、I−B、II、II−A、II−Bのいずれか1つの化合物または他の化合物)、薬学的に許容される担体、ビヒクルまたは希釈剤及び任意選択の上述した少なくとも1つの追加の治療薬を含むキットである。
【0165】
IV.医薬組成物及び投与量の検討
上述した通り、本発明は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体(添加剤)及び/または希釈剤とともに処方された、治療上有効な量の上述の化合物のうちの1つまたは複数を含む、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、固体または液体の形態での投与用に特別に製剤化され得、(1)経口投与、例えば、水薬(水性若しくは非水性溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、頬側、舌下及び体内吸収を目的にしたもの、ボーラス、散剤、粒剤、舌に塗布するためのパスタ剤;(2)非経口的投与、例えば、皮下、筋肉内、静脈内若しくは硬膜外注入による、例えば、滅菌した溶液若しくは懸濁液若しくは徐放性製剤として;(3)局所適用、例えば、皮膚に塗布するクリーム剤、軟膏若しくは放出制御パッチ若しくはスプレーとして;(4)膣内若しくは直腸内投与、例えば、ペッサリー、クリーム剤若しくは泡剤として;(5)舌下投与;(6)眼投与;(7)経皮的投与;または(8)経鼻投与に適したものが挙げられる。
【0166】
本明細書で使用する「治療上有効な量」という表現は、任意の医療処置に適用できる妥当なベネフィット/リスク比で、動物中の細胞の少なくとも亜集団に何らかの所望の治療効果をもたらすのに有効である本明細書の化合物を含む、化合物、物質または組成物の量を意味する。
【0167】
「薬学的に許容される」という表現は、適切な医学的良識の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題若しくは合併症を伴うことなく、妥当なベネフィット/リスク比に見合った、ヒト及び動物の組織との接触に使用するのに適した化合物、物質、組成物及び/または剤形を指すために本明細書にて使用される。
【0168】
ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤及び潤滑剤、並びに着色剤、放出剤、被覆剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、保存剤及び抗酸化剤もまた、組成物中に存在してよい。
【0169】
薬学的に許容される抗酸化剤の例には、(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、αートコフェローなど;及び(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
【0170】
本発明の製剤には、経口、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、経直腸、経膣及び/または非経口的投与に適したものが挙げられる。製剤は、好都合には、単位剤形で提示されてよく、薬学分野でよく知られている任意の方法によって作製することができる。担体材料と組み合わせて一回用量の単位剤形をもたらすことができる活性成分の量は、治療対象の宿主、具体的な投与方法に応じて変わり得る。担体材料と組み合わせて一回用量の単位剤形をもたらすことができる活性成分の量は、一般に、治療効果をもたらす化合物の量である。一般に、この量は、100パーセント中、約0.1パーセント〜約99パーセントの活性成分、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント〜約30パーセントの範囲である。
【0171】
ある特定の実施形態において、本発明の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、ミセル形成剤(例えば、胆汁酸)並びに高分子担体(例えば、ポリエステル及びポリ無水物)からなる群から選択される賦形剤と、発明の化合物とを含む。ある特定の実施形態において、上述の製剤により、本発明の化合物が経口投与可能となる。
【0172】
これらの製剤または組成物の調製方法は、本発明の化合物を、担体及び任意選択の1つまたは複数の副成分と合わせる工程を含む。一般に、製剤は、本発明の化合物を、液体担体若しくは微粉化した固体担体またはその両方と均一かつ緊密に合わせ、次いで、必要であれば、この生成物を成形することによって、調製される。
【0173】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(通常、スクロース及びアカシアまたはトラガカントを風味基材に用いる)、散剤、粒剤の形態、または水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液、または水中油型若しくは油中水型液体エマルション、またはエリキシル剤若しくはシロップ剤、または薬用ドロップ(ゼラチン及びグリセリンまたはスクロース及びアカシアなどの不活性ベースを用いる)及び/またはマウスウォッシュなどの形態であってよく、各々は所定量の本発明の化合物を活性成分として含む。本発明の化合物は、ボーラス、舐剤またはペースト剤としても投与することができる。
【0174】
経口投与用の本発明の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、粒剤、トローチ剤など)において、活性成分は、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウムなどの1つ若しくは複数の薬学的に許容される担体、並びに/または次のいずれか:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/若しくはアカシアなどの結合剤;(3)湿潤剤、例えば、グリセロール;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶液遅延剤;(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤及びポロキサマー及びラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤;(7)例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール及び非イオン性界面活性剤などの湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイト粘土などの吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸及びこれらの混合物などの潤滑剤;(10)着色剤;並びに(11)クロスポビドンまたはエチルセルロースなどの制御放出剤と混合される。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、医薬組成物は、緩衝剤も含み得る。類似の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤及び高分子量ポリエチレングリコールなどを用いる、ソフト及びハードシェルのゼラチンカプセル中の充填剤として使用してもよい。
【0175】
錠剤は、任意選択の1つまたは複数の副成分とともに、圧縮または成形によって作製され得る。圧縮錠は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて、調製することができる。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって作製することができる。
【0176】
本発明の医薬組成物の錠剤及び他の固体剤形(糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び粒剤など)は、任意で、刻み目が入れられてもよいし、医薬製剤分野にてよく知られた腸溶コーティング及び他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて作製されてもよい。また、例えば、種々の比率でヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて、その中の活性成分の持続放出または制御放出をもたらすように製剤化して、所望の放出プロファイル、他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/またはミクロスフェアを提供してもよい。迅速な放出のために製剤化されてもよく、例えば、凍結乾燥してもよい。例えば、細菌保持フィルタを通して濾過すること、または使用直前に滅菌水若しくは何らかの他の滅菌した注入可能な媒体中に溶解することができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌してもよい。また、これらの組成物は、乳白剤を任意に含んでよく、任意に遅延方式で、活性成分のみまたは活性成分を優先的に胃腸管の特定部分にて放出する組成物であってもよい。使用することができる組み込み組成物の例には、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。活性成分はまた、適切な場合は、上述した賦形剤のうちの1つまたは複数とともに、マイクロカプセル化形態にしてもよい。
【0177】
本発明の化合物の経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ剤及びエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル並びにこれらの混合物を含み得る。
【0178】
不活性希釈剤の他に、経口用組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味剤、着色剤、芳香剤及び保存剤などの補助剤を含み得る。
【0179】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント並びにこれらの混合物などの懸濁化剤を含み得る。
【0180】
経直腸または経膣投与用の本発明の医薬組成物の製剤は、座薬として提示されてよく、座薬は、1つまたは複数の本発明の化合物を、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、座薬用ワックスまたはサリチル酸塩を含む1つまたは複数の好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって作製することができ、室温では固体であるが、体温では液体となり、したがって、直腸または膣腔内で溶けて活性化合物を放出する。
【0181】
経膣投与に適した本発明の製剤にはまた、適切であることが当該技術分野において知られている担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、パスタ剤、フォーム剤またはスプレー製剤が挙げられる。
【0182】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤形には、散剤、スプレー剤、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ及び吸引剤が挙げられる。活性化合物は、薬学的に許容される担体及び必要とされ得る任意の保存剤、緩衝剤または噴射剤と滅菌条件下で混合することができる。
【0183】
軟膏剤パスタ剤、クリーム剤及びゲル剤は、本発明の活性化合物に加えて、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク並びに酸化亜鉛またはこれらの混合物などの賦形剤を含み得る。
【0184】
散剤及びスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含むことができる。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素並びにブタン及びプロパンなどの揮発性無置換炭化水素などの通常の噴射剤を更に含み得る。
【0185】
経皮パッチは、本発明の化合物の身体への制御送達をもたらす更なる利点を有する。このような剤形は、適切な媒体中に化合物を溶解または分散させることによって作製することができる。また、皮膚を通る化合物の速度を増大させるために、吸収促進剤を用いることもできる。かかる速度は、速度制御膜を供することまたはポリマーマトリックス若しくはゲル中に化合物を分散させることによって制御することができる。
【0186】
眼用製剤、眼軟膏剤、散剤、液剤などもまた本発明の範囲内であることが企図される。
【0187】
非経口的投与に適した本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される滅菌等張水性若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液若しくはエマルション、または使用直前に滅菌注入可能溶液若しくは分散液に再構成することができる滅菌粉末と組み合わせて、本発明の1つまたは複数の化合物を含み、糖、アルコール、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を目的のレシピエントの血液と等張にする溶質、懸濁化剤または増粘剤を含み得る。
【0188】
本発明の医薬組成物に使用され得る好適な水性及び非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びこれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油並びにオレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性については、例えば、レシチンなどの被覆材料の使用、分散剤の場合には必要とされる粒子径の維持、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0189】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などの補助剤を含み得る。対象化合物に対する微生物作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによって確実にすることができる。糖、塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物に含めることも望ましい場合がある。更に、注入可能な医薬品形態の吸収の延長は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅らせる剤を含めることによって行うことができる。
【0190】
いくつかの場合において、薬物の作用を延長するために、皮下注射または筋肉注射からの薬物の吸収を遅くすることが望ましい。これは、水溶性の乏しい結晶性または非晶質物質の液体懸濁液を使用することによって達成することができる。したがって、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速度は結晶サイズ及び結晶形に依存し得る。あるいは、非経口的に投与される薬物形態の遅延吸収は、油性ビヒクル中に薬物を溶解または懸濁させることによって達成される。
【0191】
注入可能なデポ形態は、ポリ乳酸−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で対象化合物のマイクロカプセルマトリクスを形成することによって作製される。薬物のポリマーに対する比及び採用する特定のポリマーの性質に応じて、薬物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。注入可能なデポ製剤はまた、体内組織と適合可能なリポソームまたはマイクロエマルション中に薬物を封入することによって調製される。
【0192】
本発明の化合物が医薬品としてヒト及び動物に投与される場合、それ自体が投与されてもよいし、または例えば、0.1〜99%(より好ましくは、10〜30%)の活性成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物として投与されてもよい。
【0193】
本発明の調製物は、経口、非経口、局所または経直腸的に投与され得る。当然のことながら、各投与経路に適した形態で投与される。例えば、錠剤またはカプセル剤、注射、吸入、目薬、軟膏、座薬などにより、注射、注入または吸入による投与、ローション剤または軟膏による局所投与及び坐剤による経直腸で投与される。経口投与が好ましい
【0194】
本明細書で使用する「非経口的投与」及び「非経口的に投与される」という表現は、通常は注射による腸内投与及び局所投与以外の投与形態を意味し、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内及び胸骨内の注射及び注入が挙げられる。
【0195】
本明細書で使用する「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」及び「末梢に投与される」という表現は、中枢神経系への直接投与ではなく、患者の全身に入り、これにより代謝及び他の同様のプロセスを受けるような化合物、薬物または他の物質の投与、例えば、皮下投与を意味する。
【0196】
これらの化合物は、経口、経鼻(例えば、スプレーによる)、経直腸、腟内、非経口、嚢内並びに頬側及び舌下を含む局所(散剤、軟膏剤またはドロップ剤による)を含む、任意の好適な投与経路によって、治療のためにヒト及び他の動物に投与され得る。
【0197】
選択した投与経路にかかわらず、好適な水和形態に使用され得る、本発明の化合物及び/または本発明の医薬組成物は、当業者に知られている従来の方法によって、薬学的に許容される剤形に製剤化される。
【0198】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の用量濃度は、患者に対して毒性となることなく、特定の患者、組成物及び投与形態について所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように変えることができる。
【0199】
選択される用量濃度は、使用する本発明の特定の化合物またはそのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与経路、投与時期、使用する特定の化合物の排出速度または代謝速度、吸収速度及び程度、治療期間、使用する特定の化合物と組み合わせて使用する他の薬物、化合物及び/または物質、治療を施す患者の年齢、性別、体重、状態、全般的健康及び既往歴を含む様々な要因、並びに医学分野でよく知られた同様の要因に起因する。
【0200】
当該技術分野における通常技能を有する医師または獣医であれば、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に特定し、処方することができる。例えば、医師または獣医は、医薬組成物中に使用される本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を達成するのに必要な濃度よりも低い濃度で開始し、所望の効果が達成されるまで徐々に用量を増加させることができるであろう。
【0201】
一般に、本発明の化合物の好適な一日用量は、治療効果をもたらすのに有効な最低用量である化合物の量である。このような有効量は、一般に、上記の要因によって変わり得る。好ましくは、化合物は、約0.01mg/kg〜約200mg/kg、より好ましくは約0.1mg/kg〜約100mg/kg、更により好ましくは約0.5mg/kg〜約50mg/kgで投与される。本明細書に記載の化合物が別の薬剤(例えば、増感剤)と同時投与される場合、有効量は、その薬剤が単独で使用される場合よりも少なくてよい。
【0202】
所望する場合、活性化合物の有効一日用量は、1日を通して適切な間隔で個別に投与される、単位剤形であってもよい2、3、4、5、6回またはそれ以上の分割用量として投与することもできる。好ましい用量は、1日1回の投与である。
【0203】
本発明は、本明細書に記載のベンゼンスルホンアミドまたは関連化合物を治療上有効な量で含む、本明細書に記載の医学的疾患の治療のための単位剤形(錠剤またはカプセル剤など)を更に提供する。
【実施例】
【0204】
次に概略される本発明は、以下の実施例を参照することにより、容易に理解されるであろう。実施例は、本発明の特定の態様及び実施形態を例示する目的で含めるものであり、本発明を限定するものではない。本明細書に記載する出発材料は、商業的供給元から入手することができ、または市販の材料から当業者に知られている変換を用いて容易に調製してもよい。
【0205】
実施例1 N−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)−ベンゼンスルホンアミドの合成
【化25】
パートI N−エチル−N−(3−ヒドロキシフェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化26】
0℃のジクロロメタン(20mL)中の3−(エチルアミノ)フェノール(0.64g、4.6mmol)の溶液にピリジン(750μL、9.3mmol)を加え、続けて3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリド(1.25g、5.1mmol)を加えた。得られた混合物を1時間攪拌し、次いで、メタノール(1mL)を加えて反応をクエンチし、得られた混合物を濃縮して残渣を得た。ヘキサン中0〜40%酢酸エチルのグラジエントで溶出するシリカ上のMPLCにより残渣を精製した。主なUV成分を濃縮して、N−エチル−N−(3−ヒドロキシフェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドを白色固体として得た(1.58g、97%)。
【0206】
パートII N−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン−スルホンアミドの合成
【化27】
THF(2mL)中のN−エチル−N−(3−ヒドロキシフェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(85mg、0.25mmol)及びトリフェニルホスフィン(78mg、0.30mmol)の溶液にベンジルアルコール(31mg、0.29mmol)及びジイソプロピルアゾジカルボキシレート(60μL、30mmol)を加えた。得られた混合物を終夜攪拌した。次に、反応混合物にメタノール(1mL)を加え、得られた混合物を15分間攪拌した後、濃縮して残渣を得た。ヘキサン中0〜25%酢酸エチルのグラジエントで溶出するシリカ上のMPLCにより残渣を精製した。主なUV成分を濃縮して、N−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン−スルホンアミド(97mg、89%)を無色の油として得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ8.11(d,1H)7.94(d,1H),7.87(t,1H),7.70(s,1H),7.37(m,5H),7.29(t,1H),7.02(m,2H),5.00(s,2H),3.60(q,2H),0.97(t,3H).
【0207】
実施例2 更なるN−((アルコキシ及びアリールアルコキシ)フェニル)−N−アルキル−3−(アリール及びヘテロアリール)スルホンアミドの調製
実施例1及び発明を実施するための形態に記載した実験手順に基づいて、表3の化合物を調製した。
表3
【表3】
【0208】
実施例3 1−(ベンジルオキシ)−3−(1−((4−クロロフェニル)スルホニル)プロピル)ベンゼンの合成
【化28】
パートI (1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)プロピル)(4−クロロフェニル)スルファンの合成
【化29】
4−クロロベンゼン−1−チオール(570mg、3.94mmol)、アセトン(20mL)及び炭酸カリウム(1.63g、11.8mmol)の混合物に1−(ベンジルオキシ)−3−(1−ブロモプロピル)ベンゼン(1.2g、3.93mmol)を加えた。混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物に水(100mL)を加え、次いで、得られた水性混合物を酢酸エチルで3回抽出した。抽出からの有機層を合わせ、次いで、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮して残渣を得た。石油エーテル及び酢酸エチルのグラジエントで溶出するMPLCにより残渣を精製して、(1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)プロピル)(4−クロロフェニル)スルファン(1.2g、83%)を淡黄色の油として得た。
【0209】
パートII 1−(ベンジルオキシ)−3−(1−((4−クロロフェニル)スルホニル)プロピル)ベンゼンの合成
【化30】
ジクロロメタン(20mL)中の(1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)プロピル)(4−クロロフェニル)スルファン(1.00g、2.71mmol)の溶液に0℃でメタクロロ過安息香酸(1.17g、6.78mmol)を加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、次いで、水(100mL)を加えてクエンチした。得られた溶液をジクロロメタンで3回抽出した。抽出からの有機層を合わせ、次いで、飽和重炭酸ナトリウム、ブラインで3回洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮して残渣を得た。石油エーテル及び酢酸エチルのグラジエントで溶出するMPLCにより残渣を精製して、1−(ベンジルオキシ)−3−(1−((4−クロロフェニル)スルホニル)プロピル)ベンゼン(1.0g、92%)を淡黄色の油として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.43(m,6H),7.38(m,3H),7.16(t,1H),6.92(m,1H),6.78(s,1H),6.68(d,1H),5.0(m,2H),3.91(m,1H),2.48(m,1H),2.13(m,1H),0.89(t,3H).(ES,m/z):(M+NH
4)
+418.
【0210】
実施例4 更なる1−(ベンジルオキシ)−3−または4−(1−((アリールまたはヘテロアリール)スルホニル)アルキル)ベンゼンの調製
実施例3及び発明を実施するための形態に記載した実験手順に基づいて、表4の化合物を調製した。
表4
【表4】
【0211】
実施例5 1−クロロ−2−((3−(1−((4−クロロフェニル)スルホニル)プロピル)−フェノキシ)メチル)−3−フルオロベンゼンの合成
【化31】
パートI 3−(1−((4−クロロフェニル)スルホニル)プロピル)フェノールの合成
【化32】
窒素でパージしたテトラヒドロフラン(10mL)中の1−(ベンジルオキシ)−3−(1−((4−クロロフェニル)スルホニル)プロピル)ベンゼン(500mg、1.25mmol)の溶液に水酸化パラジウム(10%)(250mg)を加えた。反応物の上の雰囲気を水素雰囲気に置き換え、反応混合物を0.5時間攪拌した。次いで、混合物をセライトに通して濾過し、濾液を濃縮して残渣を得た。酢酸エチル及び石油エーテル(1:2)で溶出するMPLCにより残渣を精製して、3−(1−((4−クロロフェニル)スルホニル)プロピル)フェノール(300mg、77%)を無色の油として得た。
【0212】
パートII 1−クロロ−2−((3−(1−((4−クロロフェニル)スルホニル)プロピル)フェノキシ)メチル)−3−フルオロベンゼンの合成
【化33】
3−(1−((4−クロロフェニル)スルホニル)プロピル)フェノール(150mg、0.48mmol)、テトラヒドロフラン(5mL)、(2−クロロ−6−フルオロフェニル)メタノール(77.5mg、0.48mmol)及びトリフェニルホスフィン(152mg、0.58mmol)の溶液にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.115mL)を0℃で攪拌しながら滴加した。得られた溶液を一晩室温で一晩攪拌し、次いで、濃縮して残渣を得た。酢酸エチル及び石油エーテル(1:2)で溶出するMPLCにより残渣をまず精製した。主なUV成分を濃縮して残渣を得、水(0.05%トリフルオロ酢酸含有)及びアセトニトリルのグラジエントで溶出する逆相分取HPLCにより更に精製して、1−クロロ−2−((3−(1−((4−クロロフェニル)スルホニル)プロピル)フェノキシ)メチル)−3−フルオロベンゼン(61.9mg、28%)を無色の油として得た。
1H−NMR(400MHz,CD
3OD)δ7.54−7.31(m,6H),7.20(m,2H),6.96(m,1H),6.82(d,1H),6.77(s,1H),5.05(m,2H),4.25(m,1H),2.42(m,1H),2.17(m,1H),0.90(t,3H).(ES,m/z):(M+NH
4)
+470.
【0213】
実施例6 更なる置換1−(ベンジルオキシ)−アリールスルホンの調製
実施例5及び発明を実施するための形態に記載した実験手順に基づいて、表5の化合物を調製した。
表5
【表5】
【0214】
実施例7 4−(4−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)−フェニル)−4−((4−クロロフェニル)スルホニル)−テトラヒドロ−2H−ピランの合成
【化34】
パートI (3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)メタノールの合成
【化35】
3−(ヒドロキシメチル)フェノール(1g、8.1mmol)、アセトン(30mL)及び炭酸カリウム(2.26g、16.3mmol)の混合物に2−(ブロモメチル)−1−クロロ−3−フルオロベンゼン(1.98g、8.9mmol)を加えた。反応容器を油浴中に置いて、得られた溶液を60℃で一晩攪拌した。得られた反応溶液を水で希釈し、ジクロロメタンで3回抽出した。抽出からの有機層を合わせ、濃縮して残渣を得た。石油エーテル及び酢酸エチルのグラジエントで溶出するMPLCにより残渣を精製して、(3−((2−クロロ−6−フルオロフェニル)メトキシ)フェニル)メタノール(1.42g、66%)を無色の油として得た。
【0215】
パートII 2−((3−(ブロモメチル)フェノキシ)メチル)−1−クロロ−3−フルオロベンゼンの合成
【化36】
ジクロロメタン(14mL)中の(3−((2−クロロ−6−フルオロフェニル)メトキシ)フェニル)メタノール(1.22g、4.6mmol)の溶液に三臭化リン(0.2mL、2.3mmol)を加えた。得られた混合物を室温で30分間攪拌した。次いで、混合物に水を加えて反応をクエンチし、得られた混合物をジクロロメタンで3回抽出した。有機抽出物を合わせた後、濃縮して、2−((3−(ブロモメチル)フェノキシ)メチル)−1−クロロ−3−フルオロベンゼン(1.03g、68%)を黄色の油として得た。
【0216】
パートIII (3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)(4−クロロフェニル)スルファンの合成
【化37】
4−クロロベンゼン−1−チオール(453mg、3.13mmol)、アセトン(20mL)及び炭酸カリウム(744mg、5.38mmol、1.50等量)の混合物に2−((3−(ブロモメチル)フェノキシ)メチル)−1−クロロ−3−フルオロベンゼン(1.03g、3.13mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、濾過し、濃縮して残渣を得た。石油エーテル及び酢酸エチルのグラジエントで溶出するMPLCにより残渣を精製して、(3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)(4−クロロフェニル)スルファン(1.09g、89%)を無色の油として得た。
【0217】
パートIV 1−クロロ−2−((3−(((4−クロロフェニル)スルホニル)メチル)フェノキシ)メチル)−3−フルオロベンゼンの合成
【化38】
ジクロロメタン(30mL)中の(3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)(4−クロロフェニル)スルファン(1.09g、2.77mmol)の溶液にメタクロロ過安息香酸(1.4g、8.3mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。次に、水を加え、得られた混合物をジクロロメタンで3回抽出した。抽出からの有機層を合わせ、次いで、濃縮して残渣を得た。石油エーテル及び酢酸エチルのグラジエントで溶出するMPLCにより残渣を精製して、1−クロロ−2−((3−(((4−クロロフェニル)スルホニル)メチル)フェノキシ)メチル)−3−フルオロベンゼン(1.35g、115%)を白色固体として得た。
【0218】
パートV 4−(3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)−4−((4−クロロフェニル)スルホニル)テトラヒドロ−2H−ピランの合成
【化39】
1−クロロ−2−((3−(((4−クロロフェニル)スルホニル)メチル)フェノキシ)メチル)−3−フルオロベンゼン(203mg、0.48mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(1.8mL)、1−ブロモ−2−(2−ブロモエトキシ)エタン(0.0662mL、0.53mmol)及び水素化ナトリウム(42.1mg、1.75mmol)の混合物を室温で1時間攪拌した。次に、水(25mL)を加え、得られた混合物をジクロロメタンで3回抽出した。抽出からの有機層を合わせ、次いで、濃縮して残渣を得た。0.05%トリフルオロ酢酸を含む水及びアセトニトリルのグラジエントで溶出する逆相分取HPLCにより残渣を精製して、4−(3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)−4−((4−クロロフェニル)スルホニル)テトラヒドロ−2H−ピラン(78mg、33%)を白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.32−7.29(m,5H),7.21(d,J=8.4Hz,2H),7.08−7.00(m,2H),6.91(d,J=8.1Hz,1H),6.70(s,1H),5.10(s,1H),3.96(d,J=10.2Hz,2H),3.33(t,J=10.8Hz,2H),2.62(dt,J=13.8Hz,4.5Hz,2H),2.36(d,J=14.4Hz,2H).(ES,m/z):(M+NH
4)
+512.
【0219】
実施例8 更なる4−(3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)−フェニル)−4−((3−(トリフルオロメチル)フェニル)−スルホニル)テトラヒドロ−2H−ピランの調製
【化40】
実施例7及び発明を実施するための形態に記載した実験手順に基づいて、表題化合物を調製した。(ES,m/z):(M+NH
4)
+546.
【0220】
実施例9 N−(3−((2−クロロベンジル)アミノ)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化41】
パートI N−(3−ブロモフェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化42】
ピリジン(20mL)中の3−ブロモアニリン(1.58g、9.19mmol)に3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリド(1.62mL、10.1mmol)を加え、50℃まで一晩加熱した。次いで、反応混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈した後、1M塩酸(3×)、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、シリカ上で濃縮した。ヘキサン中酢酸エチルのグラジエントで溶出するカラムクロマトグラフィーにより混合物を精製した。純粋なフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(3.57g、定量的収率)。
【0221】
パートII N−(3−ブロモフェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化43】
N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)中のN−(3−ブロモフェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(3.5g、9.2mmol)に炭酸カリウム(1.9g、13.8mmol)を加え、続けてエチルブロミド(1.03mL、13.8mmol)を加えた。反応物を周囲温度で一晩攪拌した。次いで、得られた懸濁液を酢酸エチルと水との間で分画し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して混合物を得、これをヘキサン中酢酸エチルのグラジエントで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋なフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(1.82g、48%)。
【0222】
パートIII N−(3−((2−クロロベンジル)アミノ)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化44】
マイクロ波チューブ中にて、N−(3−ブロモフェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(100mg、0.25mmol)、2−クロロベンジルアミン(59μL、0.49mmol)、三塩基性リン酸カリウム(156mg、0.74mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(6mg、0.01mmol)及びトリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(5mg、0.01mmol)を合わせた。固体にトルエン(2mL)及び水(0.5mL)を加え、次いで、得られた混合物を130℃までマイクロ波で1時間加熱した。次に、反応混合物を酢酸エチルとブラインとの間で分画し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して混合物を得、これをヘキサン中0〜40%酢酸エチルのグラジエントで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋なフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た。(52mg、44%)。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ8.05(d,1H),7.87(d,1H),7.78(t,1H),7.68(s,1H),7.39(m,1H),7.30−7.22(m,3H),7.0(t,1H),6.49(m,1H),6.45(t,1H),6.17(m,1H),6.07(s,1H),4.16(d,2H),3.45(q,2H),0.87(t,3H).
【0223】
実施例10 N−(3−((2−クロロベンジル)(エチル)アミノ)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化45】
無水N,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)中のN−(3−((2−クロロベンジル)アミノ)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(41mg、0.087mmol)にエチルブロミド(10μL、0.13mmol)及び水素化ナトリウム(鉱油中60%、3mg、0.1mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で2時間攪拌した。次に、追加量のエチルブロミド(3mg、0.13mmol)を水素化ナトリウム(鉱油中60%、3mg、0.1mmol)及びテトラブチルアンモニウムヨージド(3mg)とともに加えた。次いで、反応混合物を2日間攪拌した。次に、反応混合物にメタノール(0.5mL)を加えて反応をクエンチした。得られた混合物を分取HPLCにより精製した。純粋なフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(13mg、30%)。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ8.05(d,1H),7.89(d,1H),7.79(t,1H),7.65(s,1H),7.42(m,1H),7.22(m,2H),7.20(t,1H),6.97(m,1H),6.54(m,1H),6.28(m,1H),5.93(m,1H),4.36(s,2H),3.45(q,2H),3.3(q,2H),1.01(t,3H),0.85(t,3H).
【0224】
実施例11 N−(3−(((2−クロロベンジル)アミノ)メチル)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化46】
パートI 3−((3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)安息香酸メチルの合成
【化47】
ピリジン(20mL)中の3−アミノ安息香酸メチル(1.5g、9.9mmol)に3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリド(1.75mL、10.9mmol)を加えた。得られた混合物を50℃まで終夜加熱した。次いで、反応混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈し、1M塩酸(3×)、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、シリカ上で濃縮した。ヘキサン中酢酸エチルのグラジエントで溶出するカラムクロマトグラフィーにより混合物を精製した。表題化合物を純粋な形態で含むフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(3.22g、90%)。
【0225】
パートII 3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)安息香酸メチルの合成
【化48】
N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中の3−((3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)安息香酸メチル(3.2g、8.9mmol)に炭酸カリウム(2.5g、17.8mmol)を加え、続けてエチルブロミド(1.3mL、17.8mmol)を加えた。得られた混合物を周囲温度で一晩攪拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水(3×)、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して混合物を得、これをヘキサン中0〜50%酢酸エチルのグラジエントで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製した。表題化合物を純粋な形態で含むフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(3.35g、97%)。
【0226】
パートIII 3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)安息香酸の合成
【化49】
メタノール(15mL)中の3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)安息香酸メチル(1.03g、2.7mmol)の溶液に2M水酸化ナトリウム(2.7mL、5.4mmol)を加えた。得られた混合物を周囲温度で週末にかけて攪拌した。次いで、反応混合物を酸性化するために、反応混合物に1M塩酸を加えた。固体が沈殿した。反応混合物を水で更に希釈し、スラリー化した後、白色固体を濾過により分離した。白色固体を真空オーブン中で乾燥させ、表題化合物を得た(850mg、86%)。
【0227】
パートIV 3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)ベンゾイルクロリドの合成
【化50】
ジクロロメタン(10mL)中の3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)安息香酸(0.4g、1.1mmol)に塩化オキサリル(0.18mL、2.1mmol)及び1滴の無水N,N−ジメチルホルムアミドを加えた。反応混合物を周囲温度で一晩攪拌した。次いで、反応混合物を濃縮した。次に、反応混合物をクロロホルムと3回共沸して、表題化合物を得た(420mg、100%)。
【0228】
パートV N−(2−クロロベンジル)−3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル−)スルホンアミド)ベンズアミドの合成
【化51】
ジクロロメタン(0.5mL)中の3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)ベンゾイルクロリド(50mg、0.13mmol)の溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(33mg、0.26mmol)を加え、続けて2−クロロベンジルアミン(22mg、0.15mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で30分間攪拌した。次いで、反応混合物をヘキサン中0〜50%酢酸エチルのグラジエントで溶出するカラムクロマトグラフィーにかけた。表題化合物を純粋な形態で含むフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(50mg、79%)。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ9.02(t,1H),8.09(d,1H),7.91−7.82(m,3H),7.64(s,1H),7.55(s,1H),7.51−7.42(m,2H),7.28(m,4H),4.49(d,2H),3.63(q,2H),0.97(t,3H).
【0229】
パートVI N−(3−(((2−クロロベンジル)アミノ)メチル)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化52】
バイアルに入った無水テトラヒドロフラン(0.5mL)中のN−(2−クロロベンジル)−3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)−ベンズアミド(40mg、0.08mmol)にボラン−メチルスルフィド錯体(32μL、0.32mmol)を加えた。次いで、得られた溶液を60℃まで4時間加熱した。次いで、反応混合物を冷却した。次に、反応混合物にメタノール(1mL)を加えることによって、反応を慎重にクエンチした。得られた混合物を60℃まで20分間加熱した後、濃縮して混合物を得、これを分取HPLCにより精製した。表題化合物を純粋な形態で含むフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(35mg、90%)。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ9.3(bs,2H),8.10(d,1H),7.92(d,1H),7.84(t,1H),7.58−7.39(m,7H),7.04(m,1H),4.26(bm,2H),4.20(bm,2H),3.61(q,2H),0.97(t,3H).
【0230】
実施例12 N−(3−(((2−クロロフェニル)アミノ)メチル)−フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)−ベンゼンスルホンアミドの調製
【化53】
実施例11及び発明を実施するための形態に記載した実験手順に基づいて、表題化合物を調製した。(ES,m/z):(M+H)
+469.
【0231】
実施例13 N−(3−(((2−クロロフェニル)(エチル)アミノ)メチル)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化54】
無水N,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)中のN−(3−(((2−クロロフェニル)アミノ)メチル)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(18mg、0.04mmol)及びエチルブロミド(6μL、0.08mmol)の溶液に水素化ナトリウム(鉱油中60%、6mg、0.15mmol)を加えた。得られた混合物を周囲温度で一晩攪拌した。次いで、反応混合物にメタノール(0.5mL)を加えて反応をクエンチした。得られた混合物を分取HPLCにより精製した。表題化合物を純粋な形態で含むフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(7mg、33%)。ESI(M+H)
+497.02,499.03.
【0232】
実施例14 N−エチル−N−(3−(インドリン−1−イルメチル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化55】
パートI N−エチル−N−(3−(ヒドロキシメチル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化56】
窒素下の無水テトラヒドロフラン(5mL)中の3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)安息香酸(0.2g、0.54mmol)にボラン−メチルスルフィド錯体(0.21mL、2.1mmol)を慎重に加えた。得られた混合物を65℃まで4時間加熱した。次いで、反応混合物を周囲温度まで冷却し、この反応混合物にメタノール(10mL)を加えることによって反応を慎重にクエンチした後、得られた混合物を65℃まで30分間加熱した。次に、反応混合物を周囲温度で一晩攪拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、得られた濃縮物を酢酸エチル中に溶解して混合物を得、これを水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、表題化合物を得た(190g、99%)。
【0233】
パートII N−(3−(ブロモメチル)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化57】
無水テトラヒドロフラン(4mL)中のN−エチル−N−(3−(ヒドロキシメチル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(0.18g、0.5mmol)の溶液にトリフェニルホスフィン(0.14g、0.55mmol)を加え、続けて四臭化炭素(0.18g、0.55mmol)を一度に加えた。得られた混合物を周囲温度で2時間攪拌した。次に、液体をデカントし、得られた液体を濃縮して混合物を得、これをヘキサン中0〜50%酢酸エチルのグラジエントで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製した。表題化合物を純粋な形態で含むフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(67mg、32%)。
【0234】
パートIII N−エチル−N−(3−(インドリン−1−イルメチル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化58】
窒素下、周囲温度の無水N,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)中のN−(3−(ブロモメチル)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(65mg、0.15mmol)の溶液に、インドリン(28mg、0.23mmol)を加え、続けて60%水素化ナトリウム(鉱油中60%、6mg、0.23mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で一晩攪拌した。次いで、反応混合物にメタノール(0.5mL)を加えることによって、反応をクエンチした。得られた混合物を分取HPLCにより精製した。表題化合物を純粋な形態で含むフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(60mg、85%)。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ8.05(d,1H),7.85(d,1H),7.77(t,1H),7.67(s,1H),7.31(m,2H),7.02−6.91(m,4H),6.56(t,1H),6.47(m,1H),4.17(s,2H),3.58(q,2H),3.09(t,2H),2.82(t,2H),0.95(t,3H).
【0235】
実施例15 N−エチル−N−(3−((2−オキソベンゾ[d]オキサゾール−3(2H)−イル)メチル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化59】
無水N,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)中のN−(3−(ブロモメチル)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(57mg、0.14mmol)及びo−フェニレンカルバメート(27mg、0.2mmol)の溶液に水素化ナトリウム(鉱油中60%、8mg、0.2mmol)を加えた。得られた混合物を周囲温度で一晩攪拌した。次いで、反応混合物にメタノール(0.5mL)を加えることによって、反応をクエンチした。得られた混合物を分取HPLCにより精製した。表題化合物を含むフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(50mg、78%)。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ8.00(d,1H),7.75(d,1H),7.69(m,1H),7.64(m,1H),7.33(m,3H),7.13−7.06(m,4H),6.99(m,1H),4.96(s,2H),3.58(q,2H),0.92(t,3H).
【0236】
実施例16 N−(3−((2−クロロ−6−フルオロフェノキシ)メチル)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化60】
無水N,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)中のN−(3−(ブロモメチル)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(54mg、0.13mmol)及び2−クロロ−6−フルオロフェノール(28mg、0.19mmol)の溶液に炭酸セシウム63mg、0.19mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で4時間攪拌した。次に、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、得られた混合物を水で洗浄し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して混合物を得、これをヘキサン中0〜40%酢酸エチルのグラジエントで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製した。表題化合物を純粋な形態で含むフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(46mg、74%)。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ8.05(d,1H),7.89(d,1H),7.81(m,1H),7.64(s,1H),7.40(m,2H),7.26(m,2H),7.12(m,2H),7.01(d,1H),5.05(s,2H),3.57(q,2H),0.92(t,3H).
【0237】
実施例17 更なるN−フェノキシメチルフェニル−ベンゼンスルホンアミド及びN−シクロアルコキシメチルフェニル−ベンゼンスルホンアミドの調製
実施例18及び発明を実施するための形態に記載した実験手順に基づいて、表6の化合物を調製した。
表6
【表6】
【0238】
実施例18 N−(3−(1−(2−クロロ−6−フルオロフェノキシ)エチル)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化61】
パートI 3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)−N−メトキシ−N−メチルベンズアミドの合成
【化62】
アセトニトリル(5mL)中の3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)安息香酸(0.25g、0.67mmol)の溶液にN−メトキシ−N−メチル−1H−イミダゾール−1−カルボキサミド(0.21g、1.34mmol)を加えた。得られた混合物を終夜、加熱還流した。次に、反応混合物を冷却溶液にしてから、酢酸エチルで希釈し、1M塩化水素、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して混合物を得、これをヘキサン中酢酸エチルのグラジエントで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製した。表題化合物を純粋な形態で含むフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(0.24g、86%)。
【0239】
パートII N−(3−アセチルフェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化63】
窒素下、0℃の無水テトラヒドロフラン(4mL)中の3−((N−エチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド)−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド(0.2400g、0.5764mmol)の溶液にメチルマグネシウムブロミド(ジエチルエーテル中3M、0.57mL、1.7mmol)を加えた。次いで、冷却槽を外し、反応混合物を周囲温度で2時間攪拌した。次に、反応混合物に飽和塩化アンモニウムを加えることによって、反応をクエンチした。得られた混合物を酢酸エチルと水との間で分画した。有機層を分離し、次いで、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、表題化合物を得た(0.23g、定量的収率)。
【0240】
パートIII N−エチル−N−(3−(1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化64】
0℃のエタノール(4mL)中のN−(3−アセチルフェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(0.23g、0.62mmol)の溶液に水素化ホウ素ナトリウム(0.07g、1.9mmol)を加えた。次いで、冷却槽を外し、次に、反応混合物を周囲温度で4時間攪拌した。次に、反応混合物に水を加えることによって、反応をクエンチした。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、表題化合物を得た(240mg、定量的収率)。
【0241】
パートIV N−(3−(1−(2−クロロ−6−フルオロフェノキシ)エチル)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化65】
0℃の無水テトラヒドロフラン(0.5mL)中のN−エチル−N−(3−(1−ヒドロキシエチル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(50mg、0.13mmol)、2−クロロ−6−フルオロフェノール(22mg、0.15mmol)及びトリフェニルホスフィン(39mg、0.15mmol)の溶液にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(29μL、0.15mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で2時間攪拌した。次いで、反応混合物をヘキサン中酢酸エチルのグラジエントで溶出するカラムクロマトグラフィー精製にかけた。表題化合物を純粋な形態で含むフラクションを合わせ、濃縮して、表題化合物を得た(42mg、62%)。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ8.08(d,1H),7.85(m,2H),7.64(s,1H),7.36(m,2H),7.22(m,1H),7.14(m,1H),7.03(m,2H),6.94(s,1H),5.34(q,1H),3.62(m,1H),3.5(m,1H),1.44(d,3H),0.85(t,3H).
【0242】
実施例19 N−(3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化66】
パートI 3−メトキシ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アニリンの合成
【化67】
THF(30mL)中の2,2,2−トリフルオロ−N−(3−メトキシフェニル)アセトアミド(10.4g、47.4mmol)の溶液にテトラヒドロフラン(95mL、95mmol)中のボランの1M溶液を加えた。得られた混合物を終夜、加熱還流した。次に、反応容器を氷浴にて冷却してから、反応混合物にメタノール(25mL)を滴下して加えることによって、反応をクエンチした。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、反応混合物を濃縮して、残渣を得、これをヘキサン中0〜20%酢酸エチルのグラジエントで溶出するMPLCを用いて精製して、3−メトキシ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アニリン(8.12g、83%)を無色の油として得た。
【0243】
パートII 3−((2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ)フェノールの合成
【化68】
酢酸(25mL)中の3−メトキシ−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アニリン(7.55g、36.8mmol)の溶液に臭化水素酸(21.8g、270mmol)を加え、この混合物を一晩加熱還流した。次に、反応混合物を冷却してから、濃縮した。得られた濃縮物をクロロホルムと水との間で分画した。飽和重炭酸ナトリウムを慎重に加えることによって、混合物を中和した。次いで、水層をクロロホルムで再抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮して残渣を得、これをヘキサン中0〜60%酢酸エチルのグラジエントで溶出するMPLCを用いて精製して、3−((2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ)フェノール(5.15g、73%)を淡オレンジ色の油を得た。
【0244】
パートIII 3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アニリンの合成
【化69】
THF(8mL)中の3−((2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ)フェノール(403mg、2.11mmol)、(2−クロロ−6−フルオロ−フェニル)メタノール(405mg、2.52mmol)及びトリフェニルホスフィン(655mg、2.50mmol)の溶液にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(519mg、2.56mmol)を加えた。90分後、反応混合物に数滴のメタノールを加え、この混合物を濃縮して残渣を得た。ヘキサン中0〜25%酢酸エチルのグラジエントで溶出するMPLCにより残渣を精製して、3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アニリン(536mg、75%)を無色の油として得た。
【0245】
パートIV N−(3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化70】
ピリジン(0.4mL)中の3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)アニリン(29.5mg、88.4μmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(55mg、450μmol)の溶液を90℃で8時間加熱した。次いで、反応混合物を冷却し、濃縮した。濃縮物を酢酸エチルと1M硫酸水素ナトリウムとの間で分画した。有機層を飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、ブラインで洗浄し、次いで、濃縮して残渣を得た。ヘキサン中0〜30%酢酸エチルのグラジエントで溶出するMPLCを用いて残渣を精製して、N−(3−((2−クロロ−6−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(33.5mg、63%)を無色の油として得た。(ES,m/z):(M+Na)
+513.
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ8.12(d,1H),7.98(d,1H),7.84(m,2H),7.50(m,1H),7.48(d,1H),7.41−7.31(m,2H),7.07(d,1H),6.83(d,1H),6.71(s,1H),4.99(s,2H),4.66(q,2H).
【0246】
実施例20 N−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化71】
パートI N−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【化72】
0℃のジクロロメタン(5mL)中の4−ベンジルオキシアニリン(515mg、2.58mmol)の溶液にピリジン(412mg、5.20mmol)を加え、続けて3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリド(694mg、2.84mmol)を加えた。反応混合物を室温まで加温し、次いで、4時間攪拌した。次に、メタノール(100μL)を加え、次いで、この混合物を濃縮して残渣を得た。ヘキサン中0〜35%酢酸エチルのグラジエントで溶出するMPLCにより残渣を精製して、N−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(910mg、86%)をオフホワイト固体として得た。
【0247】
パートII N−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン−スルホンアミドの合成
【化73】
アセトニトリル(10mL)中のN−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド(498mg、1.22mmol)及び炭酸セシウム(597mg、1.83mmol)の混合物にヨードエタン(390mg、2.50mmol)を加えた。混合物を室温で7時間攪拌した。次いで、反応混合物にセライトを加え、得られた混合物を酢酸エチルで希釈し、次にこの混合物を濾過した。濾液を濃縮して残渣を得、これをヘキサン中0〜25%酢酸エチルのグラジエントで溶出するMPLCを用いて精製して、N−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−エチル−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン−スルホンアミド(425mg、79%)を白色固体として得た。(ES,m/z):(M+Na)
+458.
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ8.10(m,1H),7.92−7.84(m,2H),7.71(s,1H),7.46−7.32(m,5H),6.99−6.94(m,2H),5.10(s,2H),3.58(q,2H),0.97(t,3H).
【0248】
実施例21−追加化合物
上記の手順に基づいて、以下の更なる化合物を調製した。
表7
【表7】
【0249】
実施例22 RORγに対するアゴニスト活性についての生物学的アッセイ
(i)RORγ−リガンド結合ドメイン(LBD)TR−FRETアッセイ及び(ii)HEK−293T細胞におけるGal4−RORγルシフェラーゼレポータアッセイを用いて、上記の実施例からの例示的な化合物をRORγ活性の増加能力について試験した。アッセイ手順及び結果について以下に記載する。
【0250】
パートI RORγ−リガンド結合ドメインTR−FRETアッセイについての手順
バキュロウイルス発現系を用いて、HISタグ付きRORγ−LBDタンパク質をSF9細胞中で発現させた。溶解物をアッセイ緩衝液(50mM Tris pH7.0、50mM KCl、1mM EDTA、0.1mM DTT、0.01% BSA)中に希釈して最終濃度約3nMのRORγ−LBDを384ウェルアッセイプレート中に得た(タンパク質の各バッチについて滴定が必要)。
【0251】
コアクチベータSRC1に由来するビオチン化LXXLLペプチド(Biotin−CPSSHSSLTERHKILHRLLQEGSPS)の原液をアッセイ緩衝液中で調製し、各ウェルに加えた(最終濃度200nM)。ユーロピウム標識抗HIS抗体(最終濃度0.6nM)及びAPC結合ストレプトアビジン(最終濃度30nM)の溶液も各ウェルに加えた。RORγアンタゴニストのウルソル酸も2μMの最終濃度で含めた。化合物をDMSO中に希釈し、アッセイ緩衝液中に更に希釈して最終DMSO濃度1%にした。
【0252】
最終アッセイ混合物を4℃で一晩または室温で2時間インキュベートし、蛍光シグナルをEnvisionプレートリーダで測定した(励起フィルタ=340nm;APC発光=665nm;ユーロピウム発光=615nm;ダイクロイックミラー=D400/D630;遅延時間=100μs、積分時間=200μs)。665nmでの蛍光シグナルを615nmでの蛍光シグナルで除した商から試験化合物の50%効果濃度(EC
50)を算出した。ウルソル酸または試験化合物の不在下における蛍光シグナルの商を100とする。最大応答は、PRISM(GraphPad)で4パラメータロジスティックモデルを用いた直線フィッティングにより特定したシグナルの上側プラトーとした。
【0253】
パートII HEK−293T細胞におけるGal4−RORγルシフェラーゼレポータアッセイについての手順
HEK−293細胞のトランスフェクション
以下のプロトコルにおいて、pcDNA3.1neoプラスミド中にRORγ(Gal4−RORγ−LBD)のリガンド結合ドメインに融合したGal4 DNA結合ドメインを含む構築物と、pGL4.31Gal4−ルシフェラーゼ(Promega)を含むレポータ構築物でHEK−293細胞をトランスフェクションした。空のpcDNA3.1neo及びpGL4.31ベクターを用いて対照細胞を同様に作製した。
【0254】
室温にて、Trans−IT試薬(Mirus、60μL)をOptiMEM(Invitrogen、1.5ml)に滴加した。この試薬混合物を転倒混和し、次いで、室温で5〜30分間インキュベートした。次いで、これを両方の発現ベクターの溶液(それぞれ5μg)に加え、混合し、室温で約20分間インキュベートした。培地を除去し、TrypLE Express(Invitrogen)で処理し、フラスコの底部から細胞が剥離するまでインキュベーションすること(約2〜5分)によって、HEK−293細胞をインキュベーションフラスコから回収した。1000万個の細胞を遠心分離により収集し、10%ウシ胎児血清並びにそれぞれ100IUのペニシリン及びストレプトマイシンを含有するダルベッコ改変イーグル培地高グルコース(DMEM、Invitrogen)10mL中に再懸濁した。再懸濁させた細胞及びトランスフェクション混合物を1つのT75フラスコに加え、混合し、37℃、5%CO
2で一晩インキュベートした。
【0255】
RORγ活性のアッセイ
細胞を前述の通りに回収し、計数し、遠心分離して所望数の細胞を得、次いで、完全成長培地中に0.75×10
6細胞/mLで再懸濁した。RORγアンタゴニストのウルソル酸を2μMの最終濃度で細胞に加えた。白色組織培養処理384ウェルプレートに20μLの細胞懸濁液/ウェル(10,000〜15,000細胞/ウェル)を平板培養した。DMSO中に試験化合物を10mMで溶解し、次いで、完全成長培地に5×目的最終試験濃度まで希釈した。これらの薬物ストック溶液を5μL/ウェルで組織培養プレートに加えた。最終DMSO濃度は0.2%であった。プレートを軽く遠心分離し、次いで、37℃、5%CO
2で一晩インキュベートした。アッセイを実施するために、組織培養プレートを室温に平衡化し、One−Gloルシフェラーゼ試薬(Promega、25μL/ウェル)を加えた。プレートを軽く遠心分離し、次いで、室温で10分間インキュベートした。ルシフェラーゼ強度をEnvisionプレートリーダ(Perkin Elmer)で読み取った。RORγ活性を対照に対して特定し、PRISM(GraphPad)を用いて試験化合物濃度との相関でプロットして50%効果濃度(EC
50)を特定した。ウルソル酸または試験化合物の不在下におけるルシフェラーゼシグナルを100とする。最大応答は、PRISM(GraphPad)で4パラメータロジスティックモデルを用いた直線フィッティングにより特定したシグナルの上側プラトーとした。
【0256】
パートIII 結果
実験結果を以下の表8及び9に記載する。記号「++++」は、0.5μM未満のEC
50を示す。記号「+++」は、0.5μM〜5μMの範囲のEC
50を示す。記号「++」は、5μM超〜10μMの範囲のEC
50を示す。記号「+」は、10μMより大きいEC
50を示す。表記「N/A」は、利用可能なデータがなかったことを示す。記号「****」は、200より大きい値を指す。記号「***」は、150超〜200の範囲の値を指す。記号「**」は90超〜150の範囲の値を指す。記号「*」は、70〜90の範囲の値を指す。
表8−スルホンアミド化合物に関するアッセイ結果
【表8】
表9 スルホン化合物のアッセイ結果
【表9】
【0257】
参照による援用
本明細書にて言及する特許文献及び科学論文の各開示全体は、あらゆる目的で参照により援用する。
【0258】
均等物
本発明は、本発明の趣旨または必須の特徴を逸脱することなく、他の特定の形態で実施され得る。したがって、前述の実施形態は、全ての点において、本明細書に記載する本発明を限定するのではなく、例示であるものとみなすべきである。それゆえ、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に入る全ての変更は、本明細書に包含されるものとする。