特許第6523571号(P6523571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523571
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】回路接続装置、及び電子機器装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20190527BHJP
   H01R 13/66 20060101ALI20190527BHJP
   H01R 4/18 20060101ALI20190527BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   H05K7/12 J
   H05K7/12 Q
   H01R13/66
   H01R4/18 A
   H01R13/42 E
   H01R13/42 F
   H05K7/12 N
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-538916(P2018-538916)
(86)(22)【出願日】2018年1月19日
(86)【国際出願番号】JP2018001632
(87)【国際公開番号】WO2018135634
(87)【国際公開日】20180726
【審査請求日】2018年7月25日
(31)【優先権主張番号】特願2017-8935(P2017-8935)
(32)【優先日】2017年1月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】南 秀和
(72)【発明者】
【氏名】香田 高志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 伸吾
【審査官】 石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−085474(JP,A)
【文献】 特開平11−295021(JP,A)
【文献】 特開2009−182254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/12
H01R 4/18
H01R 13/42
H01R 13/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に回路を接続するための回路接続装置であって、
1又は複数の第1端子と、
前記1又は複数の第1端子が電気的に接続される回路基板と、
前記回路基板を収納すると共に、一端に開口が形成された筒状のケース本体と、
1又は複数の貫通孔を有すると共に、前記ケース本体の前記開口を塞ぐ端子挿通部と、
前記ケース本体内に配置される端子コアと、
前記端子コアを前記ケース本体の軸方向に案内するように構成されたガイドと、
を備え、
前記1又は複数の第1端子は、前記端子挿通部の前記1又は複数の貫通孔に挿入され、
前記端子コアは、
前記回路基板と電気的に接続される1又は複数の第2端子と、
前記1又は複数の第2端子を支持する絶縁性の支持体と、
を有し、
前記支持体は、前記回路基板との位置関係を保持する位置決め部を有する、回路接続装置。
【請求項2】
前記回路基板は、少なくとも1の基板貫通孔を有し、
前記位置決め部は、前記回路基板の前記少なくとも1の基板貫通孔に嵌合される少なくとも1の突起部を含む、請求項1に記載の回路接続装置。
【請求項3】
前記ケース本体の前記軸方向における前記回路基板の長さをLとしたとき、
前記位置決め部は、前記回路基板の前記端子挿通部側の端部からL/3以上離間した位置で前記回路基板を位置決めする、請求項1又は請求項2に記載の回路接続装置。
【請求項4】
前記端子挿通部は、前記ケース本体の前記軸方向内側に向かって突出した突起板を有し、
前記支持体は、前記端子挿通部に係止する係止部を有し、
前記係止部は、前記端子挿通部の前記突起板に係合する少なくとも1の爪を含む、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の回路接続装置。
【請求項5】
前記第1端子は、接続ケーブルの先端に接続された加締め端子であり、
前記端子挿通部は、前記加締め端子の先端部が係合する移動規制面を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回路接続装置。
【請求項6】
前記ケース本体の前記軸方向と垂直な断面における前記ケース本体の内部空間の面積は、前記ケース本体の開口から開口とは反対側に向かうに連れて小さくなっている、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の回路接続装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の回路接続装置と、
前記1又は複数の第1端子に電気的に接続された電子機器と、
を備える電子機器装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2017年1月20日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2017−008935号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2017−008935号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、回路接続装置に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば自動車のガスセンサ装置等において、センサを制御又は駆動するための回路基板をケースで保護したものが公知である(特許文献1参照)。このようなセンサ装置において、ケース内には、センサを制御又は駆動する回路基板の他に、回路基板とケーブル等とを接続する端子を含む樹脂成型品の端子コアが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−141300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
センサの種類や処理内容によっては、ケース内の回路基板が大型化し、回路基板の全長が大きくなることがある。この場合、ケースの全長も大きくなるため、従来のセンサ装置では、回路基板及び端子コアの挿入位置の調整が困難となり、接続不良等を招来するおそれがある。
【0006】
本開示の一局面は、ケース内の回路基板と端子コアとの位置決めが容易に行える回路接続装置を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、電子機器に回路を接続するための回路接続装置である。回路接続装置は、1又は複数の第1端子と、回路基板と、筒状のケース本体と、端子挿通部と、端子コアと、ガイドと、を備える。回路基板は、1又は複数の第1端子が電気的に接続される。ケース本体は、回路基板を収納すると共に、一端に開口が形成される。端子挿通部は、1又は複数の貫通孔を有すると共に、ケース本体の開口を塞ぐ。端子コアは、ケース本体内に配置される。ガイドは、端子コアをケース本体の軸方向に案内するように構成される。1又は複数の第1端子は、端子挿通部の1又は複数の貫通孔に挿入される。端子コアは、回路基板と電気的に接続される1又は複数の第2端子と、1又は複数の第2端子を支持する絶縁性の支持体とを有する。支持体は、回路基板との位置関係を保持する位置決め部を有する。
【0008】
このような構成によれば、まず、端子コアを端子挿通部に取り付けた上で、位置決め部によって端子コアと回路基板との相対位置を予め決めておくことができる。次に、端子コア及び回路基板を端子挿通部と共にケース本体内に挿入し、端子挿通部をケース本体に嵌合することで、端子コアと回路基板とが企図した位置で保持される。さらに、端子コアをケース本体の軸方向に案内するガイドによって、ケース本体が長い場合でも端子コア及び回路基板をケース本体内に円滑に挿入することができる。これらの結果、ケース本体内の回路基板と端子コアとの位置決めが容易に行える。
【0009】
本開示の一態様では、回路基板は、少なくとも1の基板貫通孔を有してもよい。位置決め部は、回路基板の少なくとも1の基板貫通孔に嵌合される少なくとも1の突起部を含んでもよい。このような構成によれば、シンプルな構成で端子コアと回路基板との位置決めを行えると共に、位置決めの作業性を高めることができる。
【0010】
本開示の一態様では、ケース本体の軸方向における回路基板の長さをLとしたとき、位置決め部は、回路基板の端子挿通部側の端部からL/3以上離間した位置で回路基板を位置決めしてもよい。このような構成によれば、回路基板のケース内での位置ずれを防止することができる。
【0011】
本開示の一態様では、端子挿通部は、ケース本体の軸方向内側に向かって突出した突起板を有してもよい。支持体は、端子挿通部に係止する係止部を有してもよい。係止部は、端子挿通部の突起板に係合する少なくとも1の爪を含んでもよい。このような構成によれば、端子コアを端子挿通部に容易かつ確実に固定することができる。
【0012】
本開示の一態様では、第1端子は、接続ケーブルの先端に接続された加締め端子であってもよい。また、端子挿通部は、加締め端子の先端部が係合する移動規制面を有してもよい。このような構成によれば、接触抵抗の増加を抑制し、微小電流を扱うセンサ信号のエラーを低減することができる。また、加締め端子の脱落を防止できる。
【0013】
本開示の一態様では、ケース本体の軸方向と垂直な断面におけるケース本体の内部空間の面積は、ケース本体の開口から開口とは反対側に向かうに連れて小さくなっていてもよい。このような構成によれば、端子コア及び回路基板のケース本体への挿入作業性を高めることができる。
【0014】
本開示の別の態様は、回路接続装置と、1又は複数の第1端子に電気的に接続された電子機器とを備える電子機器装置である。このような構成によれば、電子機器と回路基板との接続信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1A,1Bは、実施形態の回路接続装置を示す模式的な斜視図である。
図2図1Aの回路接続装置の模式的な分解斜視図である。
図3図3Aは、図1BのIIIA−IIIA線での模式的な断面図であり、図3Bは、図3Aとは異なる実施形態のガイドの一例を示す模式的な斜視図である。
図4図4Aは、図1Aの回路接続装置における第1支持体に第1端子を配置した状態を示す模式的な平面図であり、図4Bは、図4AのIVB−IVB線での模式的な断面図である。
図5図5Aは、図1Aの回路接続装置における第1端子、第1支持体及び第2支持体の模式的な平面図であり、図5Bは、図5AのVB−VB線での模式的な断面図である。
図6図1Aとは異なる実施形態の回路接続装置を示す模式的な斜視図である。
図7図7Aは、図6の回路接続装置の模式的な平面図であり、図7Bは、図6の回路接続装置の模式的な側面図であり、図7Cは、図6の回路接続装置の模式的な正面図である。
図8図8Aは、図7AのVIIIA−VIIIA線での模式的な断面図であり、図8Bは、図7BのVIIIB−VIIIB線での模式的な断面図であり、図8Cは、図7CのVIIIC−VIIIC線での模式的な断面図である。
図9図9Aは、図6の回路接続装置の端子コアを示す模式的な斜視図であり、図9Bは、図9Aの端子コアをY軸を中心に反転させた状態の模式的な斜視図である。
図10図10Aは、図6の回路接続装置の端子コアを端子挿通部に取り付けた部品を示す模式的な斜視図であり、図10Bは、図10Aの部品をY軸を中心に反転させた状態の模式的な斜視図である。
図11図6の回路接続装置の端子挿通部、端子コア、及び回路基板を含む回路部品を示す模式的な斜視図である。
図12】実施形態の電子機器装置を示す模式的な構成図である。
【符号の説明】
【0016】
1,201…回路接続装置、2,202…ケース本体、3,203…端子挿通部、
4,5,204…接続ケーブル、6,206…回路基板、7,207…第1端子、
8…端子コア、22,202B…凸条部、32,281A…移動規制面、
33…突起板、61,206A…基板貫通孔、71,271…先端部、
81,210…第2端子、81A,210A…先端部、81B,210B…帯状部、
82…支持体、82A…ガイド、82B,209B…位置決め部(突起部)、
82C,209D…係止部、82D,209A…挟持面、83…爪、
100…電子機器装置、101…電子機器、208…第1支持体、
209…第2支持体、211…シール材、281…端子支持部、282…端子保持部、
209C…凹部。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1A,1Bに示される回路接続装置201は、電子機器を制御又は駆動するための回路基板を保護しつつ、回路基板を電子機器及び制御装置に電気的に接続するための装置である。
【0018】
回路接続装置201は、図1A,1B及び図2に示すように、ケース本体202と、端子挿通部203と、複数の接続ケーブル204と、回路基板206と、複数の第1端子207と、第1支持体208と、第2支持体209と、シール材211とを備える。
【0019】
なお、第2支持体209と第2端子210とは、端子コアを構成している。また、図中のX軸は、ケース本体202の中心軸と平行な軸であり、Z軸は、回路基板206の板面と垂直な軸であり、Y軸は、X軸及びZ軸に垂直な軸である。
【0020】
<ケース本体>
ケース本体202は、一方の端部に開口が形成され、他方の端部が閉じられた有底筒状体である。ケース本体202は、一般に樹脂で形成される。
【0021】
ケース本体202は、図1A,1Bに示すように、中心軸方向が長手方向(図中X軸方向)と一致している。ケース本体202の内部空間には、図2に示すように、回路基板206と、第1支持体208と、第2支持体209と、シール材211とが収納されている。なお、ケース本体202の中心軸とは、ケース本体202の中心を通り、一端側から他端側に向かう(つまり、開口から開口とは反対側に向かう)軸を意味する。
【0022】
また、ケース本体202には、電子部品が電気的に接続されるコネクタ202Aが開口とは反対側(つまり筒状体の底面部分)に設けられている。コネクタ202Aは、X軸方向に延伸している。
【0023】
ケース本体202は、図3Aに示すように、ケース本体202の内面からY軸方向内側に突出すると共に、X軸と平行に延伸する2つの凸条部202Bを有する。2つの凸条部202Bは、後述する第2支持体209の凹部209C内に先端部分が進入することで、第2支持体209のY軸方向及びZ軸方向の移動を規制する。
【0024】
<端子挿通部>
端子挿通部203は、ケース本体202よりも中心軸方向の長さが短い筒状体である。端子挿通部203は、ケース本体202と同様、一般に樹脂で形成される。
【0025】
端子挿通部203は、ケース本体202の開口側の端部に外嵌されることで、ケース本体202の開口を塞ぐ。端子挿通部203には、図1Aに示すように、複数の第1端子207と、複数の第1端子207に接続された複数の接続ケーブル204とが挿入されている。具体的には、端子挿通部203の底面には1つの貫通孔が形成され、この貫通孔に複数の第1端子207及び複数の接続ケーブル204が挿通されている。
【0026】
<回路基板>
回路基板206は、図2に示すように、四角形状の外形を有する。なお、回路基板206は角部が面取りされていてもよい。回路基板206は、ケース本体202内に収納されている。また、回路基板206には、複数の電子部品(図示省略)が実装されている。
【0027】
回路基板206には、複数の第1端子207と、複数の第2端子210とが電気的に接続される。回路基板206は、複数の第1端子207又は複数の第2端子210と電気的に接続される機器との間で信号の送受信や電力の供受給を行う。
【0028】
回路基板206には、後述する第2支持体209の2つの位置決め部209Bがそれぞれ嵌入される位置決め用の2つの基板貫通孔206Aが形成されている。2つの基板貫通孔206Aは、回路基板206を厚み方向に貫通している。
【0029】
<第1端子>
複数の第1端子207はそれぞれ、図2に示すように、複数の接続ケーブル204の先端(つまり芯線部分)に装着された加締め端子である。複数の第1端子207の接続ケーブル204とは反対側の先端部271は、回路基板206の複数のスルーホール206Bにそれぞれ挿入されて半田付けされている。
【0030】
各第1端子207の加締め部分は、後述する第1支持体208の端子保持部282の貫通孔282A内に挿入されている。各第1端子207は、端子保持部282の貫通孔282Aに保持されながらケース本体202内部に向かって延伸する先端部271を有している。
【0031】
図4A,4Bに示すように、各第1端子207の先端部271は、板面がZ軸方向と垂直な帯状部271Aと、端子支持部281から突出した突出部271Bとを有する。また、帯状部271Aには、Z軸方向の貫通孔271Cが幅方向の中央に設けられている。
【0032】
帯状部271Aは、図5A,5Bに示すように、第1支持体208の端子支持部281の移動規制面281Aと、後述する第2支持体209の複数の挟持面209Aとの間で挟持されている。
【0033】
突出部271Bは、帯状部271AのX軸方向端部から延びる部位であり、帯状部271Aよりも幅が小さい。突出部271Bは、回路基板206に向かってZ軸方向に屈曲している。
【0034】
<第1支持体>
第1支持体208は、ケース本体202内に配置される絶縁性の部材である。第1支持体208は、端子支持部281と、端子保持部282とを有する。第1支持体208は、第2支持体209と共にケース本体202内に収容されている。
【0035】
(端子支持部)
端子支持部281は、複数の第1端子207の先端部271を支持する部材である。端子支持部281は、図4A,4Bに示すように、移動規制面281Aと、複数の凸部281Bと、壁部281Cとを有する。
【0036】
移動規制面281Aは、複数の第1端子207の先端部271における帯状部271AをそれぞれZ軸方向に支持する。複数の凸部281Bは、移動規制面281AからZ軸方向に突出している。各凸部281Bは、各先端部271の貫通孔271Cに挿入されている。
【0037】
壁部281Cは、複数の帯状部271AのY軸方向(つまり幅方向)の移動と、突出部271B側への移動とを規制するように、複数の帯状部271Aを囲っている。壁部281Cには、Z軸方向に凹んだ複数の凹部が設けられている。先端部271の突出部271Bは、これらの複数の凹部を通って端子支持部281から突出している。
【0038】
(端子保持部)
端子保持部282は、複数の第1端子207がX軸方向に挿通される部材である。
端子保持部282は、複数の貫通孔282Aを有する。複数の貫通孔282Aは、X軸方向に延伸している。複数の第1端子207は、それぞれ複数の貫通孔282Aに挿通されることで、帯状部271Aが貫通孔282Aに設けられた小穴部(つまり切欠き部)に納まり、Z軸方向の移動が規制されている。
【0039】
したがって、第1支持体208は、第2支持体209と係合していない状態で、第1端子207がケース本体202の中心軸方向(つまりX軸方向)、及びケース本体202の中心軸と垂直かつ回路基板206の板面と平行な方向(つまりY軸方向)へ移動することを規制するリテーナ機構を形成している。
【0040】
端子保持部282は、図2及び図4Bに示すように、端子支持部281に結合される端子支持部281とは別の部材である。具体的には、端子支持部281の端部281Dが端子保持部282に挿入され、端子保持部282に設けられた係合部が端子支持部281に設けられた被係合部に係止することで、端子支持部281に結合している。端子支持部281と端子保持部282とは、それぞれ、例えば樹脂から形成される。
【0041】
<第2支持体>
第2支持体209は、第1支持体208と共に、ケース本体202内に配置される絶縁性の部材である。第2支持体209は、例えば樹脂から形成される。本実施形態の第2支持体209は、複数の第2端子210をインサートした樹脂成型部品である。第2支持体209は、第1支持体208に係合可能に構成されている。このように、第2支持体209と第2端子210とから構成される端子コアはケース本体202内に配置されている。
【0042】
第2支持体209は、図2に示すように、第1支持体208の端子支持部281と共に複数の第1端子207の先端部271を挟持する複数の挟持面209Aと、回路基板206との位置関係を保持する2つの位置決め部209Bと、Y軸方向内側に凹んだ2つの凹部209Cと、端子支持部281に係止する2つの係止部209Dと、第2端子210とを有する。
【0043】
複数の挟持面209Aは、第2支持体209の本体の端子挿通部203側に設けられている。具体的には、複数の挟持面209Aは、第2支持体209の回路基板206側の面に設けられ、端子支持部281の移動規制面281Aとそれぞれ対向している。
【0044】
複数の挟持面209Aは、複数の第1端子207の先端部271を、対向する移動規制面281Aとでそれぞれ挟持する。つまり、第1支持体208及び第2支持体209は、第1支持体208と第2支持体209とが係合した状態で、複数の第1端子207の全方向の移動が規制されるように構成されている。
【0045】
2つの位置決め部209Bは、それぞれ、第2支持体209の本体からZ軸に平行かつ回路基板206に向かって延伸する棒状の突起部である。各位置決め部209Bは、回路基板206の基板貫通孔206Aに嵌合可能に形成されている。2つの位置決め部209Bは、第2支持体209のY軸方向の両端部に1つずつ設けられている。
【0046】
2つの凹部209Cは、第2支持体209のY軸方向の両側面にそれぞれ設けられている。各凹部209Cは、Z軸方向に対向して配置された2つの壁に挟まれた部位であり、X軸方向に溝状に延伸している。
【0047】
各凹部209Cは、ケース本体202の凸条部202Bと係合する。また、各凹部209Cは、凸条部202Bに対しX軸方向に摺動可能に構成されている。したがって、2つの凹部209Cと2つの凸条部202Bとは、第1支持体208と第2支持体209とから構成される端子コアをケース本体202の中心軸方向に案内するガイドを構成する。
【0048】
2つの係止部209Dは、それぞれ、第1支持体208に係合する爪である。各係止部209Dは、第2支持体209の本体のY軸方向における端部からZ軸と平行に第1支持体208の端子支持部281に向かって延伸しており、その先端はY軸方向内側に屈曲している。2つの係止部209Dは、図5Bに示すように、端子支持部281にY軸方向外側から係止することで、端子支持部281をY軸方向の両側から抱えるようにして第2支持体209を第1支持体208に固定する。
【0049】
複数の第2端子210は、図2に示すように、第2支持体209に支持されている。また、複数の第2端子210は、回路基板206の複数のスルーホール206Cに挿入されて半田付けされる先端部210Aと、コネクタ202A内に配置される帯状部210Bとをそれぞれ有する。複数の第2端子210は、帯状部210Bの長手方向がケース本体202の中心軸方向と平行となる向きに互いに平行に配置されている。
【0050】
先端部210Aは、第2支持体209の本体から回路基板206に向かってZ軸方向に延伸している。帯状部210Bの先端部210Aとは反対側の端部は、第2支持体209の本体からX軸方向に突出しており、第2支持体209に被覆されずに露出している。
【0051】
<シール材>
シール材211は、図2に示すように、第1支持体208とケース本体202との間を封止する環状の部材である。本実施形態では、シール材211は、第1支持体208の端子保持部282の外周面に取り付けられている。シール材211は、例えばゴムで形成される。
【0052】
<製造方法>
ここで、回路接続装置201の製造方法、つまり組み立て方法について説明する。
回路接続装置201の製造方法は、第1支持体208を組み立てる第1工程、第1支持体208に第2支持体209を係合する第2工程、第1支持体208及び第2支持体209をケース本体202内に挿入する第3工程とを備える。
【0053】
(第1工程)
本工程では、まず、端子挿通部203に第1端子207を挿通する。このとき、端子挿通部203は、接続ケーブル204の被覆部と重なる位置にずらしておく。また、端子支持部281と端子保持部282とを結合し、第1支持体208を組み立てる。さらに、シール材211を端子保持部282に取り付ける。
【0054】
(第2工程)
本工程では、まず、複数の第1端子207を端子保持部282に挿通し、複数の先端部271を端子支持部281で支持する。その後、複数の第1端子207の先端部271をZ軸方向に屈曲させる。この状態で、第2支持体209を第1支持体208に係合する。さらに、第2支持体209に回路基板206を2つの位置決め部209Bによって装着する。
【0055】
このとき、複数の第1端子207の先端部271及び複数の第2端子210の先端部210Aは、回路基板206の複数のスルーホール206B,206Cにそれぞれ挿通される。これらの端子は、半田付けにより、回路基板206に電気的に接続される。
【0056】
(第3工程)
本工程では、第1支持体208、第2支持体209、及び回路基板206を含む回路部品を、ケース本体202内に挿入する。
【0057】
具体的には、第2端子210の端子挿通部203とは反対側の先端がケース本体202の開口に挿入されるように、ケース本体202を第2端子210に被せる。このとき、第2支持体209の2つの凹部209Cがケース本体202の2つの凸条部202Bと係合した状態で、上記回路部品はX軸に平行に移動する。その後、端子挿通部203をケース本体202の長手方向(X軸)に沿ってケース本体202に係合する位置までスライドさせる。
【0058】
端子挿通部203とケース本体202とが固定された状態において、回路基板206は、2つの位置決め部209Bによって第2支持体209に対し位置が保持されている。そのため、ケース本体202内において回路基板206は定められた位置に保持される。このようにして、回路接続装置201が得られる。
【0059】
[1−2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第1支持体208を介して第2支持体209を端子挿通部203に固定した上で、第2支持体209と回路基板206との相対位置をケース本体202への挿入前に予め決めることができる。そのため、端子コア(つまり第1支持体208及び第2支持体209)と回路基板206とを、端子挿通部203と共にケース本体202内に挿入し、端子挿通部203をケース本体202に嵌合することで、端子コアと回路基板206とを企図した位置で保持することができる。
【0060】
(1b)第2支持体209は、ケース本体202の凸条部202Bと係合する凹部209Cを有するので、ケース本体202内が長い場合(つまり、回路基板206が長い場合)でも端子コア及び回路基板206をケース本体202内に円滑に挿入することができる。そのため、ケース本体202内での回路基板206と端子コアとの位置決めが容易に行える。また、挿入時に回路基板206がケース本体202の内面に衝突し、破損することを防止できる。
【0061】
[2.第2実施形態]
[2−1.構成]
図6に示す回路接続装置1は、電子機器を制御又は駆動するための回路基板を保護しつつ、回路基板を電子機器及び制御装置に電気的に接続するための装置である。
【0062】
回路接続装置1は、図6図7A,7B,7C及び図8A,8B,8Cに示すように、ケース本体2と、端子挿通部3と、複数の第1接続ケーブル4と、複数の第2接続ケーブル5と、回路基板6と、複数の第1端子7と、端子コア8とを備える。なお、図中のX軸は、ケース本体2の中心軸と平行な軸であり、Z軸は、回路基板6の板面と垂直な軸であり、Y軸は、X軸及びZ軸に垂直な軸である。
【0063】
<ケース本体2>
ケース本体2は、一方の端部に開口が形成され、他方の端部が閉じられた有底筒状体である。ケース本体2は、一般に樹脂で形成される。
【0064】
ケース本体2は、図6に示すように、中心軸方向が長手方向(図中X軸方向)と一致している。ケース本体2の内部空間には、図8A,8B,8Cに示すように、回路基板6と、端子コア8とが配置されている。なお、ケース本体2の中心軸とは、ケース本体2の中心を通り、一端側から他端側に向かう(つまり、開口から開口とは反対側に向かう)軸を意味する。
【0065】
また、ケース本体2には、回路基板6と接続される複数の第1接続ケーブル4がX軸方向に挿通されている。具体的には、ケース本体2の開口と対向する底面21に複数の貫通孔が形成され、この複数の貫通孔に複数の第2接続ケーブル5が挿通されている。
【0066】
ケース本体2は、図8Bに示すように、回路基板6と対向する内面に形成され、X軸と平行に延伸する凸条部22を有する。この凸条部22は、端子コア8の溝状のガイド82A内に先端部分が進入することで、端子コア8のY軸方向の移動を規制する。
【0067】
ケース本体2の中心軸と垂直な断面(Y−Z面)におけるケース本体2の内部空間の面積は、ケース本体2の開口から開口とは反対側に向かうに連れて徐々に小さくなっている。具体的には、ケース本体2の内部空間において、回路基板6が収納される領域のY軸方向の幅は、開口から底面21に向かって徐々に小さくなっている。
【0068】
なお、ケース本体2は、回路接続装置1を自動車の車体等の他の部材に固定するためのブラケット等を取り付けるための取付部24を外面に有する。本実施形態では、ブラケットをスライドにより取り付けるための機構を例示している。
【0069】
<端子挿通部>
端子挿通部3は、ケース本体2よりも中心軸方向の長さが短い有底筒状体である。端子挿通部3は、ケース本体2と同様、一般に樹脂で形成される。
【0070】
端子挿通部3は、ケース本体2の開口側の端部に外嵌されることで、ケース本体2の開口を塞ぐ。具体的には、端子挿通部3は、複数の嵌合孔31を有しており、各嵌合孔31にケース本体2の嵌合爪23が嵌合することで、ケース本体2に固定されている。
【0071】
端子挿通部3には、図8A,8Cに示すように、複数の第1端子7と、複数の第1端子7に接続された複数の第1接続ケーブル4とが挿入されている。具体的には、端子挿通部3の底面には複数の貫通孔が形成され、この複数の貫通孔に複数の第1端子7及び複数の第1接続ケーブル4が挿通されている。
【0072】
端子挿通部3は、図8A,8Bに示すように、複数の第1端子7の先端部71をそれぞれ支持する複数の移動規制面32を内部に有する。複数の移動規制面32は、Z軸方向に突出した凸部をそれぞれ有しており、第1端子7の先端部71が凸部に係合するように構成されている。複数の移動規制面32は、第1端子7がケース本体2の中心軸方向へ移動することを規制するリテーナ機構を形成する。
【0073】
また、端子挿通部3は、図10A,10Bに示すように、X軸方向の内側(つまりケース本体2側)に向かって突出した1対の突起板33を有する。1対の突起板33には、支持体82の係止部82C(図9A,9B参照)が係止する。
【0074】
<回路基板>
回路基板6は、長方形状の外形を有し、ケース本体2の中心軸方向に長手方向が平行となるようにケース本体2内に収納されている。また、回路基板6には、複数の電子部品が実装されている。
【0075】
回路基板6には、図8A及び図11に示すように、複数の第1端子7と、複数の第2端子81とが電気的に接続される。回路基板6は、複数の第1端子7と電気的に接続された複数の第1接続ケーブル4又は複数の第2端子81と電気的に接続された第2接続ケーブル5と接続される機器との間で信号の送受信や電力の供受給を行う。
【0076】
回路基板6は、図11に示すように、端子コア8の突起部82Bが嵌入される位置決め用の基板貫通孔61を有する。また、回路基板6のY軸方向の幅は、ケース本体2の底面21側(つまり、端子挿通部3とは反対側)に向かうに連れて小さくなっている。
【0077】
<第1端子>
複数の第1端子7はそれぞれ、図8Aに示すように、複数の第1接続ケーブル4の先端(つまり芯線部分)に装着された加締め端子である。複数の第1端子7の第1接続ケーブル4とは反対側の先端部71は、回路基板6の複数のスルーホールにそれぞれ挿入されて半田付けされている。
【0078】
各第1端子7の加締め部分は、端子挿通部3の貫通孔内に挿入されている。各第1端子7の先端部71は、端子挿通部3の貫通孔に沿ってケース本体2内部に向かって延伸し、図8Bに示すように、端子挿通部3の移動規制面32と、支持体82の複数の挟持面82Dとの間で挟持されている。具体的には、先端部71には、Z軸方向に貫通する貫通孔が設けられており、この貫通孔に各移動規制面32に設けられた凸部が嵌合している。この貫通孔以外の部分で先端部71は移動規制面32及び挟持面82Dに挟持されている。
【0079】
<端子コア>
端子コア8は、ケース本体2内に配置され、第2接続ケーブル5と回路基板6とを電気的に接続するための部材である。また、端子コア8は、ケース本体2内での回路基板6の位置決め機能を有する。
【0080】
端子コア8は、複数の第2端子81と、複数の第2端子81を支持する絶縁性の支持体82とを有する。
複数の第2端子81は、例えば金属から形成される。この金属としては、例えば、黄銅(Cu−Zn系)、リン青銅(Cu−Sn−P系)、ベリリウム銅(Cu−Be系)、コルソン銅(Cu−Ni−Si系)などの銅合金等が採用できる。
【0081】
支持体82は、例えば樹脂から形成される。この樹脂としては、例えばポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの結晶性樹脂等が採用できる。端子コア8は、典型的には、複数の第2端子81をインサートした樹脂成型部品である。
【0082】
(第2端子)
複数の第2端子81は、図9A,9Bに示すように、回路基板6のスルーホールに挿入されて半田付けされる先端部81Aと、第2接続ケーブル5と電気的に接続される帯状部81Bとをそれぞれ有する。複数の第2端子81は、帯状部81Bの長手方向がケース本体2の長手方向と平行となる向きに互いに平行に配置されている。
【0083】
先端部81Aは、帯状部81Bよりも幅が小さく形成され、支持体82から回路基板6に向かってZ軸方向に延伸している。帯状部81Bの先端部81Aとは反対側の端部は、支持体82におけるケース本体2の底面21側の端部からX軸方向に突出しており、支持体82に被覆されずに露出している。
【0084】
(支持体)
支持体82は、板状の本体を有する。支持体82は、本体の一方の面が回路基板6と対向するように、ケース本体2の内面に近接して配置されている。
【0085】
また、支持体82は、図9Aに示すように、X軸方向に延びる溝状のガイド82Aと、回路基板6との位置関係を保持する位置決め部82Bと、端子挿通部3に係止する係止部82Cと、端子挿通部3と共に加締め端子の先端部71を挟持する複数の挟持面82Dとを有する。
【0086】
ガイド82Aは、図9A及び図10Aに示すように、支持体82の本体の回路基板6とは反対側(つまりケース本体2の内面側)のY軸方向の中央に形成されている。ガイド82Aの断面形状は、図8Bに示すように台形状であり、X軸方向に沿って変化しない。また、ガイド82Aは、支持体82のX軸方向の一端から他端まで延伸している。ガイド82Aは、ケース本体2の凸条部22と係合する。
【0087】
位置決め部82Bは、支持体82の本体からZ軸に平行かつ回路基板6に向かって延伸する棒状の1つの突起部82Bで構成される。突起部82Bは、回路基板6の基板貫通孔61に嵌合可能に形成されている。突起部82Bは、支持体82のY軸方向の端部に設けられている。なお、Y軸方向において突起部82Bとは反対側の端部には、突起部82Bと平行に延伸する棒状の補助突起部82Eが配置されている。
【0088】
図11に示すように、ケース本体2の中心軸方向における回路基板6の長さをLとしたとき、突起部82Bは、回路基板6の端子挿通部3側の端部からL/3以上離間した位置で回路基板6に位置決めする(つまり、係合させる)とよい。つまり、回路基板6の端子挿通部3側の端部から突起部82Bまでの長さLと平行な向きの距離L1は、L/3以上が好ましい。こうすることで、回路基板6のケース本体2内での位置ずれを効果的に防止することができる。
【0089】
係止部82Cは、端子挿通部3の1対の突起板33にそれぞれ係合する1対の爪83と、1対のストッパ84とから構成される。
1対の爪83は、それぞれ支持体82の本体のY軸方向における両端部からZ軸と平行に回路基板6に向かって延伸しており、先端はY軸方向内側に屈曲している。1対の爪83は、図8Bに示すように、その先端を1対の突起板33にY軸方向外側から係止することで、端子挿通部3をY軸方向両側から抱えるようにして端子コア8を端子挿通部3に固定する。
【0090】
1対のストッパ84は、本体のY軸方向の両端部において、1対の爪83に隣接して設けられている。1対のストッパ84は、Z軸と平行に回路基板6に向かって延伸する突起であり、1対の爪83よりもY軸方向の厚みが大きい。1対のストッパ84が1対の突起板33のZ軸方向の凹部に係合することによって、端子コア8のX軸方向の移動が規制される。
【0091】
複数の挟持面82Dは、支持体82の本体の端子挿通部3側に設けられている。具体的には、支持体82の回路基板6側に、Z軸方向の位置が異なる複数の挟持面82Dが互い違いに形成されている。複数の挟持面82Dは、複数の第1端子7の先端部71を対向する移動規制面32との間にそれぞれ挟持する。
【0092】
<製造方法>
ここで、回路接続装置1の製造方法、つまり組み立て方法について説明する。
回路接続装置1の製造方法は、端子挿通部3に端子コア8を取り付ける第1工程、端子挿通部3に取り付けた端子コア8に回路基板6を装着する第2工程、回路基板6を装着した端子コア8をケース本体2内に挿入する第3工程とを備える。
【0093】
(第1工程)
本工程では、まず、複数の第1接続ケーブル4と接続した複数の第1端子7を端子挿通部3に挿通し、複数の第1端子7の先端部71をZ軸方向に屈曲させる。
【0094】
次に、図10A及び図10Bに示すように、端子挿通部3の1対の突起板33に対し、端子コア8をZ軸方向に重ね合わせ、1対の爪83を1対の突起板33に係止する。このとき各第1端子7において、先端部71の貫通孔が端子挿通部3の移動規制面32の凸部と嵌合する。これにより、複数の第1端子7のX軸方向の位置が固定される。
【0095】
(第2工程)
本工程では、図11に示すように、端子コア8の突起部82Bが基板貫通孔61に嵌合するように、回路基板6を端子コア8にZ軸方向に重ね合わせて装着する。
【0096】
このとき、複数の第1端子7の先端部71及び複数の第2端子81の先端部81Aは、回路基板6の複数のスルーホールにそれぞれ挿通される。これらの端子は、半田付けにより、回路基板6に電気的に接続される。
【0097】
(第3工程)
本工程では、図11に示す端子挿通部3、端子コア8、及び回路基板6を含む回路部品を、ケース本体2内に挿入する。具体的には、回路基板6の端子挿通部3とは反対側の先端をケース本体2の開口に挿入し、そのままケース本体2の長手方向(X軸)に沿ってスライドさせる。
【0098】
このとき、端子コア8のガイド82Aがケース本体2の凸条部22と係合した状態で、上記回路部品はX軸に平行に移動する。なお、上記回路部品をケース本体2内に挿入する前に、ケース本体2へは底面21に形成された複数の貫通孔に対して第2接続ケーブル5の一部を、それぞれセットしておく。詳細には、第2接続ケーブル5の先端(つまり芯線部分)に接続された加締め端子(図示せず)が、底面21に形成された貫通孔の所定位置に配置されるように、第2接続ケーブル5を各貫通孔に対してセットしておく。
【0099】
図8に示すように、端子挿通部3の底面にケース本体2の開口端が当接する位置まで端子挿通部3を挿入すると、ケース本体2の複数の嵌合爪23が複数の嵌合孔31にそれぞれ嵌合し、端子挿通部3とケース本体2とが固定される。また、端子挿通部3とケース本体2とが固定されることによって、端子コア8の複数の第2端子81の帯状部81Bが、第2接続ケーブル5の先端に接続された加締め端子(図示せず)の帯状部用固定部に対して係合され、複数の第2端子81と複数の第2接続ケーブル5とが電気的に接続される。
【0100】
端子挿通部3とケース本体2とが固定された状態において、端子コア8は、係止部82Cと1対の突起板33との係止によって端子挿通部3に対する移動が規制されている。また、回路基板6は、突起部82Bによって端子コア8に対し位置が保持されている。これらの構造によって、ケース本体2内において回路基板6は定められた位置に保持される。このようにして、回路接続装置1が得られる。
【0101】
なお、ケース本体2の外面には、焼き付け防止剤が塗布される。また、ケース本体2の取付部24には、他の部材への固定用の金具(例えばネジ止め用のブラケット)が取り付けられる。
【0102】
[2−2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)1対の爪83によって端子コア8を端子挿通部3に係止した上で、突起部82Bによって端子コア8と回路基板6との相対位置をケース本体2への挿入前に予め決めることができる。そのため、端子コア8及び回路基板6を端子挿通部3と共にケース本体2内に挿入し、端子挿通部3をケース本体2に嵌合することで、端子コア8と回路基板6とを企図した位置で保持することができる。
【0103】
(2b)端子コア8は、ケース本体2の凸条部22と係合するガイド82Aを有するので、ケース本体2内が長い場合(つまり、回路基板6が長い場合)でも端子コア8及び回路基板6をケース本体2内に円滑に挿入することができる。そのため、ケース本体2内での回路基板6と端子コア8との位置決めが容易に行える。また、挿入時に回路基板6がケース本体2の内面に衝突し、破損することを防止できる。
【0104】
(2c)端子コア8と回路基板6との位置決めは、突起部82Bの基板貫通孔61への嵌合という比較的簡潔な構成でなされる。そのため、部品コストを抑制しつつ、端子コア8と回路基板6との位置決めの作業性を高めることができる。
【0105】
(2d)係止部82Cが1対の爪83を含むので、端子コア8を端子挿通部3に容易かつ確実に固定することができる。
(2e)複数の第1接続ケーブル4の先端に加締め端子を接続しているので、複数の第1接続ケーブル4をセンサに接続した際に送受信される微小電流に対するエラーが低減できる。つまり、複数の第1接続ケーブル4と回路基板6とが接点接合であると、振動負荷などの環境負荷によって端子接点部の接触抵抗が変化するが、加締め端子を用いることで、接触抵抗の変化が抑制できる。
【0106】
(2f)端子コア8の支持体82と端子挿通部3とによって、複数の加締め端子の先端部71のX軸方向の移動を規制するリテーナ機構が構成されている。そのため、複数の第1接続ケーブル4からの加締め端子の脱落が防止できる。
【0107】
(2g)ケース本体2の中心軸と垂直な断面におけるケース本体2の内部空間の面積は、ケース本体2の開口から開口とは反対側に向かうに連れて小さくなっている。そのため、回路基板6の挿入が容易にできる。また、端子コア8及び回路基板6のケース本体2の長手方向の位置決め精度が高められる。
【0108】
[3.第3実施形態]
[3−1.構成]
図12に示す電子機器装置100は、回路接続装置1と、複数の第1端子7に第1接続ケーブル4を介して電気的に接続された電子機器101とを備える。
【0109】
電子機器101としては、ヒーター、物理量又は化学量を検出するセンサ等が挙げられる。センサとしては、例えば排ガス中の酸素濃度を検出するガスセンサや被測定流体の温度を検出する温度センサが挙げられる。
【0110】
なお、回路接続装置1の複数の第2端子81は、複数の第2接続ケーブル5を介して、例えば車両の制御を行う電子制御装置(図示せず)等に接続される。
[3−2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0111】
(3a)回路基板6の位置決めの容易性に起因して、電子機器101と回路基板6との接続信頼性を高めることができる。
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0112】
(4a)上記実施形態の回路接続装置201において、図3Bに示すように、第2支持体209に凸条部209Eを設け、ケース本体202にこの凸条部209Eと係合する凹部202Cを設けてもよい。また、凸条部202B,209Eの替わりに1又は複数のピン状の突起を用い、X軸方向に延伸する溝と組み合わせることで、端子コアをケース本体202の軸方向に案内するガイドを構成してもよい。また、ガイドを構成する溝は、X軸方向に分割されていてもよい。
【0113】
(4b)上記実施形態の回路接続装置1において、回路基板6は2以上の基板貫通孔を有し、支持体82の位置決め部82Bは、回路基板6の2以上の基板貫通孔に嵌合される2以上の突起部を含んでいてもよい。また、位置決め部82Bは、例えば回路基板6を把持するクリップ構造など、突起部以外の位置決め構造を含んでもよい。
【0114】
(4c)上記実施形態の回路接続装置1において、支持体82の係止部82Cは、必ずしも1対の爪83を含まなくてもよい。支持体82の係止部82Cは、端子挿通部3の一部に係止できればよいので、爪以外の係止構造を採用してもよい。
【0115】
(4d)上記実施形態の回路接続装置1において、第1端子7は必ずしも加締め端子である必要はなく、他の端子を使用してもよい。ただし、上述のように、センサ信号を扱う場合は加締め端子を用いることが好ましい。
【0116】
(4e)上記実施形態の回路接続装置1において、必ずしも第1端子7の先端部71のX軸方向への移動を規制する必要はない。第1端子7の先端部71は、端子挿通部3等に挟持されないフリーな状態で回路基板6に接続されていてもよい。
【0117】
(4f)上記実施形態の回路接続装置1において、ケース本体2の中心軸と垂直な断面におけるケース本体2の内部空間の面積は、必ずしもケース本体2の開口から開口とは反対側に向かうに連れて小さくなっている必要はなく、一定でもよい。また、回路基板6のY軸方向の幅についても、必ずしもケース本体2の底面21側に向かうに連れて小さくなっている必要はない。
【0118】
(4g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12