特許第6523786号(P6523786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523786
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】高架構造物及びその構築方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/06 20060101AFI20190527BHJP
   E02B 17/00 20060101ALI20190527BHJP
   E01C 1/00 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   E02B3/06
   E02B17/00 Z
   E01C1/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-102843(P2015-102843)
(22)【出願日】2015年5月20日
(65)【公開番号】特開2016-217000(P2016-217000A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141521
【氏名又は名称】株式会社技研製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】北村 精男
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−218342(JP,A)
【文献】 特開平07−189347(JP,A)
【文献】 特開2003−293462(JP,A)
【文献】 特表平06−507960(JP,A)
【文献】 特開昭52−105609(JP,A)
【文献】 特開昭62−185918(JP,A)
【文献】 特開2003−119780(JP,A)
【文献】 特開平02−038623(JP,A)
【文献】 特開2011−117274(JP,A)
【文献】 特開2000−257006(JP,A)
【文献】 特開2014−005652(JP,A)
【文献】 米国特許第04050257(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04− 3/14
E01C 1/00−17/00
E01D 1/00−24/00
E04B 1/38− 1/61
E02B 17/00−17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭頭に載って当該杭頭に結合される杭頭ブロックと、
隣り合う2つの杭頭に結合された前記杭頭ブロックの間に渡して架設される梁ブロックと、を備え、
前記杭頭ブロックと前記梁ブロックとは、前記杭頭ブロックに対して前記梁ブロックを下方に相対移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合する高架構造物。
【請求項2】
1つの前記杭頭ブロックは、1つの前記梁ブロックを結合するための嵌合部を、杭の中心軸周りに分散配置するように複数有する請求項1に記載の高架構造物。
【請求項3】
1つの前記杭頭ブロックは、1つの前記梁ブロックを結合するための嵌合部を、杭の中心軸周りの四方に配置するように4つ有する請求項1に記載の高架構造物。
【請求項4】
前記杭頭ブロックと前記梁ブロックとのオスメス嵌合は、テーパー嵌合である請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の高架構造物。
【請求項5】
前記梁ブロックは、1梁間に2つが直列に連結され、
当該1梁間における前記梁ブロックの先端部同士は、上下方向に相対移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合する請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の高架構造物。
【請求項6】
杭頭に載って当該杭頭に結合される杭頭ブロックと、
隣り合う2つの杭頭に結合された前記杭頭ブロックの間に渡して架設される梁ブロックと、を備え、
前記杭頭ブロックと前記梁ブロックとは一体に形成されたユニットとされ、
前記杭頭ブロックと前記杭頭とは、前記杭頭に対して前記杭頭ブロックを下方に相対移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合され、
前記梁ブロックは、隣り合うユニットとユニットが接続する位置の1梁間に2つが直列に連結され、
当該1梁間における前記梁ブロックの先端部同士は、上下方向に相対移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合する高架構造物。
【請求項7】
前記梁ブロック同士のオスメス嵌合は、テーパー嵌合である請求項5又は請求項6に記載の高架構造物。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の高架構造物の構築方法であって、
圧入機により杭を地盤に圧入し、前記梁ブロックが結合した前記杭頭ブロックをクレーンで吊るして当該杭の上方に運び、当該杭頭ブロックを下降させて当該杭の杭頭に結合する高架構造物の構築方法。
【請求項9】
請求項5又は請求項6に記載の高架構造物の構築方法であって、
圧入機により杭を地盤に圧入し、前記梁ブロックが結合した前記杭頭ブロックをクレーンで吊るして当該杭の上方に運び、当該杭頭ブロックを下降させて当該杭の杭頭に結合する際に、下降する当該梁ブロックの先端部を、先に施工した梁ブロックの先端部に嵌合させ結合させる高架構造物の構築方法。
【請求項10】
前記クレーンと前記圧入機とを備えた作業車両が使用され、当該作業車両は、その走行手段から水平方向に張り出しているフレーム部と、前記フレーム部の先端側に据え付けられた昇降機構によって昇降されるチャック装置とを備え、前記作業車両の走行面を当該高架構造物の構築方法による高架構造物上に確保し、前記作業車両の重量を反力として利用し、前記杭を前記チャック装置で把持して、前記走行面の外方領域の下方に位置する地盤に圧入する請求項8又は請求項9に記載の高架構造物の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高架構造物及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に打ち込んだ杭を脚柱として、この上に床版等で上部構造を設けた構造の、例えば桟橋や横桟橋のような高架構造物が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
特許文献1には、工場または現場近くの地上で製作した、基礎杭より大きな直径を有する同心円状に配置された接合鉄筋と、接合鉄筋の配筋径よりも大きな内径を有し鉄筋を覆う様に配置された外鋼管からなる多数の接合部材を予め取り付けたプレキャストコンクリート製梁部材を、前記接合鉄筋と外鋼管が基礎杭の杭頭部を覆う様に設置したのち、基礎杭と外鋼管の間隙にコンクリートやモルタル等の充填材を充填することによって固定して接合部を構成し、その後、上部に床版や表層コンクリート等を設置する高架構造物及びその構築方法が記載されている。
特許文献2には、鋼管杭を覆う鋼管の脚を斜材や水平材で結合した立体鋼管トラス構造体であるジャケット構造体を工場製作し、これを海底に設置した鋼管杭と結合固定して構築する高架構造物及びその構築方法が記載されている。
特許文献3には、鋼管杭の杭頭に嵌合するソケット部材に鋼製梁をボルト結合して上部構造を構築する高架構造物及びその構築方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−248526号公報
【特許文献2】特開2005−133485号公報
【特許文献3】特開2000−257006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、プレキャストコンクリート製部材を使用しているものの、接合にあたってコンクリートやモルタル等の充填材を充填する必要があるため、工期が長くなったり、作業性に劣ったりといった問題がある。
特許文献2に記載のジャケット構造体は、鋼管トラス構造によって剛性が高まり、また、上部構造の荷重をトラス骨組で効果的に基礎杭に伝達することができるが、大がかりな構造体であるため、建設ポイントまで台船で曳航したり、起重機船などを使用して設置するなど、運搬性に劣る。
特許文献3に記載の技術は、運搬性はあるが、ソケット部材に鋼製梁をボルト結合する作業が必要であるため、作業性に劣るとともに、高所での人による作業となるため安全性に劣る。
【0005】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、上部構造構材の運搬性及び結合作業性が良好で構築作業を容易にし、構築工期の短縮を可能にする高架構造物及びその構築方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、杭頭に載って当該杭頭に結合される杭頭ブロックと、
隣り合う2つの杭頭に結合された前記杭頭ブロックの間に渡して架設される梁ブロックと、を備え、
前記杭頭ブロックと前記梁ブロックとは、前記杭頭ブロックに対して前記梁ブロックを下方に相対移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合する高架構造物である。
【0007】
請求項2記載の発明は、1つの前記杭頭ブロックは、1つの前記梁ブロックを結合するための嵌合部を、杭の中心軸周りに分散配置するように複数有する請求項1に記載の高架構造物である。
【0008】
請求項3記載の発明は、1つの前記杭頭ブロックは、1つの前記梁ブロックを結合するための嵌合部を、杭の中心軸周りの四方に配置するように4つ有する請求項1に記載の高架構造物である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記杭頭ブロックと前記梁ブロックとのオスメス嵌合は、テーパー嵌合である請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の高架構造物である。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記梁ブロックは、1梁間に2つが直列に連結され、
当該1梁間における前記梁ブロックの先端部同士は、上下方向に相対移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合する請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の高架構造物である。
【0011】
請求項6記載の発明は、杭頭に載って当該杭頭に結合される杭頭ブロックと、
隣り合う2つの杭頭に結合された前記杭頭ブロックの間に渡して架設される梁ブロックと、を備え、
前記杭頭ブロックと前記梁ブロックとは一体に形成されたユニットとされ、
前記杭頭ブロックと前記杭頭とは、前記杭頭に対して前記杭頭ブロックを下方に相対移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合され、
前記梁ブロックは、隣り合うユニットとユニットが接続する位置の1梁間に2つが直列に連結され、
当該1梁間における前記梁ブロックの先端部同士は、上下方向に相対移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合する高架構造物である。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記梁ブロック同士のオスメス嵌合は、テーパー嵌合である請求項5又は請求項6に記載の高架構造物である。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の高架構造物の構築方法であって、
圧入機により杭を地盤に圧入し、前記梁ブロックが結合した前記杭頭ブロックをクレーンで吊るして当該杭の上方に運び、当該杭頭ブロックを下降させて当該杭の杭頭に結合する高架構造物の構築方法である。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の高架構造物の構築方法であって、
圧入機により杭を地盤に圧入し、前記梁ブロックが結合した前記杭頭ブロックをクレーンで吊るして当該杭の上方に運び、当該杭頭ブロックを下降させて当該杭の杭頭に結合する際に、下降する当該梁ブロックの先端部を、先に施工した梁ブロックの先端部に嵌合させ結合させる高架構造物の構築方法である。
【0015】
請求項10記載の発明は、前記クレーンと前記圧入機とを備えた作業車両が使用され、当該作業車両は、その走行手段から水平方向に張り出しているフレーム部と、前記フレーム部の先端側に据え付けられた昇降機構によって昇降されるチャック装置とを備え、前記作業車両の走行面を当該高架構造物の構築方法による高架構造物上に確保し、前記作業車両の重量を反力として利用し、前記杭を前記チャック装置で把持して、前記走行手段による走行面の外方領域の下方に位置する地盤に圧入する請求項8又は請求項9に記載の高架構造物の構築方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高架構造物の上部構造構材は、ブロック同士を上下方向に相対移動させることでブロック同士が水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合するので、運搬性及び結合作業性が良好で構築作業を容易にし、構築工期を短縮するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る高架構造物の構築風景を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る高架構造物の鋼管杭、杭頭ブロック、梁ブロックを構築される配置で示した斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る鋼管杭と、その杭頭に結合される杭頭ブロックと、その杭頭ブロックに結合される梁ブロックを示す分解状態斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る鋼管杭と、その杭頭に結合される杭頭ブロックを示す分解状態側面図(a)及び結合状態側面図(b)であり、杭頭ブロックの下端部がメス型である構成を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る鋼管杭と、その杭頭に結合される杭頭ブロックを示す分解状態側面図(a)及び結合状態側面図(b)であり、杭頭ブロックの下端部がオス型である構成を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る隣り合う杭頭ブロックと、その間に連結される2つの梁ブロックとを示す平面図(a)、梁ブロックのA−A断面図(b)、杭頭ブロックのA−A断面図(c) 、第1種の梁ブロック(先端オス型)のB−B断面図(d)、及び第2種の梁ブロック(先端メス型)のB−B断面図(e)である。
図7】本発明の一実施形態に係る鋼管杭の笠状部材が設けられた部位を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0019】
図1に一実施形態の構築方法による高架構造物の構築風景を示す。図2には、高架構造物の基本要素である鋼管杭P(P11−P13、P21,22,P31,P32)、杭頭ブロックH、梁ブロックMを構築される配置で示す。図3に、1本の鋼管杭Pと、その杭頭に結合される杭頭ブロックHと、その杭頭ブロックに結合される梁ブロックM(M‐m,M‐f)を示す。
【0020】
杭頭ブロックHは、鋼管杭Pの杭頭に載って当該杭頭に結合される。図4図5に示すように杭頭ブロックHは、鋼管杭Pの杭頭に対して下方に移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合する。具体的には、図4に示すように杭頭ブロックHに下方に開口する凹部H11が設けられ、凹部H11が鋼管杭Pの杭頭に外嵌めされるオスメス嵌合により結合する。又は、図5に示すように杭頭ブロックHに下方に突出する凸部H12が設けられ、凸部H12が鋼管杭Pの杭頭に内嵌めされるオスメス嵌合により結合する。凹部H11、凸部H12の周面には、杭頭ブロックHの中心軸を鋼管杭Pの中心軸に案内するためのテーパーが付けられている。
【0021】
図3に示すように本実施形態においては、1つの杭頭ブロックHに対し4つの梁ブロックMを結合可能である。杭頭ブロックHの外周部には、梁ブロックMの基端部を結合するための嵌合部H2が形成されている。図3に示すように1つの杭頭ブロックHは、1つの梁ブロックMを結合するための嵌合部H2を、杭の中心軸周りに分散配置するように複数有する。本実施形態では、1つの杭頭ブロックHは、1つの梁ブロックMを結合するための嵌合部H2を、杭の中心軸周りの四方に配置するように4つ有する。
【0022】
嵌合部H2は、オス型で、杭頭ブロックHの外周部に径方向外方に突出形成され、これに嵌合するメス型の嵌合部M2が梁ブロックMの基端部に形成されている。
図1図2及び図6(a)に示すように梁ブロックMは、隣り合う2つの杭頭に結合された杭頭ブロックH,Hの間に渡して架設される。本実施形態では、1梁間に2つが直列に連結される。1梁間における梁ブロックM,Mの先端部同士も、オスメス嵌合である。第1種(メス‐オス型)の梁ブロックM‐mの先端部にオス型の嵌合部M1が形成されている。第2種(メス‐メス型)の梁ブロックM‐fの先端部には、メス型の嵌合部M3が形成されている。
【0023】
図6(b)(c)に杭頭ブロックHと梁ブロックMとのオスメス嵌合部を示すA−A断面図を示す。図6(c)に示すように杭頭ブロックHの嵌合部H2は、上位置ほど幅が狭くなるようにテーパーが付けられている。図6(b)に示すようにこれに対応したテーパーが梁ブロックMの嵌合部M2に付けられている。したがって、杭頭ブロックHと梁ブロックMとは、杭頭ブロックHに対して梁ブロックMを下方に相対移動することで互いに嵌合し、その嵌合がテーパー嵌合であるため、精度よく強固に結合する。
また、図2図3及び図6(a)に示すように、嵌合部H2は外端ほど幅が広く形成され、これに対応して嵌合部M2は奥ほど幅が広く形成されている。したがって、杭頭ブロックHと梁ブロックMとは、杭頭ブロックHに対して梁ブロックMを下方に相対移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合する。
【0024】
図6(d)(e)に第1種の梁ブロックM‐mと第2種の梁ブロックM‐fとのオスメス嵌合部を示すB−B断面図を示す。図6(d)に示すように第1種の梁ブロックM‐mの嵌合部M1は、上位置ほど幅が広くなるようにテーパーが付けられている。図6(e)に示すようにこれに対応したテーパーが第2種の梁ブロックM‐fの嵌合部M3に付けられている。したがって、1梁間における第1種の梁ブロックM‐mと第2種の梁ブロックM‐fの先端部同士は、上下方向に相対移動することで互いに嵌合し、その嵌合がテーパー嵌合であるため、精度よく強固に結合する。
また、図2図3及び図6(a)に示すように、嵌合部M1は外端ほど幅が広く形成され、これに対応して嵌合部M3は奥ほど幅が広く形成されている。したがって、1梁間における第1種の梁ブロックM‐mと第2種の梁ブロックM‐fの先端部同士は、上下方向に相対移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合する。本実施形態では、第2種の梁ブロックM‐fを下受け側として構成しているため、第2種の梁ブロックM‐fに対して第1種の梁ブロックM‐mを下方に相対移動することでこの両者が互いに嵌合する。
【0025】
本実施形態においては、図1図2に示すように、鋼管杭Pの支持力補強構造として笠状部材Kを適用する。図7に詳細を示した。
笠状部材Kは、笠本体部Kbの上部に固定装置Kaが構成されたもので、中央の開口に鋼管杭Pが挿入される態様で配置され、固定装置Kaによって鋼管杭Pに固定されるとともに、笠本体部Kbは鋼管杭Pの周りに笠状に開いた構造を形成する。図1に示すように、鋼管杭Pに固定された笠状部材Kの少なくとも下端部が地盤表層に押し込まれることで笠状部材Kにより地盤表層を押し固めて圧密し、笠状部材Kとその圧密された地盤表層とが接続され、これにより鋼管杭Pに対する縦荷重、横荷重に対し高い支持力が発揮される。
図7に示すように、笠状部材Kは、周方向に複数に分割されたパーツを連結した構造である。図7には笠状部材Kが周方向に3分割された構造を、図1,2には笠状部材Kが周方向に2分割された構造を例として描いたが、分割数は任意である。分割されたパーツは互いにボルト等の締結具で締結され、笠状部材Kの上端部には円筒状の固定用カラーK1が構成される。固定用カラーK1の分割縁部K3,K3は、径方向外方に張り出すように形成されており、互いに面と面が対向配置され、そこに取り付けられたシリンダ装置K2によって締め付けられたり解放されたりすることが可能とされている。なお、分割縁部K3,K3は笠本体部Kbまで連続しており、そこにボルト等の締結具が設定される。シリンダ装置K2は、各分割部に設けられており、上方から延設された圧油配管K4が分配器K5で分配され接続されており、遠隔操作が可能とされている。シリンダ装置K2によって締め付けることによって、固定用カラーK1の内径が縮径変形し、鋼管杭Pの外周面を締め付けて笠状部材Kと鋼管杭Pとが固定される。シリンダ装置K2を解放することで、笠状部材Kを鋼管杭Pに対して上下動可能にできる。
杭頭ブロックHを鋼管杭Pに固定するために、以上の固定用カラーK1とシリンダ装置K2を備えた固定装置Kaを適用してもよい。例えば、固定装置Ka(笠状部材Kから笠本体部Kbを排したもの)を、杭頭ブロックHの下端に連結して設ける構成を実施できる。この場合、固定装置Kaが鋼管杭Pに固定されれば、固定装置Kaに連結された杭頭ブロックHも上下動しないように固定される。他の構成例としては、杭頭ブロックHを笠状部材Kと同様に周方向に複数に分割した構成として、杭頭ブロックHの下端部に固定装置Kaと同様の固定装置を構成することである。
以上、笠状部材Kの全体が周方向に複数に分割された構成を説明したが、笠本体部を周方向に分割せず一体に形成し、これを固定装置Kaに連結した構成を実施することもできる。
固定装置Kaと、周方向に分割されず一体に形成した笠本体部又は杭頭ブロックHとの連結は、固定装置Kaの固定用カラーK1の縮径拡径変形を拘束しない形態とすることが好ましい。そのための構造として次の構造を提示することができる。すなわち、笠本体部であれば上端部から上方に突出する突起部を設け、杭頭ブロックHであれば下端部から下方に突出する突起部を設け、かかる突起部及び分割縁部K3,K3にシリンダ装置K2のピストンロッドを挿通する孔を設け、かかる突起部を分割縁部K3,K3の間に挟み、分割縁部K3,K3とともにシリンダ装置K2のピストンロッドを挿通して連結する構造である。
【0026】
次に、高架構造物の構築方法につき説明する。
本工法に使用される作業車両Eは、クレーンE5と圧入機とを備えた複合作業車両である。圧入機は、走行手段E1を含むベースマシン(作業機械を含まない車両部)E0にフレーム部E2を介して支持されて構成される。作業車両Eは、走行手段E1から水平方向に張り出したフレーム部E2を有する。フレーム部E2は長尺な部材で走行手段E1から水平方向に離れるように長く延び出している。フレーム部E2の基端部が走行手段E1のシャーシ部に一体的に連結されている。フレーム部E2の先端側には、昇降されるチャック装置E3が据え付けられている。チャック装置E3は、鋼管杭Pを把持する機能、さらに把持した鋼管杭Pを回転させる機能を有する。さらに詳しくは、チャック装置E3は、昇降機構を介してマストE4に支持されており、マストE4は、前後方向へのスライド移動を可能にするスライドベースを介してフレーム部E2に支持されている。作業車両Eは、クレーンE5及びオペレーション室E6を含む上部を、下部の走行手段E1に対して旋回させる機能を有する。
【0027】
高架構造物を構成する資材は、運搬車両Fによって施工現場に運搬される。
作業手順としては、まず、作業車両Eのチャック装置E3により鋼管杭Pを把持し、鋼管杭Pを地盤に回転圧入する。作業車両Eの重量を、鋼管杭Pの圧入時の反力として利用し、鋼管杭Pをチャック装置E3で把持して走行手段E1による走行面の外方領域の下方に位置する地盤に回転圧入する。図1に示す場面では、既設の本高架構造物の杭頭ブロックH及び梁ブロックMの上に架け渡され、敷設された床版部材Gの上面が走行面を構成する。本高架構造物の施工開始時には、他の構造によって走行面が確保される。
【0028】
鋼管杭Pの上端を規定レベルまで打ち下げたら、一旦チャック装置E3を退避させ、鋼管杭Pが笠状部材Kに挿入される態様で笠状部材KをクレーンE5で地表面まで降ろし、笠状部材Kの埋入深さ相当分だけ鋼管杭Pを引き抜いたところで固定装置Kaを締めて笠状部材Kを鋼管杭Pに固定し、再び鋼管杭Pの上端を規定レベルまで回転圧入により打ち下げることで同時に笠状部材Kを回転圧入して笠状部材Kの少なくとも下端部を地盤表層に押し込む。
以上のようにして笠状部材K及び鋼管杭Pの圧入は完了し、チャック装置E3を退避させる。
次に、必要な梁ブロックMが結合した杭頭ブロックHをクレーンE5で吊るして鋼管杭Pの上方に運び、杭頭ブロックHを下降させて鋼管杭Pの杭頭に結合する。
例えば図2に示される鋼管杭P11−P13、P21,22,P31,P32のうち最先に打ち込まれるものが鋼管杭P11だとする。
鋼管杭P11を打ち込んで、その杭頭に必要な梁ブロックMが結合した杭頭ブロックHを結合する。
その後、図2に示すX方向について鋼管杭P11に隣接する位置に、鋼管杭P12を打ち込む。鋼管杭P12の杭頭に、必要な梁ブロックMが結合した杭頭ブロックHをクレーンE5で吊るして鋼管杭P12の上方に運び、杭頭ブロックHを下降させて鋼管杭P12の杭頭に結合する。その際、下降する梁ブロックM‐mの先端部を、先に鋼管杭P11の杭頭に施工した梁ブロックM‐fの先端部に嵌合させ結合させる。したがって、打ち込まれる杭の間隔距離と、梁ブロックM‐m、梁ブロックM‐fを介して連結される2つの杭頭ブロックH,Hの中心軸間距離とが所定の許容差内で一致するように設計され、施工される。
同様にして、X方向について鋼管杭P12に隣接する位置に、鋼管杭P13を打ち込み、梁ブロックM及び杭頭ブロックHを施工していく。
【0029】
他方、X方向に直交するY方向について鋼管杭P11に隣接する位置に、鋼管杭P21を打ち込む。鋼管杭P21の杭頭に、必要な梁ブロックMが結合した杭頭ブロックHをクレーンE5で吊るして鋼管杭P21の上方に運び、杭頭ブロックHを下降させて鋼管杭P21の杭頭に結合する。その際、下降する梁ブロックM‐mの先端部を、先に鋼管杭P11の杭頭に施工した梁ブロックM‐fの先端部に嵌合させ結合させる。
同様にして、Y方向について鋼管杭P21に隣接する位置に、鋼管杭P31を打ち込み、梁ブロックM及び杭頭ブロックHを施工していく。
鋼管杭P22の杭頭に結合する杭頭ブロックHに結合した2つの梁ブロックM‐m,M‐mは下降しながら、先に鋼管杭P12,P21の杭頭にそれぞれ施工した梁ブロックM‐f,M‐fの先端部に嵌合する。
なお、各々の鋼管杭Pに、上述したように笠状部材Kを適用する。
【0030】
以上のようにして、X方向及びこれに直交するY方向に、鋼管杭P、杭頭ブロックH及び梁ブロックMによる高架構造物を拡張する。
その拡張方法として具体的には、地盤に圧入した鋼管杭Pに施工された杭頭ブロックH及び梁ブロックMに対しては、その上へ床版部材Gを渡して敷設することで作業車両Eの走行面を拡張する走行面拡張工程を実施する。先の走行面拡張工程により拡張した走行面上に作業車両Eを進行させて、当該拡張した走行面の外方領域の下方に位置する地盤に鋼管杭Pを作業車両Eの圧入機により圧入するとともに、当該鋼管杭Pに杭頭ブロックH及び梁ブロックMを施工する高架拡張工程を実施する。
上記の走行面拡張工程と上記の高架拡張工程とを所定回数交互に繰り返すことにより計画領域に高架構造物を構築する。
床版部材Gの上面に舗装Iを施す。
杭頭ブロックHと梁ブロックMとに分かれるため、図1に示すように運搬車両Fに杭頭ブロックH及び梁ブロックMを積載することが容易であるとともに、さらに床版部材Gを積載するスペースを確保することが容易であり、運搬車両Fによって本高架構造物の拡張に必要な杭頭ブロックH、梁ブロックM及び床版部材Gを互いに過不足ない組数で施工現場に供給することができ、効率的である。
【0031】
(変形その他)
以下に、以上の実施形態に対する変形や、本発明の実施に際する補足事項を記載する。
【0032】
上記実施形態においては、杭頭ブロックH、梁ブロックMがそれぞれ分離された状態で施工現場に運搬され、杭頭ブロックHに必要な梁ブロックMをオスメス嵌合により結合する作業を行ってから、互いに結合した杭頭ブロックH及び梁ブロックMをクレーンに吊るす。
可搬寸法に収まる場合には、杭頭ブロックHと梁ブロックMとを一体に形成されたユニットとして工場で製造し、施工現場に運搬してもよい。この場合、杭頭ブロックHと梁ブロックMとは一体に形成されたユニットとされ、梁ブロックMは、隣り合うユニットとユニットが接続する位置の1梁間に2つが直列に連結され、当該1梁間における梁ブロックM,Mの先端部同士は、上下方向に相対移動することで互いに水平方向に離脱不能に嵌合するオスメス嵌合により結合する形態を実施できる。
【0033】
上記実施形態においては、作業効率を考慮して杭頭ブロックHに必要な梁ブロックMをオスメス嵌合により結合する作業を行ってから、互いに結合した杭頭ブロックH及び梁ブロックMをクレーンに吊るしたが、先に杭頭ブロックHをクレーンに吊るして下降させることで杭頭に結合させ、後に、梁ブロックMをクレーンに吊るして下降させることで杭頭ブロックHに結合することもできる。
また、先に梁ブロックMを杭頭ブロックHに結合してから、ともにクレーンに吊るして下降させることで杭頭ブロックHを杭頭に結合させた後に、他の梁ブロックMを追加的に杭頭ブロックHに結合させることもできる。すなわち、他の梁ブロックMをクレーンに吊るして下降させることで、既に杭頭及び先の梁ブロックMに結合した杭頭ブロックHの空嵌合部H2に結合することもできる。上記実施形態においては、1つの杭頭ブロックHに4つまで梁ブロックMを結合可能であるので、先の梁ブロックMが3つまでの場合は、追加して梁ブロックMを杭頭ブロックHに結合させることができる。
【0034】
上記実施形態において四方に連結する杭頭ブロックには、4つの梁ブロックが結合される。計画領域の側縁に配置される杭頭ブロックには3つの梁ブロックを結合することとしてもよいし、4つの梁ブロックを結合することとしてもよい。計画領域の角に配置される杭頭ブロックには2つの梁ブロックを結合することとしてもよいし、3つ又は4つの梁ブロックを結合することとしてもよい。他の梁ブロックに結合しない梁ブロックは、片持ち梁として利用できる。
【0035】
上記実施形態においては、縦横(X方向とY方向)に拡張する場合を説明したが、杭を一列にのみ並ぶように施工してもよい。その場合、拡張方向に梁ブロックが連結されるが、拡張方向に直交する方向に上述した片持ち梁としての梁ブロックを杭頭ブロックに結合してもよい。隣接する片持ち梁間に床版部材を架設することができる。
【0036】
作業車両Eによって鋼管杭Pを圧入する際の反力を増加する方法として、作業車両Eにウエイトを取り付ける方法や、既設の杭頭ブロックHにフックなどの連結具を用いて作業車両Eの浮き上がりを防止するように連結する方法を実施できる。後者の場合、杭頭ブロックHを上述した固定装置Kaを用いて鋼管杭Pに固定することをも実施する。これにより、作業車両Eから鋼管杭Pまでが強固に連結した状態となり、高い反力が得られる。
【0037】
上記実施形態においては、1梁間に2つの梁ブロックが直列に連結されたが、1梁間に1つの梁ブロックを架設してもよい。この場合、両端に嵌合部M2を有する梁ブロックを構成し、隣接する二つの杭頭ブロックH,Hの各嵌合部H2,H2に結合させる作業工程を実施する。先に二つの杭頭ブロックH,Hを杭頭に結合させ、後に、両端に嵌合部M2を有する梁ブロックを下降させることによって行うことができる。
【0038】
上述したオスメス嵌合におけるオス・メスは適宜入れ替えた構造を実施してもよいことはもちろんである。
上記実施形態においては、1つの杭頭ブロックHに4つまで梁ブロックMを結合可能である構成を実施したが、1つの杭頭ブロックHに結合可能な梁ブロックは適宜変更可能である。
上述した杭頭ブロックHなどの杭頭に載って当該杭頭に結合される結合物に関しても、上述した固定装置(Ka)を適用することで、杭頭に結合する高さを調整することができる。すなわち、その上下方向の嵌め合いしろの範囲で高さ調整した後、固定装置で固定することで、杭頭に結合する高さを調整することができる。
【符号の説明】
【0039】
E 作業車両
E1 走行手段
E2 フレーム部
E3 チャック装置
E4 マスト
E5 クレーン
E6 オペレーション室
F 運搬車両
G 床版部材
H 杭頭ブロック
I 舗装
M 梁ブロック
P 鋼管杭
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7