特許第6523904号(P6523904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6523904セラミック無線周波数フィルタ、無線周波数信号をフィルタリングするための方法、および無線周波数装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523904
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】セラミック無線周波数フィルタ、無線周波数信号をフィルタリングするための方法、および無線周波数装置
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/205 20060101AFI20190527BHJP
   H01P 7/04 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   H01P1/205 C
   H01P7/04
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-191158(P2015-191158)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-72983(P2016-72983A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2018年9月26日
(31)【優先権主張番号】62/057,659
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/803,684
(32)【優先日】2015年7月20日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ケネス・ダーリング
【審査官】 岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−008505(JP,A)
【文献】 特開平02−260902(JP,A)
【文献】 特公昭35−011962(JP,B1)
【文献】 実開昭57−125002(JP,U)
【文献】 特開平09−232824(JP,A)
【文献】 特開平04−200102(JP,A)
【文献】 M.Sagawa et al.,Geometrical Structures and Fundamental Characteristics of Microwave Stepped-Impedance Resonators",IEEE Trans.MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES,1997年,Vol.45,No.7,pp.1078-1085
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00−11/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック無線周波数フィルタであって、
プリント基板上に実装される複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器を備え、前記セラミック同軸ステップインピーダンス共振器の各々は、少なくとも一方が金属化されている2つの端と、前記2つの端の間に延びる長さと、前記長さに沿って概して一定の外径と、前記長さの少なくとも一部に沿って延び、内径を規定し、複数のテーパと少なくとも1つの階段ステップを通り、径が異なる第1および第2の端を有するキャビティとを有し、さらに、
RF信号を入力するように構成される入力タブを備え、前記入力タブは、前記複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器のうちの第1の共振器に位置しており、さらに、
フィルタリングされたRF信号を出力するように構成される出力タブを備え、前記出力タブは、前記複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器のうちの前記第1の共振器から最も遠くに位置するセラミック同軸ステップインピーダンス共振器に位置している、セラミック無線周波数フィルタ。
【請求項2】
記少なくとも1つの階段ステップは、複数の階段ステップである、請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの階段ステップは、複数の階段ステップである、請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項4】
前記複数のテーパは、前記第1および第2の端の間の中間部にある、請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項5】
少なくとも1つの前記ステップインピーダンス共振器は、300MHZから7GHZの範囲に収まる共振を有する、請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項6】
前記第1の端のインピーダンスは前記第2の端のインピーダンスよりも低い、請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項7】
前記複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器のうちの少なくとも1つは、直線状の内径を有する共振器のQ値の10%以内のQ値を有する、請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項8】
無線周波数信号をフィルタリングするための方法であって、
プリント基板上に実装される複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器を有するセラミックフィルタに無線周波数信号を入力することを備え、前記セラミック同軸ステップインピーダンス共振器の各々は、少なくとも一方が金属化されている2つの端と、前記2つの端の間に延びる長さと、前記長さに沿って概して一定の外径と、前記長さの少なくとも一部に沿って延び、内径を規定し、複数のテーパと少なくとも1つの階段ステップを通り、径が異なる第1および第2の端を有するキャビティとを有し、さらに、
フィルタリングした前記無線周波数信号を出力することを備える、方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの階段ステップは、複数の階段ステップである、請求項に記載の方法。
【請求項10】
無線周波数装置であって、
セラミックフィルタを形成するプリント基板上に実装される複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器を備え、前記セラミック同軸ステップインピーダンス共振器の各々は、少なくとも一方が金属化されている2つの端と、前記2つの端の間に延びる長さと、前記長さに沿って概して一定の外径と、前記長さの少なくとも一部に沿って延び、内径を規定し、複数のテーパと少なくとも1つの階段ステップを通り、径が異なる第1および第2の端を有するキャビティとを有し、さらに、
RF信号を入力するように構成される入力タブを備え、前記入力タブは、前記複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器のうちの第1の共振器に位置しており、さらに、
フィルタリングされたRF信号を出力するように構成される出力タブを備え、前記出力タブは、前記複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器のうちの前記第1の共振器から最も遠くに位置するセラミック同軸ステップインピーダンス共振器に位置している、無線周波数装置。
【請求項11】
記少なくとも1つの階段ステップは、複数の階段ステップである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの階段ステップは、前記第1および第2の端から概して等距離にある単一の階段特徴である、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの階段ステップは、前記第1および第2の端の間の複数の階段特徴である、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記複数のテーパは、前記第1および第2の端の間の中間部にある、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器の少なくとも1つは、300MHZから7GHZの範囲に収まる共振周波数を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の端のインピーダンスは前記第2の端のインピーダンスよりも低い、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器のうちの少なくとも1つは、直線状の内径を有する共振器のQ値の10%以内のQ値を有する、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
引用による優先権出願の援用
本願は、「ステップインピーダンス共振器フィルタおよびその使用(STEPPED IMPEDANCE RESONATOR FILTERS AND THEIR USES)」と題された、2014年9月30日に出願された米国仮出願番号第62/057,659号の利益を主張し、その全体が引用により本明細書に援用される。
【0002】
背景
分野
開示の実施形態は概して、無線周波数成分用のセラミック共振器フィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
従来のセラミックフィルタ用共振器は、材料中に用いられる誘電率によって決まる長さを有する。ゆえに、従来の共振器フィルタは、サイズが増大するという犠牲を払わなければ適切な電気的応答を達成することができず、これは貴重なプリント基板(PCB)空間を消費し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本明細書においては、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器を含む無線周波数フィルタであって、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器は、概して一定の外径と、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器の長さを通って内径を規定するキャビティとを有し、内径は第1の端および第2の端を有し、第1および第2の端は異なる径を有し、第1の端は第2の端よりも大きい無線周波数フィルタの実施形態が開示される。
【0005】
ある実施形態では、内径は、第1の端から第2の端に向かってテーパ状であってもよい。ある実施形態では、内径はテーパ状でない。
【0006】
ある実施形態では、内径は、第1および第2の端の間に概して階段状の外形を有してもよい。ある実施形態では、階段状の外形は、第1および第2の端から概して等距離にある単一の階段特徴を含んでもよい。ある実施形態では、階段状の外形は、第1および第2の端の間に複数の階段特徴を含んでもよい。ある実施形態では、内径は、第1および第2の端の間の中間部においてテーパ状であってもよい。
【0007】
ある実施形態では、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器は、300MHZから7GHZの範囲に収まる共振を有してもよい。ある実施形態では、第1の端のインピーダンスは第2の端のインピーダンスよりも低くてもよい。ある実施形態では、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器のQ値は、直線状の内径を有する共振器のQ値の10%以内であってもよい。
【0008】
ある実施形態では、フィルタは、複数のステップインピーダンス共振器をさらに含んでもよい。
【0009】
また、本明細書においては、無線周波数信号をフィルタリングするための方法であって、ステップインピーダンス共振器に無線周波数信号を入力することを含み、ステップインピーダンス共振器は、外径と、ステップインピーダンス共振器の長さにわたって内径を形成するキャビティとを有し、内径は第1の端および第2の端を有し、第1および第2の端は異なる径を有し、第1の端は第2の端よりも大きく、さらに、フィルタリングした無線周波数信号を出力することを含む方法が開示される。
【0010】
また、本明細書においては、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器を含む無線周波数装置であって、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器は、概して一定の外径と、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器の長さを通って内径を規定するキャビティとを有し、内径は第1の端および第2の端を有し、第1および第2の端は異なる径を有し、第1の端は第2の端よりも大きい無線周波数装置が開示される。
【0011】
ある実施形態では、内径は、第1の端から第2の端に向かってテーパ状であってもよい。ある実施形態では、内径はテーパ状でない。
【0012】
ある実施形態では、内径は、第1および第2の端の間に概して階段状の外形を有してもよい。ある実施形態では、階段状の外形は、第1および第2の端から概して等距離にある単一の階段特徴を含んでもよい。ある実施形態では、階段状の外形は、第1および第2の端の間に複数の階段特徴を含んでもよい。ある実施形態では、内径は、第1および第2の端の間の中間部においてテーパ状であってもよい。
【0013】
ある実施形態では、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器は、300MHZから7GHZの範囲に収まる共振を有してもよい。ある実施形態では、第1の端のインピーダンスは第2の端のインピーダンスよりも低くてもよい。ある実施形態では、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器のQ値は、直線状の内径を有する共振器のQ値の10%以内であってもよい。
【0014】
ある実施形態では、装置は、複数のステップインピーダンス共振器をさらに含んでもよい。
【0015】
また、本明細書においては、セラミック無線周波数フィルタであって、プリント基板上に実装される複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器を含み、セラミック同軸ステップインピーダンス共振器の各々は、少なくとも一方が金属化されている2つの端と、2つの端の間に延びる長さと、長さに沿って概して一定の外径と、長さの少なくとも一部に沿って延び、内径を規定し、径が異なる第1および第2の端を有するキャビティとを有し、さらに、RF信号を入力するように構成される入力タブを含み、入力タブは、複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器のうちの第1の共振器に位置しており、さらに、フィルタリングされたRF信号を出力するように構成される出力タブを含み、出力タブは、複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器のうちの第1の共振器から最も遠くに位置するセラミック同軸ステップインピーダンス共振器に位置しており、さらに、隣接するセラミック同軸ステップインピーダンス共振器同士の間に位置する結合スロット対を含むセラミック無線周波数フィルタの実施形態が開示される。
【0016】
ある実施形態では、内径は、第1の端から第2の端に向かってテーパ状であってもよい。ある実施形態では、内径はテーパを有しなくてもよい。ある実施形態では、内径は、第1および第2の端の間に概して階段状の外形を有してもよい。ある実施形態では、内径は、第1および第2の端の間の中間部においてテーパ状であってもよい。
【0017】
ある実施形態では、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器は、300MHZから7GHZの範囲に収まる共振を有してもよい。ある実施形態では、第1の端のインピーダンスは第2の端のインピーダンスよりも低くてもよい。ある実施形態では、少なくとも1つのステップインピーダンス共振器のQ値は、直線状の内径を有する共振器のQ値の10%以内であってもよい。
【0018】
また、本明細書においては、無線周波数信号をフィルタリングするための方法であって、プリント基板上に実装される複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器を有するセラミックフィルタに無線周波数信号を入力することを含み、セラミック同軸ステップインピーダンス共振器の各々は、少なくとも一方が金属化されている2つの端と、2つの端の間に延びる長さと、長さに沿って概して一定の外径と、長さの少なくとも一部に沿って延び、内径を規定し、径が異なる第1および第2の端を有するキャビティとを有し、さらに、フィルタリングした無線周波数信号を出力することを含む方法の実施形態が開示される。ある実施形態では、内径は、第1および第2の端の間に概して階段状の外形を有してもよい。
【0019】
また、本明細書においては、無線周波数装置であって、セラミックフィルタを形成するプリント基板上に実装される複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器を含み、セラミック同軸ステップインピーダンス共振器の各々は、少なくとも一方が金属化されている2つの端と、2つの端の間に延びる長さと、長さに沿って概して一定の外径と、長さの少なくとも一部に沿って延び、内径を規定し、径が異なる第1および第2の端を有するキャビティとを有し、さらに、RF信号を入力するように構成される入力タブを含み、入力タブは、複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器のうちの第1の共振器に位置しており、さらに、フィルタリングされたRF信号を出力するように構成される出力タブを含み、出力タブは、複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器のうちの第1の共振器から最も遠くに位置するセラミック同軸ステップインピーダンス共振器に位置しており、さらに、隣接するセラミック同軸ステップインピーダンス共振器同士の間に位置する結合スロット対を含む無線周波数装置の実施形態が開示される。
【0020】
ある実施形態では、内径は、第1の端から第2の端に向かってテーパ状であってもよい。ある実施形態では、内径はテーパ状でなくてもよい。ある実施形態では、内径は、第1および第2の端の間に概して階段状の外形を有してもよい。ある実施形態では、階段状の外形は、第1および第2の端から概して等距離にある単一の階段特徴を含んでもよい。ある実施形態では、階段状の外形は、第1および第2の端の間に複数の階段特徴を含んでもよい。ある実施形態では、内径は、第1および第2の端の間の中間部においてテーパ状であってもよい。
【0021】
ある実施形態では、複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器の少なくとも1つは、300MHZから7GHZの範囲に収まる共振を有してもよい。ある実施形態では、第1の端のインピーダンスは第2の端のインピーダンスよりも低くてもよい。ある実施形態では、複数のセラミック同軸ステップインピーダンス共振器の少なくとも1つのQ値は、直線状の内径を有する共振器のQ値の10%以内であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】ステップインピーダンス共振器を組込んだセラミックフィルタアセンブリの実施形態の観点を示す図である。
図1B】ステップインピーダンス共振器を組込んだセラミックフィルタアセンブリの実施形態の観点を示す図である。
図1C】ステップインピーダンス共振器を組込んだセラミックフィルタアセンブリの実施形態の観点を示す図である。
図2】先行技術で用いられる共振器の内径を示す図である。
図3A】セラミックステップインピーダンス共振器フィルタについての可変内径の実施形態を示す図である。
図3B】セラミックステップインピーダンス共振器フィルタについての可変内径の実施形態を示す図である。
図3C】セラミックステップインピーダンス共振器フィルタについての可変内径の実施形態を示す図である。
図3D】セラミックステップインピーダンス共振器フィルタについての可変内径の実施形態を示す図である。
図4A】同軸共振器の選択的交互嵌合を有する例の無線周波数セラミックフィルタの実施形態を示す図である。
図4B】同軸共振器の選択的交互嵌合を有する例の無線周波数セラミックフィルタの実施形態を示す図である。
図4C】同軸共振器の選択的交互嵌合を有する例の無線周波数セラミックフィルタの実施形態を示す図である。
図5】本開示の1つ以上の特徴がセラミックフィルタ回路として実現され得ることを概略的に示す図である。
図6図5のセラミックフィルタ回路がパッケージ化された装置において実現され得ることを示す図である。
図7図5のセラミックフィルタ回路が無線装置において実現され得ることを示す図である。
図8図5のセラミックフィルタ回路が有線または無線RF装置において実現され得ることを示す図である。
図9】セラミックステップインピーダンス共振器フィルタの実施形態を含む無線周波数装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本明細書においては、無線周波数信号または電子信号などの信号をフィルタリングするためにステップインピーダンス共振器を用いるフィルタの実施形態が開示される。具体的には、ステップインピーダンス共振器は、セラミックフィルタとして公知の特定の種類のフィルタにおいて有利に用いられ得る。セラミックフィルタは、セラミック共振器、具体的には本明細書において開示されるそれらのセラミックステップインピーダンス共振器の使用を含み得る。
【0024】
ある実施形態では、開示されるセラミックフィルタは、放送ラジオ、テレビ、携帯電話、またはWi−Fiで用いられる周波数範囲などのメガヘルツからギガヘルツ周波数範囲内で用いられ得る。しかし、セラミックフィルタの具体的な周波数および使用は限定されない。さらに、信号の種類は限定されず、異なる信号がフィルタを通過させられると理解され得る。したがって、開示されるセラミックフィルタは、たとえばセラミック無線周波数フィルタまたはマイクロ波フィルタであってもよいが、フィルタの種類は限定されない。
【0025】
開示されるセラミックステップインピーダンス共振器フィルタの実施形態は、それらがサイズが減少したとしても十分な電気的性質を維持することができ、それによってセラミックフィルタの全設置面積を減少させることができるため、小型化にとって有利であり得る。ある実施形態では、セラミックステップインピーダンス共振器フィルタは、従来のフィルタに対して向上した電気的性質を有し得る。さらに、開示されるセラミックステップインピーダンス共振器フィルタの実施形態は、従来のフィルタに現在のところ影響する製造許容問題を回避することができる。
【0026】
セラミックステップインピーダンス共振器
ある実施形態では、セラミックステップインピーダンス共振器は無線周波数(RF)フィルタとともに用いられてもよい。そのようなセラミックステップインピーダンス共振器の実施形態を以下に詳細に説明する。有利なことに、セラミックステップインピーダンス共振器フィルタ、およびそれらが組込まれる装置は、従来のインピーダンス共振器においてなされているよりもさらに小型化され得る。
【0027】
図1A図1Cは、ステップインピーダンス共振器などの共振器102の組合せを用いるセラミックフィルタアセンブリ100の実施形態を示す。示されるように、ある実施形態では、共振器102には、キャビティ、穴、開口、またはライン106が共振器102の概して中心を通り得る。ある実施形態では、キャビティ106は共振器102を完全に通ってもよい。したがって、共振器102は、外径104と、たとえば共振器102を通るキャビティ106によって生じる径である内径103とを有する。
【0028】
図1A図1Cに示されるように、共振器102は概して一定の外径104(たとえば共振器102の全幅)を有し得る。示されるように、共振器102は概して矩形であってもよく、図1Bに示されるように共振器102の面は概して4つの等しいサイズの区分からなり得るが、共振器102の具体的な寸法および形状は限定されない。さらに、図1Cの断面図に示されるように、共振器102は変化する内径103を有し得るため、共振器102は以下に記載する理由のためにステップ状の(可変の)インピーダンスを有することになる。示されるように、内径103は、共振器102の長さに沿って一端から他端に向かって形状が変化してもよい。ゆえに、内径103は、一端が他端と比較して大きくてもよい。
【0029】
ある実施形態では、図面に示されるように、セラミックフィルタアセンブリ100は複数のステップインピーダンス共振器102を有してもよく、共振器102の数は限定されない。ある実施形態では、共振器102は図1A図1Cに示されるように、または開示全体にわたって詳細に記載されるように一直線に並べられてもよい。
【0030】
本明細書において記載される一群のセラミック同軸共振器102が、RF結合されてRFフィルタとして機能するように共に組立てられ得るが、特定の材料は限定されない。これらの同軸共振器は、以下に詳細に記載されるステップインピーダンス共振器を組込むことによって、改良された小型化を達成することができる。ある実施形態では、共振器102は、電気的接続を介することなどによって互いに電気的に結合されてもよい。したがって、共振器の無負荷Q値を用いて全セラミックフィルタアセンブリ100自体の選択度を一般に設定することができる。共振器102は、たとえばギャップもしくは容量結合、または磁気結合によって互いに結合されてもよい。ある実施形態では、2つの隣接する共振器同士の間のRFエネルギのそのような結合は、2つの共振器の対向面に形成されるスロットによって達成され得る。そのようなスロットの幅寸法は、ある範囲内の結合定数とほぼ比例し得る。スロットがそのような範囲外の幅を有する場合、セラミックフィルタの電気性能は劣化し得る。共振器102同士の間の結合の種類および方法は限定されない。
【0031】
先行技術の典型的な共振器では、図2に示されるように、共振器200の内径202および外径204は直線状で均質であることが必要である。この構造はその単純な設計ゆえに製造が比較的単純であり得るが、これらの直線状の内径を小型化することは極めて困難になりつつある。
【0032】
現在、小型化の性質のために、直線状の内径は形成の許容限界にある。この許容限界が起こる理由は、共振器のサイズが減少するにつれ、内径および外径が互いに近づき、最終的に、それら2つの間の比率があまりに近いために現在の製造技術では共振器を適切に形成できない点に達するためである。従来の内径が現在サイズ決めされているものを超えて小型化されるとすると、精密かつ適切な電気的応答を維持するのはほぼ不可能であろう。
【0033】
ゆえに、先行技術の従来のセラミックフィルタは、サイズが増大するという犠牲を払わなければ適切な電気的応答(たとえばQ、インピーダンス)を達成することができず、これは無線周波数フィルタまたは装置内の貴重な空間を消費する。したがって、空間の制約のために、典型的な用途では限られた数のセラミックフィルタしか使用することができない。
【0034】
当該技術において使用される共振器を小型化する別の方法は、共振器材料の誘電率を増加させることである。しかし、この場合もやはり、現在の材料の生産は限られた最大誘電率を有するため、共振器の小型化を継続するためにはフィルタを小型化し続けるための他の方法が必要である。
【0035】
共振器の小型化を有利に継続するために使用され得るステップインピーダンス共振器の実施形態が開示される。図2に示される先行技術において使用される直線状の内径とは異なり、ステップインピーダンス共振器は、変化する寸法を有する内径で構成され得る。これらの変化する寸法は、共振器が全体で低いインピーダンス値を維持することを可能にし、同時に、共振器、およびしたがってフィルタがさらに小型化されることを可能にし得る。開示されるステップインピーダンス共振器の実施形態について、先行技術の電気的応答と同じ電気的応答が、大幅に小さくなった設置面積で、かつ電気的応答に対する悪影響が最小であるか、またはない状態で達成され得る。これは、無線周波数フィルタのサイズの全体的な減少にとって有利であり得る。
【0036】
図3A図3Dは、セラミックフィルタとともに有利に使用され得るステップインピーダンス抵抗器の実施形態についての内径、およびしたがって内側キャビティの異なる非限定的な構成の断面図を示す。内径の断面が示されているが、内径自体は、概して円筒形の内径などの、平面または3次元であってもよく、または示される径は上向きに概して直線状に延びて、示される設置面積を有する3次元形状を作ってもよい。内径の全体寸法は限定されない。さらに、図3A図3Dに示されるように、外径303は始めから終わりまで概して同じであってもよいが、外径303の特定の寸法は限定されない。ある実施形態では、外側に延びるキャビティが同じ径を有し得るように内径を減少または増加させるために、セラミックステップインピーダンス共振器の端の上にキャップを配置してもよい。ある実施形態では、開示される内径は共振器の長さよりも短くてもよく、内径は両端において同様の径に移行してもよい。
【0037】
図3Aに示されるように、内径は、大内径302から始まり、小内径304に終わってもよい。これら2つの端の間で、内径304は1対の90°の曲がり部306において径が減少してもよいが、この角度は限定されず、他の角度を用いてもよい。したがって、内径は、大径から小径への概して突然の移行を有してもよい。
【0038】
移行は、図3Aに示さるように内径の概して中央で起こり得るが、移行は他の場所に位置していてもよく、移行の場所は限定されない。ある実施形態では、内径の約50%が大径であり、内径の約50%が小径であってもよい。ある実施形態では、当該比率は90/10,80/20,70/30,60/40,40/60,30/70,20/80または10/90であってもよい。
【0039】
図3Bは、大端312から小端314へと径が全体的にテーパ状に減少し得る内径の実施形態を示す。ある実施形態では、内径は共振器の内部に概して円錐形のキャビティを形成してもよい。示されるように、テーパ316は内径の長さに沿って延びてもよい。テーパは図3Bに示されるように概して直線状であってもよいし、または少なくとも部分的に湾曲していてもよい。
【0040】
図3Cは、図3Bに示されるのと同様の内径の実施形態を示す。しかし、示されるように、テーパははるかに高い率で起こり、内径の長さにわたっていない。たとえば、大径部分322は内径へと部分的に下方に延びる。内径は次に、外向きに延びる小径部分324に達するまでテーパ状である326。ある実施形態では、テーパは小端または大端において始まって生じてもよく、ゆえに、1つのテーパ部分および1つの直線部分のみが存在してもよい。図3B図3Cとの間のすべてのテーパも用いることができ、テーパのサイズおよび勾配は限定されない。
【0041】
図3Dは、概して階段構造を有し得る内径の実施形態を示す。示されるように、内径は、一連の漸進的な段336において最大径332から最小径334へと減少してもよい。ある実施形態では、段の代わりに一連の漸進的なテーパ部を使用してもよい。ある実施形態では、テーパおよび段の両方を使用して内径の径を減少させてもよい。段336はほぼ同じサイズであってもよいし異なるサイズであってもよい。ある実施形態では、段336はテーパ状であってもよいし角度が付いていてもよい。
【0042】
ある実施形態では、共振器の短くなった端が開放端から切替えられてもよい。たとえば、小径は共振器のいずれの端にあってもよく、特定の構成に限定されない。短い開放端を切替えることによって、これは、周波数対長さに反対の影響を与えることができ、いくつかのさらなる有利な性質を提供することができる。
【0043】
開示されるテーパ状の内径の実施形態は、セラミック共振器、およびしたがってセラミック無線周波数フィルタの小型化にとって有利であり得る。一般に、共振器の内径が大きいほど、共振器のインピーダンスは低い。低下したインピーダンスは、セラミックフィルタが信号からノイズをより効率的に除去可能となることを意味する。しかし、径が大きくなると共振器の共振が典型的に減少し、これはセラミックフィルタにとって不利であり得る。したがって、内径が小さくなると、セラミックフィルタの共振を向上させることができるが、上述のようにインピーダンスが増加する。さらに、共振器の少なくとも一部に小径を有することによって、これは小型化についての先行技術の許容問題のいくつかを回避することができる。
【0044】
ゆえに、大径から小径への移行を有することによって、大径部の低インピーダンスを維持することができ、同時に小径ラインでの大きい共振を達成することができる。この効果は伝送線路理論に基づく。したがって、低インピーダンスおよび高共振を、セラミックステップインピーダンス共振器フィルタについて維持することができる。したがって、開示の実施形態は、高効率および高共振を有利に有し得る。先行技術の共振器では、2つの異なる性質のバランスを互いに取らなければならず、高共振および高効率共振器を達成することが困難である。
【0045】
ある実施形態では、図2に示されるような従来の共振器と比較して、ステップインピーダンス共振器を用いる際に最小のQ劣化が存在する。たとえば、Q劣化は、従来の直線共振器と比較して約20%未満、約10%未満、約5%未満、約1%、または0%未満であり得る。
【0046】
ある実施形態では、ステップインピーダンス共振器を用いるセラミックフィルタの全設置面積は、図2に示されるような従来の共振器を用いるセラミックフィルタの全設置面積よりも約20%から約30%小さい。
【0047】
ある実施形態では、ステップインピーダンス共振器フィルタは約11万分の1〜14万分の1インチの長さを有し得、これは従来の内径を用いる従来のフィルタの長さよりも大幅に小さい。ある実施形態では、セラミックステップインピーダンス共振器フィルタは、約11万分の1〜14万分の1インチ未満の長さを有し得る。
【0048】
ある実施形態では、上述の内径は、0.062の外径に対して、約0.05,0.10,0.15,0.20または0.25から約0.35,0.40,0.45または0.50インチに及び得るが、正確な寸法は限定されない。
【0049】
ある実施形態では、ステップインピーダンス共振器は、約100MHZから約20GHZの共振を有し得る。ある実施形態では、共振器は、約300MHZから約5GHZの共振を有し得る。ある実施形態では、ステップインピーダンス共振器は、約100MHZ、300MHZ、500MHZ、1GHZ、5GHZ、10GHZまたは20GHZよりも大きい共振を有し得る。ステップインピーダンス共振器の共振は限定されない。
【0050】
ある実施形態では、ステップインピーダンス共振器は2から25パーセントの帯域幅を有し得る。ある実施形態では、ステップインピーダンス共振器は、2,5,10,15または20パーセントよりも大きい帯域幅を有し得る。ある実施形態では、ステップインピーダンス共振器は、25,20,15,10または5パーセント未満の帯域幅を有し得る。
【0051】
フィルタグループ分け
図4A図4Cは、本明細書において説明される態様で配置される6個のセラミック同軸共振器(401,402,403,404,405,406)を有する例のセラミックRFフィルタ400のさまざまな図を示す。特に、図4A図4Cに示されるセラミックRFフィルタは、特にステップインピーダンス共振器を用いることによって先行技術において公知のフィルタからさらに小型化することができるため、PCB上の空間を節約できる。図4A図4Cは両端に同じサイズを有するキャビティを示しているが、セラミックステップインピーダンス抵抗器を使用することもでき、ゆえに、示されるキャビティは縮尺通りではない可能性があることが理解されるであろう。図4Aは正面図を示し、図4Bは背面図を示し、図4Cは例のセラミックフィルタ400の平面図を示す。本明細書において説明されるように、例のセラミックフィルタ400に関連付けられる1つ以上の特徴を有するセラミックRFフィルタは、上述のステップインピーダンス共振器などの他の数のセラミック同軸共振器を含んでもよい。
【0052】
6個の共振器(401〜406)は、PCB基板442上に実装されて示されており、450,452,454,456,458として示されている結合スロット対を介してRF結合されるように配置されている。6個の共振器はさらに、前端411,412,413,414,415,416および後端421,422,423,424,425,426を有して示されている。入力RF信号を提供するための入力タブ434が第1の共振器401の前端411に位置決めされて示されており、フィルタリングされたRF信号を出力するための出力タブ436が第6の共振器406の前端416に位置決めされて示されている。入力タブ434はキャパシタ432に電気的に接続されており、キャパシタ432は次に入力コネクタ430に電気的に接続されている。同様に、出力タブ436はキャパシタ438に電気的に接続されており、キャパシタ438は次に出力コネクタ440に電気的に接続されている。
【0053】
図4Aおよび図4Bでは、共振器の金属化された端は陰影なしで示されており、金属化されていない端は陰影部として示されている。したがって、第1(401)、第3(403)、第4(404)および第6(406)の共振器に対応する前端411,413,414,416は金属化されておらず、第2(402)および第5(405)の共振器に対応する残りの前端412,415は金属化されている。第1(401)、第3(403)、第4(404)および第6(406)の共振器に対応する後端421,423,424,426は金属化されており、第2(402)および第5(405)の共振器に対応する残りの後端422,425は金属化されていない。したがって、6個の共振器の各々は4分の1波長共振器として動作可能である。上記の例の金属化された前端および後端の各々は接地接続されている。そのような接地接続は、図4A図4Cにおいて接続部461,462,463,464,465,466によって示されている。しかし、他の構成を用いてもよく、一群の共振器の特定の構成は限定されない。
【0054】
上記の例では、第1、第3、第4および第6の共振器は第1の向きにあり、それらの前端は入力および出力コネクタ(430,440)がある前側に面しており、第2および第5の共振器は第2の向きにあり、それらの後端は前側に面していることに留意すべきである。したがって、第2の共振器402は、第1および第3の共振器401,403の間で交互嵌合構成にある。同様に、第5の共振器405は、第4および第6の共振器404,406の間で交互嵌合している。サブグループの第3、第4および第5の共振器はすべて、櫛形構成にあるように、第1の向きにあることに留意すべきである。上記の例に基づいて、セラミックフィルタ400内の共振器は、共振器の向きの選択的交互嵌合を有することがわかる。本明細書における説明のため、「完全な交互嵌合」構成では、すべての共振器が交互の向きにあることが理解されるであろう。さらに、本明細書において説明される「選択的交互嵌合」または単に「交互嵌合」は、共振器のいくつかの交互の向きを有する完全でない交互嵌合構成を含む。
【0055】
図4A図4Cの例に適用されるように、選択的交互嵌合によって、セラミックフィルタ400の入力および出力の両方を、偶数の共振器を用いるセラミックフィルタ400の共通の基準面(たとえば前側)で維持することができる。完全な交互嵌合構成では、偶数の共振器を用いると入力および出力が反対側に存在することになる。2つ(入力および出力)の一方を他方側に引回して両方が同じ側で接続可能であるようにすることは可能であるが、余分な接続長さが(たとえばインダクタンスを不必要に変化させることによって)セラミックフィルタの電気的性質に影響を与える可能性がある。
【0056】
セラミックフィルタ種類
セラミックフィルタ種類は4つの大まかなカテゴリに分類することができるが、カテゴリ自体は限定されない。たとえば、フィルタは、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタ、ローパスフィルタ、またはハイパスフィルタであり得る。上に詳細に記載された、開示されたステップインピーダンスフィルタの実施形態は、いずれのカテゴリのフィルタにも組込むことができ、いずれのカテゴリのフィルタにも有利な小型化を提供することができる。
【0057】
バンドパスフィルタは、望ましくない周波数を除外しつつ所望の周波数帯域を選択的に得るために使用され得る。一般に、バンドパスフィルタは、一定範囲内の周波数を通過させ、当該範囲外の周波数を拒絶するか減衰させ得る。特に、バンドパスフィルタは無線送信機または受信機において使用され得る。送信機においては、バンドパスフィルタは、出力信号の帯域幅を送信用に割当てられた帯域に制限し得る。これによって他の局との干渉を減少させることができるため、送信信号の品質が向上する。受信機においては、バンドパスフィルタは、選択された周波数範囲内の信号を聞くことまたは復号することを可能にし得、この選択範囲外の信号の通過を防止し得る。ある実施形態では、バンドパスフィルタは、受信機の信号対雑音比および感度を最適化し得る。バンドパスフィルタは、使用信号のモードおよび速度を最適化しつつ、使用信号の数を最大にし、同時に信号間の干渉または競合を最小にし得る。
【0058】
バンドストップフィルタは、ほとんどの周波数を変化させずに通過させるが特定の周波数範囲内の周波数を減衰させるという点で、バンドパスフィルタと概して反対である。これらは、たとえばフィードバックを減少させるために使用され得る。しかし、バンドストップフィルタはエレクトロニクス分野において典型的にあまり一般的ではない。
【0059】
ローパスフィルタは、低周波数信号を通過させ、特定の遮断周波数よりも高い信号を減衰させるフィルタである。減衰および遮断周波数はローパスフィルタ内で調整され得る。ローパスフィルタは、電子回路、アナログ−デジタルコンバータ、デジタルフィルタなどの多数の製品に使用され得る。
【0060】
ハイパスフィルタは、ローパスフィルタと概して反対である。ハイパスフィルタは、高周波数信号を通過させ、特定の遮断周波数よりも低い信号を減衰させる。減衰および遮断周波数はハイパスフィルタ内で調整され得る。ハイパスフィルタは、たとえば、回路素子からDCを阻止するために使用され得る。ハイパスフィルタとローパスフィルタとの組合せは、上述のようなバンドパスフィルタを形成し得る。
【0061】
セラミックステップインピーダンスフィルタの用途
図5は、セラミックステップインピーダンス共振器フィルタの実施形態がセラミックフィルタ回路500として実現され得ることを概略的に示す。そのようなセラミックフィルタ回路は、多数の製品、装置、および/またはシステムにおいて実現され得る。たとえば、図6は、ある実施形態において、パッケージ化された装置が、同じ側で入力および出力接続512,514に結合されて本明細書において説明される性能特徴を提供するように構成されるセラミックフィルタ回路500を含み得ることを示す。そのようなパッケージ化された装置は専用のセラミックRFフィルタモジュールであってもよいし、またはいくつかの他の機能部品を含んでもよい。
【0062】
図7は、ある実施形態において、セラミックフィルタ回路500が無線装置520において実現され得ることを示す。そのような無線装置は、セラミックフィルタ回路と通信している(線526)アンテナ528を含み得る。無線装置520は、送信(Tx)および/または受信(Rx)機能を提供するように構成される回路522をさらに含み得る。Tx/Rx回路522は、セラミックフィルタ回路500と通信している(線524)として示されている。
【0063】
図8は、ある実施形態において、セラミックフィルタ回路500がRF装置530において実現され得ることを示す。そのような装置は、セラミックフィルタ回路に入力RF信号を提供する(線534)入力部品532と、セラミックフィルタ回路500からフィルタリングされたRF信号を受信する(線536)出力部品538とを含み得る。RF装置530は、図7の例などの無線装置、有線装置、またはそれらの何らかの組合せであってもよい。
【0064】
ある実現例では、本明細書において説明される1つ以上のバンドパスフィルタリング特徴を有するセラミックRFフィルタは、システムおよび装置を含む多数の用途で利用され得る。そのような用途は、ケーブルテレビ(cable television:CATV)、無線制御システム(wireless control system:WCS)、マイクロ波配電システム(microwave distribution system:MDS)、産業、科学および医療(industrial, scientific and medical:ISM)、PCS(個人通信サービス:personal communication service)などのセルラーシステム、デジタルセルラーシステム(digital cellular system:DCS)、ユニバーサル移動体通信システム(universal mobile communications system:UMTS)、およびグローバル・ポジショニング・システム(global positioning system:GPS)を含み得るがこれらに限定されない。
【0065】
さらに、ある実施形態では、開示されるセラミックステップインピーダンス共振器フィルタは、RF装置とともに使用されてもよい。図9に示されるように、そのようなRF装置は、RF信号の送信および/または受信を容易にするように構成されるアンテナ912を含み得る。そのような信号は、送受信機914によって生成および/または処理され得る。送信については、送受信機914は送信信号を生成し得、当該信号が電力増幅器(PA)によって増幅され、アンテナ912によって送信のためにフィルタリングされる(Txフィルタ)。受信については、アンテナ912から受信される信号が低雑音増幅器(LNA)によってフィルタリングされ(Rxフィルタ)増幅された後、送受信機914に伝えられ得る。ある実施形態では、図9に示されるセラミックフィルタは、本明細書において開示されるセラミックステップインピーダンス共振器フィルタの実施形態であってもよい。
【0066】
ある実施形態では、セラミックステップインピーダンス共振器フィルタは、無線電気通信基地局などのRF用途において実現され得る。そのような無線基地局は、RF信号の送信および/または受信を容易にするように構成される、図9を参照して説明した例などの、1つ以上のアンテナを含み得る。そのようなアンテナは、本明細書において説明される1つ以上のフィルタを有する回路または装置に結合され得る。ある実施形態では、基地局は送受信機、合成器、RXフィルタ、TXフィルタ、磁気アイソレータおよびアンテナを有し得る。磁気アイソレータは、単一チャネルPAおよびコネクタ付、一体型トリプレートまたはマイクロストリップドロップイン(single channel PA and connectorized, integrated triplate or microstrip drop-in)に組込まれ得る。
【0067】
上記の説明から、ステップインピーダンス共振器を使用するセラミックフィルタについての発明品およびアプローチが開示されることが認識されるであろう。いくつかの部品、技術および局面をある程度の具体性をもって説明したが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において上に記載した特定の設計、構成および方法論には多くの変更がなされ得ることが明らかである。
【0068】
別個の実現例の文脈で本開示に記載された特定の特徴は、1つの実現例において組合せにより実現されることもできる。反対に、1つの実現例の文脈で説明されたさまざまな特徴は、複数の実現例において別個にまたは任意の好適な下位組合せにより実現されることもできる。さらに、特徴が特定の組合せにより作用するとして上に説明されていても、クレームされる組合せからの1つ以上の特徴は、場合によっては該組合せから排除されることができ、該組合せは、任意の下位組合せまたは任意の下位組合せのバリエーションとしてクレームされてもよい。
【0069】
さらに、方法は、特定の順序で図面に図示されるまたは明細書に記載され得るが、これらの方法は、示された特定の順にまたは順次行なわれる必要はなく、所望の結果を得るためにすべての方法が行なわれる必要はない。図示されていないまたは記載されていない他の方法が、例示的な方法およびプロセスに組込まれ得る。たとえば、1つ以上の追加の方法が、記載される方法の任意の方法の前、後、同時、またはこれらの間で行なわれ得る。さらに、これらの方法は、他の実現例では構成し直されたり、順序付けし直されてもよい。さらに、上記の実現例におけるさまざまなシステム部品の分離は、すべての実現例においてこのような分離が必要であるとして理解されるべきではなく、記載される部品およびシステムは、一般的には、単一の製品とともに一体化されたり、複数の製品にパッケージ化され得ることが理解されるべきである。さらに、他の実現例が本開示の範囲内である。
【0070】
「できる」、「し得る」、または「してもよい」などの条件的表現は、特に指定がない限り、または使用される文脈内でそれ以外に理解されない限り、一般的には、ある実施形態が、ある特徴、構成要素、および/またはステップを含むまたは含まないことを説明することを意図するものである。したがって、このような条件的表現は、一般的には、特徴、構成要素、および/またはステップが、何らかの形で1つ以上の実施形態に必要であることを暗示することを意図するものである。
【0071】
「X、Y、およびZの少なくとも1つ」という文言などの接続的表現は、特に指定がない限り、項目、用語などがX、Y、またはZのいずれかであり得ることを一般的に説明するとして、使用される文脈内で理解される。そのため、このような接続的表現は、一般的に、ある実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、およびZの少なくとも1つの存在を必要とすることを暗示することを意図するものではない。
【0072】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「一般的に」、および「実質的に」などの程度の表現は、望ましい機能を実施するまたは望ましい結果を達成する記載値、量、または特徴に近い値、量、または特徴を表す。たとえば、「およそ」、「約」、「一般的に」、および「実質的に」という用語は、記載量の10%以下、5%以下、1%以下、0.1%以下、0.01%以下の範囲内の量を指し得る。
【0073】
いくつかの実施形態を添付の図面とともに説明してきた。図は縮尺どおりに描かれるが、このような縮尺は限定的であるべきではない。なぜなら、示されるもの以外の寸法および割合が想定され、開示される発明の範囲内であるためである。距離、角度などは例示に過ぎず、図示される装置の実際の寸法およびレイアウトに対する正確な関係を必ずしも持つものではない。部品は、追加、排除、および/または配置し直され得る。さらに、さまざまな実施形態に関する任意の特定の特徴、局面、方法、性質、特性、品質、属性、要素などの本発明の開示は、本明細書に記載されるすべての他の実施形態において使用され得る。さらに、本明細書に記載されるすべての方法は、記載されるステップを実施するのに好適な任意の装置を用いて実施され得ることが認識されるであろう。
【0074】
数多くの実施形態およびそれらの変形例を詳細に説明してきたが、他の改良およびその使用方法が当業者には明らかとなるであろう。したがって、さまざまな用途、改良、材料、および置換が、本明細書の独自のかつ発明的な開示または請求項の範囲から逸脱することなく、均等物からなり得ることが理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9