(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかる車間距離検出装置、車間距離検出方法、およびプログラムを適用した車間距離検出システムについて説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる車間距離検出システムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる車間距離検出システムは、プローブカー1と、前車両2と、GPS衛星3と、基地局4と、サーバ5と、を有している。プローブカー1は、所定の計測周期(例えば、数秒)で、当該プローブカー1の前方を撮像して、動画像を取得する。そして、プローブカー1(第1車両の一例)は、取得した動画像に基づいて、プローブカー1の前方を走行する車両である前車両2(第2車両の一例)を検出し、かつプローブカー1と前車両2との間の距離である車間距離Lを検出する。さらに、プローブカー1は、車間距離Lの検出結果に基づく運転支援を行う。
【0009】
GPS(Global Positioning System)衛星3は、プローブカー1に対して、GPS信号を発信する。基地局4は、無線通信によって、プローブカー1から、車間距離Lの検出結果を受信する。そして、基地局4は、プローブカー1から受信した車間距離Lの検出結果を、サーバ5に送信する。サーバ5は、基地局4から、車間距離Lの検出結果を受信し、当該受信した車間距離Lの検出結果に基づいて、道路交通情報の推定等を行う。そして、サーバ5は、推定した道路交通情報等を、基地局4を介して、プローブカー1に配信する。
【0010】
図2は、第1の実施形態にかかるプローブカーの車内のコックピット周辺の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態では、プローブカー1は、制御装置10と、第1カメラ11と、第2カメラ12と、携帯端末13と、GPSアンテナ14と、を有している。制御装置10は、プローブカー1全体を制御する。
【0011】
第1カメラ11(撮像部の一例)は、プローブカー1のバックミラーBMを基準として、運転席側から見て左側に設けられ、プローブカー1の前方を撮像する。また、第2カメラ12(撮像部の一例)は、プローブカー1のバックミラーBMを基準として、運転席側から見て右側に設けられ、プローブカー1の前方を撮像する。携帯端末13は、スマートフォン等であり、サーバ5から配信された道路交通情報等の各種情報を表示する表示部である。GPSアンテナ14は、GPS衛星3から発信されるGPS信号を受信する。
【0012】
図3は、第1の実施形態にかかるプローブカーの制御装置およびサーバの機能構成の一例を示すブロック図である。まず、
図3を用いて、制御装置10の機能構成について説明する。
図3に示すように、本実施形態では、制御装置10は、画像受信部101、画像処理部102、車間距離解析部103、GPSモジュール104、GPS通信部105、リジェクト判定部106、外部入出力部107、およびHTTP通信部108を有している。
【0013】
画像受信部101(受信部の一例)は、第1カメラ11および第2カメラ12(外部装置の一例)から、当該各カメラの撮像により得られた動画像を受信する。画像処理部102は、受信した動画像を構成するフレームであるカメラ画像(画像データの一例)に対して画像処理を施して、カメラ画像が含むオブジェクトを検出する。そして、車間距離解析部103は、画像処理部102により検出されたオブジェクトに対してパターン認識を行って、前車両2の検出を行うとともに、プローブカー1と当該検出した前車両2との車間距離Lを検出する検出処理(第1処理の一例)を実行する。本実施形態では、画像処理部102および車間距離解析部103が、カメラ画像に基づいて、前車両2を検出し、かつプローブカー1と前車両2との車間距離Lを検出する検出処理を実行する検出部の一例として機能する。
【0014】
具体的には、車間距離解析部103は、画像処理部102により検出されたオブジェクトに対してパターン認識を行って、車両を検出する。また、車間距離解析部103は、オブジェクトに対してパターン認識を行って、プローブカー1(自車両)が走行する車線を検出する。そして、車間距離解析部103は、検出した車両のうち、検出した車線内の車両を、前車両2として検出する。
【0015】
次に、車間距離解析部103は、第1カメラ11および第2カメラ12の画角、および車線内の車両のサイズに基づいて、プローブカー1と、前車両2との車間距離Lを検出する。または、車間距離解析部103は、第1カメラ11および第2カメラ12がステレオカメラを構成する場合には、第1カメラ11の撮像により得られたカメラ画像と第2カメラ12の撮像により得られたカメラ画像の視差に基づいて、プローブカー1と前車両2との車間距離Lを検出することも可能である。
【0016】
車両を検出するパターン認識では、第1カメラ11および第2カメラ12の撮像条件が、カメラ画像に基づいて前車両2が検出できない要因(以下、検出不可要因と言う)となる場合がある。検出不可要因となる撮像条件には、太陽光の影響による逆光、対向車のヘッドライトの影響による逆光、トンネルの出入口における光量の変化、急カーブや急勾配等の影響による、第1カメラ11および第2カメラ12の画角からの前車両2のはみ出し等がある。
【0017】
そこで、車間距離解析部103は、前車両2が検出できない場合に、カメラ画像全体の明るさが所定の明るさ以上であること、カメラ画像内に所定の明るさ以上の光源が含まれること、車両の一部の形状の画像がカメラ画像の端部に存在することなどを、撮像条件に基づく検出不可要因として特定する。そして、車間距離解析部103は、特定した検出不可要因を示す要因コードを設定する。
【0018】
また、車線を検出するパターン認識では、前車両2の車線変更、プローブカー1の車線変更、車線そのものの一時的な消失等が、カメラ画像から車線を検出できずに、検出不可要因となる場合がある。そこで、車間距離解析部103は、車線を検出することができないことも、撮像条件に基づく検出不可要因として特定し、当該検出不可要因を示す要因コードを設定する。
【0019】
GPSモジュール104は、GPS衛星3から発信されるGPS信号を受信する。GPS通信部105は、GPSモジュール104によって複数のGPS衛星3から受信したGPS信号に基づいて、GPSデータを取得する。ここで、GPSデータは、プローブカー1が走行している位置を示す位置情報(例えば、緯度,経度,高度)、現在時刻、およびGPS信号を捕捉したGPS衛星3の数である捕捉衛星数情報を含む。
【0020】
外部入出力部107は、プローブカー1の走行速度、プローブカー1が有するワイパーの動作など、プローブカー1の動作状態を示す動作情報を取得する。本実施形態では、外部入出力部107は、プローブカー1が有する走行系から、プローブカー1の速度を動作情報として取得する。また、外部入出力部107は、GPS信号に基づいて取得したプローブカー1の位置情報および現在時刻を用いて、プローブカー1の走行速度を取得することも可能である。
【0021】
リジェクト判定部106は、前車両2が検出できない場合、外部入出力部107から動作情報を取得する。そして、リジェクト判定部106は、取得した動作情報が示すプローブカー1の動作状態が、所定の動作状態に合致すると判定した場合、当該動作情報が示す動作状態を、検出不可要因として特定する。ここで、所定の動作状態は、検出不可要因となるプローブカー1の動作状態である。例えば、リジェクト判定部106は、取得した動作情報が示すワイパーの動作が、所定の動作状態の一例であるワイパーの高速動作に合致すると判定した場合、大雨等の影響でワイパーが高速動作して前車両2が検出できないことを考慮して、当該ワイパーの動作を検出不可要因として特定する。その後、リジェクト判定部106は、特定した検出不可要因を示す要因コードを設定する。
【0022】
また、リジェクト判定部106は、前車両2が検出できない場合、所定のフレーム数連続して前車両2が検出できないか否かを判定する連続性判定処理を実行する。そして、リジェクト判定部106は、所定のフレーム数連続して前車両2が検出できないと判定した場合、前車両2が連続して検出できないことを検出不可要因として特定する。そして、リジェクト判定部106は、特定した検出不可要因を示す要因コードを設定する。
【0023】
次に、リジェクト判定部106は、車間距離解析部103によって前車両2が検出できなかった場合、設定された検出不可要因に応じて、前車両2が検出できなかったことを示す検出結果(以下、前車両2の検出結果と言う。第1検出結果の一例)に対して、当該検出結果の信頼度を表す判定ポイントを付与する。本実施形態では、リジェクト判定部106は、設定された要因コードに応じて、前車両2の検出結果に対して、判定ポイントを付与する。具体的には、リジェクト判定部106は、設定された各要因コードに応じた判定ポイントの合計を、前車両2の検出結果に対して付与する。
【0024】
次いで、リジェクト判定部106は、前車両2の検出結果に付与された判定ポイントが所定の閾値より低い場合、前車両2の検出結果をノイズと判定し、当該車間距離Lの検出結果(第2検出結果の一例)を無効化する。これにより、前車両2が検出できなかった場合に、実際に前車両2が存在しない可能性が高いケースでの車間距離Lの検出結果を用いて交通状況の推定や運転支援(例えば、プローブカー1の速度の調整、ハイビームへの自動的な切り替え)を行えるので、道路の空き状態を考慮した、より信頼性の高い交通状況の推定や運転支援を行うことができる。
【0025】
ここで、所定の閾値は、車間距離Lの検出結果が信頼できると判断する信頼度の下限値である。本実施形態では、リジェクト判定部106は、前車両2の検出結果に付与された判定ポイントが所定の閾値以下の場合、車間距離Lの検出結果を無効化し、当該車間距離Lの検出結果に基づく、道路交通情報の推定や運転支援を禁止する。一方、リジェクト判定部106は、前車両2の検出結果に付与された判定ポイントが所定の閾値以上である場合、後述するHTTP通信部108を介して、車間距離Lの検出結果をサーバ5に送信する。
【0026】
HTTP(Hypertext Transfer Protocol)通信部108は、車間距離解析部103による検出処理の結果(以下、処理結果と言う)を、サーバ5に送信する。本実施形態では、HTTP通信部108は、前車両2の検出結果、車間距離Lの検出結果、当該車間距離Lの検出結果に付与された判定ポイント、およびGPSデータを含む処理結果をサーバ5に送信する。
【0027】
次に、
図3を用いて、サーバ5の機能構成について説明する。
図3に示すように、本実施形態では、サーバ5は、HTTP通信部501、サーバ側リジェクト判定部502、位置変換部503、地図情報記憶部504、学習データ制御部505、学習データ記憶部506、および環境情報取得部507を有している。HTTP通信部501は、プローブカーの制御装置10から、処理結果を受信する。
【0028】
地図情報記憶部504は、プローブカー1が走行可能な道路の地図を示す地図情報を記憶する。位置変換部503は、サーバ側リジェクト判定部502を介して、HTTP通信部501から、処理結果が含むGPSデータを取得する。そして、位置変換部503は、取得したGPSデータおよび地図情報記憶部504に記憶された地図情報に基づいて、プローブカー1が走行する道路を特定する。そして、位置変換部503は、特定した道路をサーバ側リジェクト判定部502に通知する。
【0029】
学習データ記憶部506は、前車両2を検出できない道路の条件である道路事情(例えば、急カーブや急勾配によりプローブカー1から所定距離以上離れた前車両2を検出することができない)を記憶する。学習データ制御部505は、位置変換部503により特定された道路が、学習データ記憶部506に記憶された道路事情に合致するか否かを判定する。そして、学習データ制御部505は、位置変換部503により特定された道路が道路事情に合致すると判定した場合、当該特定された道路を、検出不可要因として特定し、当該検出不可要因を示す要因コードを設定する。
【0030】
環境情報取得部507は、サーバ側リジェクト判定部502を介して、HTTP通信部501から、処理結果が含むGPSデータを取得する。また、環境情報取得部507は、環境情報提供業者の端末Tから、雨や雪や霧等の気象情報、PM2.5、光化学スモッグ注意報、黄砂など、プローブカー1が走行可能な道路の環境に関する環境情報を取得する。そして、環境情報取得部507は、取得した環境情報のうち、GPSデータが含む位置情報が示す位置(すなわち、プローブカー1の位置)の環境情報が、所定の環境情報に合致するか否かを判定する。ここで、所定の環境情報は、前車両2を検出できない環境の条件を示す情報である。環境情報取得部507は、プローブカー1の位置の環境情報が所定の環境情報に合致した場合、当該プローブカー1の位置の環境情報を、検出不可要因として特定し、当該検出不可要因を示す要因コードを設定する。
【0031】
サーバ側リジェクト判定部502は、HTTP通信部501により受信した処理結果が含む前車両2の検出結果が、前車両2が検出できないことを示す場合、学習データ制御部505および環境情報取得部507により設定された各要因コードが示す検出不可要因に応じて、当該車間距離Lの検出結果に対して、判定ポイントを付与する。そして、サーバ側リジェクト判定部502は、車間距離Lの検出結果に付与された判定ポイントの合計が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
【0032】
次いで、サーバ側リジェクト判定部502は、判定ポイントの合計が所定の閾値より低い場合、前車両2の検出結果をノイズと判定し、車間距離Lの検出結果を無効化する。一方、サーバ側リジェクト判定部502は、判定ポイントの合計が所定の閾値以上である場合、前車両2の検出結果が有効であると判断し、前車両2が無いと判定する。
【0033】
本実施形態では、車間距離解析部103、リジェクト判定部106、サーバ側リジェクト判定部502、学習データ制御部505、および環境情報取得部507が、前車両2が検出されなかった場合、検出不可要因を特定し、当該検出不可要因に応じた、前車両2の検出結果の信頼度が所定の閾値以下である場合、車間距離Lの検出結果を無効化する制御部として機能する。また、本実施形態では、制御装置10およびサーバ5において車間距離検出装置の一例を実現しているが、制御装置10およびサーバ5のいずれか一方で、車間距離検出装置の一例を実現しても良い。
【0034】
次に、
図4を用いて、本実施形態にかかるプローブカー1の制御装置10による車間距離の検出処理の流れの一例について説明する。
図4は、第1の実施形態にかかるプローブカーの制御装置による車間距離の検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0035】
画像処理部102は、画像受信部101により受信した動画像を構成するカメラ画像に対して画像処理を施して、当該カメラ画像が含むオブジェクトを検出する(ステップS401)。次いで、車間距離解析部103は、検出されたオブジェクトに対してパターン認識を行って、前車両2を検出し、かつプローブカー1と当該検出した前車両2との車間距離Lを検出する(ステップS401)。さらに、車間距離解析部103は、前車両2が検出できなかった場合、撮像条件に基づく検出不可要因を特定し、当該検出不可要因を示す要因コードをリジェクト判定部106に出力する(ステップS401)。
【0036】
ここで、
図5を用いて、本実施形態にかかる車間距離検出システムで用いる要因コードについて説明する。
図5は、第1の実施形態にかかる車間距離検出システムで用いる要因コードのビット列の一例を示す図である。
【0037】
図5に示すように、要因コードは、64ビットのビット列により表され、当該ビット列の各ビットにビットアサインした値によって、複数の検出不可要因を表すことが可能である。要因コードが「0」の場合、当該要因コードは、検出不可要因が特定されなかったことを示す。
図5に示すように、要因コードは、64ビットのうち、下位の32ビットで、カメラ画像の撮像条件に基づく検出不可要因を表す。また、要因コードは、64ビットのうち、中位の16ビットで、連続性判定処理または動作状態に基づく検出不可要因を表す。さらに、要因コードは、64ビットのうち、上位の16ビットで、道路事情または環境事情に基づく検出不可要因を表す。
【0038】
図4に戻り、リジェクト判定部106は、車間距離解析部103によって前車両2が検出できなかったか否かを判断する(ステップS402)。前車両2が検出できた場合(ステップS402:No)、リジェクト判定部106は、HTTP通信部108を介して、処理結果をサーバ5へ送信する(ステップS408)。一方、前車両2が検出できなかった場合(ステップS402:Yes)、リジェクト判定部106は、外部入出力部107から、動作情報を取得する(ステップS403)。そして、リジェクト判定部106は、取得した動作情報が示すプローブカー1の動作状態が、所定の動作状態に合致した場合、当該動作情報が示すプローブカー1の動作状態を検出不可要因として特定し、当該検出不可要因に対応する要因コードを設定する(ステップS403)。
【0039】
また、リジェクト判定部106は、所定のフレーム数連続して前車両2が検出できないか否かを判定する連続性判定処理を実行する(ステップS404)。そして、所定のフレーム数連続して前車両2が検出できないと判定した場合、リジェクト判定部106は、前車両2が連続して検出できないことを検出不可要因として特定し、当該検出不可要因に対応する要因コードを設定する(ステップS404)。
【0040】
次いで、リジェクト判定部106は、車間距離解析部103から出力された要因コードおよび当該リジェクト判定部106が設定した要因コードそれぞれを判定ポイントに変換する(ステップS405)。本実施形態では、リジェクト判定部106は、要因コードと、当該要因コードが示す検出不可要因と、当該検出不可要因が特定された場合に前車両2の検出結果の付与する判定ポイントと、を対応付けたテーブルT1を記憶している。そして、リジェクト判定部106は、テーブルT1において、設定された要因コードと対応付けて記憶された判定ポイントを、前車両2の検出結果に付与する。
【0041】
図6は、第1の実施形態にかかる車間距離検出システムで用いる要因コードの一例を示すテーブルである。例えば、
図6に示すように、リジェクト判定部106は、要因コードと、判定ポイントと、検出不可要因とを対応付けたテーブルT1を記憶している。そして、リジェクト判定部106は、検出不可要因が、車両としては検出できないが、車両の下側の一部のみを検出したことである場合、要因コード:2
0と対応付けて記憶された判定ポイント:−50を前車両2の検出結果に付与する。
【0042】
また、リジェクト判定部106は、検出不可要因が、車両としては検出できないが、車両の右側の一部のみを検出したことである場合、要因コード:2
1と対応付けて記憶された判定ポイント:−50を前車両2の検出結果に付与する。また、リジェクト判定部106は、検出不可要因が、車両を検出できたが、前車両2の車種(例えば、普通車または大型車)が検出できないことである場合、要因コード:2
4と対応付けて記憶された判定ポイント:−40を前車両2の検出結果に付与する。
【0043】
また、リジェクト判定部106は、検出不可要因が、大雨や雪等でワイパーを高速動作させたことである場合、要因コード:2
16と対応付けて記憶された判定ポイント:−30を前車両2の検出結果に付与する。また、リジェクト判定部106は、検出不可要因が、ハイビームの継続的な点灯である場合、要因コード:2
17と対応付けて記憶された判定ポイント:+10を前車両2の検出結果に付与する。
【0044】
また、リジェクト判定部106は、検出不可要因が、所定のフレーム数(例えば、10フレーム)連続して前車両2が検出できないことである場合、要因コード:2
24と対応付けて記憶された判定ポイント:+10を前車両2の検出結果に付与する。また、リジェクト判定部106は、検出不可要因が、前回検出した車間距離Lが所定距離(例えば、80m)以上である場合、要因コード:2
25と対応付けて記憶された判定ポイント:+10を前車両2の検出結果に付与する。また、リジェクト判定部106は、検出不可要因が、所定のフレーム数(例えば、5フレーム)連続して前車両2が検出できないことである場合、要因コード:2
26と対応付けて記憶された判定ポイント:−10を前車両2の検出結果に付与する。
【0045】
また、リジェクト判定部106は、検出不可要因が、急カーブ領域を走行していることである場合、要因コード:2
48と対応付けて記憶された判定ポイント:−30を前車両2の検出結果に付与する。また、リジェクト判定部106は、検出不可要因が、急勾配領域を走行していることである場合、要因コード:2
49と対応付けて記憶された判定ポイント:−30を前車両2の検出結果に付与する。また、リジェクト判定部106は、検出不可要因が、濃霧や大雪や大雨警報等が発令されている地域を走行していることである場合、要因コード:2
50と対応付けて記憶された判定ポイント:−20を前車両2の検出結果に付与する。
【0046】
図4に戻り、リジェクト判定部106は、前車両2の検出結果に付与された判定ポイントの合計が所定の閾値(例えば、+10)以上であるか否かを判定する(ステップS406)。そして、前車両2の検出結果に付与された判定ポイントの合計が所定の閾値以上である場合(ステップS406:Yes)、リジェクト判定部106は、HTTP通信部108を介して、処理結果をサーバ5へ送信する(ステップS408)。前車両2の検出結果に付与された判定ポイントの合計が所定の閾値より低い場合(ステップS406:No)、リジェクト判定部106は、車間距離Lの検出結果を無効化し、車間距離Lの検出処理を終了する(ステップS407)。
【0047】
次に、
図7を用いて、本実施形態にかかるサーバ10による車間距離Lの検出処理の流れの一例について説明する。
図7は、第1の実施形態にかかるサーバによる車間距離の検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0048】
位置変換部503は、HTTP通信部501によって処理結果を受信すると、当該処理結果が含むGPSデータを取得する。次いで、位置変換部503は、取得したGPSデータおよび地図情報記憶部504に記憶された地図情報に基づいて、プローブカー1が走行する道路の位置を特定する(ステップS701)。
【0049】
サーバ側リジェクト判定部502は、HTTP通信部501により受信した処理結果が含む前車両2の検出結果が、前車両2が検出できなかったことを示しているか否かを判定する(ステップS702)。前車両2の検出結果が、前車両2が検出できなかったことを示している場合(ステップS702:Yes)、学習データ制御部505は、位置変換部503により特定された道路が、学習データ記憶部506に記憶された道路事情に合致するか否かを判定する。そして、学習データ制御部505は、位置変換部503により特定された道路が道路事情に合致すると判定した場合、当該特定された道路を検出不可要因として特定し、当該検出不可要因を示す要因コードを設定する(ステップS703)。
【0050】
さらに、環境情報取得部507は、プローブカー1の位置の環境情報が、所定の環境情報と合致するか否かを判定する(ステップS704)。そして、環境情報取得部507は、プローブカー1の位置の環境情報が、所定の環境情報と合致したと判定した場合、当該プローブカー1の位置の環境情報を検出不可要因として特定し、当該検出不可要因を示す要因コードを設定する(ステップS704)。
【0051】
サーバ側リジェクト判定部502は、学習データ制御部505および環境情報取得部507により設定された各要因コードを判定ポイントに変換する(ステップS705)。そして、サーバ側リジェクト判定部502は、判定ポイントの合計が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS706)。ここで、判定ポイントの合計は、プローブカー1から受信した処理結果が含む判定ポイントと、学習データ制御部505および環境情報取得部507により設定された各要因コードを判定ポイントとの合計である。判定ポイントの合計が所定の閾値以上である場合(ステップS706:Yes)、サーバ側リジェクト判定部502は、前車両2の検出結果が正しいと判断して、前車両2が検出されなかったと判定する(ステップS707)。一方、判定ポイントの合計が所定の閾値より小さい場合(ステップS706:No)、サーバ側リジェクト判定部502は、前車両2の検出結果が誤っていると判断して、車間距離Lの検出結果を無効化する(ステップS708)。
【0052】
また、ステップS702において、前車両2が検出できたと判定した場合(ステップS702:No)、サーバ側リジェクト判定部502は、プローブカー1の走行速度と検出された車間距離Lに基づいて、当該車間距離Lが所定の有効検出範囲内であるか否かを判定する(ステップS709)。ここで、所定の有効検出範囲は、カメラ画像に基づいて、車間距離Lを検出可能な距離の範囲である。車間距離Lが所定の有効検出範囲内でないと判定した場合(ステップS709:No)、サーバ側リジェクト判定部502は、車間距離Lの検出結果を無効化する(ステップS708)。一方、車間距離Lが所定の有効検出範囲内であると判定した場合(ステップS709:Yes)、サーバ側リジェクト判定部502は、車間距離Lの検出結果に基づく道路交通情報等の推定を許可し、車間距離Lの検出処理を終了する。
【0053】
このように、第1の実施形態にかかる車間距離検出システムによれば、前車両2が検出できなかった場合に、実際に前車両2が存在しない可能性が高いケースでの車間距離Lの検出結果を用いて交通状況の推定や運転支援を行えるので、道路の空き状態を考慮した、より信頼性の高い交通状況の推定や運転支援を行うことができる。
【0054】
(第2の実施形態)
本実施形態は、前車両が検出されずかつプローブカーが停車している場合、前車両の検出結果に付与された判定ポイントを上げる例である。以下の説明では、第1の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0055】
本実施形態では、リジェクト判定部106は、前車両2が検出できず、かつ外部入出力部107により取得された動作情報が、プローブカー1が停車していることを示している場合、設定した各要因コードに応じた判定ポイントを所定値(例えば、+5)上げる。すなわち、リジェクト判定部106は、前車両2の検出に失敗しかつプローブカー1が停車している場合、プローブカー1が信号や踏切や料金所や道路工事や事故等において、車列の先頭で停車し、前車両2が無い可能性が高いことを考慮して、設定した各要因コードに応じた判定ポイントを上げる。
【0056】
このように、第2の実施形態にかかる車間距離検出システムによれば、前車両2が検出されずかつプローブカー1が車列の先頭で停車している場合に、設定した各要因コードに応じた判定ポイントの合計が所定の閾値を超え易くことができるので、前車両2が検出されずかつプローブカー1が車列の先頭で停車している場合に、車間距離Lの検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0057】
(第3の実施形態)
本実施形態は、連続性判定処理によって所定のフレーム数連続して前車両が検出されないと判定し、かつ最後に検出された車間距離が所定の有効検出範囲の上限より長い場合、前車両の検出結果に付与された判定ポイントを上げる例である。以下の説明では、第1の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0058】
本実施形態では、リジェクト判定部106は、連続性判定処理によって所定のフレーム数連続して前車両2が検出されないと判定し、かつ最後に検出された車間距離が所定の有効検出範囲の上限より長い場合、前車両2の検出結果に付与された判定ポイントを所定値(例えば、+5)上げる。すなわち、リジェクト判定部106は、前車両2がプローブカー1から徐々に離れている場合には、前車両2が無い可能性が高いことを考慮して、前車両2の検出結果に付与された判定ポイントを上げる。
【0059】
このように、第3の実施形態にかかる車間距離検出システムによれば、前車両2がプローブカー1から徐々に離れて行き、所定の有効検出範囲から外れた場合に、前車両2の検出結果に付与された判定ポイントの合計が所定の閾値を超え易くすることができるので、前車両2がプローブカー1から徐々に離れて行く場合に、車間距離Lの検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0060】
(第4の実施形態)
本実施形態は、外部装置から、前車両があることを示す前車両情報が入力された場合、車間距離の検出結果の無効化する例である。以下の説明では、第1の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0061】
本実施形態では、リジェクト判定部106は、HTTP通信部108を介して、サーバ5から、前車両2が検出された否かの検出結果を取得する。そして、リジェクト判定部106は、前車両2が検出されないと判定された場合、前車両2が検出されなかったことを示すメッセージを、外部入出力部107を介して、プローブカー1が備えるカーナビゲーションシステムの表示部に表示する。これより、リジェクト判定部106は、前車両2の検出結果を、プローブカー1の乗車者に通知する。
【0062】
その後、リジェクト判定部106は、前車両2が検出されないと判定された場合に、カーナビゲーションシステムが有する操作部またはマイクロフォン等を用いて、外部入出力部107を介して、前車両2があることを示す前車両情報が入力されると、車間距離Lの検出結果を無効化する。
【0063】
このように、第4の実施形態にかかる車間距離検出システムによれば、前車両2が検出できなかったが、実際には前車両2が存在する場合に、プローブカー1の乗車者により入力された前車両情報に基づいて、車間距離Lの検出結果を無効化することができるので、誤った車間距離Lの検出結果に基づいて道路交通情報の推定や運転支援が行われることを防止できる。
【0064】
(第5の実施形態)
本実施形態は、前車両が検出されず、かつ外部機器から、前車両が検出できないことを示す前車両情報が入力された場合、車間距離の検出結果の無効化する例である。以下の説明では、第1の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0065】
本実施形態では、リジェクト判定部106は、前車両2が検出されず、かつ外部入出力部107を介して、プローブカー1が備えるカーナビゲーションシステムの操作部若しくはマイクロフォン(外部装置の一例)から、前車両2の検出できないことを示す前車両情報が入力された場合、車間距離Lの検出結果を無効化する。
【0066】
このように、第5の実施形態にかかる車間距離検出システムによれば、雨や雪や霧等の影響で前車両2が存在するか否かを特定することが困難な場合には、車間距離Lの検出結果を無効化することができるので、誤った車間距離Lの検出結果に基づいて道路交通情報の推定や運転支援が行われることを防止できる。
【0067】
(第6の実施形態)
本実施形態は、前車両が検出されなかった場合、検出処理に用いたカメラ画像を、学習データ記憶部に保存する例である。以下の説明では、第1の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0068】
本実施形態では、リジェクト判定部106は、HTTP通信部108を介して、サーバ5から、サーバ側リジェクト判定部502による前車両2が検出されたか否かの判定結果を取得する。そして、リジェクト判定部106は、サーバ側リジェクト判定部502によって前車両2が検出されないと判定された場合、検出処理に用いたカメラ画像を取得し、当該取得したカメラ画像を、HTTP通信部108を介してサーバ5に送信する。
【0069】
サーバ側リジェクト判定部502は、HTTP通信部501を介して、制御装置10からカメラ画像を受信すると、当該受信したカメラ画像を、学習データ記憶部506(記憶部の一例)に保存する。
【0070】
このように、第6の実施形態にかかる車間距離検出システムによれば、車間距離Lの検出結果の解析を行う場合に、学習データ記憶部506に記憶されたカメラ画像を用いて、当該車間距離Lの検出結果の解析を行うことができる。また、学習データ記憶部506に記憶されたカメラ画像は、車間距離検出システムのメンテナンスに利用することができ、検出不可要因の追加や所定の閾値の変更等に用いることで、前車両2の検出精度を向上させることができる。
【0071】
(第7の実施形態)
本実施形態は、プローブカーが走行する道路が検出不可要因として特定された場合、当該道路の位置情報を、記憶部に保存する例である。以下の説明では、第1の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0072】
本実施形態では、学習データ制御部505は、位置変換部503により特定された道路が、道路事情に合致すると判定した場合、当該特定された道路の位置情報を、学習データ記憶部506(記憶部の一例)に保存する。そして、学習データ制御部505は、位置変換部503により特定された道路が、学習データ記憶部506に記憶された位置情報が示す道路と一致した場合に、当該特定された道路を検出不可要因として特定する。
【0073】
図8は、第7の実施形態にかかるプローブカーの制御装置による車間距離の検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明では、第1の実施形態において説明した
図4のフローチャートと同様の箇所については説明を省略する。本実施形態では、車間距離Lの検出結果を無効化した場合(ステップS409)、リジェクト判定部106は、設定された要因コードの中に、サーバ5において学習する検出不可要因の要因コードが含まれるか否かを判断する(ステップS801)。ここで、サーバ5において学習する検出不可要因は、撮像条件に基づく検出不可要因、学習データ制御部505により検出不可要因として特定される道路である。
【0074】
設定された要因コードの中に、学習する検出不可要因の要因コードが含まれる場合(ステップS801:Yes)、リジェクト判定部106は、HTTP通信部108を介して、処理結果をサーバ5へ送信する(ステップS408)。また、設定された要因コードの中に、学習する検出不可要因の要因コードが含まれない場合(ステップS801:No)、リジェクト判定部408は、サーバ5への処理結果の送信を行わずに、車間距離Lの検出処理を終了する。
【0075】
図9は、第7の実施形態にかかるサーバによる車間距離の検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明では、第1の実施形態において説明した
図7のフローチャートと同様の箇所については説明を省略する。本実施形態では、前車両2が検出されなかったと判定された後(ステップS707)、車間距離Lの検出結果が無効化された後(ステップS708)、若しくは車間距離Lが有効検出範囲内であると判定された後(ステップS709:Yes)、サーバ側リジェクト判定部502は、設定された要因コードの中に、学習する検出不可要因(学習データ制御部505により検出不可要因として特定された道路)の要因コードが含まれるか否かを判断する(ステップS901)。学習する検出不可要因の要因コードが含まれないと判断した場合(ステップS901:No)、サーバ側リジェクト判定部502は、車間距離Lの検出処理を終了する。一方、学習する検出不可要因の要因コードが含まれると判断した場合(ステップS901:Yes)、学習データ制御部505は、学習データ制御部505により検出不可要因として特定された道路の位置情報を学習データ記憶部506に保存する学習処理を実行する(ステップS902)。学習する検出不可要因の要因コードが含まれない場合(ステップS901:No)、サーバ側リジェクト判定部502は、車間距離Lの検出処理を終了する。
【0076】
このように、第7の実施形態にかかる車間距離検出システムによれば、学習データ記憶部506に記憶された道路事情だけでは特定できない道路を、検出不可要因として特定できるので、車間距離Lの検出精度をより向上させることができる。
【0077】
以上説明したとおり、第1から第7の実施形態によれば、道路の空き状態を考慮した、より信頼性の高い交通状況の推定や運転支援を行うことができる。
【0078】
なお、本実施形態の制御装置10およびサーバ5で実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。また、本実施形態の制御装置10およびサーバ5で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0079】
さらに、本実施形態の制御装置10およびサーバ5で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の制御装置10およびサーバ5で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0080】
本実施形態の制御装置10で実行されるプログラムは、上述した各部(画像受信部101、画像処理部102、車間距離解析部103、GPS通信部105、リジェクト判定部106、外部入出力部107、HTTP通信部108)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、画像受信部101、画像処理部102、車間距離解析部103、GPS通信部105、リジェクト判定部106、外部入出力部107、HTTP通信部108が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0081】
本実施形態のサーバ5で実行されるプログラムは、上述した各部(HTTP通信部501、サーバ側リジェクト判定部502、位置変換部503、学習データ制御部505、環境情報取得部507)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、HTTP通信部501、サーバ側リジェクト判定部502、位置変換部503、学習データ制御部505、環境情報取得部507が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。