特許第6523916号(P6523916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カヤバ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6523916-油圧機器 図000002
  • 特許6523916-油圧機器 図000003
  • 特許6523916-油圧機器 図000004
  • 特許6523916-油圧機器 図000005
  • 特許6523916-油圧機器 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523916
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】油圧機器
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/18 20060101AFI20190527BHJP
   F15B 15/14 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   F15B15/18
   F15B15/14 360
   F15B15/14 380D
   F15B15/14 345Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-210386(P2015-210386)
(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-82870(P2017-82870A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】高下 拓哉
【審査官】 前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−212503(JP,A)
【文献】 特開2014−037850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/18
F16F 9/00 − 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、前記シリンダ内を出没自在に移動すると共に前記シリンダ内を伸側室と圧側室に区画するピストンに連結されるロッドとを有するシリンダ本体と、
油路が形成された油路部材と、
油路が形成されたエクステンションとを備え、
前記油路部材の油路と前記シリンダ本体とは前記エクステンションを介して連通され、
前記油路部材の前記エクステンションへの連結位置と前記シリンダ本体の前記エクステンションへの連結位置が前記シリンダ本体の軸方向と周方向の一方又は両方でオフセットされる
ことを特徴とする油圧機器。
【請求項2】
シリンダと、前記シリンダ内を出没自在に移動すると共に前記シリンダ内を伸側室と圧側室に区画するピストンに連結されるロッドとを有するシリンダ本体と、
油路が形成された油路部材と、
油路が形成されたエクステンションとを備え、
前記シリンダ本体は、前記ロッド側に設けられる取付部材と、前記シリンダ側に設けられる取付部材とを備え、
前記油路部材の油路と前記シリンダ本体とは前記エクステンションを介して連通され、
前記油路部材は前記シリンダ側の取付部材から離れるように前記エクステンションに取り付けられる
ことを特徴とする油圧機器。
【請求項3】
シリンダと、前記シリンダ内を出没自在に移動すると共に前記シリンダ内を伸側室と圧側室に区画するピストンに連結されるロッドとを有するシリンダ本体と、
油路が形成されたエクステンションと、
前記シリンダを内部に収容する外筒と、
前記シリンダと前記外筒の間に形成され液体を収容するタンクと、
前記ピストンに設けられ前記圧側室から前記伸側室への液体の通過のみを許容するピストン通路と、
前記シリンダの一端を閉塞すると共に前記タンクから前記圧側室への液体の通過のみを許容する吸込通路を有するバルブケースと、
前記エクステンションの油路を介して前記伸側室と前記タンクを連通する油路を有する油路部材とを備え、
前記油路部材の油路の途中に開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁を設けた
ことを特徴とする油圧機器。
【請求項4】
シリンダと、前記シリンダ内を出没自在に移動すると共に前記シリンダ内を伸側室と圧側室に区画するピストンに連結されるロッドとを有するシリンダ本体と、
油路が形成されたエクステンションと、
前記シリンダを内部に収容する外筒と、
前記シリンダと前記外筒の間に形成され液体を収容するタンクと、
前記ピストンに設けられ前記圧側室から前記伸側室への液体の通過のみを許容するピストン通路と、
前記シリンダの一端を閉塞すると共に前記タンクから前記圧側室への液体の通過のみを許容する吸込通路を有するバルブケースと、
前記タンクから前記エクステンションの油路を介して前記伸側室に液体を供給するポンプと、前記ポンプを駆動するモータとを備える油路部材と、
液圧回路とを備え、
前記液圧回路は、
前記伸側室から前記圧側室への液体の通過のみを許容する第一バイパス路と、
前記第一バイパス路の途中に設けた第一開閉弁と、
前記圧側室から前記タンクへの液体の通過のみを許容する第二バイパス路と、
前記第二バイパス路の途中に設けた第二開閉弁と、
前記伸側室を前記タンクへ接続する排出通路と、
前記排出通路の途中に設けられて開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁とを備えた
ことを特徴とする油圧機器。
【請求項5】
前記シリンダ本体は一端を閉塞するエンドキャップを備え
前記エンドキャップに前記エクステンションが取り付けられる
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の油圧機器。
【請求項6】
前記シリンダ本体は他端に前記ロッドを支持するロッドガイドを備え
前記ロッドガイドに前記エクステンションが取り付けられる
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の油圧機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、油圧機器に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の車体と台車との間に介装されている油圧機器としては、減衰力の発揮により車体の振動を抑制するダンパやアクチュエータといった油圧機器が知られている。
【0003】
このような油圧機器にあっては、シリンダとシリンダ内を出入りするロッドと、ロッドの端部に設けられたピストンとで構成されたシリンダ本体にポンプとポンプを駆動するモータを備えたポンプユニット、さらにはシリンダ本体をダンパやアクチュエータとして機能させるためのバルブユニット等を装備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−322501
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ポンプユニットのシリンダ本体への装着方法には種々あるが、例えば、特許文献1に開示される油圧機器では、ポンプユニットはシリンダ本体に溶接して連結されると共に、2本の配管を設けてシリンダ内の圧側室と伸側室とを連通している。これにより、ポンプユニットの溶接位置と配管の長さと位置を変更すれば、ポンプユニットをシリンダ本体に対して任意の位置に位置決めできる。
【0006】
しかしながら、特許文献1の油圧機器では、配管によってポンプユニットをシリンダ内のピストンで区画される二室にそれぞれ連通しているため、ポンプユニットのシリンダ本体への装着位置に応じて伸側室と圧側室へ接続される配管の長さを都度設計する必要がある。そのため、装着位置の変更には高いコストがかかっていた。
【0007】
また、ポンプユニットを、シリンダの反ロッド側端部に設けられるキャップ部材にボルト締結して、固定する方法も考えられる。しかしながら、このようにポンプユニットを取り付けると、ポンプやモータがブラケットの近傍に配置されてしまいシリンダ本体の車両への取り付けが困難となる場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、ポンプユニット等の油路部材をシリンダ本体に対して任意の位置に位置決めできると共に、油路部材のシリンダ本体への装着を容易とする油圧機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段は、シリンダ内を出没自在に移動するロッドを備えるシリンダ本体と、油路が形成される油路部材とが、油路が形成されたエクステンションを介して連通している。この構成によると、配管を設けずに油路部材をシリンダ本体に容易に装着できるので曲げ加工を施した配管が不要となり、エクステンションの軸方向長さおよび径方向長さの分だけ油路部材をシリンダ本体に対してオフセットできる。
【0010】
また、前記油路部材の前記エクステンションへの連結位置と前記シリンダ本体の前記エクステンションへの連結位置が前記シリンダ本体の軸方向と周方向の一方又は両方でオフセットされるようにしてもよい。この構成によると、油圧機器を設置する場所に配置された障害物の位置に応じてエクステンションの装着位置を変えて、油路部材をシリンダ本体に対して任意の位置に取り付けできるため、油路部材が障害物に干渉しないように設定できる。
【0011】
また、前記シリンダ本体は、前記ロッド側に設けられる取付部材と、前記シリンダ側に設けられる取付部材とを備え、前記油路部材は前記シリンダ側の取付部材から離れるように前記エクステンションに取り付けられるようにしてもよい。この構成によると、油路部材がシリンダ側の取付部材またはこの取付部材に結合されたボルトなどの部材に干渉するのを確実に防止でき、油圧機器の固定の際に妨げとならない。
【0012】
また、前記シリンダ本体は一端を閉塞するエンドキャップを備え、前記エンドキャップに前記エクステンションが取り付けられるようにしてもよい。この構成によると、エクステンションに形成される油路とシリンダ本体を連通させる連絡通路との接続を容易にできる。さらに、油路部材がシリンダ本体のシリンダ側に設けられるため、シリンダ本体のロッド側に装着され飛び石や塵などからロッドをカバーするダストブーツが、油路部材に干渉する恐れがない。これにより、ダストブーツの材質や形状の自由度が向上する。
【0013】
また、前記シリンダ本体は他端に前記ロッドを支持するロッドガイドを備え、前記ロッドガイドに前記エクステンションが取り付けられるようにしてもよい。この構成によると、エクステンションに形成される油路とシリンダ本体を連通させる連絡通路との接続を容易にできる。
【0014】
また、前記ロッドが前記シリンダ内を伸側室と圧側室に区画するピストンを備え、前記シリンダを内部に収容する外筒と、前記シリンダと前記外筒の間に形成され液体を収容するタンクと、前記ピストンに設けられ前記圧側室から前記伸側室への液体の通過のみを許容するピストン通路と、前記シリンダの一端を閉塞すると共に前記圧側室への液体の通過のみを許容する吸込通路を有するバルブケースと、前記エクステンションの油路を介して前記伸側室と前記吸込通路を連通する油路を有する前記油路部材とを備え、前記油路部材の油路の途中に開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁を設けるようにしてもよい。この構成によると、油圧機器は、入力された振動に対して自動的に適当な減衰力を発揮するセミアクティブダンパとして機能する。
【0015】
また、前記シリンダを内部に収容する外筒と、前記シリンダと前記外筒の間に形成され液体を収容するタンクと、前記ピストンに設けられ前記圧側室から前記伸側室への液体の通過のみを許容するピストン通路と、前記シリンダの一端を閉塞すると共に前記タンクから前記圧側室への液体の通過のみを許容する吸込通路を有するバルブケースと、前記タンクから前記エクステンションの油路を介して前記伸側室に液体を供給するポンプと、前記ポンプを駆動するモータとを備える前記油路部材と、液圧回路とを備え、前記液圧回路は、前記伸側室から前記圧側室への液体の通過のみを許容する第一バイパス路と、前記第一バイパス路の途中に設けた第一開閉弁と、前記圧側室から前記タンクへの液体の通過のみを許容する第二バイパス路と、前記第二バイパス路の途中に設けた第二開閉弁と、前記伸側室を前記タンクへ接続する排出通路と、前記排出通路の途中に設けられて開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁とを備えてもよい。この構成によると、油圧機器は、入力された振動に対して適切な減衰力を能動的に発揮するアクチュエータとしてもパッシブダンパとしても機能する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の油圧機器によれば、油路部材をシリンダ本体の任意の位置に容易に位置決めできると共に、油路部材の取り付けにかかるコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第一実施形態に係る油圧機器を示す縦断面図である。
図2】第一実施形態に係る油圧機器の全体を示す斜視図である。
図3】可変リリーフバルブの他の実施の形態を示す回路図である。
図4】本実施の形態に係るエクステンションの全体を示す斜視図である。
図5】第二実施形態に係る油圧機器を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
【0019】
本実施の形態では、油圧機器は鉄道車両の車体の左右動を抑制するアクチュエータとされている。
【0020】
<第一実施形態>
以下、第一実施形態に係るアクチュエータAについて詳細に説明する。アクチュエータAは、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に出没自在に挿入されるロッド2と、内部にシリンダ1を収容する外筒3と、シリンダ1と外筒3との間に形成されるタンクTと、外筒3の一端である図1中左端に結合されるエンドキャップ4と、外筒3の他端である図1中右端に結合される環状のロッドガイド6とを備えて構成されるシリンダ本体Sと、シリンダ本体Sの一方側にエクステンション40を介して装着される油路部材としてのポンプユニット30と、シリンダ本体Sの他方側に装着されるバルブユニット20を備えて構成される。
【0021】
シリンダ1は、筒状であって、図1中左端となる一端がバルブケース9によって閉塞され、図1中右端となる他端には、ロッドガイド6が嵌合されている。また、ロッドガイド6内には、シリンダ1内に出没自在に挿入されるロッド2が摺動自在に挿入されている。このロッド2は、一端をシリンダ1外へ突出させており、シリンダ1内の他端を同じくシリンダ1内に摺動自在に挿入されるピストン8に連結してある。
【0022】
さらに、シリンダ1は、内方に摺動自在に挿入されるピストン8によって、図1中右方の伸側室R1と図1中左方の圧側室R2とに区画されており、伸側室R1と圧側室R2には、作動油等の液体が充填されている。また、ロッド2の一端である図1中右端には、鉄道車両の台車と車体のいずれか一方に連結可能な取付部材であるブラケット2aが設けられている。図1に示すように、ブラケット2aは、ロッド2に対して直交する径方向に貫通して取り付けられており、ブラケット2aの先端には、それぞれ一対のボルト孔2b,2bが設けられている。そして、図示しないが、ブラケット2aと鉄道車両の台車と車体にそれぞれ車体側又は台車側に延びる連結部材が設けられ、鉄道車両にアクチュエータAを設置する際には、ボルト孔2b,2bにボルトを挿入し、上記連結部材とブラケット2aがボルト締結される。
【0023】
ピストン8には、圧側室R2と伸側室R1とを連通すると共に途中に逆止弁11aを備えたピストン通路11が設けられている。逆止弁11aは、圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れのみを許容するようになっており、ピストン通路11は、一方通行の通路に設定されている。
【0024】
バルブケース9は、前記したように、シリンダ1の端部を閉塞する部材であって、中央に設けた貫通孔9aと、タンクTと圧側室R2を連通すると共に途中に逆止弁12aを備えた吸込通路12を備えている。バルブケース9の左端中央には、軸方向に延びる軸部9bが設けられていて、貫通孔9aは、軸部9bの先端から開口してバルブケース9の右端に通じている。吸込通路12は、バルブケース9の左端であって軸部9bを避ける位置から右端へ通じている。また、逆止弁12aは、タンクTから圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容するようになっており、吸込通路12は、一方通行の通路に設定されている。
【0025】
本実施の形態に係るロッドガイド6は、外筒3の図1中右端に嵌合される外周嵌合部6aと、シリンダ1の図1中右端に嵌合される内周嵌合部6bを備えて構成される。また、ロッドガイド6には、タンクTに対向する面に嵌合孔6cが設けられると共に、嵌合孔6cと伸側室R1とを連通する流路6dが形成されている。
【0026】
エンドキャップ4は、外筒3の図1中左端である一端に溶接によって取り付けられていて、外筒3の一端を閉塞している。エンドキャップ4の図1中左端には、鉄道車両の台車と車体のいずれか他方に連結可能な取付部材であるブラケット4aが設けられている。ブラケット4aは、エンドキャップ4の図1中左端に連結され、ロッド2と同一軸上に設けられるロッド体4jと、ロッド体4jに対して直交する径方向に貫通して取り付けられたブラケット部4kを備えて構成される。さらに、ブラケット部4kの両端には、一対のボルト孔4m,4mが設けられている。そして、図示しないが、鉄道車両にアクチュエータAを設置する際には、ボルト孔4m,4mにボルトを挿入し、ロッド2の端部に設けられたブラケット2aとボルト締結された鉄道車両の車体又は台車に設けられた連結部材とは反対の連結部材にボルト締結される。
【0027】
また、エンドキャップ4の図1中右端には、外筒3に嵌合される筒状の嵌合部4bと、シリンダ1の左端およびバルブケース9が嵌合される凹部4cと、凹部4cよりも外周側に開口する嵌合孔4dが設けられている。
【0028】
凹部4cは、バルブケース9およびシリンダ1の外径よりも内径が大径な大径部4c1と、大径部4c1の左端に連なり大径部4c1よりも内径が小径な中径部4c2と、中径部4c2の左端に連なり中径部4c2よりも内径が小径な小径部4c3を備えている。この凹部4cに、バルブケース9が嵌合されたシリンダ1端が挿入されると、バルブケース9の軸部9bが前記小径部4c3に挿入されて、シリンダ1及びバルブケース9が径方向に位置決めされるようになっている。また、中径部4c2は、バルブケース9の外径よりも小径となっており、大径部4c1内にシリンダ1およびバルブケース9が挿入されると、バルブケース9が大径部4c1と中径部4c2との間の段部に着座し、バルブケース9の左方に空隙が生じる。大径部4c1と、シリンダ1およびバルブケース9の間には、タンクTに通じる環状隙間が形成され、この環状隙間は、前記大径部4c1と中径部4c2にかけて形成される溝4c4を介して前記空隙に通じている。この空隙は、バルブケース9に設けた吸込通路12に面しており、吸込通路12は、環状隙間および空隙を通じてタンクTへ連通され、圧側室R2とタンクTの連通が確保されている。
【0029】
タンクTには、液体のほかに気体が充填されている。タンクT内は、特に、気体を圧縮して充填して加圧状態とする必要は無い。さらに、タンクT内には、エンドキャップ4の嵌合孔4dとロッドガイド6の嵌合孔6cに端部がそれぞれ挿入され、エンドキャップ4とロッドガイド6とで挟持されると共に、タンクTとは隔絶される通路を形成するパイプ7が設けられている。
【0030】
そして、上記したように、嵌合孔6cは、伸側室R1に連通する流路6dと接続しているため、パイプ7内は伸側室R1に連通している。
【0031】
また、エンドキャップ4には、側方からそれぞれ開口されてパイプ7を介して伸側室R1に連通する連絡通路4e,4fと、側方から開口されてバルブケース9に設けられた貫通孔9aを介して圧側室R2に連通する連絡通路4gと、側方からそれぞれ開口されてタンクT内に連通する連絡通路4h,4iが設けられている。
【0032】
そして、エンドキャップ4の一方側の側方にはエクステンション40を介してポンプユニット30が装着されている。エクステンション40内には、第一油路41aと第二油路41bの二本の流路で構成される油路41が設けられており、ポンプユニット30は、エンドキャップ4の連絡通路4i,4fと第一油路41aを介して、タンクT内から液体を吸込み、第二油路41bとパイプ7を介して伸側室R1に吐出する。つまり、ポンプユニット30はタンクTからエクステンション40の油路41を介して伸側室R1に液体を供給する。
【0033】
具体的に説明すると、ポンプユニット30は、液体を送り出し可能なポンプ本体P1を備えるポンプPと、ポンプPを駆動するモータMと、反ロッド側である一端にポンプPを保持し、ロッド側である他端にモータMを連結して保持するホルダHを備えて構成されると共に、ポンプPの吐出口を伸側室R1に、吸込口をタンクTに連通する油路31が形成されている。なお、モータMとポンプPの位置関係はこれに限られず、ポンプPをホルダHのロッド側に連結し、ホルダHの反ロッド側にモータMを連結するようにしてもよい。
【0034】
また、ホルダHには同じ側の側方にそれぞれ開口される吸込油路31aと吐出油路31bが設けられている。さらに、ポンプPには吸込油路31aから液体が流入し、ポンプ本体P1を通って吐出油路31bに連通するポンプ油路31cが形成されている。したがって、ポンプユニット30に形成される油路31は、吸込油路31aとポンプ油路31cと吐出油路31bによって構成されている。また、油路31に流入する液体が吸込油路31aから吸込まれ、吐出油路31bから吐出されるように、吐出油路31bの途中には、吐出油路31bへの液体の逆流を阻止する逆止弁32が設けられている。
【0035】
モータMは、ホルダHを貫通してポンプ本体P1に連結されるシャフトM1を備えており、モータMが駆動するとシャフトM1が回転駆動する。これにより、ポンプ本体P1が、タンクTから液体を吸込み、伸側室R1へ液体を吐出する。なお、本実施の形態において、ポンプPは、ギアポンプが使用されているが、ポンプPはこれに限定されない。
【0036】
エクステンション40は、油路部材であるポンプユニット30をシリンダ本体Sに連結する部材であって、図1図4に示すように、内部に第一油路41aと、第二油路41bの二本の流路で構成される油路41が形成されている。そして、エクステンション40の第一油路41aは、エンドキャップ4に設けられる連絡通路4iにポンプユニット30に設けられる吸込油路31aを接続させており、第二油路41bは、吐出油路31bに連絡通路4fを接続させている。これにより、ポンプユニット30の油路31は、ポンプ本体P1により、連絡通路4iを介してタンクTから液体を吸込み、吐出油路31bから連絡通路4f、パイプ7及び流路6dを介して伸側室R1に液体を供給できる。
【0037】
エンドキャップ4の他方側の側方には、バルブユニット20が装着されている。バルブユニット20は、連絡通路4e,4h,4gを介してシリンダ本体S内に連通する液圧回路21と、液圧回路21内に第一開閉弁25と第二開閉弁27と可変リリーフ弁29を備え、これらの弁を切り替えてアクチュエータAを能動的に伸縮駆動させる。
【0038】
液圧回路21は、一端が連絡通路4eに接続されると共に他端が連絡通路4gに連通される通路24と、通路24の途中に設けた第一開閉弁25と、一端が通路24の途中であって第一開閉弁25と連絡通路4gとの間を連絡通路4hに連通する通路26と、通路26の途中に設けた第二開閉弁27と、通路24から分岐されて通路26へ接続される通路28と、通路28に設けた可変リリーフ弁29を備えて構成される。
【0039】
そして、通路24および連絡通路4e,4gは、圧側室R2に連通されると共にパイプ7を介して伸側室R1に連通される第一バイパス路Bp1を構成している。
【0040】
また、通路26および連絡通路4g,4hは、圧側室R2とタンクTとを連通する第二バイパス路Bp2を構成している。
【0041】
また、通路28および連絡通路4e,4hは、タンクTに連通されると共にパイプ7を介して伸側室R1に連通される油路としての排出通路Epを構成している。
【0042】
第一開閉弁25は、第一バイパス路Bp1の途中に設けられる電磁開閉弁であって、連通ポジションと遮断ポジションを備えたバルブ25aと、バルブ25aが遮断ポジションを採るように附勢するバネ25bと、通電時にバルブ25aをバネ25bに対抗して連通ポジションに切り替えるソレノイド25cとを備えて構成されている。
【0043】
第二開閉弁27は、第二バイパス路Bp2の途中に設けられる電磁開閉弁であって、第一開閉弁25と同様に連通ポジションと遮断ポジションとを備えたバルブ27aと、遮断ポジション側にバルブ27aを附勢するバネ27bと、通電時にバルブ27aを連通ポジションに切換えるソレノイド27cとを備えて構成されている。
【0044】
可変リリーフ弁29は、排出通路Epの途中に設けられる比例電磁リリーフ弁であって、通路28の途中に設けた弁体29aと、通路28を遮断するように弁体29aを附勢するバネ29bと、通電時にバネ29bに対抗する推力を発生する比例ソレノイド29cとを備えて構成される。これにより、比例ソレノイド29cに流れる電流量を調節すると可変リリーフ弁29の開弁圧を調節できるようになっている。
【0045】
このように構成されたアクチュエータAでは、ポンプPから所定の吐出流量を伸側室R1へ供給するようにしつつ、第一開閉弁25を連通ポジションとし第二開閉弁27を遮断ポジションとすると、伸側室R1と圧側室R2とが連通状態におかれる。これにより、伸側室R1と圧側室R2の両方にポンプPから液体が供給されて、伸側室R1および圧側室R2の容積の総和が増大し、ロッド2がシリンダ1から図1中右方へ押し出されてアクチュエータAは伸長作動を呈する。伸側室R1内および圧側室R2内の圧力が可変リリーフ弁29の開弁圧を上回ると、可変リリーフ弁29が開弁して液体が連絡通路4hを介してタンクTへ排出される。よって、伸側室R1内および圧側室R2内の圧力は、可変リリーフ弁29に与える電流量で決まる可変リリーフ弁29の開弁圧にコントロールされる。そして、アクチュエータAは、ピストン8における圧側室R2側と伸側室R1側の受圧面積差に前記した可変リリーフ弁29によってコントロールされる伸側室R1内および圧側室R2内の圧力を乗じた値に等しい伸長方向の推力を発揮する。
【0046】
また、ポンプPから所定の吐出流量を伸側室R1へ供給するようにしつつ、第一開閉弁25を遮断ポジションとし、第二開閉弁27を連通ポジションとすると、伸側室R1にのみ液体が供給されて伸側室R1が拡大する。反対に収縮する圧側室R2内からは第二開閉弁27を通じて液体がタンクTへ排出される。すると、ピストン8が図1中左方へ押されアクチュエータAは収縮作動を呈する。この場合、圧側室R2の圧力はタンク圧となって一定となり、伸側室R1の圧力は可変リリーフ弁29の開弁圧にコントロールされる。そして、前記したところと同様に、可変リリーフ弁29の電流量の調節により、アクチュエータAは、ピストン8における伸側室R1側の受圧面積と可変リリーフ弁29にコントロールされる伸側室R1内の圧力を乗じた値に等しい収縮方向の推力を発揮する。
【0047】
また、第一開閉弁25と第二開閉弁27を共に遮断ポジションとすると、ピストン通路11及び吸込通路12と排出通路Epで伸側室R1と圧側室R2及びタンクTを数珠繋ぎに連通する。そして、これらの数珠繋ぎの通路は一方通行に設定される。そのため、アクチュエータAが外力によって伸縮させられると、必ず伸側室R1から液体が排出されて可変リリーフ弁29を通ってタンクTへ戻され、シリンダ1内で不足する液体は吸込通路12を介してタンクTから圧側室R2へ供給される。この液体の流れに対して可変リリーフ弁29が抵抗となってシリンダ1内の圧力を開弁圧に調節する圧力制御弁として機能するので、アクチュエータAは、パッシブなユニフロー型のダンパとして機能できる。また、アクチュエータAの各部への通電が不能となるようなフェール時には、第一開閉弁25と第二開閉弁27のバルブ25a,27aがバネ25b,27bに押圧されて、それぞれ遮断ポジションを採る。そして、可変リリーフ弁29は、開弁圧が最大に固定された圧力制御弁として機能するので、アクチュエータAは、自動的に、パッシブダンパとして機能する。
【0048】
このように、このアクチュエータAにあっては、アクチュエータとして機能するだけでなく、モータMの駆動状況に関わらずダンパとしても機能でき、面倒かつ急峻な弁の切換動作を伴わないので、応答性および信頼性が高いシステムを提供できる。
【0049】
なお、本実施の形態に係る可変リリーフ弁29を、図3に示す回路Vに変更してもよい。この回路Vは、並列に設けられる第1,第2,第3の三つの流路50,55,53を有し、第1の流路50には可変リリーフ弁51が、第2の流路55にはリリーフ弁52と開閉弁54が、第3の流路53には絞り53aが設けられて構成される。そして、開閉弁54へ通電しない場合、開閉弁54は開弁し、開閉弁54へ通電する場合、開閉弁54は閉弁し、電流量によって可変リリーフ弁51の開弁圧を制御できるようになっている。開閉弁54の開弁時にはリリーフ弁52によって回路Vを通過する液体の流れに抵抗を与え、開閉弁54の閉弁時には可変リリーフ弁51によって回路Vを通過する液体の流れに抵抗を与える。
【0050】
以上より、回路Vを用いてもアクチュエータAは推力の制御が可能でパッシブダンパとしても機能できる。
【0051】
次に、本実施の形態において、シリンダ本体Sの側方にエクステンション40を介してポンプユニット30を取り付けるための構成と取り付けの手順について詳細に説明する。
【0052】
エクステンション40は、図4に示すように、シリンダ本体S側に取り付けられるシリンダ側連結部45と、シリンダ側連結部45に連設しポンプユニット30側に取り付けられる油路部材側連結部46を備えて構成される。シリンダ側連結部45と油路部材側連結部46にはそれぞれボルト孔43,44が4個ずつ設けられている。
【0053】
そして、シリンダ側連結部45に設けられたボルト孔43と油路部材側連結部46に設けられたボルト孔44にそれぞれボルトを挿入して、シリンダ側連結部45をシリンダ本体Sのエンドキャップ4に、油路部材側連結部46をポンプユニット30のホルダHに連結する。
【0054】
また、本実施の形態においては、ボルト孔43,44はそれぞれ4個ずつ設けられているが、ポンプユニット30を支持できればよく、ボルト孔43,44の数はこれに限定されない。
【0055】
このようにポンプユニット30をシリンダ本体Sに連結すると、エクステンション40の一方側とエンドキャップ4の連結位置と、エクステンション40の他方側とホルダHの連結位置の離間距離分だけ、ポンプユニット30がシリンダ本体Sからオフセットされる。
【0056】
このオフセット量は、エクステンション40の取り付け時にシリンダ本体Sの軸方向に沿って延びる軸方向長さL1と、同じく取り付け時にシリンダ本体Sの径方向に延びる径方向長さL2で決定される。そのため、エクステンション40の軸方向長さL1を変えればポンプユニット30はシリンダ本体Sに対し軸方向にオフセットされ、径方向長さL2を変えればポンプユニット30はシリンダ本体Sに対し径方向にオフセットされる。
【0057】
すなわち、エクステンション40を軸方向長さL1または径方向長さL2の一方もしくは両方の長さの異なる別のエクステンション40と取り換えれば、ポンプユニット30をシリンダ本体Sに対して軸方向と径方向の一方又は両方で任意の位置に位置決めできる。
【0058】
さらに、エクステンション40はシリンダ本体Sの周方向に自在に取り付けできるので、軸方向と径方向に加えて、周方向にもポンプユニット30を任意の位置に位置決めできる。
【0059】
したがって、本発明によれば、シリンダ本体Sのエンドキャップ4に設けられる連絡通路4e−4iの開口位置などを変更せずに、ポンプユニット30の装着位置を任意の位置に調整できる。
【0060】
また、本実施の形態においてはエクステンション40のシリンダ側連結部45と油路部材側連結部46は連設しているが、シリンダ側連結部45と油路部材側連結部46の間に中間部材を設けてもよい。
【0061】
この中間部材は任意の形状で良く、例えば中間部材をシリンダ本体Sの軸方向に沿う方向に長くすれば、エクステンション40の軸方向長さL1を長くできる。また、中間部材をシリンダ本体Sから径方向に延びるような形状にすれば、エクステンション40全体の厚みを大きくせずとも、エクステンション40の径方向長さL2を大きくできる。
【0062】
したがって、シリンダ側連結部45と油路部材側連結部46の間に中間部材を設ければ、中間部材の長さや形状を変えるだけで任意の軸方向長さL1と径方向長さL2を備えるエクステンション40を製造できる。
【0063】
また、シリンダ本体Sのエンドキャップ4の形状は、図2に示すように、四角形の角の一つを斜めに切り落としてできる形状の底面とする角柱とされており側面の一つが傾斜面となっている。また、エクステンション40は、上記傾斜面を装着面として、この装着面に当接できるように外形形状が直方体になっている。
【0064】
なお、エクステンション40の外形形状は、エンドキャップ4への装着面の形状と対応する形状とすれば良く、例えば、エンドキャップ4が円筒状の場合には、エクステンション40のエンドキャップ4側の装着面をエンドキャップ4の外周形状に合わせた湾曲面にしてもよい。このように、エクステンション40の外形形状をシリンダ本体S側の装着面の形状に合わせて変更すれば、上記装着面がどのような形状であってもエクステンション40を連結できるため、ポンプユニット30も装着できる。
【0065】
また、上述したように、本実施の形態においては、四角形の角の一つを斜めに切り落としてできるエンドキャップ4の装着面にポンプユニット30がエクステンション40を介して装着されている。そのため、ポンプユニット30をシリンダ本体Sの重心の近くに位置決めできる。ここで、油圧機器の駆動時にポンプユニット30にかかる軸回りの慣性モーメントは、ポンプユニット30の重心とシリンダ本体Sの重心との径方向の距離に応じて決定され、この距離が長いほどポンプユニット30にかかる慣性モーメントが大きくなる。したがって、本実施の形態においてはポンプユニット30シリンダ本体Sの重心の近くに位置決めできるため、アクチュエータAの駆動時にポンプユニット30に慣性モーメントがかかり難くなる。
【0066】
また、ポンプユニット30をシリンダ本体Sに取り付ける順序を説明すると、まず、エクステンション40のボルト孔44にボルトを挿入し、ホルダHのみをエクステンション40の油路部材側連結部46と連結する。次に、エクステンション40のボルト孔43にボルトを挿入し、エクステンション40のシリンダ側連結部45をシリンダ本体Sのエンドキャップ4に連結して、ホルダHをシリンダ本体Sに連結する。その後、ホルダHにモータMとポンプPを取り付けて、ポンプユニット30はシリンダ本体Sに取り付けられる。
【0067】
この手順によると、ボルト孔43にボルトを挿入する際に、ポンプPがホルダHに取り付けられていないため、ポンプPが邪魔にならず、スムーズにボルトを挿入できる。また、本実施の形態においては、ポンプPはホルダHの反ロッド側に連結保持されるため、ポンプユニット30の取り付け後には、図2に示すように、ポンプPがエクステンション40のボルト孔43の正面に配置される。これにより、万が一ボルト孔43に挿入されたボルトが緩んだとしても、ポンプPがボルト孔43に蓋をする格好になるため、ボルトの落下を防止できる。
【0068】
また、本実施の形態においては、図2に示すように、ポンプユニット30を、エクステンション40によって、シリンダ本体Sに対して周方向にオフセットして、シリンダ本体Sの斜め上に取り付けられている。これにより、ポンプユニット30をシリンダ本体Sからオフセットしてシリンダ本体Sの側方にスペースが確保できる。
【0069】
また、図1に示すように、シリンダ本体Sのロッドガイド6の外周と、ロッド2の先端に設けた環状のブーツ保持部2cの外周とに、ダストブーツ33が取り付けられている。このダストブーツ33は、ロッド2の外周を覆って、ロッド2のロッドガイド6への摺動面をダストや飛び石から保護するようになっている。本実施の形態においては、ポンプユニット30はエクステンション40を介してエンドキャップ4に連結して反ロッド側であるシリンダ1側に装着されているため、ポンプユニット30が、ロッド2の先端に装着されたダストブーツ33と干渉する恐れがない。
【0070】
なお、本実施の形態においては、ポンプユニット30を油路部材とし、エクステンション40を介してシリンダ本体Sに装着されているが、ポンプユニット30を省略し、バルブユニット20を油路部材とするセミアクティブダンパとしてもよい。この場合には、バルブユニット20には伸側室R1とタンクTを連通する油路としての排出通路Epと、排出通路Epの途中に設けられる可変リリーフ29を有していればよい。これにより、ロッド2が外力によって伸縮すると、シリンダ内の液体が常に可変リリーフ29を通過するので、可変リリーフ29の開弁圧に応じた減衰力が発揮されて、セミアクティブダンパとして機能する。
【0071】
あるいは、ポンプユニット30とバルブユニット20の両方を油路部材とし、それぞれがエクステンション40を介してシリンダ本体Sに装着されるようにしてもよい。この構成では、ポンプユニット30とバルブユニット20のいずれであってもシリンダ本体Sに対してオフセットできる。
【0072】
次に第一実施形態に係る発明の効果について説明する。本発明の油圧機器では、油路Ep,31が形成された油路部材20,30とシリンダ本体Sを備え、油路部材20,30の油路Ep,31をシリンダ本体S内に連通する油路41を有するエクステンション40を介して、シリンダ本体Sと油路部材20,30とを連結するようにした。よって、配管を設けずに、油路部材20,30をシリンダ本体Sに装着できる。これにより、配管を溶接して油路部材20,30をシリンダ本体Sに対して位置決めする場合に比べて、組立ての手間を省略しコストを削減できる。また、この構成によると、シリンダ本体Sに対して油路部材20,30をエクステンション40の軸方向長さL1および径方向長さL2の分だけオフセットできる。そのため、シリンダ本体Sについて設計変更せずに、エクステンション40の変更のみでオフセット量を変更できる。これにより、油圧機器が設置される場所、例えば鉄道車両であれば車体と台車の間に配設されているブレーキ配管等の障害物の位置に応じて軸方向長さL1および径方向長さL2を調節したエクステンション40を用いれば、障害物を避けて油路部材20,30を装着できる。したがって、油圧機器の鉄道車両等への搭載性が向上する。
【0073】
また、本発明の油圧機器は、油路部材20,30のエクステンション40への連結位置とシリンダ本体Sのエクステンション40への連結位置がシリンダ本体Sの軸方向と周方向の一方又は両方でオフセットされる。この構成によると、油路部材20,30がシリンダ本体Sに対して任意の位置に位置決めできるため、障害物の位置に応じて、油路部材20,30をシリンダ本体Sに取り付けできる。よって、油圧機器の鉄道車両等への搭載性が向上する。
【0074】
また、本発明の油圧機器では、油路部材20,30はシリンダ1側の取付部材4aから離れるようにエクステンション40に取り付けされる。油圧機器を例えば鉄道車両の車体と台車の間に設置する場合には、取付部材4aにボルトを挿入して油圧機器を固定する。この構成によると、油路部材20,30は取付部材4aから離れた位置に装着されるため、油路部材20,30が取付部材4aに結合されたボルトなどの部材に干渉するのを確実に防止でき、油圧機器の固定の際に妨げとならない。
【0075】
また、本発明の油圧機器は、エクステンション40をシリンダ本体Sの一端を閉塞するとともに取付部材4aを有するエンドキャップ4に取り付けている。エクステンション40を外筒3に連結する場合には外筒3に油路部材20,30とシリンダ本体S内を連通する油路を新たに設ける必要が生じる。この構成では、エクステンション40をエンドキャップ4に取り付けているため、エクステンション40に形成される油路41とエンドキャップ4の側方から開口する連絡通路4e,4f,4iの接続を容易にできる。さらに、この構成によると、油路部材20,30がシリンダ本体Sのシリンダ1側に設けられるため、ロッド2側に装着され飛び石や塵などからロッド2をカバーするダストブーツ33と、油路部材20,30が離間し、油圧機器の駆動時にも油路部材20,30に干渉する恐れがない。これにより、ダストブーツ33の材質や形状の自由度が向上する。そのため、特に油圧機器が鉄道車両の車体と台車の間に設置される場合には、飛び石などの強い衝撃に対して強い鉄製のダストブーツを採用できる。
【0076】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態のアクチュエータBについて説明する。アクチュエータBは、図5に示すように、エクステンション40がシリンダ1の図中右端である他端に設けられるロッド2を支持するロッドガイド60に取り付けられている点でアクチュエータAと異なる。
【0077】
ここでは上述した第一実施形態に係るアクチュエータAとの異なる点を中心に説明し、同様の機能を有する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
アクチュエータBのロッドガイド60は、図5に示すように、側方から開口して伸側室R1に連通される連絡通路60aと、側方から開口してタンクTに連通される連絡通路60bが形成されている。そして、連絡通路60bは、エクステンション40の第一油路41aを介して、油路部材としてのポンプユニット30の吸込油路31aに接続しており、連絡通路60aは、エクステンション40の第二油路41bを介して、吐出油路31bに接続する。
【0079】
これにより、モータMの駆動によって、シャフトM1が回転駆動し、ポンプ本体P1が連絡通路60bと第一油路41aを介して、タンクTから液体を吸込み、第二油路41bと連絡通路60aを介して伸側室R1に液体を供給できる。
【0080】
アクチュエータBの上記した以外の構成は、第一実施形態に係るアクチュエータAと共通しており、第一開閉弁25、第二開閉弁27および可変リリーフ弁29を切り替えて、アクチュエータBを能動的に伸縮駆動できる。
【0081】
よって、第二実施形態に係る発明についても第一実施形態に係る発明と同様の効果を奏する。
【0082】
また、第二実施形態に係る発明においては、エクステンション40をシリンダ本体Sの他端に設けられロッド2を支持するロッドガイド60に取り付けている。この構成では、エクステンション40をロッドガイド60に取り付けているため、エクステンション40を外筒に連結する場合に比べて、エクステンション40に形成される油路41とロッドガイド60の側方から開口する連絡通路60a,60bの接続を容易にできる。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
【符号の説明】
【0084】
1・・・シリンダ、2・・・ロッド、2a,4a・・・ブラケット(取付部材)、3・・・外筒、4・・・エンドキャップ、6,60・・・ロッドガイド、8・・・ピストン、9・・・バルブケース、11・・・ピストン通路、20・・・バルブユニット(油路部材)、21・・・液圧回路、25・・・第一開閉弁、27・・・第二開閉弁、29,50・・・可変リリーフ弁、30・・・ポンプユニット(油路部材)、31・・・油路、40・・・エクステンション、41・・・油路、Bp1・・・第一バイパス路、Bp2・・・第二バイパス路、Ep・・・排出通路(油路)、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室、S・・・シリンダ本体、T・・・タンク
図1
図2
図3
図4
図5