特許第6523924号(P6523924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523924
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】シートシャッター
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/58 20060101AFI20190527BHJP
【FI】
   E06B9/58 A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-219256(P2015-219256)
(22)【出願日】2015年11月9日
(65)【公開番号】特開2017-89195(P2017-89195A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(72)【発明者】
【氏名】大川 剛
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−84617(JP,A)
【文献】 特開2004−360387(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/168748(WO,A2)
【文献】 特開2013−238013(JP,A)
【文献】 実開昭59−190822(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0277941(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0158313(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部の幅方向両端に立設したガイドレールと、
シャッターカーテンを形成するシートと、
前記シートの幅方向両端部に高さ方向に亘って設けられた複数のガイド要素と、を有し、
前記シートに所定以上の負荷が作用したときに、前記ガイド要素を含むシート端部をガイドレールのガイド溝から離脱させるシートシャッターにおいて、
前記ガイドレールの上方部位あるいは高さ方向中途部位には、ガイドレールから離脱した前記シート端部を、シート上昇時にガイド溝内に復帰させるための下向き開口状のガイド部が設けてあり、
前記シートは、メインシートの幅方向左右両端部位に、前記ガイド要素を縁部に備えた左右の端部シートを重ね合わせて接着することで形成されており、
メインシートと端部シートを接着してなる重ね合わせ部の下端部位には、メインシートと端部シートを圧着固定する剥離防止手段が設けられ、
前記剥離防止手段は、前記重ね合わせ部のメインシートに密着する第1頭部と、前記重ね合わせ部の端部シートに密着する第2頭部と、前記重ね合わせ部を貫通し、前記第1頭部と前記第2頭部を連結する連結部と、からなり、
前記第1頭部及び前記第2頭部は、離脱したシート端部の復帰時に前記ガイド部に対して当該第1頭部及び第2頭部をガイドするガイド機能を発揮する形状を備えている、
シートシャッター。
【請求項2】
前記形状は、離脱したシート端部の復帰時に、前記第1頭部あるいは前記第2頭部が前記ガイド部に接触した際の衝撃を逃がし、あるいは/および、緩和するものである、
請求項1に記載のシートシャッター。
【請求項3】
前記第1頭部及び前記第2頭部は、円形状の扁平体である、
請求項1、2いずれか1項に記載のシートシャッター。
【請求項4】
前記シートに対する第1頭部及び第2頭部の突出寸法は、前記シートに対する前記ガイド要素の突出寸法よりも小さい、
請求項1〜3いずれか1項に記載のシートシャッター。
【請求項5】
前記シートに対する第1頭部及び第2頭部の突出寸法は、前記ガイドレールのガイド溝の開口溝の幅、及び、前記ガイド部のガイド溝の開口溝の幅よりも大きい。
請求項4に記載のシートシャッター。
【請求項6】
前記剥離防止手段は、建物開口部全開時において、前記ガイド部の下端よりも上方に位置している、
請求項1〜5いずれか1項に記載のシートシャッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートシャッターに係り、詳しくは、所定以上の負荷がシート状のシャッターカーテンに作用した場合に、シャッターカーテンの幅方向端部がガイドレールから外れるようになっていると共に、ガイドレールから離脱したシャッターカーテン端部を当該ガイドレール内に自動復帰させるように構成されているシートシャッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シートシャッターはシート状のシャッターカーテンによって建物開口部を開閉するものであるが、シートは鋼製スラット等に比べて強度が弱く、シートに耐風圧以上の力が加わると、シート、あるいは、時にはガイドレール、が破損してしまうおそれがあった。そこで、シートに所定以上の負荷が作用した場合にはシート端部がガイドレールから抜け出るように構成したシートシャッターが提案されている。
【0003】
このようなシートシャッターでは、ガイドレールから抜け出したシート端部をガイドレール内に復帰させる手段が必要である。そのため、ガイドレールの上方部位ないし高さ方向中途部位に、復帰用の隙間ないし開口を形成し、端部がガイドレールから離脱したシートを上昇させた時に、前記隙間ないし開口を通して、離脱したシート端部をガイドレール内に復帰させるようにしている(特許文献1)。
【0004】
このようなシートシャッターのシャッターカーテンは、メインシートと、メインシートの幅方向両端に設けた左右の端部シートと、からなり、シャッターカーテンの幅方向両端縁、すなわち、端部シートの縁部には、高さ方向に沿ってガイド要素が設けてある。メインシートと端部シートは、メインシートの幅方向両端部と、端部シートの基端側部位と、を重ね合わせて接着(典型的には溶着)することで一体化されている。
【0005】
メインシートと端部シートを接着する場合に、熱溶着が一般的であるが、熱溶着は引張に対する力は強い一方、剥離に対する力は弱く、図12に示すように、メインシート1と端部シート2の接着部の下端部位に剥離が生じると、上方に向かって縦方向(高さ方向)に剥離が伝播してしまうおそれがある。粘着剤を用いた接着においても同様の欠点がある。
【0006】
接着部をさらに糸で縫着することでシートの剥離を防止し得るが(特許文献1の図7参照)、縫製はコスト(手間)がかかる。また、シートの剥離を防止する手段は、離脱したシートの復帰動作に支障を与え得るものであってはならない。
【特許文献1】特開2014−84617
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、シート端部のガイドレールからの離脱機能及び離脱した端部のガイドレールへの自動復帰機能を備えたシートシャッターにおいて、メインシートと端部シートを接着してなるシャッターカーテンにおけるシートの剥離を防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が採用した技術手段は、
建物開口部の幅方向両端に立設したガイドレールと、
シャッターカーテンを形成するシートと、
前記シートの幅方向両端部に高さ方向に亘って設けられた複数のガイド要素と、を有し、
前記シートに所定以上の負荷が作用したときに、前記ガイド要素を含むシート端部をガイドレールのガイド溝から離脱させるシートシャッターにおいて、
前記ガイドレールの上方部位あるいは高さ方向中途部位には、ガイドレールから離脱した前記シート端部を、シート上昇時にガイド溝内に復帰させるための下向き開口状のガイド部が設けてあり、
前記シートは、メインシートの幅方向左右両端部位に、前記ガイド要素を縁部に備えた左右の端部シートを重ね合わせて接着することで形成されており、
メインシートと端部シートを接着してなる重ね合わせ部の下端部位には、メインシートと端部シートを圧着固定する剥離防止手段が設けられ、
前記剥離防止手段は、前記重ね合わせ部のメインシートに密着する第1頭部と、前記重ね合わせ部の端部シートに密着する第2頭部と、前記重ね合わせ部を貫通し、前記第1頭部と前記第2頭部を連結する連結部と、からなり、
前記第1頭部及び前記第2頭部は、離脱したシート端部の復帰時に前記ガイド部に対して当該第1頭部及び第2頭部をガイドするガイド機能を発揮する形状を備えている、
シートシャッター、である。
1つの態様では、前記剥離防止手段は、建物開口部全開時において、前記ガイド部の下端よりも上方に位置している。
【0009】
1つの態様では、前記形状は、離脱したシート端部の復帰時に、前記第1頭部あるいは前記第2頭部が前記ガイド部に接触した際の衝撃を逃がし、あるいは/および、緩和するものである。
接触時の衝撃を逃がしたり、緩和するためには、接触時にガイド部に引っ掛かったり、ガイド部と係合したりすることの無い形状が望ましく、少なくともガイド部に接触し得る部位(第1頭部及び第2頭部の上半部の少なくとも一部)は、ガイド機能を発揮する周面であることが有利であり、かつ肉薄であることが望ましい。
1つの態様では、前記第1頭部及び前記第2頭部は、円形状の扁平体である。
【0010】
1つの態様では、前記シートに対する第1頭部及び第2頭部の突出寸法は、前記シートに対する前記ガイド要素の突出寸法よりも小さい。
【0011】
1つの態様では、前記シートに対する第1頭部及び第2頭部の突出寸法は、前記ガイドレールのガイド溝の開口溝の幅、及び、前記ガイド部のガイド溝の開口溝の幅よりも大きい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メインシートと端部シートの接着部である重ね合わせ部の下端部位を、剥離防止手段によって、重ね合わせ部の両面から圧着固定してなるので、メインシートと端部シートの接着部の下端部位におけるシートの剥離が防止され、また、接着部の下端部位のシートの剥離が防止されるので、下端から上方に向かう剥離の伝搬が生じることもない。
本発明に掛かる剥離防止手段は、既設のシートシャッターに対しても容易に適用することができ、メインシートと端部シートの接着部のメンテナンスとして本発明に係る剥離防止手段を実施することもできる。
【0013】
剥離防止手段を形成する第1頭部及び第2頭部は、離脱したシート端部の復帰時にガイド部に対して当該第1頭部及び第2頭部をガイドするガイド機能を発揮する形状を備えているので、離脱したシート端部の復帰時(シート上昇時)に、前記第1頭部あるいは前記第2頭部が前記ガイド部に接触した際の衝撃を逃がし、あるいは/および、緩和することができ、シート上昇時に、第1頭部ないし第2頭部がガイド部に当たった衝撃で、ガイド部が傷んだり破損したりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】上図はシートシャッター(開口部全開状態)の正面図であり、下図はシートシャッターの横断面図である。
図2図1の上図の縦断面図である。
図3】シートシャッターの横断面図の部分拡大図である。
図4】シャッターカーテンの正面図である。
図5】シャッターカーテンの部分拡大正面図である。
図6】(A)シャッターカーテンの幅方向端部かつ下端部位の部分拡大平面図である。(B)図6(A)の分解平面図である。(C)シャッターカーテンの幅方向端部かつ下端部位の部分拡大正面図である。
図7】開口部全開状態にあるシートシャッターの上部ガイドとシート端部の関係を示す部分拡大正面図である。
図8】開口部全開状態にあるシートシャッターの上部ガイドとシート端部の関係を示す図であって、ガイドレール及び上部ガイドのガイド溝の開口を正面から見た図である。
図9】(A)ガイドとシート端部の関係を示す部分平面図である。(B)ガイドレールとシート端部の関係を示す部分平面図である。
図10】開口部全開状態となる少し前における上部ガイドとシート端部の関係を示す部分拡大正面図である。
図11図10の上部ガイドを下方から見た底面図である。
図12】メインシートの幅方向端部と端部シートの剥離を示す図である。図中、本実施形態と同様の要素については同様の参照番号が付してある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1図3はシートシャッターの正面図及び横断面図、縦断面図、部分拡大横断面図を示し、図4にシートシャッターのシート、すなわち、シャッターカーテンSを示す。シートシャッターのシャッターカーテンSは、メインシート1と、メインシート1の幅方向両端に設けた左右の端部シート2と、からなる。シャッターカーテンSの幅方向両端縁、すなわち、端部シート2の縁部には、高さ方向に沿ってガイド要素3が設けてある。
【0016】
メインシート1と端部シート2とは、メインシート1の幅方向両端部と、端部シート2の基端側部位と、を重ね合わせて接着することで一体化されている。接着には、溶着(本実施形態では溶着シールを介する)、接着剤を用いた接着、両面テープを用いた接着等が含まれ、典型的には溶着である。本明細書において、重ね合わせて接着された部位、すなわち接着部を、「重ね合わせ部」と呼ぶ。
【0017】
シャッターカーテンSのメインシート1の下端には、シート下方部位を折り返し溶着ないし縫着することで、シャッターカーテンS(建物開口部)の幅方向に延びる袋状部10が形成されている。袋状部10の幅方向両端部にはボトムウェイト(図示せず)が設けてある。袋状部10の具体的な構成、ボトムウェイトの個数や配置態様は限定されない。
【0018】
建物開口部の幅方向左右両側には、高さ方向に垂直状に延びるガイドレール組立体4が立設されており、シャッターカーテンSの幅方向両端部(より具体的には、端部シート2の縁部及びガイド要素3)がガイドレール組立体4のガイドレール40の溝内に受け入れられて、高さ方向に案内されるようになっている。
【0019】
建物開口部上方には、シャッターケース5が設けてあり、シャッターケース5内には、開口幅方向に水平状に延びる巻取シャフト6と、巻取シャフト6を回転駆動させる開閉機7と、が配置されている。シャッターカーテンSのメインシート1の上端は巻取シャフト6に連結されており、建物開口部の開閉時には、操作部SWからの指示によって開閉機7を駆動させ、巻取シャフト6を第1の方向・第2の方向に回転させることで、シャッターカーテンSが、その左右両端部(端部シート2の縁部及びガイド要素3)がガイドレール40に案内されながら上昇・下降して、巻取シャフト6に巻き取られ、あるいは巻取シャフト6より繰り出されるように構成されている。
【0020】
本実施形態では、ガイド要素3は端部シート2の縁部に沿って上下方向に連続状に設けられている。このようなガイド要素3は、一対のファスナの一方のファスナ要素から構成することができる。ガイド要素3の態様は、このものに限定されるものではなく、端部シート2の縁部に沿って上下方向に間隔を存して複数設けたガイドブロックからガイド要素を構成してもよい(特許文献1図9参照)。
【0021】
ガイドレール組立体4は、開口高方向に延びる長尺状のガイドレール40と、開口高方向に延びる柱状のガイドレール支持部41と、を備えている。ガイドレール支持部41は、床面からシャッターケース5の下面に亘る高さを備えている一方、ガイドレール40の上端40Aは、シャッターケース5の下面よりも所定寸法下方に位置している。
【0022】
ガイドレール40の上端40Aの上方に位置して、上部ガイド8が設けてある。上部ガイド8の下端及び上端は開口状となっており、シャッターカーテンSの幅方向両端部は、それぞれ、上部ガイド8によって上下に案内される。図示の態様では、上部ガイド8は、ガイドレール支持部41に連結されている。上部ガイド8の上端は、シャッターケース5の下面にまで達している。上部ガイド8の下端8Aとガイドレール40の上端40Aは離間しており、ガイドレール40から離脱したシート端部(端部シート2の縁部及びガイド要素3)を復帰させるための開口(ガイドレールに形成した自動復帰用の開口)Cが形成されている。シャッターカーテンSの端部シート2の縁部及びガイド要素3がガイドレール40から外れた時に、シャッターカーテンSを上昇させることで、外れた端部シート2の縁部及びガイド要素3は、開口Cから上部ガイド8のガイド溝80に案内され復帰する。図1及び図2は、開口部全開状態を示しており、この実施形態では、シャッターカーテンSの端部シート2の下方部位は、上部ガイド8内に位置しており、端部シート2の下端は、ガイドレール40の上端40Aよりも上方に離間した高さに位置している。
【0023】
図3に示すように、ガイドレール40は、シャッターカーテンSの幅方向端部(端部シート2の縁部及びガイド要素3)を受け入れるガイド溝400を備えており、ガイド溝400の底側には、ガイドレール支持部41と連結するためのベース401が一体形成されている。なお、ガイド溝400を形成する部位と、ベース401とを別部材で構成して、互いに連結してもよい。
【0024】
図1図2に示すように、上部ガイド8の外形及び内部空間は、上端側において上方に向かって漸次拡開状となっており、下端側において、下方に向かって漸次拡開状となっている。上部ガイド8のガイド溝(内部空間)80の断面形状・寸法は、ガイドレール40のガイド溝(内部空間)400の断面形状・寸法と略一致しており、上部ガイド8のガイド溝と、ガイドレール40のガイド溝400とは、これらの間に開口Cが存在するものの、実質的に連続状のガイド溝を形成しており、シャッターカーテンSの昇降時に幅方向両端部位(端部シート2の縁部及びガイド要素3)を良好に上下に案内するようになっている。
【0025】
ガイドレール40は、対向状の側壁400Aを備え、側壁400A間がガイド溝400となっている。端部シート2は薄肉のシートから形成されており、側壁400Aの先端間に形成されたガイド溝400の開口溝400Bは端部シート2を挿通できる程度に幅狭となっている。ガイドレール40は弾性を有する部材、例えば樹脂から形成されており、所定以上の力が加わることで、ガイドレール40の側壁400Aが変形して開口溝400Bが拡開することで、シャッターカーテンSの端部シート2の縁部のガイド要素3がガイド溝400から抜け出るようになっている。このようにシート端部離脱機能及び離脱した端部の自動復帰機能を備えたガイドレール、より具体的には、所定以上の負荷がシート状のシャッターカーテンSに作用した場合に、シャッターカーテンSの幅方向端部がガイドレール40から外れるようになっている。ガイドレール40から離脱したシャッターカーテン端部をガイドレール40内に自動復帰させるようになっているガイドレール構造は公知であり、さらなる詳細な説明は省略する。
【0026】
ガイドレール40は、底側を連結手段に連結することで、ガイドレール支持部41に前後方向に揺動可能、かつ、幅方向に移動可能に支持されている。図3に示すように、本実施形態において、連結手段は、第1端と第2端を備えた軸部材(ボルト)42であり、軸部材42の第1端側は、ガイドレール支持部41の見込壁410に形成された受孔(軸部材42の揺動を許容する遊びがある)を挿通してベース401内に位置しており、第1端には軸径よりも大径の第1大径部(頭部)43が形成されている。軸部材42の第2端側は、ガイドレール支持部41内部に位置しており、第2端には軸径よりも大径の第2大径部(ナット)420が設けてある。ガイドレール支持部41の内部において、軸部材42には、第2大径部420と見込壁410との間に位置して、コイルスプリング44が外装されている。ガイドレール40は開口幅方向(図3のX方向)に移動自在であると共に開口部の前後方向(図3のY方向)に揺動自在であり、シャッターカーテンSの動きに追従して可動である。なお、開口幅方向に移動自在かつ開口部の前後方向に揺動自在であるガイドレール40の構成は図示の構成のものに限定されるものではない。このような可動なガイドレールは、公知であり、また、コイルスプリング44が図示されているが、ゴム等の弾性部材を用いてもよい。
【0027】
本実施形態では、メインシート1と端部シート2とは、メインシート1の幅方向の左右両端部と、端部シート2の基端側部位と、を重ね合わせて溶着されており、重ね合わせ部12が形成されている。より具体的には、本実施形態では、メインシート1は、ポリエステルの基布と表面の塩化ビニールから形成されており、端部シート2は、ポリエステルから形成されている。メインシート1と端部シート2の間に、熱可塑性ポリエステルの溶着シール11を挟んで溶着することで重ね合わせ部12が形成されている(図6中図参照)。メインシート1、端部シート2、溶着シール11の材質は上記のものに限定されるものではなく、当業者において適宜選択され得る。
【0028】
メインシート1と端部シート2の重ね合わせ部12の下端部位には、接着(溶着)されたメインシート1と端部シート2をさらに圧着固定する剥離防止手段9が設けてある。剥離防止手段9は、重ね合わせ部12のメインシート1に密着する第1頭部90と、重ね合わせ部12の端部シート2に密着する第2頭部91と、重ね合わせ部12を貫通し、第1頭部90と第2頭部91を連結する連結部としての軸部92と、からなる。本実施形態では、メインシート1と第1頭部90との間に、リング状の樹脂製ワッシャー93が介装されている。連結部の形状は限定されず、例えば、板状部材であってもよい。
【0029】
メインシート1と端部シート2の重ね合わせ部12の下端部位が、第1頭部90と第2頭部91によって、両側からメインシート1と端部シート2を互いに押し付ける方向に圧着され固定されているので、重ね合わせ部12、すなわち接着部の下端部位において、メインシート1と端部シート2との接着状態が維持され、メインシート1と端部シート2の間の剥離が防止される。接着部の下端部位におけるシート剥離を防止することで、下端から上方に向かって剥離が伝播することも可及的に防止される。
【0030】
剥離防止手段9を用いた重ね合わせ部12の圧着固定工程について説明する。先ず、メインシート1の幅方向両端部と端部シート2の基端側部位とを、これらの間に溶着シール11を挟んで熱プレスして、メインシート1の左右の幅方向端部と端部シート2の基端側部位をそれぞれ溶着する。図6中図は、剥離防止手段9および重ね合わせ部12の構成を示すための分解平面図であるが、実際の工程では、重ね合わせ部12が先に形成され、重ね合わせ部12に対して剥離防止手段9が適用される。
【0031】
第1頭部90と第1脚部とからなる第1要素と、第2頭部91と第2脚部とからなる第2要素と、を用意する。第1頭部90と第2頭部91は同じ形状・寸法を有しているが、第1脚部と第2脚部は異なる径を有しており、少なくとも大径の脚部は小径の脚部を受け入れ可能な筒状に形成されている。また、小径の脚部も中空状に形成されている。大径の脚部は小径の脚部に比べて短尺である。
【0032】
そして、溶着部、すなわち、重ね合わせ部12の下端部位において、予め決められた所定位置に下穴を開け、メインシート1側の下穴に第1要素の第1脚部を差し込み(第1脚部に樹脂製ワッシャー93を外嵌させた状態で)、端部シート2側の下穴に第2要素の第2脚部を差し込み、第1脚部と第2脚部の軸を一致させて、重ね合わせ部12の両側から軸方向に押圧することで、第1脚部、第2脚部の小径の脚部を大径の脚部内に嵌め込み、小径の脚部は軸方向に圧縮されて、重ね合わせ部12において、第1頭部90がメインシート1に密着し、第2頭部91が端部シート2に密着し、第1脚部と第2脚部とから軸部92が形成される。このようにして、重ね合わせ部12の下端部位が圧着固定される。なお、ここで述べた、第1要素、第2要素の構成及び剥離防止手段による圧着固定工程は、一つの実施形態に過ぎないものであり、これらの記載によって本発明の構成が限定されるものではない。
【0033】
第1頭部90、第2頭部91は、離脱したシート端部の復帰時(シート上昇時)に上部ガイド8に対して第1頭部90、第2頭部91が接触した場合に、第1頭部90自身、第2頭部91自身をガイドして、接触時の衝撃を逃がし、あるいは/および、緩和する、ガイド機能を発揮するような形状を備えている。
【0034】
本実施形態では、第1頭部90、第2頭部91は、円形状の扁平体であり、第1頭部90、第2頭部91の周縁を低背の周面(湾曲面)とすることで、かかる周面がガイド面として機能して、ガイドレール40から離脱したシート端部を上昇させた時に、第1頭部90ないし第2頭部91が上部ガイド8に引っ掛かることを可及的に防止し、また、第1頭部90ないし第2頭部91が上部ガイド8に接触した時の衝撃を逃がし、あるいは/および、緩和するようになっている。
【0035】
図6(A)、図9に示すように、シート(端部シート2)に対する第1頭部90及び第2頭部91の突出寸法は、シート(端部シート2)に対するガイド要素3の突出寸法よりも小さい。第1頭部90、第2頭部91の突出寸法(厚さ)がガイド要素3の突出寸法(厚さ)よりも大きくなると、ガイドレール40から離脱したシート端部を上昇させた時に、第1頭部90ないし第2頭部91が上部ガイド8に引っ掛かったり、強く当ったりするおそれが高まり、その分、上部ガイド8が傷んだり、破損したりするおそれが増す。
【0036】
本実施形態では、さらに、第1頭部90、第2頭部91は、中央から周縁に向かって厚さが緩やかに薄くなっている(図6図8等参照)。第1頭部90、第2頭部91の低背の周縁をより肉薄(低背)に形成することによって、ガイドレール40から離脱したシート端部を上昇させた時に、第1頭部90ないし第2頭部91が上部ガイド8に引っ掛かることをいっそう可及的に防止し、また、第1頭部90ないし第2頭部91が上部ガイド8に接触した時の衝撃をより良好に逃がし、あるいは/および、よりいっそう緩和するようになっている。
【0037】
図5図6図9等に示すように、剥離防止手段9は、重ね合わせ部12の下端部位において、幅方向の中央に位置して設けてある。すなわち、軸部92が、重ね合わせ部12の幅方向中央に位置している。図9に示すように、シャッターカーテンSの通常の昇降時には、第1頭部90、第2頭部91は、ガイドレール40のガイド溝400の開口溝400B、上部ガイド8のガイド溝80の開口溝800から所定距離離間しており、シャッターカーテンSの開閉動作の妨げになることはない。
【0038】
本実施形態では、シート(端部シート2)に対する第1頭部90及び第2頭部91の突出寸法は、ガイドレール40のガイド溝400の開口溝400Bの幅、及び、上部ガイド8のガイド溝80の開口溝800よりも大きい。上述のように、第1頭部90、第2頭部91は、ガイドレール40のガイド溝400の開口溝400B、上部ガイド8のガイド溝80の開口溝800から所定距離離間しているが、シャッターカーテンSの幅方向の一方の端部がガイドレール40から外れたりした場合等に、他方の端部の第1頭部90、第2頭部91が、開口溝400Bや開口溝800に嵌まり込んでしまうことがない。なお、この態様とは逆に、第1頭部90、第2頭部91を極薄にして、クリアランスをもって開口溝400Bや開口溝800を挿通できるようにしてもよい。
【0039】
図10図11には、ガイドレール40から離脱したシート端部の復帰動作時の開口部全開状態となる少し前における上部ガイドとシート端部の関係を示す。シャッターカーテン上昇時に、仮に、第1頭部90、第2頭部91が、上部ガイド8の下端の角部81に接触したとしても、第1頭部90、第2頭部91の周面がガイド面として機能し、第1頭部90、第2頭部91が上部ガイド8の角部81に引っ掛かることがない。また、円形状の扁平体である第1頭部90、第2頭部91の周面が、上部ガイド8のガイド溝80の開口溝800に沿って移動するようになっている。したがって、第1頭部90、第2頭部91は、離脱したシートの自動復帰時の動作を妨げることがなく、また、第1頭部90、第2頭部91が上部ガイド8に接触した場合であっても、上部ガイド8が傷んだり、破損したりすることがない。
【符号の説明】
【0040】
S シャッターカーテン
1 メインシート
2 端部シート
12 重ね合わせ部
3 ガイド要素
40 ガイドレール
400 ガイド溝
400B 開口溝
8 上部ガイド(ガイド部)
80 ガイド溝
800 開口溝
9 剥離防止手段
90 第1頭部
91 第2頭部
92 軸部(連結部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12