特許第6523933号(P6523933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6523933ケースが絶縁され、オイルが充填されたMEMS圧力センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523933
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】ケースが絶縁され、オイルが充填されたMEMS圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/06 20060101AFI20190527BHJP
   G01L 9/00 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   G01L19/06 A
   G01L9/00 303P
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-234698(P2015-234698)
(22)【出願日】2015年12月1日
(65)【公開番号】特開2016-109692(P2016-109692A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2018年11月30日
(31)【優先権主張番号】14/557,841
(32)【優先日】2014年12月2日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506154029
【氏名又は名称】センサータ テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス ビー ストロット
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ピー ブローデュアー
(72)【発明者】
【氏名】キース アール ウォッシュバーン
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−178778(JP,A)
【文献】 米国特許第6550337(US,B1)
【文献】 特開平11−132887(JP,A)
【文献】 特許第3370593(JP,B2)
【文献】 特許第6205145(JP,B2)
【文献】 特開昭63−29981(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102004048367(DE,A1)
【文献】 特許第3403294(JP,B2)
【文献】 特開2005−308397(JP,A)
【文献】 特許第4548066(JP,B2)
【文献】 特許第6111151(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサであって、
第1の側および第2の側を含む第1のダイヤフラムであって、前記第1の側が圧力を有する環境に露出され、前記第2の側がオイルが充填されるキャビティに露出される、前記第1のダイヤフラムと、
前記第1のダイヤフラムに封止されたベースプレートおよび前記オイルが充填されるキャビティを気密封止するためのMEMSアッセンブリであって、前記ベースプレートは、前記第1のダイヤフラムの第1の側上の第1の内側の直径を形成する第1の内壁と、前記第1のダイヤフラムの第2の側と前記MEMSアッセンブリとの間に延在しかつ第2の内側の直径を有する第2の内壁とを有する、前記ベースプレートおよびMEMSアッセンブリと、
前記MEMSアッセンブリ内のヘッダ本体を通る少なくとも1つのチャンネルであって、各チャンネルが前記ヘッダ本体から電気的に絶縁されかつ気密封止されたコンタクトピンで充填される、前記少なくとも1つのチャンネルと、
前記MEMSアセンブリの一部として含まれる第2のダイヤフラムであって、当該第2のダイヤフラムは、第1の側と第2の側を有し、前記第2のダイヤフラムの第1の側が前記オイルが充填されるキャビティに露出され、前記第2のダイヤフラムの第2の側が圧力センサ内の内側のチャンバに露出され、前記第2のダイヤフラムが第1の側上の複数のピエゾ素子を含み、当該ピエゾ素子が環境内の圧力を感知するように電気的に構成される、前記第2のダイヤフラムとを有し、
前記第1の内側の直径が前記第2の内側の直径よりも大きく、
圧力センサを温度安定化させるように、前記第1のダイヤフラムの第2の側、前記第2の内壁および前記MEMSアッセンブリがオイルが安定化されるキャビティ内のオイルの容積を規定する、圧力センサ。
【請求項2】
前記コンタクトピンは、前記ピエゾ素子を電子モジュールアッセンブリに電気的に結合する、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記電子モジュールアッセンブリは、前記MEMSアッセンブリからオフセットされ、かつ前記圧力センサ内に含まれる、請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記電子モジュールアッセンブリは、前記ピエゾ素子から受け取った信号を処理するための処理回路を含むプリント回路基板を含む、請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記電子モジュールアッセンブリは、前記ピエゾ素子から受け取った信号を処理するための特定用途向け集積回路を含む、請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項6】
圧力センサはさらに、レセプタクル内の少なくとも1つのコンタクトスプリングを収容するコネクタベースを含み、少なくとも1つのコンタクトスプリングは、前記電子モジュールアッセンブリと少なくとも1つの外側のコンタクトとの間に電気的接続を形成し、前記少なくとも1つの外側のコンタクトは前記コネクタベース内に収容される、請求項5に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願で開示される発明は、圧力センサに関し、詳細には、油入り(オイルが充填された)パッケージにおいて表面電荷の蓄積の影響を制限した圧力センサの低コストのパッケージングに関する。
【背景技術】
【0002】
表面電荷の蓄積によるオフセットドリフトは、よく知られた現象であり、多種多様な半導体デバイスにおいて生じる一般的な故障モードである。こうした故障メカニズムは、電荷反転層を形成させる、デバイスの表面電荷の蓄積に関連する。反転層は、別の状況では、電気的に絶縁した接合状態を損なう。電荷反転層が成長すると、エピ層を通って寄生電流のリークが可能となり、これにより感知素子のオフセットドリフトが引き起こされる。多くの他のタイプのデバイスのように、圧力感知素子はこの現象に影響される。
【0003】
電界遮蔽(field shield)を備える圧力感知素子の現在の設計は、表面電荷の蓄積の影響を受けやすく、また、感知素子の荷電による深刻なオフセットドリフトを示す。これは、特に、オイルを封入されたパッケージのアッセンブリおよび利用に用いられる場合である。
【0004】
多くのパッケージ構成において、圧力感知素子は、誘電性のオイルによって封入される。オイルは、外部の絶対圧または差圧の入力と感知素子との結合を提供する。都合の悪いことに、これは、パッケージ上または他の場所に存在する外部の静電荷を、圧力感知素子の感知表面に結合する働きもする。電荷結合は、外部の電界に応答したオイル内の分子の極性配向(polar alignment)と、感知素子とオイルの界面での関連空間の電荷の蓄積とによって発生するのが通常である。その結果、比較的大きな外部の静電荷が、オイルの分子分極率により感知素子に結合され得る。このような電荷は、例えば、感知素子をパッケージするのに使用されるプラスチックのハウジングアッセンブリ上に存在でき、または、プラスチックパッケージへの静電気放電(ESD)によってハウジングへ導入され得る。この高い静電荷は、深刻な出力シフトを引き起こすのに十分なものである。
【0005】
さらに性能を悪化させるのは、温度が上昇または低下するときのオイルの体積の膨張および収縮である。オイルの膨張は、分離ダイヤフラムに対して圧力を作用させ、センサ出力を変化させる。
【0006】
さらに性能を悪化させるのは、オイルの漏洩である。一般に、このような油入りパッケージの封止が弱いと、やはり性能の低下につながり、最終的には圧力センサの故障となる。
【0007】
それゆえ、必要とされるのは、オイルを含むパッケージ内に封入された圧力センサの性能を改善する方法および装置である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、油入り圧力センサが開示される。油入り圧力センサは、ヘッダ本体に搭載され、そこから電気的に絶縁された、ドリフトを安定化させた圧力感知素子を備え、前記圧力感知素子は、油入りキャビティ内に浸漬され、温度は、実質的な信号ドリフトなしで前記キャビティ内の圧力を感知するように安定化される。
【0009】
ドリフトを安定化させた圧力感知素子は、電界遮蔽を有する圧力感知ユニットを備えることができる。ドリフトを安定化させた圧力感知素子は、少なくとも1つのガラス金属シールによりヘッダ本体から電気的に絶縁され得る。ドリフトを安定化させた圧力感知素子は、油入りキャビティ内のオイルの容積を低減させるように構成されたダイヤフラムをさらに備えることができ、当該ダイヤフラムは、波形および平坦のうちの少なくとも1つとすることができる。圧力感知素子を支持できるベースプレートが備えられ得る。油入りキャビティは、感知素子(MEMSアッセンブリ)、ベースプレートおよびダイヤフラムを備えるアッセンブリによって概ね規定され得る。油入りキャビティは、密封封止され得る。
【0010】
別の実施形態において、油入り圧力センサを組立てるための方法が提供される。方法は、ヘッダ本体に搭載され、そこから電気的に絶縁された、ドリフトを安定化させた圧力感知素子あって、前記圧力感知素子が油入りキャビティ内に浸漬されるように構成され、実質的な信号ドリフトなしでキャビティ内の圧力を感知するように温度が安定化される、圧力感知素子を選択することと、ドリフトを安定化させた圧力感知素子の出力に対する温度の影響を制限するように、センサダイヤフラムと油入りキャビティとのうちの少なくとも1つを設計することと、ドリフトを安定化させた圧力感知素子およびセンサダイヤフラムを、油入り圧力センサに統合すること、を備える。
【0011】
センサダイヤフラムを設計することは、油入りキャビティの容積と、油入りキャビティ用のオイルの熱膨張係数(TCE)とのうちの少なくとも1つを算出することを含むことができる。センサダイヤフラムを設計することは、ダイヤフラムを構成するのに使用される材料の熱膨張係数(TCE)、材料の厚さ、ダイヤフラムの幅、直径、外形および可撓性のうちの少なくとも1つを算出することを含むことができる。統合することは、ドリフトを安定化させた圧力感知素子を少なくとも1つのガラス金属シールに接続することを含む。
【0012】
別の実施形態において、油入り圧力センサが提供される。油入り圧力センサは、電界遮蔽により保護された副素子(sub-element)を有するドリフトを安定化させた圧力感知素子を備え、当該ドリフトを安定化させた圧力感知素子は、ヘッダ本体に搭載され、少なくとも1つのガラス金属シールによりそこから電気的に絶縁されており、この圧力感知素子は、油入りキャビティ内に浸漬され、温度は、実質的な信号ドリフトなしで当該キャビティ内の圧力を感知するように安定化される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の特徴および利点は、添付の図面と共に以下の説明から明らかである。
【0014】
図1】本願における教示に従った例示的な圧力センサの態様を描く等角図である。
【0015】
図2】本願における教示に従った別の例示的な圧力センサの態様を描く等角図である。
【0016】
図3図1および図2の圧力センサにおいて使用する圧力感知素子の態様の等角図である。
【0017】
図4図3の圧力感知素子の複合破断図である、
【0018】
図5図3および図4の圧力感知素子の上面図である。
【0019】
図6】電気的コンタクトピンと関連する圧力感知素子を描く等角図である。
【0020】
図7】MEMSアッセンブリ内に配置され、電子モジュールアッセンブリ(EMA)と関連する圧力感知素子を描く図である。
図8】MEMSアッセンブリ内に配置され、電子モジュールアッセンブリ(EMA)と関連する圧力感知素子を描く図である。
【0021】
図9図1の圧力センサの破断側面図である。
【0022】
図10図1の圧力感知素子の態様を描く分解組立等角図である。
図11図1の圧力感知素子の態様を描く分解組立等角図である。
【0023】
図12】感知素子の性能の比較を示すグラフである。
【0024】
図13】変更可能な設計に応じた、圧力センサの性能の態様を示すグラフである。
図14】変更可能な設計に応じた、圧力センサの性能の態様を示すグラフである。
図15】変更可能な設計に応じた、圧力センサの性能の態様を示すグラフである。
図16】変更可能な設計に応じた、圧力センサの性能の態様を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願で開示されるのは、油入り圧力センサの実施形態である。有利には、圧力センサは、低価格の構成要素および設計を使用して、低価格で高性能を実現する。具体的には、この設計により、重要な構造上の構成要素を形成するために低コストの金属スタンピングの使用が可能となり、また、レーザ溶接などの低コストの大量生産方法の使用が可能となる。この設計は、充填オイルの容積を最小にし、また、比較的面積の広い可撓性のダイヤフラムを使用して、オイルの熱膨張と関連した熱的誤差を最小にする。
【0026】
電界遮蔽された感知素子(本願では「圧力感知ユニット」と称する)の使用は、データ信号に対するオイル内の電荷の影響を克服するのに必要とされる設計上の複雑さが減少されることにより、低コストの一因ともなる。
【0027】
さらに、設計は、いくつかの産業用途によって必要とされるように、金属ハウジング部分からの高い絶縁分離を提供するように構成される。こうした構成は、ガラス金属封止されたトランジスタ概要(TO)のヘッダピン間の表面のアークトラッキングを防ぐように、低コストの、製造が容易な紫外線(UV)硬化接着剤を使用する。絶縁分離は、ハウジング上の電気的ノイズの出力信号への結合を無視できるという利点を提供し、また、高い電圧がセンサを通過して読出し電子部品に至るのを防止する。適切に設計された電子回路基板および信号処理電子部品と共に、こうした設計は、放射妨害感受性および伝導妨害感受性に対する高性能の電磁両立性を実現する。さらに、単純且つ低コストの設計は、破壊圧力および長期圧力が繰り返される耐用期間の下で優れた機械的信頼性をもたらす。
【0028】
一般に、圧力センサは、信号オフセットを引き起こすことのある表面電荷または大きな静電荷の蓄積の影響を制限するように構成された圧力感知ユニットを備える。いくつかの実施形態においては、これは、一体化された電界遮蔽を使用することにより提供される。圧力センサの実施形態は、それぞれのガラス金属シールを備える電気的貫通ピンを有して構成された感知アッセンブリを使用してもよい。有利には、この組合せは、実質的に、センサからの出力データにおけるドリフトに対する耐性をもたらす。
【0029】
例えば、これらの特徴を使用することにより、一実施形態においては、小型のガラス封止されたヘッダアッセンブリが、より大きな面積を型打ちしたベースプレートに溶接される。圧力感知ユニットがヘッダに取り付けられ、可撓性のダイヤフラムが型打ちしたベースプレートに溶接される。こうすると、オイルの容積は比較的小さくなり、且つ、ダイヤフラムの面積は比較的大きくなり、この両方により、充填オイルの熱膨張の効果が低減される。
【0030】
次に図1および図2を参照すると、圧力センサ100の例示的な実施形態が示してある。一般に、圧力センサ100は、ケースが絶縁された、油入りのMEMS圧力センサ100である。有利には、圧力センサ100は、製造が安価で、設計が単純で、電気的に堅牢である。圧力センサ100の各実施形態は、圧力ポート101を備える。圧力センサ100は、圧力ポート101を介して圧力環境に露出されて、圧力を感知する。図1に示した実施形態では、圧力センサ100はネジ式タイプの圧力ポート101を備える。図2に示した実施形態では、圧力センサ100はブレーズオン(braze-on)タイプの圧力ポート101を備える。図1および図2における図には、「上部」という任意の表示があることに留意されたい。この「上部」という表示および他の同様の用語は、単にヘッダの配向を示す目的であり、圧力センサ100の実施形態の説明に役立つものであり、圧力センサ100またはその要素の動作または取付けを制限すると考えるべきでない。
【0031】
次に図3を参照すると、圧力感知ユニット10の例示的な実施形態が示してある。この実施形態において、圧力感知ユニット10は、圧力感知ユニット10のベースとしての台座11を備える。台座11は、ガラスなどの適切な材料から形成できる。台座11の上部に配置されるのは、シリコンダイ12である。シリコンダイ12は、当技術分野で知られた技法を使用して台座11に接合できる。シリコンダイ12の最上部には、ダイヤフラム34がある。ダイヤフラム34は回路14を受ける。回路14に含まれるのは、複数のボンドパッド15である。ボンドパッド15は、圧力感知ユニット10のための回路14と外部の構成要素との電気的な接続を提供する。一般に、外部の構成要素は、回路14に電力を供給し、圧力感知ユニット10からデータを受信し、当該データを処理することを実現する。
【0032】
図4では、圧力感知ユニット10の複合断面図が示される。図5も参照すると、図の底部付近の破線は、図4に示された圧力感知ユニット10の断面図の部分を示すものである。図5では、4つの感知素子が示されていることに留意されたい。各感知素子は、R、R、RおよびRのうちの1つを示す。集合的に、4つの感知素子R、R、RおよびRは、圧力感知ユニット10を提供する。圧力感知ユニット10が追加の感知素子またはこれよりも少ない感知素子を含むことができ、且つ、選択されたグループが、所望の機能を提供するのに適した所定の任意の方法で構成できることを理解すべきである。さらに、回路デバイスは適切と思われる任意の外形(例えば形状、輪郭、幅、厚さ等)とすることができることを理解すべきである。図4は、1つの感知素子Rの複合断面図、すなわち破断図を提供する。
【0033】
圧力感知ユニット10の例示的な実施形態において、シリコンダイ12の底部はP型の半導体材料から作られ、ダイヤフラム34はN型の半導体材料から作られる。いくつかの別の実施形態においては、シリコンダイ12の底部はN型の半導体材料から作られ、ダイヤフラム34は同一のN型の材料から作られる。ダイヤフラム34内に組み込まれるのは、インターコネクト(相互接続)62である。インターコネクト62は、P+型の半導体材料から作られる。インターコネクト62は、感知副素子61への接続を提供する。この例では、感知副素子61はP−型の半導体材料である。センサコンタクトビア63がそれぞれのインターコネクト62の各々に電気的接続を提供する。各インターコネクト62への電気的接続は、それぞれのセンサコンタクト18により実現される。
【0034】
感知副素子61は、ダイヤフラム34の撓みまたは歪みの測定を提供する任意のタイプの構成要素を含むことができる。例えば、感知副素子61は、低濃度に正にドープされた(P)シリコンによって形成されたピエゾ抵抗素子を含むことができる。感知副素子61は、それぞれ高濃度に正にドープされた(P)ソリッドステートのインターコネクト62により、それぞれの電気的コンタクトビア63に電気的に結合される。電気的コンタクトビア63およびインターコネクト62は、正にドープされた半導体材料などの半導体材料から作られてもよい。回路14の少なくとも一部が、フォトリソグラフィなどの技法を用いて、堆積により、または適切と思われる他の技法により、シリコンダイ12の上部に配置できる。電気的コンタクトビア63およびインターコネクトは、シリコンダイ12の材料にインプラントすることができ、回路14の少なくとも一部は、その上に配置される。それぞれの電界遮蔽70は、感知副素子61、電気的コンタクトビア63およびインターコネクト62上に配置される。それぞれの電界遮蔽70は、副素子61、電気的コンタクトビア63およびインターコネクト62上に配置されて、典型的には蒸着されたSiおよび/または熱成長されたSiOである適切な材料製の薄いパッシベーション膜によりそこから電気的に絶縁される。
【0035】
第1のパッシベーション層19は、他の構成要素からセンサコンタクト18の各々の電気的分離を提供する。各センサコンタクトビア63は、ブリッジ回路16のトレースと電気的に連絡する。また、ブリッジ回路16は、少なくとも1つのボンドパッド15に接続される。少なくとも1つのボンドパッド15は、外部の電気的接続を提供する。バイアスビア24はダイヤフラム34との電気的接続を提供する。バイアスビア24は、バイアスコンタクト28に電気的に接続される。上部パッシベーション層20は、第1のパッシベーション層19と、センサコンタクト18と、ブリッジ回路16と、バイアスコンタクト28の少なくとも一部との上に配置され得る。
【0036】
圧力感知ユニット10内の電気的な構成要素の上に配置されるのは、電界遮蔽70である。一般に、電界遮蔽70は、圧力感知ユニット10の外部で発生した負の表面電荷の影響から抵抗性ブリッジ全体を遮蔽することを提供する。特に、電界遮蔽70は、特定の環境において、表面電荷の蓄積に対する感受性を制限する電位の印加を提供する。例示的な環境は、オイルを充填した環境を含む。
【0037】
圧力感知ユニット10を作動させると、電圧Vがボンドパッド15に印加される。電流Iは、第1のセンサコンタクト18を通り、1組のインターコネクト62内の第1のインターコネクト62へ流れる。電流は、感知副素子61を通りインターコネクト62上へ流れ、第2のセンサコンタクト18を通って出る。(便宜上、第1のインターコネクト62、感知副素子61および第2のインターコネクト62のアッセンブリは「抵抗性ブリッジ」として、また他の同様の用語で称される。)ダイヤフラム34を曲げると、感知副素子61の抵抗が変化し、この結果、第2のセンサコンタクト18の信号が変化する。
【0038】
一般に、各インターコネクト62は高濃度にドープされたP型の材料を含み、感知副素子61はより低いレベルのP型の材料を含むことができる。動作中、P/N接合が形成される。有利には、P/N接合は、N型の材料からの抵抗性ブリッジの電気的絶縁を提供する。こうして、電流Iの漏洩と、これによる信号漏洩が防止される。
【0039】
次に図6に注目すると、圧力感知ユニット10が複数の電気的コンタクトピン121と共に示してある(圧力感知ユニット10および電気的コンタクトピン121をより適切に図示できるように、付随するヘッダ本体は本図に示していない。)電気的コンタクトピン121のそれぞれは、ガラス金属シール125の形態の絶縁体を施される。各ガラス金属シール125は、それぞれの電気的コンタクトピン121の電気的絶縁を提供し、他方で実質的な気密封止(すなわち、実質的に漏れないこと)を確実にする。圧力感知ユニット10は、パッド15と電気的コンタクトピン121とに接合されたワイヤ128によって電気的に結合される。
【0040】
本願において使用するように、「気密シール(hermetic seal)」という用語は、5E‐6std cc He/secより大きくない漏れ率を示すシールに関する。しかしながら、実際のシールの効果はこの水準以上(またはこれ以下)で機能できると考えられる。また、適切なシールの機能は、設計者、製造者またはユーザによって適宜判断されると考えられる。
【0041】
次に図7を参照すると、MEMSアッセンブリ105の態様が示してある。一般に、MEMSアッセンブリ105は、ヘッダ本体115内に配置された圧力感知ユニット10および電気的コンタクトピン121を備える。一般に、ヘッダ本体115は、圧力センサ100内部の圧力感知ユニット10を支持するのに適した任意の材料から作ることができる。このように、ヘッダ本体115は、溶接、焼結、接着、接合または他の技法を用いて組立てられ得る。いくつかの実施形態において、ヘッダ本体115は板材料から打ち抜くことができる。電気的コンタクトピン121は電子モジュールアッセンブリ(EMA)107内に配置された電気的なフィードスルー122と整合して、最終的にこれらと係合する。ヘッダ本体115および電子モジュールアッセンブリ(EMA)107の態様は、図8に提供された反対側の図に示される。
【0042】
一般に、ガラス金属シール125は、従来の技法を用いてヘッダ本体115内へ置かれる。設計および構成は次の原則に従うのが一般的である。この原則とは、溶融ガラスは、気密接合を形成するために、(ヘッダ本体115および/または電気的コンタクトピン121の)金属をウェットすることができ、また、アッセンブリが冷えるとき、且つ動作中に、シールが固体のままであるように、ガラスと金属との熱膨張が相対的に一致するように選択される、というものである。
【0043】
図8は、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107上に配置された電子部品を示す。この例において、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107は、プリント配線板(PCB)123を備える。PCB123は処理回路124を備えることができる。この例において、回路124は、特定用途向け集積回路(ASIC)および他の表面実装された構成要素を備える。コンタクトスプリング(以下で説明する)との電気的接続を提供するためのコンタクトランディング129が備えられ得る。電子モジュールアッセンブリ(EMA)107を通って配置されるのは、複数の電気的なフィードスルー122である。この例において、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107は、4つの電気的なフィードスルー122を備える。組み立てられる場合、ベースプレート115を通って配置される複数の電気的コンタクトピン121は、電気的なフィードスルー122のそれぞれ1つの内部に取付けられる。電気的コンタクトピン121が電気的なフィードスルー122のそれぞれ1つの内部に配置されると、電気的コンタクトピン121およびそれぞれの電気的なフィードスルー122は電気的に結合される。結合のための技法は、はんだ付け、溶接、圧入および適切と考えられる他の技法を含むことができる。電気的コンタクトピン121は圧力感知ユニット10とPCB123との間に電気的接続を提供する。
【0044】
次に図9を参照すると、図1に表した圧力センサ100の実施形態の破断図が示してある。この例において、圧力センサ100は、一般に、中心軸Aに沿って延在する概ね円筒形の構成要素である。例示的な実施形態に示された外形の態様は、単に説明目的のためのものであり、圧力センサ100を限定すると考えるべきでない。
【0045】
この例において、圧力センサ100は、コネクタベース109を備える。コネクタベース109内部に配置されるのは、外部コンタクト98である。外部コンタクト98は、例えば、グラウンド、電力およびデータ信号を送信するための接続を含むことができる。いくつかの実施形態では、より少ない、または追加の外部コンタクト98が含まれる(例えば、単一接点が電力およびデータを送信するのに使用でき、この場合、データ信号は、電力信号と共に提供されるか、またはこれと結合される)。
【0046】
例示的な実施形態において、コネクタベース109は、高温および/または硬質ポリマーなどの実質的に非導電性の材料である。いくつかの他の実施形態では、コネクタベース109は、溶接可能な金属製の材料である。様々な材料が使用できる。ハウジング110は、一般にコネクタベース109を囲繞し、少なくとも1つのOリング111によって封止され得る。例示的な実施形態において、ハウジング110は、ベースプレート104に溶接される金属製の材料である。ハウジング110は、インターロックなどのメカニカルシールを使用して、または他の同様の技法を使用して、接着、ヒートシーリングなどの従来の技法を用いてさらに封止され得る。
【0047】
複数のコンタクトスプリング108は、コネクタベース109内部に配置され、外部コンタクト98のそれぞれ1つと電気的に接続する。いくつかの実施形態において、コンタクトスプリング108はコイルスプリングである。いくつかの他の実施形態において、コンタクトスプリング108のうちの少なくともいくつかは、リーフスプリングであるか、または全体で他のタイプの電気的接続である。図示した実施形態において、コネクタベース109は、それぞれのコンタクトスプリング108用のレセプタクルを備える。コンタクトスプリング108の1つ1つのためのレセプタクルを組込むことによって、適切な位置にコンタクトスプリング108を保持することが確実となる。一般に、コンタクトスプリング108の1つ1つが、電気的コネクタ98のそれぞれ1つと、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107上のそれぞれのコンタクトランディング129との電気的接続を提供する。
【0048】
一般に、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107は、圧力センサ100の動作に必要な電子部品を備える。例えば、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107は、特定用途向け集積回路(ASIC)などの少なくとも1つの集積回路を備えることができる。電子モジュールアッセンブリ(EMA)107はプリント配線板(PCB)として提供されてもよい。電子モジュールアッセンブリ(EMA)107は、回路構成要素がその上に配置され、その後相互接続される、別のタイプの基板として提供されてもよい。図示した例において、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107は概ね平面構造であるが、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107は、少なくとも1つの垂直に配置された構成要素を含む多層構造であってもよく、別の状況では、適切と考えられる方法で配向されてもよい。電子モジュールアッセンブリ(EMA)107は、MEMSアッセンブリ105(以下でさらに説明する)に電気的に接続される。図示した実施形態において、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107は、一般に絶縁体106によって保護される。さらに、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107は、絶縁体106により圧力センサ100から電気的に絶縁されてもよい。
【0049】
図9に示すように、MEMSアッセンブリ105は、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107からオフセットでき、そこからの電気的な分離を維持できる。図示した実施形態において、MEMSアッセンブリ105は、絶縁体106上に収容され、MEMSアッセンブリ105と電子モジュールアッセンブリ(EMA)107との間の電気的接続により適所に保持される。MEMSアッセンブリ105は、ベースプレート104により、絶縁体106の内部に、またはこれと隣接して堅固に保持され得る。センサダイヤフラム103は、ベースプレート104に隣接して配置される。キャビティ95は、圧力センサ100の中心軸Aに沿って作られ、MEMSアッセンブリ105、ベースプレート104およびセンサダイヤフラム103によって画定される。一般に、キャビティ95は、センサダイヤフラム103からMEMSアッセンブリ105へ圧力を伝えるために、適切なタイプの充填オイルにより充填される。例示的なタイプの充填オイルは、シリコーン(silicone)である。充填は、注入口94(図10参照)を通って提供できる。
【0050】
センサダイヤフラム103は、フランジ99により圧力センサ100内に保持される。フランジ99に結合されるのは、圧力ポート101である。圧力ポート101は、一般に、圧力センサ100を感知環境に搭載するためのマウントを備える。この例において、搭載することは、圧力ポート101を外部装置上にねじ留めするための、ニップル(図示せず)などのねじを含む。
【0051】
次に図10および図11も参照すると、図1および図9に表した圧力センサ100の分解組立等角図が示してある。圧力センサ100のアッセンブリは、図示した構成要素のうちのいくつかがまず接合され、次いで、最終的な製品を提供するように相互に接合されるステップで実行され得る。
【0052】
一実施形態において、未完成のMEMSアッセンブリ105は、まず、その周辺がベースプレート104に溶接される。次いで、圧力感知ユニット10がベースプレート104上に設置され、ワイヤ128が電気的コンタクトピン121に接合される。その後、MEMSアッセンブリ105とヘッダアッセンブリとの組合せが、センサダイヤフラム103および溶接リング102に結合される。溶接リング102のレーザ溶接が、ベースプレート104の、MEMSアッセンブリ105に対向する側面上の所定の位置にダイヤフラムを封止する。一旦キャビティ95がこのように作られると、キャビティ95は水分が排出されることができ、この後に、キャビティ95は、注入口94を介してオイルで充填される。充填されると、注入口94は封止される。注入口94の封止は、例えば、ボール溶接により達成できる。その後、絶縁体106はMEMSアッセンブリ105の上に置かれ、電子モジュールアッセンブリ(EMA)107は、そこを通って突出する電気的コンタクトピン121にはんだ付けされる。アッセンブリは、次いで、コンタクトスプリング108と共にコネクタベース109内に挿入され、ハウジング110は、コネクタベース109および組立てられた構成要素の上に置かれる。フランジ99はその後ハウジング110と係合し、そこに溶接されて、圧力センサ100の組立てられた実施形態を提供する。
【0053】
いくつかの実施形態において、充填オイルの容量は、約80mmから約120mmの間の範囲にある。いくつかの実施形態において、センサダイヤフラム103の直径は、約10mmから約18mmの範囲にあり、約0.05mmよりも小さい厚さである。小型のガラス金属封止されたヘッダアッセンブリおよびより大きな面積を型打ちした部品を使用することにより、圧力センサ100のコストが低く維持される。
【0054】
様々な技法が、圧力センサ100の構成要素を組立て且つ接合するのに使用できる。技法は、ガス炎、電気アーク、レーザ、電子ビーム、摩擦および/または超音波を使用するものを含め、様々な形の溶接を含む。追加の材料および/または構成要素を供給してもよい。
【0055】
図12は、圧力センサ100の性能の比較を表す。グラフにおいて理解され得るように、圧力感知ユニット10および本願で述べる他の態様を使用する圧力センサは、実質的に電気的な出力信号のシフトのない性能を示す。
【0056】
図13図16は、圧力センサ100の性能とセンサ設計の関係を示すグラフである。センサダイヤフラム103の直径、センサダイヤフラム103の形状(例えば、平坦または波形)および充填オイルの容積などの制御変数を制御することにより、圧力センサの性能を制御できる。
【0057】
従って、例えばガラス金属シール125を用いて実現できる感知素子の電気的絶縁による、圧力感知ユニット10などの「ドリフトを安定化させた」感知素子を使用することによって、設計者には、油入り圧力センサ内で使用されるセンサダイヤフラムおよび充填オイルの物理的な態様をカスタマイズする大きな自由裁量の範囲が提供される。
【0058】
圧力センサ100の実施形態を紹介したが、いくつかの追加の態様が次に表される。
【0059】
集積された感知ユニットとして提供されようと、ディスクリートな感知ユニットとして提供されようと、圧力感知ユニット10は、圧力伝達媒体としての充填オイルで充填されるキャビティ内で使用でき、また、充填オイルと感知される圧力媒体との間の薄い可撓性のダイヤフラムを備えて構成できる。油入りキャビティの金属部分はアースに接続でき、電子部品は、少なくとも1秒間、少なくとも1.8kV ACまでグラウンドから絶縁でき、500Vで少なくとも50Mオームの絶縁抵抗を有することができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、圧力センサは、電源、アースおよび出力の端子の接続を介して較正を提供するように構成される。このような較正により、電気的コンタクトピンの数が、競合デバイスに必要とされるものと比較して制限でき、それゆえコストが削減される。
【0061】
本願で開示される圧力センサの実施形態は、様々な環境における圧力を感知するのに有用である。例えば、圧力センサは、例えば、病院、生産施設、研究所等などの工業用途に設置される冷却機に使用され得る。圧力センサは、商用、住宅用および工業用途などのHVAC用途において使用できる。圧力センサは、環境管理、エネルギー生成、クーラントの移送、排出物の発生等に伴う生産ストリームに関連した吸入および排出に使用できる。圧力センサは、気体環境または液体環境における圧力を感知するように構成できる。
【0062】
いくつかの実施形態において、圧力センサは、少なくとも別の圧力感知ユニットを備える。従って、圧力センサは、感知環境における差圧を提供するように構成できる。
【0063】
本願で述べるように、「電気的な分離(electrical separation)」に関連する専門用語は、一般に、電気的な構成要素間の中立の電界(neutral field)を維持するのに十分な状況に関する。実施形態の中には、電気的な分離が電気的絶縁と称されることもある。電気的な分離は、パッシベーション層などの介在する層を適用することによって実現できる。実施形態の中には、電気的な分離が回路素子のバイアシングを必要とする(またはこれをさらに使用する)ものもある。
【0064】
本願で述べるように「感知素子上の外部電荷の影響を実質的に取り除く」ことは、一般に、感知素子の出力上の電荷の蓄積の影響を低減させることを表す。例えば、外部電荷の影響を実質的に取り除くと、特定の設計用のレベルまで、または、設計者、製造者、ユーザ、または他の同様の関係者の各々から受容可能であるレベルまで、出力ドリフトを低減させる結果となる。あるいは、外部電荷の影響を実質的に取り除くと、競合設計の性能に勝るレベルに出力ドリフトを低減する結果となる。
【0065】
本願で述べるように、「信号ドリフト(signal drift)」という用語は、一般に、真の値からはずれ、且つ外部変化に起因する、データ信号の変化に関する。信号ドリフトを生じさせ得る例示的な外部要因は、電荷担体の蓄積および設計温度からの実質的な逸脱を含む。
【0066】
本願で述べるように、「熱的に誘導された圧力(thermally induced pressure)」という用語は、一般に、温度変化の結果としての、圧力センサの油入りキャビティ内の圧力の変化に関する。一般に、圧力センサは、感知された圧力信号上の温度変化の影響を制限すること関して設計される。温度の影響を制限するように圧力センサを設計すること(すなわち、「温度を安定化させた設計」を提供すること)によって、出力データは、大気圧条件をより詳細に示す。設計において考慮され得る態様は、無制限に、且つ上述のように、ダイヤフラムの外形、ダイヤフラムの形状、および油入り圧力センサにおける油入りキャビティの容積を含む。他の態様を、考慮し、および/または適合してもよい。例示的な他の態様は、センサを構成するのに使用される材料の熱膨張率(TCE)、材料の厚さ、幅、直径、外形、可撓性および他のこのような態様を含む。他の態様は、油入りキャビティの容積および油入りキャビティ用のオイルの熱膨張率(TCE)のうちの少なくとも1つを算出することを含む。
【0067】
様々な他の構成要素が、本願における教示の態様を提供するのに含まれ、且つ要求することができる例えば、追加の材料、材料の組合せ、および/または材料の省略が、本願における教示の範囲内にある追加の実施形態を提供するために使用できる。
【0068】
本発明の要素またはその実施形態を説明する際の、冠詞「a」、「an」および「the」は、1つまたは複数の要素があることを意味するものと意図される。同様に、要素を説明するのに使用した場合の、形容詞「別の(another)」は、1つまたは複数の要素を意味することを意図している。「備える(including)」および「有する(having)」という用語は、記載された要素以外の追加の要素があってもよいように、包括的であることを意図している。
【0069】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ、且つ均等物がその要素を代用できることが当業者には理解されよう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の機器、状況または材料を本発明の教示に用いるために、多くの修正形態が当業者に理解されよう。それゆえ、本発明を実施するために考察された最良の形態として開示された特定の実施形態に、本発明が限定されることが意図されるのではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内にある全ての実施形態を含むことが意図される。
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