特許第6523943号(P6523943)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧 ▶ 株式会社斎藤農機製作所の特許一覧

<>
  • 特許6523943-歩行型草刈機 図000002
  • 特許6523943-歩行型草刈機 図000003
  • 特許6523943-歩行型草刈機 図000004
  • 特許6523943-歩行型草刈機 図000005
  • 特許6523943-歩行型草刈機 図000006
  • 特許6523943-歩行型草刈機 図000007
  • 特許6523943-歩行型草刈機 図000008
  • 特許6523943-歩行型草刈機 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523943
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】歩行型草刈機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/86 20060101AFI20190527BHJP
   A01D 34/67 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   A01D34/86
   A01D34/67 A
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-252358(P2015-252358)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-112919(P2017-112919A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】相原 幸枝
(72)【発明者】
【氏名】福岡 和樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 栄作
(72)【発明者】
【氏名】塩田 達也
(72)【発明者】
【氏名】和田 崇志
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 博紀
【審査官】 川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−028448(JP,A)
【文献】 実公昭47−016082(JP,Y1)
【文献】 実公昭45−008652(JP,Y1)
【文献】 登録実用新案第3185642(JP,U)
【文献】 特開2006−007990(JP,A)
【文献】 実開昭60−055305(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00 −33/16
A01B 51/00 −61/04
A01B 63/14 −67/00
A01B 71/00 −79/02
A01D 34/00 −34/01
A01D 34/412−34/90
A01D 42/00 −42/08
A01D 43/06 −43/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一草刈装置と、
前記第一草刈装置の横側方に配置され、前記第一草刈装置の前後向きの前後軸心周りに揺動可能な第二草刈装置と、
前記第二草刈装置の刈刃の回転軌跡の外側に位置し、接地して前記第二草刈装置の刈高さを定め、走行に伴い横向きの回動軸心周りに地面を転動可能なゲージ輪と、
前記ゲージ輪の横側部の近傍に配置され、前記ゲージ輪に連れ回る刈草を掻き落とすスクレーパと、が備えられており、
前記スクレーパの上部に、前記ゲージ輪の後端部の上方箇所まで後向きに延出される後向き部が備えられており、
前記スクレーパは、前記後向き部に接続すると共に前記ゲージ輪に連れ回る刈草を掻き落とす掻き落とし部を有しており、
前記第二草刈装置に、前記刈刃の上方を覆うハウジングが備えられ、
前記ゲージ輪が、前記ハウジングよりも前方に配置されており、
前記ハウジングの前方に、棒状のガード部材が備えられ、
前記ガード部材が、前記スクレーパの後方に近接するように配置されており、
前記後向き部は、前記掻き落とし部により掻き落とされた刈草を前記ガード部材へ向けて案内するように構成されている歩行型草刈機。
【請求項2】
第一草刈装置と、
前記第一草刈装置の横側方に配置され、前記第一草刈装置の前後向きの前後軸心周りに揺動可能な第二草刈装置と、
前記第二草刈装置の刈刃の回転軌跡の外側に位置し、接地して前記第二草刈装置の刈高さを定め、走行に伴い横向きの回動軸心周りに地面を転動可能なゲージ輪と、
前記ゲージ輪の横側部の近傍に配置され、前記ゲージ輪に連れ回る刈草を掻き落とすスクレーパと、が備えられており、
前記スクレーパの上部に、前記ゲージ輪の後端部の上方箇所まで後向きに延出される後向き部が備えられており、
前記後向き部の前端部と前記回動軸心との間の距離は、前記後向き部の後端部と前記回動軸心との間の距離よりも短い歩行型草刈機。
【請求項3】
前記スクレーパにおける前記ゲージ輪よりも上側の部分は、平面視において、前記ゲージ輪と重複しない請求項2に記載の歩行型草刈機。
【請求項4】
前記第二草刈装置に、前記刈刃の上方を覆うハウジングが備えられ、
前記ゲージ輪が、前記ハウジングよりも前方に配置されている請求項2または3に記載の歩行型草刈機。
【請求項5】
前記ハウジングの前方に、棒状のガード部材が備えられ、
前記ガード部材が、前記スクレーパの後方に近接するように配置されている請求項に記載の歩行型草刈機。
【請求項6】
前記スクレーパが、側面視で前記ゲージ輪と重複する箇所から前記ゲージ輪と重複しない箇所まで前記ゲージ輪の回転面に沿って延出されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の歩行型草刈機。
【請求項7】
前記ゲージ輪の外周部に、前記ゲージ輪の周方向に並ぶ凸部が備えられ、
前記スクレーパが、前記凸部の近傍に位置している請求項1〜のいずれか一項に記載の歩行型草刈機。
【請求項8】
前記第二草刈装置の横向きの支持軸心周りに揺動可能な揺動可能状態と、揺動不能な位置固定状態と、に切り換え操作可能な操作部材が備えられ、
前記ゲージ輪が、前記操作部材の前端部に前記回動軸心周りに回動自在に支持され、
前記スクレーパが、前記操作部材に固定されている請求項1〜のいずれか一項に記載の歩行型草刈機。
【請求項9】
前記操作部材に設けられる操作部が、前記第二草刈装置の後側まで延びている請求項に記載の歩行型草刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一草刈装置と、第一草刈装置の横側方に配置され、第一草刈装置の前後向きの前後軸心周りに揺動可能な第二草刈装置と、が備えられている歩行型草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歩行型草刈機が、例えば、特許文献1に記載されている。この歩行型草刈機には、第二草刈装置の刈刃(特許文献1では「回転刃」)の回転軌跡外側に位置し、接地して第二草刈装置の刈高さを定め、走行に伴い横向きの回動軸心周りに地面を転動可能なゲージ輪(特許文献1では「車輪」)が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−183170号公報(図1図5等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、第二草刈装置の刈刃により跳ね飛ばされた刈草が、刈刃の回転軌跡の外側に位置するゲージ輪に付着して、ゲージ輪に刈草が連れ回る場合があった。そのような場合、ゲージ輪により定められる第二草刈装置の刈高さが変化したり、走行不良が生じたりするおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、第二草刈装置のゲージ輪に刈草の付着が生じにくく、第二草刈装置の刈高さの変化や走行不良が生じにくい歩行型草刈機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の歩行型草刈機のうちの1つは、
第一草刈装置と、
前記第一草刈装置の横側方に配置され、前記第一草刈装置の前後向きの前後軸心周りに揺動可能な第二草刈装置と、
前記第二草刈装置の刈刃の回転軌跡の外側に位置し、接地して前記第二草刈装置の刈高さを定め、走行に伴い横向きの回動軸心周りに地面を転動可能なゲージ輪と、
前記ゲージ輪の横側部の近傍に配置され、前記ゲージ輪に連れ回る刈草を掻き落とすスクレーパと、が備えられており、
前記スクレーパの上部に、前記ゲージ輪の後端部の上方箇所まで後向きに延出される後向き部が備えられており、
前記スクレーパは、前記後向き部に接続すると共に前記ゲージ輪に連れ回る刈草を掻き落とす掻き落とし部を有しており、
前記第二草刈装置に、前記刈刃の上方を覆うハウジングが備えられ、
前記ゲージ輪が、前記ハウジングよりも前方に配置されており、
前記ハウジングの前方に、棒状のガード部材が備えられ、
前記ガード部材が、前記スクレーパの後方に近接するように配置されており、
前記後向き部は、前記掻き落とし部により掻き落とされた刈草を前記ガード部材へ向けて案内するように構成されているものである。
【0007】
本発明によると、第一草刈装置と、地面の形状に合わせた所望の位置に揺動された第二草刈装置と、により地面の草を刈ることができる。第二草刈装置の刈高さは、ゲージ輪により定められる。第二草刈装置の刈刃を駆動すると、刈刃により刈られた刈草が、刈刃の回転軌跡の外側に跳ね飛ばされてゲージ輪に至り、ゲージ輪に刈草が付着する場合がある。しかし、走行に伴ってゲージ輪が地面を転動することにより、ゲージ輪に連れ回る刈草にスクレーパが作用して、ゲージ輪に連れ回る刈草をスクレーパで掻き落とすことができる。これにより、ゲージ輪に刈草が付着して蓄積することが防止され、第二草刈装置の刈高さが変化しにくいものとなり、ゲージ輪の転動が円滑に行われ、走行不良が生じにくいものとなる。
したがって、本発明によれば、第二草刈装置のゲージ輪に刈草の付着が生じにくく、第二草刈装置の刈高さの変化や走行不良が生じにくいものにできる。
また、本発明の歩行型草刈機のうちのもう1つは、
第一草刈装置と、
前記第一草刈装置の横側方に配置され、前記第一草刈装置の前後向きの前後軸心周りに揺動可能な第二草刈装置と、
前記第二草刈装置の刈刃の回転軌跡の外側に位置し、接地して前記第二草刈装置の刈高さを定め、走行に伴い横向きの回動軸心周りに地面を転動可能なゲージ輪と、
前記ゲージ輪の横側部の近傍に配置され、前記ゲージ輪に連れ回る刈草を掻き落とすスクレーパと、が備えられており、
前記スクレーパの上部に、前記ゲージ輪の後端部の上方箇所まで後向きに延出される後向き部が備えられており、
前記後向き部の前端部と前記回動軸心との間の距離は、前記後向き部の後端部と前記回動軸心との間の距離よりも短いものである。
上記構成において、前記スクレーパにおける前記ゲージ輪よりも上側の部分は、平面視において、前記ゲージ輪と重複しないと好適である。
【0008】
上記構成において、
前記スクレーパが、側面視で前記ゲージ輪と重複する箇所から前記ゲージ輪と重複しない箇所まで前記ゲージ輪の回転面に沿って延出されていると好適である。
【0009】
本構成によれば、ゲージ輪の転動によりスクレーパの作用でゲージ輪から刈草が掻き落とされる際に、スクレーパにおいて圧縮される刈草が、ゲージ輪の回転面に沿ってゲージ輪の外周部よりも外側まで導かれやすくなる。このため、スクレーパによりゲージ輪に付着した刈草を効率良く掻き落とすことができる。
【0010】
上記構成において、
前記スクレーパの上部に、前記ゲージ輪の後端部の上方箇所まで後向きに延出される後向き部が備えられていると好適である。
【0011】
本構成によれば、ゲージ輪から掻き落とされてスクレーパに蓄積してゆく刈草を、スクレーパの上部の後向き部により導いて、ゲージ輪の接地箇所よりも後方に落下させやすくなる。これにより、スクレーパでゲージ輪から掻き落とした刈草にゲージ輪が乗り上げることが少なくなり、第二草刈装置の刈高さが変化しにくいものとなる。
【0012】
上記構成において、
前記第二草刈装置に、前記刈刃の上方を覆うハウジングが備えられ、
前記ゲージ輪が、前記ハウジングよりも前方に配置されていると好適である。
【0013】
本構成によれば、ゲージ輪と刈刃とが前後方向に十分に離れているので、ゲージ輪で踏み付けた地面の草が、十分に起き上がってから刈刃で刈られるようになる。これにより、第二草刈装置による草の刈残しが生じにくくなる。
【0014】
上記構成において、
前記ハウジングの前方に、棒状のガード部材が備えられ、
前記ガード部材が、前記スクレーパの後方に近接するように配置されていると好適である。
【0015】
本構成によれば、第二草刈装置においてハウジング等を衝突から保護するガード部材は、棒状であるため、刈刃から跳ね飛ばされた刈草が付着する場合がある。スクレーパをガード部材に近接するように配置してあるので、ガード部材に付着した刈草を、スクレーパにより導かれるゲージ輪から掻き落とされた刈草に一緒に巻き込んで地面に落下させやすくなる。
【0016】
上記構成において、
前記ゲージ輪の外周部に、前記ゲージ輪の周方向に並ぶ凸部が備えられ、
前記スクレーパが、前記凸部の近傍に位置していると好適である。
【0017】
本構成によれば、例えば、第二草刈装置により斜面の草刈りを行う場合、ゲージ輪の凸部が地面に咬み込み、第二草刈装置の姿勢が安定しやすくなる。一方、ゲージ輪の凸部には、刈草の付着が生じやすくなる。このため、ゲージ輪の凸部の近傍にスクレーパを配置することにより、ゲージ輪に付着した刈草の掻き落としを効率良く行うことができる。
【0018】
上記構成において、
前記第二草刈装置の横向きの支持軸心周りに揺動可能な揺動可能状態と、揺動不能な位置固定状態と、に切り換え操作可能な操作部材が備えられ、
前記ゲージ輪が、前記操作部材の前端部に前記回動軸心周りに回動自在に支持され、
前記スクレーパが、前記操作部材に固定されていると好適である。
【0019】
本構成によれば、操作部材を揺動可能状態にすることにより、ゲージ輪の高さを変更して第二草刈装置の刈高さを変更できる。そして、操作部材を位置固定状態にすることにより、ゲージ輪の高さを固定して第二草刈装置の刈高さを所望の刈高さに定めることができる。ゲージ輪を支持するこのような操作部材に、ゲージ輪の刈草を掻き落とすスクレーパを固定しているため、第二草刈装置の刈高さに関わらず、ゲージ輪とスクレーパとが一定の位置関係に保たれ、スクレーパによるゲージ輪に付着した刈草の掻き落としを安定して行うことができる。
【0020】
上記構成において、
前記操作部材に設けられる操作部が、前記第二草刈装置の後側まで延びていると好適である。
【0021】
本構成によれば、例えば、走行機体を操縦するための操縦ハンドル側から第二草刈装置の後側に位置する操作部材の操作部へと手が届き易くなり、操縦者が操縦ハンドル側に居る状態で、操作部を操作して第二草刈装置の刈高さの調節を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】歩行型草刈機を示す右側面図である。
図2】歩行型草刈機を示す上面図である。
図3】第一草刈装置と第二草刈装置の伝動構造等の周辺を示す前面視の断面図である。
図4】第二草刈装置の刈高さが最低高さにある場合を示し、ゲージ輪、及び、第一スクレーパ等の周辺を示す左側面図である。
図5】第二草刈装置の刈高さが最高高さにある場合を示し、ゲージ輪、及び、第一スクレーパ等の周辺を示す左側面図である。
図6】操作部材の操作部の構造を説明する左側面図である。
図7】ゲージ輪を部分的に断面で示す前面視の断面図である
図8】別実施形態における第一スクレーパの周辺を示す前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、「前」は図2に示す矢印Fの向き、「後」は図2に示す矢印Bの向き、「左」は図2に示す矢印Lの向き、「右」は図2に示す矢印Rの向き、として説明する。
【0024】
図1図2等に示される歩行型草刈機には、単一の前車輪10と単一の後車輪11とで走行する走行機体が備えられている。また、走行機体には、機体横幅方向並びに機体前後方向に所定の幅を有する上面視で矩形状に構成されている機体フレーム12が備えられている。
【0025】
図1図2に示されるように、機体フレーム12には、エンジン13、操縦ハンドル14、エンジン13に燃料を供給する燃料タンク15、エンジン13の排気を外部へ向けて導くマフラ16、前車輪10を揺動可能に支持する前輪伝動ケース17、後車輪11を支持する後輪伝動ケース18等が支持されている。
【0026】
また、図1図5に示されるように、走行機体には、地面の草を刈ることが可能な第一草刈装置K1と、第一草刈装置K1が草刈りを行う地面の横側方側の地面の草を刈ることが可能な第二草刈装置K2と、が、備えられている。
【0027】
歩行型草刈機は、エンジン13からの駆動力により、前車輪10と後車輪11とを駆動して走行機体を走行させながら、第一草刈装置K1と第二草刈装置K2とを駆動して、地面の草刈りを行うことが可能となっている。
【0028】
〔前車輪と後車輪について〕
図1図2に示されるように、前車輪10は、第一草刈装置K1の前部側の箇所に配置されている。前車輪10は、エンジン13の駆動力に基づいて駆動される駆動輪となっている。また、前車輪10は、操向輪となっている。後車輪11は、第一草刈装置K1の後部側の箇所に配置されている。後車輪11は、エンジン13の駆動力に基づいて駆動される駆動輪となっている。前後方向における前車輪10と後車輪11との間に、エンジン13が配置されている。前車輪10、及び、後車輪11は、走行機体の左右幅方向の略中央位置に備えられている。このため、例えば、圃場の畦等の細い箇所であっても、走行しやすく草刈り作業が行い易いものとなっている。
【0029】
〔第一草刈装置について〕
図1図2に示されるように、第一草刈装置K1は、機体フレーム12に支持されている。第一草刈装置K1には、エンジン13からの駆動力に基づいて回転駆動可能な第一刈刃19と、第一刈刃19の上方を覆う第一ハウジング20と、第一刈刃19の対地高さを変更して第一草刈装置K1の刈高さを変更可能な第一刈高さ調節機構21と、が備えられている。
【0030】
図1図3に示されるように、第一ハウジング20は、機体フレーム12の下部に固定されている。第一刈刃19は、第一ハウジング20の内部下側に配置されている。第一刈刃19は、上下二枚刃の仕様となっている。
【0031】
図1図2に示されるように、前輪伝動ケース17は、機体フレーム12の前部位置に前揺動軸心Q1を中心にして揺動自在に支持されている。第一草刈装置K1の刈高さは、前輪伝動ケース17の揺動姿勢を変更することにより調節可能となっており、これにより、第一草刈装置K1の第一刈高さ調節機構21が構成されている。
【0032】
〔第二草刈装置について〕
図2図5に示されるように、第二草刈装置K2は、第一草刈装置K1に支持されている。第二草刈装置K2には、エンジン13からの駆動力に基づいて回転駆動可能な第二刈刃22(「刈刃」に相当)と、第二刈刃22の上方を覆う第二ハウジング23(「ハウジング」に相当)と、棒状のガード部材24と、第二刈刃22の対地高さを変更して第二草刈装置K2の刈高さを変更可能な第二刈高さ調節機構25と、が備えられている。
【0033】
図3等に示されるように、第二ハウジング23は、ヒンジ部材26を介して、前後軸心Pを中心にして揺動可能に第一ハウジング20に支持されている。第二ハウジング23は、機体フレーム12、及び、第一ハウジング20の横側部側に配置されている。第二ハウジング23の内部下側に、第二刈刃22が配置されている。第二刈刃22は、上下二枚刃の仕様となっている。
【0034】
図2図4図5に示されるように、第二ハウジング23の下部には、第二刈刃22の前方側に位置する複数の可撓性を有する前カバー27と、第二刈刃22の後方側に位置する複数の後カバー28と、が取り付けられている。
【0035】
〔ガード部材について〕
図2図4図5に示されるように、棒状のガード部材24は、第二ハウジング23の前方に備えられている。ガード部材24は、第二ハウジング23を保護するフロントバンパとして機能する。ガード部材24は、第二ハウジング23に固定されている。第二ハウジング23とガード部材24との間には、空間が設けられている。ガード部材24は、第二ハウジング23との間に空間を設けるように、屈曲されている。ガード部材24には、第二ハウジング23の左右内端部から前方に向けて延びる前向き部29と、前向き部29の前端部に接続されて左右方向に延びる横部30と、横部30の左右外端部から斜め後方に屈曲されて斜めに延びる傾斜部31と、傾斜部31の左右外端部から後方に延びる取付部32と、が備えられている。取付部32は、第二ハウジング23の外端部に取り付けられている。
【0036】
〔第一草刈装置の第一刈刃と第二草刈装置の第二刈刃との関係について〕
図2に示されるように、第一草刈装置K1の第一刈刃19は、前部において右側に向かい、後部において左側に向かう方向(上面視で時計回り方向の第一回転方向R1)に回転するようになっている。一方、第二草刈装置K2の第二刈刃22は、前部において左側に向かい、後部において右側に向かう方向(上面視で反時計周り方向の第二回転方向R2)に回転するようになっている。つまり、第一草刈装置K1と第二草刈装置K2とは前方に向けて刈草を跳ね飛ばすようになっている。
【0037】
また、図2に示されるように、第一草刈装置K1の第一刈刃19が回転する第一回転軌跡T1と、第二草刈装置K2の第二刈刃22が回転する第二回転軌跡T2(「回転軌跡」に相当)と、は重なり合う位置関係となっている。しかし、第一刈刃19の回転位相と、第二刈刃22の回転位相と、を互いに90度ずらしてあるので、第一刈刃19と第二刈刃22とが互いに接触せずに回転するようになっている。
【0038】
〔第一草刈装置に対する第二草刈装置の連結角度変更について〕
図2図3に示されるように、第二草刈装置K2は、第一草刈装置K1の横側方に配置されている。第二草刈装置K2は、ヒンジ部材26を介して、第一草刈装置K1に連結されている。第二草刈装置K2は、第一草刈装置K1の前後向きの前後軸心P(ヒンジ部材26の中心)周りに上下方向に揺動可能となっている。第二草刈装置K2を第一草刈装置K1に対して前後軸心P周りに揺動することにより、第一草刈装置K1に対する第二草刈装置K2の連結角度を調節できる。
【0039】
特に図示はしないが、第一草刈装置K1と第二草刈装置K2との連結角度を180度に調節する(第一草刈装置K1の刈取面と第二草刈装置K2の刈取面とを平行状態にする)と、第一草刈装置K1と第二草刈装置K2とにより、例えば水平状の第一面の地面の草刈りを左右幅広くして行うことができる。
【0040】
一方、図3に示されるように、第一草刈装置K1と第二草刈装置K2との連結角度を180度未満に調節する(第一草刈装置K1の刈取面と第二草刈装置K2の刈取面とを非平行状態にする)と、第一草刈装置K1により第一面の草刈りを行い、且つ、第二草刈装置K2により、第一面の下方に位置し、第一面から離れるにつれて下方に位置するように傾斜した第二面(法面)の草刈りを行うことができる。
【0041】
これにより、例えば、歩行型草刈機により、畦畔等における草刈りを効率良く行うことができる。
【0042】
〔伝動系について〕
図1図2に示されるように、エンジン13の出力軸33から出力される駆動力は、出力軸33に備えられた第一出力プーリ34から走行伝動系に伝達され、出力軸33に備えられた第二出力プーリ35から作業伝動系に伝達されるようになっている。
【0043】
〔走行伝動系について〕
第一出力プーリ34からは、第一入力軸36に備えられた第一入力プーリ37に、無端ベルトで構成された第一伝動ベルト38を介して、動力が伝達される。第一入力軸36には、第一入力スプロケット(図示なし)が備えられており、第一入力スプロケット(図示なし)からは、後輪駆動軸40に備えられた第一出力スプロケット(図示なし)に、無端チェーンで構成される第一伝動チェーン(図示なし)を介して、後輪駆動軸40に動力が伝達される。後輪駆動軸40の駆動により、後車輪11が駆動される。
【0044】
一方、第一入力軸36から出力される駆動力は、中間出力軸43にも伝達されるようになっている。中間出力軸43に備えられた第二入力スプロケット44からは、第二入力軸45に備えられた第二出力スプロケット46に、無端チェーンで構成される第二伝動チェーン47を介して、駆動力が伝達されるようになっている。第二入力軸45から出力される駆動力は、第二入力軸45に備えられた第三入力スプロケット(図示なし)から、前輪駆動軸49に備えられた第三出力スプロケット(図示なし)に、無端チェーンで構成される第三伝動チェーン(図示なし)を介して、伝達されるようになっている。前輪駆動軸49の駆動により、前車輪10が駆動される。
【0045】
なお、第一入力軸36と同軸芯上に、エンジン13から前車輪10及び後車輪11に向かう駆動力の断続を行う走行クラッチ機構(図示なし)が備えられている。走行クラッチ機構を入り状態に操作することにより、エンジン13の駆動力により、前車輪10及び後車輪11に動力を伝達可能な状態となる。一方、走行クラッチ機構を切り状態に操作することにより、エンジン13から前車輪10及び後車輪11に向かう動力の伝達が遮断された状態となる。
【0046】
〔作業伝動系について〕
図1図2に示されるように、エンジン13側の第二出力プーリ35からは、伝動駆動軸53に備えられた第二入力プーリ54に、第二伝動ベルト55を介して、動力が伝達される。
【0047】
図3に示されるように、第一ハウジング20の上部位置には、第一ギヤケース56が配置されている。伝動駆動軸53は、第一ギヤケース56に左右向きに突出する状態で回動自在に支持されている。
【0048】
第一ギヤケース56には、一体的に設けられる第一下部ケース57が、機体フレーム12、及び、第一ハウジング20に対して上下に貫通する状態で備えられている。第一下部ケース57には、縦向き姿勢の第一駆動軸心X1を中心にして回転自在に第一駆動軸58が備えられている。第一駆動軸58の下部に、第一刈刃19が取り付けられている。第一刈刃19の近傍には、刈草等が第一駆動軸58に巻き付くことを防止する第一巻付き防止コーン59が備えられている。
【0049】
伝動駆動軸53に備えられた第一駆動ベベルギア60と、第一駆動軸58に備えられた第一従動ベベルギア61と、が連動連結されている。つまり、伝動駆動軸53に伝わる駆動力により、第一駆動ベベルギア60、第一従動ベベルギア61、及び、第一駆動軸58が一体的に回転駆動され、第一刈刃19が回転駆動される。
【0050】
一方、第二ハウジング23の上部位置には、第二ギヤケース62が配置されている。第二ギヤケース62の内部には、第二ハウジング23の上面に沿う状態で回動自在に従動軸63が支持されている。伝動駆動軸53は、第二入力プーリ54の配設側とは反対側に、第一ギヤケース56から突出されている。伝動駆動軸53における第二入力プーリ54とは反対側の突出部と従動軸63との間は、一対のユニバーサルジョイント64及び伸縮自在な中間伝動軸65を介して連動連結されている。中間伝動軸65は、外軸の内部に内軸を内嵌した構造となっている。中間伝動軸65の内嵌部分にスプラインや角軸等を用いることで、中間伝動軸65は、トルク伝動自在で軸心方向に相対移動する形態で伸縮自在に構成されている。一対のユニバーサルジョイント64と中間伝動軸65とは、蛇腹状の被覆ブーツ66により覆われている。
【0051】
第二ギヤケース62には、一体的に設けられる第二下部ケース67が、第二ハウジング23に対して上下に貫通する状態で備えられている。第二下部ケース67には、縦向き姿勢の第二駆動軸68と、が第二駆動軸心X2上に配置されている。第二駆動軸68の下部に、第二刈刃22が取り付けられている。第二刈刃22の近傍には、刈草等が第二駆動軸68に巻き付くことを防止する第二巻付き防止コーン69が備えられている。
【0052】
従動軸63に備えられた第二駆動ベベルギア70と、第二駆動軸68に備えられた第二従動ベベルギア71と、は連動連結されている。従動軸63に伝わる駆動力により、第二駆動軸68が駆動されて、第二刈刃22が回転駆動される。
【0053】
なお、第二伝動ベルト55には、エンジン13から第一刈刃19及び第二刈刃22に向かう駆動力の断続を行う作業クラッチ機構が備えられている。作業クラッチ機構としては、第二伝動ベルト55に張力を作用させるテンションプーリ72が備えられている。テンションプーリ72を支持するテンションアームの揺動操作により、第二伝動ベルト55の駆動力の断続を行うことが可能となっている。作業クラッチ機構を入り状態に操作することにより、エンジン13の駆動力により、第一刈刃19及び第二刈刃22に動力を伝達可能な状態となる。一方、作業クラッチ機構を切り状態に操作することにより、エンジン13から第一刈刃19及び第二刈刃22に向かう動力の伝達が遮断された状態となる。
【0054】
〔操縦ハンドルについて〕
図1図2に示されるように、第一ハウジング20の後部には、後部フレームが支持されている。後部フレームの後端部から、左右一対の操縦ハンドル14が斜め後ろ上がりに延出されている。
【0055】
操縦ハンドル14は、走行機体の後部位置から後方に向けて延出されている。操縦ハンドル14は、第一草刈装置K1の後方に位置している。操縦ハンドル14には、左右両側の丸パイプ材からなる左右一対のハンドル杆74が備えられている。左右のハンドル杆74の機体前部側の端部は、それぞれ、斜め前下方側に向けて延びるハンドル基端部75に接続されている。ハンドル基端部75は、機体フレーム12に支持されている。左右のハンドル杆74の前後中途部は、左右中央部が前方に凸となるように屈曲された棒状の連結杆76により連結されている。
【0056】
左右のハンドル杆74の後端部には、それぞれ、操縦者が手で握り操作するためのグリップ部77が備えられている。左右のハンドル杆74は、後方から前方に向かうにつれて互いに左右方向の離間距離が離れるように、略V字状に配置されている。また、ハンドル杆74の前端部は、ハンドル基端部75に対してハンドル軸心Q2周りで角度変更調節可能に、且つ、ノブ付きボルト78により締め付けて角度固定可能に構成されている。
【0057】
左の操縦ハンドル14のグリップ部77の下部に備えられた走行クラッチレバー(図示せず)の操作により、走行クラッチ機構の入り切り操作が可能となっている。右の操縦ハンドル14のグリップ部77の近傍に備えられた刈取クラッチレバー79の操作により、刈取クラッチ機構の入り切り操作が可能となっている。
【0058】
〔第二刈高さ調節機構について〕
図1図5等に示されるように、第二草刈装置K2の第二刈高さ調節機構25には、前後方向に沿って延びる筒状の操作部材80、操作部材80の前端部に支持されるゲージ輪81、操作部材80に設けられた操作部82等が備えられている。ゲージ輪81の近傍には、第一スクレーパ83(「スクレーパ」の一例)、第二スクレーパ84(「スクレーパ」の一例)、第三スクレーパ85(「スクレーパ」の一例)が備えられている。
【0059】
〔操作部材について〕
図4図5等に示されるように、操作部材80は、前後方向に沿って延びる杆状部材となっている。操作部材80の前部には、下方向きに折れ曲がる前下部86が設けられている。操作部材80は、ガード部材24と第二ハウジング23との間を通るように配置されている。操作部材80の前下部86は、第二ハウジング23の傾斜部31の下方を通過するようになっている。
【0060】
図3図5から理解されるように、操作部材80は、第二草刈装置K2の第二ハウジング23上の横向きの支持軸心Q3周りに揺動可能な揺動可能状態と、揺動不能な位置固定状態と、に切り換え操作可能に構成されている。操作部材80の後端部に設けられる操作部82は、第二草刈装置K2の後側まで延びている。
【0061】
図4図5に示されるように、第二ハウジング23上に固定される支持ブラケット87に操作部材80を左右方向に沿った支持軸心Q3周りに支持する揺動支軸88は、第二ギヤケース62の前方に位置している。また、揺動支軸88は、第二ギヤケース62よりも横外側に位置している。
【0062】
〔ゲージ輪について〕
図2図5図7に示されるように、ゲージ輪81は、操作部材80の前端部に回動軸心Q4周りに回動自在に片持ち状に支持されている。ゲージ輪81は、操作部材80に固定される回動支軸89、筒状の支持部材90、を介して、操作部材80に支持されている。ゲージ輪81は、支持部材90に固定されている。支持部材90は、一対のベアリング91を介して、回動支軸89に挿通支持され、回動軸心Q4周りに回動自在に支持されている。ゲージ輪81は、接地して第二草刈装置K2の刈高さを定めるようになっている。図2図4図5等に示されるように、ゲージ輪81は、第二草刈装置K2の第二刈刃22の第二回転軌跡T2の前外側に位置している。ゲージ輪81は、第二ハウジング23よりも前方に配置されている。ゲージ輪81は、走行に伴い横向きの回動軸心Q4周りに地面を転動可能に構成されている。図1に示されるように、ゲージ輪81の接地箇所は、前車輪10の接地箇所よりも前方に位置しており、前車輪10、後車輪11、ゲージ輪81の接地により、走行機体が安定して支持されるようになっている。
【0063】
図2図5等に示されるように、ゲージ輪81には、左右内側(右側)に向けて凸となり、左右外側(左側)が開放された椀形状の椀部81Aと、椀部81Aの外周部においてゲージ輪81の周方向に並ぶ複数の凸部92と、が備えられている。椀部81Aの開放面は、第二草刈装置K2の第二刈刃22が位置する側とは反対側に位置している。
【0064】
〔操作部について〕
図4図6等に示されるように、操作部材80に設けられる操作部82には、操作部材80の姿勢をロック可能なロック機構94と、ロック機構94を操作可能な操作レバー93と、が備えられている。
【0065】
ロック機構94には、操作部材80と操作レバー93とに亘って取り付けられる付勢バネ95と、操作レバー93の基端部を回動可能に操作部材80に支持する支点ピン96と、操作レバー93に設けられる係合ピン97と、支持ブラケット87に縦方向に複数並べて設けられ、係合ピン97と係合可能な係合溝98と、が備えられている。操作レバー93の遊端部は、操作部材80の上側に位置している。付勢バネ95は、操作レバー93の遊端部を操作部材80から遠ざける方向に、操作レバー93を付勢している。操作レバー93の係合ピン97を、支持ブラケット87の係合溝98のいずれかに係合させると、ロック機構94がロック状態となる。操作レバー93の係合ピン97を、支持ブラケット87の係合溝98のいずれとも係合しない状態にすると、ロック機構94が解除状態となる。
【0066】
図4に示されるように、操作レバー93の係合ピン97を、複数の係合溝98のうち最も下側の係合溝98に係合させて、ロック機構94をロック状態にし、操作部材80を位置固定状態にする。すると、揺動支軸88に対してゲージ輪81が相対的に上がった上昇位置で位置固定され、第二草刈装置K2の刈高さが最低高さM1に設定される。
【0067】
一方、図5に示されるように、操作レバー93の係合ピン97を、複数の係合溝98のうち最も上側の係合溝98に係合させることにより、ロック機構94をロック状態にし、操作部材80を位置固定状態にする。すると、揺動支軸88に対してゲージ輪81が相対的に下がった下降位置で位置固定され、第二草刈装置K2の刈高さが最高高さM2に設定される。
【0068】
特に図示はしないが、操作レバー93の係合ピン97を、複数の係合溝98のうち最も上側の係合溝98と最も下側の係合溝98との間に位置する係合溝98に係合させることにより、ロック機構94をロック状態にし、操作部材80を位置固定状態にする。すると、ゲージ輪81が上昇位置と下降位置との間の位置で位置固定され、第二草刈装置K2の刈高さが最低高さM1と最高高さM2との間の高さに設定される。
【0069】
例えば、図1に示されるように、連結杆76に操縦者Wの腹部付近の箇所を位置させて、操縦者Wがやや前かがみとなって手を伸ばして、図6に示されるように、操作レバー93を操作部材80ごと握り込んだ握り込み状態A1にすることにより、ロック機構94を解除状態にして、操作部材80を揺動可能状態にして、操作部材80を揺動させて手を離す。すると、操作レバー93の遊端部が操作部材80から離れた開放状態A2に自動的に復帰して、ロック機構94が自動的にロック状態に復帰し、操作部材80が、図4図5に示されるように、所定位置で位置固定状態となる。これにより、例えば、第二草刈装置K2が斜面に位置している場合であっても、操縦者Wが第一草刈装置K1側の第一面の地面に立った状態で、第二草刈装置K2の刈高さの調節を行うことができる。
【0070】
〔第一スクレーパについて〕
図2図5図7に示されるように、第一スクレーパ83は、ゲージ輪81に連れ回る刈草を掻き落とすように構成されている。第一スクレーパ83は、棒状の部材となっており、ゲージ輪81の横側部の近傍に配置されている。具体的には、第一スクレーパ83は、ゲージ輪81の凸部92の近傍に位置している。さらに、第一スクレーパ83は、操作部材80の前下部86の上面に溶接等により取り付け固定されている。第二ハウジング23等を保護するガード部材24は、第一スクレーパ83の後方に近接するように配置されている。
【0071】
第一スクレーパ83には、縦向き部99(「掻き落とし部」に相当)と、縦向き部99の上端部から後向きに延びる後向き部100と、が備えられている。第一スクレーパ83の縦向き部99は、側面視でゲージ輪81と重複する箇所からゲージ輪81と重複しない箇所までゲージ輪81の回転面に沿って延出されている。後向き部100は、第一スクレーパ83の上部に設けられている。後向き部100は、ゲージ輪81の後端部の上方箇所まで後向きに延出されている。
【0072】
このため、第二刈刃22の第二駆動軸心X2よりも前方、且つ、横外側に位置するゲージ輪81に、第二刈刃22により刈られた刈草が飛び散りやすい。しかし、図4図5図7に示されるように、ゲージ輪81のうち操作部材80よりも上側で第一スクレーパ83よりも後側の第一領域L1に付着した刈草は、ゲージ輪81の転動により、第一スクレーパ83で掻き落とされる。そして、第一スクレーパ83に刈草が蓄積されてくると、第一スクレーパ83の縦向き部99から後向き部100へと刈草が導かれ、ガード部材24に付着した刈草を巻き込んで、ゲージ輪81の後方付近の箇所に落下させる。このため、ゲージ輪81に刈草が付着、及び、ゲージ輪81による刈草の踏みつけにより、第二草刈装置K2の刈高さが変更されることを好適に防止できる。
【0073】
〔第二スクレーパについて〕
図4図5図7に示されるように、第二スクレーパ84は、操作部材80の前下部86の一部として備えられている。第二スクレーパ84は、左右方向において、第一スクレーパ83よりもゲージ輪81側に近接している。
【0074】
第二スクレーパ84は、ゲージ輪81の横側部の近傍に配置され、ゲージ輪81に連れ回る刈草を掻き落とすようになっている。具体的には、第二刈刃22により跳ね飛ばされた刈草のうち、ゲージ輪81における操作部材80よりも下側の第二領域L2に付着した刈草は、走行に伴うゲージ輪81の転動により、第二スクレーパ84に当接して、ゲージ輪81から掻き落とされるようになっている。
【0075】
〔第三スクレーパについて〕
図4図5図7に示されるように、第三スクレーパ85は、操作部材80の前下部86の側面に溶接等により取り付け固定されている。第三スクレーパ85は、ゲージ輪81の椀部81A内の空間L3の内側に、ゲージ輪81の内部の径方向の略全域に亘るように延びている。第三スクレーパ85は、支持部材90に近接して配置されている。第三スクレーパ85は、ゲージ輪81の椀状の内側に形成される空間L3内に配置されている。第二スクレーパ84は、ゲージ輪81の横側部の近傍に配置され、ゲージ輪81に連れ回る刈草を掻き落とすようになっている。ゲージ輪81とともに椀部81A内の空間L3内を連れ回る刈草は、走行に伴うゲージ輪81が転動により、第三スクレーパ85に当接して掻き落とされ、空間L3の横外側へ排出されるようになっている。
【0076】
このような第一スクレーパ83、第二スクレーパ84、第三スクレーパ85により、ゲージ輪81に付着した刈草を掻き落とすようになっているので、ゲージ輪81への刈草の付着による第二草刈装置K2の刈高さの変化が回避されるものとなる。また、例えば、ゲージ輪81に固定される支持部材90と回動支軸89との間に刈草が咬み込んだりすることがなく、走行に伴いゲージ輪81が円滑に転動するものとなり、走行機体の走行が円滑に行われるものとなる。
【0077】
〔別実施形態〕
以下、本発明の一例である別実施形態について説明する。下記各別実施形態は、説明している事項以外は、上記実施形態と同様である。上記実施形態と下記各別実施形態とは、矛盾が生じない限り、適宜に組み合わせることができる。なお、本発明の範囲は、これら実施形態の内容に限定されるものではない。
【0078】
(1)上記実施形態では、縦向き部99と後向き部100とが備えられた第一スクレーパ83が例示されているが、これに限られない。例えば、図8に示されるように、縦向き部199と横向き部200が備えられた第一スクレーパ183(「スクレーパ」の一例)であってもよい。第一スクレーパ183は、ゲージ輪81の横側部の近傍に配置されている。第一スクレーパ183は、操作部材80に固定されている。第一スクレーパ183の縦向き部199は、側面視でゲージ輪81と重複する箇所からゲージ輪81と重複しない箇所までゲージ輪81の回転面に沿って延出されている。第一スクレーパ183は、凸部92の近傍に位置している。第一スクレーパ183の横向き部200は、縦向き部199の上端部からゲージ輪81の上方に至るように延出されている。第一スクレーパ183の横向き部200及び縦向き部199は、ゲージ輪81の凸部92の近傍に位置している。ゲージ輪81の外周部の凸部92等に付着して連れ回る刈草を、走行に伴うゲージ輪81の転動により、第一スクレーパ183の縦向き部199で掻き落とすことができる。また、第一スクレーパ183の横向き部200により、ゲージ輪81の外周部よりも径方向外側に連れ回る刈草を掻き落とすことができる。
【0079】
(2)上記実施形態では、第一スクレーパ83(第一スクレーパ183)が、操作部材80に固定されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、第一スクレーパ83(第一スクレーパ183)が、第二ハウジング23等に固定されていてもよい。
【0080】
(3)上記実施形態では、前車輪10及び後車輪11の両方が駆動輪となっているものが例示されているが、これに限られない。例えば、前車輪10及び後車輪11のうち一方が駆動輪で、前車輪10及び後車輪11のうち一方が従動輪であってもよい。
【0081】
(4)上記実施形態とは、第二草刈装置K2が、第一草刈装置K1の左側方に配置されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、第二草刈装置K2が、第一草刈装置K1の右側方に配置されていてもよい。つまり、第二草刈装置K2は、第一草刈装置K1の横側方に配置されていればよい。
【0082】
(5)上記実施形態では、第一草刈装置K1の横側方に、第二草刈装置K2のみが配置されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、第一草刈装置K1と第二草刈装置K2以外にも、第一草刈装置K1を中心として第二草刈装置K2とは左右反対側に配置され、第二草刈装置K2とは左右逆の構造の第三草刈装置が第一草刈装置K1に連結して備えられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、第一草刈装置と、第一草刈装置の横側方に配置され、第一草刈装置の前後向きの前後軸心周りに揺動可能な第二草刈装置と、が備えられている歩行型草刈機に利用できる。
【符号の説明】
【0084】
22 :第二刈刃(刈刃)
23 :第二ハウジング(ハウジング)
24 :ガード部材
80 :操作部材
81 :ゲージ輪
82 :操作部
83,183 :第一スクレーパ(スクレーパ)
84 :第二スクレーパ(スクレーパ)
85 :第三スクレーパ(スクレーパ)
92 :凸部
99 :縦向き部(掻き落とし部)
100 :後向き部
K1 :第一草刈装置
K2 :第二草刈装置
T2 :第二回転軌跡
Q3 :支持軸心
Q4 :回動軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8