【課題を解決するための手段】
【0009】
軸線方向に延びる第1孔を画定する第1内周面を有する第1管要素であって、該第1管要素の該軸線方向における一端部が、該第1内周面の環状の第1端縁と、該第1端縁から該第1管要素の半径方向外側に延び且つ該第1管要素の他端部に向かう方向に延びる環状の第1密封面と、該第1密封面と該第1内周面とによって画定される鋭角をなす環状の第1密封部を備える第1管要素と、
該第1孔と同径の第2孔を画定する第2内周面を有する第2管要素であって、該第2管要素の軸線方向における一端部が、該第2孔を該第1管要素の第1孔と整合されるようにして該第1管要素の該第1端縁に当接される第2端縁と、該第2端縁から半径方向外側に延びる環状の第2密封面と、該第2密封面と該第2内周面とによって画定される環状の第2密封部を備える第2管要素と
を有し、
該第1管要素と該第2管要素とが、該第1端縁と該第2端縁が当接され相互に押圧された状態で、相互に連結されるようにされている管継手構造体を提供する。
【0010】
この管継手構造体では、該第1密封部の該第1端縁と該第2管要素の第2端縁とが相互に当接され押圧されるようにして当該第1及び第2管要素を連結するようにしているため、該第1管要素の該第1内周面と該第2管要素の該第2内周面との間には実質的な隙間が生じることなく、且つ、該第1密封部と該第2密封部とは該第1端縁及び該第2端縁に応力が集中する状態で当接されるので比較的小さな力でそれらの間の確実な密封係合が可能となる。従って、第1及び第2管要素を金属や、硬質の樹脂などで作ったとしても優れた密封が可能となり、しかも特許文献1に開示の管継手における前述した如き管要素の損傷の問題も回避することが可能となる。従ってまた、流体食品や流体薬剤などの配管にこの管継手構造体を用いた場合でも、操業終了ごとに洗浄するといった必要を無くすることが可能となり、また、当該管継手構造体の分解及び再組立でも特許文献1における管継手の場合に比べてより多くの回数繰り返し行うことが可能となる。
【0011】
この管継手構造体では、該第2密封部における該第2密封面と該第2内周面とのなす夾角が90度以上の鈍角をなるようにすることができる。
【0012】
また、該第1管要素は第1外周面と、該第1密封面から該第1外周面まで延びる環状の第1対向面とを有し、該第2管要素は第2外周面と、該第2密封面から該第2外周面まで延びる環状の第2対向面とを有し、該第1対向面と該第2対向面は、該第1端縁と該第2端縁とが押圧力なしに当接された状態では相互に間隔をあけて相互に対向するようになされ、且つ、該第1端縁と該第2端縁とが当接されて所定以上の押圧力で押圧された場合には、少なくとも部分的に係合し、該第1管要素と該第2管要素とが相互に近づくのを阻止するように構成することができる。
【0013】
これは、第1及び第2係合部の係合によって第1管要素と第2管要素との相対的変位を制限し、第1及び第2密封部の変形を制限して第1密封部や第2密封部に塑性変形が実質的に生じないようにするものである。
【0014】
具体的には、
該第1密封部の該第1内周面と該第1密封面がなす夾角が30〜50°とされ、該第2管要素の該第2内周面と第2密封面がなす夾角が125〜145°となるようにすることが好ましい。
【0015】
該第1管要素及び第2管要素は、それぞれ細長い第1管と第2管とすることができる。
【0016】
この場合、該第1管要素の該一端部と、該第1管要素に連結されるときに該第1管要素の該一端部に隣接するようにされる該第2管要素の端部とが半径方向外側に延びるフランジを有するようにすることができる。従来のフランジ継手におけるように、これらフランジをボルトナットやクランプにより相互に引き付けるようにして上述した密封係合を生じさせるためである。
【0017】
また、この場合、該第1管要素が、該第1密封面の半径方向外側位置に該第1内周面に対して同心状とされ、該第1管
要素と当接された該第2管
要素に向けて該軸線方向で延びる第1環状係止面を有し、
該第2管
要素が、該第2密封面の半径方向外側位置で該第2内周面に対して同心状とされ、当該第2管
要素と該第1管
要素とが当接された状態で該第1管
要素の方向に向けて該軸線方向で延び該第1環状係止面と半径方向で隣接するようになる第2環状係止面を有するようにすることができる。
【0018】
これは第1及び第2管
要素をそれらの軸線に対して直交方向でずらそうとする力が働いたときに、第1及び第2環状係止面が相互に係合して、両管がずれるのを阻止するものである。例えば地震などにおいてそのような力が加わっても第1及び第2管
要素の連結が外れるのを防止するのに有効となる。
【0019】
別の例では、該第1管要素としての細長い管を2つ用意し、該細長い管の間に挟まれる該第2管要素としてのシールリングを1つ用意し、該シールリング及び該2つの細長い管を相互に軸線方向で整合した状態で、該2つの細長い管の該シールリングに隣接する端部に設けたフランジを相互に近づけるようにすることにより連結するようにすることもできる。
【0020】
この場合、該シールリングが細長い円筒形状とされ、該第2密封面をなす端面が該円筒形状の軸線に対して直交する平面内にあるようにすることができる。
【0021】
更に、該フランジを有する該細長い管の端部が、該端部の端面から軸線方向に延び、該第1内周面よりも大きい直径で該第1内周面と同心状にされた円環状周面と、該円環状周面の奥部端縁から該第1内周面まで延びて該第1密封面を構成する環状面とを有する円環状凹部を備え、該シールリングが相互に対向配置された該円環状凹部内に該円環状凹部と同軸状にして収納されるようにすることができる。
【0022】
さらにこの場合、該円環状周面が該端面から奥部端縁に向かって次第に先細りになるようにすることができる。
【0023】
また、該シールリングは該細長い管と同じ直径の外周面及び内周面を有するようにすることができる。
【0024】
更に、該円環状周面が、該シールリングが該対向配置された円環状凹部内に収納され該第2端縁をなす該シールリングの端面の内周縁が該第1端縁をなす該細長い管の端縁と接触された状態で、該シールリングの端面の外周縁が該円環状周面と実質的に接触するように構成することができる。
【0025】
また、別の例では、該第2管要素としての細長い管を2つ用意し、該細長い管の間に挟まれる該第1管要素としてのシールリングを1つ用意し、該シールリング及び該2つの細長い管を相互に軸線方向で整合した状態で、該2つの細長い管の該シールリングに隣接する端部に設けたフランジを相互に近づけるようにすることにより連結するようにすることができる。
【0026】
更に別の例では、該第1管要素及び第2管要素として細長い管を用意し、連結される際に相互に隣接される該細長い管の端部の一方には上述の円環状凹部を設け、他方には上述の円筒状のシールリングに相当する円筒状突出部を設け、該円筒状突出部を該円環状凹部内に挿入して連結するようにすることもできる。
【0027】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。