特許第6523963号(P6523963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523963
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】管継手構造体
(51)【国際特許分類】
   F16L 23/02 20060101AFI20190527BHJP
【FI】
   F16L23/02 D
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-549006(P2015-549006)
(86)(22)【出願日】2014年7月18日
(86)【国際出願番号】JP2014069256
(87)【国際公開番号】WO2015075966
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2017年6月20日
(31)【優先権主張番号】特願2013-239566(P2013-239566)
(32)【優先日】2013年11月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】597074424
【氏名又は名称】TOKiエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小柳 悟
(72)【発明者】
【氏名】大津 由美子
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04909548(US,A)
【文献】 特開2006−161830(JP,A)
【文献】 特開2006−083972(JP,A)
【文献】 特開昭59−195988(JP,A)
【文献】 米国特許第04762344(US,A)
【文献】 米国特許第02330864(US,A)
【文献】 米国特許第05494320(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0090456(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ断面円形の孔を有し、軸線方向で相互に整合して相互に連結される2つの管要素であって、それぞれが、
当該管要素が相互に連結されるときに相互に間隔をあけて対向する端面(16a)を画定する環状のフランジを有する端部と、
該端面に該孔と同軸状に設けられた円環状凹部であって、該端面から該軸線方向に延び直径が次第に小さくなる円環状周面と、該円環状周面の軸線方向の奥部端縁から半径方向内側に延びて該孔の内周面に至り該内周面との間に円形端縁を画定する円環状端面とを有する円環状凹部と、
を有する2つの管要素と
両端面と、該両端面間で延びそれぞれ均一の直径を有する内周面及び外周面とを有し、該内周面及び該外周面は該管要素の内周面及び外周面とそれぞれ同じ直径とされている円筒形状のシールリングであって、該管要素が相互に連結されるときに該管要素の間に配置され、該管要素の相互に対向する該円環状凹部に両端部が収納されて、該シールリングの該内周面の両端縁が、それぞれ対応する該管要素の該円形端縁に密封係合し、該シールリングの外周面の両端縁が、それぞれ対応する該管要素の該円環状周面に実質的に接するようにされ、該シールリングの該端面は、該シールリングの該内周面の該両端縁が該管要素の対応する該円形端縁に係合した状態において、対応する該円環状凹部の該円環状端面に係合しないようにされている円筒形状のシールリングと、
を有する管継手構造体。
【請求項2】
円筒形状のシールリングの該端面が該円筒形状のシールリングの軸線に対して直交する平面内にあるようにされている請求項に記載の管継手構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連結される管要素の孔を画定している内周面間に隙間が生じないようにして連結することを可能とする管継手構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の配管において管同士を連結する場合、連結する管の端部にフランジを設け、それらフランジを相互につき合わせてボルトナットで連結したり、フランジの周りにクランプを締め付けて連結したりするフランジ継手が一般的である。
【0003】
そのようなフランジ継手においては、配管の内部からの気体、液体の漏洩や、外部からの異物混入を防止するため、一般的にはゴム製シールリングをフランジ間に介在させてシールするのが普通である。しかし、ゴム製シールリングは経年劣化によりシールが不十分になったりパッキン材料のゴムが配管を通される流体に混入したりする虞があり、また、火災時などにはゴム製シールリングが熱により損傷を受けてシールが不完全になる虞があるなど種々の欠点を有している。
【0004】
このような問題を解消するために、ゴム製シールリングを使用せずに配管の継手部分の密封を図る技術が提案されている(特許文献1)。この技術では、接合する一方の管の端部にテーパ面を設け、そのテーパ面に他方の管の端部を押し当てる構造としたり、対向する管端部のフランジ間に環状の金属パッキンを挟み、該金属パッキンの両側面に設けたテーパ面に対向するフランジを押し当てる構造とすることによって、金属同士の線接触によって密封を行うようにしたものである。
【0005】
このようにすることにより、通常のゴム製シールリングを使用せずに優れたシール性が実現されるが、継手の分解および再組み立てを繰り返し行うような場合には、上記テーパ部に傷が付きやすく漏れが生じやすくなるいという問題がある。
【0006】
また、このような管継手においては、上述の管や金属パッキンなどの管要素の一方の端部に設けられるテーパ面とそれに押し当てられる他方の管要素の端部の面によって凹部が形成される。すなわち、これら管要素が接続されてそれら管要素の内周壁面によって画定される流体通路における管要素接続部分には当該流体通路の周壁面に環状の溝(凹部)が生じる。しかし、例えば衛生管理が重要な流体状食品や流体状薬剤等の配管においては、このような流体通路の周壁面に生じる溝は流体通路を通される食品や薬剤等が入り込むために、通常、一回の操業が終了するたびに当該管継手を分解して洗浄することが必要とされる。しかし、そのような操業ごとの管継手の分解及び洗浄、そして再組立は煩雑な作業であり、生産コストを増大させることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2004/109174号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の点に鑑み、ゴム製シールリングを使用せずしかも分解および再組み立てを繰り返し行うことを可能とする管継手構造体を提供することを目的とし、更には、そのような分解、洗浄及び再組み立てを頻繁には必要とされない管継手構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
軸線方向に延びる第1孔を画定する第1内周面を有する第1管要素であって、該第1管要素の該軸線方向における一端部が、該第1内周面の環状の第1端縁と、該第1端縁から該第1管要素の半径方向外側に延び且つ該第1管要素の他端部に向かう方向に延びる環状の第1密封面と、該第1密封面と該第1内周面とによって画定される鋭角をなす環状の第1密封部を備える第1管要素と、
該第1孔と同径の第2孔を画定する第2内周面を有する第2管要素であって、該第2管要素の軸線方向における一端部が、該第2孔を該第1管要素の第1孔と整合されるようにして該第1管要素の該第1端縁に当接される第2端縁と、該第2端縁から半径方向外側に延びる環状の第2密封面と、該第2密封面と該第2内周面とによって画定される環状の第2密封部を備える第2管要素と
を有し、
該第1管要素と該第2管要素とが、該第1端縁と該第2端縁が当接され相互に押圧された状態で、相互に連結されるようにされている管継手構造体を提供する。
【0010】
この管継手構造体では、該第1密封部の該第1端縁と該第2管要素の第2端縁とが相互に当接され押圧されるようにして当該第1及び第2管要素を連結するようにしているため、該第1管要素の該第1内周面と該第2管要素の該第2内周面との間には実質的な隙間が生じることなく、且つ、該第1密封部と該第2密封部とは該第1端縁及び該第2端縁に応力が集中する状態で当接されるので比較的小さな力でそれらの間の確実な密封係合が可能となる。従って、第1及び第2管要素を金属や、硬質の樹脂などで作ったとしても優れた密封が可能となり、しかも特許文献1に開示の管継手における前述した如き管要素の損傷の問題も回避することが可能となる。従ってまた、流体食品や流体薬剤などの配管にこの管継手構造体を用いた場合でも、操業終了ごとに洗浄するといった必要を無くすることが可能となり、また、当該管継手構造体の分解及び再組立でも特許文献1における管継手の場合に比べてより多くの回数繰り返し行うことが可能となる。
【0011】
この管継手構造体では、該第2密封部における該第2密封面と該第2内周面とのなす夾角が90度以上の鈍角をなるようにすることができる。
【0012】
また、該第1管要素は第1外周面と、該第1密封面から該第1外周面まで延びる環状の第1対向面とを有し、該第2管要素は第2外周面と、該第2密封面から該第2外周面まで延びる環状の第2対向面とを有し、該第1対向面と該第2対向面は、該第1端縁と該第2端縁とが押圧力なしに当接された状態では相互に間隔をあけて相互に対向するようになされ、且つ、該第1端縁と該第2端縁とが当接されて所定以上の押圧力で押圧された場合には、少なくとも部分的に係合し、該第1管要素と該第2管要素とが相互に近づくのを阻止するように構成することができる。
【0013】
これは、第1及び第2係合部の係合によって第1管要素と第2管要素との相対的変位を制限し、第1及び第2密封部の変形を制限して第1密封部や第2密封部に塑性変形が実質的に生じないようにするものである。
【0014】
具体的には、
該第1密封部の該第1内周面と該第1密封面がなす夾角が30〜50°とされ、該第2管要素の該第2内周面と第2密封面がなす夾角が125〜145°となるようにすることが好ましい。
【0015】
該第1管要素及び第2管要素は、それぞれ細長い第1管と第2管とすることができる。
【0016】
この場合、該第1管要素の該一端部と、該第1管要素に連結されるときに該第1管要素の該一端部に隣接するようにされる該第2管要素の端部とが半径方向外側に延びるフランジを有するようにすることができる。従来のフランジ継手におけるように、これらフランジをボルトナットやクランプにより相互に引き付けるようにして上述した密封係合を生じさせるためである。
【0017】
また、この場合、該第1管要素が、該第1密封面の半径方向外側位置に該第1内周面に対して同心状とされ、該第1管要素と当接された該第2管要素に向けて該軸線方向で延びる第1環状係止面を有し、
該第2管要素が、該第2密封面の半径方向外側位置で該第2内周面に対して同心状とされ、当該第2管要素と該第1管要素とが当接された状態で該第1管要素の方向に向けて該軸線方向で延び該第1環状係止面と半径方向で隣接するようになる第2環状係止面を有するようにすることができる。
【0018】
これは第1及び第2管要素をそれらの軸線に対して直交方向でずらそうとする力が働いたときに、第1及び第2環状係止面が相互に係合して、両管がずれるのを阻止するものである。例えば地震などにおいてそのような力が加わっても第1及び第2管要素の連結が外れるのを防止するのに有効となる。
【0019】
別の例では、該第1管要素としての細長い管を2つ用意し、該細長い管の間に挟まれる該第2管要素としてのシールリングを1つ用意し、該シールリング及び該2つの細長い管を相互に軸線方向で整合した状態で、該2つの細長い管の該シールリングに隣接する端部に設けたフランジを相互に近づけるようにすることにより連結するようにすることもできる。
【0020】
この場合、該シールリングが細長い円筒形状とされ、該第2密封面をなす端面が該円筒形状の軸線に対して直交する平面内にあるようにすることができる。
【0021】
更に、該フランジを有する該細長い管の端部が、該端部の端面から軸線方向に延び、該第1内周面よりも大きい直径で該第1内周面と同心状にされた円環状周面と、該円環状周面の奥部端縁から該第1内周面まで延びて該第1密封面を構成する環状面とを有する円環状凹部を備え、該シールリングが相互に対向配置された該円環状凹部内に該円環状凹部と同軸状にして収納されるようにすることができる。
【0022】
さらにこの場合、該円環状周面が該端面から奥部端縁に向かって次第に先細りになるようにすることができる。
【0023】
また、該シールリングは該細長い管と同じ直径の外周面及び内周面を有するようにすることができる。
【0024】
更に、該円環状周面が、該シールリングが該対向配置された円環状凹部内に収納され該第2端縁をなす該シールリングの端面の内周縁が該第1端縁をなす該細長い管の端縁と接触された状態で、該シールリングの端面の外周縁が該円環状周面と実質的に接触するように構成することができる。
【0025】
また、別の例では、該第2管要素としての細長い管を2つ用意し、該細長い管の間に挟まれる該第1管要素としてのシールリングを1つ用意し、該シールリング及び該2つの細長い管を相互に軸線方向で整合した状態で、該2つの細長い管の該シールリングに隣接する端部に設けたフランジを相互に近づけるようにすることにより連結するようにすることができる。
【0026】
更に別の例では、該第1管要素及び第2管要素として細長い管を用意し、連結される際に相互に隣接される該細長い管の端部の一方には上述の円環状凹部を設け、他方には上述の円筒状のシールリングに相当する円筒状突出部を設け、該円筒状突出部を該円環状凹部内に挿入して連結するようにすることもできる。
【0027】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る管継手構造体の断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る管継手構造体の要部の断面図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る管継手構造体の要部の断面図である。
図4】本発明の第4の実施形態に係る管継手構造体の要部の断面図である。
図5】本発明の第5の実施形態に係る管継手構造体の要部の断面図である。
図6】本発明の第6の実施形態に係る管継手構造体の要部の断面図である。
図7】本発明の第7の実施形態に係る管継手構造体の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
先ず、図1に基づき、本発明の一実施形態に係る管継手構造体を説明する。
図示のようにこの管継手構造体10は、軸線A方向に沿って延びる貫通孔(特許請求の範囲の記載における第1孔)12を画定する第1内周面14を有する第1管要素(図示の例では細長い管)16であって、第1管要素16の一端部16−1が、第1内周面14の端縁(第1端縁)14−1から第1管要素16の半径方向外側に延び且つ第1管要素16の他端部16−2に向かう方向に延びる円錐形状の第1密封面18を有し、該第1密封面18と第1内周面14とによって画定される環状の第1密封部20を備える第1管要素16と、貫通孔12と同径の貫通孔30を画定する第2内周面30−1を有し、該貫通孔30が第1管要素16の貫通孔14と整合されるようにして第1管要素16の一端部16−1に当接される第2管要素(図示の例では細長い管)32であって、第1管要素16の一端部16−1に当接された状態で、該第1内周面14の端縁14−1に当接する位置となる第2内周面30−1の端縁(第2端縁)30−2から第1管要素16に向かう方向に第1密封面18の半径方向外側を延びる第2密封面34を有し、該第2密封部34と第2内周面30−1とによって第2密封部35が画定されている第2管要素32とを有する。第1及び第2密封部20、35(特に第1密封部20)は、第1管要素16と第2管要素32とが軸線A方向で相互に押圧されることにより相互に向かって微小だけ変位されたときに、第1端縁14−1及び第2端縁30−2を中心に生じる応力集中によって弾性変形しながら相互に押圧されて密封係合される。
【0030】
第1管要素16及び第2管要素32は、それぞれ、第1密封面18及び第2密封面34から以下で述べるフランジ16−3、32−2の外周面まで延びる第1対向面22及び第2対向面36を有しており、第1管要素16と第2管要素32が軸線A方向で相互に向けて押圧されて微小だけ変位されたときに少なくとも部分的に相互係合し第1管要素16と第2管要素32とのそれ以上の変位を阻止するようにされている。
【0031】
図示の実施形態では、第1管要素16の端部16−1と、第2管要素32の端部32−1とには半径方向外側に延びるフランジ16−3、32−2を有しており、該フランジ16−3、32−2に複数のボルトBが通されナットCが螺合されこれらフランジ16−3、32−2を引き付け締め付けるようになっている。
【0032】
更に、第1管要素16の第1対向面22には第2管要素32の第2対向面36に向けて突出し第1内周面14に対して同心状とされた第1環状係止面16−4を有する環状突起16−5が設けられ、第2管要素32の第2対向面36には、第2内周面30−1に対して同心状とされ第1環状係止面16−4と半径方向内側で隣接するように延びる第2環状係止面32−3が設けられている。地震などで第1管要素16と第2管要素32とがそれらの軸線Aに対して横断方向に相対的に変位しようとするときに第1及び第2環状係止面16-4、32−3が相互に係合してその変位を阻止する。
【0033】
第2管要素32と第1管要素16とが相互に押圧された状態で貫通孔12及び貫通孔30からなる流体通路内に高い流体圧がかかると該流体圧により第1管要素16の第1密封部20が第2円密封面34に向けて押圧され弾性変形されて第1密封面18と第2密封面34との間の密封係合が強化可能なようにされている。
【0034】
具体的には、第1管要素16の第1密封部20の第1内周面14と第1密封面18との間の夾角Dが約30〜約50°とされ、第2管要素32が第1管要素16に軸線方向で整合されて当接されたときの第1内周面14に対し第2密封面34がなす夾角Eが約35〜約55°(第2内周面30−1と第2密封面34との間の夾角が125〜145°)となるようにされている。好ましくは、第1密封部20の第1内周面14と第1密封面18との間の挟角Dが40°とされ、第2管要素32が第1管要素16に整列されて当接されたときの第1内周面14と第2密封面34との間の夾角Eが約45°になるようにされ、第1及び第2密封面18、34の夾角の差が約5°程度になるようにされる。換言すれば、第1内周面14と第1密封面18との間の夾角Dは鋭角とされ、第2内周面30−1と第2密封面34との間の夾角は鈍角とされている。
【0035】
図2は第2の実施形態に係る管継手構造体10の上半分を示しており、この管継手構造体は、基本的構成としては図1のものと同じであり、技術的に実質的に同じエレメントには同じ名称及び同じ参照番号を付してある。この管継手構造体においては、フランジ16−3、32−2の外周面に傾斜が付けられており、それらを締結するのにボルトナットではなく、一般的にへルール継手などと呼ばれる、一対の半円形部材を一端で枢着してなる環状の締結部材40によって締め付けることによりフランジ16−3、32−2が相互に引き付けられ連結されるようになっている。
【0036】
図3は第3の実施形態に係る管継手構造体10の上半分を示しており、図1の実施形態と技術的に実質的に同じエレメントには同じ名称及び同じ参照番号を付してある。すなわち、この管継手構造体は、細長い管とされた第1管要素16(図においては各細長い管はその端部のみが示されている)が2つ用意され、これら第1管要素16の間に第2管要素32としてのシールリングが挟まれる構成となっている。図示のように、この実施例における第2管要素32としてのシールリングは、その軸線方向の各端部において内周面32と第2密封面34によって画定される鈍角の第2密封部35を有しており、対応する第1管要素の第1密封部20と第1端縁14−1及び第2端縁30−2を介して当接されている。
【0037】
図4は第4の実施形態に係る管継手構造体10の上半分を示しており、この管継手構造体は、細長い管とされた第2管要素32(図においては各細長い管はその端部のみが示されている)が2つ用意され、これら第2管要素32の間に第1管要素16としてのシールリングが挟まれる構成となっており、上述の第1の実施形態と技術的に同じエレメントには同じ参照番号を付して示してある。図示のように第1管要素16は、その軸線方向の各端部において内周面14の各端縁14−1から延びる第1密封面18と第1内周面14によって画定される鋭角の第1密封部20を有しており、対応する第2管要素32の第2密封部35と第1端縁14−1及び第2端縁3−2を介して当接されている。
【0038】
図5に示す第5の実施形態に係る管継手構造体10は、細長い管(図においては各細長い管はその端部のみが示されている)とされた2つの第1管要素16と、これら第1管要素16の間に挟まれた円筒形状のシールリングとされた第2管要素32とを有する構成とされており、第1の実施例と技術的に同じエレメントには同じ名称及び同じ参照番号を付して示してある。第2管要素32は、第1管要素16の細長い管と同じ内径及び外径を有しており、その両端面34aは、当該第2管要素32の軸線に対して直交する面内に配置とされている。すなわち、この第2管要素32では、該端面34aが第2密封面34をなし、第2内周面30−1との間に90°の第2密封部35を形成している。フランジ16−3を有する第1管要素16の端部は、該端部の端面16aから軸線方向に延び、第1内周面14よりも大きい直径で該第1内周面14と同心状にされた円環状周面14aと、該円環状周面14aの奥部端縁14bから第1内周面14まで延びて第1密封面18を構成する環状面18aとを有する円環状凹部18−1を備え、第2管要素32が、相互に整列して対向配置される円環状凹部18−1内に該円環状凹部18−1と同軸状にして収納されるようにされている。円環状周面14aは端面16aから奥部端縁14bに向かって次第に先細りになるようにされており、第1内周面14と第1密封面18との間に鋭角をなす第1密封部20を形成しており、該第1密封部20は第2管要素32の第2密封部35と第1端縁14−1及び第2端縁30−2において当接されている。第2管要素32を第1管要素16間に設定する場合には、まず、一方の(例えば、図5で見て左側の)第1管要素16の円環状凹部18-1内に当該第2管要素32をその一端(左側端)から挿入して左側の第2端縁30−2が左側の第1管要素16の第1端縁14−1に当接した状態とする。このときテーパの付けられている円環状周面14aは第2管要素32のガイドとして機能し、図示のように第2端縁30-2が第1端縁14−1に当接した状態では、第2管要素の外周面30−3の図で見て左側の端縁30−4は円環状周面14aに略接するような状態とされる。図示の例では、ゴム製の環状パッキン42を、左側の第1管要素16の端面16aに取り付けた上で、他方の(右側の)第1管要素16をその円環状凹部18-1内に、第2管要素32における左側の第1管要素16から突出するように延びている部分を収納するようにしてその端面16aを環状パッキン42に当接し、該側の第1管要素の第1端縁14−1が第2管要素の第2端縁30−2に当接した状態とする。このとき、第1管要素16は、左側の第1管要素16のガイドとして機能する。ゴム製のパッキン42は、当該管構造体において流体通路から流体が漏れ出した場合の予備的シール部材として、また、外部から異物が第1管要素間の隙間に入るのを防止する部材として機能する。図5に示された状態に組合せられた第1及び第2管要素は、図1に示したボルトB及びナットCや図2に示した如きへルール継手40などの締着具により第1管要素16の端部に設けられたフランジ16−3を相互に引き付けるようにすることにより連結固定される。
【0039】
図6は、図5の第5の実施形態を変形した第6の実施形態に係る管継手構造体10の上半分を示している。この管継手構造体10においては細長い管(図においては各細長い管はその端部のみが示されている)とされた2つの第2管要素32と、これら第2管要素32の間に挟まれた円筒形状のシールリングとされた第1管要素16とを有する構成とされており、第5の実施形態のものと技術的に同じエレメントには同じ名称及び同じ参照番号を付して示してある。第1管要素16は、第2管要素32の細長い管と同じ内径及び外径を有しており、その両端面18aは傾斜面とされて第1密封面18をなし、第1内周面14との間に鋭角をなす第1密封部20を形成している。フランジ32−2を有する第2管要素32の端部は、該端部の端面32aから軸線方向に延び、第2内周面30−1よりも大きい直径で該第2内周面30−1と同心状にされた円環状周面30aと、該円環状周面30aの奥部端縁30bから第2内周面30−1まで延びて第2密封面34を構成する環状面34aとを有する円環状凹部34−1を備え、第1管要素16が、相互に整列して対向配置される円環状凹部34−1内に該円環状凹部34−1と同軸状にして収納されるようにされている。円環状周面30aは端面32aから奥部端縁30bに向かって次第に先細りになるようにされており、第2内周面30−1と第2密封面34との間に90°以上の鈍角の第2密封部35を形成しており、該第2密封部35と第1管要素16の第1密封部20とは第1端縁14−1及び第2端縁30−2において当接されている。第1管要素32は、第5実施形態の第管要素32と同様にして第2管要素32の間に設定される。この場合、円環状周面30aは第5実施例における円環状周面14aの上述した如きガイド機能と同様のガイド機能を有する。
【0040】
図7図6の第の実施形態を変形した第6の実施形態に係る管継手構造体10を示しており、第5の実施形態のエレメントと技術的に同じエレメントには同じ名称及び同じ参照番号を付して示してある。この管継手構造体10は、第1管要素16及び第2管要素32は細長い管(図においては各細長い管はその端部のみが示されている)とされており、第1管要素16には第5の実施形態におけると同様の円環状凹部18-1が形成され、第2管要素32にはそのフランジ32−2から延出する円筒状突出部32−4を有しており、円環状凹部18-1内に挿入されるようになっている。この円環状凹部18−1と円環状突出部32−4とのサイズ的及び作用的関係は、第5実施形態における左側の第1管要素16の円環状凹部18−1と第2管要素32との関係と同じであり、その詳細は省略する。
【0041】
以上に説明した本発明の実施形態に係る管継手構造体はステンレス等の金属製とすることで高圧の流体を扱う配管に用いることができるが、必ずしも金属製とする必要はなく硬質の樹脂製等とすることも可能である。
【符号の説明】
【0042】
軸線A;ボルトB;ナットC;管継手構造体10;貫通孔(第1孔)12;第1内周面14;端縁14−1;円環状周面14a;奥部端縁14b;第1管要素16;一端部16−1;他端部16−2;フランジ16−3;第1環状係止面16−4;環状突起16−5;第1密封面18;円環状凹部18−1;環状面18a;環状密封部20;第1対向面22;貫通孔(第2孔)30;第2内周面30−1;端縁30−2;外周面30−3;円環状周面30a;奥部端縁30b;第2管要素32;端部32−1;フランジ32−2;第2環状係止面32−3;円環状突出部32−4;端面32a;第2密封面34;円環状凹部34−1;端面34a;第2対向面36;締結部材40
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7